ロジ ー税 制改 革を はじ めと する 環境 税・ 環境 賦課 金は
、環 境保 全の ため にあ る特 定の 行為 を命 令・ 禁止 する とい う伝 統的 な規 制的 手法
、い わば
﹁命 令お よび 禁止 に関 する 規制
﹂︵ Re gu li er un gü be rd en Ge -u nd Ve rb ot
︶と の対 比で みた とき
、次 のよ うに 特徴 づけ るこ とが でき る。 すな わち
、そ れは
、価 格︵ Pr ei s︶ の設 定を 通じ て市 場に 対す る刺 激︵ An re iz
︶を 付与 する こと によ って
、各 自の 経済 合理 的な 行動 選択 に期 待し つつ
、環 境負 荷的 な行 動を 回避 させ よう とす るも ので あり
、し たが って
﹁価 格に 関す る規 制﹂︵ Re gu li er un gü be rd en Pr ei s︶ とも 言う べき 性格 およ び内 容を 備え たも ので
( )
ある
。エ コロ ジー 税制 改革 につ いて いえ ば、 各種 のエ ネル ギー 消費 に対 し課 税を する こ
79
とに よっ てエ ネル ギー の消 費に かか る費 用を 上昇 させ
、そ のこ とに よっ て、 エネ ルギ ー節 約や ひい ては 温室 効果 ガ ス排 出削 減へ の刺 激を 付与 する とい うこ とが
、そ の主 な内 容と され てい る。 そう する と、 それ によ って もた らさ れる 規制 的な 効果 は、 ある 特定 の行 為を 命令 ない し禁 止す ると きの よう に直 接的 な︵ di re kt 作︶ 用に よる ので はな く、 市場 を介 して 得ら れる 間接 的な
︵i nd ir ek t︶ 効果 に期 待し よう とす るも の で
( )
ある ため
、そ れが どれ だけ 政策 目標 の達 成の ため に寄 与し うる かを
、精 確な 指標 でも って 測定 する こと は困 難で
80
ある とも いい うる
。
⑵
これ に対 して、二
〇〇
〇年 プロ グラ ムに おい ては
、ど れだ けの 排出 削減 効果 をエ コロ ジー 税制 改革 に期 待す るか とい うこ とが 数値 的に 示さ れて いる ため
、こ の点 につ いて も触 れて おき たい
。 それ によ ると
、ま ず、 二〇
〇〇 年プ ログ ラム に伴 うあ らゆ る施 策の 実施 によ って 二〇
〇五 年ま でに 実現 され うる
全体 とし ての CO
の削 減効 果と して は、 九〇
〇〇 万~ 九五
〇〇 万ト ンと 見積 もら れて いる
。こ のう ち、 エコ ロジ ー税 制改 革の 実施 によ って 得ら れる べき は、 一〇
〇〇 万ト ンの CO
削減 効果 であ ると され
、全 体の 一〇
%を 超え る削 減効 果を それ に期 待し て
( )
いる
。
81
この よう に、 期待 され てい る効 果の 大き さか らし ても
、当 時の 連邦 政府 がエ コロ ジー 税制 改革 に重 要な 位置 づけ を与 えて きた こと がう かが える が、 他方 で、 この 点を 重視 する なら ば、
﹁価 格に 関す る規 制﹂ であ るこ との 性格 を 踏ま えつ つも
、エ コロ ジー 税制 改革 によ る右 のよ うな 削減 効果 をど のよ うに して 評価 する かが 問わ れな けれ ばな ら ない こと とな る。 この こと につ いて も後 に若 干の 検討 を試 みた い。
︵
︶ ドイ ツの エコ ロジ ー税 制改 革に つい ては
、と りわ け環 境経 済学 から の紹 介お よび 検討 が数 多く なさ れて おり
、近 年で はポ リシ ー・ ミッ クス の 67 観点 から の分 析が さか んに 行わ れて いる
。た とえ ば、 最近 のも のと して
、諸 富徹
﹁環 境税 制改 革と ポリ シー
・ミ ック スの 経済 評価
︱イ ギリ ス とド イツ を事 例と して
︱﹂ 横山 彰= 財務 省財 務総 合政 策研 究所 編﹃ 温暖 化対 策と 経済 成長 の制 度設 計﹄ 勁草 書房
︵二
〇〇 八︶ 九五 頁以 下、 林希 一郎
﹁欧 州諸 国の エネ ルギ ー関 連税 と環 境税 の比 較制 度分 析﹂ 横山 ほか 編・ 前掲 書一 一九 頁以 下、 諸富 徹﹁ 地球 環境 問題 の今 後の 動向 と税 の位 置づ けに つい て﹂ 租税 研究 七一
〇号
︵二
〇〇 八︶ 四二 頁以 下を 参照
。な お、 ポリ シー
・ミ ック スと いう 分析 視角 につ いて 理解 を得 る上 では
、諸 富徹 編著
﹃環 境政 策の ポリ シー
・ミ ック ス﹄
︵環 境ガ バナ ンス 叢書
︶ミ ネル ヴァ 書房
︵二
〇〇 九︶ 所収 の諸 論稿 が参 考に なる
。 7 他方
、法 学の 観点 から は、 エコ ロジ ー税 制改 革の 合憲 性を めぐ って 争わ れた 二〇
〇四 年四 月二
〇日 の連 邦憲 法裁 判所 の判 決︵ BV er fG E1 10 , 27 4︶ が注 目さ れ、 これ を一 つの 契機 にし て検 討を 加え るも のが 登場 して きて いる
。同 判決 につ いて は、 三宅 雄彦
﹁い わゆ るエ コ税 の合 憲性
﹂ 自治 研究 八二 巻七 号︵ 二〇
〇六
︶一 五五 頁以 下。 また
、ド イツ では 政策 税制 とし ての 税制 によ る誘 導が どこ まで 許容 され るべ きか をめ ぐっ て議 論が なさ れて いる が、 この 点を 含め た租 税法 学か らの 検討 とし て、 手塚 貴大
﹁環 境税 の法 構造
︱ド イツ 租税 法に おけ る議 論の 一端
︱﹂ 新井 隆一 編﹃ 納税 者保 護と 法の 支配
﹄︵ 山田 二郎 先生 喜寿 記念
︶信 山社
︵二
〇〇 七︶ 四九 七頁 以下
、同
﹁環 境税 の法 と政 策︵ 一︶
︱ド イツ 租税 法に 見る 公共 政策 実現 手段 の構 築︱
﹂廣 島法 學三 二巻 四号
︵二
〇〇 九︶ 七七 頁以 下が ある
。
︵
︶ 以下 の紹 介は 次の 文献 に拠 る。 Vg l. Na ti on al es Kl im as ch ut zp ro gr am m2 00 0︵ Fu ßn .1 5︶ ,S .1 5f f.
;N at io na le sK li ma sc hu tz pr og ra mm 20 05 68
︵F uß n. 36
︶, S. 18 ,3 7; Um we lt bu nd es am t︵ Hr sg .︶ ,A nf or de ru ng en an un dA nk nü pf un gs pu nk te fü re in eR ef or m de sS te ue rs ys te ms un te r ök ol og is ch en As pe kt en ,1 99 9; Kl oe pf er
︵F uß n. 3︶ ,S .1 44 6f f.
;W in kl er
︵F uß n. 42
︶, S. 18 1f f.
とこ ろで
、本 稿は
、﹁ はじ めに
﹂で その 問題 意識 を示 した よう に、 当時 の連 邦政 府が 気候 保全 のた めの 法政 策を どの よう な﹁ 法的 仕組 み﹂ に よっ て行 って きた のか
、そ して その 下で
、エ コロ ジー 税制 改革 に対 して はい かな る法 的・ 行政 的な 位置 づけ を与 えて きた かを 明ら かに する こと を通 じて
、当 時の ドイ ツに おけ る気 候保 全の ため の法 政策 の全 体像 を示 し、 わが 国の 法お よび 行政 への 示唆 を得 るこ とを 目的 とし てい る。 換言 すれ ば、 気候 保全 のた めの 各種 の措 置が
、国 家気 候保 全プ ログ ラム とい う全 体と して の﹁ 法的 仕組 み﹂ の中 にい かに 位置 づけ られ てい るの か、 そし てそ こに いか なる 意味 を見 いだ すこ とが でき るか
、と いう 点こ そが 本稿 にと って の関 心の 対象 であ り、 した がっ て、 極論 する なら ば、 エコ ロジ ー税 制改 革は それ を検 討す るた めの 一つ の素 材で ある にす ぎな い。 この ため
、エ コロ ジー 税制 改革 その もの につ いて は、 あく まで も概 括的 な紹 介に とど まっ てお り、 とり わけ 制度 内在 的な 論点 ある いは 課題 に つい て、 本稿 にお ける 検討 は決 して 十分 なも のと は言 い得 ない
。 そこ で、 この 点に つい ては
、﹁ おわ りに
﹂で 明示 する 筆者 にと って の今 後の 課題 を踏 まえ つつ
、更 なる 考察 を進 めて いく こと にし たい
。
︵
︶ 環境 法典 の各 草案 を素 材と して ドイ ツ環 境法 の議 論を 紹介 およ び検 討す るも のと して
、岩 﨑・ 前掲 註︵
︶六 三頁 以下 およ び同
・前 掲註 69
4
︵
︶五 五頁 以下
、髙 橋= 岩﨑
・前 掲註
︵
︶一 頁以 下を 参照
。 7
43
︵
︶ EU およ びド イツ を含 むE U各 加盟 国で の環 境税
・環 境賦 課金 をめ ぐる 議論 と、 その 立法 措置 につ いて は、 参考 とな るも のと して
、F . K 70 ir ch ho f, Um we lt ab ga be n -Di eR eg el un ge ni nd er Eu ro pä is ch en Ge me in sc ha ft un di hr en Mi tg li ed st aa te n, in :H . -W. Re ng el in g︵ Hr sg .︶ , Ha nd bu ch zu me ur op äi sc he nu nd de ut sc he nU mw el tr ec ht
︵E UD UR
︶, 2. Au fl ., 20 03 ,B d. ,S .1 33 5f f. をあ げて おく
。
Ⅰ
︵
︶ Ri ch tl in ie 20 03 /9 6/ EG de sR at es vo m2 7. Ok to be r2 00 3z ur Re st ru kt ur ie ru ng de rg em ei ns ch af tl ic he nR ah me nv or sc hr if te nz ur Be st eu er un g v 71 on En er gi ee rz eu gn is se nu nd el ek tr is ch em St ro m, AB l. L. 28 3v om 31 .O kt ob er 20 03 ,S .5 1. その 紹介 およ び法 的論 点の 検討 につ いて は、 vg l. Ki rc hh of
︵F uß n. 70
︶, S. 13 63 ff .
︵
︶ Ge se tz zu mE in st ie gi nd ie ök ol og is ch eS te ue rr ef or mv om 24 .3 .1 99 9, BG Bl . S. 37 8. 72
Ⅰ
︵
︶ たと えば
、竹 内・ 前掲 註︵
︶四 五頁 以下 参照
。 73
9
︵
︶ Ge se tz zu rF or tf üh ru ng de rö ko lo gi sc he nS te ue rr ef or mv om 16 .1 2. 19 99 ,B GB l. S. 24 32 . 74
Ⅰ
︵
︶ Ge se tz zu rF or te nt wi ck lu ng de rö ko lo gi sc he nS te ue rr ef or mv om 23 .1 2. 20 02 ,B GB l. S. 46 02 . 75
Ⅰ
︵
︶ Vg l. P. Sc hl üt er ,Ö ko -s te ue rn im We tt be we rb um we lt po li ti sc he rI ns tr um en te fü rd en Kl im as ch ut z, in :M .O ld ig es
︵H rs g.
︶, Ab ga be nr ec ht -l 76 ic he Ve rh al te ns st eu er un gi m Um we lt re ch t: Do ku me nt at io nd es 5. Le ip zi ge rU mw el tr ec ht s -Sy mp os io ns de sI ns ti tu te sf ür Um we lt -u nd Pl an un gs re ch td er Ju ri st en fa ku lt ät de rU ni ve rs it ät Le ip zi ga m2 1. un d2 2. Ju ni 20 00 ,2 00 0, S. 21 3f f.
︵
︶ 同様 の指 摘を する もの とし て、 田北 廣道
﹃日 欧エ ネル ギー
・環 境政 策の 現状 と展 望︱ 環境 史と の対 話︱
﹄九 州大 学出 版会
︵二
〇〇 四︶ 九一 頁 77
。そ れに よる と、 当時 の連 邦政 府が 国家 気候 保全 プロ グラ ムの 中で エコ ロジ ー税 制改 革を 各種 措置 の筆 頭に あげ た理 由は
、﹁ エコ 税が 省エ ネ、 効率 的利 用お よび 新技 術の 開発
・導 入へ のイ ンセ ンテ ィブ 効果 を通 じて 環境
・気 候保 全に 寄与 する だけ でな く、 非課 税扱 いの 再生 可能 エネ ルギ
ーを はじ め、 より クリ ーン な燃 料へ の転 換を も促 進し て、 脱原 子力 後の
﹃エ ネル ギー 転換
﹄に 際し て重 要な 役割 を担 って いる から
﹂で あっ たと の指 摘が なさ れて いる
。
︵
︶ Vg l. Wi nk le r︵ Fu ßn .4 2︶ ,S .1 87 .
︵ 78
︶ この 点に つい ては
、か つて
、ド イツ 環境 法典 の﹁ 委員 会草 案﹂ 理由 書︵ Be gr ün du ng
︶に おけ る議 論を 基に して
、詳 細に 検討 した こと があ る 79
。岩 﨑・ 前掲 註︵
︶七 一頁 以下 参照
。前 記草 案の 理由 書で の議 論に つい ては
、v gl .U GB -K om E︵ Fu ßn .3 9︶ ,S .7 84 . 7
︵
︶ ある 特定 の行 動に 対す る﹁ 直接 的な
﹂制 御と
、﹁ 間接 的な
﹂制 御の それ ぞれ の異 同お よび その 法的 意味 につ いて は、 岩﨑
・前 掲註
︵
︶八 80
4 一頁 以下 参照
。
︵
︶ Vg l. Na ti on al es Kl im as ch ut zp ro gr am m2 00 0︵ Fu ßn .1 5︶ ,S .1 7︵ Ta bl le 3︶ . 81
四 環境 保全 の手 法と して の意 義 以上
、簡 単に では ある が、 社会 民主 党お よび 緑の 党の 連立 政権 の下 で策 定さ れた 二次 にわ たる
﹁国 家気 候保 全プ ログ ラム
﹂と
、そ のプ ログ ラム にお いて
﹁中 心的 な構 成要 素﹂ とし て位 置づ けら れて きた 措置 であ る﹁ エコ ロジ ー 税制 改革
﹂と のか かわ りに 焦点 を当 てて
、当 時に おけ るド イツ の気 候保 全の ため の法 政策 につ いて 概観 して きた
。 その 中で も、 特に 二〇
〇〇 年プ ログ ラム は、 京都 議定 書に 依拠 しな いド イツ 独自 の高 い目 標を 設定 し、 それ を実 現 すべ く省 庁横 断的 に各 種の 措置 を提 示し
、目 標達 成の 観点 から それ ら諸 措置 の実 施を 強力 に推 進す ると いう もの で あっ たが
、そ の極 めて 豊富 な内 容に は目 を見 張る もの があ ると いえ る。 また
、そ の目 標達 成と のか かわ りに おい て エコ ロジ ー税 制改 革を 明確 に位 置づ けよ うと する こと が注 目さ れる し、 それ を含 めた 諸措 置が 当時 の連 邦政 府に よ って 強力 に推 進さ れて きた こと で、 現段 階で のド イツ の温 室効 果ガ ス排 出削 減の 成功 に大 きく 寄与 して いる こと に も目 が向 けら
( )
れる
。こ れら のこ とか らし ても
、い まな おそ の法 政策 は、 環境 問題
、と りわ け地 球温 暖化 問題 に対 す
82
る法 的対 応に つい て、 わが 国の 今後 のあ り方 を考 える 上で 重要 な示 唆を 与え てく れる よう に思 われ る。 そこ で、 以下 では
、右 に述 べて きた こと を踏 まえ つつ
、環 境に かか わる 法と 行政
、と りわ け地 球温 暖化 に関 して