• 検索結果がありません。

くカテt リー3>

部屋に4つのランプがついています。

そのいくつかが壊れました。最後に はたった一つだけがついていました。

壊れたランプはいくつでしょう。

<カテコ リー3>

 トムは鉛筆を2本持っています。

 カレンは鉛筆を5本持っています。

 二人の鉛筆を合わせると、何本に  なりますか。

図4−5.表4−1の図の例

一51一

 表4−1から、実験群においては、事前テストで解答の状態だけを図にかいたり、

正しくない図をかいたりしていた子供が、事後テストでは正確な図がかけるように なったことがわかる。これらのことから、1,2年生の子供は、自ら図を用いようと はしなかったが、図をかく技術を獲得したことが分かる。

 一方、5年生の子供の指導も基本的には1,2年生の子供と同様であるが、指導過 程を2っに分け、話し合いを中心にした指導がされ、教師の絵は正しい絵の例とし て示された。先ず、前半で6種類の問題がだされ、それぞれの問題について話し合 いをしながら図を描くことを勧められた。途中、 (a−1)b問題「道路に沿って

8本の木が、10m間隔で植えられている。両端の木の間隔は何mか。」という問

題を解くとき、子供は図の有効性を認めたようであった。それは、後半「ベアの身

長は15mで、ティアはベアよりも5cm低い。ハンスはティアよりも7cm背が高い。

いちばん背が高いのは誰か。」「ペドロは15冊の本を持って来た。これは彼が持 っている本の6分の5である。ペドロは何冊の本を持っているか。」という問題に なると子供は教師の助言がなくても:進んで絵をかいたことから想像できた。

 表4−2は..事前テストで図をかかなかった子供について、事後テストの解答状 況を表にまとめたものである。

表4−2.図の有無と正答との関係

事前

事後 . _

統制群

42

9 2 2 8

29

0 1 7

実験群

19 11 15 12

7

20

2

10

4

総合

31 10

9 7 7

24

1 6 5

答の「一」は誤答を、「+」は正答を示す。

図の「一」は図がかかれていない状態を、「+」はかかれた状態を示す。

数字は全て百分率を表す。

 表4−2から、5年生では視覚化した子供の数が、統制群の5%に対して実験群

は39%、絵を描くことによって正答を得た子供は、統制群が3%であるのに対し て実験群は22回目高い。一方、図はかいたが誤答であったのは、統制群が3%に 対し、実験群は17.%もある。これらのことから、5年生の実験群では、図をかく 子供の数が増え、正答を導く率は高く指導の効果がみられる。しかし、同時に図を かくことが必ずしも正答を得ることにはならないことも示している。表4−3は、

一52一

表4−2の事前テストで絵がなく、事後テストでは絵がかかれたものを、2っの観 点から分類した表である。カテゴリー1は問題構造を:適切に表現した絵をかいた子 供を示し、カテゴリー2は、問題構造が間違って表現されている絵をかいた子供を 示している。

表4−3.図の正しさと回答との関係

統制群 実験群

総  合

正答 誤答 正答 誤答 正答 誤答

1 5 2

56

7

61

9

2 2 4

10 59 12 63

数字は全て百分率を表すt,

 表4−3からは、正しい図は正答へと導くが、間違った図は誤答をもたらすこと が分かる。したがって、ただ視覚化することを指導するのではなく、正しく視覚化 できる視覚リテラシーを育成する必要性がこの結果からも明らかにされる。

 こうした実験結果を得た原因をVan Essen&Hamakerは次のように推測している。

Van Essen&Hamakerの推測

 1,2年生は、単純な加法や減法の問題を視覚化することは、自らの困難さ を克服する補助にはならないと判断したから視覚化しなかった。

 5年生では、視覚化の有効性を子供が認めたから絵を描こうとする子供が増

えた。

 つまり、子供が視覚化しようと判断するのは、視覚化することにより解法を 見つけることが、より容易になると確信したときである。

 これは、視覚化の有効性を認識していない子供に視覚化する技術を教えても効果 はみられないということである。

 Van Essen&Hamakerの実験は、視覚化する技術を教える方法として、特定の図を 教え込むことは、あまり効果的ではないという立場に立った研究であり、子供が自

由な発想でかいた図を基に、お互いに自分の図を説明し見せ合う方法をとった。教 師は、子供と同時に図をかき、子供と同じ立場で自分の図を示すという立場をとっ た。図的な表現は、本来個人の好みや能力が反映されるものであると、筆者も考え ている。従って、特定の図を与えることは、視覚化する技術を獲得させることにな るかもしれないが、子供自らそれを使おうとする態度を養うことにはっながらない。

53

しかし、全てを子供個人にゆだねるだけでは、図をかく技術は発達しないであろう し、図の有効性を子供に実感させることは難しい。

 そこで、子供が自由に図に表現することを認めっっも、その問題を解くのに適し た図を子供自らが発見し、精選しようとすう態度を育て、適切な図をかく技術を育 成する指導が求められよう。このような指導の積み重ねにより、子供は、算数・数 学学習における図的表現の役割を実感することができ、その有効性を認め、積極的 に図を用いようとするようになると考える。

一54一

お わ

 本研究では文献を申心に、視覚の働きが算数・数学学習にどのような影響を与え るのかを考察し、図的表現を再検討した。それは、図的表現を用いた指導を行い、

図をかくことを奨励しているにも関わらず、子供が図を用いようとしない実態に疑 問を持っていたからである。1時間の授業の中で、子供の主体的な活動を取り入れ ようと教師は計画し、操作活動をさせたり絵図や考えをかかせたりする場面を設定 する。しかし、こうした過程が、子供にとって通り一遍の経験にしかすぎず、有効 な学習方法の一つとして認められ、積み上げられることが少ないのは、算数・数学 学習と様々な活動との関係に対する教師の認識不足がその原因の一つであると考え る。操作活動や、文字や絵図をかく活動が、算数・数学学習においてどのような役 割を持つのかということを明確に位置づけることが、これらの活動を子供が一つの 方略として認め、自らそれを活用しようする態度を育てることになると考えた。そ

こで先ず、これらの活動を表現として捉え、その特徴を考察した。

 その結果、算数・数学学習で用いられる表現は5種類あり、これらを抽象性と具 体性という視点から分類すると、抽象的な表現として言語的表現と記号的表現、具 体的な表現として現実的表現、具体性と抽象性の両方を備えた表現揮、操作的表現 と図説表現であると分かった。この視点から表現を考察することによって、5種類 の表現が学習過程で用いられる必要性を明確にした。

 また、操作的表現と図的表現は共に視覚を刺激し、視覚的思考を誘発する表現で ある。筆者はAgamプログラムの成果から、視覚的思考は子供の主体的な知識の獲得 を補助・促進するために重要な役割を果たすことを知った。このことから、算数・

数学学習において操作活動や図的表現が用いられるのは、視覚的思考を働かせるこ とにより、各表現内や表現間での変換と翻訳が効果的に行われ、学習内容の理解を 深めるからであることを再確認した。

 視覚的思考の働きを考えたとき、それを誘発するのは図的表現である。それは、

図的表現の解釈過程は他の表現とは異なり、先ず全体を把握するという特徴を持つ からである。また、図的でない情報を視覚化することにより、内容が具体化され、

その内容を構造的、関係的に捉えることができることは、数学的概念の理解や問題 解決に有効であるということだけではなく、数学的思考力や数学的な美しさを感じ

るというような情意面を育成する補助となることも分かった。

 図的表現が思考と深く関わり、その有効性が明らかになった。そこで、算数・数 学学習で用いられる歯茎表現を分類し考察したところ、 「具体と抽象の媒介になる」

「視覚的思考を誘発する」という役割のあることが認められた。

55

 しかし、有効性と同時に図的表現の限界も認めなければならない。図的表現の特 徴の中には、それが限界を伴うものもある。筆者はこれを「固定される」と「規約 性を持たない」という2点にあると考えた。これらの限界を克服するために、以下

のことを提案したい。

 前者については、与える図を配慮し、指導の意図に沿った解釈がなされているか どうかの確認に留意することと、教育機器の活用をあげる。特に、各校への導入が 始まったコンピューターは、視覚に強く訴える機器として期待される。例えば、三 角形の高さの概念を指導するときに、その置き方を自由に変えたり、一本の直線

(底辺)を固定しておいて、頂点の位置を自由に動かしたりすることで、第4章で 述べた間違った解釈の可能性はかなり低くなるだろう。

 後者については、筆者の知る限り図をかく技術の育成はあまり意識されていない ように思われるが、Ben−Chaimらの研究では、これは容易に教えられ向上することが 明らかにされている。しかし、一方では、たとえ図をかく技術が獲得され、向上し たとしても、子供がその有効性を認めなければ図を用いないことも認められた。

 そこで、図の読み書き能力(視覚リテラシー)に対する積極的な指導と、子供が 図の有効性を認める指導法の検討をする必要性のあることを提案したい。

 本研究は、視覚に関するほんの一部を述べたにすぎない。子供が図の有効性を認 め活用しようとする態度を育成するためには、それぞれの問題に適した図的表現の 検討が必要であろう。問題解決では、一般的に線分図をかけばよいように思われて いる傾向がみられるが、面積図やテープ図など図的表現は多様に考えられる。

 今後の課題として2っの提案に加え、問題に適応する図的表現の検討と、視覚リ テラシーに関する実証研究を試み、本研究で参考にした結果と比較考察をしたい。

 最後になりましたが、本研究を進めるにあたり、細部にわたって適切な教 示ならびに示唆を与えて下さり、最後まで懇切丁寧なご指導をして下さった

崎谷眞也先生に心より感謝申し上げます。また、論文全体にわたり、貴重なご助言 を賜った福森信夫先生、平岡高広先生はじめ数学コースの諸先生方に、感謝申し上

げます。

1993年12月20日

一 56

関連したドキュメント