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 1.全体の傾向 ( 明らかになったこと )   未記入が殆どであった。

  全く考えてない、又は考えたくない

  看取りに対して多くの方が知識不足であることが明らかになった。

  終活については回答者の多くは終活は重要であると認識している。が、具体的なことはこ   れから考えるとの回答が多く、自分の死に向き合うのが怖い、嫌だ。死については先延ば   しである。家族に任せているという回答も多かった。

 2.回答者の属性

  アンケート参加者募集は対象者をおひとりさまと限定したが、実際回答を頂いた方の多く   は、本研究が条件としているおひとりさまではなかった。

  最初はおひとりさまに限定せず、200 名、40 代~ 90 代まで広く行った。3 月末に愛知県   で看取りのイベントでの調査を実施した。

  調査結果を見ると、70 ~ 90 代で自分をおひとりさまだと思っている方でも、子供や親族   がいる場合もある。

  ご本人からおひとりさまと伺って聴き取りを始めると、「ひとり暮らし」「子供はいるが疎遠」

  「子供と関わりたくない」等、個々の人生の背景が鮮明になった。

  このような状況も今の社会の映し出している合わせ鏡と考え、聴き取りを行った。

 

 3.各設問に対する考察

  (選択肢自宅で看取りを希望の自由記載には考えていないや病院等について記載があり記入   者のコンランが垣間見えた) 

  ■高齢者施設

   具体的な姿がイメージできるので、ご自分の希望や意見を記載している。

  ■看取り

   看取りという言葉は知っているが、内容は知らない。

   看取りの具体的な現状を知っている少数派は延命治療希望しない。

   具体的にそういう場面になったとき、子供に任せる。

   なるようになるのでその時次第と考え , 先延ばしにする。

   決めていない しなければと思う

   この考え方は日本人の特性であり、島国に育ち、危険を身近なものとして感じてこなかった    国民性ではないだろうか。

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  ■延命治療

   延命治療について言葉は知っている。

   全く言葉もその具体的な内容も知らない、具体的知識がないまま希望しないと記載。

   延命治療を希望しない方は7割にのぼるが、延命治療が本当はどういうことかを知らな    い。知識を身につけ延命治療について考える時間を持つために、在宅で最期を迎えるた    め高齢者が学ぶ機会が必要ではないだろうか。

  ■遺言

   考えてない。

   考えてなくても痛いのは嫌、高いのは嫌、考えたくない、嫌なことは後回し、誰かが    やってくれる、ただで。

   メモ程度を書いていても実際には行わない。

  ■回答からみえるもの

   家族主義社会が濃厚に反映されている。

   自身の属性について、考えたことがない。

   おひとりさまという属性が理解されていない。

   なるようになれという、他者依存。

   無知蒙昧

   言葉、用語はどこかで耳にしているが、聞きかじりで知っているような気になる。

   延命治療、看取り、終活、モルヒネ、終末期医療、緩和ケア、遺言。

   これらについて考えているが、何も行動はおこさない。

   マスコミ、書籍、テレビ、インターネット等で各言葉は聞いている。例えば、終活、看    取り、延命治療、終末期治療、緩和ケア、モルヒネ。しかし、それぞれの意味を理解し    ていない。それは本人の知識不足だけではなく、情報社会の中で言葉だけが一人歩きを    した結果であり、在宅を推進している国が知識、実践の習得を普及していないことも一    因と考える。

   70、80 代男性の聞き取り調査では、自分の楽しみのためや友人と会う時間は作るが、

   自分の最期について書面に残している方は少ない。まだ自分は元気だからという意識が    高い。

   今は元気だから、これから考えるという回答が多い。それは嫌な事を後回しにしてきた    人生が如実に表れている。

   医療者の知識と一般人の終末期についての知識の差が大きい。

   自己決定が出来なくなったとき、配偶者、子供、医師、と他人任せが大多数を占める。

   他人に依存して生きてきたためか次回は理由を記載しやすいアンケートにしたい。

   子供達に迷惑をかけないことと、子供達に任せる即ち判断をさせることは相反する事に    気がつかれていない。また子供が複数の場合、意見が割れる可能性もあることに思いが    至っていない。

 高齢者施設への過大な期待

 マスコミや書籍で流布されている「心あたたまる施設」「入居したい施設ランキング」等が  どの施設にでもあてはまるような期待感。

 ランキングと実態の乖離(現在高齢者施設は紹介業者の紹介で成り立っている部分があり、

 ランキングの多くは紹介業者からの推薦が多く見受けられる)

 施設や職員が常に高レベルを維持できる訳ではなく、そのためには入居者とその家族双方の  協力と努力がいることを意識していない。

 入居すると全てお任せ、不満を直接要望として伝えない。

 おひとりさまの看取りについて見えない部分が多く、その部分をどのように明らかにするかは  今後の課題。

この調査で判明したことは、

日本は家族主義

日本国民の気質は他力本願、人任せ

日本国民は考えることが苦手、面倒で済ませられる。 

皆がそうしているならと、自分が望むか望まないかではなく、他人 の行動に同調する。

日本国民は幸せかもしれない。自分の人生を他人任せでも幸せを感 じるのだから。

おひとりさまの私は、自分のことは自分で決定する。

日本社会はおひとりさまには冷たい。税金という財布としか考えて いない。

おひとりさまが安心して暮らせる、最期を看取ってもらえる社会を 実現したい。

そのためにおひとりさまが何を希望しているのか知りたい。

おひとりさま一人ひとりの生き方、考え方即ち哲学で結ばれた縁、

それを私は「悠縁」と呼ぶ。生きている今、それぞれが幸福を感じ、

魔女からの苦言

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