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Ⅲ.アンケートの結果から

ドキュメント内 第  12 号       平成29年12月 (ページ 155-160)

アンケートの回答結果については次頁以下に表として まとめたので,別途,参照されたい。ここでは,特に本 稿のテーマに沿った項目とその結果だけを取り上げる。

質問 3-a)高校の何年次に履修したか?

※特に注記しない限り,以下の各質問について,人数 の割合の分母は世界史履修者の総数(47 名)である。

① 16 名(34.0%) ②4名(8.5%)

③ 11 名(23.4%) ④9名(19.1%)    ⑤0

⑥2名(4.3%) ⑦5名(10.6%)

⑦の5名のうち1名は1年生と3年生で,2名は1~

3年生の3年間で,1名は1年生で A を2~3年生で B を履修している。また1名は履修時期を「忘れた」と のことであった。

質問 3-b)履修したのは世界史 A か世界史 B か?

① 23 名(48.9%) ② 18 名(38.3%)

③4名(85.1%) ④2名(4.3%)

④の2名はいずれも A と B の両方を履修していた。

また A か B か覚えていない学生が4名いた。それだけ 関心がなかったということであり,必修科目であるがゆ えに仕方なく履修したという認識であろう。

質問 3-c)どのような学習内容であったか?

① 29 名(61.7%) ② 15 名(31.9%)

③3名(6.4%)

世界史 A の履修者を含めて,大半の学生は高校で通 史を網羅的に学んだ,あるいは学んだと自覚しているこ とが判る。世界史 A は前近代についても学習内容も含 みつつ,近現代史に比重を置いた科目であるが,やはり 高校の現場では,世界史を学ばせる唯一の機会として網 羅的に教える傾向にあるのかもしれない。

質問 4)高校時代,世界史という科目が好きであったか?

① 11 名 ② 17 名(①と②の合計 59.6%)

③ 14 名 ④5名(③と④の合計 40.4%)

質問 5)好きであった理由

※分母は「好き」・「どちらかといえば好き」と回答し た 28 名

① 16 名(57.1%) ②4名(14.3%) ③8名(28.6%)

質問 6)嫌いであった理由

※分母は「嫌い」・「どちらかといえば嫌い」と回答し た 19 名

①4名(21.1%) ② 13 名(68.4%) ③1名(5.2%)

※これ以外に①~③の総てを挙げた者が1名いた。

昨年度の調査と同じく,必ずしも世界史が高校生から 嫌われる科目ではないということは指摘できよう。その 一方で,質問 6の嫌いであった理由として,19 名中 13 名が②「覚えることが多くて面倒だったから」を挙げて おり,小川が従来から指摘しているように,網羅的に知 識を教え込みたいという高校教師の善意が,生徒に負担 感を与えている様子がうかがえる10。この点は,今回の

「歴史総合」や「世界史探究」の新設に際しても考慮さ れており,知識だけを教え込むということは減ると思わ れる。しかしながら,言うまでもなく,歴史は問題解決 型の学習に必ずしも馴染むものではない。「考える」「考 えさせる」といっても,直接的には将来的な問題を解決 するのではなく,既に起こったことを説明する論理や理 由を見出そうとする作業になるからである。生徒の興味 を削ぐことなく,歴史的事実の枠の中でどのように思考 させるか,何よりも教師の力量が問われることとなろう。

質問 10)大学の歴史の講義で,高校での世界史学習が 役立ったか?

① 19 名(40.4%) ② 28 名(59.6%)

役立ったと感じた理由

・授業の理解。時代背景の理解。

・覚えていない部分もあるが,人物の名前や出来事をき いたときに「あれか」と少しでも思いあたる部分をも てる。

・出てくる単語に聞き覚えがあると話が頭に入りやす かった。

・人物名が出てきたら,その人の経歴がすぐに浮かぶこ と。

・ISIL がどんな経緯でどの範囲の領土権を主張してい るかが理解できた。

・各地域の大まかな流れが分かっているため,講義中の 内容をより深く捉えるのに役に立った。

・大学の西洋史の授業は高校ですでに学んでいることを 前提に,より深い話をされるから。

・歴史の流れや時代背景などをだいたい理解することが できた点。

・高校で学んだ知識があるので,出来事の背景がつかみ やすいから。

・歴史のおおまかな流れは分かっていたので,講義の内 容を理解しやすくなった。

・聞いたことがある言葉が出てきた点。

・宗教関係がよく分かった。その時代の生活などを少し 知ることができた。

・聞いたことがある単語が出てくるので,話が頭に入り やすかった。

・習った単語が出てくるから。

・内容をまだ覚えているので話が入ってきやすい。

・出来事や時代背景に覚えていることがあったので,流 れをつかみやすかった。

表 アンケート回答結果

・基礎的知識が役立った。

・聞いたことがあるワードがいくつかでてきて,それに ついて詳しく知ることができた。

昨年度の調査でも同様であったが,学生は高校で教 わって覚えていたことが大学の講義で出てきた,高校で 学んだことを踏まえた講義内容に出会って,高校で学ん だことに有用性を感じたといった程度の意識である。

質問 11)大学の歴史の講義と高校の世界史の関連はあ ると思うか?

① 27 名(57.4%) ② 17 名(36.2%)

無回答3名(6.4%)

関連があると思う理由

・全く別の事を習うわけではないので。高校のときに 習った(聞いた)単語が出てきたりすると,つながっ ていると感じます。

・歴史の出来事。[ 高校と大学の双方の授業で,同一の 史実が扱われたということか? ]

・大きな流れがつかめていることで,一部を深く掘り下 げても理解しやすい。

・大学の講義には高校までの世界史教育の知識を前提に 行われているものがある点。

・例えば,14 世紀中葉のイタリアで下級市民の発言力 が上がったのは何故かということを独力で考えると き,高校で習ったペストによる人口減少という知識が あるおかげで,問題にのぞむことができるから。

・高校までの世界史を基礎にした上で講義の内容が構成 されていると感じたから。

・大学の内容は高校の内容をさらにくわしく教えてもら うから,基礎がわかっていないとついていけない。

・軽く概要に触れた高校世界史を大学の講義でより深く 掘り下げたから。

・大学における歴史の講義が高校までに習った世界史の 応用であるという点。

・小・中・高校は浅く広く,大学は地域ごとに深く,み たいなイメージがあるから。

・高校の知識をもとに,当時の人々の考え方などを学ん でいくという点。

・高校の内容が基礎になると思います。

・高校で学んだ知識を生かして大学ではもっと深く学ぶ点。

・高校で世界史の流れを学習したうえで,専門的な講義 を受けることで歴史の前後関係がつかみやすかった。

・高校世界史ではやらなかったようなところまで踏み込 んだ。

・さらに深くまで詳細に描かれている。

・大学の講義の内容と高校の内容が似ているから。

・高校までの内容をより詳しく習っているから。

・大学でより深く学べるから。

・おおよその出来事の流れは高校で覚えさせられたもの だったから。

・似たようなものだったから。

・基礎的知識が役立った点。

・高校で習ったものをより詳しく学ぶことができるから。

関連がないと思う理由

・高校の世界史は自分で考えるのではなく,答えを暗記 するもので,大学は自分で考えるものだから。

・大学の講義はくわしすぎて,世界史 A の内容だと扱 わない部分が多いと思うから。

・高校の歴史教育は暗記一辺倒だから。

・今回の講義とは時代が違っていたから。

・高校までの世界史とは分けて認識しているから。

・高校で何をやったか忘れているので思いようがない。

・着眼点が違うから(世界史 A だったので細かいとこ ろはやっていないから)。

・高校では基本的に覚えるだけだった。

・細かいところまでやるから,高校だけの知識では難し かったから。

・高校の時の世界史の内容を覚えていない。

・高校では中国などのアジアを中心にやっていたから。

・1つの歴史の中の出来事ではあるけれども,高校の授 業ではあまり触れなかったことが多いので,2つがあ まりつながらない。

・高校の授業は要点をまとめたものなので,詳しくはな いから。

・より具体的だったから。

・[高校の世界史で学んだことを]覚えていない。

関連があると思う理由については,質問 10 に対する 回答と同じく,比較的単純な内容の類似性や連続性に よって,大学の講義が高校からつながっていると感じる 学生が多い。無論,これは悪いことではない。まさに大 学の講義は高校で学んだことを土台にするものと,これ まで多くの大学教員が考えてきたからである。これに対 して,関連がないと思う理由として回答者が挙げている 内容からは,少なくとも学生達の主観的には,高校時代 の世界史はただ知識を覚えさせられたという意識が強い ことがうかがわれ,それゆえにこそ今回の抜本的な歴史 教育の見直しが提起されたことがうなずける。

質問 12)「歴史を考える」とはどのようなことだと思うか?

回答者 39 名(83.0%) 無回答者8名(17.0%)

・「歴史の流れ」をよみとり,今の自分の人生に活かす。

・あらかじめ用意された答えがあるものではなく,いく つかの資料から歴史を推測していくこと。

・あることがらについて,なんでこうなるのか,なんで これをしたのかを学び,考えることで,今の時代にも 適用するものを学びとること。

・ある人物のある行動に対して,どうしてこんな事をし たのかというのを自分なりに考えること。

・いろんな見方から昔に起きた出来事を見てみる。

・各時代で起こる出来事からその国の人々の思想を考え ること。

・現代の問題を関連づけたりする。

ドキュメント内 第  12 号       平成29年12月 (ページ 155-160)