1 2
3 4
1
3 2
鳥取県医師会報 19.11 No.773 82
令 和 元 年10月21日( 月 )、
ラグビー日本代表ロス発生後 2日目に執筆しております。
昨夜10月20日ラグビー日本代 表はベスト4進出をかけ世界 ランク5位(当時)の南アフ リカと対戦しました。前半は日本のディフェンス や南アフリカのミスもあり3−5と善戦しまし た。が、後半は地力の差でしょうか、結果日本は 1トライも取れず3−26と完敗でした。私も含め て「代表ロス」を実感されている方は多いと思い ます。
私は大学でラグビーを始めました。小中高とサ ッカー経験があったので、キックと逃げ足の速さ を生かせるウィング(時々スタンドオフ)を担当 いたしました。先輩達に叱られながら褒められな がら6年間やり続けました。ハードワーク?で鍛 えた華麗なステップと周囲を置き去りにする走力
(勝手に自画自賛)で、自陣ゴール前から約80m 独走トライをとった時の嬉しさ達成感、ほぼ正面 15mほどのペナルティーキック(ふつうは入る)
を見事(!)に外し16対15で負けた時の悔しさ後
悔など、いい思いもそうじゃない思いもたくさん 経験させて頂きました。卒業後も、大学・社会 人・日本代表の試合観戦、県内のラグビー大会の 医務係、愚息(次男)の地域ジュニアラグビー参 加など、なんだかんだとラグビーに関わっていま す。
これだけ盛り上がっているラグビーですが、
「ラグビー憲章」についてご存知でしょうか。ラ グ ビ ー に は「 ラ グ ビ ー 憲 章 」 と い う 取 り 決 め が あ り、 5 つ の 価 値、 品 位(integrity)、 情 熱
(passion)、結束(solidarity)、規律(discipline)、
尊重(respect)が重視されています。ノーサイ ドの精神や外国人選手を受け入れるダイバーシテ ィ(多様性)は勿論、One teamという言葉、キ ャンプ地での地元子供達との交流(小学生のハカ は圧巻!)、観客席はチームで分けず皆一緒、他 国トップチームの試合内外での振る舞い(試合前 の国歌斉唱、試合後のお辞儀、特にマスコットボ ーイが力強く歌ったウルグアイ国歌と、そのあと のキャプテンの行動は感動的!)などは、これら 5つの価値があって生まれたラグビー文化であ り、私がラグビーを好きな理由でもあります。一
ラグビー憲章の魅力とそれから学ぶこと
鳥取県立中央病院 整形外科
村 岡 智 也
ラグビーワールドカップ2019日本大会
日本中を興奮に引き込んでくれたラグビーワールドカップも終わり、祭りの後の一抹の寂しさを味わっ ています。男たちがひたむきに愚直に真っ向勝負をし、ノーサイドの笛が鳴るとお互いを称えあう。かっ こよすぎます。
今回はラグビー愛溢れる3名の元ラガーマンたちから原稿を頂きました。是非ご一読下さい。
9月20日、ラグビーワールドカップ(W杯)が 東京で開幕した。日本代表(ブレイブ・ブロッサ ムズ)の健闘で盛り上がりをみせている。日本は 1987年の第1回大会から連続して参加している。
2011年まで1勝2分21敗の成績であった。1勝は 1991年の宿沢ジャパンがジンバブエから挙げた1 勝のみ。1995年にはニュージーランドに17−145 のW杯最多失点で敗れている。世界の強豪国に苦 杯を飲まされてきた日本でW杯の開催が決まっ た。W杯はこれまでテイアⅠと呼ばれる強豪国で のみ開催されてきた。実力の劣る日本のようなテ イアⅡの国での開催は今回がはじめてである。無 様な結果に終わらないよう日本協会は戦力強化に 長年努めて来た。アマチュアスポーツから脱して プロ化の前段階のトップリーグを創設した。南半
球で行われているスーパーラグビーへの日本チー ム(サンウルヴス)の参入などを通して世界トッ プクラスの試合を日常的に経験出来るようになっ た。2015年の前回大会では世界第3位の南アフリ カを34−32で破る歴史的な大番狂わせを成し遂げ た。この大会では3勝1敗で予選を終えたがスコ ットランドに10−42で敗れポイントが足りず決勝 トーナメントに進めなかった。3勝1敗で決勝ト ーナメントに進めなかったのはこれがはじめてと のこと。このようなW杯の歴史から、今回の日本 でのW杯でジャパンはどのような戦いをするであ ろうか、活躍を期待しつつも祈るような気持ちで この大会を迎えた。母校の米子東が甲子園に出場 するときのような複雑な心情である。期待は世界 ランク2位のアイルランドには負けても、スコッ
ラグビーワールドカップ2019
三朝温泉病院
森 尾 泰 夫
方、憲章には「こうしたものは時代遅れの伝統と 美徳かもしれない」が「時代を超えて不変なも の」とも書かれています。汗もかかずスマートに 物事をこなすその恰好よさが最近の風潮なんだろ うなぁ、規律だとか情熱だとかは面倒くさくて時 代遅れなのだろうなぁ、と日常で感じる事があり ます。しかし、苦しい練習に耐え試合中もハード ワークに徹し、試合が終われば爽やかな表情で敵 と握手・抱擁する日本代表チームを(勿論他国選 手も)見れば見るほど、「憲章」は決して時代遅 れではなく魅力的で普遍的な言葉なんだ!と感じ てしまうのです。
そんなラグビーを見ていた、普段あまり運動し ない長男が何か思ったのでしょうか、日本対スコ ットランドを見て「今度ラグビーやってみたい、
次のジュニアラグビー連れてって、ラガーシャツ 着るから貸して」と言いだしました。タンスの奥
からラガーシャツを出し、昨日練習場に連れてい きました。新しく参加希望の家族もいました。み んなでタグラグビーをして楽しく時間を過ごしま した。ちなみに、練習は日曜日午前10時から湖山 のグリーンフィールドのラグビーポール付近でや っていますので気軽に来て下さい。
これからも多くの人がラグビーに出会い、その 魅力と「ラグビー憲章」の価値に触れて貰えたら いいかな、と思っています。
鳥取県医師会報 19.11 No.773 84
トランドに何とか前回の雪辱を果たして欲しいと いうものであった。もちろんロシア、サモアも大 型選手が多くフィジカルに劣る日本は簡単には勝 てないと思っていた。結果は皆さんもご存知のよ うにロシア戦(30−10)、アイルランド戦(19−
12)、サモア戦(38−19)、スコットランド戦(28
−21)と予選リーグを4勝で決勝トーナメント
(ベスト8)へ進むという快挙をみた。準々決勝 では3−26で南アフリカに敗れた。その試合も前 半は互角に戦っていた。やはり選手個々の力の 差、選手層の厚さ、南アフリカがよくジャパンを 研究していたことなどから後半は力及ばず敗れ た。今回のW杯2019で心を一つにワン・チームと して戦ったジャパンを誇りに思う。
ラグビーの魅力の一つにレフリーの判定に選手 は異議をとなえず従う姿がある。レフリーは試合 中起きる状況をどのようにルールに適応するかを 委任されている。試合中アドバンテージというル ールがある。反則を受けたチームに有利に試合が 進んでいればそのまま試合を継続する。反則をお かしたチームに有利になる場面がくれば、試合を 止めて反則の起こった地点に戻りペナルティーを 科すというルール、これが試合の流れを左右す る。レフリーはこのように裁量を有する、試合の 演出家でもある。両チームのキャプテンはレフリ ーとよくコミュニケーションをとりゲームの進行 に責任を負う。試合がいったん始まればキャプテ ンがチームの意志決定者となる。TVで観戦され た皆さんにはラグビーの虜になられた方もおられ
ると思う。ラグビーの魅力は仲間への献身、チー ムへの忠誠心、ルールを遵守する精神、激しくぶ つかり合う選手同士の敬意を持った振る舞い、不 利な状況を我慢する忍耐力、自己抑制など観る人 によってさまざまであろう。小生が美しいと感じ るのは勝者も敗者も相手を尊敬し認め合う試合終 了後の姿である。good loserになかなかなれるも のではない。
ジャパンの大躍進でラグビーのにわかファンが 増えたとのこと。にわかファンにもオールド・フ ァンにもしあわせな時であった。
9月22日 アイルランドースコットランド戦 試合開始前 筆者
フリーエッセイ
2,000字以内とし、随筆、最近のトピックスなど内容に制限はありません。写真(図、表を含 む。)は3点以内でお願いします。(原稿字数、写真数を超過する場合は調整をお願いする場合が ありますのでご了承願います。)原則として写真はモノクロで掲載させていただきますが、編集 委員会で必要と認めた場合はカラーで掲載する場合もあります。会報の特性上、政治活動と受け 取られる記事は掲載できません。原稿は、毎月27日頃を目安にお寄せ下さい。
《投稿先》FAX:(0857)29−1578 E-mail:[email protected]
原稿募集の案内
ラグビーワールドカップ 2019準々決勝で、日本は南ア フリカに真っ向勝負を挑みま したが勝利することはできま せんでした。因縁の強敵は日 本を研究し、周到に準備して 作戦通りにそのパワーで日本を圧倒しました。し かし、日本は自国開催というプレッシャーを跳ね のけ勇敢に創造力あふれるプレーで戦い抜き世界 のラグビーファンを魅了しました。予選プール4 連勝でベスト8進出という偉業を成し遂げ、日本 中を感動の渦に巻き込みました。ワンチームを合 言葉に選手の頑張る姿、立ち振る舞いを見て、私 もなんと清々しい人たちなのだろうと胸がいっぱ いになりました。
私は高校大学とラグビーに熱中しました。ラグ ビーの勝敗は、体力、体格で優位に立ち、ぶつか り合いを制することで大方決まります。いわゆる 番狂わせの少ないスポーツです。私は体格や運動 能力が異なる15人の選手が、個々の強みを生かし て全員で戦うラグビーが好きでした。昭和50年 代、大学ラグビーは国立競技場が満員になるほど の人気でした。私は縁あって当時、明治大学のス ピードスター森 重隆選手と知り合いになりまし た。小兵ながらほとばしる闘志、グランドを縦横 無尽に走る姿に憧れました。豪快な九州男児で気 配りと優しさに溢れ、情に厚い人柄にも魅了され ました。私が20歳のころ、新日鉄釜石のメンバー となった森選手が全日本オーストラリア遠征のメ ンバーに選ばれました。岡 仁詩監督率いる日本 は、外国チームとの体格差をスピードと早いテン ポの試合運びで伍して戦おうという腕試しの遠征 でした。私は森さんが外国チームと戦う姿が見た くて現地まで応援に行きました。テストマッチ直
前の新聞に、日本の芝の目を数えるような低いス クラム、足首に飛び込む低いタックルは要注意だ と警戒する記事があり、わくわくして森さんのプ レーに注目しました。結果は前半こそ見せ場があ りましたが、徐々に体力に勝るオーストラリアに 押し切られ完敗でした。スクラム、ラインアウト が崩され攻撃の起点が作れず、前に出てくる相手 の勢いに圧倒され、必殺タックルも不発でした。
森さんがボールを持って持ち前のスピードで相手 をかわそうとしますが、体が入れかわって抜けた と思った瞬間、クレーンのような手が伸びて捕ま ってしまいました。個の技術と圧倒的な体力差に 完敗した日本を目の当たりにして、日本は永久に 世界に追いつけないと思いました。その後も外国 との対戦で結果が出ない日本ラグビーは、徐々に マイナースポーツとなり暗黒の時代に突入しまし た。
そんな思いが吹き飛んだのが今回のワールドカ ップでの日本の躍進でした。注目は弱みが強みに なっていることです。8人が一体となった強いス クラムで押し負けることなく、大きく強い相手は 二人がかりのダブルタックルで封じます。対戦チ ームによって戦術をかえ、最後まで統制の取れた 賢い試合運びでした。ワンダフルな得点シーンは 鳥肌が立ちました。最後の南アフリカ戦は、連戦 の疲れもあり相手のパワーラグビーに涙をのみま したが、可能性を十分に感じた戦いぶりでした。
「スポーツ史上最大の番狂わせ」から4年後、日 本はさらに強くなり、今や世界中からリスペクト されるチームとなりました。
おりしも今年6月、森さんが日本ラグビー協会 会長に抜擢されました。再度4年後を見据え、継 続的な代表選手の強化はもちろん、国内戦を盛り
森会長、日本ラグビーをよろしくお願いいたします!
米子市 佐古眼科医院