行為 論に おい ては
、効 果意 思に 着目 した 法律 行為 的 行政 行為 と準 法律 行為 的行 政行 為の 区別 をや めて
、実 体的 行為 と手 続的 行為 の区 別を もっ てこ れに 代え ると いう こ とも
、十 分に 理由 のあ るこ との よう に思 われ る。 しか し、 この 点に つい て、 本稿 はな お結 論を 留保 した いと 思う
。 法律 行為 論、 行政 行為 論に おい て﹁ 意思
﹂は どの よう な意 義を もつ のか
、そ もそ もそ こに おけ る﹁ 意思
﹂と は何 な のか につ いて
、な お検 討の 余地 があ るの では ない かと 考え るか らで ある
。問 題が 問題 なだ けに
、こ こで 十分 な解 答 を与 える こと はで きな いが
、こ こま での 考察 をも とに
、そ の延 長線 上に 示さ れる 結論 を試 論的
・覚 書風 に提 示し て おく こと にし よう
。
ઃ
行政 行為 論に﹁意 思﹂ は不 要か すで にみ たと おり
、藤 田論 文は
、民 法と 行政 法の 基本 原理 にお ける 違い
、す なわ ち私 的自 治を 基本 原理 とす る民 法の 法律 行為 論と
、法 律に よる 行政 を基 本原 理と する 行政 行為 論と の違 いと いう 観点 から
、行 政行 為論 にお いて は、 行為 者の 意思 の内 容が 行為 の法 的効 果に 反映 され てい るか どう かと いう こと は、 分類 の観 点と して ふさ わし く ない と批 判し たの であ った
。そ して
、こ の批 判は
、今 日の 行政 法理 論に おい て幅 広く 受け 入れ られ てい るよ うに 思 われ る。 しか し、 他の 局面 では
、今 日の 行政 法理 論に おい ても
、行 為者 たる 行政 庁の
﹁意 思﹂ 的な 要素 にま った く考 慮が 払わ れて いな いか とい うと
、そ うで もな いよ うに 思わ れる ので ある
。 たと えば
、い わゆ る﹁ 古典 的侵 害概 念﹂
︵k la ss is ch er Ei ng ri ff sb eg ri ff
︶に おい ては
、﹁ 目的 性﹂
︵F in al it ät
︶と いう メ ルク マー ルが
、﹁ 直接 性﹂
︵U nm it te lb ar ke it
︶等 のメ ルク マー ルと 並ん で、 あげ られ てい ると ころ であ る。
﹁目 的性
﹂
︵F in al it ät と︶ は、
﹁他 の目 的の ため にな され た国 家作 用の 意図 せざ る効 果に とど まら ない こと
︵n ic ht bl oß un be ab
-si ch ti gt eF ol ge ei ne sa uf an de re Zi el eg er ic ht et en St aa ts ha nd el ns
︶﹂ を要 求す るも
( )
ので
、当 該国 家作 用が いか なる
﹁意
59
図﹂︵ Ab si ch t︶ を有 して いた かを 問う もの であ る。 これ が欠 けて いる と、 私人 に何 らか の不 利益 が発 生し てい ると して も、 それ はそ もそ も国 家が 侵害 した 結果 では ない とい うこ とに なっ て、 その 適法 性︵ ある いは 合憲 性︶ の審 査 にす ら進 まな いこ とに なる
。こ のよ うな
、一 種の
﹁帰 責﹂︵ Zu re ch nu ng 判︶ 断に おい ては
、﹁ 意図
﹂的 な要 素が 考慮 され てき たわ けで ある
。 我が 国で も、 かの
﹁青 写真 判決
﹂︵ 最大 判昭 和四 一年 二月 二三 日民 集二
〇巻 二号 二七 一頁
︶に 代表 され るよ うな 付随 的効 果論 は随 所に 展開 され てき たわ けで
、そ こで も何 らか の﹁ 意図
﹂的 要素 が問 題と され てき たよ うに 思わ
( )
れる
。
60
青写 真判 決の 付随 的効 果論 に対 して は、 かね てよ り藤 田宙 靖が
、そ れが 前提 とす る﹁ 行為 それ 自体 の効 果﹂ と﹁ 法 律が 特に 付与 した 効果
﹂の 区別 を捉 えて
﹁意 思の ドグ マ﹂ と批 判し てき たと ころ であ った
。し かし
、そ の﹁ 青写 真 判決
﹂を 変更 した 最大 判平 成二
〇年 九月 一〇 日︵ 民集 六二 巻八 号二
〇二 九頁
︶に おい ても
、同 判決 は、 青写 真判 決で
﹁付 随的 効果
﹂に すぎ ない とさ れた 建築 制限 等の 効果 のみ で処 分性 を肯 定し たも ので はな く、 あく まで も原 告が
﹁換 地処 分を 受け るべ き地 位に 立た され る﹂ とい うこ とに 着目 した もの であ る旨 を、 その 藤田 判事 自身 が明 らか に して いる
。今 日の 判例 理論 にお いて も、 付随 的効 果論
、そ して その 前提 にあ る﹁ 意思 のド グマ
﹂は 完全 に克 服さ れ たわ けで はな いの であ る。 また
、裁 量権 が﹁ 不正 な動 機・ 目的
﹂で 行使 され た場 合は
、そ の裁 量権 行使 は裁 量権 の濫 用と して 違法 とな るこ とも 古く から 認め られ てき たこ とで
( )
ある
。こ こで もま た、 行政 の﹁ 目的
﹂・
﹁動 機﹂ が裁 量権 の逸 脱濫 用の 事由 の一
61
つと して 考慮 され るこ とが 承認 され てき たわ けで ある
。 行政 行為 ある いは 処分 の定 義に つい ても
、﹁ 意思
﹂的 な要 素が 何ら かの 形で 考慮 され てき たの では ない かと いう 疑問 があ る。 ドイ ツ行 政手 続法 三五 条は
、行 政行 為を 定義 して
、﹁ 官庁 が公 法の 領域 にお いて 個別 事案 を規 律す る
ため に行 う一 切の 処分
、決 定そ の他 の高 権的 措置 で、 外部 に対 して 直接 の法 的効 果を 及ぼ すも の﹂ とし てい る。 こ の﹁ 直接 の外 部的 効果
﹂の メル クマ ール につ いて
、興 味ぶ かい のは
、エ リク セン
=
エ ーラ ース 編﹃ 行政 法総 論﹄ の一 二版︵エ リク セン 執筆
︶と それ 以降 の版
︵ル ッフ ェル ト執 筆︶ とで
、ほ ぼ同 様の 解説 がさ れて いな がら
、そ の表 題が
﹁外 部に 対す る直 接の 法的 効果
﹂︵ Di eU nm it te lb ar eR ec ht sw ir ku ng na ch au ße n︶ から
﹁目 的的 な外 部的 効果
﹂
︵F in al eA uß en wi rk un g︶ へと 改題 され てい るこ とで ある
。
﹇一 二版 の記 述﹈
﹁外 部的 効果 をと もな う規 律︵ Re ge lu ng mi tA uß en wi rk un g︶ の存 在は
、当 該措 置が
、自 然人 また は法 人に 対す る法 律 効果 の定 立を めざ して
、そ の権 利義 務の 範囲 を拡 張的
、縮 減的
、ま たは 確定 的に 形成 し、 もっ て個 人間 に働 きか ける よう な仕 方で なさ れた 場合 に肯 定さ れる
。 行政 行為 の定 義に いう
﹃直 接性
︵U nm it te lb ar ke it
︶﹄ が存 在す るの は、 当該 措置 が、
︵明 示的 に定 式化 され
、ま たは そ の表 示内 容か ら推 認さ れる
︶そ の決 定文
︵E nt sc he id un gs sa tz )= 主文
︵T en or
︶に おい て、 自然 人ま たは 法人 に対 して 欲 せら れた 法律 効果 を表 示し てい た場 合で あり
、ま たそ の限 りに おい ての みで ある
。こ れに 対し
、行 政措 置が この よう な法 律効 果を めざ す﹃ 主文
︵T en or
︶﹄ を欠 いて いる のに 法律 効果 を発 生さ せる とし ても
、こ のよ うな 主文 に示 され ない 法律 効果 は当 該措 置の 行政 行為 たる 資格 を生 ぜし める もの では
( )
ない
。﹂
62
﹇一 四版 の記 述﹈
﹁外 部に 対し て直 接の 法的 効果 を及 ぼす 官庁 の措 置の みが 行政 行為 であ る。 した がっ て、 自然 人ま たは 法人 に対 する 法 律効 果の 定立 をめ ざし て、 その 権利 義務 の範 囲を 拡張 的、 縮減 的、 また は確 定的 に形 成す るよ うな 措置 のみ が問 題と な る。
…… 基準 とな るの は、 事実 上の 外部 効果 では なく
、措 置の
﹃目 的性
︵F in al it ät
︶﹄ (“ .. .a uf .. .g er ic ht et .. .” )で ある
。そ
れゆ え意 図さ れた 外部 効果
︵i nt en di er te Au ße nw ir ku ng
︶と いう
﹃直 接性
︵U nm it te lb ar ke it
︶﹄ が存 在す るの は、 欲せ ら れた 措置 が行 政行 為の 決定 文︵ En ts ch ei du ng ss at z)
=主 文︵ Te no r︶ 自体 によ って もた らさ れた もの であ って
、単 に︵ 意 図さ れて いた とし ても
︶官 庁内 部の 付随 的効 果︵ Ne be nf ol ge
︶で はな い場 合の みで
( )
ある
。﹂
63
この 両者 の説 明の 微妙 な変 化の 意味 する とこ ろが いっ たい 何で ある かも 興味 ぶか い検 討対 象で ある が、 ここ では 立ち 入る 余裕 はな い。 いず れに せよ
、意 図的 な要 素は どち らに もみ るこ とが でき るこ とに 変わ りは ない
。﹁ 直接 性﹂ と﹁ 目的 性﹂ の関 係も 気に なる とこ ろで ある
。一 四版 では
﹁意 図さ れた 外部 効果 とい う﹃ 直接 性﹄
﹂と あっ て、 両 者が 強い 連関 にあ る︵ とル ッフ ェル トが 考え てい る︶ こと をう かが わせ る。 我が 国に おい ても
、﹁ 行政 庁の 処分
﹂に つき
、判 例︵ 最一 小判 昭和 三九 年一
〇月 二九 日民 集一 八巻 八号 一八
〇九 頁な ど︶ は、
﹁公 権力 の主 体た る国 また は公 共団 体が 行う 行為 のう ち、 その 行為 によ って
、直 接国 民の 権利 義務 を形 成 しま たは その 範囲 を確 定す るこ とが 法律 上認 めら れて いる もの をい う﹂ とい って
、﹁ 直接
﹂と いう こと ばを 入れ て いる
。行 政手 続法 二条 四号 によ る﹁ 不利 益処 分﹂ の定 義に おい ても
、﹁ 行政 庁が
、法 令に 基づ き、 特定 の者 を名 あ て人 とし て、 直接 に、 これ に義 務を 課し
、又 はそ の権 利を 制限 する 処分 をい う﹂ とあ って
、﹁ 直接
﹂と いう こと ば が入 って いる
。こ の﹁ 直接
﹂性 とは 何か
、こ れが
﹁意 図﹂ とど のよ うに かか わる のか につ いて も、 検討 の必 要が あ るの では なか ろう か。
﹁意 思﹂ は単 なる 心理 的事 実か
︱︱ 効果 から
﹁意 思﹂ をみ る視 点 藤田 論文 は、
﹁