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Fig. 52 The device structure and driving mechanism, In the case of in the figure, carriers are accumulated in the semiconductor due to application of the gate voltage. Next, in the case of in the figure, the current flows in the semiconductor due to application of the drain voltage. Finally, in the case of in the figure, applying a drain voltage larger than the pinch-off point, the current is saturated.

IV-2 実験方法

IV-2-1 CuBrBu2D薄膜を用いた有機薄膜太陽電池の作製

本実験で作製した素子構造とエネルギーダイアグラムを Fig. 53に示す。ITO 電極パターニング済み基板(電極幅2 mm、セル面積20 mm×20 mm)をアセトン で10分間、洗剤を溶かした蒸留水で5分間、蒸留水ですすいだあと別の蒸留水 で5分間、超純水で10分間、IPAで10分間の順でそれぞれ超音波洗浄を行った。

その後 30 分間真空下で 200 ℃に加熱した後放冷し、15 分間 UV オゾン洗浄を 行った。次に PEDOT:PSS を3000 rpm で 10秒間スピンコートを行い、20 分間 160℃で加熱乾燥させた。その後直接滴下法、微粒子堆積法、スピンコート法で それぞれ[CuI7CuIIBr7(n-Bu2dtc)2]n 薄膜を成膜した。なお、活性層を熱アニーリン グする時は、この成膜後にホットプレートで100 ℃に設定して10分間加熱した。

そのあとn型半導体層としてC60を40 nm、電子輸送層としてBCPを10 nm、電 極として銀を80 nm真空蒸着した。

Fig. 53 The device structure (a) and energy diagram (b) of organic solar cells with CuBrBu2D thin film.

太陽電池の素子特性評価はソーラーシミュレータから疑似太陽光を照射した状

態でKEITHLEY 2400型汎用ソースメータを用いJ-V測定を行った。得られたJ-V

カーブ(Fig. 54)から短絡電流密度JSCと開放電圧VOCが得られた。短絡電流密度は

短絡状態の素子が外部印加電圧を受けない場合に内部起電力によって発生する 電流の大きさであり、その起電力が開放電圧に相当する。太陽電池の変換効率 PCEを算出するには最大出力(Jmax×Vmax)のパラメータが必要であるが、JSCVOC

と最大出力には{FF = (Jmax×Vmax)/(JSC×VOC)}の関係がある。FF(フィルファクタ ー)は曲性因子とも呼ばれ、内部欠損などを差し引いた理想的なパフォーマンス に対する実効出力の割合を示す。最大出力から[PCE (%) = {(Jmax×Vmax)/Pinc}× 100]により変換効率PCEを算出した。ここで、Pincは照射光のエネルギーであり、

Pincは一般にAM1.5G(100 mW/cm2)を用いられ、本研究室でも採用している。変

換効率は受けた太陽光のエネルギーのうち何%を電気エネルギーに変換できた かを示すパラメータである。

Fig. 54 J-V curve of solar cells (a) and the picture of solar simulator.

IV-2-2 CuBrBu2Dのスピンコート薄膜を誘電体材料として用いたFETの作製

本実験で作製した素子の構造をFig. 55に示す。SiO2酸化被膜つきnドープシ リコンをアセトンで10分間、洗剤を溶かした蒸留水で5分間、蒸留水ですすい だあと別の蒸留水で5分間、超純水で10分間、IPAで10分間の順でそれぞれ超 音波洗浄を行った。その後、スピンコート法により[CuI7CuIIBr7(n-Bu2dtc)2]n 薄膜 を成膜した。次にPMMAの4 wt%クロロホルム溶液を3000 rpmで60秒スピン コートし、70℃で 20 分間アニール処理を行った。その後活性層としてCuPc を

30 nm真空蒸着し、最後にチャネル長50 μmのステンレスマスクを用いて金を

50 nm真空蒸着した。測定はKEITHLEY 2400型汎用ソースメータとKEITHLEY

6517A 絶縁抵抗計を用い、有機薄膜トランジスタの解析ソフトである株式会社

システムハウス・サンライズのW32-6517TFTで行った。なお、配位高分子の誘 電体層を含まない素子をFET(1)、配位高分子の誘電体層を含む素子をFET(2)と する。

Fig. 55 The device structures of OFETs (a) without spin coat thin film of [CuI7CuIIBr7(n-Bu2dtc)2]n

(FET(1)),(b) with spin coat thin film of [CuI7CuIIBr7(n-Bu2dtc)2]n (FET(2)).

IV-3 結果及び考察

IV-3-1 CuBrBu2D薄膜を用いた有機薄膜太陽電池の素子特性評価

直接滴下法、微粒子堆積法、スピンコート法で成膜した[CuI7CuIIBr7(n-Bu2dtc)2]n

薄膜を用いた有機薄膜太陽電池の測定結果をFig. 56とtable 8に示す。直接滴下 法で作製した素子が最も良い変換効率0.16 %を示した。一方、微粒子堆積法で 作製した素子はほとんど光電変換しなかった。これは暗電流を見るとほとんど 電流がリークしていることがわかる(Fig. 57(a))。これはおそらく粒子が堆積して いるだけのため表面が非常に粗く、それが原因でリークしたことが考えられる。

また、FFに関しては直接滴下法で作製した素子よりもスピンコート法で作製し た素子の方が優れており、界面状態が良好であることを示唆した。今回の結果 で最も特異だったのは[CuI7CuIIBr7(n-Bu2dtc)2]nの光学バンドギャップが0.3 eV程 度であるのに対し、直接滴下法とスピンコート法で開放電圧0.4 eVを超えてい たことである。通常はp型半導体のHOMOとn型半導体のLUMOの差から約

0.2 eV差し引いた値が大体の開放電圧となるが、これは電荷分離のエネルギー

を加味したエネルギーギャップが大きく異なるのか、あるいはC60との界面で大

fig. 56 J-V plot of solar cells with [CuI7CuIIBr7(n-Bu2dtc)2]n thin film

Table 8. Measured parameters of solar cells with [CuI7CuIIBr7(n-Bu2dtc)2]n thin film (JSC, VOC, Pmax, Vmax, Jmax, FF, PCE)

成膜法 直接滴下 微粒子 スピンコート アニール有無 無 有 無 有 JSC / mAcm-2 0.895 1.002 0.162 0.386 0.461 VOC / V 0.493 0.245 0.141 0.456 0.441 Pmax / mW 0.157 0.094 0.006 0.071 0.082 Vmax / V 0.350 0.170 0.070 0.320 0.310 Jmax / mA 0.449 0.551 0.084 0.222 0.266

FF 0.356 0.381 0.258 0.404 0.405

PCE / % 0.157 0.094 0.006 0.071 0.082

きな準位シフトが起こっている可能性が考えられる。直接滴下法、スピンコー ト法に関してはアニール処理した素子も作製しており、いずれも JSCが増大し VOC が減少する一般的なバルクヘテロ接合型太陽電池に見られるような傾向を 示した。また、J-VプロットのVOC付近、JSC付近の傾きの逆数から簡易的にそれ ぞれ直列抵抗 Rs、シャント抵抗(並列抵抗)Rsh を見積もることができる。例とし て直接滴下法の結果をFig. 57(b)に示した。直列抵抗は半導体内の素抵抗、電極 との接触抵抗などキャリア輸送経路中の全ての抵抗を足し合わせたものである。

一方でシャント抵抗はリーク成分を示す抵抗値で、電極の絶縁性不良が原因で 数値は減少し、シリコンの太陽電池ではp-i-n層中の不純物などでも低下すると いわれる。これらをそれぞれの方法で比較すると(table. 9)、Rsは微粒子堆積法で 作製した素子だけが4桁を示し、著しく伝導性が悪いことが確認できた。また、

直接滴下法、スピンコート法のいずれもアニール処理を行うことで Rsの値は減 少し伝導性が改善していることを示唆した。また、シャント抵抗Rshを比較する と、スピンコート法で作製した素子が最も良い抵抗値を示し、膜内や界面のリ ーク成分が他の作製法に比べて少ないことを明らかにした。一方Rshに関しても アニール処理を行うと抵抗値は減少しており、リーク成分が増大していること がわかった。

Fig. 57 Dark current of solar cells with [CuI7CuIIBr7(n-Bu2dtc)2]n thin film (a), Rs and Rsh (b).

Table 9. Estimated parameters of solar cells with [CuI7CuIIBr7(n-Bu2dtc)2]n thin film (Rs, Rsh)

成膜法 直接滴下 微粒子 スピンコート アニール有無 無 有 無 有 Rs / Ω 5.56×103 2.82×103 2.07×104 8.14×103 6.11×103 Rsh / Ω 2.25×104 1.32×104 2.24×104 5.51×104 4.32×104

IV-3-2 CuBrBu2Dのスピンコート薄膜を誘電体材料として用いたFETの素子

特性評価

FET(1), FET(2)の出力特性をFig. 58(a), (b) に示す。それぞれ線形領域の傾きか ら見積もったCuPcのキャリア移動度はFET(1)が4.95×10-5 cm2/Vs、FET(2)が5.65

×10-5 cm2/Vsとそれほど大きな差は見られなかったFig. 58 (c), (d)。しかしここ

で、FET(2)に関しては、小さな VGを印加した時飽和電流領域後に大電流が流れ

る領域が観測された。これは通常両極性 FET に見られる傾向であり、この場合 ソースとドレイン電極には異なる金属を用いる。すなわち、片側はホール、対 極は電子が注入できるようなエネルギーレベルに設定することで、ピンチオフ 点を超え飽和領域に入った時に少数キャリアの注入が開始され、大電流が観測

される(Fig. )。しかしながら、今回は同じ電極材料を用いているにもかかわらず

このような傾向が見られた。これは、[CuI7CuIIBr7(n-Bu2dtc)2]n のバンドギャップ が小さく、金の仕事関数がギャップの中心あたりのレベルであることが起因し て両キャリアが注入されてしまっていると考えている。また、例えば同じ VG = -50 V の 電 流 値 を 比 較 す る と FET(2)の 方 が 大 電 流 を 流 し て お り 、 [CuI7CuIIBr7(n-Bu2dtc)2]n の誘電体層が蓄積キャリアの増大に寄与していることを

示唆した(Fig. 59)。そこで、インピーダンス分光測定でゲート、ソース電極間の

容 量 を 測 定 し た 。 こ の 時 FET(1) の PMMA は 291 nm 、 FET(2) の [CuI7CuIIBr7(n-Bu2dtc)2]nとPMMAをあわせた厚さは547 nmであった。結果を見

ると、FET(1)に対してFET(2)は絶縁層の膜厚が約1.4倍であるにもかかわらず、

ほぼ同じ容量を示し、低周波領域においてはむしろ増大した。このことは [CuI7CuIIBr7(n-Bu2dtc)2]nの誘電層が容量の増大に寄与していることを示唆した。

Fig. 58 Output properties of FET(1) (a) and FET(2) (b), estimated carrier mobility of FET(1) (c) and FET(2) (d) by VG-gD plot.

Fig. 59 Capacitance of FET(1) and FET(2) measured by impedance spectroscopy.

IV-4 結論

微粒子堆積法で作製した素子は見た目通り表面があまりにも荒く、界面での 抵抗が極めて大きくなっていることを示唆した。また、見た目上大きな差はな いが、直接滴下法で成膜した素子の方がより大きなJSCが得られた一方で、リー ク成分はスピンコート薄膜の方が小さい値を示した。このことからスピンコー ト薄膜の方が優れた配向性を有すると結論づけた。またそのスピンコート薄膜 を FET の誘電体層に用いることで、ゲート電圧による蓄積キャリアの増大に寄 与することを明らかにした。このように本手法を用いることができる配位高分 子であれば、本実験同様に有機エレクトロニクスデバイスへ応用可能であるこ とを示唆した。

V章 総括

その骨格内にハロゲン化銅を含む配位高分子について、特にインピーダンス 分光測定を用いてその誘電特性や電気伝導性を評価した。また、それらの配位 高分子は可視領域から近赤外にかけて優れた吸光特性を示し、オプトエレクト ロニクス材料として有用であることを示唆した。さらに、インピーダンス分光 測定と合わせて単結晶伝導度測定や SCLC 法によるキャリア移動度評価といっ た 、 一 般 的 な 有 機 半 導 体 と 同 様 の 電 気 的 特 性 評 価 を 行 っ た 。 特 に [CumBrm(HAT-(CN)6)]nにおいては、その電気伝導性が Cu+の組成比に依存してお り、Cu+の組成比を大きくするほど CuBr のチェーン中のキャリア輸送が [CumBrm(HAT-(CN)6)]nの伝導性を支配していることを明らかにした。

強誘電性配位高分子 CuBrBu2D を 3 種類のウェットプロセスで薄膜化するこ とに成功した。直接滴下法、微粒子堆積法、スピンコート法を用いて成膜した 配位高分子薄膜はいずれもドメインサイズが小さく伝導度および誘電率ともに バルクサンプルに比べて低かったものの、同様の長鎖アルキル基をもつ二次元 配位高分子では薄膜化が成功することも分かっており、比較的弱い配位結合を もちなおかつ有機溶媒に可溶な長鎖アルキル基を導入した配位高分子において 同様に本手法が応用できる可能性を見出した。また、これらの手法で作製した

CuBrBu2D 薄膜を用いた有機薄膜太陽電池及び電界効果型トランジスタを作製

し、太陽電池の変換効率や抵抗を考察した結果、スピンコート薄膜が最も優れ た膜性を有することが示唆された。また、このように本手法を用いることで、

他の配位高分子を用いた場合でも同様に有機エレクトロニクスデバイスへ応用 できる可能性があることを示した。

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