10 年以上」。B クラスは「正確な逐次通訳が可能。一般的な分野において、同時通訳 も可能。通訳経験 5 年以上」。C クラスは「商談、随行、ガイド通訳が可能」。
このような分類は通訳者を雇う、または派遣する場合の目安として示してあるのですが、ラ ンクによって仕事の難易度と共に報酬も異なります。通訳者として初めてエージェントに登録 するときは極一般的なケースでは C クラスで始めます。たとえば国際見本市のスタンドにいて、 見学者と出展者の話を訳しますが、本格的な商談や契約は B ランク以上の通訳者が交代します。 仕事を続けて何年か経つと少しずつ難しい仕事を依頼されるようになり、5 年ほど続けて難し い仕事の依頼が続くようになると、通訳者自身がエージェントに昇格を打診したり、エージェ ントから雇用契約の更新の際にランクの変更を提案したりして B クラスに昇格します。次のス テップで A クラスへとランクが上がっていきます。ただし人によっては最初から B クラスや A クラスで登録することもありますし、逆に 10 年以上ずっと C クラスや B クラスの仕事を続け る人も居ます。C クラスにガイド通訳も可能、とあり、報酬も C クラスと同じ程度ですが、ガ イド通訳者の仕事の内容は単なる通訳だけではなく、国家資格を要する特別な位置づけになり ます。
Another is for there to be more ‘original’ or ‘creative’ writing. English continues to focus on enabling you to respond to the world around you. (Robert Eaglestone 133 )
私たち日本の英文学専攻者にとって有意義だと思われる箇所を、本稿の論旨である実践知性 としての英文学研究の視点からまず引用したが、実は著者ロバート・イーグルストンは第 1 部 第 1 章 ‘Where did English come from?’ の中で、英文学という学科目がどのような歴史的背景 のもとでイギリスに設置されるに至ったかを詳述している。英文学の本家であるイギリスの事 情を知っておくことも大切であろうから、以下に、簡潔にまとめてみる:「元々英文学研究なる ものはイギリスの大学では受け入れられず、特に古典学の教授たちにとっては無用の長物であ った。ところがこの英文学は 1835 年、一つの正式な学科目としてインドにおいて誕生した。当 時インドを統治していたイギリスは、英文学研究を通して現地のインド人をイギリス化させよ うと目論んだのである。そしてやがてこれがイギリスに逆輸入されることになる。そうした逆 輸入者の代表的人物が、詩人・思想家のマシュー・アーノルド(Matthew Arnold)であり、 彼は当時のイギリス人に文学的教養を身につけさせようと思ったのである。具体的には、有益 で文明的な道徳的価値観の修得が目標とされた。これに対して、英文学を研究してもほとんど 意味がないと考える一派も存在し、彼らは、教養ではなく、むしろ言語研究としての英文学を 志向した。こうしたせめぎあいの中、1893 年オクスフォード大学に英文学の学位コースが導入 されたが、英文学専攻は主としてフィロロジー研究を意味した。この流れが変わるのは 1917 年 以降である。ケンブリッジ大学の講師たちが中心となって、主としてフィロロジーから成り立 っている英語専攻コースの抜本的改革を進め、やがて言語研究だけではない、今日の私たちが 知っている豊潤な英文学の基礎が作られたのである」。