実験方法は6-1-4-3に準じ、150ml 容小型オートクレーブを用いて 150-170℃の油 浴中で 120-180 分間加熱し、のち黒液を分離してパルプを解繊・洗浄し、パルプ収率と残 留リグニン量を求めた。
表 12 に、蒸解結果を示す。プラントの蒸解装置の運転条件を 170℃、120 分とすると、 スギチップの蒸解性は蒸解液中の初期水酸化ナトリウム濃度に大きく影響されているが、 ソーダ蒸解がアルカリ濃度5%を必要としたことに比較して4%で十分に脱リグニンが進 行しており、添加した亜硫酸ソーダによるリグニンのスルホン化効果が出ているものと考 える。また、添加する亜硫酸ソーダ濃度はパルプ収率やリグニン量に顕著な影響を与えな かったことから、検討した添 加量より少量で蒸解性やリグ ニンの水溶性化に寄与してい ると思われる。しかし、初期 亜硫酸 ソー ダ濃 度 1.7%に比 較し て 6.7%では、脱リグニ ン度が若干低下していたこと から、pH の低下を及ぼすよう な多量の亜硫酸ナトリウムの 添加は蒸解性を低下させるこ とが明らかとなった。よって、 アルカリ処理をベースとした 本前処理プロセスに亜硫酸ソ ーダを添加してアルカリ・サ ルファイト蒸解を行うことは 可能であるが、その添加量は さらに検討が必要であると判 断した。一方、その洗浄性の 実験室レベルでの検討につい ては、ドラムフィルター型洗 浄装置の洗浄時間と透水量等 のデータが必要となるので、 プラント機器を用いて検討す る必要がある。
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