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計画書 - 岡山県立大学

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Academic year: 2025

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様式第2号

平成26年度 独 創 的 研 究 助 成 費 実 績 報 告 書

平成27年3月25日 申 請 者 学科名 栄養学科 職 名 教授 氏 名 高橋 吉孝 印 調査研究課題 肺線維症に対する抗体治療薬の開発を目指した基礎研究

交 付 決 定 額 480,000 円

調査研究組織

氏 名 所属・職 専門分野 役割分担

高橋 吉孝 教授 病態生化学 研究総括・単鎖抗体発現

川上 祐生 助教 脂質生化学 酵素免疫測定・細胞実験・

動物実験

調査研究実績 の概要○○○

ロイコトリエンC4(LTC4)、LTD4、LTE4は、ペプチドLTと総称される。これは、ア ラキドン酸から5-リポキシゲナーゼ経路により合成されるLTA4 に、LTC4合成酵素が働い てLTA4の6位にグルタチオン(グルタミン酸-システイン-グリシンからなるトリペプチ ド)が結合するとまずLTC4が生成する。このLTC4にγ-グルタミルトランスペプチダーゼ が作用すると、グルタチオン部分からグルタミン酸がはずれてLTD4となり、さらにLTD4

にジペプチダーゼが作用すると、グリシンがはずれて分子内にシステインのみをもつLTE4

が 生 成 す る 、 少 な く と も3種 類 の 受 容 体 サ ブ タ イ プ (CysLT1、CysLT2、 お よ び CysLTE)との結合を介して、気管支喘息のような急性炎症性疾患だけでなく、肺線維症 のような慢性炎症性疾患の増悪に関わる。申請者らはこれまでに、LTC4に対するマウスモ ノクローナル抗体(抗LTC4モノクローナル抗体)がLTC4あるいはD4と結合し、1 nMの低 濃度で標的細胞上の2つの受容体への結合を阻害する中和抗体として働くことを見出し た。また実際に、この抗体を気管支喘息モデルマウスに投与すると喘息の所見が軽快する ことを証明した。さらに、抗体を構成する2本のタンパクそれぞれの抗原結合部位をつな いで1本にすることにより、変異の導入が自在に行える抗LTC4単鎖抗体を作製してCOS-7 細胞で発現させ、これが元のモノクローナル抗体と同様に中和抗体として働くことを示し た。

本年度は、慢性炎症性疾患の一つである肺線維症に対する効果的な治療薬を作製するこ とを最終目的として、線維芽細胞によるコラーゲン産生が、LTC4の受容体の1つである CysLT2受容体を介して行われるとの知見に基づき、抗LTC4モノクローナル抗体あるいは 酵母で発現させた抗LTC4単鎖抗体が、マウスの肺から単離して培養した線維芽細胞による

次頁に続く

(2)

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0

抗体(nM) LTC4(1 nM)

0 -

0 +

0.1 +

1 +

10 +

100 +

遺伝子発現量(倍)

* * *

調査研究実績 の概要○○○

コラーゲン産生を抑制するかどうかを検討した。

なお、単鎖抗体発現系として大腸菌を用いた場合は、短時間で変異体の作製から発現までを 行うことができるため、変異体の網羅的な検討には適していたが、発現量が少ないこと、また元 のモノクローナル抗体と比較してLTC4との結合親和性が大きく低下することが問題であった。そ こで昨年度までの検討により、メタノール資化酵母であるPichia pastorisを用いた発現系を構築 した結果、培養上清1 Lあたり約3.1 mgの精製抗LTC4単鎖抗体が得ることができ、発現量を図 ることができた。また、この抗LTC4単鎖抗体は、抗LTC4モノクローナル抗体と比較してタンパク 重量当たりほぼ同じ結合活性を示し、結合親和性の上昇も図ることができた。結合親和性の上 昇の理由として、翻訳後の修飾が考えられたが、単鎖抗体はPAS染色で染色されず、糖鎖修飾 の可能性は否定された。このことから、大腸菌の発現系では糖鎖修飾が行われない以外の何ら かの理由で正しい立体構造が構築されていないと考えられた。た。さらに、LTC4に最も高い親和 性で結合し、LTD4とLTE4にも部分的に結合したが、LTB4にはほとんど結合しないという、抗 LTC4モノクローナル抗体と同様のLTへの結合特異性が確認された。

マウス肺線維芽細胞をLTC4あるいはLTD4で刺激したときに起こるコラーゲン産生が、抗 LTC4モノクローナル抗体あるいは抗LTC4単鎖抗体によって抑制されるかどうかについて、刺激 して30分後にtotal RNAを回収し、TypeⅠコラーゲンの遺伝子であるCOL1A1およびCOL1A2 のmRNA量を、real time PCRで測定することにより検討した。1 nMのLTC4および1 nMの LTD4によって、COL1A1遺伝子の発現はそれぞれ、1.7~2.7倍および1.5~2.1倍、COL1A2遺 伝子は1.5~2.8倍および1.5~1.8倍上昇した。これらの上昇は、いずれも1 nM以上のCysLT2受 容体拮抗薬であるHAMI-3379により有意に抑制されたが、CysLT1受容体拮抗薬であるMK- 571では抑制されなかった。1 nMのLTC4によるmRNAレベルの上昇は、COL1A1は1 nM以 上、COL1A2は0.1 nM以上の抗LTC4モノクローナル抗体で有意に抑制された。一方1 nMの LTD4によるCOL1A1、COL1A2の上昇は、いずれも10 nM以上の抗LTC4モノクローナル抗体 で有意に抑制された(p<0.05)。また、1 nMのLTC4によるCOL1A1、COL1A2のmRNAレベル の上昇は、いずれも1 nM以上の抗LTC4単鎖抗体により有意に抑制され、1 nMのLTD4による これらの遺伝子の発現は、いずれも100 nMの抗LTC4単鎖抗体により有意に抑制された

(p<0.05)。

【図】抗LTC4単鎖抗体によるコラー ゲン遺伝子発現上昇の抑制

線維芽細胞培養培地に、各濃度の酵 母で発現させた抗LTC4単鎖抗体の存 在下で、LTC4 1 nMを添加し、30分後 に総RNAを抽出して、cDNA合成を行 い、リアルタイムPCRでTypeⅠコラ ーゲンの遺伝子(COL1A1)のmRNA 量を定量し、LT非添加のコントロー ルを1として比較した。(*P<0.05)

以上より、抗LTC4モノクローナル抗体および抗LTC4単鎖抗体によって、マウス肺線維 芽細胞によるコラーゲン遺伝子の発現は抑制され、これが、CysLT2受容体へのLTの結合 を阻害することに基づくことが示唆された。

成果資料目録

1. Yuki Kawakami, Hirano S, Kinoshita M, Otsuki A, Suzuki-Yamamoto T; Suzuki M, Kimoto M, Sasabe S, Fukushima M, Kishimoto K, Izumi T, Oga T, Narumiya S, Sugahara M, Miyano M, Yamamoto S, Takahashi Y., Neutralization of leukotriene C4 and D4 activity by monoclonal and single-chain antibodies. BBA - General Subjects, 2014, 1840, 1625-1633.

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