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複層意味フレーム分析は言語表現を知識構造に結びつける

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(1)

複層意味フレーム分析は言語表現を知識構造に結びつける

— 文 “xy を襲う ” の理解を可能にする意味フレーム群の特定 — 黒田 航

井佐原 均

1 はじめに

フレーム意味論(Frame Semantics: FS) [1, 2, 3, 4]

は,(意味)フレーム((semantic) frames)という概 念によって言語理解の内容を記述するための枠組み である.FSは近年,Berkely FrameNet (BFN) [5, 6]

という形で英語の意味フレームのデータベースを開 発する研究プロジェクトとして発展した.その日本 語版は日本語フレームネット(Japanese FrameNet:

JFN) [7, 8]である.

私たち [9, 10]は,BFNの成果を参考にしなが

らもBFN/JFN とは独立に日本語の意味フレーム

を体系的に記述するための理論的枠組みを提唱 している.BFN/JFN との区別のため,この枠組 みを暫定的に(言語の)複層/多層意味フレーム分 析(Multi-layered Semantic Frame Analysis (of Lan- guage): MSFA(L))1)と呼ぶことにする.

私たちが目指しているのは認知科学的,工学的見 地から見て有用な言語資源となるような,意味()タグつき日本語コーパスCを,BFNの洞察を取 り入れながら開発することである.MSFAはCの 開発の基礎作業を構成する.

私たちの研究企画は,以下の点でBFN/JFNと異 なる.

(1) 意味役割タグ体系Sの定義,並びにSのデー タベース化は,Cの開発ために必要となる中 間目標であり,それ以上のものではない.実 際,BFNが用途が些か不明確な意味フレー ムのデータベースを提供しようとしているの

独立行政法人 情報通信研究機構 けいはんな情報通信融合 研究センター

1)MSFAは以前の版では複層性は強調されないで,単に言 語の(意味)フレーム分析(Semantic) Frame Analysis (of Language): (S)FA(L)と呼ばれていた.なお,“複層(意味) フレーム分析”“多層(意味)フレーム分析”は事実上,

同義である.

とは方向性が異なる

(2) Cの言語資源としての有用性を保証するため には,意味フレームの実在性の検証は大きな 問題である(BFNではこの点は考慮されてい ない)が,MSFAでは,[11]で示された「襲 う」の意味フレーム分析の結果が心理学的に 妥当かどうかを心理実験で検討するなど,積 極的に実証性を追求している.その一例とし て,少なくとも「襲う」に関する限り,言語 学者が同定した意味フレームの実在性に肯定 的な結果が得られたことは[12, 13, 14, 15]で 報告されている

(3) 同じく,広い分野で有用な資源となるよう

に,BFN/JFNよりも記述する意味の粒度が

細かい(後述の“xyを襲う”の解釈を可能 にするフレームの多くは,対応するフレーム がBFNによって認定されていない)

(4) ただし,BFN/JFNとSFALにはおのおの一

長一短がある.SFALは深さ優先,BFN/JFN は広さ優先で記述を進めている.BFN/JFN は比較的網羅的で体系的な意味フレームの辞 書を提供することになろうが,SFALは個別 の領域を詳細に記述して行くことになり,汎 用性の点は明らかに前者に劣るであろう.

この論文の目的は,MSFAの研究結果が言語学 にとってどんな意義をもつものなのかを,簡単な例 (「xyを襲う」の文意の多義性の解消の問題)を 用いて示すことである.

2 意味フレーム基盤の意味分析の基礎

2.1 “状況”の概念に基づく意味フレームの定義

以下の分析の前提となる意味フレームの定義を簡 単に述べておく:

(5) 理解の単位の存在仮説: ヒトの理解には単 位が存在する.

(2)

(6) 理解の単位の離散性の仮説: ヒトの理解の 単位は近似的には離散的である(これは近似 なので,プロトタイプ効果は存在する). (7) 理解の単位の表現可能性の仮説: その単位

はσ=" "時間:いつ#,"場所:どこで#,"主体:

何が#,"目的:何のために#,"手段: どうやっ

#, . . . ,"対象: 何を#,"どうする# #という 標準形をもつ抽象的構造(すなわち「フレー ム構造」)として近似的に表現できる.この 際,σ を構成する個々のパラメータのことを 意味役割(semantic role)と呼ぶ.

(8) 状況概念による理解の単位の近似: σ を類 型化された状況(situation)と同一視するなら ば,ヒトの理解の単位は(文理解のレベルで は)類型化され(理想化され)た状況である.

(9) 理解可能性の有界性の仮説: この意味での 理解の単位は,どんなに数が多くても有限 個しかない.従って,ヒトの理解の可能性は (有限ではないにせよ)有界である.

私たちが「意味フレームは状況の理想化である」

と言うとき,意図しているのは(8)である.

この論文では詳しく論じることができないが,一 般に文s=w1w2···wn(e.g., “xyを襲った”)の解 釈は,wの意味を構成するプロセスではなく,wiに よって喚起される,離散的で有限個しか存在しない 理解可能な状況の集合Σ={σ12, . . .}の要素の 最適な候補へ,文意M(s)を調節(accommodate)す るプロセスである.この調節の効果により,sの理 解内容は離散的で有限個しか存在しない状況σiへ の解釈の引こみ効果(attraction effect)を示す.この モデル化の下では,解釈は規則群の適用によって成 立する(構成的)計算というより,あらかじめゴール の定まった問題の解決と見なすのが妥当である,

以上の一般的な注意の下で,この次の節では

(M)SFAの利点を幾つか明示することにする.

2.2 複層意味フレーム分析の利点

2.2.1 理解内容の暗黙性を克服する

複層意味フレーム分析はヒトの言語理解に関する 次の性質を問題にしない故に,概念分析の目的に有 効である:

(10) 観察:理解内容の暗黙性:

ヒトは文を聞いて/読んで自分が理解した内

容をまったくと言っていいほど自覚しない し,明示化できない

これが問題にならないのは,MSFAには次のよう な特徴があるからである:

(11) a. 意味記述の方法を体系化し,暗黙の理解 内容の明示化を可能にする

b. 記述内容の詳細化を可能にする

c. 意味論と統語論の安全で完全な分離を可 能にする

d. 理解内容の具体的記述を,従来の抽象的 記述を統合する

以下ではこう主張する根拠を簡単に説明する.

2.2.2 二つの逆説

従来の言語学的分析には次のような逆説がある: 逆説1: 言語学者が言語的だと思っている情報の

一部は,実は言語的ではない.

逆説2: 言語学者が言語的でないと思っている知 識の一部は,言語理解に深く係わっている.

その一部が無視しうるものか,そうでないか を決めるのは,(UGへの肩入れのような)メ タ理論にほかならない.

これらは次のことを示唆する:

示唆1: “言語とはこんなもんだ”と決めてかかる のは非常に危険である.言語学が(自然)科 学ならば,記述対象に関する思いこみは可能 な限り退けられるべきなのに,現状はその正 反対である.

示唆2: 言語の定義に依存しない研究を充実させ,

言語学の研究プログラムを拡大する必要性が ある.

2.2.3 意味構造と統語構造の思い切った分離

暗黙の理解内容の適切な記述のためには,統語と 意味との思い切った切り離しが必要である.とは言 え,語彙項目は常に統語的な環境の置かれているた め,そのための判断が難しい.統語情報と意味情報 の適切な分離のために次の基準を考える:

(12) 基準: 要素の出現順序に影響されない性質 は,統語的性質ではない

(3)

これに拠れば,例えば否定辞“-ない”や取り立て 詞“-も”の出現位置は文の解釈の内容に影響するの で,統語的であると判断できる.おそらく作用域効

果(scope effect)を示すものは,全般的に統語的だ

と言えるだろう.実際,これは統語論を専門にする 研究者が好んで取り上げる意味現象が,この種の現 象であることをうまく説明する.

だが,このような性質は,意味現象のごく一部で ある.このような現象がいくら詳細に記述され,そ の揚げ句,「説明」されたとしても,それだけでは 自然言語の意味論の全体は充実しない.

多くの言語学者は「意味理解は統語構造を与えな い限り可能とならない」と考えている.この考えは 言語学の内部では「常識」に属する事柄かも知れな いが,いったん言語学の外に出たら,途端に怪しい 理論的要請に様変りする.

実際,統語的制約から意味理解の可能性に制約す ることは,必然的でない制約で意味構造の記述可能 性を縛ることであり,これは自滅的である.意味は 統語ではない.「意味役割は少ないほどよい」と考 えるのは,統語中心の盲目である

2.2.4 記述内容の具体化,詳細化の必要性

意味記述を統語記述から思い切った切り離しと同 時に,記述内容の思い切った具体化が必要である.

イメージスキーマ[16, 17]が意味理解にとって重 要だというのも“思いこみ”以上のものであるか,

本質的に怪しい.なぜなら,理解内容に関してイ メージスキーマが貢献しない側面がどれほど重要な のか,そもそもイメージスキーマの存在仮説から独 立に評価されたことなどないからである.実際,次 のことは,かなり確実である:イメージスキーマへ の固執は理解内容の記述を貧困化させる恐れがあ る.例えば,"被災#概念をイメージスキーマに還 元できるものだろうか?私はそれが不可能だと主張 するつもりはないが,言語学者がそのような「泥臭 い」作業に真面目に取り組む気配はまったくない.

だが,言語学の科学化のために必要なのは,お偉方 が何と言おうと,そういう泥臭い記述なのである.

2.2.5 インターフェイス問題の解決のために

MSFAは言語的意味知識と非言語的意味知識の 区別を否定しない.百科事典的知識が必要だと言う だけで,それが,どんな場合に,どれぐらい必要な のかを言わなければ空虚だからである.必要性のみ

を論じ,そのための分析の具体的実践方法を示さな いのは空虚である.

百科事典的知識を意味記述へのもちこみは,体系 的で一貫していないなら,益よりも害が多い.最大 主義は無条件には許されるべきではない.百科事典 的な情報は,常に必要な場面で,必要に応じて行わ れるべきである.つまり,言語的知識と非言語的知 識の融通の利くインターフェイスの確立が最大の課 題なのである.

あらゆる意味理解/解釈に統語情報が必要不可欠 だという前提は,実は統語情報の過大評価で正しく ない思いこみである.{襲う,日本,台風},{,ぶ つ,犬,太郎}の意味が推察できる基盤は統語情報で はなく,状況への意味的写像である.意味理解では

“状況への写像”が常に利用されているのに(奇妙な 理論的な要請から)これを利用されていないと考え ることから,荒唐無稽な結論が帰結する

深層格やθ 役割(=狭義の意味役割)は具体的意 味理解の特定にほとんど貢献しない.これらは意味 構造と統語構造との最低限の対応を保証する抽象的 な概念クラスなので当然である.具体的な理解を明 示しようと思ったら,それより深いレベルの意味を 記述しなければならない.

2.2.6 関連領域からの言語学への期待に答える

言語学者は関連分野が言語学に期待していること に対し,あまり無自覚であるか,それを知りつつ無 視している.関連領域,例えば,認知心理学,認知 科学,自然言語処理の分野の研究者の大多数は,統 語論に関して,それほど関心をもっていない.その 理由は明らかに,統語現象よりも意味現象のほうが 深刻な問題だからである.

言語学的意味論に対する関連領域からの期待は大 きいが,この際,言語学の意味論に期待されている のは,言語現象の中途半端な説明ではなくて,

具体的な理解内容の高品質な記述である.このこと に関して言語学者どれぐらい自覚的なのかは,非常 に怪しいと思われる.

次の点を理解しておくのは,重要である: 具体的 な理解内容に高品質な記述を与えるという仕事は,

(言語)心理学者の仕事ではない.それは言語学者が やらない限り誰もしない仕事,やろうとしても言語 学者以外にはできない仕事である.MSFAはそれ を可能にする.

(4)

3 複層意味フレーム分析の有効性

この節ではMSFAが言語学に対して示唆するこ との幾つかを明確にする.

3.1 意味フレーム分析の実例

意味フレーム分析は言語学に多くのことを示唆す るが,そのうちの一つは,次のことである:

(13) 多くの言語理論で,同一の形態素(e.g., “襲 う”)が異なる言語表現E1,E2で使われるの は,E1,E2の意味が似ていることの現われだ と考えられがちである.だが,これは意味フ レーム分析の観点からすると無条件に正しい とは言えない.

例えば,(14a, b, c)はいずれも“xyを襲った” という形をしているが,図1, 2, 3に示すように,お のおのの文の理解内容は非常に異なる.

(14) a. 覆面の男が銀行を襲った[F03:強盗など の資源強奪]

b. 空腹のライオンがインパラの群れを襲っ た[F06:動物のほかの攻撃(捕食目的] c. 大型の台風が九州を襲った[F10:自然災

害による大規模な被害]

F03, F06, F10は図5に示した意味フレームの階

層ネットーク内部でのフレームのインデックスであ る.詳細は§付録Aにを参照して欲しい.

(14a, b)の理解内容のMSFAによる記述は,図

1, 2, 3にある意味フレーム分析が示す通りである

(行には形態素を,列には意味フレームを並べてい る.意味フレームFの列と形態素mの行との交点 はFでのmの「現われ」,つまり「意味役割」を表 わす.形態素列の* は意味役割が言語的に実現さ れていないことを表わす.表記は大枠,[9, 10]に 従った).

3.2 意味フレームの複層分析が示唆すること

図1, 2, 3にある意味フレーム分析は,とりわけ次

にあげるような点を明らかにする:

(15) 同じ形態素(e.g., “襲う”)が使用されている 文の場合でも,知識構造の観点から見ると,

理解される状況S1,S2は大きく異なりうる.

(16) ヒトがあまりに容易に複雑な知識構造に依存 する文意の理解を達成しているために,背景

となる知識構造が言語学的には重要でないよ うに見えるが,それは正しくない.

(17) 名詞句の「意味」の文全体の解釈への貢献が 明示されている.名詞句の意味は指示ばかり ではない.名詞(句)は意味フレームと言う 形で脳内に表現された状況を喚起する喚起体

(evokers)として機能する.この喚起は統語

構造を媒介にしないで直接行われると信じる 理由が充分にある.

(18) 百科辞書的であることを積極的に認めるなら ば,単に言語知識にそういう地盤があること を「自明の理」とするのではなく,それを適 切に記述し,意味記述に利用してゆく必要が ある

仮に文法的知識を百科全書的な知識から区別すべ きだとしても,どの辺りにその境界を設けるのかは 自明ではない.

3.2.1 言語理解の性質の特定

同じ形態素(e.g., “襲う”)が使用されている文の 場合でも,知識構造の観点から見ると,理解される 状況S1,S2は大きく異なりうる.一方,ヒトがS1, S2に投影する観点(e.g., “犠牲者の発生”)は互いに 似ており,それが共通の形態素(e.g., “襲う”)の選択 として現れる.これらの側面を同時に捉えるMSFA は理解内容を記述するのに有効,かつ強力な手段で ある

3.2.2 言語理解における背景知識の重要性

ヒトがあまりに容易に複雑な知識構造に依存する 文意の理解を達成しているために,背景となる知識 構造が言語学的には重要でないように見えるが,そ れは正しくない.(14a, b)のような,ごく単純に見 える言語表現の理解にも相当量の背景知識が必要と なっている.その背景知識は漠然と文脈(効果)と 言われてきたが,MSFAはそれを意味フレームの統 合という形で明示化している

3.2.3 名詞句の意味論への貢献

名詞句の「意味」の文全体の解釈への貢献が明示 されている.名詞句の意味は指示ばかりではない.

それらの意味フレームの喚起体としての機能は本質 的に重要である.

実際,意味フレームは動詞のみによっては特定不 可能であり,それは多くの場合,動詞が特定の名詞

(5)

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図1 (14a)の複層フレーム分析

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図2 (14b)の複層フレーム分析

()と共起して初めて特定可能である.これは一般 には,いわゆる言い回し(collocations)の効果,より 限定的には構文(効果)(construction (effect)s) [18]

の明示化である.名詞句の意味特徴は,動詞が特定 し切れないフレームを特定するのに重要な役割を演 じる.

これは一方で生成辞書理論 (Generative Lexicon Theory: GLT) [21, 22]と並んで,従来の指示中心の 名詞(句)の意味論からの脱却を促しと同時に,も う一方では従来の動詞中心の文の意味論に対して,

他の要素からの貢献を本質的に重要だと見なす新 しい方向性の意味論,PDP [19, 20]の精神を受け入

れた並列分散意味論(Parallel Distributed Semantics:

PDS)の萌芽となる.

MSFAの主張は,GLTとの対比において特に興味 深いものである.実際,MSFAの記述はGLTの記 述とは矛盾しないが,GLTが語の特質構造(qualia

structure)を限定的に指定するのとは異なった形で

名詞の意味論を文の意味論に反映させる.この点に 関しては次の節で少し詳しく説明したい.

3.3 wの意味の分類か,それともwを含む文の 意味の有界性の記述か

この段階で,図5にあるような有限的記述の有効 性に対し,次のような疑問をもたれる読者も少なく

(6)

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図3 (14c)の複層フレーム分析

ないだろう:

(19) 生成辞書理論によって語の “意味の数え上 げ”アプローチ(sense enumerative approach) の限界が示されているが,あなた方の研究 は,それとはどう折り合いがつくのか? このような疑問は,ある意味では当然の疑問で あり,説明を要する.この節ではそれを簡単に試 みる.

3.3.1 HFN の構築は単にの多義を扱ってい

るわけではない

例えば[13, 14, 15]の研究が“xyを襲う”の解 釈を可能にする意味フレームの階層的ネットワーク の構築によって目指しているのは,支配項となって いる語w(e.g., “襲う”)の語義(word senses)の数え 上げによる分類ではなく,wを含む文S(. . . ,w, . . .)

(e.g., “台風が九州を襲った”, “空腹のライオンがイ

ンパラの群れを襲った”, “覆面の男が銀行を襲っ た”)の有意味性への制約条件を,状況的理解の可能 性という観点から明らかにすることである.

Sが有意味であるための制約条件は,ヒトが理解 可能な状況σの集合をΣ={σ12, . . .}とし,S(=

w1w1···wn)を構成する語の集合をW ={w1,w1, . . . ,wn}とするとき,次のように定義される:

(20) Sが有意味なのは,Sの(W から構成された) 意味M(S)=Φ(M(w1), . . . ,M(wn))が少なく ともΣの一つであるσiに対応するとき,そ の時に限る.

従って,文S(. . . ,w, . . .)という (最低限の)文脈 に置かれた語wの意味の意味の変異は,M(S)と いう環境への調節という形で記述される.この際,

M(S)自体は,解釈の理解可能な状況への引こみ効 果(“attraction to comprehensible situation” effect)を 示す.これは文の意味解釈という高次認知で成立す るトップダウン効果である.

トップダウン効果は認知心理学の研究を通じて幾 つか知られてきたが,その多くは知覚的なもので あった.同様の効果が文の意味理解という高次認知 のレベルで存在することを実証するのが私たちの研 究の狙いの一つである.

このモデル化で重要な点は,次の点にある: (21) 文の意味の語の意味への還元不可能性:

wi によって (統語的に) 構成される文 S(. . . ,wi, . . .) の有意味性の条件は,wi の 意 味 性 の 条 件 ,並 び に M(S) の 有 意 味 性 の条件(e.g., 意味の妥当性 (semantic well-

formedness))とは独立に規定される.

私たちは直接扱っているのはM(S)への制約なの で,語の意味的変異の有限性に関しては,積極的に は何も語っていないわけである.従って,語の意味 の有限性ではなく理解可能な状況の数の有限性は,

GLTが,従来の“語の意味を数え上げる”アプロー チの限界として挙げている問題が妥当しない.語の 意味の変異は確かに,GLTが主張するように有限個 ではないかも知れない.だが,それは有界であると 期待しうる.それは,文の意味の理解可能性の有界

(7)

性が存在するからである.そして,これが成立する のは,文の意味が,(23)に定義する意味で,“強い 意味で構成的”ではないからである.

GLTはおそらく,生成装置によって記述された 演算の下での閉包(closure)によって(文という文脈 内での)語の意味変異の有界性を説明することにな るだろうが,これは現象の説明というよりは記述的 一般化である.これに対し,私たちが試みるのは,

GLTが記述的装置として掲げる幾つかの意味生成 装置が存在する認知的根拠の解明である.

3.3.2 文の意味の構成性に関して

私たちのモデル化でおそらくもっとも過激なの は,意味の構成性の原理(principle of composition-

ality)を無条件に仮定せず,(22)を想定する点に

ある.

(22) a. M(S)は,Sを構成している語{w1,w2, . . .}の意味{M(w1),M(w2), . . .}から 構成されるものではなく,

b. M(S) は,状況という形で,{ M(w1), M(w2), . . .}とは独立に存在する.

3.3.3 構成性原理の二つの解釈

Sの意味の構成性の原理には(23)に示すように,

二通りの解釈があり,私たちは弱い解釈を受けた構

成性原理(23a)を認めるが,強い解釈を受けた構成

性原理(23b)を退ける:

(23) a. 意味の構成性原理の弱い解釈:

Sの意味は,その構成部分W の意味の集 合{M(w1),M(w2), . . .}の意味情報を 継承しなければならないが,Wの意味の 集合に含まれない意味を,何らかの形で Sが他の情報源から取り入れても構わな い.従って,M(S)はW の意味の集合の みによっては定まらない.

b. 意味の構成性原理の強い解釈:

Sの意味は,その構成部分W の意味の集 合{M(w1),M(w2), . . .}の要素の意味 情報を継承し,かつ,それ以外の意味を 取り入れることは許されない.M(S)は W の意味の集合のみによって定まる.

補足的に言っておくと,(23a)が妥当である経験 的根拠は豊富だが,(23b)が妥当である経験的根拠

はまったく存在しない.それは,せいぜい論理学の 体系性や計算可能性の都合上,便宜的に要請される ものでしかない.現実的な心の計算理論の構築,あ るいはそのモデル化を目指すならば,(23a)が妥当

性に(23b)が妥当性を読み込んではならない.

(23a)の弱い解釈の下では,語wiの意味は解釈に

先立って,あらかじめ与えられているものではなく て—例えばLangackerの主張[23, 24]と足並みを 揃えて—その生起環境S(. . . ,wi, . . .)の意味との調 節によって定まるものだと考える.

3.3.4 文の意味の構成性に関して

とはいえ,もちろん,wiの意味について,文脈に 依存しない,必要最低限の意味内容の指定は存在す ると考える.これは生成辞書理論が,語の意味の未 指定性(semantic underspecification)の特性をうま く利用する試みであるのと同じである.

3.3.5 語の意味は文という環境に適応して決まる

このモデル化において解釈を可能としている原理 を言い表す,うまいアナロジーは個体生態環への適応である.具体的には,語の意味は,

S(. . . ,w, . . .)という環境に置かれた語wの意味がS の意味M(S)へと“適応”することで与えられる.

明らかに,生成辞書理論が正しく批判する語の意 味変異の非有限性は,文の有意味性の基盤が有限個 の状況のモデルの集合Σの存在であることに矛盾 しないし,実際には,Σこそが文意の幅の有界性を 保証するものである.ただ,Σを暗黙のうちに想定 しなければ,意味を生成する様々な関数,つまり意 味的適応は,それ自体が定義できない.

3.4 言語的知識と百科全書的な知識の関係 言語的知識と百科事典的な知識の関係は古くから 問題になってきた.この問題には,積極論と消極論 の二つの見解がある.消極論では,意味論は百科事 典的な知識は含まないものだと規定される.積極論 では言語の意味論は進んで百科事典的な知識と結 びつけられ,しばしばその境界が存在しないと主張 される.通例では,意味論に含まれない“厄介”な 詳細は語用論というゴミ箱に投げ捨てられる.「そ れは意味論の問題じゃない.語用論の問題である」

と言って,手に負えない難問を盥回しにするのが従 来の“賢い”言語学者のやり口だった.複層意味フ レーム分析は,そのような恣意的な定義によって問 題をウヤムヤにする必要性を無化する.

(8)

自然言語文

F12: <死亡>

F13: <状態変化>

F14: <使役>

F10: <選択>

F8: <狩り>

F1: <感覚>

F2: <経験> F3: <欲求の満足>

F4: <食物摂取>

食物摂取者

手段 食物

F19: <活動>

活動者

F9: <捕食>

F5: <集団化>

F6: <自衛>

インパラ

襲っ ライオン

行動者 目的

自衛者

手段 外敵

F7: <攻撃>

攻撃者 標的 目的

感覚者

目的

内容 目的

捕食者 獲物

手段 経験者

経験内容

獲物の種類 空腹

群れ

欲求

狩り手 獲物

手段 選択者

候補 選択項目 選択理由

目的 感覚主

F11: <殺害>

殺害者 犠牲者 目的

死亡体 死因 F16: <逃亡>

逃亡者 逃れた危険

非選択項目

F17: <生存>

生存者 手段

F15: <非生存>

非生存者 理由

使役者 起こした事態 形態素 M の意味が意味役割 R

に対応することを示す

A IS-A B 関係: 意味役割 A (より抽象的な)意味役割 B を実 現することによる[存在論的]含

意を示す

A B

M F

変化体 初期状態 結果状態 意味フレームの階層的ネットワーク

A IS-A B 関係: 意味フレーム A が意味役割 B を実現すること

を示す. B は{目的, 手段, ...}

A B

感覚内容 手段

F18: <非活動>

非活動者 内容

図4 (14b)の意味フレーム分析と知識構造との結びつき

複層意味フレーム分析は,極端な積極論,極端な 消極論のどちらの立場も無条件には支持しない.重 要なのは言語的知識と非言語的知識の境界をなく すことではない.本当に必要なのは,言語的意味論 と非言語的意味論のインターフェイスを確立する ことである.複層意味フレーム分析はそれを可能に する.

[25, 23]のように言語の意味が百科辞書的である

ことを積極的に認めるならば,単に言語知識にそう いう地盤があることを「自明の理」とするのではな く,それを適切に記述し,意味記述に利用してゆく 必要がある.複層意味フレーム分析はそのための明 示的な手法を提供する.

仮に文法的知識を百科全書的な知識から区別すべ きだとしても,どの辺りにその境界を設けるのかは 自明ではない.MSFAの記述は,そのような境界 の明示化に貢献する.このことを具体例を通じて示 そう.

3.4.1 (14b)の理解内容のフレームによる記述

図4に(14b)の意味理解がいかに知識構造へと結

びつけられているかを示す.

この図では (14b)の意味理解の際に文に直接結

びつけられているのは,F01: "欲望#, F03: "集団#, F05: "攻撃#のみであることが示されている (ただしF03は知識のないものには理解されていな い可能性が高い).残りは自動的な推論として生じ ている.

3.4.2 深層格やイメージスキーマの貢献

意味フレーム基盤の理解にはゲシュタルト効果が あり,次のような特徴がある:

(24) 意味フレーム階層の上位にある意味フレー ムの内容は,下位フレームの不特定部分 (un(der)specified features)を指定する効果が ない限り,効果をもたない.

(25) 従って,(図1, 2, 3の左端にある)形態素列に 直接結びつけられている意味フレームに記述 された内容が,文の理解内容に特定に対し最 優先される.

これが意味することの一つは,次である:

(26) いわゆる深層格,θ 役割,イメージスキーマ を特定するようなフレームは抽象的すぎて理 解内容の特定に貢献する度合いは低い.

(9)

図 4 ならば,深層格レベルの意味フレームは F10, F12, F14, F15 で あ る .例 え ば ,F14 に は SOURCE-PATH-GOALスキーマがあてはまる.F10

にはCONTAINERスキーマがあてはまる.

重要なのは,これらの抽象的スキーマは(14b)を 読んで,聞いてヒトが理解する内容の大部分を説明 しないということである.これらは上位レベルの,

抽象的情報しか与えなず,具体的な内容は,自動的 に推論で補われるわけではない.なぜなら,推論を 与えるのが,図4ならば,F1: "感覚#, F5: "集団#, F7:"攻撃#などの,より具体的な意味フレーム の内容だからである.従って,実質的な理解に貢献 しているのは,上位フレームではなく,下位フレー ムの内容である.

4 終わりに

複層意味フレーム分析(MSFA)は,ヒトの発話理 解の実質的内容を記述し,データベース化するため に適した分析手法である.それは,「統語構造の派

生(derivation)という概念を完全に放棄する」とい

う条件でなら,部分的に深層構造(deep structures) の知見を再興することすらできる.これは生成言語 学の伝統にある旧来の言語学的分析の「最良の部 分」のみを「不良で無用な部分」を取り除いて復興 させることができるということである.

付録 A “x y を襲うの解釈を可能にす る意味フレームのネットワーク

[11, 13]は,図5に示したような「xyを襲う」

という文の多義性を表現する意味フレームのネッ トワークを同定した.青色で示した15個の最下位 ノードが(27)に示した15個の意味フレームに相当 する(これらのフレームの実在性は[14, 15]で検証 されている)2)

(27) F01:武力抗争;F02:軍事侵略;F03:(強盗な どの)資源強奪;F04: 強姦;F05: 虐待;F06:

動物の攻撃(捕食系);F07:動物の攻撃(非捕 食系);F08:人為災害の発生;F09: (高波など の)小規模な自然災害;F10:(地震などの)大 規模な自然災害;F11:疫病の流行;F12:活動

2)最新の分析結果は18個の最下位フレームが存在すること を示しているが,今回の発表には反映させていない.

への打撃の発生;F13: 発病(非一時的な心身 の異常);F14:発症(一時的な体の異常);F15:

悪感情の発生(一時的な心の異常)

これらの意味フレームは「襲う」という語の選 択制限に反映される限り,なるべく細かく区別し た.例えば “{地震,台風, . . . } が太郎[+human,

grouped]を襲った”が些か奇妙なのに対し“{ 波,突風, . . .}が太郎[+human,grouped]を襲っ た”は自然である.これはF09, F10の区別の根拠 となる.

参照文献

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[9] 黒田航,井佐原均.日本語の意味タグ体系を定義する 試み: FrameNetの視点から. 言語処理学会第10回

(10)

ROOT:

害の発生 A,B: 動 物の攻撃

C,D: 厄 災の発生

B: ヒトのヒ トへの攻撃

F01,02: 勢 力争い

F(02,)03(,04): 

資源強奪

F(04,)05: 

暴行

F02: 侵略

組員が敵対する組長を襲った 資源の乏しい国が隣国を襲った

F05: 虐待 F04: 強姦

覆面の男が銀行を襲った

通り魔が小学生を襲った ストーカーが若い女性を襲った A: ヒト以外

の動物の攻撃

F06: 捕食のた めの攻撃 F07: 捕食のた

めでない攻撃

狼が子羊を襲った

スズメバチの群れが人を襲った

F09,10(,11): 

自然災害の発生

D: 異変 (厄)の発生

F11: 疫病の流行

高波が海水浴客を襲った F09: 小規模

F10: 大規模 地震が東京を襲った

ペストがその町を襲った 大型の不況がその国を襲った F12: 活動へ

の打撃

不安が彼を襲った 肺癌が働盛りの彼を襲った

より抽象的 より具体的

暴走トラックが子供を襲った F08: 不慮の事故

の発生

C: 災害の 発生

F01: 武力抗争

F13,14,15: 

心身の異常の 発生

F13: 発病(非一時 的な身体の異常)

F14,15: 一時 的な心身の異常

F14: 発症(一時 的な体の異常) F15: 悪感情(一 時的な心の異常)

無力感が彼を襲った 痙攣が患者を襲った B: 人為災害

の発生

F07a: ナワバリ争い F07b: 自衛行動

サルの群れが別の群れを襲った

図5 xyを襲うの意味フレームの階層ネットワーク

年次大会発表論文集, 148–151.言語処理学会, 2004.

[増 補 改 訂 版: http://clsl.hi.h.kyoto-u.ac.

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参照

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