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東京海上ホールディングス株式会社 長村 政明

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Academic year: 2023

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【令和4年度 日本保険学会全国大会】

シンポジウム「社会課題の解決に向けた保険の意義と課題」

報告要旨:長村 政明

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パートⅡ.レジリエントな社会づくりに向けた保険の意義~国際的な論議から の示唆

東京海上ホールディングス株式会社 長村 政明

1.社会的リスク認識

政府及び社会への災害の財政的影響を軽減するために、災害リスク移転・保険などの仕組 みを促進することの必要性は、2015年の国連防災世界会議で採択された仙台防災枠組みにて 明示的に謳われた。また、日本が深く関わる地域共同体であるアジア太平洋経済協力

(APEC)の財務大臣プロセス(FMP)においても、同じ年に合意された向こう10年間の金 融・財政課題をまとめた「セブ行動計画」の中で、「災害リスクファイナンシングと保険」

への取組みが明記された。

2015年は国連総会にてSDGsが採択された年としても記憶されるが、同年末にはCOP21 でパリ協定も採択されており、気候変動のもたらすリスクが注目を集め、同課題に対して国 際社会が共通して取り組むべきことが確認された。これと並行して、金融安定理事会

(FSB)が発足させた気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)により策定され、

2017年に公表された最終提言の中で、気候変動がもたらす物理的リスク及び、脱炭素化移行 の過程で生じる移行リスクに対するリスク管理について開示することが推奨された。これに より、企業社会においても気候関連リスクについて、企業価値を左右する一要素として経営 レベルで認識し、対策を講じる機運が高まった。

こうした企業の情報開示推進への社会的期待は、COP26において1.5℃努力目標がデファ クト目標化されたことに伴う2050年の温室効果ガス正味ゼロ排出達成に向けた論議、また それを実現させるための「移行計画」策定へのニーズ向上をもたらし、金融各セクターにお ける行動を促す流れをも導いた。保険業界においては2021年7月にNet-Zero Insurance

Alliance(NZIA)が設立されたことに象徴されるように、社会の脱炭素化に向け、保険会社

の果たすべき役割が問われている。

2.災害レジリエンス強化に向けたキャパシティビルディング

APEC FMPにおいては、域内の災害レジリエンス強化に向け、これまでに幾つかの切り口

で政策当局者のキャパシティビルディングに資する知見提供を民間保険会社として行ってき た。プロテクションギャップが指摘されることの多い公的資産の災害リスクへの対応、低所 得層への災害補償を低廉に提供するマイクロインシュアランスの普及策、災害時に一国の財 政の安定化を図る目的で手配する大災害債券(catastrophe bonds)を組成するメリデメ、パン

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【令和4年度 日本保険学会全国大会】

シンポジウム「社会課題の解決に向けた保険の意義と課題」

報告要旨:長村 政明

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デミックリスク移転における官民連携の在り方等々が挙げられる。何れの取組みにおいて も、各国財務当局者における保険への理解を促すことに重きが置かれており、改めて保険を 社会のレジリエンス強化の仕組みとして活用していく余地が大きいことに気付かされる。

3.事前積立型財務プロテクションの重要性

IDFのイヤーヘン事務局長も言及する通り、自然災害に加え、近年では新型コロナ感染症 により、各国財政が大きく圧迫されたことを受け、次なる災禍に備えるために事前積立型の 財政措置の必要性が従来以上に注目されている。

4.レジリエンスと投資判断

リスクに対する備えを進める上では保険が果たせる機能についての理解向上に向けた不断 の努力が求められる。上述の取組みは何れも政策当局者に対する働き掛けを主眼としている が、将来的には投資家乃至事業会社における投資判断にもリスクに対する備え、即ちレジリ エンスの要素がより強く意識されるようになれば、保険に対する関心も自ずと高まることが 期待される。近年では投資判断にレジリエンスをどのように織り込んでいくべきかについて の国際的な論議も始まっており、今後の進展に期待している。

参照

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