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応用複素関数第 1 - 明治大学

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(1)

応用複素関数 第 1 回

〜 ガイダンス,留数定理の応用 第1回 〜

かつらだ

桂田 祐史ま さ し

2020513

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 1 / 25

(2)

ガイダンス (1) 講義内容

(複素関数・同演習の履修を前提とするので、自己紹介はカットします。) 内容は二本立て。複素関数論の基礎 (「複素関数」の続き) と、応用 トピックの紹介

複素関数論の基礎的事項 (テキストに載っていること多い)

留数定理の応用 続き(定積分、無限級数の和の計算)

無限遠点の導入,リーマン球面Cb=C∪ {∞}, 1次分数変換w =czaz+b+d

等角写像, Riemannの写像定理,ポテンシャル問題

解析接続(時間なくなりそうな予感がする…)

(試験向きの話もあるが今年度は… 「常識として聴いておけ」というものも) 応用トピックの紹介

流体力学への応用(2次元ポテンシャル流など)

数値積分公式の誤差解析,特に台形公式の最適性と二重指数関数型積分公式 ポテンシャル問題の数値解法

佐藤超関数

(コンピューターを使う場面が多い。レポート課題を出す。)

これらの項目は、完全に独立しているわけでなく、色々関係がある。

(3)

ガイダンス (1) 講義内容

(複素関数・同演習の履修を前提とするので、自己紹介はカットします。) 内容は二本立て。複素関数論の基礎 (「複素関数」の続き) と、応用 トピックの紹介

複素関数論の基礎的事項 (テキストに載っていること多い)

留数定理の応用 続き(定積分、無限級数の和の計算)

無限遠点の導入,リーマン球面Cb=C∪ {∞}, 1次分数変換w =czaz+b+d

等角写像, Riemannの写像定理,ポテンシャル問題

解析接続(時間なくなりそうな予感がする…)

(試験向きの話もあるが今年度は… 「常識として聴いておけ」というものも) 応用トピックの紹介

流体力学への応用(2次元ポテンシャル流など)

数値積分公式の誤差解析,特に台形公式の最適性と二重指数関数型積分公式 ポテンシャル問題の数値解法

佐藤超関数

(コンピューターを使う場面が多い。レポート課題を出す。)

これらの項目は、完全に独立しているわけでなく、色々関係がある。

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 2 / 25

(4)

ガイダンス (1) 講義内容

(複素関数・同演習の履修を前提とするので、自己紹介はカットします。) 内容は二本立て。複素関数論の基礎 (「複素関数」の続き) と、応用 トピックの紹介

複素関数論の基礎的事項 (テキストに載っていること多い)

留数定理の応用 続き(定積分、無限級数の和の計算)

無限遠点の導入,リーマン球面Cb=C∪ {∞}, 1次分数変換w =czaz+b+d

等角写像, Riemannの写像定理,ポテンシャル問題

解析接続(時間なくなりそうな予感がする…)

(試験向きの話もあるが今年度は… 「常識として聴いておけ」というものも)

応用トピックの紹介

流体力学への応用(2次元ポテンシャル流など)

数値積分公式の誤差解析,特に台形公式の最適性と二重指数関数型積分公式 ポテンシャル問題の数値解法

佐藤超関数

(コンピューターを使う場面が多い。レポート課題を出す。)

これらの項目は、完全に独立しているわけでなく、色々関係がある。

(5)

ガイダンス (1) 講義内容

(複素関数・同演習の履修を前提とするので、自己紹介はカットします。) 内容は二本立て。複素関数論の基礎 (「複素関数」の続き) と、応用 トピックの紹介

複素関数論の基礎的事項 (テキストに載っていること多い)

留数定理の応用 続き(定積分、無限級数の和の計算)

無限遠点の導入,リーマン球面Cb=C∪ {∞}, 1次分数変換w =czaz+b+d

等角写像, Riemannの写像定理,ポテンシャル問題

解析接続(時間なくなりそうな予感がする…)

(試験向きの話もあるが今年度は… 「常識として聴いておけ」というものも) 応用トピックの紹介

流体力学への応用(2次元ポテンシャル流など)

数値積分公式の誤差解析,特に台形公式の最適性と二重指数関数型積分公式 ポテンシャル問題の数値解法

佐藤超関数

(コンピューターを使う場面が多い。レポート課題を出す。)

これらの項目は、完全に独立しているわけでなく、色々関係がある。

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 2 / 25

(6)

ガイダンス (2) どんなふうに授業するか

(正直、オンライン授業は手探りです…慎重にスタートするつもりです。)

複素関数論の基礎については、オンデマンド講義で行ける、と考え ています。大学側からは、1回の授業に、10分程度の動画を5本く らい提供するのが目安と言われています(板書必要ないし、割と妥当 そうです)。僕は詰め込む性質なので、トータル60分強になるかも しれません。100分との差は、こちらが提示した資料から重要なと ころを書き抜いたり、用意された練習問題を解くと良いと思います。 コンピューター実習を伴うところは、対面指導できないけれど、オ ンデマンド授業+Zoomでの対応で出来ないかな、と考えています が…学生が自分のMac でどうなっているかを、こちらにZoomの画 面共有を使って見せることが出来るかどうか問題です。受講者数と か、ネットの混み具合とか、不確定要素が多いので、現時点で確実 なことは言えません(ちょっと不安…でもやってみる)。

(7)

ガイダンス (2) どんなふうに授業するか

(正直、オンライン授業は手探りです…慎重にスタートするつもりです。) 複素関数論の基礎については、オンデマンド講義で行ける、と考え ています。大学側からは、1回の授業に、10分程度の動画を5本く らい提供するのが目安と言われています(板書必要ないし、割と妥当 そうです)。僕は詰め込む性質なので、トータル60分強になるかも しれません。100分との差は、こちらが提示した資料から重要なと ころを書き抜いたり、用意された練習問題を解くと良いと思います。

コンピューター実習を伴うところは、対面指導できないけれど、オ ンデマンド授業+Zoomでの対応で出来ないかな、と考えています が…学生が自分のMac でどうなっているかを、こちらにZoomの画 面共有を使って見せることが出来るかどうか問題です。受講者数と か、ネットの混み具合とか、不確定要素が多いので、現時点で確実 なことは言えません(ちょっと不安…でもやってみる)。

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 3 / 25

(8)

ガイダンス (2) どんなふうに授業するか

(正直、オンライン授業は手探りです…慎重にスタートするつもりです。) 複素関数論の基礎については、オンデマンド講義で行ける、と考え ています。大学側からは、1回の授業に、10分程度の動画を5本く らい提供するのが目安と言われています(板書必要ないし、割と妥当 そうです)。僕は詰め込む性質なので、トータル60分強になるかも しれません。100分との差は、こちらが提示した資料から重要なと ころを書き抜いたり、用意された練習問題を解くと良いと思います。

コンピューター実習を伴うところは、対面指導できないけれど、オ ンデマンド授業+Zoomでの対応で出来ないかな、と考えています が…学生が自分のMac でどうなっているかを、こちらにZoomの画 面共有を使って見せることが出来るかどうか問題です。受講者数と か、ネットの混み具合とか、不確定要素が多いので、現時点で確実 なことは言えません(ちょっと不安…でもやってみる)。

(9)

ガイダンス (3) 成績評価、質問

現時点で期末試験が通常の形態でできるかどうか分かりません。何 かうまいやり方があるかどうか(世界中で考えてるだろうけれど、良 いアイディアは聞いたことがない)。多分ペーパーテストという枠を 超えて成績評価すべきなのでしょう。結局は安直に「全てレポート で評価」としそうです。

例年「気軽に質問にして」と言うことにしてますが…

試しに授業時間後半(水曜 18:0018:50)Zoom会議を開いてみ ます。質問をするために、ある程度、Zoomに慣れる必要がありま すね。(ゼミで使うはずだから大丈夫かな?)

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 4 / 25

(10)

ガイダンス (3) 成績評価、質問

現時点で期末試験が通常の形態でできるかどうか分かりません。何 かうまいやり方があるかどうか(世界中で考えてるだろうけれど、良 いアイディアは聞いたことがない)。多分ペーパーテストという枠を 超えて成績評価すべきなのでしょう。結局は安直に「全てレポート で評価」としそうです。

例年「気軽に質問にして」と言うことにしてますが…

試しに授業時間後半(水曜 18:0018:50)Zoom会議を開いてみ ます。質問をするために、ある程度、Zoomに慣れる必要がありま すね。(ゼミで使うはずだから大丈夫かな?)

(11)

1. 続 留数定理の応用

はじめに

まず軽く留数定理と、極における留数の計算法を復習する。それから、

有名な Z

0

sinx

x dx の説明(「複素関数」で説明しそびれた(る) ので。)

(積分路上に1位の極があるとき、どうなるかは学ぶに価する。) 無限和

X n=−∞

f(n) の計算の話も知っておくと良い。 (登場する πcosecπz = π

sinπz,πcotπz = πcosπz

sinπz が意外と人気者) 有限区間の積分

Z b

a

f(x)dx の計算への、留数定理の応用は、後の数

値積分公式の誤差解析や、佐藤超関数に通じるところがある。— こ れは時間がなければカットするかも(後になってから話しても良い ので)。

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 5 / 25

(12)

1. 続 留数定理の応用

はじめに

まず軽く留数定理と、極における留数の計算法を復習する。それから、

有名な Z

0

sinx

x dx の説明(「複素関数」で説明しそびれた(る) ので。)

(積分路上に1位の極があるとき、どうなるかは学ぶに価する。)

無限和 X n=−∞

f(n) の計算の話も知っておくと良い。 (登場する πcosecπz = π

sinπz,πcotπz = πcosπz

sinπz が意外と人気者) 有限区間の積分

Z b

a

f(x)dx の計算への、留数定理の応用は、後の数

値積分公式の誤差解析や、佐藤超関数に通じるところがある。— こ れは時間がなければカットするかも(後になってから話しても良い ので)。

(13)

1. 続 留数定理の応用

はじめに

まず軽く留数定理と、極における留数の計算法を復習する。それから、

有名な Z

0

sinx

x dx の説明(「複素関数」で説明しそびれた(る) ので。)

(積分路上に1位の極があるとき、どうなるかは学ぶに価する。) 無限和

X n=−∞

f(n) の計算の話も知っておくと良い。

(登場する πcosecπz = π

sinπz,πcotπz = πcosπz

sinπz が意外と人気者)

有限区間の積分 Z b

a

f(x)dx の計算への、留数定理の応用は、後の数

値積分公式の誤差解析や、佐藤超関数に通じるところがある。— こ れは時間がなければカットするかも(後になってから話しても良い ので)。

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 5 / 25

(14)

1. 続 留数定理の応用

はじめに

まず軽く留数定理と、極における留数の計算法を復習する。それから、

有名な Z

0

sinx

x dx の説明(「複素関数」で説明しそびれた(る) ので。)

(積分路上に1位の極があるとき、どうなるかは学ぶに価する。) 無限和

X n=−∞

f(n) の計算の話も知っておくと良い。

(登場する πcosecπz = π

sinπz,πcotπz = πcosπz

sinπz が意外と人気者) 有限区間の積分

Z b

a

f(x)dx の計算への、留数定理の応用は、後の数

値積分公式の誤差解析や、佐藤超関数に通じるところがある。— こ れは時間がなければカットするかも(後になってから話しても良い ので)。

(15)

1.1 留数定理と極における留数の計算 (1)

この1.1は復習なので、超特急で進めます。使いそうなものを列挙しました。(うろ覚え ならば「複素関数」復習してください。)

命題 (留数定理)

D はC内の有界領域で、その境界∂D は区分的C1 級正則単純閉曲線と する(向きはいわゆる正の向きとする)。また c1, c2,· · ·, cN D 内の相 異なる点であり、ΩはD Ωを満たす Cの開集合、

f : Ω\ {c1,c2,· · · ,cN} →Cは正則とする。このとき、

Z

∂D

f(z)dz = 2πi XN

j=1

Res(f;cj).

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 6 / 25

(16)

1.1 留数定理と極における留数の計算 (2)

留数を求める方法はケース・バイ・ケースであるが、極の場合は少し 一般的な話ができる (知っておくべき)。

命題 (極の留数)

k N, cf の高々 k 位の極ならば、

Res(f;c) = lim

=c zc

1 (k−1)!

d dz

k1h

(z−c)kf(z) i

.

(次の定理は、この定理に含まれているが、念のため書いておく。) 命題 (1位の極の留数)

c f の高々1 位の極ならば、

Res(f;c) = lim

zc(z−c)f(z). (1)

(17)

1.1 留数定理と極における留数の計算 (3)

(lim 求めるより、微分を計算する方が簡単なこともある、ということで 次も良く使う。)

命題 (有理関数の分母の1位の零点における留数)

f(z) = Q(z)

P(z), P(z) Q(z) c の近傍で正則、c P(z) 1位の零点 (P(c) = 0かつ P(c)̸= 0 ということ) ならば、cf の高々1位の極で

Res(f;c) = Q(c)

P(c). (2)

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 8 / 25

(18)

1.1 留数定理と極における留数の計算 (4)

次の命題は「複素関数」ではやや軽めの扱いだった。後の例では φ(z) = logz, φ(z) =πcosecπz, φ(z) =πcotπz として利用することが多い。

命題 (1位の極を持つ関数と正則関数の積の留数)

cf の1位の極であり、φc の近傍で正則とする。このとき Res(;c) =φ(c)Res(f;c).

Proof.

(念のため略証だけでも) Res(;c) = lim

zc(z−c) (f(z)φ(z)) =

zlimc(z −c)f(z)

zlimcφ(z)

=Res(f;c)φ(c).

(19)

1.2 定積分計算への留数の応用 (1) 復習

z の複素係数多項式全体をC[z] で表す。多項式の次数をdegで表す。

命題 (有理関数の実軸上の積分)

P(z),Q(z)C[z],degP(z)degQ(z) + 2, (x R) P(x)̸= 0, f(z) =Q(z)

P(z) とするとき、

Z

−∞

f(x)dx = 2πi X

Imc>0

Res(f;c).

命題 (有理関数のFourier変換)

P(z),Q(z)C[z],degP(z)degQ(z) + 1, (x R) P(x)̸= 0, f(z) =Q(z) P(z), a>0とするとき、

Z

−∞

f(x)eiax dx= 2πi X

Imc>0

Res f(z)eiaz;c .

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 10 / 25

(20)

1.2 定積分計算への留数の応用 (2) その他

上の定理(「複素関数」で学んだ)以外にも色々ある。

簡単のため、f は有理関数とする。次のような定積分についても、留 数定理を応用した計算法がある (どちらも対数関数がらみ)。

n∈Z,n≥0 に対して、

Z

0

f(x)(logx)ndx 0< α <1 に対して、

Z

0

xαf(x)dx (Mellin変換)

次のテキストは、コンパクトだが、面白い例がたくさん載っている。

一松 信,留数解析 留数による定積分と級数の計算,共立出版 (1979).

(こういうのが好きな人もいるだろうから、授業で紹介しなかった方法を 使う例を詳しく説明しなさい、という課題はあるかな。)

(21)

sin x

x のグラフ

sinx

x のグラフ(x → ±∞で減衰していく) Z

0

sinx

x dx はどうなる?

ε+0,Rlim+

Z R

ε

sinx

x dx と考えるべき??

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 12 / 25

(22)

1.3 Dirichlet 積分 Z

0

sin x

x dx = π

2 ( 難しさを語る )

とても有名な定積分である。

被積分関数は、Fourier解析を勉強した人にはおなじみのsincである。

分母がx であり、積分区間の端で0 になるので、その意味でも広義積分であ る。x0のとき sinx

x 1であるので(複素関数論的にも0sinz

z の除去可能 特異点である)、x= 0 で連続とみなせる。ゆえに広義積分が収束(存在)するこ とが分かる。——これは認めよう(比較的簡単)。

ところが sinz

z は複素関数としては、絶対値が非常に大きくなることもあり、 これを使って積分の値を求めるのは難しい。

「複素関数」でも時々出て来た sinx =Imeix という関係を使おう。 Z

0

sinx x dx=1

2 Z

−∞

sinx x dx= 1

2 Z

−∞

Imeix x dx=1

2Im Z

−∞

eix x dx. さっき出て来た定理が使える?

そのままでは使えない! eix

xx= 0でマズい状態 (分母0,分子̸= 0)。この広 義積分は収束しない。

(P(x) =x が、さっきの定理の条件「(xR)P(x)̸= 0」を満たさない。)

(23)

1.3 Dirichlet 積分 Z

0

sin x

x dx = π

2 ( 難しさを語る )

とても有名な定積分である。

被積分関数は、Fourier解析を勉強した人にはおなじみのsincである。

分母がx であり、積分区間の端で0 になるので、その意味でも広義積分であ る。x0のとき sinx

x 1であるので(複素関数論的にも0sinz

z の除去可能 特異点である)、x= 0で連続とみなせる。ゆえに広義積分が収束(存在)するこ とが分かる。——これは認めよう(比較的簡単)。

ところが sinz

z は複素関数としては、絶対値が非常に大きくなることもあり、 これを使って積分の値を求めるのは難しい。

「複素関数」でも時々出て来た sinx =Imeix という関係を使おう。 Z

0

sinx x dx=1

2 Z

−∞

sinx x dx= 1

2 Z

−∞

Imeix x dx=1

2Im Z

−∞

eix x dx. さっき出て来た定理が使える?

そのままでは使えない! eix

xx= 0でマズい状態 (分母0,分子̸= 0)。この広 義積分は収束しない。

(P(x) =x が、さっきの定理の条件「(xR)P(x)̸= 0」を満たさない。)

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 13 / 25

(24)

1.3 Dirichlet 積分 Z

0

sin x

x dx = π

2 ( 難しさを語る )

とても有名な定積分である。

被積分関数は、Fourier解析を勉強した人にはおなじみのsincである。

分母がx であり、積分区間の端で0 になるので、その意味でも広義積分であ る。x0のとき sinx

x 1であるので(複素関数論的にも0sinz

z の除去可能 特異点である)、x= 0で連続とみなせる。ゆえに広義積分が収束(存在)するこ とが分かる。——これは認めよう(比較的簡単)。

ところが sinz

z は複素関数としては、絶対値が非常に大きくなることもあり、

これを使って積分の値を求めるのは難しい。

「複素関数」でも時々出て来た sinx =Imeix という関係を使おう。 Z

0

sinx x dx=1

2 Z

−∞

sinx x dx= 1

2 Z

−∞

Imeix x dx=1

2Im Z

−∞

eix x dx. さっき出て来た定理が使える?

そのままでは使えない! eix

xx= 0でマズい状態 (分母0,分子̸= 0)。この広 義積分は収束しない。

(P(x) =x が、さっきの定理の条件「(xR)P(x)̸= 0」を満たさない。)

(25)

1.3 Dirichlet 積分 Z

0

sin x

x dx = π

2 ( 難しさを語る )

とても有名な定積分である。

被積分関数は、Fourier解析を勉強した人にはおなじみのsincである。

分母がx であり、積分区間の端で0 になるので、その意味でも広義積分であ る。x0のとき sinx

x 1であるので(複素関数論的にも0sinz

z の除去可能 特異点である)、x= 0で連続とみなせる。ゆえに広義積分が収束(存在)するこ とが分かる。——これは認めよう(比較的簡単)。

ところが sinz

z は複素関数としては、絶対値が非常に大きくなることもあり、

これを使って積分の値を求めるのは難しい。

「複素関数」でも時々出て来た sinx =Imeix という関係を使おう。

Z

0

sinx x dx=1

2 Z

−∞

sinx x dx= 1

2 Z

−∞

Imeix x dx=1

2Im Z

−∞

eix x dx. さっき出て来た定理が使える?

そのままでは使えない! eix

xx= 0でマズい状態 (分母0,分子̸= 0)。この広 義積分は収束しない。

(P(x) =x が、さっきの定理の条件「(xR)P(x)̸= 0」を満たさない。)

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 13 / 25

(26)

1.3 Dirichlet 積分 Z

0

sin x

x dx = π

2 ( 難しさを語る )

とても有名な定積分である。

被積分関数は、Fourier解析を勉強した人にはおなじみのsincである。

分母がx であり、積分区間の端で0 になるので、その意味でも広義積分であ る。x0のとき sinx

x 1であるので(複素関数論的にも0sinz

z の除去可能 特異点である)、x= 0で連続とみなせる。ゆえに広義積分が収束(存在)するこ とが分かる。——これは認めよう(比較的簡単)。

ところが sinz

z は複素関数としては、絶対値が非常に大きくなることもあり、

これを使って積分の値を求めるのは難しい。

「複素関数」でも時々出て来た sinx =Imeix という関係を使おう。

Z

0

sinx x dx=1

2 Z

−∞

sinx x dx= 1

2 Z

−∞

Imeix x dx=1

2Im Z

−∞

eix x dx.

さっき出て来た定理が使える?

そのままでは使えない! eix

xx= 0でマズい状態 (分母0,分子̸= 0)。この広 義積分は収束しない。

(P(x) =x が、さっきの定理の条件「(xR)P(x)̸= 0」を満たさない。)

(27)

1.3 Dirichlet 積分 Z

0

sin x

x dx = π

2 ( 難しさを語る )

とても有名な定積分である。

被積分関数は、Fourier解析を勉強した人にはおなじみのsincである。

分母がx であり、積分区間の端で0 になるので、その意味でも広義積分であ る。x0のとき sinx

x 1であるので(複素関数論的にも0sinz

z の除去可能 特異点である)、x= 0で連続とみなせる。ゆえに広義積分が収束(存在)するこ とが分かる。——これは認めよう(比較的簡単)。

ところが sinz

z は複素関数としては、絶対値が非常に大きくなることもあり、

これを使って積分の値を求めるのは難しい。

「複素関数」でも時々出て来た sinx =Imeix という関係を使おう。

Z

0

sinx x dx=1

2 Z

−∞

sinx x dx= 1

2 Z

−∞

Imeix x dx=1

2Im Z

−∞

eix x dx.

さっき出て来た定理が使える?

そのままでは使えない! eix

xx= 0でマズい状態 (分母0,分子̸= 0)。この広 義積分は収束しない。

(P(x) =x が、さっきの定理の条件「(xR)P(x)̸= 0」を満たさない。)

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 13 / 25

(28)

1.4 主値積分 (1) 紹介

実軸上の区間 [a,b]で連続な関数 f,c (a,b) に対して、広義積分 Z b

a

f(x)

x−cdx = lim

ε12+0

Z cε1

a

f(x) x−cdx+

Z b

c+ε2

f(x) x−cdx

は一般には存在しない (f(c)̸= 0 であれば発散する) しかし(ε1 =ε2 という制限をつけての極限)

εlim+0

Z cε

a

f(x) x−cdx+

Z b

c+ε

f(x) x−cdx

は存在することがある。このとき、この極限値を

p.v.

Z b

a

f(x) x−cdx

と表し、Cauchyの主値積分(the Cauchy principal value)と呼ぶ。

一般の場合の定義は書かない。特異点を避ける「穴」を(右と左で同じ になるよう) 対称性があるように取るのが要点である。

(29)

1.4 主値積分 (2) 例 広義積分は発散、主値積分は存在

Example (広義積分は発散するが、主値積分は存在する) a<0<b とするとき、I1 :=

Z b

a

dx

x は発散するが、

I2:=p.v.

Z b

a

dx

x = log b

|a|. 実際、

Z ε1

a

dx x +

Z b

ε2

dx

x = [log|x|]aε1+ [log|x|]bε

2

= logε1log|a|+ logb−logε2= log b

|a|+ logε1 ε2

であるから、ε1, ε2 +0としても収束しないが、ε1 =ε2=εとして ε→+0とすればlog|ba| に収束する。ゆえにI1 は収束せず、I2 = log|ba|.

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 15 / 25

(30)

1.4 主値積分 (3) 実軸上に 1 位の極がある場合

定理 (実軸上に1位の極がある場合の定積分の公式)

P(z),Q(z)C[z], f(z) =Q(z)P(z), PR上で高々1位の零点しか持たないと する。

(1) degP(z)degQ(z) + 2のとき p.v.

Z

−∞

f(x)dx=2πi X

Imc>0

Res(f;c) +πi X

Imc=0

Res(f;c).

(2) degP(z)degQ(z) + 1のとき、任意のa>0に対して p.v.

Z

−∞

f(x)eiax dx=2πi X

Imc>0

Res(f(z)eiaz;c)

+πi X

Imc=0

Res(f(z)eiaz;c).

(実軸上の孤立特異点(Imc= 0を満たすc)の留数は半分だけ加えれば良い。)

(31)

1.4 主値積分 (4) 状況の図による説明

これまで: (∀x∈R) P(x)̸= 0

今回: P(c) = 0, P(c)̸= 0,Imc = 0 を満たすc が存在しうる

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 17 / 25

(32)

定理 1 (1) の証明の概略 (part 1)

f の極のうち、実軸上にあるものをc1<c2<· · ·<cN とする。

D(cj;ε) cj 以外の極が含まれないようにε >0 を十分小さく取る。

R を十分大きく取り、f のすべての極が |z|<R の中にあり、

−R <c1−ε,cN+ε <R を満たすとする。

半円弧Cε,j (j = 1,· · · ,N) を

−Cε,j :z =cj +εe (θ∈[0, π]) で定め (ふつうと逆向き,時計回り)

Γε,R := [−R,c1−ε] +

NX1 j=1

(Cε,j + [cj +ε,cj+1−ε]) + [cN+ε,R], CR :z =Re (θ∈[0, π]),

γε,R := Γε,R +CR

により閉曲線 γε,R を定める。

(33)

定理 1 (1) の証明の概略 (part 2)

留数定理により、

Z

γε,R

f(z)dz = 2πi X

Imc>0

Res(f;c).

左辺= Z c1ε

R

f(x)dx+ XN

j=1

Z

Cε,j

f(z)dz+

Z cj+1ε cj+ε

f(x)dx

! +

Z R cN+ε

f(x)dx

+ Z

CR

f(z)dz

=

Z c1ε

R

f(x)dx+ XN

j=1

Z cj+1ε cj+ε

f(x)dx+ Z R

cN+ε

f(x)dx

+ XN

j=1

Z

Cε,j

f(z)dz

+ Z

CR

f(z)dz.

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 19 / 25

(34)

定理 1 (1) の証明の概略 (part 3) じっくり考えよう

ε+0のとき、右辺第1項は Zc1ε

R

f(x)dx+

NX1

j=1

Z cj+1ε cj+ε

f(x)dx+ Z R

cN+ε

f(x)dxp.v.

Z R

R

f(x)dx.

右辺第2項について考える。f cj におけるLaurent展開の主部はRes(f;cj) zcj

である。

gj を、gj(z) :=f(z)Res(f;cj) zcj

で定めると、

Z

Cε,j

f(z)dz= Z

Cε,j

Res(f;cj) zcj

dz+ Z

Cε,j

gj(z)dz, Z

Cε,j

Res(f;cj) zcj

dz= Z π

0

Res(f;cj)

εeiθ ·iεeiθ=−πiRes(f;cj).

gj cjの十分小さな近傍で正則であるから、ε+0とするとき Z

Cε,j

gj(z)dz0.

ゆえにε+0のとき XN

j=1

Z

Cε,j

f(z)dz → −πi XN

j=1

Res(f;cj).

(35)

定理 1(1) の証明の概略 (part 4)

ゆえに

p.v.

Z R

R

f(x)dx−πi XN j=1

Res(f;cj) + Z

CR

f(z)dz= 2πi X

Imc>0

Res(f;c)

R + のとき、左辺第3項は0に収束する。ゆえに p.v.

Z

−∞f(x)dx = 2πi X

Imc>0

Res(f;c) +πi XN

j=1

Res(f;cj).

(「この証明を細部まできちんと書け」というのは良い課題になるかも。)

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 21 / 25

(36)

1.5 Dirichlet 積分 Z

0

sin x

x dx = π

2 ( 解決 )

I = Z

0

sinx

x dx = 1 2

Z

−∞

sinx x dx.

これは普通の広義積分として収束し、主値積分とも一致する。

I = 1 2 p.v.

Z

−∞

sinx

x dx = 1 2 p.v.

Z

−∞Imeix

x dx = 1 2 Im

p.v.

Z

−∞

eix x dx

.

定理1 (2)を用いて主値積分を計算すると

I = 1 2Im

πiRes

eiz z ; 0

= 1 2Im

πi eiz

(z)

z=0

= 1

2·Im πi·ei0

= π 2.

(注意 「複素関数」の教科書(神保[1])では、この定積分は主値積分という言葉は使わ ずに説明してあるが、実際にやっている議論は上と同じである。主値積分は色々なところ で顔を出すので、それを紹介するような説明をしてみた。)

(37)

本日のまとめ

この講義科目のガイダンスを行った。

1 続 留数定理の応用のイントロ 1.1, 1.2「複素関数」の復習 題材として

Z

0

sinx

x dx を選択 主値積分の紹介

実軸上に1位の極を持つ有理関数f に対して、(主値)積分 p.v.

Z

−∞

f(x)dx, p.v.

Z

−∞

f(x)eiaxdx を留数で計算する方法の紹介

かつらだ 桂 田 まさし

祐 史 () 応用複素関数 第1 2020513 23 / 25

(38)

反省 ( 授業では説明しないかも )

今回は、以下の命題の証明はスルーしてしまった1。自力で解いた人が いたら、レポート受け付けます。

(a) lim

R+

Z R 0

sinx

x dxが収束する。つまり Z

0

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