4
〜n乗根〜
かつらだ
桂田 祐史ま さ し
2020
年9
月30
日かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 1 / 19
目次
1 本日の内容・連絡事項
2 複素数の定義と基本的な性質 n乗根
定義と極形式表示
±1のn乗根
よくあるよくない解答
余談1: 定木とコンパスによる正n角形の作図(円周の等分) 余談2: sin 1◦, cos 1◦を求めて
遊び(脱線)の時間: Mathematicaでzn=c を解く
3 参考文献
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 2 / 19
連絡事項
宿題1,問題に誤植があって、かなりの迷惑になってしまって、とても申し訳なく思 います。しかしz2= 1−2i でなくてz2= 1−2ii= 3だと、z2は実数になってし まって、簡単になり過ぎて、複素数の計算が正しくできるかのチェックにならな いので、z2= 1−2i で計算してみて下さい。
ちなみに類題を期末試験に出すと、得点率は60%台です。意外に低い。最初はサー ビス問題のつもりだったのだけど。多くの人が間違える、ということです(間違え ても気付きにくいからかな)。こういう問題を軽視しないで下さい。
現在までのアンケート回答を見る限り、オフィスアワーは昼休みにしても大丈夫の ようです。他の科目でも同じことを尋ねていて、その結果も見て決めます。今週中 に曜日時間を連絡します(シラバスの「授業補足」に書き、次回の授業で通知し ます)。
本日の講義内容
本日は、講義ノート[1]の1.10の内容「n乗根」を講義する。n乗根はあちこちに 出て来るので、正確に処理できることが重要。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 3 / 19
1.11 n 乗根 1.11.1 定義と極形式表示
平方根ほど簡単ではないけれど…一応存在は確かめられる。
定義
4.1 (n
乗根)n∈N, n≥2,c∈Cとするとき、
(1) zn=c
を満たすz をc のn 乗根(ann-th root ofc)と呼ぶ。
n= 2のとき平方根(square root)、n= 3のとき立方根(cube root)と呼ぶ。 c= 0 のとき、c のn乗根は 0のみである。
一応注意しておく 複素数の平方根は、必ず実数の √
で表せた。しかし複素 数のn乗根は、nが2の冪であるときは例外として、それが出来ることは期待
できない(この問題には深入りしない)。
その他 べきこん冪 根,
るいじょうこん
累 乗 根という言葉もあるが、ここでは使わない(nを指定し ないとあまり意味が無いので)。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 4 / 19
1.11 n 乗根 1.11.1 定義と極形式表示
平方根ほど簡単ではないけれど…一応存在は確かめられる。
定義
4.1 (n
乗根)n∈N, n≥2,c∈Cとするとき、
(1) zn=c
を満たすz をc のn 乗根(ann-th root ofc)と呼ぶ。
c= 0 のとき、c のn乗根は 0のみである。
一応注意しておく 複素数の平方根は、必ず実数の √
で表せた。しかし複素 数のn乗根は、nが2の冪であるときは例外として、それが出来ることは期待
できない(この問題には深入りしない)。
その他 べきこん冪 根,
るいじょうこん
累 乗 根という言葉もあるが、ここでは使わない(nを指定し ないとあまり意味が無いので)。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 4 / 19
1.11 n 乗根 1.11.1 定義と極形式表示
平方根ほど簡単ではないけれど…一応存在は確かめられる。
定義
4.1 (n
乗根)n∈N, n≥2,c∈Cとするとき、
(1) zn=c
を満たすz をc のn 乗根(ann-th root ofc)と呼ぶ。
n= 2のとき平方根(square root)、n= 3のとき立方根(cube root)と呼ぶ。
c= 0 のとき、c のn乗根は 0のみである。
一応注意しておく 複素数の平方根は、必ず実数の √
で表せた。しかし複素 数のn乗根は、nが2の冪であるときは例外として、それが出来ることは期待
できない(この問題には深入りしない)。
その他 べきこん冪 根,
るいじょうこん
累 乗 根という言葉もあるが、ここでは使わない(nを指定し ないとあまり意味が無いので)。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 4 / 19
1.11 n 乗根 1.11.1 定義と極形式表示
平方根ほど簡単ではないけれど…一応存在は確かめられる。
定義
4.1 (n
乗根)n∈N, n≥2,c∈Cとするとき、
(1) zn=c
を満たすz をc のn 乗根(ann-th root ofc)と呼ぶ。
n= 2のとき平方根(square root)、n= 3のとき立方根(cube root)と呼ぶ。
c= 0 のとき、c のn乗根は0 のみである。
一応注意しておく 複素数の平方根は、必ず実数の で表せた。しかし複素 数のn乗根は、nが2の冪であるときは例外として、それが出来ることは期待
できない(この問題には深入りしない)。
その他 べきこん冪 根,
るいじょうこん
累 乗 根という言葉もあるが、ここでは使わない(nを指定し ないとあまり意味が無いので)。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 4 / 19
1.11 n 乗根 1.11.1 定義と極形式表示
平方根ほど簡単ではないけれど…一応存在は確かめられる。
定義
4.1 (n
乗根)n∈N, n≥2,c∈Cとするとき、
(1) zn=c
を満たすz をc のn 乗根(ann-th root ofc)と呼ぶ。
n= 2のとき平方根(square root)、n= 3のとき立方根(cube root)と呼ぶ。
c= 0 のとき、c のn乗根は0 のみである。
一応注意しておく 複素数の平方根は、必ず実数の √
で表せた。しかし複素 数のn乗根は、nが2の冪であるときは例外として、それが出来ることは期待
できない(この問題には深入りしない)。
その他 べきこん冪 根,
るいじょうこん
累 乗 根という言葉もあるが、ここでは使わない(nを指定し ないとあまり意味が無いので)。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 4 / 19
1.11 n 1.11.1
平方根ほど簡単ではないけれど…一応存在は確かめられる。
定義
4.1 (n
乗根)n∈N, n≥2,c∈Cとするとき、
(1) zn=c
を満たすz をc のn 乗根(ann-th root ofc)と呼ぶ。
n= 2のとき平方根(square root)、n= 3のとき立方根(cube root)と呼ぶ。
c= 0 のとき、c のn乗根は0 のみである。
一応注意しておく 複素数の平方根は、必ず実数の √
で表せた。しかし複素 数のn乗根は、nが2の冪であるときは例外として、それが出来ることは期待
できない(この問題には深入りしない)。
その他 べきこん冪 根,
るいじょうこん
累 乗 根という言葉もあるが、ここでは使わない(nを指定し ないとあまり意味が無いので)。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 4 / 19
1.11.1 定義と極形式表示
極形式を用いると n 乗根は容易に求まる。次の定理はマスターすること。
定理
4.2 (
複素数のn
乗根)
n ∈N,n≥
2,
c ∈C,c ̸= 0 とする。(2)
c=
ρeiϕ(ρ > 0,
ϕ∈R)
とおくとき、c の相異なるn 乗根はn個存在し、それらは
(3)
√nρei
(
ϕn+2πnk) (k = 0, 1,
· · ·,n−1)
である。これらは複素平面上で、原点中心、半径 √nρ の円周のn等分点
である。
(
求め方を示すだけでなく、存在することを証明してあるのが重要。)
この定理は、公式を暗記するだけでなく、自力で導出できるようにして おくのが望ましい。かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 5 / 19
1.11.1
極形式を用いると n 乗根は容易に求まる。次の定理はマスターすること。
定理
4.2 (
複素数のn
乗根)
n ∈N,n≥
2,
c ∈C,c ̸= 0 とする。(2)
c=
ρeiϕ(ρ > 0,
ϕ∈R)
とおくとき、c の相異なるn 乗根はn個存在し、それらは
(3)
√nρei
(
ϕn+2πnk) (k = 0, 1,
· · ·,n−1)
である。これらは複素平面上で、原点中心、半径 √nρ の円周のn等分点
である。
(
求め方を示すだけでなく、存在することを証明してあるのが重要。)
この定理は、公式を暗記するだけでなく、自力で導出できるようにして おくのが望ましい。かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 5 / 19
1.11.1 定義と極形式表示
証明 z =reiθ (r >0,θ∈R)とおくと zn=c⇔rneinθ=ρeiϕ⇔(
rn=ρ∧einθ=eiϕ) .
(注 rneinθ=ρeiϕの両辺の絶対値を取ってrn=ρを得るのが⇒のポイント。)
rn=ρ⇔r =√nρはすぐ分かる。もう一方から einθ=eiϕ⇔nθ≡ϕ (mod 2π)
⇔(∃k ∈Z) nθ−ϕ=k·2π
⇔(∃k ∈Z) θ= ϕ n +k2π
n であるから
zn=c⇔ (
r =√n
ρ∧(∃k∈Z)θ=ϕ n+k2π
n )
⇔(∃k ∈Z)z =√nρei(ϕn+k2πn ).
(一見無限個の解があるように思うかもしれないが)k がn増えると元に戻る
(周期n)ので、k = 0,1,· · ·,n−1だけで重複なく、漏れもない。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 6 / 19
1.11.1
証明 z =reiθ (r >0,θ∈R)とおくと zn=c⇔rneinθ=ρeiϕ⇔(
rn=ρ∧einθ=eiϕ) .
(注 rneinθ=ρeiϕの両辺の絶対値を取ってrn=ρを得るのが⇒のポイント。) rn=ρ⇔r =√nρはすぐ分かる。もう一方から
einθ=eiϕ⇔nθ≡ϕ (mod 2π)
⇔(∃k ∈Z) nθ−ϕ=k·2π
⇔(∃k ∈Z) θ= ϕ n +k2π
n であるから
zn=c⇔ (
r =√n
ρ∧(∃k∈Z)θ=ϕ n+k2π
n )
⇔(∃k ∈Z)z =√nρei(ϕn+k2πn ).
(一見無限個の解があるように思うかもしれないが)k がn増えると元に戻る
(周期n)ので、k = 0,1,· · ·,n−1だけで重複なく、漏れもない。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 6 / 19
1.11.1 定義と極形式表示
系
4.3 (1
のn
乗根)n∈N, n≥2 とする。1 のn乗根は
eik2πn (k= 0,1,· · · ,n−1)
の n個である。これらは、ω:=ei2πn とおくと次のように表せる。
ωk (k = 0,1,· · ·,n−1).
これは単位円周のn等分点である。
これから
zn−1 = (z−1)(z−ω)· · ·(z−ωn−1). また定理4.2の z は次のように表せる。
z =√n
ρeiϕnωk (k = 0,1,· · ·,n−1).
また−1のn乗根は、eiπnωk (k = 0,1,· · ·,n−1)と表せる。ω は便利である。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 7 / 19
1.11.1
系
4.3 (1
のn
乗根)n∈N, n≥2 とする。1 のn乗根は
eik2πn (k= 0,1,· · · ,n−1)
の n個である。これらは、ω:=ei2πn とおくと次のように表せる。
ωk (k = 0,1,· · ·,n−1).
これは単位円周のn等分点である。
これから
zn−1 = (z−1)(z−ω)· · ·(z−ωn−1).
また定理4.2の z は次のように表せる。
z =√n
ρeiϕnωk (k = 0,1,· · ·,n−1).
また−1のn乗根は、eiπnωk (k = 0,1,· · ·,n−1)と表せる。ω は便利である。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 7 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (1)
良い計算練習になるので、nが小さいとき、1と−1の n乗根を求めてみよう。
zn=1と zn=−1を解く、ということでもある。(以下で説明するが、後で自 分でやってみることを勧める)
1= 1·ei·0だから、zn=1の解はz=√n
1ei(0n+k2πn) =eik2πn (k= 0,· · ·,n−1).
−1= 1·eiπだから、zn=−1の解はz=√n
1ei(πn+k2πn) =ei(2k+1)πn (k= 0,· · ·,n−1).
実数の根号√n
で表せるときはそうして見よう。
(1) n= 2のとき。
z2= 1の解はei·k2π2 =eikπ (k= 0,1) であるからe0= 1,eiπ =−1. これは
z2−1 = (z+ 1)(z−1) と因数分解できることからも分かる。
z2=−1 の解はei(π2+k2π2) =ei(2k+1)π2 (k = 0,1)であるから、eiπ2 =i, ei3π2 =−i.
これは
z2+ 1 = (z+i)(z−i) と因数分解できることからも分かる。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 8 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (1)
良い計算練習になるので、nが小さいとき、1と−1の n乗根を求めてみよう。
zn=1と zn=−1を解く、ということでもある。(以下で説明するが、後で自 分でやってみることを勧める)
1= 1·ei·0だから、zn=1の解はz=√n
1ei(0n+k2πn) =eik2πn (k= 0,· · ·,n−1).
−1= 1·eiπだから、zn=−1の解はz=√n
1ei(πn+k2πn) =ei(2k+1)πn (k= 0,· · ·,n−1).
実数の根号√n
で表せるときはそうして見よう。
(1) n= 2のとき。
z2= 1の解はei·k2π2 =eikπ (k= 0,1)であるからe0= 1, eiπ=−1.
z2−1 = (z+ 1)(z−1) と因数分解できることからも分かる。
z2=−1 の解はei(π2+k2π2) =ei(2k+1)π2 (k = 0,1)であるから、eiπ2 =i, ei3π2 =−i.
これは
z2+ 1 = (z+i)(z−i) と因数分解できることからも分かる。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 8 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (1)
良い計算練習になるので、nが小さいとき、1と−1の n乗根を求めてみよう。
zn=1と zn=−1を解く、ということでもある。(以下で説明するが、後で自 分でやってみることを勧める)
1= 1·ei·0だから、zn=1の解はz=√n
1ei(0n+k2πn) =eik2πn (k= 0,· · ·,n−1).
−1= 1·eiπだから、zn=−1の解はz=√n
1ei(πn+k2πn) =ei(2k+1)πn (k= 0,· · ·,n−1).
実数の根号√n
で表せるときはそうして見よう。
(1) n= 2のとき。
z2= 1の解はei·k2π2 =eikπ (k= 0,1)であるからe0= 1, eiπ=−1.
これは
z2−1 = (z+ 1)(z −1) と因数分解できることからも分かる。
z2=−1 の解はei(π2+k2π2) =ei(2k+1)π2 (k = 0,1)であるから、eiπ2 =i, ei3π2 =−i.
これは
z2+ 1 = (z+i)(z−i) と因数分解できることからも分かる。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 8 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (1)
良い計算練習になるので、nが小さいとき、1と−1の n乗根を求めてみよう。
zn=1と zn=−1を解く、ということでもある。(以下で説明するが、後で自 分でやってみることを勧める)
1= 1·ei·0だから、zn=1の解はz=√n
1ei(0n+k2πn) =eik2πn (k= 0,· · ·,n−1).
−1= 1·eiπだから、zn=−1の解はz=√n
1ei(πn+k2πn) =ei(2k+1)πn (k= 0,· · ·,n−1).
実数の根号√n
で表せるときはそうして見よう。
(1) n= 2のとき。
z2= 1の解はei·k2π2 =eikπ (k= 0,1)であるからe0= 1, eiπ=−1.
これは
z2−1 = (z+ 1)(z −1) と因数分解できることからも分かる。
z2=−1 の解はei(π2+k2π2) =ei(2k+1)π2 (k = 0,1)であるから、eiπ2 =i, ei3π2 =−i.
z2+ 1 = (z+i)(z−i) と因数分解できることからも分かる。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 8 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (1)
良い計算練習になるので、nが小さいとき、1と−1の n乗根を求めてみよう。
zn=1と zn=−1を解く、ということでもある。(以下で説明するが、後で自 分でやってみることを勧める)
1= 1·ei·0だから、zn=1の解はz=√n
1ei(0n+k2πn) =eik2πn (k= 0,· · ·,n−1).
−1= 1·eiπだから、zn=−1の解はz=√n
1ei(πn+k2πn) =ei(2k+1)πn (k= 0,· · ·,n−1).
実数の根号√n
で表せるときはそうして見よう。
(1) n= 2のとき。
z2= 1の解はei·k2π2 =eikπ (k= 0,1)であるからe0= 1, eiπ=−1.
これは
z2−1 = (z+ 1)(z −1) と因数分解できることからも分かる。
z2=−1 の解はei(π2+k2π2) =ei(2k+1)π2 (k = 0,1)であるから、eiπ2 =i, ei3π2 =−i.
これは
z2+ 1 = (z+i)(z −i) と因数分解できることからも分かる。
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 8 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (2)
2 n= 3のとき。
z3= 1 の解はz =ei·k2π3 (k = 0,1,2)であるから、e0= 1,ei2π3 = −1+i2√3, ei4π3 = −1−2i√3.
z3−1 = (z−1)(z2+z + 1)
という因数分解で、右辺の第2因数の根は(2次方程式の解として) −1±√3i と求まるから) 2
z3−1 = (z−1) (
z−−1 +i√ 3 2
) (
z−−1−i√ 3 2
) .
z3=−1の解はz =ei(π3+k2π3) =ei(2k+1)π3 (k = 0,1,2)であるから、 eiπ3 = 1+i2√3,ei3π3 =−1,ei5π3 =1−i2√3.
また因数分解も上と同様に
z3+ 1 = (z+ 1)(z2−z+ 1) = (z+ 1) (
z−1 +i√ 3 2
) (
z−1−i√ 3 2
) .
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 9 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (2)
2 n= 3のとき。
z3= 1 の解はz =ei·k2π3 (k = 0,1,2)であるから、e0= 1,ei2π3 = −1+i2√3, ei4π3 = −1−2i√3.
一方、
z3−1 = (z−1)(z2+z+ 1)
という因数分解で、右辺の第2因数の根は(2次方程式の解として) −1±√3i と求まるから) 2
z3−1 = (z−1) (
z−−1 +i√ 3 2
) (
z−−1−i√ 3 2
) .
z3=−1の解はz =ei(π3+k2π3) =ei(2k+1)π3 (k = 0,1,2)であるから、 eiπ3 = 1+i2√3,ei3π3 =−1,ei5π3 =1−i2√3.
また因数分解も上と同様に
z3+ 1 = (z+ 1)(z2−z+ 1) = (z+ 1) (
z−1 +i√ 3 2
) (
z−1−i√ 3 2
) .
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 9 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (2)
2 n= 3のとき。
z3= 1 の解はz =ei·k2π3 (k = 0,1,2)であるから、e0= 1,ei2π3 = −1+i2√3, ei4π3 = −1−2i√3.
一方、
z3−1 = (z−1)(z2+z+ 1)
という因数分解で、右辺の第2因数の根は(2次方程式の解として) −1±√3i と求まるから) 2
z3−1 = (z−1) (
z−−1 +i√ 3 2
) (
z−−1−i√ 3 2
) .
z3=−1の解はz =ei(π3+k2π3) =ei(2k+1)π3 (k = 0,1,2)であるから、
eiπ3 = 1+i2√3,ei3π3 =−1,ei5π3 =1−2i√3.
z3+ 1 = (z+ 1)(z2−z+ 1) = (z+ 1) (
z−1 +i√ 3 2
) (
z−1−i√ 3 2
) .
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 9 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (2)
2 n= 3のとき。
z3= 1 の解はz =ei·k2π3 (k = 0,1,2)であるから、e0= 1,ei2π3 = −1+i2√3, ei4π3 = −1−2i√3.
一方、
z3−1 = (z−1)(z2+z+ 1)
という因数分解で、右辺の第2因数の根は(2次方程式の解として) −1±√3i と求まるから) 2
z3−1 = (z−1) (
z−−1 +i√ 3 2
) (
z−−1−i√ 3 2
) .
z3=−1の解はz =ei(π3+k2π3) =ei(2k+1)π3 (k = 0,1,2)であるから、
eiπ3 = 1+i2√3,ei3π3 =−1,ei5π3 =1−2i√3. また因数分解も上と同様に
z3+ 1 = (z + 1)(z2−z+ 1) = (z+ 1) (
z−1 +i√ 3 2
) (
z−1−i√ 3 2
) .
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 9 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (3)
n= 4のとき。
z4= 1の解はz=eik˙2π4 =eikπ2 (k= 0,1,2,3)であるから、e0= 1,eiπ2 =i, eiπ=−1,ei3π4 =−i.
z4−1 = (z2+ 1)(z2−1) = (z+i)(z−i)(z+ 1)(z−1). z4=−1の解はz=ei(π4+k2π4) =ei(2k+1)π4 (k= 0,1,2,3)であるから、
eiπ4 =1 +i
√2 , ei3π4 = −1 +i
√2 , ei5π4 = −1−i
√2 , ei7π4 =1−i
√2 . 一方、
z4+ 1 = (z2+i)(z2−i).
と因数分解して、z2=−i,z2=i を解けなくもないが(平方根の計算は出来るは ず)、そうするよりも
z4+ 1 =z4+ 2z2+ 1−2z2= (
z2+ 1 )2
−(√ 2z
)2
= (
z2+√ 2z+ 1
) ( z2−√
2z+ 1 )
と因数分解すれば、2つの2次方程式の根として簡単に求まる。
z= −√ 2±i√
2
2 ,
√2±i√ 2
2 .
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 10 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (3)
n= 4のとき。
z4= 1の解はz=eik˙2π4 =eikπ2 (k= 0,1,2,3)であるから、e0= 1,eiπ2 =i, eiπ=−1,ei3π4 =−i. 因数分解からも分かる。実際
z4−1 = (z2+ 1)(z2−1) = (z+i)(z−i)(z+ 1)(z−1).
z4=−1の解はz=ei(π4+k2π4) =ei(2k+1)π4 (k= 0,1,2,3)であるから、 eiπ4 =1 +i
√2 , ei3π4 = −1 +i
√2 , ei5π4 = −1−i
√2 , ei7π4 =1−i
√2 . 一方、
z4+ 1 = (z2+i)(z2−i).
と因数分解して、z2=−i,z2=i を解けなくもないが(平方根の計算は出来るは ず)、そうするよりも
z4+ 1 =z4+ 2z2+ 1−2z2= (
z2+ 1 )2
−(√ 2z
)2
= (
z2+√ 2z+ 1
) ( z2−√
2z+ 1 )
と因数分解すれば、2つの2次方程式の根として簡単に求まる。
z= −√ 2±i√
2
2 ,
√2±i√ 2
2 .
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 10 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (3)
n= 4のとき。
z4= 1の解はz=eik˙2π4 =eikπ2 (k= 0,1,2,3)であるから、e0= 1,eiπ2 =i, eiπ=−1,ei3π4 =−i. 因数分解からも分かる。実際
z4−1 = (z2+ 1)(z2−1) = (z+i)(z−i)(z+ 1)(z−1).
z4=−1の解はz=ei(π4+k2π4) =ei(2k+1)π4 (k= 0,1,2,3)であるから、
eiπ4 =1 +i
√2 , ei3π4 = −1 +i
√2 , ei5π4 = −1−i
√2 , ei7π4 =1−i
√2 .
z4+ 1 = (z2+i)(z2−i).
と因数分解して、z2=−i,z2=i を解けなくもないが(平方根の計算は出来るは ず)、そうするよりも
z4+ 1 =z4+ 2z2+ 1−2z2= (
z2+ 1 )2
−(√ 2z
)2
= (
z2+√ 2z+ 1
) ( z2−√
2z+ 1 )
と因数分解すれば、2つの2次方程式の根として簡単に求まる。
z= −√ 2±i√
2
2 ,
√2±i√ 2
2 .
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 10 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (3)
n= 4のとき。
z4= 1の解はz=eik˙2π4 =eikπ2 (k= 0,1,2,3)であるから、e0= 1,eiπ2 =i, eiπ=−1,ei3π4 =−i. 因数分解からも分かる。実際
z4−1 = (z2+ 1)(z2−1) = (z+i)(z−i)(z+ 1)(z−1).
z4=−1の解はz=ei(π4+k2π4) =ei(2k+1)π4 (k= 0,1,2,3)であるから、
eiπ4 =1 +i
√2 , ei3π4 = −1 +i
√2 , ei5π4 = −1−i
√2 , ei7π4 =1−i
√2 . 一方、
z4+ 1 = (z2+i)(z2−i).
と因数分解して、z2=−i,z2=i を解けなくもないが(平方根の計算は出来るは ず)、そうするよりも
z4+ 1 =z4+ 2z2+ 1−2z2= (
z2+ 1 )2
−(√ 2z
)2
= (
z2+√ 2z+ 1
) ( z2−√
2z+ 1 )
と因数分解すれば、2つの2次方程式の根として簡単に求まる。
z= −√ 2±i√
2
2 ,
√2±i√ 2
2 .
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 10 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (4)
(3) n= 5 のとき。
z5= 1の解はz=eik2π5 (k= 0,1,· · ·,4)であるから、e0= 1,ei2π5 ,ei4π5 ,ei6π5 , ei8π5 . これらは√
を使って表現可能である。(以下の計算に注目) z5−1 = (z−1)(z4+z3+z2+z+ 1) であるが、
z4+z3+z2+z+ 1 = 0⇔z2+z+ 1 +1 z + 1
z2 = 0
⇔ (
z+1 z
)2
+z+1
z −1 = 0.
X =z+1z とおくと、X2+X−1 = 0で、この解はX =−1±√ 5
2 .
z+1
z =−1 +√ 5
2 ∨ z+1
z =−1−√ 5 2
⇔2z2+ (1−√
5)z+ 2 = 0 ∨ 2z2+ (1 +√
5)z+ 2 = 0.
ゆえに
z= 1,−(1−√ 5)±i√
10 + 2√ 5
4 ,−(1 +√ 5)±i√
10−2√ 5
4 .
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 11 / 19
1.11.2 ± 1 の n 乗根 (5)
一方、z5=−1の解はz=ei(π5+k2π5) =ei(2k+1)π5 (k= 0,1,· · ·,4)であるから、eiπ5, ei3π5,ei5π5 =−1,ei7π5,ei9π5 . これらは√
を使って表現可能である。
z5+ 1 = (z+ 1)(z4−z3+z2−z+ 1) であるが、
z4−z3+z2−z+ 1 = 0⇔z2−z+ 1−1 z + 1
z2 = 0
⇔ (
z+1 z
)2
− (
z+1 z )
−1 = 0.
X =z+1z とおくと、X2−X−1 = 0で、この解はX =1±
√5 2 . z+1
z =1 +√ 5
2 ∨ z+1
z =1−√ 5 2
⇔2z2−(1 +√
5)z+ 2 = 0 ∨ 2z2−(1−√
5)z+ 2 = 0.
ゆえに
z=−1,(1 +√ 5)±i√
10 + 2√ 5
4 ,(1−√
5)±i√ 10−2√
5
4 .
(n= 5を振り返り: 代数的に解くことで π
5 のcos, sinが求まるのは注目に値する。)
かつらだ 桂 田 まさし
祐 史 () 複素関数・同演習 第4回 2020年9月30日 12 / 19