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容器包装リサイクル法

−プラスチックリサイクルにおける問題点と課題−

容器包装リサイクルパート

石神  裕司 小林  亜子 堀池  涼平 横手  英二 吉川  誠人

(2)

容器包装リサイクル法

―プラスチックの現状と課題―

1 .   はじめに

1)容器包装リサイクル法概要

循環型社会構築のための政策の一環として、一般廃棄物の中でその6割(体積比)を占 める容器包装の再生資源利用と減量化を目的とした容器包装リサイクル法(正式名称:容 器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法。以下容リ法)が 1997年に施行さ れた。その対象となっている容器包装はガラスびんとPETボトルである。そして2000年 4月にはその対象がプラスチックとその他紙製容器にも広げられ、完全実施となる。ここで これまでの一般廃棄物処理と比較して、今回の法がどのような特徴をもっているかを簡単 に説明しておく。

これまでは容器包装も他の一般廃棄物と同様に自治体によって処理されていた。生産者 が生産し消費者がそれを消費した後ごみとして排出、それを自治体が収集して焼却・埋め 立てなどの最終廃棄をするという一方通行の流れであった。それに対し容リ法では、生産 者、消費者、自治体の各主体にその役割を義務付け、社会の中で容器包装が円滑に循環す ることを目的としている点が大きな特徴である。生産者は容器包装の生産量・使用量にし たがってその再商品化(容器包装廃棄物を製品の原料として使用したり、製品としてその まま利用する者に有償または無償で譲り渡せる状態にすること。簡単にいえばリサイクル)

を担う、消費者は容器包装を分別排出する、自治体はそれを分別収集し、前処理(洗浄、

圧縮など再商品化事業者に引渡すため処理)を行う。ここまでの生産者から自治体までの 流れは基本的にかわらないが、その後自治体が収集した容器包装廃棄物を再商品化事業者 へ引き渡し、加工して再商品とし、それを利用する再商品化製品利用事業者が新たな製品 を市場で販売する、そして消費者がそれを買う、というように社会の中でものが循環して いる点が大きく異なる。

また、関係する主体として指定法人の説明をすると、容器包装のリサイクルを円滑かつ 的確に進めるため、容リ法による指定を受けた法人(財団法人日本容器包装リサイクル協 会)である。主な業務は容リ法に参加する自治体と契約を結び、その自治体から契約した 量分の容器包装廃棄物を受け取り、それを生産者から受け取った再商品化の委託金と共に 契約した再商品化事業者に引渡すことであり、各主体の橋渡し的な役割を担っている。ま たこの容リ法の最大の特徴は、生産者にその生産物に対する再商品化義務を課している点 であり、日本の廃棄物対策法としては画期的な内容を有している。

  今回、私達は研究対象にプラスチックを選んだ。プラスチックのリサイクルは容器包装

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に限らず廃棄物政策全体の問題でもある。その生産量及び廃棄量の多さ、種類の多さ、処 理の困難さ(焼却するとダイオキシンが発生する可能性あり)、リサイクル技術の未熟さ、

様々な問題を抱えているからである。容リ法を効率的に実施することがこれらの問題の解 決につながる。よってこれまでのPETボトルリサイクルでの研究を生かし、プラスチック リサイクルの円滑化を考えてみる。

2 .   プラスチックリサイクルの現状認識

1)現在生じている(懸念されている)問題点

A .消費者部門

まず消費者部門における問題点は、分別基準が難しく、容器包装とそうでない普通のプ ラスチックの判別が困難な為、家庭から排出される容器包装関連ごみの中でプラスチック の占める割合は他と比べて高いにも関わらず(図 表 2−1 参照)、排出量分別排出が理想通 りに行われないという事である。

図表 2−1  家庭用ごみ袋1に換算した場合の容器包装関連ごみ排出量の例

一世帯一ヶ月あたり排出量 ごみ袋に換算した場合排出袋数 家庭ごみ全体 580リットル 19袋

PETボトル 24リットル 1袋

びん・缶 36リットル 1袋

その他プラスチック製 容器包装

200リットル 7袋

その他紙製容器包装 70リットル 2袋

出所:容器包装リサイクル法  分別収集計画ガイドブック(改訂版)リサイクル法令研究会監修

適切な分別排出が成される為には、自治体の徹底した指導が必要と思われるが、後述す る通り、指導やPRの為の費用がかかる為、自治体にとっても大きな負担となるため、徹底 されるのは難しいと考えられる。容器包装リサイクル法のサイクルのスタート地点である 消費者部門で正しい分別排出が成されなければ、このサイクルが円滑に実施されなくなっ てしまう為、ここにおける適切な分別排出は重要な課題である。通産省が行った消費者へ のアンケートやパブリックコメント等によると、多くの消費者がプラスチック容器包装の 分別がわかりにくい、と主張し、識別の為の表示を要望する事となった2。この為、昨年 7

1 30リットル詰めのごみ袋

2産業構造審議会廃棄物・リサイクル部会第15回容器包装リサイクル小委員会資料4 より。

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月には容器包装識別表示等検討委員会が設置され3、容器包装に表示を行う事についての検 討が行われている。表示がなされる事によって期待される効果には、自治体による住民へ の分別排出指導の容易化、消費者の分別排出の促進、これによる容リ法への自治体参加の 増加、容器包装の分別精度の向上、リサイクル製品への品質向上、等が挙げられる為、検 討課題は未だ残されているものの表示がもたらす効果は大きいとみられる。

しかし問題なのは、実際に分別への認識が高まり、表示も行われ、消費者による分別排 出が容易となっても、現実として特に洗いにくい容器や油ものが入っていた容器等は排出 基準を満たす為には面倒な手間がかかるため消費者がすべての分別を行うのか、消費者の 意識がどの程度であるのか、という事である。この事は今後の結果を大きく左右する事と なると考えられる。

B .容器包装リサイクル協会と参加企業

リサイクル協会における現状の問題点は、事業者の申し込みが進んでいないという事が ある。前章で述べられている通り、容器包装を製造・使用する特定事業者はリサイクル協 会に申し込みをする必要があり、今月からは新たに11万〜13万社が対象となるにもかかわ らず、現在の申し込み企業は1月下旬になっても 1 万社に達しなかったため、リサイクル 協会は 2 月末まで申し込み期限を延長せざるを得なかった。この申込事業者の不参加問題 の原因として考えられるのが、事業者にとって何が容リ法の対象物となるのか、という判 別が難しいという事が挙げられる。これができなければ重量が4測定出来ない為、最終的に 申込もできないのである。申込が行われなければ容器包装リサイクル協会は委託費用を得 る事ができず、結局法のサイクルが回らなくなってしまうのである。

C .リサイクル段階における問題点

今後プラスチックの分別収集がすすむと過程しても、リサイクル段階における問題点も 避けられない問題として残される。現在収集されたプラスチックは、マテリアルリサイク ルとケミカルリサイクルの二つの手法によってリサイクルされる、と認められているが、

法律においてはなるべく同じ物にリサイクルする、という事を基本理念としている為5、マ テリアルリサイクル事業者の間では原料の過多が、ケミカルリサイクル事業者の間では原 料不足が起こってしまうのではないか、という事が懸念されている。というのも、リサイ クル事業者を選定する際には、入札方式をとっている6が、容リ法はマテリアルリサイクル を推進するという形態の為、まずマテリアルリサイクルを優先しマテリアルリサイクル事

3脚注1参照。

4リサイクル協会への支払金額は材料が同質の場合は重量で決定されるので。

5 環境基本計画(平成6年12月)によって、再商品化については原材料として利用するリサイクルを優 先的に行い、これが技術的な理由などにより困難な場合は、環境保全対策を講じつつエネルギーとしての 利用を行う、とされている。

6 それぞれのリサイクル事業者がリサイクル量とリサイクル単価を記入して入札し、最も低価格を提示し

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業者の選定から行われるので、いくらケミカルリサイクル事業者が低価格で落札しようと 試みてもマテリアルリサイクル事業者とは競合できないのである。よってここにおいてマ テリアルリサイクル事業者は原料の獲得が有利であるという形態が出来上がってくる。

しかし、収集されたプラスチックからプラスチック製品へのリサイクルについては、現 実にはプラスチック容器包装には複数種類のプラスチックが使用されており、再生プラス チックを作る際には、相当程度の精度の高い分別作業が必要になることに加え、異物の混 入が避けられない7ことから、高品質を要求される製品には対応できないこと、高分子であ るプラスチックの場合材料リサイクルにより、新樹脂から製造したプラスチック製品と比 べて再生品の品質が低くなる事、等の問題から、マテリアルリサイクルは困難である上に、

このような再生品については現段階では需要(植木のポット、ペンの軸、すのこ等)が限 られている。よって再生プラスチックの需要がどこまであるのか、という事も問題となる のである。よって、マテリアルリサイクルは入札には有利であるが、リサイクルがそこま で進まない、という点からここでは原料過多が起こり、ケミカルリサイクルにおいては、

需要が近年伸びているにも関わらず、入札時点で不利となる為原料不足が起こるのではな いか、という事が懸念されている。(現在業務の入札に参加しようとする企業は油化、ガス 化、高炉還元剤、コークス炉等の手法が中心であり、マテリアルリサイクルは十数社が表 明している程度である)。

図 表 2 − 2   再 商 品 化 状 況

0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 80000 90000

油化 コークス 高炉 ガス化

方法

再商品化量 ton/Y

D .自治体

2000 年度中に分別収集をする自治体は約3300 のうち、330 となっている。この参加自 治体数の少なさは、分別収集の際の分別基準8が高い事によるコスト負担、分別収集の際の た事業者が落札するという仕組みである。

7食べかす、他素材等の不純物の混入等もある。

8プラスチック製容器包装の分別収集の基準例  財団法人容器包装リサイクル協会HPより(分別基準  平成 11 年 厚生省令 65 号)。 

8.1  原則として最大積載量が 1 万キログラムの自動車に積載することができる最大の容量に相当する程度の分量

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人件費、収集車の費用、保管場所の為の費用、等のコスト面の負担が大きすぎる事に端を 発していると考えられる。また消費者に分別排出を徹底させる術(最も費用がかかるとい われているのが住民に対しての説明である、とされている9)が未だ見つかっていないとい う問題点が確実に収集する事を困難にしており、容リ法において求められている基準が達 成できない、という結果をもたらしている。

2)現状分析

再商品化事業者においては当初プラスチックリサイクルを実行するにあたって、PET の 現状と同じように、膨大な量が集まり、再商品化事業者の再商品化施設のキャパシティを 確保できないのではないか、という事が懸念されていた。しかし現実にはPETの際とは逆 に、プラスチックリサイクルにおける自治体参加が少ないためプラスチック収集されてこ ない、という事が問題となっている。ただし、容器包装プラスチックに於けるこの現状は 仕方なくそのようになってしまったというよりは、そうなるように誘導したという側面が 強い。つまりPETが集まりすぎているという状態を鑑み、その轍を踏むまいと分別物適合 基準を意図的に厳しく設定したのである。これは、現状のプラスチック再商品化キャパシ ティを超える無秩序なプラスチック収集を防ぎ、品質の高いプラスチックのみを集めてよ り水準の高いリサイクルを目指そうという考えが反映された結果である。 

平成12年度の再商品化見込み量と分別収集見込み量は図表2−3の通りである。しかし 施行直前となってみると自治体の参加が任意の為、その参加数が計画を下回り、分別収集 されるプラスチック容器包装の分別収集見込み量が再商品化見込み量よりも少なくなって いるのがわかる。

の物が収集されていること 

8.2  原材料として主として他の素材を利用した容器包装が混入していないこと  8.3  容器包装以外の物が付着し、又は、混入していないこと。 

8.4  圧縮されていること。ただし、白色の発砲スチロール製食品用トレイのみの場合にあっては、この限りではな  8.5  飲料又はしょうゆを充てんするためのポリエチレンテレフタレート製の容器が混入していないこと。 

8.6  プラスチック製のふた以外のふたが除去されていること。8.7  白色の発砲スチロール製食品用トレイのみの場 合にあっては、洗浄され、乾燥されていること。 

等が挙げられる。

9 町田市ヒアリングより。

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図表 2−3        プラスチック再商品化計画と分別収集計画

年度(平成) 12 12現状 13 14 15 16 再商品化事業者 15.3万㌧ 15.3万㌧ 26.1万㌧ 33.6万㌧ 40.1万㌧ 40.6万㌧

市町村 23.9万㌧ 10.5万㌧ 38.9万㌧ 48.7万㌧ 63.6万㌧ 70.1万㌧

出所:プラスチック容器包装リサイクル推進協議会配布資料より

また図表 2−4 は当初 PETと同じく再商品化見込み量が少なくなると思われていたが、

施行直前となってみると、PETの場合とまったく逆の結果となった事を如実に表している。

図表 2−4  ペットボトルとプラスチックの分別収集状況比較

ペットボトルの分別回収状況(平成11年)

327,150

59,300

46,600

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000

生産量 分別収集見込量 再商品化見込量

単位:t

プ ラ ス チ ッ ク の 分 別 回 収 状 況 予 測 (平 成 1 2 年 )

0 500000 1000000 1500000 2000000 2500000 3000000 3500000

生産量

分別収集見込み量 再商品化見込み量

図表2−3にある様に、平成12年度における全国のプラスチック分別収集見込み量は23 万900 トンであるのに対し、指定法人への引き取り申込量は10万4505トンであり、見込 み量の半分にも満たなくなっている。各都道府県において、引き取り申込量が見込み量を 上回ったのは、京都府のみであり、(見込み量873トン、申込量1070トン  添付資料1参 照)残り半数の都道府県が全国合計と同じく引き取り申し込み量が見込み量の半分をも満 たさない結果となっている(プラスチックリサイクル推進協議会配布資料より)。

この事は、充分な量のプラスチックの収集が確保されないと再商品化プラントの操業がで きないという結果を招き、(確保されないままに再商品化を行うと再商品化事業者が大赤 字になるので)結果的にプラスチックリサイクルが推進されない事になってしまう。よっ て今後は自治体における分別収集が重要な課題となると思われる。

したがって次章より、各参加自治体の現状に触れ、今後の分別収集奨励の糸口を探す事と

(8)

する。

3.各自治体の現状

これまでの問題点を考察すると、プラスチック固有の問題点としてプラスチック容器包 装の分別収集がすすんでいない、という事があげられる。これは容リ法における自治体の 参加が任意である為に参加数が少なくなっていることに起因される。それではなぜ自治体 の参加数が少なくなっているのだろうか。

予測される理由としては、前述の通り、分別収集の際の分別基準が高い事によるコスト 負担や、人件費、収集車、保管場所、等のコスト面の負担が大きすぎる為に参加しない、

という事が考えられる。それでは実際の理由はどうなっているのだろうか。以下はすでに 分別収集を行っている小田原市、町田市の状況である。

 

 

1 )   小田原市

*  その他プラスチックリサイクル  以前から分別収集  容リ法参加

小田原市の場合、2000年4月容リ法完全施行に向けて、1997年からその他プラスチック スチックの分別収集していた。よって今回の完全施行後は、収集後の再商品化の部分を容 リ法にのっとり再商品化事業者に引き取ってもらうため、その処理分負担は軽減する。

施行前の分別方法は「その他プラスチック」「不燃物」であり、施行後は「テープ類」「そ の他プラスチック」「不燃物」となる(テープは破砕機にかける際に機械を止めてしまう)。 完全施行前は「その他プラスチック」に法で定められた分別基準とは異なるもの(バケツ など)が入っていても受け取っていたが、施行後は受け取ることはできない(技術的には 同じ素材であれば問題ないが、法では定められた基準の容器および包装のみを分別収集す ることとなっているため)。そのため分別基準の徹底のため住民向けの説明会を何度も行っ ている。

現状のベールの質であるが(PET ボトルではこの質が低く、リサイクルが進まないと仮 定した)、小田原市の場合、国が定めるベールの分別基準適合物(その他プラスチックが占 める割合が 90%以上)をクリアしている。分別収集の方法として、普通「コンテナ方式」

(住民が排出時に立ち見番をおく)と「袋方式」(透明な袋で出すいわゆる一般的な方式)

があるが、小田原市では後者を採用している。通常「袋方式」では集まったごみのレベル が落ちるといわれるが、小田原市ではその他プラスチックの収集が2週間に一回であり、

その分消費者にとっては家庭内にごみを長く保管せねばならないため、しっかりと洗浄し たものを出してくれるという。これはこれからその他プラスチックの分別収集を開始する

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自治体の参考になるだろう。

実際に分別収集を行ってみて、出てきた問題点はコストアップと住民意識である。コス トの面では、圧縮機やストックヤードなどの設備費、収集効率の低下(PET ボトルと同じ ようにその他プラスチックも質量が軽いため空気を運んでいるようなものである)、パンフ レットなどの住民啓発コストである。しかし小田原市としては「最終処分場の逼迫」とい う法の精神にのっとってコストはかかるが参加する道を選ぶことにした。

次に住民意識だが、確かに環境に対する住民の意識の高まりはあるのだが、現在のとこ ろそれは多数派ではなく、その他プラスチックの分別に対する住民の抵抗も大きかった。

というのもあまりにも細かな分別やそれに伴う個々の廃棄物(燃えるごみ、不燃ごみなど)

収集日の減少は、消費者にとって、行政サービスの低下を意味するからである。つまり自 治体にとっては、「リサイクル」を選択することで「コストはアップする一方でサービスは 低下する」という重荷を背負ってしまう。しかも「その他プラスチック」の場合は分別が 難しいという点で「PETボトル」のとき以上にこの問題が大きくなっている。

2) 町田市

*  その他プラスチックリサイクル 2000年4月から分別収集 容リ法参加

町田市では他の市町村の例に漏れず、埋め立て処分場の残余容量が逼迫し、今後処分場 を増やそうとしても住民の賛同が得られそうにないことと、他の市町村に比べてごみ焼却 時におけるダイオキシンの発生量が多いことから容リ法のプラスチック収集に参加するこ とにした。

容リ法に参加する際に一般的に問題となるのはごみ収集の回数などを増加させることに 伴うコストであるが、町田市の場合ではもともと燃えるごみを週三収集集するというスキ ームが確立していたため、そのうちの一日をプラスチック収集の日にすることで解決でき た。

現実問題として、週二回しかごみの収集を行っていない市町村ではそのうち一回をプラ スチックに充てるということは難しいので、そのような市町村では新たに追加のごみ集収 日を設けなくてはならない。加えて、プラスチックには様々な用途があるため、ナマ物を 包んでいたり、食べ物の残滓がついていたりすることが少なくない。そのため、何日も放 置しておくことが衛生上好ましくないため、必ず週一回は収集しなくてはならない。

容リ法に参加することによって燃えるごみの収集日が減ったり、住民がプラスチックを 洗浄したりしなければならなくなり、これまでよりも住民の利便性の水準は下がることに なるが、もともと町田市ではごみに関する住民意識が高かったので住民の協力が得られそ うであることも容リ法のプラスチックリサイクル参加への追い風になった。しかし、その ような状況の町田市に於いても、住民に対しての実際的な分別方法・基準などの説明の徹

(10)

底(かなり多くのコストが必要)という面は今後も問題となっていくことになる。

以上町田市について考察を行ってきたが、最後に、町田市としては容器包装リサイクル 法の法律自体には様々な問題点があるにせよ、法の根本に掲げられている事業者責任とい う面については今後社会がそのような方向に進んでいくことが望ましいと考えているとい う点も容器包装リサイクル法への参加の要因になったということを付け加えておく。  

以上、容器包装リサイクル法についての問題点を自治体へのヒアリングを交えて述べて きたが、自治体参加の際の非常に大きな問題であるコスト面の問題に関しては、我が国の 現状のように埋め立て場の残余容量が逼迫してきている場合、大きな初期コストが見込ま れることを考慮しても長期的には容リ法のスキームに参加したほうが効率的であるという 立場<慶應環境学生会議・山口研究会発表>を我が班では支持し、もう一つの大きな問題 である住民の容リ法への抵抗感について考えてみる。

町田市のケースでは住民の意識が高いため、大きな障害にはならなかったが、全国の大 部分の自治体では行政のサービスの低下(収集日の減少・面倒な洗浄等)とコスト(税金)

の上昇という二重の重荷に繋がりかねない容リ法のプラスチックリサイクルに対しての住 民の納得を得ることが難しいという点は大きな問題となっている。

3 .   まとめと提言  

  以上のように今年 4 月から開始されるプラスチックのリサイクルが必ずしも軌道に乗る とはいえないことがわかった。ここでもう一度それぞれの主体の抱える問題点を整理して みる。容リ協会:フリーライダー問題(特定事業者の負担すべき再商品化義務料が徴収で きていない)、消費者:分別排出困難(容器包装とそうでないもの、またプラスチックとし て分別してよいものとそうでないものの識別が困難)、自治体:収集量が少ない(環境学生 会議論文「PET ボトルリサイクルの研究」よりコスト高の問題は長期的視野で考えれば問 題ないとする。)、再商品化事業者:自治体で廃プラスチックが収集されないため原料が不 足、の以上の問題点が挙げられる。3章においては「その他プラスチック製容器包装」の 分別が困難なことから自治体が容リ法に参加しにくくなっている点に注目した。そこでわ がパートとしては、この「消費者の分別が困難」という問題点を解決する方法の提言を試 みる。

  私達の提案するのは「容器包装の識別表示(マーク付け)」である。しかしこのその他プ ラスチック容器包装を識別するためのロゴマーク導入はすでに10通産省で法制化が検討さ れている(猶予期間は3年間)。通産省によると期待される効果として①消費者は、分別収

10 平成11126日、産構審(廃棄物リサイクル部会15回容器包装リサイクル小委員会) 資料〜容器包装の識別表示・材質表示について

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集の対象となる容器包装を分別することが容易となる。②地方公共団体にとって、住民に 対して分別排出の指導などが容易となる。またこのため地方公共団体自身も、容器包装リ サイクル法のシステムに参加しやすくなる。③容器包装の種類ごとの分別精度の向上が図 られるため、異なる素材の混入が少なくなり、こういった異物の除去が容易になるととも に、再商品化後のリサイクル製品の向上などが期待できる。④同様に、分別精度の向上が 図られるため、再商品化義務を負う特定事業者の再商品化コストがより適正なものとなる。

としている。また導入の問題点として、表示スペースなど物理的な制約やデザイン性の高 い容器包装の場合、責任の主体が利用事業者、製造事業者、輸入販売事業者にあることに よる新たな11経済的・社会的コスト(500億円)、などがあげられる。

この政策は私達が掲げた問題の解決、つまり消費者の分別排出が容易になることにある 程度寄与できるものだと評価できる。しかしこの政策ではまだ自治体の容リ法参加に消費 者の賛同が得られない。それは消費者にとって容リ法参加は自治体のサービス低下である ことに変わりはないからだ。そこで私達は、改めて消費者の分別するインセンティブを伴 った政策を提言したい。

その提言とは、「識別表示のポイント制」である。これは、表示義務のある特定事業者が ただマークをつけるだけでなく、消費者はそのマークを集めることでポイントをため、何 か特典を得られる、というものである。(ベルマークをイメージしていただくとわかりやす い。)具体的にいうと、まずこのマークの印刷の認定を行うのは容リ協会である。特定事業 者として協会と事務手続きをすんだ企業にその印刷を認める。この状況を受けて次に消費 者の段階で考えてみる。消費者に提供される商品は 3 種類あると考えられる。①容器包装 を極力削減した簡易包装商品②認定マークが印刷されその分のコストが価格に上乗せされ た商品③フリーライダーとして認定を受けず、価格も二つ目ほどには高くない商品。この 商品は、特定事業者自身が自社の容器包装が法の対象となるかどうかわかっていない商品 であるため、必然的に消費者にとっては分別も難しくなる。識別表示の場合、これらのフ リーライダーと、協会にきちんと委託している特定事業者との負担はさらに広がる一方で あるが、マークを認証化すれば、消費者がプラマークをついた商品を選ぶことでフリーラ イダー問題が解決されると仮定できる。残るのは前者 2 種類の商品である。一つ目の簡易 包装商品は企業努力次第であるが、価格競争力があるものならば消費者が積極的に選択す ることになり理想といえよう。しかし現状でそのような企業はまだ少ない。そこで二つ目 の商品が大部分を占めることになるのだが、消費者は特典がもらえると理由で商品につい ている認定マークを切り取り集めておく。そしてその際、そのマークがついているものが 容リ法の対象となっているものだと容易に識別することができるはずである。こうすれば 法基準にあったプラスチックが分別排出されることになり、自治体での収集量も増えるで

11 平成11125日、日刊工業新聞「容器包装リサイクル最適循環への挑戦11」

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あろう。そしてその次の段階である再商品化事業者が処理するプラスチックがないという 問題も解消されるはずである。ここでさきほどからマークの収集による特典という話をし ているがその特典について述べたい。その特典とは「再商品化製品が安く購入できる」と いうものである。これは再商品化製品の販売の活性化を図ると同時に消費者生活の中にリ サイクル製品を浸透させるという目的がある。実際にはそのマークで割引のきく製品に印 をつけることで識別することになるだろう。しかしここで問題なのはその割り引かれた分 を誰が負担するかということである。PET ボトルリサイクルの研究では再商品化事業者が 利益が見込めないと理由で参入が滞っていたという問題があった。つまり再商品化事業者 にこれ以上の負担を強いることは不可能である。それでは誰か。ここで私達が考えた答え は自治体である。EPRの概念を思い出していただきたい。これまで自治体が行ってきた廃 棄物処理を生産者に負わせ、廃棄物の削減とその再商品化を促すのが目的であった。そし て自治体はその浮いた費用分を住民税を下げるという形で消費者に還元する、つまりいわ ゆる「税金の二重取り」の解消、そして消費者は処理コストの内部化された商品を買う、

これがそれぞれの主体の役割であった。ここでその概念を今回に当てはめて考えてみると、

自治体は住民税減税を行い、消費者に還元すべきであるはずなのにそれが実施されていな い。だからその分を再商品化製品の割引分に当てようというのが私達の主張である。そう すれば環境意識の高い(マークを収集する消費者はそのマークを切り取った後、分別排出 するものとする)消費者は恩恵をこうむることになる。これが私達の提案する「分別のイ ンセンティブ」である。(別資料図2−5)

以上が私達の考えだがもちろんこれが簡単には実現するとは考えにくい。まず最初の段 階でフリーライダー問題が解消すると仮定したが現実的に考えると、特定事業者への請求 金額よりも事務手数料がかかるという例も多いため、請求金額の基準を上げるなりして対 応せねばならないだろう。

参考文献

*容器包装リサイクル法  分別収集計画ガイドブック(改訂版)

リサイクル法令研究会  監修

*容器包装リサイクル法相談支援システムマニュアル 

(財)容器包装リサイクル協会 

*全国自治体のごみ処理状況 2000 年度対応実態調査報告 

(株)シーエムシー 

*廃棄物基本データ集  1998  財団法人  日本環境衛生センター

*平成11年12月5日、日刊工業新聞「容器包装リサイクル最適循環への挑戦11」

*平成11年12月6日、産構審(廃棄物リサイクル部会 15回容器包装リサイクル小委員会) 資料〜容器包装の識別表示・材質表示について

(13)

*インターネットHP

通産省HP http://www.miti.go.co.jp 厚生省HP http://www.mhw.go.jp/

財団法人日本容器包装リサイクル協会HP http://www.jcpra.or.jp 容器包装リサイクル法データベース http://www.nippo.co.jp

お世話になった人

*プラスチックリサイクル推進協議会  日向寺  照夫様  野口  博子様

*町田市清掃課

*小田原市環境部環境総務課

参照

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8) ドイツの容器包装廃棄物のリサイクル制度の形態と評価については、拙稿、松枝(2011)を参照のこと。

- 10 - 11 分別収集の用に供する施設の整備に関する事項(法第8条第2項第 6号)

April 2012 (2) ボトル以外のプラスチックの収集・リサイクルについて ベルギーでは、 Fost Plus

品 目 名 素 材 等 分 別 区 分 出し方のポイント等 あ アイアン(ゴルフ用品) 金属・カーボン

一般ごみ 一般ごみ 一般ごみ 一般ごみ 一般ごみ プラスチック製容器包装 ペットボトル プラスチック製容器包装 分け方 容器 個別の包み スプーン

本に対し、同じく1ケ月の平均再利用本数1.5本という