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5.2 ドイツにおける容器包装リサイクルシステム 容器包装リサイクルシステムの内容 (1) 容器包装リサイクルシステム全体の概要ドイツでは 1991 年に制定された容器包装廃棄物令 ( 容器包装廃棄物の回避および再利用のための法規命令 :Verordnung über die Verme

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5.2 ドイツにおける容器包装リサイクルシステム

5.2.1 容器包装リサイクルシステムの内容

(1) 容器包装リサイクルシステム全体の概要

ドイツでは、1991 年に制定された容器包装廃棄物令(容器包装廃棄物の回避および再利

用のための法規命令:Verordnung über die Vermeidung und Verwertung von Verpackungsabfällen)

が容器包装廃棄物のリサイクル制度について定めている。同令は一般家庭から出る容器包装 廃棄物の処理責任を生産者等にあると定めており、生産者責任を明確にしている。同令は、 制定後、改正を重ね、2008年には第5次改正が行われている(2009年施行)。第5次改正 は以下を目的としている。 一般消費者向け容器包装廃棄物のリサイクルを持続可能なように構築すること ライセンス制度を通して、一般消費者向け容器包装廃棄物のリサイクルを実行する こと 容器包装廃棄物の販売先を文書化することで、容器包装リサイクルの透明性を高め、 製造業者や販売店から流通させた容器包装廃棄物の総量を明確にすること 容器包装廃棄物を収集する業者間の競争を改善し、フリーライダーが自らの容器包 装廃棄物を他企業の費用、あるいは公共の費用でリサイクルすることを不可能にさ せること 2008年改正の容器包装廃棄物令第6条1項に基づき、製品を充填した販売包装を最初に 流通させる生産者(容器包装を利用して製品を生産する事業者。容器包装そのものの生産者 は含まない。)及び販売者(以下「生産者等」)は、販売包装の広域収集を確保するために、 1つ又は複数の収集システムに加入することが義務付けられている。生産者等は、自治体の 収集・処理ルートとは別に、容器包装廃棄物の収集・リサイクルを負担する。生産者等によ る収集は、自治体による既存の収集システムと併存するため、この収集システムはデュアル システム(以下「DS」)と呼ばれている。一般消費者に販売される全製品の容器包装廃棄 物が、DSでの収集対象とされているため、これらの製品を生産・販売する生産者等には、 DSのライセンス取得義務が課されている。 また容器包装廃棄物令は、「最終消費者」について、一般個人消費者およびそれ以外のレ ストラン・ホテル・セルフサービスの食堂、病院、教育施設、慈善団体、軍隊の兵舎、行政 機構、文化団体(映画、オペラ、博物館)、スポーツスタジアム、休暇施設、娯楽施設、高 速道路のサービスエリア、農作物および手工芸販売も含めており、これらの施設、団体、業 種向けに販売される容器包装入り製品についても、その生産者等に対してDSへの加入義務 が課されている。

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217 図 5-1 ドイツにおける容器包装リサイクルスキーム (2) 関係主体の役割分担 1)生産者等 ドイツの容器包装廃棄物令は、製品を充填した販売包装を最初に流通させる生産者(容器 包装を利用して製品を生産する事業者。容器包装そのものの生産者は含まない。)及び販売 者が、その製品から生ずる容器包装廃棄物の原因者であり、その結果に対して責任を負うと する原因者負担原則 3 に基づいている。この考え方の下で、生産者等には、具体的には以下 の5項目の取組が求められている。 再利用可能であり、使用後、環境に適合する処理に適した、製品の開発・生産・流通 を行うこと。 生産には、再利用可能な廃棄物または使用済み原料を優先的に利用すること。 使用後の廃棄物の再利用と処理を確保するため、有害物質を含む製品には、その旨を 表示すること。 使用済製品の返却・再使用・再利用の可能性とその義務、デポジット制度については、 製品に表示すること。 製品の収集、製品の利用後に残る廃棄物の収集および廃棄物の再利用・処理を行うこ と。 以前は、生産者等に対して、販売包装を無償で引き取り、利用基準(各素材のリサイクル 率目標)を満たし、そのことを証明することを義務付けた上で、DSに加入した場合にはそ れを免除するというものであったが、第5次容器包装廃棄物令は、生産者等による独自の収 集・処理が認められなくなり、全ての生産者等がDSに参加することを義務付けた。全ての 3 環境汚染などに関して、行為によって発生した費用はその発生原因者が負担すべきであるとする規範原

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218 生産者等へのDSへの参加が義務づけられたのは、DSに参加せずに責任を果たさない生産 者等を排除し、生産者等の間での公平性を確保するためである。 容器包装廃棄物令第10条に基づき、年間の容器包装流通量が、ガラスは80トン、紙/厚 紙は50トン、その他の軽量容器包装は30トンを超える生産者等は、DSへの加入とリサイ クル義務を遂行した証明書を州政府に報告することが義務付けられている。生産者等には使 用した包装材の素材・量・処理方法を管轄の商工会議所に報告することが義務づけられてお り、州の監督庁は、商工会議所から送られたデータとDSが収集・処理した包装廃棄物量と 照らし合わせ、流通・処理状態の視覚化を図っている。 なお、業種ごとの完結した収集・リサイクルシステムが整備されている容器包装について は、DSへの加入は除外されている。州により業種(自動車製造業・医療機関・農業関係等) ごとの収集・リサイクルが許可された容器包装については、ライセンス取得義務(グリーン・ ドットの購入義務)は適用されない。その他、輸送用・梱包用包装・業務用包装・有害物質 を含む容器包装に関しては、従来どおり製造者と販売者を通じた特定ルートによる独自の収 集とリサイクルを定めている。 2)デュアルシステム運営企業(DS企業) 1991年の制定当初より、容器包装廃棄物令第6条に基づき、デュアルシステム運営企業 (以下「DS 企業」)は、使用済み販売用容器包装の定期的な収集を無償で十分な方法(戸 別収集又は持参収集、もしくはその両方)により保証し、各素材のリサイクル率目標を満た すことが義務付けられている。また、DS企業は、容器包装の素材毎に収集量、材料リサイ クル量、及びエネルギーリサイクル量を証明する義務を負う。さらに、容器包装廃棄物令第 6条7項に基づき、各システムは、共同機関に加入することが求められる。 各DS企業は、リサイクル率目標を達成できなかった場合にはDS企業としてのライセン スを失う。 3)州政府 1991年の制定当初より、容器包装廃棄物令第6条に基づき、州政府又は州の指定する行 政庁は、DS企業の申請に基づいてDSが全域的に構築されていることを確認し、公示する ことが求められている。 4)共同機関 容器包装廃棄物令第6条7項に基づき、共同機関は、下記の業務を行うこととされる。 公法上の廃棄物処理事業者の地域ごとにおける複数のシステム間の割り当て容器包 装量の算定(各システムからの生産者等との契約量に関する報告を受け、地域毎に各 システム契約割合を算定すること) 合意に基づく副次的報酬(補償)の配分 市場経済上中立的な公告に関する調整(処理事業者への公開入札の調整)

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219 5)消費者 法的な義務はないが、製品の購入後、空の容器包装をルールに従い分別してから廃棄する。 (3) 分別収集の仕組み DSでは、消費者が分別排出を行い、生産者等が、分別収集・選別、リサイクルを行う。 容器包装廃棄物以外の生ごみ等は、自治体によって収集される。一方、家庭から排出された 容器包装廃棄物は、DS企業が収集地域や廃棄物の素材毎に契約を結んだ収集業者によって 収集され、ソーティングセンターで選別された後、再商品化事業者に引き渡される。収集に 伴う費用は、生産者等からDS企業に支払われたライセンス料(マーク使用料)によって負 担されている。 消費者による分別排出方法は、色分けされたごみ箱に分別して廃棄物を入れることであり、 その色区分は一般的に以下のとおりである。 青:紙/段ボール 白:白もしくは透明なガラス 茶色:茶色のガラス 緑:緑のガラス 黄色:その他の軽量容器包装 有機物用ごみ箱: 食品残渣および植物 黒 –上記に当てはまらないもの 容器包装廃棄物として、分別収集の対象となる素材は、以下のとおりであるが、法令では、 紙やプラスチック製の袋、CD等を包装する透明なプラスチック製のフィルム等も対象品と して指定している。ストローやクリーニング袋については、対象品であるという指定はない が、クリーニング袋に関しては、容器包装廃棄物令上、クリーニング店が紙やプラスチック 製の容器包装廃棄物の生産者等に該当するため対象となる。 ガラス 紙・段ボール 鉄 アルミニウム プラスチック(フィルム・ボトル・カップ) 複合素材(飲料用パックを含む) また、ワンウェイの飲料容器については素材にかかわらずDSの対象とはならず、ライセ ンス取得義務もないが、後述の強制デポジット制度の対象となっている。 分別収集された廃棄物は、DS企業が品目ごと(例:プラスチック、紙・ダンボール、ア ルミ、ガラス等)に契約した再商品化事業者に引渡される。再商品化事業者は分別収集され た容器包装廃棄物から原料(ペレット等)を製造することにより、使用済み容器包装は再び 製品として利用される。

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220 (4) 分別収集・リサイクル費用の負担の仕組み DS企業による収集・リサイクルに伴う費用は、生産者等からDS企業に支払われたライ センス料によって賄われている。DSでは、1991年よりグリーン・ドットと呼ばれる商標(マ ーク)を容器包装に表示するシステムを導入している。グリーン・ドットが付されている場 合、その容器包装は使用後に収集されてリサイクルされることを意味しており、このマーク のライセンス料を支払った生産者等だけが自社製品に表示できるようになっている。DS企

業各社(例:DSD社(Duales System Deutschland GmbH))が、ライセンス料を生産者等か

ら支払ってもらい、その費用で、収集・リサイクルを実施している。なお、収集に係る費用 についてはDS企業が共同で負担する形をとり、各社がリサイクル量に応じて収集費用を拠 出しており、DS企業間での競争は、実質的には選別・リサイクル・システム管理運営の部 分と、それを反映した加入料金・ライセンス料の設定による生産者等からの申告受注の部分 で行われている。DSへの加入料金、ライセンスは、容器包装廃棄物の素材と重量によって 決まり、各社で料金が異なっている。 (5) リサイクル手法 ドイツでは、循環経済法において、廃棄物処理全体のリサイクル手法について、以下の優 先順位が定められている。 リデュース リユース リサイクル その他の再利用(エネルギー収集含む) 処分 ドイツでは、リサイクル手法として、「メカニカルリサイクル」、「フィードストックリサ イクル」、「エネルギーリカバリー」があり、これはそれぞれ日本における「材料リサイクル」、 「ケミカルリサイクル」、「サーマルリカバリー」にあたるものである。なお、メカニカルリ サイクルとフィードストックリサイクルについては、リサイクルとして同等と捉えられてお り、メカニカルリサイクルとフィードストックリサイクルの間での優先順位はない 4 。ただ し、後述のとおり、容器包装廃棄物令において、メカニカルリサイクル率の目標が定められてい る。なお、ドイツのリサイクル実績をみると、近年はメカニカルリサイクルが大半を占めて おり、フィードストックリサイクルは非常に少ない。 5.2.2 リサイクル目標及び達成状況 (1) リカバリー・リサイクル目標 ドイツでは、容器包装廃棄物令において、1999 年以来、以下のとおり、素材別のリサイクル目標 (リカバリー含む)が設定されている。なお、EC 指令(2004/12/EC)においても、表 5-2 のとおり、リ 4 DSD及びドイツ連邦環境省ヒアリング結果より。

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221 サイクル目標が設定されており、これも遵守する必要があるが、ドイツの容器包装廃棄物令の目標 はEC指令を上回った数値が設定されているため、ドイツ容器包装廃棄物令のリサイクル目標の設 定は変更されていない。 表 5-1 ドイツ容器包装廃棄令のリカバリー・リサイクル目標 素材 目標(重量ベース) ガラス 75% 紙・厚紙(段ボール等) 70% ブリキ(スチール) 70% アルミニウム 60% プラスチック 60%(36% 注 ) 複合材 60% 注)リカバリー目標が60%、そのうちの60%(全体の36%)についてはメカニカルリサイクルでなければ ならない(容器包装廃棄物令 付録1(第6条に対応)より))。 表 5-2 EC指令(2004/12/EC)のリサイクル目標 素材 目標(重量ベース) ガラス 60% 紙・厚紙(段ボール等) 60% ブリキ(スチール) 50% アルミニウム 50% プラスチック 22.5% 注 複合材 50% 注)リサイクルにより再びプラスチックに戻るもののみカウントした場合の割合。メカニカルリサイクル だけではなく、プラスチックに戻すケミカルリサイクルも含まれる。 リサイクル目標は、EC指令を遵守するものである必要があるが、ドイツでは既にEC指令を上回 る率が設定されている。他方、ドイツでは、今後EC指令が改正されリサイクル率目標が引き上げら れる可能性が高いこと、現在のリサイクル目標( 表 5-1)は既に達成できており、技術的にもまだリサイクル率を向上させることが可能であるとの 有識者見解が示されていることなどから、今後リサイクル目標を引き上げることが検討されている 5 。 リサイクル率の算定方法は、生産者等がDS企業に申告した「市場に出された容器包装量」 を分母、「容器包装ごみの収集量」を分子として算定している(なお、このリサイクル率目 標の算定においてはリデュースの実績は特段、考慮されていない)。 このリサイクル率の算定方法では、DS企業への申告量が少なくなればリサイクル率が向 上することになることから、生産者等がDS企業に市場に出した容器包装量を過小申告する と、生産者等はライセンス料の支払額を抑えることができ、DS企業はリサイクル率を向上 させることができるという仕組みになっており、問題があると指摘されている。このため、 5 ドイツ連邦環境省ヒアリングより。

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222 リサイクル率の算定方法について、収集された「家庭ごみ中の容器包装ごみの量」を分母、 「リサイクルされた量」を分子とする方法へと変更し、あわせて容器包装ごみの収集量基準 (調査して得た住民1人当たりの廃棄物排出量・組成をベースに推計)を設定する方向で検 討されている 5 。 (2) リサイクル実績 2003年~2010年にかけての、Eurostat(EU統計)におけるドイツの容器包装廃棄物量、収集 された容器包装廃棄物のマテリアル・リサイクル、エネルギーリカバリー、その他のリサイ クル方法別のリサイクル量を表 5-3に示す。近年の容器包装廃棄物量は1,500~1,600万トン 程度であり、マテリアル・リサイクルの割合は2009年以降、7割以上に達している。その他 のリサイクル方法でのリサイクル量は増加傾向にあり、エネルギーリカバリー量及び熱収集 を行う焼却施設での焼却量は2007年にかけて増加していたが、2008年、2009年と減少し、2010 年には再びやや増加している。 表 5-3 ドイツにおける容器包装廃棄物量(全体)とリサイクルされた量の推移 単位:トン 容器包装廃棄 物量 再生利用並びにエネルギーリカバリー及び熱収集を伴う焼却施設での焼却 マテリアル・リサ イクル量 その他のリサイ クル方法でのリ サイクル量 エネルギーリカバ リー量 熱収集を伴う焼 却施設での焼 却量 リカバリー総計 A b c d e=a+b+c+d 2003年 15,465,800 10,497,800 417,900 1,151,700 1,280,600 13,348,000 2004年 15,516,900 10,458,400 339,600 1,373,300 1,234,170 13,405,470 2005年 15,470,500 10,368,700 184,500 1,596,000 1,304,770 13,453,970 2006年 16,132,765 10,578,730 149,630 1,978,200 1,556,383 14,262,943 2007年 16,112,500 10,659,400 124,300 1,976,000 2,506,028 15,265,728 2008年 16,044,800 11,171,600 142,000 1,786,100 2,102,860 15,202,560 2009年 15,052,100 10,876,620 181,620 1,669,120 1,552,192 14,279,552 2010年 16,002,600 11,442,600 185,300 1,819,900 1,860,818 15,308,618 注1)プラスチック容器包装の場合、マテリアル・リサイクル量には、プラスチックにリサイクルされた全 ての材料を含む。 注2)その他のリサイクル量には、有機物リサイクルを含む全てのリサイクル形式で消費された量含む。(マ テリアル・リサイクルは除く)

出所)Eurostat: Generation and treatment of Packaging waste (domestic / imports / exports), by country, year, waste category, and treatment type, in tonnes, kg per inhabitant and percent (%)

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223 表 5-4 2010年のドイツにおけるリサイクル実績 素材 マテリアル・リサイクル 注1 リカバリー全体 注2 ガラス 86.1% 86.1% 紙・厚紙(段ボール等) 90.2% 98.7% ブリキ(スチール) 93.3% 93.3% アルミニウム 87.7% 96.5% プラスチック 49.4% 97.2% 木 27.5% 96.5% 合計 72.7% 95.7% 注1)メカニカルリサイクルだけでなく、フィードストックリサイクル等のリサイクルを含む。メカニカル リサイクル以外のリサイクルがされているのは、プラスチック及び木であり、いずれもメカニカルリ サイクル以外のリサイクル率は全体の1割にも満たない。 注2)リサイクルを含む。

出所)Aufkommen und Verwertung von verpackungsabfällen in Deutschland im Jahr 2010 ドイツ連邦環境省

2003年~2010年にかけての、Eurostat(EU統計)におけるドイツのプラスチック容器包装廃 棄物量、収集された容器包装廃棄物のマテリアル・リサイクル、エネルギーリカバリー、そ の他のリサイクル方法別のリサイクル量を 表 5-5に示す。近年のプラスチック容器包装廃棄物量は260~270万トン程度であり、マテ リアル・リサイクルの割合は、2009年以降は45%以上に達している。その他のリサイクル方 法でのリサイクル量は2007年にかけて減少傾向にあったが、2010年は増加している。エネル ギーリカバリー量は増加傾向が続いており、熱収集を行う焼却施設での焼却量は2007年にか けて増加していたが、2008年以降減少傾向にある。 表 5-5 プラスチック容器包装廃棄物量とリサイクルされた量の推移 単位:トン プラスチッ ク容器包装 廃棄物量 再生利用並びにエネルギーリカバリー及び熱収集を伴う焼却施設での焼却 マテリアル・リ サイクル量 その他のリ サイクル方 法でのリサ イクル量 エネルギー リカバリー量 熱収集を伴 う焼却施設 での焼却量 リカバリー総計 a b C d e=a+b+c+d 2003年 2,070,500 787,700 304,700 46,800 465,100 1,604,300 2004年 2,254,800 762,900 239,200 98,900 570,050 1,671,050 2005年 2,367,900 833,000 93,000 201,000 636,540 1,763,540 2006年 2,591,200 987,530 81,630 375,200 672,338 2,116,698 2007年 2,643,800 1,075,100 54,300 516,000 874,157 2,519,557 2008年 2,732,400 1,221,000 72,000 576,100 761,445 2,630,545 2009年 2,620,800 1,218,800 48,700 638,000 630,790 2,536,290 2010年 2,690,100 1,213,600 114,000 689,100 598,111 2,614,811 注1)マテリアル・リサイクル量には、プラスチックにリサイクルされた全ての材料を含む。

出所)Eurostat: Generation and treatment of Packaging waste (domestic / imports / exports), by country, year, waste category, and treatment type, in tonnes, kg per inhabitant and percent (%)

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224 ドイツにおける、メカニカルリサイクルとフィードストックリサイクルのプラスチック リサイクル率の推移は図 5-2 のとおりである。当初は、フィードストックリサイクルが 60%近い割合を占め、メカニカルリサイクルは 40%程であったが、徐々に、メカニカル リサイクルの割合が増え、2001年を境にこの比率が逆転し、2003年ではメカニカルリサ イクルが50%強にのぼり、フィードストックリサイクルが45%程に減少している。2010 年にはプラスチックについて、メカニカルリサイクルの量が1,213.6トンであるのに対し て、フィードストックリサイクルの量が114トンであり、メカニカルリサイクルが大半を 占めている。 なお、メカニカルリサイクルによって再商品化された原料は、植木鉢、パイプ、飲料カ ートン等に用いられている。 図 5-2 メカニカルリサイクルとフィードストックリサイクルの割合の推移 (werkstofflich=メカニカルリサイクル rohstofflich=フィードストックリサイクル)

出所)DSD, as used in an ASCON (Society for Waste and Secondary Raw Materials Consulting) presentation in April 2009

5.2.3 グリーン・ドット方式の内容

(1) グリーン・ドットの管理団体

ドイツにおけるグリーン・ドットの管理団体は、DS 企業である。ドイツでは、DS 開始

当時は、Duales System Deutschland GmbH (DSD社)1社のみがDSを運営していたが、2005

年に独占状態が解除され、他社もDS運営に参加するようになり、現在は10社になってい

る。DS企業は競争環境に置かれており、各社が生産者等に向けて、自社の DSに乗り替え

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表 5-6 主なDS企業

DS企 業 WEBサ イ ト

BellandVision GmbH www.bellandvision.de Der Grüne Punkt – Duales System Deutschland

GmbH

www.gruener-punkt.de EKO-PUNKT GmbH www.eko-punkt.de INTERSEROH Dienstleistungs GmbH www.interseroh.de Landbell AG für Rückhol-Systeme www.landbell.de Reclay Vfw GmbH reclay-group.com Zentek GmbH & Co. KG www.zentek.de

出所)ドイツ商工会議所連盟(Deutscher Industrie- und Handelskammertag)Webサイトより作成(2013年

3月) (2) 加入料金・ライセンス料 ドイツにはDS企業が複数あり、DSへの加入料金は、容器包装廃棄物の素材と重量によ って決まり、各社で料金が異なっている。ここではDSD社を例として取り上げる。DSD社 では、DSへの最低加入料金は年間140ユーロ(+税)であり、加入料金には、以下の管理 業務を含んでいる。 使用済み容器包装廃棄物の総量に対する料金計算(コンピュータ・システムを使用)。 総量証明と加入会社が義務を遂行したことの確認。 加入企業が、第5次容器包装廃棄物令における事業者責任を果たしたことを示す証明 書の送付。 生産者等がDSD社に支払うライセンス料は以下のとおりである。ライセンス料は、容器 包装廃棄物の素材と重量によって決まっており、ライセンス料は包装物の材質と重量によっ て変動する。なお、ドイツの容器包装リサイクル制度において生産者等の取組等によるボー ナス/ペナルティの設定は無い。 表 5-7 容器包装廃棄物の素材別の料金表(ライセンス料) 素材 ユーロ/トン ガラス 1.00 紙・厚紙(段ボール等) 3.00 ブリキ板 5.00 アルミニウム 13.00 プラスチック 17.00 ボール紙製の複合材 13.00 その他の複合材廃棄物 13.00 天然素材 2.00 出所)DSD社のホームページ(2013年3月)

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226 5.2.4 強制デポジット制度の内容 (1) 強制デポジット制度の概要 ドイツでは、1991 年に制定された容器包装廃棄物令において、飲料容器のうちリターナブ ル容器の市場占有率が 72%を下回った場合には、ワンウェイ容器に対する強制デポジット 制度を発動するという規定があり、1997年から2年連続でリターナブル容器の市場占有率 が72%を下回ったため、2003年1月より強制デポジット制度が発動した。 しかしながら、2003 年の強制デポジット制度の発動時には、ディスカウントストア等が 自分のチェーンで販売した独自ブランドしか引き取らない方式を行ったこと等によりドイ ツ国内で混乱が生じたため、2005年の容器包装廃棄物令の改正により、2005 年5 月より、 強制デポジットの額を25 セントに統一し(それ以前は1.5 リットル超のワンウェイ容器は 50 セント)簡素化が図られた。25セントの金額は、ワンウェイ容器とリターナブル容器の 価格差を考慮して設定された。2006 年5 月からは「1991 年のリターナブル比率との比較」 6 という強制デポジット適用の要件がなくなり、一部(後述)を除くワンウェイ容器につい ては、強制デポジットが適用され、対象が拡大された。同時に、懸案であった全国統一のボ トル返却・精算システムの導入が義務付けられ、ディスカウントストア等が自分のチェーン で販売した独自ブランドしか引き取らない方式は禁止された。 デ ポ ジ ッ ト シ ス テ ム の 運 営 は 、 小 売 業 者 や 生 産 者 等 ( ボ ト ラ ー 等 ) が 設 立 し た DPG(Deutsche Pfandsystem GmbH)によって行われている。DPG は、デポジット金自体の管理業務は実施してお らず、デポジットに関するデータを管理している。デポジットシステムは、消費者は製品購入時にデ ポジッ ト金を容器毎に支払い、使用後に小売店に容器を返却すればデポジッ ト金は返金され る 。 小売店はこのデポジット金について、生産者等から支払いを受ける仕組みとなっている。店頭の自 動収集機で収集された容器は、収集機の時点でデポジットデータが消去され、小売店が収集され た容器をリサイクル業者に引き渡す。自動収集機で収集されなかった場合は、小売店がデータセ ンターまで運び混み、コードを読み取らせてデポジットデータを消去した上で、リサイクル業者に引 き渡している。DPGは以上のシステムのデータに関する管理のみを実施しており、生産者等から小 売業者等へのデポジット金の返金(振込)は当該データに基づき個別口座間で行われている。 現在強制デポジットの対象となるものは、飲料用ワンウェイ容器のうち、0.1から3.0リットルのペッ トボトル、ガラスボトルおよび缶である。ただし、フルーツジュースや牛乳および乳飲料は対象外と なっている。 (2) 強制デポジット制度の評価 デポジット制度導入の政策的な目的は、1)リターナブル容器の増加及びワンウェイ容器の 減少、2)景観の改善、3)ボトル素材の単一化、という三つであり、これらの目的に対する達 成状況の評価が実施されている 7 。 1)の目的について、リターナブル容器とワンウェイ容器の状況は、デポジット制度導入当 6 2005 年の容器包装命令改正以前は、「リターナブル飲料容器のシェアが1991年レベル(72%)未満とな った飲料について、ワンウェイ容器に強制デポジットを適用する」と規定されていた。 7

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227 初はワンウェイ容器の量は減少したが、ミネラルウォーター等については、海外からの安価 なワンウェイ容器が増えたこともあり、ワンウェイ容器の量が再び増加し、現在はリターナ ブル容器の割合は40%程度となっている。ビールについてはリターナブル容器の割合を80% 以上に維持できており、一定の効果があったと評価されている。以上の状況を踏まえると、 1)の目的については、当初の想定していたほどの成果は得られなかったが、他国におけるリ ターナブル容器の状況を考慮するとデポジット制度を導入しなかった場合にはリターナブ ル容器が現状よりも大幅に減少していた可能性が高く、リターナブル容器の維持に一定の効 果があったと評価されている。 2)の目的については、ワンウェイ容器を小売店に持ち込めば、デポジット金の返却を受け ることができることから、ワンウェイ容器が町中に捨てられているという状況は改善し、効 果があったと評価されている。3)の目的については、小売店が収集したワンウェイ容器をリ サイクル業者に引き渡すことで、売却益を得ており、リサイクルしやすく引取価格が高い単 一化素材のボトルの方が好まれたことから、ボトルの単一素材化に一定の貢献をしたと評価 されている。 なお、デポジット制度については、以上の評価結果を踏まえ、大幅な見直しが行われる予 定はないが、デポジット容器とワンウェイ容器の区別の明確化(消費者にとってのわかりや すさの向上)などの点で、改善策が検討されている 8 。 5.2.5 容器包装リサイクルシステムに関する評価及び最近の動向 (1) 容器包装リサイクルシステムの評価 容器包装廃棄物令の第5次改正の際、容器包装リサイクルシステムにおける競争と責任分 担はどうあるべきか、システム全体について根本的な変更を実施して最適化することが望ま しいのではないか等の意見が出されたため、容器包装廃棄物令の第5次改正後、ドイツ連邦 環境省は、第5次容器包装廃棄物令の影響の評価と根本的な制度変更の可能性に関する検討 を実施した 9 。その内容としては、循環経済法において、自治体における資源ごみ収集が拡 大されたことも踏まえて、容器包装リサイクルシステムについて、DSあるいは自治体の責 任範囲(収集対象)の拡大などが検討されている。 (2) 容器包装以外の廃棄物との一括収集・リサイクルについて 10 ドイツ連邦環境省では、容器包装廃棄物令の第5次改正についての見直しを実施する中で、 リサイクル対象として収集すべきものについての検討を実施した。その結果、プラスチック 8 ドイツ連邦環境省ヒアリングより。 9

Evaluielung der Verpackungsverordnung, ドイツ連邦環境省 2011年2月

10

Planspiel zur Fortentwicklung der verpackungs verordnung

Teilvorhaben 1 :Bestimmung der Idealzusammensetzung der Wertstofftonneドイツ連邦環境省 2011年2月 Planspiel zur Fortentwicklung der verpackungs verordnung

Teilvorhaben 2:Finanzierungsmodelle der Wertstofftonne ドイツ連邦環境省 2011年2月 Planspiel zur Fortentwicklung der verpackungs verordnung

(13)

228 や金属については、一定のサイズ以下であるならば、容器包装であるか否かに関わらず、素 材が同じであれば一括収集することが望ましいという検討結果が得られた。この検討結果を 踏まえ、ドイツ各地では自治体が主導して、容器包装廃棄物と容器包装以外の廃棄物を一括 収集するパイロットプロジェクト(対象人口はドイツ全土で約1千万人)が始まり、DS企 業が自治体と協力して、使用済みプラスチック製品や使用済み金属製品の容器包装廃棄物と の一括収集が実施されている 11 。 パイロットプロジェクトの成果を踏まえ、ドイツ連邦環境省は、容器包装廃棄物令の今後 の方向性について、更なる検討を重ねており、一括収集が可能な組合せ、一括収集を実施す る場合の自治体とDS 企業の負担割合等についてシミュレーションを実施している。今後、 これらのシミュレーション結果等を踏まえ、容器包装廃棄物と容器包装以外の廃棄物の一括 収集・リサイクルに向けて政策を推進しようとしている 12 。一方で、容器包装以外の廃棄物 は従来自治体が収集していた資源ごみであるが、一括収集を導入するとそれらがDS企業に 収集されることになるため、DS企業側と自治体側の利害関係の対立が生じている 13 。 (3) DKR社の現状 DKR 社 14 は1993年にDSD 社とプラスチックリサイクル業界団体(BKV)の共同出資に よって設立された企業であり、設立当初は、DSD 社によって分別収集されたプラスチック 製容器包装を引き取り、そのリサイクルを確実にすることを保証する役割を果たしていた。 しかしながら、2005年に容器包装リサイクルシステムにおけるDSD社の独占状態が解除 されるとともに、プラスチックリサイクル業界団体の出資分(51%)がDSD社に売却され、 現在は、DSD社が100%保有する関連会社となっている。 現在、DKR社は、DSD社が分別収集した容器包装廃棄物を選別・リサイクルする企業の 一つであり、プラスチック以外の容器包装のリサイクルも実施している。 (4) DS企業の複数化による影響 2005年にドイツの容器包装リサイクルシステムにおけるDSD社の独占状態は解除され、 複数の企業がDSに参加するようになり、現在は10社が参加しており、競争状態になって いる。 複数社による競争の結果、分別収集・リサイクル費用全体は、独占状態の解除前の 2003 年に比べると2011年の費用はほぼ半減していると言われている。この費用削減に最も大き く貢献しているのは技術的な改善であり、例えばこれまでは収集車でプレス収集を行ってか ら選別を実施していたが、プレスをしないで収集できるような収集車が導入された結果、選 別費用が削減されたことなどが挙げられる 15 。しかしながら、費用削減については、DS 企 業による生産者等からの市場投入量の申告の過少見積もりもあるのではないかとの指摘も 11 DSD社、ドイツ連邦環境省ヒアリングより。 12 ドイツ連邦環境省ヒアリングより。 13 ドイツ連邦環境省ヒアリングより。 14

設立当初はDeutsche Gesellschaft für Kunststoff-Recycling という社名であったが、現在は Deutsche

gesellschaft für Kreislaufwirtschaft und Rohstoffe mbH となっている。

15

(14)

229 ある。過小見積りは、生産者等の支払い額の軽減、DS企業のリサイクル率向上につながる ためである。この点については、容器包装廃棄物令の見直しの論点の一つでもあり、リサイ クル目標、収集量基準の設定等で対応するべく検討が行われている 16 。 なお、市民への分別排出等に関する啓発活動もDS企業の役割の一つであり、このような 活動は DS企業にとってコスト要素であるため、削減対象の一つとなることはあり得るが、 分別収集・リサイクル費用全体の削減率が5割程度であるのに対して、啓発活動等を含む管 理費用の削減率は1割にも満たないため、啓発活動が著しく落ち込んでいるという状況では ないと推察される 17 。 16 ドイツ連邦環境省ヒアリングより。 17 DSD社、ドイツ連邦環境省ヒアリングより。

表   5-6  主な DS 企業

参照

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