外 部 評 価 報 告 書
― 教 職 実 践 専 攻 (教 職 大 学 院 )に つ い て ―
平 成 2 3 年 6 月
国 立 大 学 法 人
福 岡 教 育 大 学
は じ め に
こ の たび、「国立 大 学法 人福 岡 教育 大学 外 部評 価委員 会規程」を新たに策定 し、外部評価委員会を恒常的に開催することといたしました。
その趣旨は、本学の教育の質的向上がどのように実現されているかについて、
本学の教育組織や研究組織の在り方、学士課程教育並びに大学院教育の効果、
及び学生の就業力育成の実状等に関して、大学が作成する自己評価資料等に基 づき、ステークホルダーとしての学外者による点検・評価を経ることにより、
本学の改善・改革に役立てたいと考えたからです。
外部評価委員会は、大学経営上の法定組織としての経営協議会や教育研究評 議会、監事の職務との重複を避けるとともに、毎年度実施される国立大学法人 評価や大学機関別認証評価などの第三者評価との区別化を図りながら、以下の 事項について検討していただきたいと考えています。
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社 会 の ニ ー ズ に 対 応 し た 本 学 の 教 育 組 織 並 び に 研 究 組 織 、 セ ン タ ー の 在 り 方について(選修・専攻・コース、講座及びセンターの機能等)l
安 心 し て 学 べ る 修 学 環 境 の 整 備 に つ い て ( 図 書 館 、 学 習 ス ペ ー ス ・ 学 習 機 材の配置、食堂等)l
学 士 課 程 教 育 に お け る 質 の 向 上 に つ い て ( ア ド ミ ッ シ ョ ン ・ ポ リ シ ー 、 カ リ キ ュ ラ ム ・ ポ リ シ ー 、 デ ィ プ ロ マ ・ ポ リ シ ー の 首 尾 一 貫 性 、 大 学 入 学 期 の教育、補充教育の必要性、大学の授業改善努力、教育実習の期間と方法、志望変更による転課程の流動性、大学生活実態調査等)
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大 学 院 教 育 の 質 の 向 上 ( 教 育 科 学 専 攻 ・ 教 職 実 践 専 攻 を 含 め た 定 員 確 保 、 教 育 の 質 向 上 、 カ リ キ ュ ラ ム の 整 備 、 昼 夜 開 講 ・ サ テ ラ イ ト な ど の 修 学 環 境整備、入学金免除や奨学金制度等)l
教 育 実 習 及 び 各 種 実 習 の 質 の 向 上 ( 体 験 実 習 、 基 礎 実 習 、 本 実 習 、 研 究 実 習、副免実習、介護等体験実習、インターンシップの実状と効果等)l
留 学 生 対 応 並 び に 国 際 交 流 に 係 る 施 策 に つ い て ( 入 学 資 格 審 査 、 奨 学 金 等 の修学支援、学生寮の整備、国際交流の方針・要項等)l
就業力の育成及び就職率の向上のための諸方策について(就職指導の体制、キャリア支援科目の整備、キャリア支援センターの整備拡充等)
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本 学 の 社 会 貢 献 の 在 り 方 ( 教 員 免 許 状 更 新 講 習 、 公 開 講 座 、 認 定 講 習 、Jr
サ イ エ ン ス 事 業 、 む な か た 協 働 大 学 、 有 料 ・ 無 料 の 人 材 バ ン ク の 運 営 、 学 生ボランティア活動の成果等)l
本 学 の 情 報 公 開 に つ い て ( 公 開 ホ ー ム ペ ー ジ 、 広 報 誌 、 各 種 出 版 物 、 グ ル ープウェアの整備・活用等)l
本 学 に お け る コ ン プ ラ イ ア ン ス の 徹 底 に つ い て ( 服 務 、 服 装 ・ 対 応 の 改 善 状況等)平成22年度は、必ずしも充分な時間的余裕はありませんでしたが、委員各 位には快くご就任くださり、第一回の委員会を開催できましたことに、感謝申 し上げます。その後、さらに評価結果をとりまとめていただくなど、多大なご 協力をいただきました。ここに重ねて御礼申し上げます。
関係各位のご尽力により完成した本報告書を存分に活用し、全学をあげて大 学の改革・改善に役立ててまいりたいと存じます。
国立大学法人福岡教育大学 学 長 寺 尾 愼 一
目 次
1.評価項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
2.外部評価委員会のスケジュール等・・・・・・・・・8
3.講評・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
4.評価結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
5.外部評価委員会委員名簿・・・・・・・・・・・・34
6.実施要項等
(1)平成22年度国立大学法人福岡教育大学
「外部評価」実施要項・・・・・・・・・・・・・36
(2)国立大学法人福岡教育大学点検・評価規程・・・38
(3)国立大学法人福岡教育大学外部評価委員会規程・41
1.評 価 項 目
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1.評価項目
教職実践専攻(教職大学院)に関する評価項目
○ 評価項目1:教職大学院設立の理念と目的
評 価基 準1: 本学 教職 大学院 の 理念 ・目 的が法 令に基づいて明確に 定め られていること。
評 価基 準2: 本学 教職 大学院 が 養成 しよ うとす る人物像が明確にな って いること。
○ 評価項目2:教育課程と教育内容
評 価基 準1: 本学 教職 大学院 が 教職 大学 院の理 念・目的に照らして 、理 論 的 教育と実践的 教育 が融合した、体系 的な教育課程を編 成していること。
評 価基 準2: 教育 課程 を展開 す るに ふさ わしい 教員が配置されてい るこ と。
評 価基 準3: 本学 教職 大学院 の 授業 内容 が、学 生それぞれの学習履 歴、
実務経験などに配慮したものになっていること。
評 価基 準4: 本学 教職 大学院 の 教育 内容 が、教 育現場における課題 を積 極的に取り上げ、検討を行う授業を有していること。
○ 評価項目3:教育方法と形態
評 価基 準1: 本学 教職 大学院 の 授業 方法 ・形態 が、研究者教員と実 務家 教 員 の協働が図ら れ、 全体として実践的 な力量形成を意識 したものとなっていること。
評 価基 準2: 本学 教職 大学院 の 授業 形態 が、授 業内容により、実践 的な 力 量 形成を意識し た教 育方法によって行 われていること。
評 価基 準3: 本学 教職 大学院 の 学生 に対 して、 適切な履修指導が行 われ ていること。
○ 評価項目4:教育委員会との連携
評 価基 準1: 本学 教職 大学院 の 運営 体制 の中に 、教育委員会との連 携を 図る独自の組織を有していること。
2.外部評価委員会のスケジュール等
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2.外部評価委員会のスケジュール等
日 時:平成23年3月15日(火)10:30~15:05 場 所:教職大学院棟 大講義室ほか
出席者:鷲山恭彦委員長、家宇治正幸副委員長、菊川律子委員、中島秀明委員、
橋本洸委員
列 席 者 : 寺 尾 愼 一 学 長 、平 田 哲 史 理事 、 髙 梨 芳 郎 理 事 、 光 安 常 喜 理 事 、 祇 園 全 禄 監 事 、 古 川 稔 教 育 学 部 長 、 沖 田 卓 雄 研 究 科 長 、 櫻 井 孝 俊 附 属 学 校 部 長 、 長 澤 五 十 六 副 理 事
【 教 職 実 践 専 攻 関 係 】
小 泉 令 三 専 攻 主 任 、 森 保 之 専 攻 主 任 補 佐 、 青 木 晃 司 専 攻 主 任 補 佐 、 若 木 常 佳 コ ー ス 主 任 、 納 富 恵 子 コ ー ス 主 任 、 京 極 邦 明 コ ー ス 主 任
【 事 務 局 】
三 宅 信 隆 次 長 ( 教 育 研 究 担 当 )、 計 画 ・ 評 価 室 室 員 主な配付資料
1.平成22年度外部評価資料 教職大学院の現況について 2.福岡教育大学概要2010
3.福岡教育大学 教職大学院 案内
4.平成22年度福岡教育大学教職大学院研究報告会 5.福岡教育大学教職大学院ニュースレター
vol
1,vol2 6.平成23年度教員採用試験受験状況7.平成23年度学生募集状況(教職大学院のみ)
次 第 1.開会
・事務局の進行により、開会した。
2.学長挨拶
・寺尾学長から、挨拶があった。
3.外部評価委員の紹介
・進行役から、外部評価委員の紹介があった 4.大学関係者の紹介
・進行役から、大学関係者の紹介があった。
5.委員会の進め方等に関する説明
・進行役から、進め方に対して簡単な説明があった。
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6.委員長選出(副委員長指名)
・学長提案により、委員全員の賛成で委員長に鷲山委員が就任し、委員長の 指名により、副委員長に家宇治委員が就任した。
7.教職大学院の現状について説明
・小泉教職実践専攻主任が、スクリーンを使用して教職大学院の説明を行っ た。
8.質疑応答
・外部評価委員から種々質問があり、主に列席の教職実践専攻の教員が応答 した。
9.昼食懇談会
・学長室に会場を移し、外部評価委員と本学役職者が昼食を取りながら懇談 した。
10.学生へのインタビュー
・教職大学院の関係者等は列席せずに、教職実践専攻の各コースの1,2年 生1人ずつ、計6名に、外部評価委員がインタビューを行った。
11.委員会審議
・列席者を外して、外部評価委員だけで審議した。
12.委員による講評
・ 鷲 山 委 員 長 の 進 行 に よ り 、列席 者 を前に し て委員 全 員 が講評を行 った。
※12ページの「3.講評」を参照ください。
13.閉会
・学長から、謝辞があり閉会した。
3.講 評
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3.講評
テーマ:「教職大学院の現況について」
[鷲山委員長]
午前中には、教職大学院の現状についてご説明いただき、午後には院生への イ ン タ ビ ュ ー を 行 い ま し た 。 そ の 後 、 私 た ち で 本 学 教 職 大 学 院 の 課 題 に つ い て 議 論 い た し ま し た 。 そ こ で の 議 論 を も と に 講 評 を 始 め た い と 思 い ま す 。 ま ず、家宇治先生からお願い致します。
[家宇治副委員長]
5点、申し上げます。1点目ですが、教職大学院では、まず理念があり、具 体 像 が 導 き だ さ れ 、 そ し て コ ー ス が 設 定 さ れ 、 そ れ が 社 会 の 要 請 に 応 え る と い う 形 に な っ て い る と 思 い ま す が 、 し か し 本 当 は 逆 で あ っ て 、 社 会 の 要 請 が 一 番 先 に あ り 、 そ れ が 具 体 像 と し て 結 び 、 そ れ が 理 念 に 反 映 し て い か な け れ ば な ら な い 。 流 れ が 反 対 で は ま ず い わ け で す 。
そこで、各コースが設定する教師像、いわゆる人物像ですが、そういう生き 生 き し た プ ロ セ ス と 教 職 大 学 院 の 理 念 や 目 的 と が き ち ん と つ な が っ て い く こ と が 肝 要 で 、 そ う い う 意 味 で 、 育 て る 教 員 像 を 明 確 に し て い た だ き た い と 思 います。
「教育実践力開発コース」は、どの程度のものを目指すのか。主任レベルで は な く 、 授 業 が き ち ん と で き て 、 学 級 経 営 が で き て 、 保 護 者 と 周 り の 教 員 と コ ン タ ク ト が と れ る 、 そ う い う 教 員 を 輩 出 し て ほ し い と 思 い ま す 。 2 年 か け て や る の だ か ら 、 学 部 卒 で 教 職 に つ い た 人 よ り も 、 力 量 を 持 っ て い な け れ ば い け ま せ ん 。 そ う い う 側 面 を 具 体 化 し て い く こ と が 重 要 で す 。
「生徒指導・教育相談リーダーコース」は、スペシャリストとして育ててい た だ き た い 。 今 非 常 に ほ し い 人 材 で 、 こ こ に は 是 非 と も 力 を 入 れ る こ と を お 願いしたいと思います。
「学校運営リーダーコース」については、県の要請なので、再度協議が必要 な の で は な い で し ょ う か 。 は っ き り し な い と 、 ど っ ち つ か ず に な っ て し ま い ま す 。 つ ま り 、 教 育 実 践 力 、 指 導 力 、 高 度 に 授 業 の で き る 人 間 と 、 学 校 や 学 級 運 営 ・ 経 営 の資 質 能力 の涵 養と は、 違っ た もの であ ると いう こと で す 。 そ の 辺 を 整 理 し て 、目 的 を は っ き り で き る と 良 い の で は な い か と 考 え ま す 。
2点目は、それに応じた教育課程の編成の問題です。院生へのインタビュー によ れ ば、 やはり 全体と し て過密 すぎ るよう です 。「教 育実践 力開発コ ース」
では 、 育成 すべき 人物像 の 区分で いう と1, 2。「生徒 指導・ 教育相談 リーダ
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ー コ ー ス 」 で は 、 そ の 区 分 の 1 , 3 , 4 。「 学 校 運 営 リ ー ダ ー コ ー ス 」 で は 、 そ の 区 分 で 3 。 だ い た い こ の 辺 に 重 点 を 置 い て 、 現 場 の 実 践 を 理 論 化 す る わ け で す か ら 、 そ う い う 時 間 が と れ る 配 慮 を し て い く 必 要 が あ り ま す 。 そ れ が 教 育 実 践 と 教 育 理 論 の 融 合 と い う こ と に つ な が る わ け で 、 余 裕 を も っ て そ う し て い た だ き た い と 思 い ま す 。
3点目は、教育課程の内容についてです。院生たちの話を聞くと、共通科目 と 専 門 的 な 科 目 と の 内 容 に 、 深 さ は 異 な る が 、 重 複 が あ る と い う 指 摘 が あ り ま し た 。 そ の 辺 の 整 理 が 必 要 で し ょ う 。 例 え ば 、 実 習 前 に 学 び た い も の が 学 べ な い と い っ た 指 摘 も あ り まし た。 つ ま り 、 重 複 と 配 列 の 問 題 で す 。 こ の 辺 の 整 理 が 必 要 で す 。 2013(平成25)年度から見直すということですから、そ れ に 向 け て の 作 業 で 全 然 構 わ な い と 思 い ま す 。 育 て る 人 物 像 、 教 育 内 容 が き ちんと整理ができていくことですので、非常に期待しております。
4点目は、教育委員会との連携についてです。連絡会議などが幾つか動いて お り ま す が 、 入 口 出 口 の 話 は 、 確 か に 教 育 委 員 会 と の 話 し 合 い 事 項 で あ る の で す が 、 更 に 大 切 な こ と は 、 カ リ キ ュ ラ ム の 内 容 や 育 て て ほ し い 人 物 像 に つ いて、県教委、市教委、北九市教委とお互いの意見を率直に述べあうこと で 、 そ の よ き 結 果 を 出 口 で い た だ き ま す よ 、 と い う こ と に な る の だ と 思 い ま す 。 そ う い う こ と を 協 議 す る 機 関 が 必 要 な の で は な い で し ょ う か 。
5 点 目 は 、「課 題 研 究 」に つい てで すが 、個 別の 課題研 究も 大事で すが、 院 生 と し て 県 の 課 題 、 地 域 の 課 題 に 深 く 関 わ り 、 チ ー ム を 組 み な が ら 実 践 研 究 を や り 、 成 果 を 出 し て い く こ と が も っ と 重 要 で あ る と 考 え て い ま す 。 そ れ に よ っ て 、 県 の 教 育 振 興 の 一 部 に 参 加 す る こ と に な れ ば 、 受 け 取 る 側 、 出 す 側 も大変大きな成果であるといえます。
[鷲山委員長]
ありがとうございました。次いで中島先生、お願い致します。
[中島委員]
教職大学院は立ち上がってまだ日が浅く、いろいろなことを模索している段 階 だ と 思 い ま す 。 家 宇 治 先 生 の ご 指 摘 は 、 同 じ 教 育 委 員 会 関 係 者 で す の で そ の通りだと思いますが、ご説明を受け、学生にインタビューして感じたのは、
教職大学院が大変好ましい形で展開しているということです。
理論と実践の融合という課題に大学院として取り組むことも、研究者教員と 実 務 家 教 員 の 協 働 と い う こ と も 、 今 ま で の 大 学 で は 考 え ら れ な い 画 期 的 な こ と で す し 、 院 生 た ち や 私 た ち の 意 見 を 取 り 入 れ て 講 義 や 演 習 を 考 え て い る と い う の も 画 期 的 で す 。 私 た ち の 要 望 に も 自 覚 的 に 応 え つ つ 大 学 院 経 営 し て
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い く と い う 、 今 始 ま っ た ば か り の 挑 戦 で あ る と 思 い ま す 。 大 変 期 待 し て お り ま す 。
教員養成を6年にする構想があります。私たちの念頭にあるのは、現職教員 の 教 育 を ど う い う ふ う に し て い く の か と い う こ と で す 。 ど こ で ど の よ う な 力 量 を 付 け る か と い う こ と で 、 大 学 を ど う 活 用 す る の か 。 プ ラ ス 2 年 間 を ど う す る の か 。 既 存 の 教 科 教 育 の 大 学 院 と 教 職 大 学 院 と の 差 別 化 を 図 っ て い く こ と は 、 大 変 大 事 で す し 、 特 に 教 育 委 員 会 の 立 場 と し て は 、 組 織 と か 、 経 営 と か 、 そ う い う 観 点 に 立 っ た 実 践 的 な 能 力 が 身 に つ く よ う に 、 鍛 え て ほ し い と 考 え て い ま す 。
[鷲山委員長]
ありがとうございました。菊川先生お願いします。
[菊川委員]
お二方とダブりますが、4点申し上げたいと思います。第1点は、教員像の 明 確 化 と い う 観 点 か ら 、 行 政 と の 話 し 合 い を 十 分 に す る 必 要 が あ る と い う こ と で す 。 こ れ は 、 大 学 側 だ け で は な く 、 行 政 側 に も 責 任 が あ る と 思 い ま す 。 行 政 は い ろ い ろ な 研 修 を や っ て い る の で 、 教 職 大 学 院 で の 研 修 を ど う い う 位 置づけでとらえるのか、しっかり考える必要があると思います。
第 2 点 は 、 3 つ の コ ー ス の 研修で す が 、「教 育実 践力開 発 コース 」と「 学校 運営 リ ーダ ーコー ス」は 総 合的ア プロ ーチで すが 、「生 徒指導 ・教育相 談リー ダ ー コ ー ス 」 は 個 別 領 域 的 ア プ ロ ー チ で 、 基 本 的 な と こ ろ は 共 通 で い い の で す け れ ど も 、 あ ま り 機 械 的 に 全 て 同 じ や り 方 を し な い 方 が 効 果 が 上 が る の で はないかと思います。
第3点は、教職大 学院は発展途上 だということです。まだ2年目というこ と で す し 、 既 存 の 大 学 院 も あ り 、 学 部 教 育 も あ り ま す 。 そ こ へ の 影 響 も 含 め て 、 教 職 大 学 院 が 先 導 役
に な っ て 、 大 学 全 体 が 変 わ っ て い く こ と が 期 待 さ れ て い ま す 。 教 員 養 成 課 程 そ の も の も 、 6 年 が 主 流 と な っ て い く な か で 、 テ ィ ー ム テ ィ ー チ ン グ の 授 業 と か 、 週 1 回 は 現 場 に 入 る と い っ た モ デ ル と し て 提 案 で
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き る よ う な 開 発 を し て い く こ と が 今 求 め ら れ て い ま す 。
そ の た め に は 、 カ リ キ ュ ラ ム に つ い て 院 生 の 意 見 を よ く 聞 く こ と な ど も 含 め 、 い ろ い ろ な 試 行 と 改 善 を 行 っ て い っ て 欲 し い と 思 い ま す 。
第 4 点 は 、 カ リ キ ュ ラ ム が 学 校 教 育 だ け に 偏 っ て い る の で は な い か と い う こ と で す 。 子 供 が し っ か り 育 つ た め に は 、 乳 幼 児 か ら の 家 庭 教 育 が 大 切 で 、 こ の 問 題 は 学 校 に 非 常 に 大 き く 影 響 し て い ま す し 、 私 ど も 青 少 年 教 育 振 興 機 構では 、 体 験 活 動 に 軸 を 置 い た 活 動 を 展 開 し て い ま す 。 人間が 一人前にな る の に 、 頭 だ け で は 一 人 前 に な れ ま せ ん か ら 、 体 験 活 動 は 大 変 重 要 で す 。 そ の こ と を ど の く ら い 教 師 が し っ か り と 理 解 し て い る の か 、 理 解 が 不 十 分 な の で は な い か と い う 懸 念 も あ り 、 こ う し た 研 修 を こ の 教 職 大 学 院 に 取 り 込 む こ と は 大 事 だ と 思 い ま す 。 加 え て 、 こ れ か ら の 時 代 を 考 え る 時 に 、 地 域 と か 、 社 会 と か 、 時 代 と か へ の 理 解 を 深 め て 学 校 経 営 を し て い く と い う こ と が 大 事 で、そういうところのカリキュラムも少し足りないのではないかと思います。
[鷲山委員長]
それでは橋本先生、お願いいたしま す 。
[橋本委員]
教職大学院のイメージが、思っていたのとだいぶ違っていました。極端にい え ば 、 教 員 免 許 は も っ て い る が 社 会 に 何 年 か い た 人 が 、 こ れ か ら 学 校 教 育 に 携 わ り た い と 考 え て 、 大 学 院 に 入 っ て き て 教 職 の 道 を 学 ぶ と い う イ メ ー ジ だ ったのです。
面接した院生の中に、教育学部出身でない女性が1人いましたが、社会人経 験 者 は い ま せ ん で し た 。 他 学 部 の 出 身 で 教 員 免 許 を も っ て い る 人 の 気 持 ち と し て は 、 4 年 間 で は と て も 現 場 に 赴 く こ と は 難 し い と 感 じ て い る 人 が い る こ と は わ か り ま し た 。 そ こ で 、 こ う い う 選 択 を さ れ た わ け で す が 、 そ の 方 は ま だ 1 年 生 で し た が 、 教 職 大 学 院 に 大 変 期 待 さ れ て い ま し た 。 そ う い う 意 欲 的 な 層 に ど ん ど ん P R し
て 、 大 卒 で 教 員 免 許 を 持 っ て い る 人 た ち の 受 け 皿 に な っ て ほ し い と 思 い ま す 。 中 途 採 用 と か 、 い ろ い ろ な 人 生 が あ り ま す 。教 育 の 場 は 、 い ろ い ろ な 先 生 が い る と い う 多 様 性 が 大 変 大 切 だ と 思 っ て い ま す 。
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もう一つは、教育委員会との連携ですが、これほど緊密に進んでいるという の は 驚 き で し た 。 大 変 素 晴 ら し い こ と だ と 思 い ま す 。 カ リ キ ュ ラ ム の 中 身 の こ と ま で は 分 か り か ね る と こ ろ が あ り ま す が 、 現 職 の 先 生 方 が 大 学 院 で 2 年 間 勉 強 す る 、 し か も 身 分 保 障 さ れ て 。 も の す ご く 恵 ま れ て い る わ け で す か ら 、 そ れ だ け に ど う い う 成 果 を 目 指 し て い る の か を 明 確 に し て お か な い と い け な い と 思 い ま す 。 税金を使っているわけですから、学校とか地域で教 育 的 課 題 に 取 り 組 ん で い る 人 た ち を 掘 り 出 し て 、 そ う い う 皆 さ ん か ら も い ろ い ろ な 勉 強 を す る こ と も 大 切 だ と 思 い ま す 。 そ し て そ の 人 た ち に 対 し て も 成 果 を 発 表 す る 。 2 年 間 研 究 し た 成 果 を 世 界 に 通 用 す る ア ピ ー ル の 仕 方 を 勉 強 し て 、 そ の 成 果 を み ん な で 共 有 す る と い う よ う な 体 験 を し て 、 ま た 現 場 に 戻 る必要があると思います。大学が自主自立的にやっていると思っていたので、
県 教 委 が こ こ ま で 入 っ て い る と は 想 像 し て い ま せ ん で し た 。 そ れ だ け に 現 場 の 先 生 た ち の ニ ー ズ を し っ か り 掴 ん で 、 教 職 大 学 院 に 送 り 出 し 、 し っ か り 連 携 し て 、 単 に 即 戦 力 と い う の で は な く 、 深 い 力 を 培 っ て 欲 し い し 、 大 学 と い う と こ ろ の 素 晴 ら し さ を 、 教 職 大 学 院 を 通 じ て ア ピ ー ル し て い た だ き た い と 思 い ま す 。
[鷲山委員長]
委員の先生方から、いろいろなご指摘をいただきました。どれも貴重な問題 提 起 で す 。 私 の 方 か ら そ れ に 付 け 加 え る こ と は あ り ま せ ん の で 、 全 体 的 な コ メントをさせていただきます。
教職大学院はやっと始まったばかりです。お話をお聞きし、資料を拝見して 思 っ た こ と は 、 福 岡 教 育 大 ら し い 教 職 大 学 院 が で き て 、 素 晴 ら し い 出 発 を さ れ て い る な あ と い う 強 い 印 象 を 持 ち ま し た 。 改 善 し て い く 姿 勢 も シ ス テ ム も しっかりしています の で 、 教 職 大 学 院 と し て の 課 題 解 決 能 力 に は 全 く 問 題 は な い と 思 っ て お り ま し て 、 今 後 は 、 い か に し な や か に 展 開 し て い く か で 、 そ の 発 展 が 大 変 楽 し み で す 。
実践指導力ということがよくいわれます。教職大学院の生命線は理論と実践 の 融 合 で す 。 そ の 結 果 、 研 究 に 裏 付 け ら れ た 高 度 実 践 型 の 指 導 力 が ま さ に 実 践 的 指 導 力 な の で す が 、 そ の 内 実 は 、 ま だ そ れ ほ ど 判 然 と し て お ら ず 、 こ れ か ら 創 り 上 げ て い く 新 し い 課 題 で す 。
その際に一番のポイントは、やはり物事を研究的にとらえる能力だと思いま す 。 そ れ を 授 業 力 や 企 画 力 や 繋 げ る 力 に 高 い 形 で 活 か し て い く 。 言 い 換 え れ ば 、 実 践 的 思 考 と い う 観 点 か ら 研 究 的 に 捉 え る 能 力 を い か に 涵 養 し 高 め る か ということです。
本 教 職 大 学 院 の 「 教 育 内 容」「 教育 方 法」 のとこ ろを 読 み 、先ほど 教職 大学
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院 に 携 わ っ て お ら れ る 先 生 方 か ら の お 話 を 聞 く と 、 そ れ を 可 能 に す る コ ン セ プトがいろいろ工夫され、詰まっているのを感じました。
な ぜ そ う い う 授 業 を す る か 、 そ れ は こ う い う 考 え 方 に 基 づ い た 時 に こ う い う 授 業 が 必 要 な の だ 、 そ う い う 説 明 が 、 保 護 者 に も 同 僚 に も 学 習 者 に も き ち ん と 言 え る 力 、 と い う 言 い 方 で 若 木 先 生 は お っ し ゃ っ て い ま し た が 、 研 究 的 能 力 と い う の は 理 論 的 に 高 め て 考 察 す る 能 力 で す 。 そ れ ぞ れ の 実 践 の 背 後 に は 、 寄 っ て 立 つ 考 え 方 が ち ゃ ん と あ る 、 そ う い う 理 論 的 背 景 を豊かに持った院生を輩出したい、とおっしゃっていましたし、納富先生は、
院 生 た ち は そ れ ぞ れ に 学 習 履 歴 が 違 っ て い る わ け だ か ら 、 そ の 院 生 に 即 し て ど のよ う に そ う した力 をつ け る の か 、 きめ 細 かに指 導さ れている と い う お 話 で 、 大 変 心 強 く 思 い ま し た 。
教育委員会や、現場の校長先生や先生方からは、せっかく派遣したのだから 宝 物 を も っ て 帰 っ て 来 い 、 と 言 わ れ る よ う な 雰 囲 気 が あ る よ う で す が 、 学 校 現 場 に す ぐ 役 立 つ と い う よ り 、 今 述 べ た よ う な 実 践 ス タ イ ル と 理 論 ス タ イ ル を 自 分 な り に じ っ く り と 体 得 し て 、 息 長 く 発 揮 す る こ と こ そ 肝 要 で す か ら 、 性急さはよくありません。
修士論文は、先行研究からテーマを受け取りますが、課題研究は、教育現場 からテーマを受け取ります。そして、研究成果を生むプロセスも大切ですが、
そ れ を ど の よ う に 実 践 に 還 元 し て い く か は も っ と 大 切 で す 。 そ し て モ デ ル を 創 出 す る こ と も 求 め ら れ ま す 。
その際に一番難しいと思うのは、研究のプロセスが判然としないまま結論が 先 に 出 て 、 そ こ か ら 実 践 的 パ ラ フ レ ー ズ が な さ れ る こ と で す 。 こ れ で は 経 験 主 義 の 域 を 出 ま せ ん 。 こ の 辺 の 落 と し 穴 を ど う 克 服 す る か と い う 課 題 が あ り ま す 。 現 実 の 個 別 具 体 の 相 に 食 い 込 む こ と 、 そ こ か ら 論 理 を 抽 出 し て 理 論 的 に高めること。感性的理解の深さと理論的把握の高さの統一の課題です。
あの人はセンスがいい、悪い、という言い方がありますが、理屈や論理構成 と い う よ り 、 そ の 前 の 段 階 の 実 際 に 食 い 込 ん で い く 勘 の 問 題 、 セ ン ス が 結 構 問 題 に な る の で は な い か と 思 い ま す 。 も ち ろ ん こ こ に は 研 究 方 法 が 絡 む の で す が 、 そ う い う 感 性 的 豊 か さ の 広 い 基 盤 が 大 切 で 、 そ こ か ら 論 理 が 出 発 し な い と 、 現 実 を 見 誤 り ま す 。 自 由 と 自 治 を 旨 と す る 大 学 の 自 由 な 時 間 と 空 間 の な か で 、 一 番 の 基 盤 と な る こ う い っ た 感 性 を い か に 豊 か に 解 放 し 、 深 く 養 う か も 、 大 き な 課 題 だ と 思 い ま す 。
実践的指導力を狭くしていってはいけません。教えるということでいうならば、
それは実務や技術に習熟することや学習指導要領のパラフレーズに熟達するような ことではなくて、絶えず変化し続ける児童・生徒のありように即応しつつ、その 現場での知見を構造化し、具体化して手渡すセンスと方法論を鍛え、既存の知の
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枠組を批判的・実践的に超えていくことこそ、本当の実践的指導力です。
それには、広く豊かな余裕をもった基盤が必要で、教職大学院こそまさに、こうい う柔軟でダイナミックな実践的知性を養なっていくところでなくてはならないわけ です。ですからあまりに当面の必要という目的に直結し過ぎてもいけないという面 もあります。理論水準の高さと並んで、感性的の次元の大切さのことに触れました が、最近は情報化社会で、知識と情報だけが氾濫しています。客観的現実と格 闘 し て 生 ま れ る 知 の 在 り 方 が 少 な い と 思 い ま す 。 本 当 の 現 実 と 感 覚 的 に ふ れ て は い ま せ ん 。 リ ア リ テ ィ ー か ら 離 れ た バ ー チ ャ ル な 世 界 に 住 ん で い ま す か ら 、 現 実 と ず れ た 理 屈 や 論 理 を 作 る 人 が 結 構 い る よ う な 印 象 を 持 ち ま す 。 教 育 学 の 先 生 に も と き ど き お ら れ て 、 論 理 的 に 上 手 に 構 成 さ れ る の で ち ょ っ と 反 論 し に く い の で す が 、 ど こ か 違 う な あ と 思 っ た り す る 。 ツ ボ を 押 さ え て 話 す と い う こ と は 、 も の の 本 質 を と ら え る こ と で す 。 A = B で あ る 、 B = C で ある 、C= Dで ある、よってA=Dである と し た と き 、 A とDの 間では論理 的 な整 合関 係が成 り 立っ て い ま すが、 一 番最初 の現実を捉 えるところで
A
と 捉 え た の が 間 違 い だ っ た な ら ば 、 そ の 後 い く ら 論 理 が 正 し く て も 全 部 間 違 い と い う こ と に な っ て し ま い ま す 。 変 人 と 奇 人 の 違 い は 、 奇 人 に は オ リ ジ ナ リ テ ィ ー が あ る が 、 変 人 は 変 な だ け だ と 言 っ た ひ と が い ま す が 、 私 た ち は バ ー チャ ル な知 識と情 報の世 界 に生き てい るだけ に、「変な だけ」 になりか ねない 危 険 に さ ら さ れ て い る と 思 い ま す 。 現 実 感 覚 の 感 性 的 豊 か さ と 、 そ こ に 即 し た 論 理 を ど う 紡 い で い く か と い う こ と が と て も 大 切 な 課 題 に な っ て い る と 思 いま す 。「 平 成 2 2 年 度 福 岡 教 育 大 学 教 職 大 学 院 研 究 報 告 会 」 を 読 ん で 一 つ 印 象 に 残 った 論 文が ありま す。「 発 達段 階 に応 じた 、 聞く ・話す 力を高める学級 経営」
と 題 し た 上 田 慎 一 郎 君 の 論 文 で す 。 研 究 の 動 機 と し て 「 実 習 を 通 じ て 、 相 手 の 話 を 聞 く の が 苦 手 な 児 童 が 多 い こ と に 気 が つ い た 。 そ の 状 況 は 、 学 習 効 果 の 低 下 や 、 児 童 の 問 題 行 動 等 に つ な が っ て い く の で は な い だ ろ う か 」 と あ り ま し た 。 い い な あ と 私 が 思
っ た の は 、 こ の よ う に 現 実 を 生 き 生 き と よ く 見 て 、 そ の ポ イ ン ト を と ら え る 態 度 で す 。 そ し て 「 児 童 が 相 手 に 興 味 を 持 っ て 話 し を 聞 き 、 対 話 的 な やり と り が 成 立 す る 児 童 同 士 の 豊 か な 人 間 関 係 を 作 る こ と が 重 要 と 考 え る 」 と し て 、 研
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究 に 入 っ て い く 。 も ち ろ ん 現 実 を 分 析 し て 、 そ こ か ら 論 理 を 導 き 出 し 、 理 論 構 成 し て い く の は 、 決 し て 容 易 と は 思 い ま せ ん が 、 最 初 に 事 柄 の ツ ボ を 押 さ え て い ま す し 、 実 践 的 課 題 に 応 え よ う と し て い ま す 。 こ う し た 態 度 が 研 究 能 力 と 実 践 能 力 に 富 ん だ 、 こ れ か ら の 生 き た 学 問 の 基 盤 に な っ て い く と 思 い ま し た 。
本 教 職 大 学 院 の 定 員 は 20名 で 、「 教 育 実 践 力 開 発 コ ー ス 」 が 10名 、「 生 徒 指 導 ・ 教 育 相 談 リ ー ダ ー コ ー ス 」 と 「 学 校 運 営 リ ー ダ ー コ ー ス 」 が そ れ ぞ れ 5 名ずつということですが、 関 心 の 異 な っ た 皆 さ んが20名おられることは大変 な 財 産 で 、 し か も 親 し く 切 磋 琢 磨 す る に は 最 適 な 人 数 で す 。 私 の 経 験 か ら 、 感性を豊かにし、思考する能力をいろいろに身につけるのは、集団での生活、
共 同 の 生 活 、 い わ ば 塾 的 生 活 を す る の が 一 番 で 、 大 学 と い う 自 由 な 発 想 が で き 、 自 由 を 体 現 し た 先 生 方 の な か で 、 合 宿 生 活 な ど も 時 々 し て 、 お 互 い を 深 く 知 り 合 い 、 と こ と ん 語 り 合 い 、 論 じ 合 う な か で 、 今 後 に つ な が る 豊 か な 基 盤を創っていっていただきたいと思います。
(学長からの謝辞)
ただいまいただきました意見、我々メモをとりまして、意味するところを汲 み た い と 思 っ て お り ま す 。 い た だ き ま し た 意 見 に つ き ま し て は 、 ペ ー パ ー に 起 こ し て い た だ き ま し て 、 加 筆 訂 正 を し て 、 最 後 に 委 員 長 の 下 で 校 閲 い た だ き ま し て 、 公 表 し て い き た い と 思 い ま す 。 そ れ を ど の よ う 受 け 止 め る か は 、 私たちの課題であります。
本当に今日は、ありがとうございました。
4.評 価 結 果
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4.評価結果
評 価 項 目 1 教 職 大 学 院 設 立 の 理 念 と 目 的 に つ い て
[優れた点及び特色ある点]
① 教 職 大 学 院の 理 念 と し て 、「 実 践 の 事 実か ら 学ぶ 」こ とを 中心 に すえ 、体 験の積み重ねを客 観化する知的考 察、実践のための理論知の構築具体的な 技 の 普 遍 化と 共 有 な ど 、「 体 験 の 経 験 化 」 を 力 動 的 に 構 造 化 し て おり 、今 日の教育課題に的確に対応している。
② 「教職実践力開発コース」「生徒指導・教育相談リーダーコース」「学校運 営リーダーコース 」の3つのコー スは、学校現場のニーズによく応えた設 定であり、また「 教職実践力開発 コース」の社会人対象者への対応は、福 岡県及び九州にお いて教員養成の 歴史を担ってきた福岡教育大学ならでは の役割によく応えている。
③ 教職大学院におけ る理論と実践の 融合した研究の積み重ねは、教員養成6 年制のモデルへの 先駆的な役割を 果たしており、またこの2年間の挑戦と 実績は、学部教育 および大学院教 育学研究科の教育と研究に対しても、多 くの示唆と好影響を期待できるものである。
[改 善 を 要 す る 点 ]
① 教職大学院の理念である「実践の事実から学ぶ」「実践の理論知」「具体的 な技・体験の経験 化」を、どのよ うに各コースで具体化していくかが課題 である。
② 育成すべき教員像として、「教育実践力と理論的力量を兼備した教員」「教 育 課 題 に リー ダ ー シ ッ プ を 発 揮で きる 教 員 」「企 画 立 案力 にお い て学 校を リードできる教員」「地域や学校間の連携構築力のある教員」「学校組織や 運営を改善する力 のある教員」の 5点が挙げられているが、これを基礎と しつつ、コース像と教員像の関係をより鮮明にしていく必要がある。
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③ 「実践の事実から 学ぶ」ことを実 質化するためには、実習校における教員 の指導力の高さが 決定的な影響を もつ。協力校や附属学校に勤める教員の レベルアップと大学院教員の連携が大きな課題となる。
④ 専門職大学院設置 基準は「高度の 専門的な能力及び優れた資質を有する教 員 の 養 成 」が 目 的 と な っ て い るが 、「 高 度 な 専門 ・・ ・ 」 と い う 表現 は抽 象的である。この内実を更に分節化して明らかにしていく必要がある。
⑤ 他大学、他学部、 他県からの新卒 者や教員免許をもった社会人の受験者や 入学者が増えるように工夫する必要がある
[ 改 善 ・ 向 上 に 向 け た 提 言 ]
① 各 コース で 目 指 す教師 像を 明 確 に し 、 コー ス 運営に 必要 な 実 践知 と理論知 の 往還が 高 い か たちで 可能 に な る よ う に、 教 員構成 を充 実 し てい くことが 求められる。
② 経 済のグ ロ ー バ ル化や 情報 化 、 今 回 の 東日 本 大震災 など 、 時 代は 不透明感 を 増 し て い る 。 これまでにも増し て 、 子 ども に 自 立能 力 を 身に つ けさ せる 必 要があ る 。 目 指すべ き教 員 像 が 5 点 あげ ら れてい るが 、 学 校教 育に関す る 専門性 に 加 え 、社会 や時 代 へ の 洞 察 力を 身 につけ る指 導 が 可能 になる科 目設定が必要である。
③ 授 業 料 の 軽 減 や 、 就 職 時 の メ リ ッ ト が あ る よ う な 支 援 策 の 充 実 を 教 育 委 員 会 と 図 り つ つ 、 推 進 す る こ と が 求 め ら れ る 。
[ そ の 他 ]
① 「 教 員 に ふさ わ し い資 質 能力 」 と い わ れ る が 、強 く求 めら れる の は 、 こ う し た 人 間 能力 開 発 論の 枠 を出 た 人 間 像 で あ り 、人 格の 魅力 、つ ま り 「 教 員 にふさわしい人格」の育成である。本教職大学院の教育目的として、「高度 な 専門 性」「 強 靭 な精 神 」「 豊 かな 人 間 性 」 を 備 え、尊 敬と 信頼をかち える 教 員 像 、 と宣 言 さ れて お り、 既 に こ こ に 、 人 格に 力点 をお いた 見 識 が 伺 わ れる。この観点を更に発展させる必要がある。
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② こ れ ま で の国 立 大 学は 、 没価 値 的 な 学 問 性 と 科学 性を 重ん じて き た が 、 今 後 はベ ルト フ ラ イ ハイ ト (没 価 値 性 )か ら 一歩 出て 、価 値の形 成にま で踏 み 込 む 必 要 があ ろ う 。私 立 大学 で は 、 創 始 者 の 価値 観が 学生 に好 ま し い 人 格 形 成 の エ レメ ン ト を与 え てい る 。 現 在 、 国 立 大学 法人 にお いて も 大 学 お よ び 大 学 院 の個 性 化 がい わ れて お り 、 福 岡 師 範 の伝 統や 、本 学が 戦 後 か ら 今 日 ま で 九 州に お い て果 た して き た 役 割 や 貢 献 等を 研究 する こと を 通 じ て 、 福 岡 教 育 大の 教 職 大学 院 らし い 諸 価 値 を 人 格 形成 と結 びつ けて 自 覚 的 に 打 ち出す時が来ているのではないか。
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評 価 項 目 2 教 育 課 程 と 教 育 内 容 に つ い て
[ 優 れ た 点 及 び 特 色 あ る 点 ]
① 「共通科目」には 定められた5領 域の他に「特別支援教育」領域を設けて 充実を期して学校 および子供たち の課題に応え、本教職大学院らしい特色 を打ち出している。更に、この「共通科目」、3つのコースそれぞれの「養 成 段 階 に 応じ た 科 目 」、 そ し て 「 コ ー ス 別 科 目 」 が 内 在 的 に つ な がっ てお り、ダイナミックで優れた科目構成をなしている。
② 「学校における実 習」については 、免除する形はなく全員が実習し、各コ ースもそれぞれに 適合的に実習段 階が学年ごと前期後期に区分けして設定 され、達成内容も 明示されており 、また、それぞれの科目が院生の状況や 学校現場の課題とリンクしていて、優れた教育実習になっている。
③ 現職教員院生は、 在籍する学校で 実習を行っており、このことによって院 生の課題がより明 確化されて教育 の実が上がるとともに、学校現場の改善 にも資しており、 大きく評価でき る。こうした対応や全開講期にわたる体 系的で行き届いた 教育実習が、全 体として学部卒院生の教員採用試験の合 格率の良さにも反映していよう。
④ 「学校における実習」および修了時における「まとめプレゼンテーション」
は 、 理 論 と実 践 の 融 合 を は か り 、「 体 験 の 経 験化 」を 目 指 す プ ロ セス であ り 、 到 達 点で あ る 。 そ の 総 括 とし ての 発 表は 、「 研究 」 と いう 自 足的 カテ ゴ リ ー で はな く 、「 プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン」 と い う 考 え 方 に よ っ て 、明 確に 他者への働きかけ を前提とし、そ の成果を発信し共有化していこうとして おり、実践的思考に裏付けされた汎用性ある展開が期待できる。
⑤ 各コースそれぞれ に、科目配置や 科目構成が分かりやすい表として提示さ れ、コースツリー もあり、一目し て自分の立ち位置が明確に自覚できるよ うになっており、 研鑽を反省し、 省察し、今後の展望を考えるために、よ き導きの糸となっている。
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[改善を要する点]
① 「 教職実 践 力開 発 コ ース 」「 生 徒 指導 ・教 育 相談 リーダー コース」「学 校運 営 リーダ ー コ ー ス」の 3つ の コ ー ス は 、更 に コース 像を 明 確 化に していく 必要があるのではないか。
② 基 準単位 数 が 45単位 である の に 対 して、 54単 位を必修 とし ており 、科目数 を精選する必要があるのではないか。
③ 「 学校に お け る 実習」 の単 位 数 は 、 3 コー ス とも同 じ14単 位となって いる が 、学校 に 勤 務 した経 験の あ る 者 と 未 経験 者 とで、 同じ 単 位 数で よいのか の疑問は残ろう。
[改善・向上に向けた提言]
① 「 教育実 践 力 開 発コー ス」 お よ び 「 学 校運 営 コース 」に つ い ては 、実践的 な ノウハ ウ や 総 合力が 現場 に あ り 、 在 籍校 と 連携し ての 教 育 は有 効と思わ れるが、「生徒指導・教育相談リーダーコース」は現場の蓄積が十分とはい え ず、こ の 分 野 は、学 校現 場 の 実 習 の 比重 を 軽くし 、多 様 な 教育 相談の現 場を活用するなど、コースによる違いを考慮してよいのではないか。
② 「 共通科 目 」 の 内容と 構成 に つ い て で ある が 、現在 の子 ど も が抱 える学校 教 育以外 の 分 野 の問題 への 理 解 、 家 庭 教育 や 青少年 教育 や 体 験活 動教育、
キ ャリア 教 育 等 への理 解を 深 め る 内 容 を充 実 させる 必要 が あ るの ではない か。
③ 学 生から の 意 見 を取り 入れ て 、 積 極 的 に授 業 改善が なさ れ て いる ことは評 価 できる が 、 個 別にと どま ら ず 、 フ ォ ーマ ル な形で 意見 を 聞 き、 それを教 育課程に取り込むか否かを判断する組織が必要ではないか。
④ コース像の明確化についてであるが、「教育実践力開発コース」は初任研免 除を目途とし、「学校経営運営コース」は研究主任を前提とし、次期管理職 候補を想定する。「生徒指導・特別支援コース」は性質上併設自体に難しい 面があり、分離する必要があるのではないか。
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⑤ 科 目 数 の 精選 に つ いて は 、コ ー ス に 応 じ た 教 科区 分・ 科目 の厳 選 ・ 再 編 が 必 要で あろ う 。 ま た全 体 の 取得 単 位 数を 減 じ 、45~47単位程 度に厳 選し つ つ 、 そ こ に「 実 践 の理 論 化・ 体 験 の 経 験 化 」 を重 視し たカ リキ ュ ラ ム を 入 れる必要があろう。
[その他]
① 制度的にどこまで可能か判らないが、大学院教育科学研究科との単位互換、
相互乗り入れも必 要ではないか。 一部の単位であるが、特定教科の研究や 社会教育等を学び たいという欲求 に応えられるとともに、教科専攻の学生 も実践的な授業を受けたいという要望はあると思われる。
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評 価 項 目 3 教 育 方 法 と 形 態 に つ い て
[ 優 れ た 点 及 び 特 色 あ る 点 ]
① 教 職大学 院 の 成 功の鍵 は、 研 究 者 教 員 と実 務 家教員 の結 合 価 の高 い在り方 を 、日々 の 教 育 研究実 践活 動 の 中 で 、 いか に 実現し てい く か にか かってい る 。この た め に ティー ム・ テ ィ ー チ ン グの 方 法が取 り入 れ ら れて おり、研 究 者教員 と 実 務 家教員 の相 互 連 携 、 相 互浸 透 を可能 にす る 授 業と して、4 つ の形態 が 構 築 されて いる 。 両 者 の 協 働と し て大変 望ま し い 姿で あり、高 い 専門性 を 持 っ た実践 的力 量 の 形 成 へ の挑 戦 として 、更 な る 展開 が期待さ れる。
② 学 校現場 に お け る多様 性と 専 門 性 の 高 い教 育 に応え るた め 、 ワー クショッ プ 、ロー ル プ レ イング 、デ ィ ス カ ッ シ ョン 、 プレゼ ンテ ー シ ョン の方法が 導 入され て い る 。これ は既 設 の 大 学 院 には な いもの で、 こ う した 方法論の 体 得と大 学 院 生 の相互 研鑽 は 、 理 論 や コン セ プトを 現実 に 媒 介し ていく生 き た実践 に つ な がり、 実践 的 指 導 力 の 形成 を 促す優 れた 取 り 組み である。
[ 改 善 を 要 す る 点 ]
① 研究者教員と実務家教員の協働は、授業科目では追求されているが、「教職 実 践専攻 」 内 に おける 協働 運 営 と い っ た面 で はどう であ ろ う か。 専攻内に おける新しい協働の内実を追求して欲しい。
② 「 まとめ プ レ ゼ ンテー ショ ン 」 と し て 発表 さ れる「 課題 研 究 」は 、研究方 法 として は 、 従 来性を 止揚 し て い な い ので は ないか 。研 究 方 法の 新しい開 拓が必要である。
[ 改 善 ・ 向 上 に 向 け た 提 言 ]
① 研 究 者 教 員と 実 務 家教 員 によ る 専 攻 の 協 働 運 営を 内実 ある よう に す る た め に 、 協 働 化を す す め、 専 攻内 の 講 義 担 当 比 率 を同 程度 にし て、 研 究 者 教 員 の 教 育 現 場理 解 の 促進 を 図る な ど 、 専 攻 運 営 その もの を、 実践 の 理 論 化 ・ 体験の経験化を図っていく在り方に変えていくことが肝要である。
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② 「 課 題 研 究」 の 内 容を 見 ると 、 研 究 の 方 法 が 附属 学校 ・教 育セ ン タ ー ・ 既 設大学院等と同じ であり、特色が 見受けられない。実務家教員の質的向上 をはかり、修士レ ベルの資格取得 者を中心に選任するといった必要がある のではないか。実践と理論の往還が可能な実務家教員が求められる。
③ 研究者教員と実践 者教員の連携授 業は、教員養成大学・大学院改革のモデ ルとなりうるもの で、引き続き工 夫改善するとともに、学生の意見や要望 を定例的に聞く機 会を充実させな がら、学生にどのような効果をもたらし ているか、実証的に研究し、追跡することが望まれる。
④ 現職教員院生と学 部卒院生とがい ることは大きなメリットである。ペアを 組み、現職教員院 生にメンター的 な役割を果たさせるなど、両者の差異を 活用した学びの形 態を創出して講 義や演習や教育実習に活用するなど、こ の財産をもっと活かして欲しい。
[ そ の 他 ]
① 定員20名は、まとまって切磋琢磨し合うのに恰好な人数である。昔、青年団運動 などでは、「芋こじ」といって、合宿して一晩、二晩を共にし、お互いの問題を 出し合って徹底的に語り合い、問題を共有し合うなかで信頼やきずなも生まれ、
個性が輝いていくという教育の方法があった。例えばだが、こういう形で本教職 大学院らしい、新しい姿と気風を創っていくことも必要ではないか。
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評 価 項 目 4 教 育 委 員 会 と の 連 携 に つ い て
[ 優 れ た 点 及 び 特 色 あ る 点 ]
① デ マンド サ イ ド のニー ズを 教 育 内 容 に 反映 さ せるた めに 、 教 育委 員会や近 隣 の学校 と の 連 携協力 の協 議 会 が 複 数 設置 さ れてお り、 こ の こと によって 授 業内容 の 変 革 や質的 向上 の 方 策 が 時 間を お かない で研 究 ・ 反映 され、育 成 すべき 力 量 と 授業科 目と の 有 機 的 な 連関 が 図られ てい て 、 優れ たシステ ムである。
② 入 学者が 教 育 委 員会か ら派 遣 ( 推 薦 ) で確 保 されて いる こ と は、 教職大学 院 の安定 的 運 営 と教育 現場 で 求 め ら れ てい る 力量形 成の 保 証 とを 同時に可 能 にする も の で 、教育 のエ レ メ ン ト の 一つ で ある恒 常性 の 確 保を よく満た している。
[ 改 善 を 要 す る 点 ]
① 現 職教員 院 生 の 実習で は、 現 場 の 課 題 解決 を 校長に 対し て 提 言す ることを 目 的とし て い る とのこ とで あ る が 、 こ れは 慎 重に行 われ る べ きで ある。指 導 主事と の 関 係 等、さ まざ ま な ベ ク ト ルを も 考慮に いれ る 必 要が ある。ま た 、各院 生 の 研 究テー マは 、 教 育 セ ン ター で の研究 と違 い 、 大学 がある程 度主体的に設定する必要がある。
② 現 職教員 院 生 の 募集は 、私 学 の 現 職 教 員な ど を含め 、広 く 募 集を する必要 がある。
③ 「 課題研 究 」 は 、院生 の問 題 意 識 も 大 切で あ るが、 教育 委 員 会の 直面して いる課題や問題意識とのリンクが必要である。
④ 優秀な院生を確保するために様々な方策を考える必要がある。
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[ 改 善 ・ 向 上 に 向 け た 提 言 ]
① 望 まれる 学 生 像 の検討 や、 教 育 課 程 に 踏み 込 んだ充 実策 の 検 討な どは、適 宜 に行わ れ る 実 務的な 小委 員 会 で の 議 論が 有 効であ ろう 。 そ のよ うな具体 的 な議論 に よ っ て、教 育委 員 会 が 人 材 育成 の ために 行っ て い る他 の研修や 施 策との 連 携 や 差異化 が可 能 に な り 、 良い 循 環を生 み出 す の では ないか。
② 私 学協会 等 や 教 育委員 会と の 連 携 を 緊 密に し て、応 募者 ・ 入 学者 の多様化 を図るとともに、私学との連携や協働も追求する必要があろう。
③ 「課題研究」の内容については、教育委員会とのリンクが必要ではないか。
個 人 課 題 から 教 育 委員 会 課題 へ と 有 機 的 に つ なが る意 義は 大き い 。 事 前 の 派 遣 要 件 とし て 調 整が お こな わ れ て も よ い 。 教育 委員 会課 題調 査 研 究 を 大 学 院 で 実 施し 、 そ の成 果 を県 に 還 元 し て い く など 、教 育課 題の 理 論 的 ・ 実 践 的 解 明 、そ し て その モ デル の 創 出 な ど 、 具 体的 方策 を含 んだ よ き 循 環 の 形成が欲しい。
④ 優 秀な 院生 を 確 保 する 必 要 があ り 、 14条 派遣 ・夜 間講 座等、 学校在 籍の ま ま 受 講 で きる シ ス テム 等 を開 発 し て 、 現 場 の 経験 豊か な教 員が 容 易 に 教 職 大学院で学べる体制が必要である。
⑤ 設 置基 準で は 45単 位 の は ず だ が 、 本 教職 大学 院 で は54単位を 必修と して い る 。 取 得 単位 数 を 減じ て 、院 生 の 研 究 時 間 を 確保 する こと も大 切 で は な い か。
⑥ 院生のインセンティブ向上策の検討と具体化も必要である。「教育実践力開 発 コー ス」 で は 、初 任者 研 修 免 除 ・採用 優遇 。「 学校 運 営・経 営コ ー ス」で は 、管 理職 登 用 との リン ク 。「 生 徒 指 導 ・特 別支 援 コー ス」で は、 指 導 主事 任 用 と の リン ク 。 等々 と いっ た イ ン セ ン テ ィ ブ向 上策 を教 育委 員 会 と 協 議 を重ねて実現していく必要がある。
[その他]
① 県 ・ 市 と の連 携 を 容易 に する た め 、 問 題 の 共 有と 連携 に熟 達し た 人 材 が 必 要 で あ る 。今 後 は 、こ う した 媒 介 項 と し て 働 く人 材が キー マン と な っ て い く時代であり、大学も教育委員会もこうした人材育成に努める必要がある。
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② 動 的 均 衡 が必 要 で 、連 携 のし す ぎ で 本 来 教 育 委員 会が 行う べき こ と を 大 学 側 が 大 学 院の 授 業 内容 に 取り 込 ん で し ま わ な いよ う、 課題 ごと に し っ か り 検討し、それぞれの主体性を大切にし合うよう留意すべきである。
5.外部評価委員会 委員名簿
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外部評価委員会 委員名簿
(委員長)
鷲山 恭彦
国立大学法人奈良教育大学理事(非常勤)、前東京学芸大学長ほか(同左)
(副委員長)
家宇治 正幸
福岡県教育庁教育振興部義務教育課長(福岡県教育庁福岡教育事務所所長)
(委員)
菊川 律子
前国立青少年教育振興機構理事(国立青少年教育振興機構理事)
(委員)
中島 秀明
佐賀県教育庁副教育長(佐賀県教育庁教職員課長)
(委員)
橋本 洸
福岡商工会議所専務理事(同左)
※職名は、平成23年4月1日現在、
( )書きは、委員会開催日(平成23年3月15日)時点
6.実 施 要 項 等
(1)平成22年度国立大学法人福岡教育大学
「外部評価」実施要項
(2)国立大学法人福岡教育大学点検・評価規程
(3)国立大学法人福岡教育大学外部評価委員会規程
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6 .実施要項等
(1)平成22年度国立大学法人福岡教育大学「外部評価」
実施要項
本学における教育研究のさらなる改善を図るとともに、国立大学法人評価及 び認証評価等を通して自己点検・評価システムの充実に向けた取組が強く求め られている現状にかんがみ、平成22年度において「外部評価」を下記の要領 により実施する。
記 1.評価の位置づけ
外 部 評 価 と は 、 国 立 大 学 法 人福岡 教 育大学 ( 以下「 本 学 」という 。)の自己 点検・評価の一環として、国立大学法人福岡教育大学点検・評価規程第2条第 3号 を 根拠 として 、本学 の 役員及 び職 員以外 の者 (以下「学外者」という。)
が行う評価及び検証をいう。
2.評価実施の目的
本学の第2期中期目標「外部評価を踏まえた自己点検・評価を定期的に実施 して教育改善につなげるサイクルを確立する」の達成を目指すため、また、本 学の教育の質的向上の現状について、自己点検・評価を踏まえた評価項目に則 り、ステークホルダーとしての学外者による点検・評価を受けて、今後の教育 研究の改善・改革を図ることを目的とする。
3.評価項目の決定
学長は、平成21年度に設置した教職大学院が理念・目的を実現しているかを 確認するため、評価項目を設定する。
4.評価組織
外部評価を実施するために、学外者をもって構成する外部評価委員会(以下
「委員会」という。)を設置する。
5.委員会の運営
(
1
) 委員会に委員長及び副委員長を置く。委員長及び副委員長は、委員の互選 により選出する。(
2
) 委員長は、委員会の議長として評価結果を取りまとめ、学長に報告する。なお、委員に個別 の意見があると きは、これを報告に添えて提出するもの
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とする。
(
3
) その他委員会の運営に関しては、委員会が別に定める。6.委員の選定等
学長は、委員の選定及び委嘱等を行う。
7.外部評価の日程(予定)
平成22年12月:外部評価委員の選定・委嘱及び評価項目の決定 外部評価委員会発足
関係資料の送付・提供 平成23年3月:外部評価委員会開催
(外部評価委員による学長・理事等へのヒアリング)
平成23年6月:外部評価結果の提出 8.評価結果の反映
評価結果の報告については、本学のビジョン及び取組内容として具体化し、
今後の年度計画等に反映させ、教育の質的向上を実現する。
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(2)国立大学法人福岡教育大学点検・評価規程
制 定 平成18年 2月17日 一部改正 平成22年 4月16日 一部改正 平成23年 3月22日
(趣旨)
第1条 この規程は,国立大学法人福岡教育大学運営規則第43条の規定に基 づ き, 国立 大学 法 人 福岡 教 育大 学(以 下 「法人 」という。)及び 法人が設置 す る福 岡教 育大 学 ( 以下 「 本学 」とい う 。) の教 育及び研 究, 組織及び 運営 並 びに 施設 及び 設 備 (以 下 「教 育研究 活 動等」 という。) の状 況につい て行 う点検及び評価並びにその結果の公表に関し必要な事項を定める。
(定義)
第2条 この規程において「大学評価」とは,次の各号に掲げるすべての評価 を総称する。
(1)自己点検・評価 学校教育法(昭和22年法律第26号)第109条第 1項の規定に基づき,本学が自ら行う点検及び評価をいう。
(2)外部評価 自己点検・評価のうち,本学の点検及び評価の結果を受けて,
その役員及び職員以外の者が行う検証及び評価をいう。
(3)認証評価 学校教育法第109第2項又は第3項の規定に基づき,認証 評価機関が行う評価をいう。
(4)法人評価 国立大学法人法(平成15年法律第112号)第35条により 準用する独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第32条第1項 及び第34条第1項の規定に基づき,国立大学法人評価委員会が行う評価 をいう。
(点検・評価の実施)
第3 条 大 学評価 に 係る 点 検及び評価 (以下 「点 検・評価」という 。) は,学 長が行うものとし,その実施については,企画・評価室において処理させる。
ただし,外部評価において学外者が行う検証及び評価については,この限り でない。
2 企画・評価室は,点検・評価の実施に際して,実施方法,評価項目,自ら の教育研究活動等に係る状況に関して点検・評価を受けるために必要な作業 を 行う 主体 (以 下 「 評価 作 業主 体」と い う 。)その 他必要 な事 項を定め る。
3 評価作業主体は,当該評価項目の点検・評価に必要な資料・データを入手
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し,これらに基づき点検・評価に必要な作業を行う。
4 企画・評価室は,評価作業主体による前項の作業の結果を取りまとめる。
(点検・評価の結果の確定及び公表)
第4条 企画・評価室は,前条第4項の手続を経て点検・評価の結果について 原案を作成し,学長に報告する。
2 学長は,前項の原案に関する経営協議会及び教育研究評議会の議を経て,
点検・評価の結果を確定する。
3 学長は,確定した点検・評価の結果(外部評価において学外者が行う検証 及 び評 価の 結果 を 含 む。) を 刊 行 物又は そ の 他の媒 体によ って 学内外に 公表 するものとする。
(点検・評価の結果等に基づく改善)
第5条 企画・評価室は,点検・評価の結果又はこれに基づく大学評価の結果 の確定を受けて,改善すべき事項及び改善方策を取りまとめる。前条第1項 の報告の時点で学長が特に必要と認める場合,及び点検・評価が試行的な性 質を有しているため前条第2項の手続をとらない場合についても,同様とす る。
2 企画・評価室は,改善すべき事項に係る当該組織の長に改善方策の提示を 依頼する。
3 企画・評価室は,前項の改善方策を取りまとめ,学長に報告する。
4 学長は,前項の報告に基づき改善方策を決定し,当該組織の長に改善方策 の実施を命じるものとする。
(改善状況の検証)
第6条 企画・評価室は,前条第4項に定める改善方策の実施状況について検 証を行い,検証の結果を学長に報告する。
2 学長は,前項の報告に基づき,十分な改善状況が認められない場合には,
改善の進展を図るために必要な措置を講ずるものとする。
(事務)
第7条 大学評価に関する事務は,経営政策課において処理する。
(雑則)
第8条 この規程に定めるもののほか,大学評価に関して必要な事項は,企画
・評価室の議を経て,別に定める。
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附 則
この規程は,平成18年4月1日から施行する。
附 則
この規程は,平成22年4月16日から施行し,平成22年4月1日から適 用する。
附 則
この規程は,平成23年4月1日から施行する。
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(3)国立大学法人福岡教育大学外部評価委員会規程
制 定 平成22年12月20日 一部改正 平成23年 3月22日
(設置)
第1条 国立大学法人福岡教育大学運営規則第43条第2項に基づき,国立大 学法人福岡教育大学点検・評価規程第2条第2号に定める「外部評価」を実 施する機関として,国立大学法人福岡教育大学外部評価委員会(以下「委員 会」という。)を置く。
(任務)
第2 条 委 員会は , 国立 大 学法人福岡 教育大 学( 以下「法人」という。)が作 成した自己点検・評価書等に基づいて,学長が決定する評価項目について学 外者の立場から検証及び評価を行い,法人の教育・研究の質的向上及び組織 の活性化等に資する提言を行う。
(組織)
第3条 委員会は,学長が委嘱する学外有識者5名程度の委員をもって組織す る。
(任期)
第4条 委員の任期は,原則2年とし,再任を妨げない。
(委員長及び副委員長)
第5条 委員会に委員長及び副委員長を置く。
2 委員長は,委員の互選により選任し,副委員長は委員長が指名する。
3 委員長は,委員会を代表し,会務を総括する。
4 副委員長は,委員長を補佐し,委員長に事故あるときは,その職務を代行 する。
(運営)
第6条 委員会は,学長の要請に応じて委員長が招集する。
2 委員会の議長は,委員長が務める。
3 委員会が必要と認めたときは,委員以外の出席を求めることができる。
(報告書の提出)
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第7条 委員会は,第2条の規定により実施した検証及び評価の結果並びに優 れた点及び改善を要する事項等を外部評価報告書にまとめ,学長に提出する。
(報告書の公表)
第8条 委員会から,提出された外部評価報告書は,法人公式ホームページ等 で公表する。
(事務)
第9条 委員会に関する事務は,経営政策課において処理する。
(雑則)
第10条 この規程に定めるもののほか,委員会の運営に関し必要な事項は,
委員会の議を経て別に定める。
附 則
1 この規程は,平成22年12月20日から施行する。
2 第4条の規定にかかわらず,この規程の施行後,最初に任命される委員の任期は,
平成24年3月31日までとする。
附 則
この規程は,平成23年4月1日から施行する。
外部評価報告書
-教職実践専攻(教職大学院)について-
平成23年6月発行
編 集 福岡教育大学 経営政策課 計画・評価室
発 行 国立大学法人福岡教育大学
〒811-4192 福岡県宗像市赤間文教町1-1 TEL 0940-35-1200