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ゼロエミッション ―セメント業界の挑戦―

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Academic year: 2024

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(1)

   ゼロエミッション  ―セメント業界の挑戦―      

2000年9月21日

<ゼロエミッションパート>  足利聖子       池田洋一

      中西心紀                廣江りつ 

 

ゼロエミッションパートのストラクチュア

Ⅰ.ゼロエミッション 

ⅰ.ゼロエミッションとは何か。

ⅱ.なぜ、ゼロエミッションをとりあげるのか。

ⅲ.ゼロエミッションの形成のために必要な条件と課題。

Ⅱ.セメント業界におけるゼロエミッション   

ⅰ.なぜセメント業界のゼロエミッションなのか。

ⅱ.セメント業界を中心とした産業クラスターとは。

ⅲ.セメント業界のゼロエミッションへの取り組みは成功しているのか

成功しているところ、より成功するかもしれないところ、またその理由。

ⅳ.セメント業界の取り組みでゼロエミッションをこれ以上すすめることはできるのか。

Ⅲ.ゼロエミッションをこれ以上すすめるには(結論) 

 

ゼロエミッション促進組織=ZEPO  を提言 

(2)

Ⅰゼロエミッション      

ⅰ「ゼロエミッション」とは     

◆国連大学のパウリ氏がはじめて提唱。

同大学では1994年からその具体化のための研究プロジェクトを、「ゼロエミッション 研究構想」としてスタート。

「エミッション」=ごみ、廃棄物  →  「ゼロエミッション」=ごみゼロ

◆ゼロエミッションの「概念」  (パウリ氏による)

   「A産業が排出する廃棄物をB産業が使う、B産業が排出する廃棄物をC産業が使   うといった産業の連鎖がされれば、廃棄物はゼロになり、資源が有効利用される。」

   

資料1;今までの産業構造とゼロエミッション産業構造の違い 

◆ 新産業集団(産業クラスター)=ゼロエミッションにおけるキーワード。

パウリ氏によるゼロエミッションの中核

  産業クラスター…いくつかの異なった産業間で、有る産業の廃棄物、副産物、余剰エネル ギーを、他の産業の原燃料として使い合いながら、1つのグループを形 成。(クラスター…本来、英語で「果実の房、群」などの意味。)          →資料2

例;『具体的にゼロエミッション的な活動とは』 

   ゼロエミッションの例…インクと紙・林業・砂糖・ビール産業など。 

 

ビール醸造から始まる新産業集団 

ビール醸造・・・醸造設備の洗浄は厳しい衛生基準を満たすために強力な化学物質を使わなけ ればならない。 

       また、醸造工程で、固体廃棄物を生じる。     

 

  ・洗浄廃水…・洗浄に砂糖をベースとした洗浄剤を使用し、その廃水を魚の養殖場に。 

         養殖にもプラス。 

       ・回収されたビールビンや牛乳ビンの洗浄を同じラインでやるのもよい。        

        どの洗浄廃水からも良質な養殖用の飼料がとれるから。 

・個体廃棄物(ビール醸造中に生じる)…高たんぱくである。牛の飼料に。 

(3)

   

ⅱなぜ今「ゼロエミッション」か。 

ごみ削減とゴミ処理場枯渇問題の緩和、

   

資源の有効利用 コスト削減

企業イメージの向上   

ⅲ、ゼロエミッションの必要な条件と課題

・ゼロエミッション社会を確立するために必要な条件 1有効利用される廃棄物に商品価値があるかどうか 2   〃      と供給先との距離はどれくらいか  3   〃      の供給先需要と規模の需給バランス  4   〃      にある程度の集積度があるか 

・ゼロエミッションの課題

・経済効率と環境負荷の増減を正確に評価できる方法がない。

・企業への責任の明確化や法整備

・地域の特性とのかかわりを大切にする

・クラスタリングをコーディネート・アドバイスする組織が必要   

       

(4)

 

Ⅱ、「セメント業界」におけるゼロエミッション

ⅰ。なぜセメント業界のゼロエミッションなのか. 

セメント業界…日本のゼロエミッションにおいて最も進んだ産業であるから。 

        ↓なぜ?

セメントの組成と深い関係→セメントの原料:石灰石、粘土、珪石、鉄、石こう

      これらを調合し、キルンで焼成するとセメントができる。

       ⇒これらは廃棄物から得ることができる。

セメント産業は、多様な廃棄物を原料または燃料として使用する技術を急速に整えてきた   →  資源の有効利用に役立つ

→  2700万tがセメント産業で原燃料として使われている。

全廃棄物量、計4億6000万tのうち6%にあたる     埋め立て処分量の約5分の1の重量

  →  2010年にはバージン原材料を使わず、廃棄物100%の原料でセメントを作りたい    資料3

ⅱ、セメント業界を中心とした産業クラスターとは 

・どのような産業とクラスタリングしているのか→図

産業廃棄物を排出する自動車業、電力、鉄鋼業、紙パルプ業…etcに加えて、自治体(焼 却灰、下水汚泥)等もクラスタリング  資料4 

  

〈太平洋セメント〉

トータルで110種くらい、年間2600万トンの廃棄物を原燃料と使う   それでも過剰品質ともいえるセメントの品質をたもっている。

・どのような廃棄物を集めているのか。→資料5   基本的には燃料か原料として集める。 

   原料…高炉スラグ(←製鉄所)、石炭灰(←火力発電所)等    燃料…廃タイヤ、廃パチンコ台…etc

(5)

. セメント業界のゼロエミッションへの取り組みは成功しているのか 成功しているところ、より成功する可能性のあるところ、またその理由

・現在、セメントの原料の約25%が廃棄物、最新鋭の設備では75%燃料として使用される。

・できるだけのコスト削減を狙いたいセメント産業と、廃棄物処分場での処分費よりも処理 費を安く浮かせたい産業や自治体の思惑が一致した形で、市場原則にもとづいてうまく行 われている。コスト削減のために工場同士でも競争しており、条件がよければどんどん廃 棄物が原材料、燃料として使われている。

高炉スラグや石膏は買っている。廃棄物の価格や売り手・買い手

・地域によって存在する産業が違うため、地域によって入手できる廃棄物にばらつきがある。

廃棄物の質のばらつきについては、むしろ、質が均一で大量に発生し、かつ安定供給され る廃棄物を選んで入手するようにしている。

・RDF(廃プラなど可燃ゴミの固形燃料化したもの)は焼却時になかなか高温にならない という問題点があるためセメント工場の燃料としては利用していない。

・一般廃棄物には塩素が含まれており(塩、醤油、塩ビなど)、それを使おうとすると、塩

素200ppm以下という日本のセメント規格・規制に合わせるのが難しくなる。(粘土に混

ぜる一般廃棄物の焼却灰には、塩素約1%の上灰と約15%の下灰とがある。)また、塩素 が含まれていると工程トラブルの原因にもなる。灰を水で洗って塩素を溶かして除去する という工程にはお金がかかり、経済的に限界がある。

・環境に対する負荷の点では、工程においてCO2,Noxが減少。

(6)

太平洋セメント

セメント業界最大手。エコセメントというアイディアを国に提供。

1 . エコセメントとは

都市ごみ焼却灰、下水汚泥などの廃棄物を原料の約半分に利用したもの。(資料6)

2 . エコセメント誕生までの歩み

1994年  NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)と民間3社が協力して開発 1997年  品質と安全性が検証され、エコセメント製造技術を確立

3 . 千葉県市原市エコセメント工場(P F I 方式)

●約250万人分の廃棄物を処理し、年間約11万トンのエコセメントを生産する予定。

●投資額約100億円の1%を県が補助。「エコタウン事業」として承認された。

4 . 東京都多摩市エコセメント工場

  ●約450万人分の廃棄物を処理し、年間約16万トンのエコセメントを生産する予定。

RFI(Private Finance Initiative)とは(資料8、9、10)

・民間の持つ資金やノウハウを活用した公共事業。

・運営リスクを民間企業が背負うことになる  →  ハイリスクローリターン

・経営リスクを自治体か事業会社に振り分ける

5 . エコセメントの特徴

●都市の特徴にあわせたセメント製造方法(都市型セメント)

●供給先について問題はない  …  焼却灰の量はほぼ一定

●需要量については稼働率で調整

・  高品質  →  取引する予定の企業が存在

・  グリーン調達

●ノウハウはすべて太平洋セメントにある

6 . エコセメントの問題点

●圧倒的にコストが高い

・  エコセメント工場は規模が小さい  →  スケールデメリット

・  前処理を行うための施設の建設費が高い

(7)

7 . 問題点の解決策

●運搬が安全に行われ、確実にセメント工場でリサイクルされる条件が整えば、焼却灰持 ち出しの広域化(特定自治体からの越境)を認めるべきである。(広域行政の問題)

●政府の援助(NEDO)による補助金によって開発費が賄われた。このように企業独自 ではコストが高く手のつけにくいECO製品の開発や販売には政府が積極的に補助して いいくべきである。

8 . 廃棄物処理総合サービス

  ●収集・運搬、中間処理、プラント建設、運転、販売、測定などを総合的に行う事業

●都市ごみ処理場を作る計画

●産業クラスタリングを円滑に進めるための情報を集めるシステム作り

(8)

. セ メ ン ト 業 界 の 取 り 組 み で ゼ ロ エ ミ ッ シ ョ ン を こ れ 以 上 す す め る こ と は で き るのか。

・2010 年にはバージン原材料を使わず、廃棄物100%の原料でセメントをつくりたいとい う太平洋セメントの試み。

・利用する廃棄物の量を増やすことが、社会的な費用面・環境面で必ずしも良いとは限らな い。処理費より、処分費の方が安い地域もある(関西・北九州)。技術開発にはお金がか かるため、誰が負担するかが問題。

・安定供給できる高品質の廃棄物を規制するため、廃棄物の分別が必要。

・県境を超えた廃棄物の規制が厳しく自治体が無責任であるため、広域行政の視点の必要性。

・排出先とセメント会社が信頼できる情報を手に入れやすいシステムつくりが大事。

■太平洋セメントの目標

2010年にはバージン原材料を使わず、廃棄物100%の原料でセメントを作る

→  全セメント業界で実現したと仮定する

◆  セメント生産量9256万t(97年度)

一般・産業廃棄物合計4億6000万トン    →  全廃棄物の約20%を原燃料として利用

問題点:組成の割合、かえって環境に負荷を与える

◆地球温暖化防止効果 

CO 削減:330 万t/年(京都市で、自動車が 1 年間に排出するCO の量に相当) 

廃棄物100%の原料  →  1100万t/年

◆埋め立て処分場延命効果

セメント資源として利用する廃棄物の体積:562万 /年(霞ヶ関ビル 11.2 杯分に相当) 

廃棄物100%の原料  →  1873万 /年

◆天然資源の保存

天然資源の使用削減量:563万t/年(奈良の大仏2万2千体の重さに相当)

廃棄物100%の原料  →  1876万t/年

(9)

Ⅲ  ゼロエミッションをより理想的に進めていくためには(提言)

ゼ ロ エ ミ ッ シ ョ ン を 推 し 進 め る た め に は 何 ら か の 公 共 の 主 体 が リ ー ダ シ ッ プ を と っ て 産 業 ク ラスタリングをコーディネートするする必要性がある。公共機関の介入の必要性。

全 国 レ ベ ル の ゼ ロ エ ミ ッ シ ョ ン 化 を 促 進 す る 組 織 を 構 築 す れ ば 、 ゼ ロ エ ミ ッ シ ョ ン を 推 し 進 める上での問題点を解決できるのではないか?

Z E P O Z e r o E m i s s i o n P r o m o t i o n a l O r g a n i z a t i o n )の設立 ゼロエミッション促進機構

<目的>

IT 技 術 に よ り 企 業 の 廃 棄 物 情 報 を 掌 握 し 、 廃 棄 物 処 理 場 の 使 用 を 極 力 減 ら す 目 的 で 資 源 の 有 効 利 用 を 促 進 し 、 日 本 国 内 の ゼ ロ エ ミ ッ シ ョ ン 政 策 を 推 し 進 め 、 効 率 的 に 循 環 型 社 会 に 移 行 す る よ う 企 業 間 の ク ラ ス タ リ ン グ を コ ー デ ィ ネ ー ト す る 役 割 を 担 う 。 ま た 縦 割 り 行 政 に よ る 弊 害 を 解 決 す る こ と も 目 的 で あ る 。 産 廃 排 出 業 者 は 原 則 的 に ZEPO に 加 盟 義 務 を負う。政府系公的機関、非営利組織。

ⅰ、Z E P O の利点

■  廃棄物の適正処理市場が透明化し、市場価格が明確になる。

■  自治体をまたぐ廃棄物の移動が可能になる。

■  信頼性と市場規模をうまくバランス

■  正確な情報を提供

ⅱ、Z E P O の具体的な役割

■  情報収集(廃棄物の量、質)

■  処理費用を見積もり

■  マニフェストを利用(処理内容や、処理日時、確実に処理したことを示す)

■  廃棄物の最も効率的な分配を決定(クラスターの提案、構築)

■  廃棄物資源化のための技術開発、アドバイス(最も適切な製造工程は?)

■  初回登録料、手数料徴収

■  現場に足を運び作業内容を厳格に審査

■  廃棄物の質の評価(手数料に反映させることで排出者にインセンティブ)

■  産学を問わず多くの研究者を招聘し、政府の補助で技術開発

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■  最終処分場利用条件を限定(ゼロエミッション化できない廃棄物や有害物質、ZEPO 導入により損害を受ける企業―下記⑤の場合―のみ産廃処理場の使用を認める。)

(参考)企業のZEPO参加、不参加を決定する要因の考察

(仮にZEPOを強制加入ではなく、市場メカニズムに依存した場合)

<Z E P O 導入以前>

P1=企業の産廃処理コスト(産廃処理費用+輸送コスト)の出費(<0)

仮にP1=―100とおく。

<Z E P O 導入後>

P2=手数料(ZEPOに支払う)+輸送コストの出費(P1<P2<0とする。)

P3=ゴミ取引料(有償価格or0or逆有償価格)とする。

つまりZEPO導入後の産廃処理コスト(=Z)は Z=P2+P3と表すことができる。

・ここで大きく分類して次の5つの場合が考えられる。

①  P3=有償価格の場合

②  P3=0の場合

③  P3=逆有償価格の場合でかつP2+P3>P1を満たす場合

※①、②、③は P2+P3>P1 を満たしている。Z=P2+P3>P1の条件下では、産廃排 出業者はZEPOに参加することでZEPO導入以前の場合よりも利潤があるので以上の場合、

企業はZEPOに参加すると考えられる。

  

  ④  P3=逆有償価格の場合でかつP2+P3=P1を満たす場合

※④の条件下では ZOPO導入前とコストベネフィットは変化しないといえるので、企業は ZEPOへの参加、不参加に対する意志は変化しないと考えられる。

⑤  P3=逆有償価格の場合でかつP2+P3<P1を満たす場合

※⑤の条件下ではZEPO導入以前と比較してZEPO導入後のほうがコストが余計にかかっ ている。よって企業はZEPOに参加するインセンティブは働かないと考えられる。

よって、⑤の条件下では無理やりにZEPO参加を強制するとZEPOの不参加またはフリー ライディングが発生する確立が高まるといえる。

(例)企業がセメント会社に廃棄物を渡す場合

  ・現在一般企業が出す産業廃棄物は逆有価物である。・・③、④、⑤

・現在高炉スラグ、鉄鉱は有価物である。・・①、②

多くの一般企業が出す産業廃棄物は逆有価物であり、仮に⑤の条件下の場合は ZEPO参

(11)

加のインセンティブが働かないので、なんらかの特別な政策を考える必要性がある。

  ■  ZEPOは市場が⑤の条件にある企業の産業廃棄物処理場の利用を認めるべきである。

ⅲ、Z E P O を中心とするゼロエミッション型社会の仕組み

       枠組み作り

              

      情報の流れ       お金の流れ       廃棄物の流れ

(参考)エコタウン事業、地域型ゼロエミッション

「企業の他に消費者も循環の輪に取り入れる」

・農業化(生ゴミをコンポスト化して肥料化)

・産廃処分場(→資源エネルギーを取り出す)

・住宅(温排水を利用)etc

Z E P O の問題点

■既にゼロエミッションを実現している企業の扱いはどうしたらいいだろうか?

■フリーライダー対策はどうすればいいか?

産業

産業 産業

ZEPO        

政府

(12)

参考文献

「地球環境と日本経済」三橋規宏  岩波書店1999年

「月間廃棄物」7月号〜11月号1999年

「ゼロエミッションと日本経済」  岩波書店1999年

「ゼロエミッション」  国連大学出版

「環境会議2000」  7月号2000年

「日経エコロジー」  8月号、9月号  2000年日経BP社

「エコセメント」太平洋セメント株式会社

「太平洋セメント株式会社環境事業本部」太平洋セメント株式会社

「太平洋セメント環境報告書」太平洋セメント株式会社

「セメントの常識」日本セメント協会 太平洋セメント  ヒアリングメモ その他ホームページ多数

参照

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