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・ベルとともに教室に向かうようになった!

・学校を休まなくなった!

・自習課題を用意するように。

・「私が知ったことを、

ほかの先生に伝えていく。」

「物理の授業が好き。」

生徒の笑顔が増えれば …

たくさんの人に支えられて、19 カ月、インドネシアでかけがえのな い経験をすることができました。

ご清聴ありがとうございました。

SELESAI

Terima kasih banyak!!

「グローバル社会で生きていく“日本人”の育成」

清野真輝

(平成18年度1次隊 小学校教諭 ドミニカ共和国)

新潟県より参りました、附属新潟小学校の清野真輝と申します。貴重な時間を頂きます。

発表が四つ目にもなると皆さんは疲れてきていると思います。肩の力を抜いて、リラック スして聞いてください。私からは、簡単に任国でどんな活動をしてきたかということと、

現在帰ってきてから取り組んでいることを紹介させていただきます。これから行くことで 頭の中がいっぱいなのに、もう帰ってきた話かなんて思われるかもしれませんが、派遣期 間は意外にあっという間に過ぎますので、みなさんぜひ聞いてみてください。

私は、平成 18 年度・19 年度にドミニカ共和国に派遣されました。現在は、帰国して 3 年目になります。私の要請内容は、「小学校教員の算数指導力の向上」でした。中南米で行 われている「算数プロジェクト」の一つです。ただ、子どもへの指導ではなく、教員への 指導だというところが大きく異なるところです。

任国には,年間指導計画や教科書、ドリルがありませんでした。つまり、指導する内容 は、担任の先生が知っている知識に委ねられていたのです。そのため、2桁のたし算が終 わったら3桁のたし算を指導し、3桁のたし算が終わったら4桁のたし算を指導し…、こ のような驚くべきことが、各学級で様々に行われていました。同一学年にもかかわらず、

指導内容が異なるということは、子どもへの教育の機会均等が保障されていないというこ とです。そのため、私は最初の野口先生の発表と似ているのですが、「算数指導のシステム」

を作りたいと思い、以下のように取り組みました。

教える内容がバラバラでは機会均等が保障されないので、「①学習プリントの作成」とい う仕事に挑戦しました。日本の教科書を基にして、1年生から4年生までの毎時間の学習 プリントを作りました。学習プリントだけではどのように指導すればよいか先生方には分 からないので、「②教師用指導書」も合わせて作りました。しかし、「書いても読まない」

というのは、どこの国でも一緒です。そのため、「③学年会で指導内容の確認」、つまり、「こ うやって指導してね」と直接伝えることができる話し合いの場を設定しました。「伝えても やらない」ということもあります。そのため、学習プリントを、必ず私のいるプロジェク トルームに保管してもらいました。すると、こまめにパラパラパラと指導の足跡を見るこ とができて、「進度が遅れている」とか、「ちゃんと指導しているかな」とすぐに確認する こともできます。地道な作業ですが、実はこの「④進度の管理」がとても大事なものとな りました。

また、授業中に使う「⑤教材の作成」にも取り組みました。また、実際にシステム化が うまくいっているかを確認するために、「⑥授業のモニタリング」を行いました。

このようなことを、着任後すぐにうまく始めることができました。その理由の一つは、

着任後すぐに新学期のスタートを迎えたからでした。つまり、最初にやらなければ、後か らでは変更が難しいと思ったからです。

もう一つの理由は、派遣訓練中に先輩隊員の報告書を読むことができたことです。こう いったものを読むと、およそどんな問題点が現地にはあるのかを日本にいる間に把握でき るので、心の準備ができていたのです。

1年9か月の活動の成果は,次の二つです。先ほどの御三方の先生の発表と同じように、

現地での活動はなかなかうまくはいきません。「会議しようね」と言っても、時間には集ま ってくれません。「これやってね」と言っても、「アハハ~」と言ってやってくれません。

そんな試行錯誤は必ずあるものですが、私は徹底して「みなさんの仕事が楽になるから」

と「負担軽減」をスローガンにし続けました。このことが上手くいったのではないかと思 っています。どこの国でも負担が減るのは嬉しいことです。結果として,現地の先生方に は算数指導のシステム化に慣れていただきました。そして、全15学級のうち13学級のテ ストの正答率が大幅に上がりました。残り 2 学級はというと、実は学級崩壊でした。もう どうしようもありませんでした。

もう一つの成果は、指導が計画通りに進むので、年間に教える学習内容が増えました。

つまり、今まで教えていなかった学習を指導することがいくつもできるようになったので す。計画通りに指導することができた先生とは、ある程度指導力が向上した教師であると 言えるのではないかと勝手にみなしています。以上のことが、私の任地での活動でした。

活動から、私は次のことを学びました。

まず、日本の教育のよさです。いかに考えられ、系統的なカリキュラムが組まれている かを、改めて算数を通して学びました。

そしてもう一つは、教員の研修制度です。日本は非常に研修制度がしっかりしています。

研修にどんな気持ちで取り組むかは、人それぞれかもしれませんが、確かな成果を挙げて いるのは、日本のよさだと思っています。

その一方で、国際社会における日本の認知度がやっぱり低かったということです。ドミニ カ共和国は時差マイナス13時間ですので、ほとんど日本の反対側にあります。多くの人は 日本を知らなくて、町で歩いていると私たちアジア系は「中国人、中国人」と呼ばれます。

蔑称として呼ばれているようです。また、ある人からは、「日本は中国の一部だろう」とも 言われました。さらに、日本を知っている方に日本の印象を聞いても、「トヨタ」や「ホン ダ」などの車を中心とした科学技術がほとんどで、「日本人の勤勉さ」や「美に対する感覚」、

「きめ細やかさ」など、精神面についてはほとんど伝わっていないと感じました。

このような学びから、私は日本の国際貢献のさらなる必要性を実感しました。

それでは、この思いを学校教育現場でどう活かすかという話に移ります。私は、今なお 急速に進展するグローバル化社会で生きていける日本人を育成したいと思っているのです。

そのような思いで、この二年半、取り組んできました。

現場に復帰する場合、前の学校に戻る場合と、新たな学校に勤務する場合とがあります。

私は、現在の学校に新たに赴任しました。そして、そこで依頼されたのが、一つは「外国 語活動の研究」、そしてもう一つが、「中国の小学校との交流の推進」です。今までの経験 を発揮できる場をすぐに与えていただけたというケースはそれほど多いとは聞かないので、

私は非常に幸せだと思います。この二つの職務において、先ほどのグローバル化社会で生 きていける日本人の育成をどのように実現しようか考え、次のように取り組んできました。

まずは、「外国語活動の研究」についてです。

私が外国語活動で目指す子どもは、「異なる文化をもつ人々、臆せず積極的にコミュニケ ーションを図ろうとする子ども」です。自分とは異なる文化、つまり、自分にとっては異 質に感じるものと触れ合い、そこによさがある、学びがあるということに気付かせたいの です。そのために、次の二点を大切にしました。まず一つ目は、「コミュニケーションへの 見方や考え方を変容させる」ことです。もう一つは、「異なる文化をもつ人々と、交流する 楽しさに気付かせる」ことです。まず、一つ目の「コミュニケーションへの見方や考え方 を変容させる」についてです。みなさんの学校でもそうかもしれませんが、外国の方々と コミュニケーションを図る機会を設定しても、「英語の言葉をたくさん知らないので、私に は無理。話せません」と考える子どもが学校には大変多いのです。つまり、語彙や表現に 依存している子どもがとても多いのです。このような子どもの見方や考え方を、「外来語や 自分が知っている英語を工夫して使えば、結構通じるんだね」という見方や考え方に変容 させるのです。つまり、語彙や表現よりも、「コミュニケーション」を成立させることに着 目させたいのです。そのために、子どもがもっている力を補足する方法を指導し、会話が 通じる経験を体験させることを中心とした取り組みを行ってきました。

もう一つの「異なる文化をもつ人々と、交流する楽しさに気付かせる」についてです。

中学校の英語担当の先生方からは、英語は中学一年生くらいまでは好きな教科に入るけれ ど、その後は次第に嫌いな教科になっていきやすいという話をよく聞きます。いくつか理 由があると思うのですが、その理由の一つとして、中学校ではテストや受験を目指した学 習になりがちで,何のために英語を学習するのかという目的を見失ってしまうからだと聞 いたことがあります。そのため、私は小学校では、異なる文化をもつ人々とのコミュニケ ーション活動を中心に単元を構成し、「そんな文化があるなんて初めて知った」とか「外国 出身の~さんと親しくなれた」という、英語を学習する目的、つまりは交流する楽しさを 実感させることを最優先で目指してきました。このような子どもは、外国語を学ぶ目的や 大切さに気付き、中学校に進学してもそれらを持続できるのではないかと思っています。

このような指導を一年間も続けてくると、友達と協力しながら、知っている言葉を使っ て、あの手この手で外国出身の方々と楽しみながら伝える子どもが、ちらほらと成果とし て見られるようになってきました。

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