10 Schwarz の鏡像の原理 (Schwarz reflection principle)
D.1 閉曲線の回転数とその性質
(a) F 6=∅.
(b) (∀x, y ∈ F) (∃z ∈ F) z ≤x ∧ z ≤y.
(c) (∀x∈ F) (∀y ∈X) x≤y ⇒ y∈ F.
フィルターの例として、位相空間 X,a∈X に対して、aの近傍系 U(a)があげられる。実際、
(a) U(a) は順序集合 (2X;⊂) の部分集合の族であり、X ∈ U(a) であるから、U(a) 6= ∅. (b) U, V ∈ U(a) とするとき、W :=U∩V とすると、W ∈ U(a), W ⊂U,W ⊂V. (c) U ∈ U(a), V ⊂X, U ⊂V ならばV ∈ U(a).
D ホモロジー形の Cauchy の積分定理
「複素関数」講義ノートの付録「回転数を使ったCauchyの積分定理、積分公式、留数定理」
にマージする予定。
証明 (以下では、C が C1 級の場合の証明を書くが、区分的に C1 級の場合の証明もマイ ナーチェンジである。よくある話。)
z=r(t)eiθ(t) より dz =r′(t)eiθ(t)+iθ′(t)r(t)eiθ(t)dt で 1
2πi Z
C
dz
z−a = 1 2πi
Z β α
r′(t)eiθ(t)+iθ′(t)r(t)riθ(t)
r(t)eiθ(t) dt = 1 2πi
Z β α
r′(t)
r(t) +iθ′(t)
dt
= 1 2πi
[log|r(t)|]βα+i[θ(t)]βα
= θ(β)−θ(α)
2π =n(C, a).
考える曲線を区分的C1 級に限って、この積分表示 (D.3)を回転数の定義としてあるテキス トも多い。
(D.1), (D.2) から、直観的には、
回転数 n(C, a) は、C が a のまわりを何回(反時計回りに)回るかを表している。
シンプルな曲線では直観と一致することが確かめられる。(具体例を並べた方が良いかな?)
命題 D.2 (閉曲線の回転数の基本的な性質) (1) n(C, a)∈Z. (2) C:z =a+reiθ (θ ∈[0,2π])のときn(C, a) = 1.
(3) n(−C, a) =−n(C, a).
(4) C∗ ⊂D,a 6∈Dとなる星形領域 D が存在するならば、n(C, a) = 0.
(5) 十分遠くの a に対して n(C, a) = 0. すなわち任意の閉曲線 C に対して、(∃R ∈ R) (∀a∈C: |a|> R)n(C, a) = 0.
(6) b∈C\ {0},c∈C とするとき、φ(z) :=bz+cとおくと、n(φ(C), φ(a)) = n(C, a).
(7) n(C, a) は C\C∗ の各連結成分上で定数である。
証明
(1) より一般の連続閉曲線の場合に示してある。
(2) 良く知られた計算である。dz =ireiθdθ であるから、
n(C, a) = 1 2πi
Z 2π
0
ireiθ
(a+reiθ)−adθ = 1 2π
Z 2π
0
dθ = 1.
(3) 逆向きの曲線に沿う線積分は −1倍になる。
(4) a6∈Dであるから、D3z 7→ 1
z−a ∈Cは正則である。Dは星形領域であり、C は D内 の区分的C1級閉曲線であるから、星形領域に対するCauchy の積分定理によって
n(C, a) = 1 2πi
Z
C
dz
z−a = 1
2πi·0 = 0.
(5) C∗ は C の有界閉集合であるから、十分大きい正数 R を取ると、C∗ ⊂ D(0;R). D :=
D(0;R) とおくと、任意の a ∈ C \D に対して、n(C, a) = 0. 特に |a| > R ならば n(C, a) = 0.
(6) f: C\C∗ → R を f(a) :=n(C, a) で定めると、連続である。整数値しか取らないことか ら、C\C∗ の連結成分で定数である。
例 D.3 c∈C,r >0, C: z =c+reiθ (θ ∈[0,2π]) とするとき、
n(C, a) = (
1 (a∈D(c;R)) 0 (a6∈C\D(c;R)).
色々な証明があるが、事前に C\C∗ の各連結成分上で定数と分かっていると簡単である。
定義 D.4 (0にホモロジー同値) Ω を C の開集合、Ω を D 内の区分的 C1 級閉曲線と する。
(∀a6∈Ω) n(C, a) = 0
が成り立つとき、C は Ω 内で (に関して) 0 にホモロジー同値 (homologous to zero) ある いはC は Ω内でホモローグ0という。
n(C, a)6= 0 が成り立つことを「C は a のまわりを回る」ということにすると、
C が D 内で0にホモロジー同値とは、C が D の補集合の点のまわりを回らないこと、
あるいは
C が D 内で0にホモロジー同値とは、「C が回っている点は必ず D に属する と言える。
ともすると、n(C, a) 6= 0が成り立つことを「Cはaを囲む」とも言いたくなるが、「囲む」
という言葉は安易に定義しない方が良さそうである(後の定義D.10 を見よ)。
定義 D.5 ((1次元) チェイン, サイクル, サイクルの回転数)
(1) C内の有限個の区分的C1級曲線の形式和 C =C1+· · ·+Cn を C 内の 1次元チェイ ンと呼ぶ。
(2) C 内の有限個の区分的 C1 級閉曲線の形式和C =C1+· · ·+Cn を C 内の 1 次元サ イクルと呼ぶ。その像C∗ =C1∗∪ · · · ∪Cn∗ に属さない a ∈Cに対して、
n(C, a) :=
Xn j=1
n(Cj, a) を a に関する C の回転数(指数)と呼ぶ。
本当はここをもっとていねいにやらないといけないのだが(今のままだと、2つのチェイン が等しいかどうかもまともに定義できていない)、Ahlfors [11]でも言い訳を書いてサボってあ るし、後日きちんと書いてある本を読んでからにする。
Ahlforsはホモトピーを一切使わないので、線積分を考えるとき、曲線は区分的にC1 級と
仮定しているようだ。
C=C1+ (−C1) の像はC1∗ なのか、それとも C ∼0なのだから、1点とか、空集合とか考 えるのか??
ここらへんで図による例を沢山見せるのかな。