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7.2 データ展開の評価

7.2.4 評価結果

データ転送待ち時間

通常のデータ展開の場合を図7.3に,キャッシュノードを利用したデータ展開の場合を 図7.4に示す.

図7.3と図7.4において,x軸は経過時間(分),y軸はデータ転送までの待ち時間(分)

となっている.

図7.3より,通常のデータ展開の場合,最初にオリジネータノードにアクセスした,2 ノード(同時ダウンロード数)は待ち時間なくデータ転送を開始できている.しかし,3 番目以降にアクセスしたノードに関しては,少なからずデータの待ち時間が発生してお り,全部で67個のノードに対して,最大で62分の待ち時間が生じる結果となった.最初 の方にアクセスしたノードの待ち時間が多いのは,P2P システム上での同時ダウンロー ド数がごく限られているためであり,あとの方にアクセスした場合には,同時ダウンロー

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7.3 通常のデータ展開の場合の待ち時間

ド数が増加するため,全体として待ち時間が低下する.そして,一度ボトルネックが解消 されると,P2Pシステムの負荷分散が有効に働くため,ノード数が増加してもボトルネッ クは発生しない.

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7.4 キャッシュノードを利用したデータ展開の場合の待ち時間

図7.4より,キャッシュノードを利用したデータ展開の場合,キャッシュノードを作成 するために,最初の方に起動したノードはデータ転送を待たされることになる.しかし,

データ転送を待たされるのは,最初の方にアクセスした28ノードであり,待ち時間に関 しても最大で29分となるため,通常のデータ展開の場合と比べて,待ち時間を短縮する ことが可能となっている.

データ展開

実際にデータ展開がどのように行われているかを考察するために,データ転送完了時間 から,ノード数を算出した.通常のデータ展開の場合を図7.5に,キャッシュノードを利 用したデータ展開の場合を図7.4に示す.

図7.5と図7.6において,x軸は経過時間(分),y軸はノード数となっている.

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7.5 通常のデータ展開

図7.5より,通常のデータ展開の場合,データ転送を完了したノードは,オリジネータ ノード以外に存在しない状態が長く続き,ボトルネックが発生している様子がわかる.特 にボトルネックは,オリジネータノード以外にキャッシュノードが出来た場合にも,すぐ には解消されず,データ転送開始から1時間を経過して,キャッシュノードがある程度確 保され,P2Pシステムの負荷分散が働くことで解消に向かっている.そのため,最初にオ リジネータノードにアクセスした,2ノード以外は,7.2.4節で述べたように大幅に待たさ れることになる.

図7.6より,キャッシュノードを利用したデータ展開の場合,キャッシュノードを作成 している間はすべてのノードのデータ転送要求を処理できないが,一度キャッシュノー

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7.6 キャッシュノードを利用したデータ展開

ドが作成されると,ボトルネックを発生させることなくデータ展開が可能となっている.

特に,最初に多くキャッシュノードを作成したことで,(データ公開までの時間は多くか かっているが,)すべてのノードのデータ転送を行っても,データ展開は問題なく行えて いる様子がわかる.

また,データ転送を完了するまでの時間という意味でも,キャッシュノードを利用し たデータ展開は通常のデータ展開に比べて優位な点がある.図からは読み取りにくいが,

データの取得処理を開始した時間からデータ転送を完了するまでの時間を比べると,表 7.2のようになっている.

7.2 データ転送完了時間の比較

通常のデータ展開 キャッシュノードを利用したデータ展開

1 0:27:00 0:43:00

2 0:30:00 0:43:00

3 0:55:00 0:43:00

4 0:57:00 0:43:00

5 0:57:00 0:43:00

したがって,最初に接続した 2つのノードは,通常のデータ展開の方が,キャッシュ ノードを利用したデータ展開よりも早くデータ転送を完了しているが,3番目以降にデー

タの取得処理を開始したノードは,キャッシュノードを利用したデータ展開の方が速く データ転送を完了している.そのため,キャッシュノードを利用したデータ展開を行った 場合には,P2Pシステム全体として高速なデータ展開が可能となっていることがわかる.

キャッシュヒット

キャッシュノードを利用したデータ展開の場合には,事前にデータを転送するため,将 来データをするノードを選ばなければ,資源の無駄遣いにつながる可能性がある.そのた め,本評価では,キャッシュノードを利用したデータ展開において,要求したデータが既 にダウンロード済みであった場合(キャッシュヒット数)について計測を行った.キャッ シュヒット数を表7.3に示す.

7.3 キャッシュヒット

キャッシュ数 81 キャッシュヒット数 80 キャッシュヒット率 100%

表7.3において,キャッシュ数が81となっているのは,オリジネータノードのデータ をカウントしているためである.キャッシュヒットが起こった場合のデータ例を表7.4に 示す.

7.4 キャッシュヒット時のデータ例

ノード起動時間 データ転送待ち時間 データ転送開始時間 データ転送完了時間

4:23 0 14 4:37

4:24 0 0 0:00

表7.4において,キャッシュヒットが起こった場合には,データ転送開始時間とデータ 転送完了時間がそれぞれ0になっているのがわかる.

したがって,本研究で提案したタグを用いたキャッシュノードの選択手法は適切に動作 しており,資源を無駄にすることなく高速なデータ展開を可能にしている.

7.3 まとめ

本章では,4章で述べた,データ展開におけるキャッシュノードの動的な選択手法につ いて,シミュレーションを用いて評価を行った.

KademliaとG-Kadを比較したシミュレーションでは,2つの評価を行った.メッセー

ジ反復回数では,Kademliaに比べ,G-Kadの方が多くメッセージをやりとりしている

が,一方で,GET成功数はG-Kadの方がKademliaよりも性能が良いことがわかった.

これは,G-Kadの複製値が動的に決定されるためで,このような性質により,G-Kadで

はKademliaに比べて効率的に資源配分ができるということがわかった.したがって,

G-Kadの性能を定量的に評価することができた.

通常のデータ展開とキャッシュノードを利用したデータ展開を比較したシミュレーショ ンでは,2つの評価を行った.データ転送待ち時間では,通常のデータ展開でもキャッ シュノードを利用したデータ展開でも発生することが確認できたが,通常のデータ展開と 比べて,キャッシュノードを利用したデータ展開の方が短く,影響するノード数も少ない ことがわかった.また,データ展開のノード数の推移より,キャッシュノードを利用した データ展開の方が通常のデータ展開と比べて,高速にデータを展開できることが確認で きた.特に,通常のデータ展開と比べて,データ転送の開始時間が遅い場合にも,キャッ シュノードを利用したデータ展開の方がデータ転送完了時間が早いことから,データを展 開するときに,その効果が発揮されていることがわかった.したがって,本論文の目的で ある,データ展開の高速化を定量的に評価することができた.

第 8

関連研究

本章では,構造化P2Pオーバーレイネットワークにおいて,グループ化を行っている 研究について紹介を行い,その特徴について述べる.

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