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Figure 13のInSARデータに対して, 第2章で用いたcalibration法 (Method 1) による補正を 行ったが有効な補正はなされず, Figure 13の円内にあるシグナルはわずかにその振幅を小さく するだけであった. ここではうまく補正がなされなかった要因について考察する.

局在化したシグナルは空間スケールが約8km×8km程度である. 気象モデルの計算は水平分 解能1kmで計算を行っているので, この分解能でなら8km程度のスケールの現象は再現可能で あろう. しかし本研究での計算ではシグナルの再現は全くと言っていいほど出来ていない. こ れは初期値の空間分解能に原因がありそうである. 初期値に用いた MSMデータは地表面デー タが水平分解能5km, 上空の気圧面データが水平分解能 10kmとなっている (Figure 28). つま り初期値の空間分解能では8kmの空間スケールを持つ現象は再現できないことが分かる. また, MSM データから可降水量 (PWV) を求め, その空間分布を InSAR 画像に重ねて比較した

(Figure 29). ここで, MSMデータは3時間間隔でデータが作られているので, 2008年9月2日の

SARデータ取得時 (13:30UT)に合わせ直近の12UTと15UTのMSMデータから内挿してPWV の値を求めている. Figure 29を見ると, 南東側のPWVの等値線が平行で密になっている, つま り大きな勾配が見られる領域では InSAR においてもほぼ同じ方向に位相変化の勾配が見られ る. また, シグナルはPWVの比較的大きな領域の中に含まれていることからMSMデータには 集中豪雤による水蒸気の分布を大まかには再現しているようである. しかしInSARのシグナル の南西側約30kmの所にPWVの極値にあたる領域があり, また4.1節で計算したように局地的 シグナルのPWVは周囲に比べて約13mm大きいが, MSMのPWVにはそのような値を示す部 分はどこにも見受けられない. これらのことから MSM には局所的豪雤を特徴づけるような値 は含まれていない. したがって MSM を初期値とした気象モデルの計算では本事例における

InSAR での局所化したシグナルを再現するのは厳しいと言える. 局所的シグナルの再現には

MSMデータにGPSから得られる天頂遅延データを組み合わせるなどの工夫が必要であろう.

Fig 28. Magnified InSAR image and location of MSM grid point (10km spacing).

Fig 29. InSAR image (same as Figure 13) and PWV contour map derived from MSM.

[mm]

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