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有限要素解の誤差評価 .1 方針

ドキュメント内 応用数値解析特論第 13 (ページ 56-73)

12.4 有限要素解の誤差評価 12.4.1 方針

簡単のため、ここでは2次元の Poisson 方程式の同次Dirichlet 境界値 問題を扱うことにする。関数空間とノルムは

V :=H01(Ω), ∥u∥V :=∥∇u∥= Z Z

ux2+uy2 dx dy

1/2 .

基礎となるのは証明済みの次の事実である。

誤差最小の原理

uh を有限要素解とするとき、

∥u−uhV = min

vVh

∥u−v∥V .

(菊地先生の本では、∥ · ∥V||| · |||,uhubと書いた。)

∥u−v∥V がある程度具体的に計算できて小さいことを示せるような v ∈Vh を見出せれば ∥u−uh∥ ≤ ∥u−v∥ という評価が得られる。

v として、ここではいわゆる補間多項式 uh= Πhu を利用する。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 https://m-katsurada.sakura.ne.jp/ana/応用数値解析特論 第13回 〜有限要素法の理論的背景〜 24 / 38

12.4 有限要素解の誤差評価 12.4.1 方針

簡単のため、ここでは2次元の Poisson 方程式の同次Dirichlet 境界値 問題を扱うことにする。関数空間とノルムは

V :=H01(Ω), ∥u∥V :=∥∇u∥= Z Z

ux2+uy2 dx dy

1/2 .

基礎となるのは証明済みの次の事実である。

誤差最小の原理

uh を有限要素解とするとき、

∥u−uhV = min

vVh

∥u−v∥V .

(菊地先生の本では、∥ · ∥V||| · |||,uhubと書いた。)

∥u−v∥V がある程度具体的に計算できて小さいことを示せるような v ∈Vh を見出せれば∥u−uh∥ ≤ ∥u−v∥ という評価が得られる。

v として、ここではいわゆる補間多項式 uh= Πhu を利用する。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 https://m-katsurada.sakura.ne.jp/ana/応用数値解析特論 第13回 〜有限要素法の理論的背景〜 24 / 38

12.4.2 1 次元の場合の誤差評価

節点の全体を {Pi}mi=1 として、区分1次多項式φiφi(Pj) =δij を満 たすものをとると、φ1,. . .,φm は区分1次多項式全体のなす線形空間の 基底になる。

v ∈H1(I) に対して、Πhv を次式で定める。

e

vh(x) = Πhv(x) :=

Xm i=1

v(xi)φi(x).

Πhv v Lagrange 補間線形補間と呼ばれる。

補題 13.7

∀v ∈H2(I) に対して、

∥v−evh∥ ≤ 2

3h2v′′, v−veh 2

3hv′′. 証明は例えば、齊藤[9]pp. 10–13に載っている。

かつらだ 桂 田

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祐 史 https://m-katsurada.sakura.ne.jp/ana/応用数値解析特論 第13回 〜有限要素法の理論的背景〜 25 / 38

12.4.2 1 次元の場合の誤差評価

節点の全体を {Pi}mi=1 として、区分1次多項式φiφi(Pj) =δij を満 たすものをとると、φ1,. . .,φm は区分1次多項式全体のなす線形空間の 基底になる。

v ∈H1(I) に対して、Πhv を次式で定める。

e

vh(x) = Πhv(x) :=

Xm i=1

v(xi)φi(x).

Πhv v Lagrange 補間線形補間と呼ばれる。

補題 13.7

∀v ∈H2(I) に対して、

∥v−evh∥ ≤ 2

3h2v′′, v−veh 2

3hv′′. 証明は例えば、齊藤[9]pp. 10–13に載っている。

かつらだ 桂 田

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12.4.2 1 次元の場合の誤差評価

定理 13.8 (有限要素解の誤差評価(1次元の場合))

∀f ∈L2(I) に対して、!uh∈Vh s.t. uh は弱解、∥uhV ≤ ∥f∥. さらに

∥u−uhV ≤Ch∥u′′,∥u−uh∥ ≤Ch2∥u′′.

証明

補題の二つ目の不等式から

∥u−uhV =u−uh 2

3hu′′.

後半は、Aubin-Nitscheのトリック (別名 duality argument)を用いる。

eh:=u−uh とおき、

(5) (w,v)V = (eh,v) (v ∈V)

を満たす w ∈V を求める(この問題を共役な問題と呼ぶ)

かつらだ 桂 田

まさし

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12.4.2 1 次元の場合の誤差評価

証明 (続き)

w ∈H2(I) かつ w′′=−eh である。

さらにuh u Vh 射影であるから、eh=u−uh Πhw ∈Vhとは 直交しているa。すなわち(eh,Πhw)V = 0 が成り立つ。

ゆえに(5) にv =eh を代入して

∥eh2 = (eh,eh) = (w,eh)V = (w Πhw,eh)V ≤ ∥w Πhw∥V ∥ehV

2

3hw′′· 2

3hu′′= 4

3h2∥eh∥u′′. 両辺を ∥eh で割って

∥eh∥ ≤ 4

3h2u′′.

a(uh,vh)V = (f,vh) = (u,vh) (vhVhより、(uuh,vh)V = 0. uuhehと書き 換えて、vhとしてΠhw をとって、(eh,Πhw)V = 0.)

かつらだ 桂 田

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12.4.3 2 次元の場合の誤差評価

Ωは多角形領域(R2),区分1次多項式によるW =H1(Ω),V =H01(Ω) の近似空間Wh,Vh を導入する。

次の3条件が成り立つようにΩを(閉)三角形T の集合T に分割する。

(1) S

T∈T T = Ω

(2) 任意の異なる二つの三角形は内部を共有しない。

(3) 任意の三角形の任意の頂点は、他の三角形の頂点としているか、単 独で Ωの角をなすかのどちらかである(ある三角形の辺上に別の三 角形の頂点があることはない)

1:重なり,すき間,頂点が他の要素の辺上にある、なんてのはダメ

かつらだ 桂 田

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12.4.3 2 次元の場合の誤差評価

T ∈T の直径 (= sup

x,yT

|x−y|=T の外接円の直径) の最大値をh おく:

h:= max

T∈T hT.

三角形分割 T を、このh を明示する意味で、Th と書くことが多い。

H2(Ω)のセミノルム |u|2,T を次式で定義する:

|u|2,T :=

Z Z

T

|uxx|2+ 2|uxy|2+|uyy|2 dx dy

1/2

.

かつらだ 桂 田

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12.4.3 2 次元の場合の誤差評価

1次多項式でT の各頂点で u と値が一致するものを Πu と書く。

補題 13.9 (局所補間誤差)

T を閉三角形、u ∈H2(T) とするとき、

Πu−u∥L2(T)≤C1h2T|u|2,T,

∥∇u−u)L2(T) ≤C1

1

sin2θThT|u|2,T. ただし θT :=T の最小内角. C1T u に無関係な正定数。

証明は、やはり齊藤[9]を見よ。

この補題はずいぶん細かいことをやっているようだが、実は理由があ る。分割の族を扱うと、無限に多くの三角形が対象になるので、一般に は、いくらでも小さいθT が出て来るような分割の族がありうる。そうな るとまともな誤差評価が得られないだろうことは容易に想像出来る。そこ で次のような仮定をおくことにする。

かつらだ 桂 田

まさし

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12.4.3 2 次元の場合の誤差評価

定義 13.10 (三角形分割の族の正則性, Zl´amalの最小角条件) 三角形分割の族{Th}h>0 正則 (regular) とは、

(6) (∃θ1>0) inf

Th

min

T∈Th

θT ≥θ1.

この条件を Zl´amalの最小角条件と呼ぶ。

同値な条件に

(7) (∃ν1 >0)(∀Th∈ {Th})(∀T ∈Th) hT ρT ≤ν1. がある。ただし

ρT :=T の内接円の直径. (条件 (7)は、3次元の場合にも通用する。)

かつらだ 桂 田

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12.4.3 2 次元の場合の誤差評価

定理 13.11 (大域的補間誤差)

{Th}h>0 が正則な三角形分割族とするとき、

Πhuu∥ ≤C1h2|u|2, (uH2(Ω)),

∥∇huu)∥ ≤ C1

sin2θ1

h|u|2, (uH2(Ω)).

ここでC1は補題13.9中に現れる正定数である。

証明は、やはり齊藤[9]を見よ。

かつらだ 桂 田

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12.4.3 2 次元の場合の誤差評価

定理 13.12 (H1 誤差評価)

は凸多角形領域、{Th}h>0の正則な三角形分割の族とする。uV を 弱解、Thの連続な区分1次多項式で境界で0になるもの全体をVh,uhVh を 有限要素解とするとき、

uuhV Ch|u|H2(Ω). ただしC =C(θ1,Ω)>0.

証明.

誤差最小の原理から、∀vhVhに対して、

uuhV ≤ ∥uvhV. vhとしてΠhuを代入すると、

uuhV ≤ ∥uΠhuV C(θ1,Ω)h|u|2,. ゆえに uuhV C(θ1,Ω)h|u|2,.

かつらだ 桂 田

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12.4.3 2 次元の場合の誤差評価

定理 13.13 (L2誤差評価)

定理13.12と同じ仮定のもとで

∥u−uh∥ ≤Ch2|u|H2(Ω).

証明.

定理 13.8の後半の証明と同様にAubin-Nitsche のトリックを用い る。

かつらだ 桂 田

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12.4.4 まとめ

H1誤差評価については

1次元の証明は、誤差最小の原理+補間関数の局所的な誤差

2次元の証明は、誤差最小の原理+補間関数の局所的な誤差+分割の 正則性から導かれる大域的な誤差評価

L2 誤差評価は、H1 誤差評価よりも h の冪が1高い評価が得られる (Aubin-Nitcsheのトリックによる)

かつらだ 桂 田

まさし

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参考文献 I

[1] 菊地文雄:有限要素法の数理,培風館 (1994),有限要素法の解析に関 する貴重な和書です。版元在庫切れ状態です。 読みたい学生は相談 して下さい。

[2] 田端正久:偏微分方程式の数値解法,岩波書店 (2010),もともとは岩 波講座応用数学の「微分方程式の数値解法 II」(1994)であった。

[3] Brenner, S. C. and Scott, L. R.: The Mathematical Theory of Finite Element Methods, 3rd edition, Springer (2008).

[4] Brezis, H.: 関数解析,産業図書 (1988), (藤田 宏,小西 芳雄 訳),原著 は版を改めて、より内容豊富になっています。

[5] Evans, L. C.: Partial Differential Equations, Graduate Studies in Mathematics, AMS (2010),偏微分方程式の定番本.

[6] 菊地文雄:有限要素法概説,サイエンス社 (1980), 新訂版1999.

かつらだ 桂 田

まさし

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参考文献 II

[7] Dauge, M.: Elliptic Boundary Value Problems on Corner Domains:

Smoothness and Asymptotics of Solutions, Lecture Notes in

Mathematics book series (LNM, volume 1341), Springer (2009), 明治 大学は電子版を購入してあります。

https://link.springer.com/book/10.1007/BFb0086682 でアク セス可能.

[8] Grisvard, P.: Elliptic Problems in Nonsmooth Domains, Pitman, Boston (1985), SIAMから 2011年に再販されています.

[9] 齊藤宣一:有限要素法と非線形楕円型方程式の解の可視化, Ver. 2, は公開していないようなので僕の学生で読みたい人は相談 (2009, 2010).

かつらだ 桂 田

まさし

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ドキュメント内 応用数値解析特論第 13 (ページ 56-73)

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