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同値関係と部分群

ドキュメント内 代数系への入門 モノイド・群・環 (ページ 63-66)

第 2 章 マグマ、半群、モノイド、群 30

2.4 群

2.4.8 同値関係と部分群

Gの部分集合がHが与えられたとき、次のような二項関係の定義をする。(この定義は 逆元を用いており、Gが群であることを利用していることを注意しておく。)

定義2.4.35. (G,◦, e)を群とし、H ⊂GG(の台集合)の部分集合とする。このとき、G(の 台集合)の上の二項関係LH

∀a, b∈G a∼LH b⇔a1◦b∈H で定義する。Lは左(left)のLである。

同様に、

∀a, b∈G a∼RH b⇔a◦b1∈HRHを定義する。

2.4.36. H ={e}のとき、

a∼LHb⇔a1◦b∈ {e} ⇔a1◦b=e⇔b=a.

よってこのときはLHは等号と一致する。

次の定理は、LH が同値関係であるということと、H が部分群であるということが同値で あることを主張する。

定理 2.4.37. (G,◦, e)を群とし、Hをその部分集合とする。LHが同値関係である必要十分 条件は、Hが部分群であることである。

証明. LHを単にであらわす。

• ∼が[E2]を満たすことと、Hが[S2]を満たすことが同値であること:

∀a a∼a⇔a1◦a∈H ⇔e∈H.

• ∼が[E3]を満たすこととHが[S3]を満たすことの同値性:

[E3]を満たせば

e∼a⇔a∼e.

これをHの言葉でかけば

e1◦a∈H ⇔a1◦e∈H.

e=e1よりa∈H ⇒a1∈H、従ってHは[S3]を満たす。

逆にHが[S3]を満たすならば、

a∼b⇒a1◦b∈H [S3]

(a1◦b)1∈H ここで問題2.19を使うと

(a1◦b)1=b1(a1)1=b1◦a.

これがHに入るのだからb∼a。すなわち[E3]が言えた。

• ∼に[E3]を仮定(または、同値であるHに[S3]を仮定)した上での、が[E1]を満た すこととHが[S1]を満たすことの同値性:

が[E3]を満たすと仮定し、さらに[E1]を満たすとする。a, b∈Hとすると[S3]より a1∈Hよってe∼a1。またe∼b。[E3][E1]を使ってa1∼b。よって(a1)1◦b∈H、 すなわちa◦b∈Hで[S1]を満たす。

逆にHが[S3][S1]を満たすとする。実は[S1]だけから[E1]が次のように従う。

a∼b, b∼c⇒a1◦b, b1◦c∈H [S1]

(a1◦b)(b1◦c)∈H ⇒a1◦c∈H ⇒a∼c.

注意2.4.38. 同様に、RHが同値関係となる必要十分条件も、H < Gとなることである。

定義 2.4.39. Gを群とし、H < Gをその部分群とする。定理2.4.37により、LHG上の 同値関係である。この同値関係をHを法とする左合同関係という。

2.4. 群 65

G(の台集合)をこの同値関係で割って得られる商集合を

G/H:=G/∼LH

であらわし、その一つ一つの元をGHによる左剰余類という。G/Hを「Gを右からHの 作用で割って得られる商」、または「GH による左剰余類集合」という。

同様にRHHを法とする右合同関係といい、Gのそれによる商集合を H\G:=G/∼RH

であらわし、GH による右剰余類集合、あるいはGを左からHの作用で割って得られる 集合という。

上の定義の状況で、LHに関してa∈Gの属する同値類[a]は

[a] ={g∈G|a∼LH g}={g∈G|a1◦g∈H}={g∈G|g∈a◦H}=a◦H である。ここで、a◦Hは次に定義する集合である。

定義2.4.40. (G,◦)をマグマとする。S⊂G,a∈Gのとき a◦S :={a◦s|s∈S} と定義する。同様にb∈Gに対し

S◦b:={s◦b|s∈S} である。Gが半群のときは

a◦S◦b:={a◦s◦b|s∈S} と定義する。結合律によりa◦s◦bと書いてもまぎれがない。

またマグマの場合にもどって、S, T ⊂Gのとき

S◦T :={s◦t|s∈S, t∈T} と定義する。

混乱の恐れの少ない場合、はしばしば省略される。すなわち、a◦bの代わりにab,a◦H◦b の代わりにaHb,S◦T の代わりにST と書かれる。

上の記法を用いれば、次を示したことになる。

命題2.4.41. Gを群、Hをその部分群とする。a∈Gの属するLHに関する同値類、すなわ ちaの属する左剰余類はaHである。

a∈Gの属するRHに関する同値類、すなわち右剰余類はHaである。

(特に、どちらの場合でも単位元eの属する同値類は[e] =Hである。)

この命題に定理1.3.11を適用すると次を得る。

2.4.42. Gを群、H をその部分群とする。任意のa, b∈Gに対し、

aH =bH またはaH∩bH= のどちらか一つだけが成立する。GaHの形の集合に分割される:

G= ⨿

aHG/H

aH

注意2.4.43.

G= ⨿

aHG/H

aH

の式は少々わかりにくい。G/Hの一つ一つの元は実はaHという形の集合である。aH=aH となるようなa, aもあるかも知れないが、そういうものは同じと思って、G/Hの一つ一つの 元aH を並べると、Gをきれいに交わりなく分割しているということである。

上は左剰余類の場合であるが、右剰余類でも同じことが言える。

問題2.22.

a∼LH b⇔b∈a◦H を示せ。

問題2.23. (Z,+,0)を整数のなす加法群とし、mを自然数とする。H :=mZ:={mx|x∈Z}

mの倍数の集合とする。(この記法は定義2.4.40で=×の場合を用いている。)

1. Hは部分群であることを示せ。

2. LHは、mmを法とする合同関係(定義1.3.24)と一致することを示せ。

3.

Z= ⨿

a=0,1,...,m1

(a+mZ)

を示せ。(この記法は定義2.4.40で= +の場合を用いている。)

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