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作用

ドキュメント内 PDF 代数系への入門 - 広島大学 (ページ 82-85)

第 3 章 群 77

3.4 作用

集合Sの集合Xへの作用とは

f :S×X →X

の形の写像のことであった。定理1.1.22によれば、これを与えることと ρ:S→Map(X, X)

を与えることとは同値である。s∈Sに対しρ(s) :X →Xであるからρ(s)(x)∈X。これを s·x:=ρ(s)(x)

と表記することが多い。

3.4.1.

Xを集合、SXX上の対称群とする。

SX×X →X, (σ, x)7→σ(x) を与える。

Kを体とする。行列環と縦ベクトルの掛け算は、

GLn(K)×Kn →Kn, (A,x)7→Ax を与える。

定義3.4.2. 集合S, XSX への作用

ρ:S→Map(X, X) が与えられているとする。

1. Sがマグマ(S,◦S)であるとき、ρが「マグマとしてのSXへの作用」であるとはρ

(S,◦S)(Map(X, X),◦)

なるマグマ準同型であることである。さらにSが半群であるとき「SX への半群作 用」という。

2. Sがモノイド(S,◦S, eS)とする。ρ

(S,◦S, eS)(Map(X, X),◦,idX)

なるモノイド準同型であるとき、「SXへのモノイド作用」という。

3. Sが群(S,◦S, eS)とする。ρ

(S,◦S, eS)(Map(X, X)×,◦,idX) なる群準同型であるとき、「SXへの群作用」という。

3.4. 作用 83

問題3.6. 定義3.4.2と同じ設定とする。以下を確かめよ。

1. Sがマグマ(あるいは半群)であるとき、ρがマグマとしての作用(あるいは半群作用)

である必要十分条件は

AB ∀s1, s2∈S,∀x∈X, ρ(s1)(ρ(s2)(x)) =ρ(s1Ss2)(x) をみたすことである。言い換えると、

s1·(s2·x) = (s1Ss2)·x となることである。

2. Sがモノイドであるとき、ρがモノイド作用となる必要十分条件は、上のABに加えて AC ρ(eS) = idX

を満たすことである。言い換えると

∀x∈X, eS·x=x を満たすことである。

3. Sが群であるとき、ρが群作用であるとは上に加えて AD ρ(s1) =ρ(s)1

が成立することである。

しかし、命題2.4.20により、Sが群であるときにはABACからADは従うことが わかる。

Xに代数構造が入っていると、自己準同型(endomorphism)モノイドEnd(X)が定義でき る。例えばXが加法群であればEnd(X)はXからXへの準同型の集合であり、Xが体K上 の線形空間であればEnd(X)はXからX自身への線形写像の全体である。End(X)は合成 と単位元idXによりモノイドとなる。End(X)の可逆元の集合End(X)×は命題2.4.9により 群となる。この群をAut(X)といい、Xの自己同型群(automorphism group)という。

3.4.3. Kを体とする。Xn次元縦ベクトル空間Knとするとき、EndK(X)はKnからそ れ自身へのK線形写像の全体である。n次正方行列の集合をMn(K)であらわす。A∈Mn(K) に対し、AXの元に左から掛ける写像を

LA:X →X, x7→Ax と表すと、

ρ:Mn(K)EndK(X), A7→LA なる作用が定まる。

ρが一対一写像であることは、線形代数でよく知られた事実である。

Mn(K)は環である。EndK(X)も環であり、ρは同型となっている(後述???)。

AutK(X) := (EndK(X))× は加逆な自己準同型写像の全体であり、GLn(K)と同型になっ ている。

定義 3.4.4. Xを加法群とし、Sをマグマ(半群、モノイド) とする。マグマ(半群、モノイ ド)準同型

ρ:S→End(X)

Sの加法群Xへのマグマ(半群、モノイド)作用という。Sが群であるときは、モノイド準 同型

ρ:S→End(X)

Sの加法群Xへの群作用(group action)という。このとき、XS-加群(S-module)とい う。ρSX における表現という。

ρの像はAut(X)に入る(例えば命題2.4.20をf =ρに対して使えばよい)ので、群準同型

ρ:S Aut(X) をSXへの群作用という、といっても良い。

上の定義で、Xは加法群としたが、線形空間としても同様の定義がなされる。あるいはモ ノイド、群としてもよい。

3.4.5. (S,·)をマグマとする。a, b∈Sに対してLa(b) :=a·bとおくとLa Map(S, S)。

こうして与えられる

ρ:S→Map(S, S), a7→LaSの左正則作用(left regular action)という。

ρが(S,·)(Map(S, S),◦)なるマグマ準同型であるという条件を記述すると La·b =La◦Lb

すなわち

La·b(c) =La◦Lb(c) であるが、これは

(a·b)·c=(b·c)

と書き直せる。すなわち、(S,·)が半群であることとSの左正則作用がマグマ作用であること とは同値である。

3.4.6. (M,+,0)を加法群とする。f, g∈End(M)に対してf+End(M)g∈End(M)を (f+End(M)g)(x) :=f(x) +M g(x)

で定義すると、加法群になる。

一方、合成により(End(M),◦,idM)はモノイドである。

f◦(g+h) =f◦g+f◦h, (f+g)◦h=f◦h+g◦h が証明できるので、End(M)は環となる。

MK線形空間であるときも同様のことが言える。特にEndK(Kn)は環である。EndK(Kn) とMn(K)の間には自然な一対一対応があり、これが行列の集合が環となる理由である。

3.5. 軌道 85

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