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代表的な領域の等角写像

ドキュメント内 続 複素関数 (ページ 79-86)

5 1 次分数変換

6.3 代表的な領域の等角写像

一方 F1(D1) =D1 であるから、やはり Schwarz の補題が適用できて、

F1(w)≤ |w| (w∈D1).

これは

|z| ≤ |F(z)| (z ∈D1) を意味する。ゆえに

|F(z)|=|z| (z ∈D1).

再び Schwarzの補題によって、

(∃ε∈C:|ε|= 1)(∀z ∈D1) F(z) =εz.

F =f◦φ1 であるから、

f(z) =F (φ(z)) = ε z−z0

1−z0z.

6.3.2 理論的結果: Jordan領域の等角写像

C内の Jordan閉曲線の囲む有界領域は Jordan 領域と呼ばれる。

C内の Cとは異なる任意の単連結領域 Ωに対して、Ω からD1 への双正則な写像が存在す る(Riemann の写像定理)。

Ωを任意のJordan 領域とするとき、ΩはC とは異なる単連結領域であるから、Ωから D1

への双正則な写像 f が存在する。

さらに、f は Ω からD1 への同相写像に拡張される(Osgood-Carath´eodory の定理)。 z0 Ωを任意に取り、

f(z0) = 0, f(z0)>0

という条件を課すと f は一意的に定まる。この条件を正規化条件と呼ぶ。

6.3.3 単位円盤

D1 からD1 への双正則な写像の一般形は

f(z) =ε z−a 1−az, ただし |a|<1,|ε|= 1.

正規化条件

f(z0) = 0, f(z0)>0 を課すと、

a =z0, ε= 1 と定まる。このとき

f(z) = z−z0 1−z0z.

次の補題からfD1D1 に双正則に移すことが分かる。

補題 6.7 ε, z0 C,|ε|= 1, |z0|<1 とするとき、

f(z) :=ε z−z0

1−z0z (z C\ {1/z0}) とおくと、

|z|<1 ⇔ |f(z)|<1,

|z|= 1 ⇔ |f(z)|= 1,

|z|>1 ⇔ |f(z)|>1.

ゆえにf|D1: D1 →D1 は双正則である。

80

証明

1− |w|2 = 1 |z−z0|2

|1−z0z|2 = |1−z0z|2− |z−z0|2

|1−z0z|2

= (1−z0z) (1−z0z)(z−z0) (z−z0)

|1−z0z|2 = (1−z0z) (1−z0z)(z−z0) (z−z0)

|1−z0z|2

= 1− |z0|2

1− |z|2

|1−z0z|2 .

補題 6.8 1次分数変換 f: Cb Cb がf(D1) =D1 を満たすならば、

(∃ε∈C:|ε|= 1)(∃z0 C:|z0|<1) f(z) = ε z−z0

1−z0z (z ∈D1).

証明 f(D1) = D1 であるから、f(z0) = 0 を満たす z0 ∈D1 が存在する。鏡像の原理によっ て、z0 の鏡像 z0

|z0|2 = 1

z0 の像が となるので、

f(z) = ε z−z0 1−z0z

を満たす ε∈C が存在することが分かる。|z|= 1 とするとき、z = 1

z であるから

|f(z)|=|ε||1−z0/z|

|1−z0z| =|ε||1−z0/z|

|1−z0z| =|ε|. ゆえに |ε|= 1.

この2つの補題から次の命題が得られる。

命題 6.9 1次分数変換 f: Cb Cb がf(D1) =D1 を満たすためには (∃ε C:|ε|= 1)(∃z0 C:|z0|<1) f(z) =ε z−z0

1−z0z (z ∈D1) が必要十分である。

定理 6.10 f: D1 →D1 が双正則であれば

(∃ε∈C:|ε|= 1)(∃z0 C:|z0|<1) f(z) = ε z−z0

1−z0z (z ∈D1).

証明 まず (∃z0 C: |z0|<1)f(z0) = 1.

φ(z) := z−z0 1−z0z, F(z) :=f φ1(z)

とおくとき、F:D1 →D1 は双正則で、F(0) = 0.

|F(z)| ≤1 (z ∈D1) であるから、Schwarz の補題より |F(z)| ≤ |z|.

|F1(w)| ≤1 (w∈F(D1) =D1)であるから、Schwarz の補題より |F1(w)| ≤ |w|. ゆえに F(z)≥ |z|(z ∈D1).

ゆえにSchwarz の補題から (∃ε∈C: |ε|= 1) F(z) = εz (z ∈D1). ゆえに f(z) =F (φ(z)) = ε z−z0

1−z0z. 6.3.4 上半平面

H :={z C|Imz >0} を上半平面と呼ぶ。

1次分数変換

(34) f(z) = z−i

z+iCayley 変換と呼ばれる。

1− |f(z)|2 = 1 z−i z+i ·

z−i z+i

= 1 (z−i)(z−i) (z+i)(z+i)

= (z+i)(¯z−i)(z−i)(¯z+i)

|z+i|2 = zz¯+i¯z−iz−i2(zz¯−i¯z+iz−i2)

|z+i|2

= 2iz−z)

|z+i|2 = 4 Imz

|z+i|2 であるから

Imz >0 ⇔ |f(z)|<1, Imz= 0 ⇔ |f(z)|= 1, Imz <0 ⇔ |f(z)|>1.

これから、

f(H) = D(0; 1),

f(R) = {z C| |z|= 1∧z 6= 1}, f(R∪ {∞}) ={z C| |z|= 1}, f({z C|Imz <0}) = {z C| |z|>1} ∪ {∞}.

f は上半平面 HD(0; 1) の上に写す双正則写像である。つまり、Cayley 変換は上半平面の 写像関数である。特に Cayley 変換は実軸を単位円周に写す。

余談であるが、スペクトル論で、自己共役作用素の“Cayley 変換” が unitary 変換になる、

という命題が重要な役割を果たす。

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6.11 1 0 0 1

!

=I, 0 1 1 0

!

=J と書く.行列 A= a b c d

!

と実数tに対しA(I−tJ) = I+tJ という関係が成り立つとき,a, b, c,dt の式で表せ.

また t が実数全体を動くとき,関係 x y

!

=A 3 4

!

で定まる点 (x, y) が動いてできる図 形を求め,これを図示せよ. (1977年度東京大学入試問題)

上半平面から上半平面への双正則な写像の一般形は f(z) = az+b

cz+d, ad−bc >0.

6.3.5 ちょっと考えたことのメモ

D1 からD1 への双正則写像は

(35) φε,z0(z) =ε z−z0

1−z0z, |ε|= 1, |z0|<1.

この逆写像は同じ形をしているはずであるが、確かに φε,z1

0(w) =ε w−w0

1−w0w, w0 :=−εz0. 実際 ε1 =ε に注意して

w=ε z−z0

1−z0z w−wz0z =εz−εz0 w+εz0 = (ε+z0w)z

z = w+εz0

ε+z0w z=ε w−(−εz0) 1(−εz0)w. H から H への双正則写像は

(36) φa,b,c,d(z) = az+b

cz+d, a, b, c, d∈R, ad−bc >0.

この逆写像も同じ形をしているはずであるが、確かに φa,b,c,d1 (w) = dw−b

−cw+a. ( a b

c d

!1

= 1

ad−bc

d −b

−c a

!

,そして da−(−b)(−c) =ad−bc >0 に注意する。) H から D1 への双正則写像は

(37) ψε,z0(z) =εz−z0

z−z0, Imz0 >0, |ε|= 1.

様子を調べるために特殊値の計算:

ψε,z0(z0) = 0, ψε,z0(z0) = ∞, ψε,z0() =ε, ψε,z0

2 Re [(1−ε)z0]

|1−ε|2

= 1.

最後の検算: εz−z0

z−z0 = 1 z−z0 =εz−εz0 (1−ε)z =z0 −εz0

z = z0−εz0

1−ε = (1−ε)(z0−εz0)

|1−ε|2 = z0+|ε|2z0(εz0+εz0)

|1−ε|2

z = z0+z0(εz0 +εz0)

|1−ε|2 . ψε,z0 の逆写像は

(38) ψε,z10(w) = wz0−εz0

w−ε . これは D1 から H への双正則写像の一般形である。

ふむ。w=εψε,z1

0 の極になると(確かにψε,z0() =ε だから)。

あ、そうか、特に思い入れがなければ z0 =iと取ると簡単で良いだろう、ということか。

ψε,i(z) = εz−i

z+i, ψε,i1(w) = −iw−iε

w−ε =−iw+ε w−ε. もっと簡単にしたければ、z0 =i, ε= 1 (ε=i の方が良いか?)として

ψ1,i(z) = z−i

z+i, ψ1,i1(w) = −iw+ 1

w−1 =i1 +w 1−w. (これが Cayley 変換の式なんだ。)

思い入れがある場合はz0 =Ri, R >0 とか。

6.3.6 Cassini の橙形

a >0, b >0とする。2定点(±a,0) からの距離の積がb2 である点の軌跡の方程式は p(x−a)2+y2p

(x+a)2 +y2 =b2. 極形式では

r42a2r2cos 2θ+a4 =b4. 特に a=b の場合は (x2 +y2)2 = 2a2(x2−y2) となるので、

2a を新たに a とおくと、

(x2+y2)2 =a2(x2−y2) となり、いわゆる lemniscate に一致する。

a > b ならば2つの連結成分。a≤b ならば 1つの連結成分で、Cassini の橙形 (Cassini の卵形線, Cassini’s oval, oval of Cassini) と呼ばれる。

a=b ならば 8 の字形。

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2a > b > a ならば閉曲線で、凹みのある領域を囲む。

b ≥√

2a ならば閉曲線で、凸領域を囲む。

2定点を (±1,0)とし (これまでの a を 1 とし)、b を新たにa と書き直すと (x+ 1)2+y2

(x−1)2+y2

=a4.

a= 1 はレムニスケートで、a >1ならばJordan閉曲線で、単連結領域 Ωを囲む。a <√ 2な らば Ωは凹みがあるが、a≥√

2 ならば Ωは凸領域である。

f(0) = 0, f(0) >0 を満たす双正則写像 f: Ω→D(0; 1) は f(z) = az

√a41 +z2. これは z =±√

a41i が特異点である (分岐点というべきか)。 逆写像は

f1(w) =

√a41w

√a2−w2 で、これは w=±a が特異点である。

6.3.7 準備: Joukovski 変換

f(z) =z+ 1 z

|z|>1を C\[2,2]に双正則に写像する。

ρ >1 とするとき、|z|=ρ の像は x2

(ρ+ 1)2 + y2

(ρ−1)2 = 1 という楕円である。

w= 1 2

z+1

z

. z22wz+ 1 = 0 z =w±√

w21.

z =w+

w+ 1 w−1

6.3.8 問題から

D(c;r) := {z∈C| |z−c|< r},H :={z C|Imz >0}.

13. 0 < α < 2π とする。Ω := {z C|0<argz < α}D(0; 1) の上に等角写像する w=f(z) を求めよ。(解答は p.106)

14. D(0; 1)∩HD(0; 1) に等角写像するw=f(z) を求めよ。

15. Ω :=D(0; 1)∩D(1; 1) を D(0; 1) に等角写像する w=f(z) を求めよ。

16. 次の各領域を単位円の外部 {w∈C| |w|>1} に等角写像するw=f(z) を求めよ。

(1) {z C| |z|<1} ∩ {z C| |z−2|>1} (2) C\ {z C| |z|= 1, Imz 0}

17. p > 0 とするとき、{z =x+iy|y24px > 0}D(0; 1) に等角写像する w = f(z) を求めよ。

18. a >0とするとき、{z =x+iy |x2−y2−a2 >0}D(0; 1)に等角写像するw=f(z) を求めよ。

19. c >1とするとき、

z =x+iy∈C

x2

(c+ 1/c)2 + y2

(c−1/c)2 >1

を単位円の外部に 等角写像するw=f(z) を求めよ。

20. 0< a < ρ とするとき、{z C| |z2 −a2|< ρ2}D(0; 1) に等角写像する w =f(z) を求めよ。

21. 楕円の内部

z =x+iy x2

a2 +y2 b2 <1

D(0; 1) に等角写像する w = f(z) を求 めよ。

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