• 検索結果がありません。

交流インピーダンス法による試験片表面-腐食溶液界面の腐食反応性 交流インピーダンス測定により得られたインピーダンス挙動のうち,その代表例とし

4.1 緒 言

4.3.2.2 交流インピーダンス法による試験片表面-腐食溶液界面の腐食反応性 交流インピーダンス測定により得られたインピーダンス挙動のうち,その代表例とし

てT-SiO2 seriesの測定結果を図4-8示す.図の縦軸は得られたインピーダンスの実数成 分,横軸はその虚数成分を示しており,同図のことをCole-Coleプロットと呼んでいる.

なお,ここには示していないが,T-ELID seriesとT-ApELID seriesのインピーダンス挙動 についても図4-8とほぼ同様な形状を示した.また本測定では,試験片表面が不動態域 にある状態での腐食反応性を調べるため,測定時の設定電位は1V とした.

本測定では低周波領域でのノイズの影響によりその形状ははっきりと表れていない が,同図で得られたインピーダンス挙動は図4-9に模式的に示した形状に似た形を示し ている.このようなインピーダンスの挙動は,試験片と溶液の界面に皮膜が存在する場 合によく見られるものであり,この場合,表面と腐食溶液界面の電気回路は,図4-10の ように表すことができる.なお,これらの図の中でRpRsはそれぞれ試験片-腐食溶液 界面の分極抵抗および溶液抵抗を表し,またCdlは電気二重層容量を表している.これら の図から,各試験片表面の腐食反応の度合いを表す分極抵抗Rpは,図4-8に示すような 試験片のインピーダンス挙動から近似的に得られる円弧の直径部分として算出できるこ とがわかる.

図4-11は上記のような方法により各試験片の分極抵抗Rpを計算し,比較したグラフで ある.同図よりT-SiO2 seriesと比較してT-ELID seriesではその値が増加しており,さらに T-ApELID seriesでは,その増加傾向がより顕著に表れていることがわかる.この点に関 してもELID研削による表面改質層の存在が影響を及ぼしているものと考えられる.

第 4 章 生体材料の耐食性および生体適合性に及ぼすELID研削の効果

本測定は測定時に試験片に与える電位を1Vと設定している.したがって,試験片表 面では酸化皮膜の破壊と再生が繰返し起きている状態にある.その際,T-SiO2 seriesの表 面には数nm程度の膜厚の酸化皮膜しか存在していないため,試験片表面では分極反応 が起こりやすくなっているといえる.それに対して,T-ELID seriesは,酸化皮膜の膜厚 がT-SiO2 seriesと比べて厚くなっていることに加えて,基材内部における酸素の拡散層の 存在により,破壊された酸化皮膜の再生が起こりやすくなっていると考えられる.これ により金属の溶出を示す分極反応はT-SiO2 seriesに比べて抑制される傾向にあるものと考 えられる.またT-ApELID seriesの場合は,試験片表面の酸化皮膜は他の 2 シリーズと比 較しても極めて厚く,T-ELID seriesと同様に酸素の拡散層も存在しているため,試験片 表面の分極反応に対する抵抗は極めて大きくなるものと考えられる.そのため,T- ApELID seriesにおいて図4-11に認められたような分極抵抗の顕著な上昇が得られたもの と考えられる.

30

20

10

0

0 100 200

ImZ×103 W

Re Z ×103 W 40

第 4 章 生体材料の耐食性および生体適合性に及ぼすELID研削の効果

Rs

ImZ

Re Z Rp+ Rs

w0= (RpCdl)-1

Rp

図 4-10 試験片表面-腐食溶液界面の電気回路の模式図 図 4-9 インピーダンス挙動の模式図

Rp Cdl Rs

Zw

第 4 章 生体材料の耐食性および生体適合性に及ぼすELID研削の効果