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管理栄養士養成課程における給食経営管理実習の試み : 原価管理, 衛生管理, 労務管理に焦点をあてて

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Academic year: 2021

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(1)

平 成20年12月(2008年) 一5一

研究報文

管理 栄養士養成 課程 にお ける給食経営管理 実習 の試 み

 原価 管理,衛 生管理,労 務 管理 に焦点 をあ てて 一

      桂(橘 高)博 美,河 野 篤子

First Trial of a Training

Course

on Food Service Systems Management

Practice for

Student Dietitians with Focus on the Three Topics of Financial,

Hygiene, and Personnel

Managements

Hiromi Kittaka-Katsura

and Atsuko Kouno

A training course entitled, "Food service systems management practice", for student dietitians has been

offered at Kyoto Women's University since 2004. This course focuses on the following three areas of

management : financial, hygiene and personnel managements.

We conducted a questionnaire survey of students who took the course to assess whether they could

understand the three areas of management. Their answers on the questionnaire were scored by us. Moreover, we

graded reports that had been written by the students in the course, out of a score of 5.

We compared the scores on the questionnaires and the scores on their reports, and found that they were not

consistent. About 30% of the students wrote that there was not enough communication among the students.

Therefore, communication was one of the most important tools for their recognition of the importance of

financial, hygiene, and personnel managements.

(Received September 24, 2008)

1.は じ め に   平 成14年 度 に開 始 された 管理 栄 養 士 養 成 課程 の新 カ リキ ュラム にお いて は,従 来 の給 食管 理か ら給 食経 営 管 理論 へ と内容 の 充実 が 図 られ た1)。新 カ リキ ュ ラ ムの 給 食 経 営 管 理 論 で は,「給 食 シス テ ム」 とい う概 念 が盛 り込 まれ2),給 食 業 務 全 体 を把 握 して管 理 して い くため に給 食 シス テ ム を十 分 に活 用 で きる 能 力 を養 うこ とが 強化 され た 。 こ の給 食 シス テ ム に は,サ ブ シ ス テム と して種 々 の管 理 項 目が 含 まれ る。 京 都 女 子 大学(以 後,本 学 とす る)で は,給 食経 営 管 理 論 の履 修 内 容 を表1の よ うに分 けて お り,給 食 運 営 実 習 の ね らい は,給 食 の 運 営 業 務(オ ペ レ ー シ ョン)に つ い て 実 習 を通 して体 得 す る こ とで あ り,

京都女子大学家政学部食物栄養学科

具 体 的 に は,栄 養 管 理(食 事 計 画 ・栄 養 指 導 含 む), 衛 生 管理(大 量 調理 施 設 衛生 管 理 マ ニ ュ アル の履 行), 生 産管 理(作 業工 程 表 の作 成 ・進度 管 理 ・適 温給 食 の実 施),原 価 管 理(食 材 料 費管 理)を 行 う。 一 方, 給 食経 営 管 理 実 習 のね らい は,給 食 の管 理 業 務(マ ネ ジメ ン ト)に つ い て実 習 を通 して体 得 す る こ とで あ り,具 体 的 には,原 価管 理(食 材料 費 ・労 務費 ・ 諸 経 費 を含 む),衛 生 管 理(作 業 時 の 一 般 生 菌 の 動 向お よび室 内 ・冷凍 冷 蔵庫 内 の温 湿 度計 測 結 果 か ら 食 中毒 予 防 対 策 を検討),労 務 管 理(作 業 者 の 作 業 量 の偏 りと疲 労 感 の 調 査 を行 っ て作 業計 画 を検 討) を行 う。   給 食経 営 管 理 実習 は,前 述 の とお り原 価 管 理,衛 生 管 理,労 務 管 理 に焦 点 を当 て て実 施 し,そ れ ぞ れ の 管 理 項 目 ご と にPDCAサ イ ク ル(計 画 ・実 施 ・ 評 価 ・改善 計 画)の 流 れ に準 じて 実 習 させ る。 さら

(2)

に報 告 会 を通 して実 習 にお け る種 々 の体 験 を学 生 間 で共 有 させ る よう試 み た。 この実 習 は新 カ リキ ュ ラ ム の 開始 年 次 に入 学 した学生 が3年 次 を迎 えた 平成 16年 度 か ら,こ れ まで5年 間 に わた っ て行 われ て い るが,当 初 の2年 間の 実 習 に お け る学 生 の理 解 につ い て,報 告 書 の教 員 評 価 と学生 の感想 を もと に検 討 し,今 後 の 課題 を ま とめ た の で,新 た な教 育 内 容 の 実 施 とそ の 評価 の事 例 と して紹 介 す る 。 皿.方   法 1.実 習 内 容(概 要) 1)班 内組 織 お よび実 習 方 法  本 報 告 で は,平 成14お よび 平成15年 度 入学 の3年 生 が行 っ た際 の 実施 内容 を ま とめ た。 約40名 の ク ラ ス を3班 に分 け て,管 理 栄 養 士班,補 助 班,食 器 洗 浄 ・清掃 班 と した 。管 理 栄 養 士班 で は,図1に 示 し た よ うな フ ァン ク シ ョナ ル組 織 を構 成 させ 連 絡 系統 を整 理 した 。班 内組織 は,班 長 を トッ プマ ネ ジメ ン トと し,各 管 理 項 目責任 者 は職 能別 ス タ ッフ と して の機 能 を有 す る ミ ドル マ ネ ジ メ ン ト,料理 責任 者(主 食 ・主 菜 ・副菜 ・汁)は ロ ー ワー マ ネ ジメ ン トに位 置付 け た。 これ らの組織 体 験 に よっ てマ ネ ジ メ ン ト 能 力 を養 う と と もに,立 場 に よる仕 事 と責 任 の 違 い を知 り,情 報 交換 の重 要性 に気 づ くよ う促 した。 ま た,補 助 班 は給 食 実 施 時 に 管 理 栄 養 士 班 の 依 頼 に よっ て のみ 調 理 な どの 補助 作 業 をす る ワー カ ー と し, 食 器 洗 浄 ・清 掃班 は給 食 実施 時 に管理 栄 養 士班 の 依 頼 に よっ ての み食 器 洗 浄 また は清掃 作 業 を行 うワー カー と した。 これ らワー カーへ の 適切 な指 示 も管 理 栄 養 士 に とって 重 要 な事 項 であ る。 また,実 習 方 法 は,管 理栄 養 士 班,補 助 班,食 器 洗 浄 ・清 掃班 と し て毎 週 ロ ー テ ー シ ョ ン と した(表2)。 献 立 は 労 務

表1  京都女子大学家政学部食物栄養学科 における給食経営管理論分野の履修内容

設 置科 目名 (単位 数) 給 食運 営 論   (2) 給 食 運営 実 習     (1)

給食経営管理論

   (2)

給食経営管理実習

    (1)

給食運営校外 実習

    (1)

給食経営管理

臨地実習(1)

     開 講年 次 (平成15年度入学生より変更) 2年 後 期 (2年 前期) 3年 前期 (2年 後期) 3年 前期 (2年 後期) 3年 後期 (3年 前 期) 3年 後 期 (3年 後 期) (3年 後 期)         履 修 内容 一 管理 項 目の み の簡 易 な分 類 一 栄 養 ・食 事 管 理(栄 養 ア セ ス メ ン ト含 む),給 食 を用 い た 栄 養 教 育,食 事 管 理,生 産 管 理(作 業計 画 含 む),原 価 管 理(発 注, 検 収,食 材 費 原 価 管 理),衛 生 管 理(大 量 調 理 施 設 管 理 マ ニ ュ ア ル の遵 守),食 環 境 経 営 管 理[マ ー ケ テ ィ ン グ(講 義 のみ)・ 労 務 費 お よ び諸 経 費 を含 め た原 価 管 理 ・経営 分 析(講 義 の み)含 む],品 質管 理(講 義 の み),衛 生 管 理(衛 生 教 育含 む),労 務 管 理(組 織 ・人事 管 理,作 業管 理 含 む),情 報 管 理,施 設 設 備管 理

給食運営に関す る管理項目全般

給食経営管理論分野 における管理項 目全般

班 長 ・

副 班 長

原 価 管理

責任者 ・

副責任 者

作業 管理

責任 者 ・

副責 任者

作業 計画

責任 者 ・

副責 任者

衛 生管理

責 任者 ・

副 責任 者

栄養 管理

責任 者 ・

副 責任者

主食責 任者

主菜責 任者

副菜責任者

汁責 任者

      図1  給 食 経 営 管 理実 習 中 の班 内組 織 図(フ ァン ク シ ョナル 組織 ※) ※ ただ し,料 理 責 任者 の下 に ワー カ ーが つ く と,ラ イ ンア ン ドス タ ッフ組 織 に な る

(3)

平 成20年12月(2008年) 7 費 を可 能 な 限 り削 減 し,し か し利 用 者 の 満 足度 を下 げ ない とい う 目標 で 管理 栄 養士 班 が 作 成 した。 こ の 献 立 に基づ く給 食 は 約50食 を作 成 させ た(た だ し, 給 食 運 営実 習 で は100食 作 成 して い る)。 そ れ ぞ れの 班 で,原 価 管 理 ・衛 生 管 理 ・労 務 管 理 につ い て 目標 を設 定 して計 画 し,給 食 を実 施 して評 価 を行 っ た後 に改 善 案 を考 え させ た。 また,本 実 習 にお い て は学 生 の 積極 性 を引 き出 す ため,学 生 が 主 体 と なっ てす べ て の 計画 を行 う。教 員 は与 え る情 報 を最 小 限 と し, 学 生 の 要望 に応 じて の み情 報 を提 供 した。 2)原 価 管 理 の ね らい と実 習計 画 ・評 価 お よび改 善     計 画   本 学 で は,発 注 ・検 収 業 務 お よび食 材 料 費 管理 に 関 して は給 食 運 営 実 習 で既 習 して い るの で,給 食 経 営 管理 実 習 で は こ れ ら に加 え て労 務 費 お よび諸 経 費 (予め 教 員 が 設 定 した)を 含 め た原 価 管 理 を行 わせ, 労 務 費 と作 業 の 関係 を理 解 させ る こ とを 目標 と した。   図2に 示 した よう に,計 画 時 に作 業工 程 表 に予 定 され た学 生 の 総労 働 時 問(予 測)を 計 算 し,時 間給 600円 を支 払 う こ と と して労 務 費 の予 算 を見 積 も っ た(た だ し,平 成18年 度 の実 習 か らは 時 間給 を京 都 市 の最 低 賃 金 と し平 成20年 度 の実 習 で は時 間 給 を 700円 と した)。 また,光 熱費 ・施 設 設備 費 な どは教 員 が 予 め設 定 した金 額 と し,労 務 費,光 熱 費,施 設 設 備 費,食 材 料費 を合 計 して給 食 原価 の予 算 と した。 給 食 実施 時 には,作 業 時 間 の実 測 を行 っ た。   給 食 実施 後 に,作 業 に携 わ っ た学 生 の総 労 働 時 間 (実際)を 実 測結 果 よ り求 め,労 務 費 を算 出 し会計

表2  給食経営管理実習の流れ

第1回 第2回

第3回

第4回

第5回 第6回 第7回 1班 2班 3班 1講 時 目:実 習 内 容 の 説 明 2・3講 時 目:献 立 作 成 ・作 業 計 画 ・管 理 項 目の計 画 ・補 助 班等 へ の 依頼 計 画 検 討 1・2講 時 目:試 作 ・献立 完 成 ・作 業 計画 決 定 3講 時 目:管 理 項 目の計 画決 定 ・補 助 班等 へ の 依頼 計 画 決 定 管 理 栄 養士 班 ・・   給 食 実 施 食器 洗 浄 ・清 掃 班 … 清掃 な ど依 頼事 項 補 助

   補助班 …

計測 など依頼事項補助

   補助班 …

計測 など依頼事項補助

管理栄養士班…

  給食実施

食器 洗 浄 ・清 掃 班 … 清掃 な ど依頼 事 項 補 助 食 器洗 浄 ・清掃 班 … 清 掃 な ど依 頼 事 項補 助

   補助班…

計測な ど依頼事項補助

管理栄養士班…

  給食実施

1∼3講 時 目:各 班 にお い て管 理 項 目 ご との評 価 ・改 善 案 作成 ・報 告 会 準備 1・2講 時 目:班 長 主 宰 に よ る 報 告 会(Power  Point使 用)・ 報 告 書 の 提 出 3講 時 目:給 食 経 営 管 理 実 習 室 清 掃 <PLAN> ○ 予 算(給 食 原 価:労 務費+光 熱 費+施 設 設 備 費+食 材 料 費)       → 作 業 計 画 よ り時 間 給 と して 労務 費 を見積 も る <DO> ○ 会 計(給 食 原 価:労 務費+光 熱 費+施 設 設 備 費+食 材 料 費)       → 作 業 実施 内容 か ら時 間給 の労 務 費 を算 出 す る <CHECK> ○予 算 時 ・会計 時 の 差 の 比較 ○販 売 可 能価 格(給 食 原価)と 給食 内容 の 関係 を検 討       → 出 され た 給食 内容 に 対す る価 格 の妥 当性       → 購 入 側 の 希 望価 格 の 決 定(ア ンケー ト等利 用) ○販 売 可 能価 格(給 食 原 価)と 給 食食 数 の 関係 を検 討       → 給 食 食数 を何食 作 れ ば 損 益分 岐 点 に達 す るか <ACTION> ○ 改善 案 の 検討(食 材 費 の 引 き下 げ ・労 務 費 の 引 き下 げ)          → 食 材 料お よび 作業 計 画 の 見直 し

図2  給食経営管理実習時の原価管理

(4)

報 告 させ た。 労務 費,食 材料 費,光 熱費,施 設 設備 費 を合 計 し,総 原 価(価 格)と 給 食 内容 につ い て の 妥 当性 と喫 食 者 の ア ンケ ー トか ら得 られ た購 入 希望 価 格 との差 を評価 し,改 善 案 な どを考 察 させ た。 さ ら に,班 の能 力 に応 じて,損 益 分 岐 点 分 析お よび給 食 現場 に お ける 実 際 の労 務 費 な どを想 定 した給 食 販 売 価 格 の見 積 も りを行 わせ,金 額 と食 事 内容 の妥 当 性 を さ らに考 察 させ た。 3)衛 生管 理 の ね らい と実 習 計 画 ・評 価 お よび改 善    計 画   調 理作 業 工 程 内 にお け る大 量 調理 施 設 衛 生管 理 マ ニ ュ アル の実 施 に関 して は,給 食運 営 実 習 で既 習 し てい る。 そ こで,図3に 示 した よ うに給 食経 営 管 理 実 習 にお いて は これ に加 えて,室 内 ・冷 蔵庫 内の 温湿 度 記 録(記 億計MODEL  SK-L200Tお よびSK-L200 TH,佐 藤 計 量 器 製作 所,東 京)を 行 う と と も に室 内 あ るい は 食 品表 面 の 一般 生 菌 を計 測 させ(フ ー ド ス タ ン プ 「ニ ッス イ」,ニ ッス イ製薬,東 京),調 理 作 業 工 程 内 に お け る一 般 生菌 の動 向 か ら食 中毒 の危 険性 を予 測 しそ の対 策 を考 察 させ る こ とを 目標 と し た 。   一般 生 菌 の培 養 は,37℃ で24時 間 か ら48時 間 と し, 好 気 的 な環 境 に お い た3)。ま た,温 度 の 測 定 箇所 お よび 一般 生 菌 の計 測 計 画 につ い て は班 毎 に調 査 目的 を設 定 して計 画 させ た。 一 般 生菌 の 計 測計 画 にあ わ せ,室 内 ・冷 蔵 庫 内 の温 度 計 測箇 所 と測 定 時 間 も計 画 させ た。 これ らの計 画 を実 習 内 の作 業 中 に実 施 し た 。   給 食実 施 後 に室温 また は冷 蔵庫 内の 温 度 と計 測 さ れ た 一般 生 菌 数か ら食 品 ・器 具 の放 置 時 間 と食 中毒 の危 険性 につ い て考 察 し,改 善案 を作 成 させ た 。 4)労 務 管 理 の ね らい と実 習計 画 ・評 価 お よび 改 善    計 画   調 理作 業 工 程 の進 度管 理(調 理作 業 等 に お け る工 程 表 の計 画 と実施 の比較)は,2年 次 開講 の給 食 運 営 実 習 で体 得 して い るの で,給 食経 営 管理 実 習 で は これ に加 えて,作 業 員 の作 業 量 の偏 りと疲 労 感 の 関 係 を調 査 した(図4)。 疲労 感 は,日 本 産 業 衛 生 学 会 産 業疲 労 研 究 会 が2002年 に ま とめ た 「自覚症 しら べ 」4)を も とに各 班 で作 成 した 自覚 症 状 ア ンケ ー ト を給 食 実施 前 と後 に実 施 した。 また,作 業 内容 の記 録 は,各 班 で 作 成 した作 業測 定 記 録表 を渡 して補 助 班 に記 入 を依 頼 した。   給 食 実 施後 前 後 の 自覚 症状 ア ンケ ー トの 比較 か ら 実 習 に よる疲 労 度 と し,疲 労度 と個 人 の作 業量 お よ び作 業 内 容 につ い て検 討 を行 い評 価 した後,改 善 案 をま とめ た 。 2.実 習 報告 書 お よび 学 生 の感 想 を利 用 した 実 習内    容 の 評価 ・検 討   給 食 実 施 後 に各 班 で 反省 会 を行 い,改 善 案 な どを 計 画 した後,報 告 書 を作 成 させ て提 出 させ た 。 ま た,2ク ラス6班 に よる合 同発 表 会 を行 い,互 い の 経験 を共 有 させ た。 報告 書 の 内容 か ら,学 生 の この 実 習 の理 解 度 や取 り組 み につ い て分 析 し,実 習 内容 を評価 ・検 討 した。 報告 書 は2ク ラ スで6冊 提 出 さ れ た 。 これ らの6冊 にお け る原 価管 理,衛 生 管 理, 労 務 管理 の そ れ ぞれ につ い て,計 画(計 画性 の 良 否, 実 施 時 を想 定 した 配慮),実 施(実 施 時 の 計 測 と計 <PLAN> ○室 内 ・冷 蔵 庫 内 温 湿度 記 録 の計 画              → 温 湿 度 測 定記 録 装 置 デ ー タ ロー ガ の設 置 ○室 内 ま た は食 品 表 面 の一 般 生菌 の計 測 の 計 画 ・実 施              → 寒 天 培 地 の  タ ンプ 時 期 ・場 所 の決 定 <DO> ○上 記 項 目の実 施             → 温 湿 度測 定記 録 装 置 デ ー タ ロー ガ の計 測             → 寒 天 培 地 ス タ ンプ 後35℃ で24∼48時 間 培養 <CHECK> ○数 値集 計 お よび 解 析             → デ ー タ ロー ガ か らデ ー タ を回収 して 作表             → 培 養 後 の 寒天 培 地 上 の コ ロニー を計測 す る             → 一般 生 菌 数 と温 湿 度 か ら食 中毒 の危 険性 を予測 <ACTION> ○食 中毒 の 危険 性 を低 減 させ るた め の 改 善案 を検討 す る             → 献 立 内容 、 作 業計 画 、温 度 管理 の 見 直 し等

図3  給食経営管理実習時の衛生管理

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平 成20年12月(2008年) 画 の差),評 価(問 題点 の 理 解),お よ び改 善(改 善 案 の具 体 性)の5点 につい て教 員 が5段 階 の 点 数評 価 を行 った 。   ま た,学 生 が 自由 記述 方 式 で 回答 した実 習 内容 に 関す る感想 を項 目別 に分 けて 点 数化 した。 これ につ い て も,実 習 内容 の 評価 ・検 討 を行 い,先 の 結 果 と 合 わせ 学 生 の意 欲 や この実 習 の準 備 に お け る問題 点 な どを探 り考 察 した。 皿.結

1.給 食 経 営管 理 実 習報 告 書 に お け る原 価 管理  本 実 習 に お い て は,各 調 理 担 当 者 が作 成 した作 業 工程 表 を班 で取 りま とめ,班 全 体 の作 業 工 程 表 と し て作 成 し,こ れ に他 班 に依 頼 す る食器 洗 浄 や 清掃 な どの人 件 費 を加 算 し,予 算 と して計 上 させ た。作 業 時 間 の計 測 な どは試 作 時 に行 って 計 画 し,担 当 者 の 人 数 お よび 作業 時 間 を決定 し給 食 を実施 した。 作業 の計 測 は,補 助 班 に管 理栄 養 士 班 が依 頼 し,作 業員 一 人一 人 につ い て実 測 させ た。 そ の結 果,6班 中4 班 に お いて 予 算 か ら会 計報 告 時 の 差 額 が大 き くな っ た 。 こ れ ら は,1食 あた り とす る と,そ れ ぞれ22.7 円 増 加,62.9円 減 少,27.0円 増 加,31.8円 減 少 と な っ て お り,そ の原 因 につ い て検 討 し,改 善計 画 を 立 て させ た。 労務 費 の増加 が見 られ た 班 は,計 画 時 に 労務 費 を削 減 しよ う と して実 際 には 無 理 な計 画 を して お り,一 方 減少 して い る班 は,調 理作 業 な どで 実 際 の計 測 よ り余分 に(あ る い は計 測 を怠 っ て余 分 に)作 業 時 間 を確 保 して い た。 しか し なが ら,6班 中2班 は,労 務 費 の大 きな 変動 が な く,計 画通 りに 9 作 業 が進 み 給 食 が実 施 で きた とい う結 果 にな っ た。 1)原 価 管 理 にお い て分析 が進 んだ例   経営 管 理 にお い て分 析 が進 ん だ例 と して次 の3つ の 班 の例 が 挙 げ られ る。 第1の 班 は,自 分 た ちが 得 た結 果 か ら損益 分 岐 点 分析 を行 い(労 務 費 も固定 費 と変 動費 に分 け),実 習 で作 成 した給 食 を700円 で販 売 した場 合66食 が損 益 分 岐点 とな る こ とが 報 告 され た。 また第2の 班 は,発 注 時 に食 品 の規 格 を指定 し た食 品 と指 定 しな か っ た食 品 の検 収 時 重量 の 差 を検 討 した 。 その 結 果,規 格 を指定 した食 品が2%増 し で あ り規 格 を指 定 しなか っ た 食 品 が9.5%増 し と, 規 格 の指 示 の 有 無 に よ り大 きな差 が 生 じてい る こ と を明 らか に した。 さ らに第3の 班 は,大 学 内 の 食堂 (委託 業者)に お い て,同 じ食 品の 納 入価 格 お よび 作 業 管 理担 当者 か らの情 報 に よっ て原価 を見 直 した と ころ,1食 あ た り食 材 料 費71.7円,労 務 費268円 の削 減 が 可 能 で あ り,実 習 時 に は858円 で あ っ た給 食 原 価 を大 学 内 の食 堂 で は499円 で販 売 可 能 に な る こ とが 報告 さ れた 。 ま た,作 業 の機 械 化 に よ る労務 費 の削 減 に つ いて も6班 中2班 で検 討 が な され,報 告 され た 。 2.給 食経 営 管 理 実 習報 告 書 に お け る衛 生 管 理   まず,一 般 生 菌 数 の計 測 にお い て は次 の よ う な も のが 計 測 され た。 白衣 お よ び手指 か ら菌 が検 出 され た班 もあ り,身 だ しな み の重 要性 の再 認 識が 報 告 さ れ た。また,手 洗 い 前 後 の菌 の 検 出 は全 て の班 が 行 っ た が,菌 は検 出 され ず 大量 調 理 施設 衛 生 管理 マ ニ ュ ア ル に沿 った手 洗 い の効 果 が 確 認 され た 。 さ ら に, 検 収 台,下 処 理 室 の台,調 理作 業 台 や 盛付 台,カ フェ <PLAN> ○調 査 内容 を検 討 ・決 定 し、 実施 時 期 を計 画              → 作 業 内容計 測 の た め の記 入 用紙 を作 成              → 疲 労 感 に影 響 を与 え そ うな要 因 を想 定 し               疲 労調 査 ア ン ケー トを作成 <DO> ○ 実 習 前後 な ど各 班 の 計画 時 に ア ン ケー トを実 施 ○ 作 業 実施 内容 を計 測 →作 業 内 容 と時 間 を他班 に依 頼 して計 測 <CHEDK> ○作 業員 の作 業 量 の 偏 りと疲 労 感 の 関係 を検討              → 作業 実施 内 容 か ら各 作 業員 の 総 作業 時 間 を算 出              → 疲 労調 査 ア ン ケー トの 結果 をま とめ数 値 化              → 上記2項 目の 相 関 関係 を検討 し、 実施 した 作 業                内 容 な ど疲 労 感 に 与 え た影 響 を考 え る <ACTION> ○疲 労感 の偏 りが生 じた 理 由か ら改 善案 を検 討             → 作 業 計画 にお け る 作業 配 分 を見 直 す

図4  給食経営管理実習時の労務管理

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テ リ ア内 の シ ョーケ ー ス の 中な どの1∼ 数個 所 につ い て 一般 生 菌 数 の 計 測が な され,作 業 区 域が 清 潔 に な る ほ ど計 測 され た 一般 生 菌 数 が減 少 した こ とが 報 告 され た 。盛 付 台 や カ フ ェテ リア 内の シ ョー ケー ス 内 にお い て は,一 般 生菌 が 全 く計 測 され ず,非 常 に 清 潔 に保 た れ てい た こ とが 明 らか に され た。 冷 蔵 庫 の取 っ手 か らは,菌 が計 測 され な か っ たが,手 で 触 る部 分 な の で普 段 か ら清 潔 に保 つべ き だ とい う報 告 が あ った 。   ま た,室 温 や 湿 度 は,適 正 範 囲 内 に保 た れ てい た 。 パ スス ル ー冷 蔵 庫 扉 の 開 閉 に よる温 度 上 昇 な どの 報 告 を して い た班 はあ ったが,教 員が 予 め 意 図 してい た室 内 や パ ス ス ルー 冷 蔵庫 内 の 菌 を計 測 結 果 か ら予 測 さ れ る増殖 と温 度 との 関連 につ い て の報告 は6班 中2班 で 若 干 の報 告 に留 ま り,い ず れ も深 い考 察 に は至 らな か っ た。 1)食 材 や調 理工 程 にお ける微生 物 の計 測 を行 った例   おか ら入 りハ ンバ ー グを作 成 した班 で は,製 造 過 程 にお け る菌 数 計 測 を行 い,検 収 時 か ら配膳30分 後 まで,合 計9回 の一 般 生菌 数 の 計 測 を行 った 。検 収 時 の鶏 挽 肉 の菌 数 に対 し,こ ね た後 に は,菌 数が 約 15%に 減 少 した(そ の 理 由 は菌 の検 出 を ス タ ンプ で 行 っ てい るた め に こね る 前 に挽 肉 の表 面 で 増 え て い た菌 が,こ ね た後 に は全体 が 混 ざっ て希 釈 され た よ うに な っ た た め と考 え られ る)。 さ ら に,検 出 さ れ た主 な菌 が 鶏 肉検 収 時 の腸 内細 菌(推 測)か ら こね た後 に はお か ら由来 と考 え られ る枯 草 菌(推 測)に 変化 した こ と,焼 直 後 お よび焼 い た後30分 まで菌 は 見 られ なか っ た こ とが 報 告 され た。   カ レー ドリア を作 成 した班 で は,食 材 と して鶏 肉 を用 い た こ とお よ び平 成16年 度 の 食 中毒 統 計(厚 生 労 働 省 ・速 報)か らカ ン ピロバ ク ター(微 好 気性 菌 で あ り本 条 件 下 で は コ ロニ ー を形 成 しな い)に 焦 点 を当 て た フ ー ドス タ ンプ 実 施 計 画 を立 て,鶏 肉 を 切 っ た ま な板 の使 用 前 ・後 ・洗 浄 後 ・滅菌 後 の4点 につ い て一 般 生 菌数 を測 定 してい た。 そ の結 果 か ら, 使 用 した まな板 の洗 浄 後 で は,ま な板 使 用 直 後 に検 出 され た コ ロニ ー 数 の6.4%ま で コ ロニ ー数 が 減 少 した が,未 だ 一般 生 菌 が 存在 してお り,滅 菌 せ ず に そ の ま ま放 置 す れ ば二 次 汚 染 の もと とな る可 能性 が 明 らか に され,速 や か な滅 菌操 作(滅 菌後 は生 菌 が 存 在 しなか った)が 必 要 で あ る と報 告 され た。   2)生 野菜 を使 用 した班 にお いて微 生物計 測 を行 っ       た例   レ タス葉 表 面 に付 着 して い た菌 を洗 浄前 お よび 洗 浄 ・強酸 性 水 処 理後 で比 較 した班 で は,レ タス 生 食 の 妥 当性 と調 理後 の 保存 温 度 お よび保 存 時 間 につ い て 一般 的 な食 中毒 細 菌 の分 裂 時 間 を も とに考 察 し, 同様 に生 食 す る野 菜 を切 った あ との ま な板 か ら菌 が 検 出 され てお り,ま な板 の放 置 も二次 汚 染 につ なが る可 能性 が 指摘 さ れて い た。  水 菜 のサ ラ ダ を行 った班 で は,強 酸 性 水処 理 後 に 一 般 生菌(枯 草菌 の一種 と推 定)が 検 出 され た。 し か し,そ の数 は1食 当 た りで70個 程度 と推 測 さ れ保 存 温 度が10度 以 下 に保 た れ長 時 間 の保 存 で な いか, 保 存 せず にす ぐに食 せ ば 食 中毒 は お きない と推 測 さ れた 。   生 食 す る カ イ ワ レ大 根 の強 酸1生水処 理 後 の 一般 生 菌 計 測 数 は,処 理前 の約30%に しか減 少 して お らず, ま た,検 出 され た菌 の種 類 は腸 内 細菌 科 で あ る と推 測 され た 。 これ らの菌 は,消 毒 処 理 中,芽 萌 と して カ イ ワ レの組 織 中 に残 存 した もの で あ る と推 測 され る。 カ イ ワ レ大 根 につ い て は,農 水 省(平 成8年) に よ る 「か い わ れ大 根 生 産 衛:生管 理 マ ニ ュ ア ル」5) が 出 され てい る。 また,翌 年,当 時 の 農水 省 の研 究 機 関 で あ る野 菜 茶 業試 験 場 に お いて カイ ワ レ大根 種 子 の乾 熱 消毒 法(75℃,7日 間)に よ り大 腸 菌 の死 滅 に成 功 してい る6)。しか しなが ら,こ れ らの方 法 は,前 述 の生 産 マ ニ ュ アル に は取 り入 れ られ た か は 定 か で な い と報 告 され た。 カ イ ワ レ大 根 の 生 食 は, 今 回の 一 般生 菌 の計 測 にお い て も多 数 の菌 が計 測 さ れ てお り,抵 抗 力 の低 い 高齢 者 や 児 童,傷 病 者 に対 して給 食 と して提 供す るの は好 ま しくな い と結 論 さ れ てい た。 3.給 食 経営 管 理 実習 報 告害 に お け る労務 管 理   担 当 作 業 内容 に よる作 業 時 間 のば らつ きと疲 労度 は,各 班 に よ り多 少 の長 短 は あ るが,全 ての 班 に お い て一 人 当 た りの作 業 時 間 は,100分 か ら200分 とば らつ きが 見 られ た。 しか しな が ら,6つ の全 て の班 にお い て,疲 労 度 と作 業 時 間 の 関係 につ い て検 討 さ れ て い たが,こ れ らに は比 例 関係 は なか っ た。 しか し,可 能 で あ れ ば,仕 事 時 間 の ば らつ きは最 小 限 に す るべ きで あ り,作 業 時 間 の 長 か った もの の作 業 を 一部 短 い もの に移 行 す る な どの改 善 方 法 が報 告 され た 。   1)疲 労度 調 査 に関 して工 夫 が見 られ た例   疲 労 度 の 調査 方 法 は,自 覚 症 し らべ(日 本 産 業衛 生 学 会 産 業疲 労研 究 会 ・2002)4)をも と に 班 毎 に独 自の 自覚 症 し らべ の項 目を作 成 させ,給 食 実施 の前 後 に行 いそ の 点数 の差 を給 食 実 施作 業 に よる疲 労 度 と定義 して種 々 の検 討 を行 った 。 そ の中 で工 夫 が見 られ た例 を紹 介 す る。

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平 成20年12月(2008年)   まず,一 つ は,普 段 よ く料 理 を す るか を 「料 理 頻 度 」 と して 各 自 に5段 階評 価 させ て,そ れ と疲労 度 との関 係 を検 討 し,料 理 頻 度 が 低 くな る につ れ疲 労 度 が 上 昇 す る と い う傾 向が 見 られ た こ とが 報 告 され た。 また,性 格 と疲 労度 につ い て調 べ た結 果 が報 告 され,短 気 な人 ほ ど疲 労感 が 出や す い とい う傾 向 が 見 られ た こ とが 報 告 され た。 これ らの 二つ の報 告 は, 件 数 が 少 な く信 頼 を得 る デ ー タ とす る に は 問題 が あ る が,実 習 内 の 試 み と して は興 味 深 い とい え る。例 え ば,短 気 な作 業 従 事 者 の疲 労 度 は,そ うで ない作 業従 事 者 よ り初 め か ら高 く出 る こ とが 予測 され るた め,一 定 の 割合 で疲 労 度 を減 じて 評価 す る 方が 平等 にな る とも考 察 で きる。   また,独 自の疲 労 度 判 定項 目 と して 「元 気度 」 と い う言葉 を定義 し,元 気 度 と作 業 時 間 の 関係 につ い て 検 討 して い た が,作 業 時 間 とは 相 関 が 見 ら れ な か った。 前 述 の 内容 と重 複 す るが,こ の事 例 にお い て も精神 的 な負 担 な どに よる疲 労 が 大 きか っ た とい う結論 が 述 べ られ て い た。 2)疲 労 度 の原 因 お よび作 業 者 間 にお け る偏 りに対     す る改 善 案 の例   あ る班 で は,疲 労度 を高 め た原 因 と して 報告 に挙 げ られ た もの は,作 業 内容 また は 精 神 的 な負 担 で あ った 。 つ ま り,疲 労度 の 高 か っ た作 業 従 事者 は, 複 雑 な仕 事 を行 って い たか,班 長 な ど責 任 の重 い仕 事 を して い た もの に 強 く現 れ,長 時 間の 作 業 で あ っ て も単 純作 業 や 清 掃 で は疲 労 度 が上 昇 しに くい とい う もの で あ っ た。 疲 労度 の 偏 りを減 らす こ とは,実 際 の 現場 で は非 常 に重要 度 が 高 い。 上 記 の よ うな疲 労 度 の 偏 りに対 す る改善 案 と して は,毎 日 の給 食運 営 にお い て仕 事 の ロー テ ー シ ョンを組 んで 行 う とい う一 般 的 な改 善 案 が 報告 され た 。 ま た,作 業 の機 械 化 に よ る疲 労 度 の 軽 減 につ い て も考 察 した報告 も見 られ た。 一 方別 の班 にお い て は,班 員14名 中3名 の みが 非 常 に疲 労 感 が あ っ た ため,こ の3名 の作 業 を 一11一 詳 細 に見 直 した 。 そ の結 果,長 時 間 にわ た る複 雑 な 作 業 の連 続 が 疲 労 の原 因で あ る こ とが わ か り,作 業 内容 の 一部 を他 の 班員 に振 り分 け る とい っ た具 体 的 な改 善案 を提 案 した。 4.給 食 経 営 管 理実 習 報 告 書 お よび 実 習後 の 感 想 を     利 用 した実 習 内容 の 評 価 ・検 討 1)実 習報 告 書 の 評価   実 習 後 に班 ご と に作 成 した 報告 書 を提 出 させ,教 員 が評 価 を行 っ た。評 価 項 目 は,方 法 に挙 げ た もの と し,そ の 平均 を表3お よ び表4に 示 し,こ れ らの 結 果 を用 い て学 生 の達 成 度 を把 握 した。 そ の結 果, 管 理項 目 ご とに見 る と衛 生 管 理 の 平 均 評 点 が3.7お よび3.6で 他 の二 つ の 管 理 項 目 よ り高 い 結 果 とな っ た 。 これ らに つ いて そ れ ぞ れの 評価 項 目 ご とにみ る と,全 て にお い て他 の 管理 項 目 を上 回 っ た。 ま た, 平 成16年 度 には最 も低 い評 点 と な った管 理 項 目は原 価 管理 項 目で あ っ た。 これ らは,計 画 お よび 実施 に つ い て は,労 務 管 理 を上 回 るが,評 価 お よび 改善 に お い て評 点 が低 か った 。原 価 管 理 に お け る評価 にお い て 自班 の 問 題 点 を把 握 し,改 善 案(改 善 計 画)に 具 体 的 な数 値 の処 理 や 対処 方法 が 明確 に報 告 され て い た ものが 少 な か っ たた め と考 え られ る。 さ らに平 成16年 度 の 労 務 管理 にお い て は,計 画 お よび 実施 に お い て低 い 評 点 とな って お り,計 画 に お いて 作業 時 間 を的確 に把 握 す る ため の試 作 が 生 か されて い な い 現 状 が見 られ た 。 こ れ らの結 果 は,今 後 の本 実習 に おい て は,「原 価 管 理 の評 価 と改 善」 お よび 「労 務 管 理 の計 画 ・実 施」 につ い て 実 習 の オ リ エ ンテ ー シ ョンの際 に次 年度 よ り若 干 の補 足 を必 要 と して い る こ と を示 してい る 。 そ こで,平 成17年 度 には,労 務 管 理 の計 画 ・実施 に おい て 説 明 を詳細 に行 う と と もに,原 価 管 理 にお け る改 善 案 の具 体 的検 討 の解 説 を よ り詳細 にお こな っ た。 そ の結 果,表4に 見 られ る よ うな改 善 が 見 られ た。 労 務管 理 の 計 画 にお い て は,0.2ポ イ ン ト,実 施 にお い て は0.4ポ イ ン ト,原 表3  給 食 経 営管 理 実 習 報告 書 の 評 点平 均(平 成16年 度)

評  価  項  目

計  画

実 施

評 価

改 善

画 性

の 良

実 施 を想 定 し た 配 慮

計 画 と実 施 時計 測 との差

問 題

の 理

改 善 案 の 具 体 性

管  理  項   目

原価管理

3.5 2.8 3.4 3.2 3.3 3.2

衛生管理

3.9 3.4 3.8 3.6 3.7

労務管理

3.4 3.3 2.9 3.7 3.5 3.4

平   均

3.6 3.2 3.2 3.6 3.5 *n=18(6班 ×教 員3名 の評 価)  評 価 方 法:よ い5→1悪 い の5段 階評 価

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価 管 理 の 評価 にお い て は,0.3ポ イ ン ト,改 善 に お い て は0,5ポ イ ン トの評 価 の上 昇 が み られ た。 2)学 生 の 感想 を利 用 した実 習 内 容 の評 価 ・検討   実 習終 了 時 に実習 の感 想 を 自 由記 述式 で記 載 させ た 。 そ の結 果,実 習 に参 加 した83名 全員 が 何 らか の よい感 想 を持 って い る こ とが 明 らか に され た。 記 載 内 容 を 図5に ま とめ た。   平 成16年 度(平 成17年 度)の 結 果 に お い て,「 業 務 の 理解(全 体)」 を49.4%(43.8%),「 業 務 の 理 解 (原価管 理)」 は15.7%(25.0%),「 業 務 の理 解(衛 生 管 理)」 は12.0%(13.8%),「 業 務 の 理 解(労 務 管 理)」 は12.0%(6.3%)が 挙 げ られ て い た。 また 班 内 にお け る コ ミュ ニ ケ イ シ ョ ンの 重 要性 につ い て 平 成16年 度(17年 度)に33.7%(32.6%)の 学 生 が 自由 記 載文 中 に述べ た。 さ らに約10%の 学生 は,他 の 班 との情 報 共 有 か らの学 びに つ いて 自由記 載 に も 関わ らず言 及 して お り,合 同 発表 会 の 効 果 が一 部 に み られ た 。   さ ら に,「 自分 自身 の 実習 へ の取 り組 み に お け る 積 極 性 」 に つ い ては 平成16年 度 に は83名 中16名(約 20%)の 学生 が 自由 記述 内 に述べ てお り,平 成17年 度 に は5段 階評 価 で4以 上 を記 し積 極 的 に取 り組 ん だ と した 学生 が77.5%で あ った 。 これ らの 結果 か ら 学 生 が この実 習 にお い て積 極 的 に取 り組 んだ と学 生 自 身が 感 じて い る こ とが分 か り,つ ま り学 生 の 自主 性 が 引 き出 され た と評価 され る。   こ の実 習 に お いて は,班 内 に フ ァ ンク シ ョナ ル組 織 を作 って役 割 をあ て,担 当 させ る こ とで,一 人一 人 の仕 事 へ の積 極 的 な関 わ りと責任 感 を持 た せ,教 員 は学 生 か らの 質問 にの み対 応 した。 そ こで は,そ の組 織 を通 して各 管 理 項 目にお ける 目標 の計 画 ・実 施 ・評 価 ・改 善 に,そ れ ぞ れの 役 割 を もった 学 生 間 の情 報 交 換 が どれ だ け的確 に行 われ た かが 要 求 され る 。 ま た,3つ の管 理 項 目につ い て も大 き な偏 りが な く感 想 に見 られ た こ とか ら,給 食経 営 管 理 実 習 が バ ラ ンス よ く行 わ れ た こ と をあ らわ してい る と考 え られ る。 しか しなが ら,少 数 の学 生 は,自 分 の仕 事 以外 の理 解 が進 まな か った と感 想 を書 い てお り,実 習へ の積 極 的 な関 わ りや 班 員 との情 報 交換 が 少 な い 学生 をで きる 限 り把握 し,支 援 して い く必 要 性 を感 じた。 感 想文 の 中で,教 員 に対 す る要 望 と して 出 さ れ た意 見 は,「 改 善 案 を実 行 してみ たか っ た」 「実習 の 回数 が 少 なす ぎ る」 「実 習 室 を もっ と使 い たい」な どの積 極 的 な ものば か りで あ っ た。 また,感 想 文 中 には,「 達 成感 があ った」 「今 後(将 来)に 役 立 て た い」 「Plan→Do→Check→Actionが 実 行 で きた」 な ど の 意見 もあ った。 N.考

  総 じて,学 生 の 感 想 に は こ ち らが 意 図 した 内 容 が 的確 に伝 わ っ てお り,実 習 に よる学 習効 果 が 伺 え た。 しか しなが ら,表3・4で み た報 告 書 に対 す る 教 員 の評 価 と図5の 学 生 の感 想 で は,必 ず し も一 致 して い な い結 果 が得 られ た。 まず,原 価 管理 にお い ては,教 員 が 報 告書 を通 して学 生 の理 解 を推 し量 る の に対 し,学 生 は実 習 内容 の うち の計 画 お よび実 施 が 印 象 深 く,報 告書 に ま とめ られ た評 価 お よび改 善 につ い て担 当者 以外 の学生 は把 握 で きなか っ た可 能 性 が 考 え られた 。 ま た,衛 生 管 理 にお いて は,関 わ る学 生 の個 人 作 業が 多 くな りが ちな項 目で あ る ため, 学 生 間 で情 報 を共有 す るの が難 しい た め に,個 人差 が生 じた た め ア ンケ ー トの記 載 数 が,教 員 の評 価 ほ ど高 くな らなか った と考 え られ た。 さ らに労務 管 理 につ い て は,平 成16年 度 よ り17年 度 の学 生 にお い て 学生 の ア ンケー トへ の記 載率 が 減 少 した。 これ は, 平成16年 度 の報 告 書 の教 員 評価 か ら労務 費 の 解説 を 増や した た め,原 価 管 理 の 中 の労 務 費へ の関 心 が高 ま り,疲 労調 査 へ の 関心 が 下が っ た可 能性 が 考 え ら れ た。 よ って,学 生へ の 説 明 のバ ラ ンスが 重 要 で あ る こ とが 再認 識 され た とと もに,さ らに これ らの理

表4  給食経営管理実習報告書 の評点平均(平 成17年度)

評  価  項  目

計 画

実 施

評 価

改 善

計 画

の 良

実 施 を 想 定 し た 配 慮

計 画 と実 施 時計 測 との差

問 題  点 の 理 解

改 善 案 の 具 体 性

管  理   項   目

原価管理

3.0 3.2 3.0 3.5 3.8 3.3

衛生管理

3.7 3.5 3.8 3.4 3.6

労務管理

3.6 3.4 3.3 3.3 3.3 3.4

平   均

3.4 3.4 3.2 3.5 3.5 *n=12(6班 ×教 員2名 の評 価)  評価 方 法:よ い5→1悪 いの5段 階評 価

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平 成20年12月(2008年) 解 を学生 全 員 が 共有 す るた め に も学 生 間 ・担 当 者 間 ・ 班 間 ・ク ラス 間 で の情 報 交換 が必 要 で あ る こ とが わ か った。 しか し,学 生 が フ ァ ンク シ ョナ ル 組織 に配 属 され それ ぞ れ の責 任 を全 う しよ う と積極 的 に努 力 し,自 らの 努力 と理 解 につ い て高 く評 価 した とい う 結 果 が得 られ た 。  本 実習 の ね らい は,給 食 の管 理 業 務(マ ネ ジ メ ン ト)7)につ い て実 習 を通 し て体 得 す る。 とい う こ と で あ っ た ので,先 の結 果 か ら一 定 の効 果 が あ っ た と 考 え られ た。 現 在 の実 習 計 画 を もと に,今 後 は,情 報 管 理 ・マ ー ケ テ ィン グ7)を管 理 項 目 に追 加 し,ま た ク ックチ ル シス テ ム7)を取 り入 れ た 献 立 を取 り入 れ 労務 費 や 衛 生 管 理 にお け る 問題 点 の 改 善 につ なげ る よ うに実 習計 画 を発 展 させ てい く予 定 で あ る。 V.要

  平成14年 度 に改 定 され た 管理 栄 養 士 養 成 課程 の 新 しい カ リキ ュ ラム にお い て,「 給 食 管 理」 は,「 給 食 経営 管 理 論 」へ と内容 の 充 実が 図 られ た 。 それ に伴 い,講 義 ・実 習 内容 を見 直 す こ とに な った 。我 々は, 平 成16年 度 には じめ て 「給 食経 営 管 理 実 習」 を行 っ た 。 当該 の 実 習 で は,原 価管 理 ・衛 生 管 理 ・労 務 管 理 につ い てマ ネ ジ メ ン トサ イ ク ル を用 い て 業務 を遂 行 す る よ う に計 画 し,実 習 を行 っ てい る。 今 回 は, 平 成16年 度 と平 成17年 度 に行 われ た実 習 に つい て 実 習 終 了後 に学生 に ア ンケ ー トを行 い,教 員 が報 告 書 の 評価 を行 って 結 果 を比 較 し,3つ の管 理 項 目 に対 す る 学生 の 理解 に つ いて 検討 した。   そ の結 果,教 員 の評 価 は3つ の 管 理 項 目の う ち原 価管 理 が 最 も低 く,衛 生 管 理 が最 も高 くな ったが, 一13一 学生 の ア ンケ ー トへ の記 載 内 容 は逆 で あ った。 これ は,報 告 書 の完 成 度 は高 いが,衛 生 管 理 に携 わ った 学 生が 局 所 的 で あ り,そ の情 報 は班 内で 共有 され な か った と解釈 され た。 また,班 内 にお ける情報 交換 の 重 要性 を30%以 上 の 学生 が 述 べ て お り,こ の実 習 で 焦点 をあて た原価管 理 ・衛生管 理 ・労務 管理 の理解 に は学 生 間の情 報交換 が最 も重 要で あ るこ とが示 された。 V【.謝

  本 実 習 を行 うにあ た り環 境 お よび食 品 含有 微 生 物 につ い て ご助言 いた だ い た京 都 女子 大 学 講 師横 山佳 子 先 生 に深 謝 い た します 。 また,新 しい 試 み に快 く ご協 力 いた だ い た本 学 の助 手 の み な さ まお よ び新 し い 実習 に果 敢 に挑 戦 した学 生 諸 姉 に感 謝 い た します 。 VE.文

1)渡 邊   昌:管 理 栄養 士 養 成 施設 カ リキ ュ ラム 改   正 の概 要,臨 床 栄養,98,650-656(2001) 2)石 田裕 美:各 科 目のね らい と要 点 ・給 食 経 営 管   理 論,臨 床 栄 養,101,648-651(2002) 3)富 本 善 久:産 業 用細 菌 検 査 マ ニ ュ アル 第4版,   pp.8(2002)日 水 製薬 株 式 会社,東 京 4)日 本 産 業衛 生 学 会 産業 疲 労研 究 会:自 覚 症 しら   べ(2002) 5)農 林 水 産省 ・農 産 園芸 局 野 菜振 興 課:か いわ れ   大 根 生 産衛 生 管 理 マ ニ ュ アル(1996) 6)独 立 行 政 法 人野 菜 茶業 試 験 場:か い わ れ大 根種   子 の乾 熱消 毒 方 法(1997) 7)中 山玲 子 ほ か:新 食 品 ・栄 養科 学 シ リー ズ 給   食 経 営 管 理論,化 学 同 入(2005)       図5  学 生 の ア ンケ ー トに見 られ た 記載 内容 た だ し,平 成16年 度受 講 生 は83名,平 成17年 度 受 講 生 は80名 の結 果 で あ る。

参照

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