英語 参考書の選び方について
・ リストを記載する前に、いくつか大事な話をさせてください。 ・ 高校の英語学習を成功させるために、鍵となる考え方を、最初に述べようと思います。 【大学入試の大前提――これを知らないと損をする!】 前提1: 入試配点の 8 割以上は長文読解+作文と思ってよい。 高校生の皆さんに、「英語はどんな勉強をしていますか?」と尋ねると、最も多い答えが、 「とりあえず文法をやっています。この問題集からよく出ると、先生が紹介してくれまし たから。」というもの。 しかし、実はこれはかなり危険。 なぜ危険なのかを、まず説明します。これを理解しないと、参考書選びの方向性を間違 ってしまうからです。あ、自分もあてはまるぞ、と思った皆さん、しっかり読んでみてく ださい。 まず、「この問題集からよく出るよ」と学校や塾で言われた文法問題集 ..... 。もちろん、それ を紹介してくれた先生は、皆さんにウソを教えたわけではありません。入試によく出る文 法問題は、たしかにその文法問題集の中に入っています。出るのは、事実です。 しかし……しかしですよ。それを紹介してくれた先生は、その文法問題が、入試(100 点 or 200 点満点)の中で、何点分にあたるか、ということまで教えてくれたでしょうか? この点を、まずここではっきりさせたいと思います。 結論を先に言うと、大学入試において、文法力が合否を分けることはあまりありません。 文法の配点は、平均すると、満点の15%程度です。残りの 80%以上のスコアが、文法以外 のことに配点されているという事実。皆さんには、ここにまず目を向けてほしいのです。 たとえば、国語の入試で、「この問題集からよく出る」と言われた漢字の問題集 ...... があると します。ウソではなく、本当に入試によく出るとしましょう。しかし、皆さんは、その問 題集を「国語学習の中心にしたい!」と思うでしょうか。おそらく、ほとんどの皆さんは NO と答えますね。ではなぜ、NO なのでしょうか。それは皆さんが、国語入試の配点を、感 覚的に分かっているからだと思います。配点が高いのは読解であり、文法や漢字は、入試 の配点ではそれぞれ 10%程度しかないことを、皆さんは感じているはずです。だから、皆 さんの多くはすでに、国語学習の中心を「読解」に置いているわけですよね。ところが、不思議なことに、これが英語になると、急に、文法ばかり勉強している高校 生が増えてしまうのです。これは、配点に対する誤解だと、私は思います。 大学入試における、英語の配点の基本は、国語と同じ ..... です。つまり、最もスコアが大き く配分されるのは「読解」+「作文」なのです。 参考書を選ぶ際には、当然このことを知っておく必要があります。 また、ふだんの英語学習に関しても、たとえば、「文法に毎日1 時間。読解にはあまり時 間をかけていません。」という人がよくいますが、それが危険なのは、もう分かったと思い ます。それでは、入試本番で、100 点満点のうち 15 点~20 点程度しか取れないでしょう。 8 割のスコアを捨てているのと同じです。 英語のスコアが高い人の学習時間の配分は、まったく逆になっています。「読解の練習に 毎日1 時間。作文も練習しています。文法は……あまり時間をかけていません。」こういう 人が合格するのです。 さあ、今まで、「英語の勉強=文法の習得」だと思っていた皆さん。発想をまず切り替え るところから、スタートして行きましょう! (重箱の隅をつつくような細かい文法は、後 回しでいいのです。) 前提2: 「問題集を解けば成績が上がる」は、英語の読解に関してはウソ。 次に、どの科目も効果的な勉強方法は同じだ、という思い込みも、捨てる必要があると 思います。 はっきり言いましょう。数学と英語(特に読解)はまったく違う科目です。 数学は、与えられた条件(命題や数値)を用いて、論理を重ね、正解を導いていく科目 です。だからこそ、パターンに従って、何度も問題演習をすれば、確実に技術が身につき ます。また、数字だけを変えた、まったく同じ問題が入試に出ることもあります。そのた め、数学では、良い問題集で繰り返し練習することが、合格に直結するのです。 それに対して、英語の「長文読解」はどうでしょうか。まったく同じ問題が入試に出る でしょうか。答えは NO です。同じ筆者の、同じ課題文が出題されることを期待して、繰 り返し市販の読解問題集を解く、ということに、決定的な意味はないのです。このことを まず受け入れるところから、学習をスタートさせましょう。 いいでしょうか。どこかに魔法のような問題集が売られていて、入試とその問題集がそ っくりであり、それを何度も解けば受かる、などということはないのです。「問題集を解く
=成績が上がる」という、思い込みに意味がないことが分かった皆さんは、ではどうすれ ば力がつくのか?という新たな問いに向き合わなくてはいけません。 私は、家庭教師を始めてから20 年以上、この問題に向き合ってきました。 ここで、私がこれまでに考えてきた、英語学習に関する問いと答えを、下に書いてみよ うと思います。皆さんが共感してくだされば嬉しいです。 (※ 下記の「疑問」と「答え」を順に読んでいけば、なぜ私が後ろのページで、問題集で ないものを皆さん用にリスト・アップするのか、おそらく分かってもらえると思います。) 疑問点1 ・ 英語のスコアが伸びない受験生は、なぜ点数が取れないのか? 答え ・ 長文読解の練習をしていないから。あるいは読むのが遅くて、時間内に解けないから。 疑問点2 ・ なぜ、彼らは長文読解の練習をしないのか。 答え ・ 何を使って練習したらいいのか分からないから。(もしくは入試配点を知らないから。) 疑問点3 ・ 読むのが遅くて、制限時間に間に合わないという最大の原因は何か。 答え ・ 知らない単語が多すぎて、長文に何が書いてあるのか分からないから。 疑問点4 (重要!!) ・ 長文に出てくる単語をほとんど知っていれば、話題についていけるから、格段に早く読 めるということを、高校生にもなれば本当は分かるのでは? なぜそれでも、彼らは単 語を覚えようとしないのか。 答え ・ ふだんの学習で、辞書に頼りすぎている。知らない単語があれば、すぐ辞書で引けばい いと思っている。(最近の電子辞書は、ポンと引けて便利なので、ついすぐ引いてしま う。結果、単語なんて覚えなくてもいい、と錯覚してしまう。) ・ 単語を覚える必要があることは分かっても、どの単語を覚えればいいのかが分からない。 つまり、入試に出る単語、出ない単語を、どうやって区別すればいいかを知らない。 (何万語も記載されている「辞書」を使って、それを全部覚えようとする無謀な受験生 もいる。そして途中で挫折して、「もう単語を覚えるのはやめた」などと極論に走る。)
・ ついに単語が大切だと気がつき、単語集を購入してきたが、「選び方」を間違っている。 「×アルファベット順に単語が並んでいる」「×単語だけが載っている単語集」「×長文 読解とセットになっていない」……といった、ほぼ無意味な編集、とうてい記憶に残ら ないデザインの単語集を選んでしまっている。その結果、やはり挫折。 ↓ ・ 結局、「効果的な単語の覚え方」について、真剣に考えていないことが、最大の敗因。 ↓ ・ しかも、「単語を覚えるときは単語だけ」、「読解練習のときは読解だけ」という風に、 別々に練習しようとしていることも、失敗の原因であることに、気づいていない。連動 して練習したほうが、何十倍も何百倍も、記憶に残るというのに! (※ 「長文読解」と常にセットになっている単語集 = 効果MAX) さて、ここまで 4 ページ読んでくださった高校生の皆さんは、英語にはどうやら「効果 的な学習方法」と「参考書の選び方」があるようだ――それを知っているかどうかが、合 否を左右するようだ――ということが、おそらく雰囲気として分かってきたと思います。 (次ページで)私がなぜ、お勧め参考書の最上位に「問題集」ではないものをリスト・ アップするのかも、おそらく分かってもらえるのではないでしょうか。そして、実際にリ ストされた参考書を手にとって使い始めた時――きっと、私の言いたかったことが、皆さ んにも実感できるはずです。 「問題集を繰り返し解いても、あまり上がらなかったんです……」という受験生が、「効 果的な方法」で成績を急上昇させていく姿を、私は何度も目の当たりにしてきました。急 がば回れ。読解力を本当につけたいなら、最初に手にとるべきものは、「問題集」ではない のです。 (次ページからは、参考書リストとなります。字数を抑えるため、以降は「だ・である体」 で執筆する部分が増えます。)
英語 参考書リスト
【文系・理系共通】(※ 東大、京大、東工大、早慶、医学部など最難関を除く。) (メインとなる参考書――総合力をつけるために) 1. 風早寛「速読英単語 入門編」(赤色)Z 会出版 2. 風早寛「速読英単語 必修編」(青色)Z 会出版 (【ご購入上の注意点】※ 重要 「速読英単語」は、アマゾンでのご購入はできません。 アマゾンでの取り扱いは「古本」になるため、出品されたものが、改訂された新版であ る保証がないからです。 ご購入は、下記の出版社サイトからが最も安全です。確実に新版が入手できます。 http://www.zkai.co.jp/books/search/book_detail.asp?ID=1896 ご自分で検索される場合は、「Z会出版」で検索をかけていただき、サイト内の「高校・ 大学受験生向けの書籍」というコーナーから、各種参考書を発注できます。 では、以下が推薦する理由です。「だ・である体」で執筆します。) 大学入試の配点において、「長文読解+作文」が占める割合は、約8 割(以上)あると思 ってよい。そして、すでに述べたように、単語が分からない状態で英語の長文を読むのは 不可能。(たとえ文法が分かっていても、単語が分からなければ、話題が理解できないため、 やはり文章は読めない。) しかも、入試では、速く読めなければ合格は不可能。「あ、この単語見たことはあるけど ……意味をすぐ思い出せない……」などと考え込んでいる間に、試験時間は終わってしま う。(たとえばセンター試験では、どのくらいの量の英文を読まねばならないか、皆さんは 知っているだろうか? 80 分の試験時間で、だいたい学校のリーディングの教科書 16 ペー ジ以上の量を読みこなせる、スピードと読解力が必要と言われている。) つまり、思い切って言えば、単語力は読解力の 要かなめであり、同時に、速読の必須条件であることが分かる。だから、単語力は総合力であり、大学合格の必須条件なのだ。 さあ、この情報を手にした皆さんは、すでに周囲より、10 歩も 20 歩もリードしつつある ことが、見えてきただろう。このことを知っているかどうかは、入試のスコアに、「天と地 ほどの差」を生むのだから。 また、もうひとつ大事なことにここで触れておこう。 皆さんは、大学入試に必要とされる単語が、いったい何種類あるのか、知っているだろ うか。数え方によって多少の差は出てくるが、大学入試に必要な語ご彙いは、だいたい2000 語 と言われている。(※ 数え方によって、というのは、派生語を「別の語」とカウントする かどうかということ。たとえば、「動詞 communicateコ ミ ュ ー ニ ケ イ ト = 伝える」と「名詞 communicationコ ミ ュ ニ ケ イ シ ョ ン = 伝達・伝えること」を、私は同じ単語としてカウントしているが、これを「別の単語」 とカウントするなら2500 語ほどに増えるだろう。) さて、必要な数を、ここで「2000 語」と指定したことの意味は、じつはとても大きい。 なぜなら、これによって、皆さんが高校で出会うことになる無数の単語を、2 種類にはっき り分けることができるからである。すなわち、「必ず覚えるべき語彙」と「ムキになって覚 えなくてもよい語彙」である。辞書に載っている数万の単語を、すべて覚えようとする行 為がなぜ無駄であるか、これでもう、皆さんにも分かっただろう。 そして、必要な「2000 語」は何を見れば分かるのか? その「2000 語」が網羅されてい る参考書はあるのか? という問いに答えるために、私は上記の 2 冊をリスト・アップした ――そういう仕組みに、なっている。 参考書を入手して、開いてみればすぐに気づくことだが、「速読英単語」のシリーズは、 必要な単語をアルファベット順に紹介したりするような、無意味なことは一切しない。単 語だけ並べて、機械的に単語を覚えさせる……というような、つまらない(飽きやすい、 しかも記憶に残らない)提示のしかたも、一切しない。 「単語の練習のときは、単語だけ」「読解練習のときは、読解だけ」という、バラバラで ちぐはぐなトレーニングも、決してさせない。この参考書では、単語の学習と、読解練習 が、常に一体になっている。つまり、英語の総合力をつけるために、最適な方法が、絶妙 なバランスで例示されているのである。まさに、高校の英語学習のメイン教材としての条 件を備えている。 さて、では「速読英単語」を隅々までマスターしたとき、入試英文における語彙の、ど のくらいの割合がカバーされるのかを、ここで確認しておこう。 ずばり、センター試験と、東大の入試問題の双方について、9 割以上の単語が、「速読英
単語」によってカバーされる。他大学についても、ほぼ同様である。 これがどのくらいすごい状態であるか――もう想像がつくだろう。入試本番において、 辞書など一切なしで(※ そもそも入試の際に辞書は使用できないが……)、「問題はじめ!」 と言われて冊子を開いた瞬間、目に飛び込んでくる本番の英文の、9 割以上の単語が、すで に一瞬で意味が分かるものになっている。そしてもちろん速読でき、正解を導くことがで きる。試験時間が足りない……という悩みとも、ほぼ無縁になるであろう。 ここまで読んで、よしやってみようと思った皆さんは、ぜひ上記 2 冊の参考書とがっぷ り四つに組んで、じっくりと学習を進めてほしい。しばらくの間、「問題集」の類に手を出 す必要がなく、この 2 冊を隅々まで覚えようと思えば、充分時間がかかるということに気 がつくだろう。もちろん、その努力は、やがて報われるときが来ることとなろう。 (【補足:保護者のかたへ】 よくご質問をいただくのですが、「速読英単語」は単なる単語集ではありません。 タイトルだけを見て、ご自分で冊子を開かずに、「×単語だけが書いてある単語集なんで しょ?」「×リーディング教材も同時に買うべきですね?」と誤解される方がいます。 しつこくて申し訳ないのですが、百聞は一見にしかず、何事もご自分の目を信じていた だきたいのです。「速読英単語」には大量の長文読解練習がついています。単語+リーデ ィングを融合させた、非常に効果的なデザインです。融合することで記憶率が高まり、 かつ、英語の「総合力」がグングン上がります。 リーディング教材でもある事は、出版社サイト内でも説明されています。「そんな便利な ものが本当にあるのか?」とどうしても信じられない方は、アマゾンで「古本=旧版」 をまず100 円ほどで買っていただき、本当だと確認してから、「最新版」をZ会出版で改 めてご購入されてもかまいません。) 以下は、使い方についての注意事項である。 もちろん、伝えたいことは色々あるが、絶対に守ってほしい部分を、今回は記載する。 使い方について、ここで簡単に言える注意点は3 つ。 ① 単語も英文も必ず音読すること。(※ 近年の脳科学研究によって、音読すると脳細胞が 活性化し、記憶が強化されることがすでに証明されている。合格したいなら音読。) ② 読めない(音読できない)箇所については、学校の先生や、英語の得意な大人に必ず質 問すること。(※ 発音を間違ったまま覚えていては、将来英語を使う際に大きく損をす
る。のみならず、入試の発音問題に答えられない。なお、別売りではあるが、「速読英 単語」はCD も発売されている。CD があれば、全ページの音声を聞くことが可能。必要 性を感じた場合は、購入するのもかなり有効。) ③ 何度も繰り返すこと。つまりサーキット・トレーニングすること。 (※ 各課の英文を隅々まで味わい、カラオケのように ........ 楽しみながら練習しよう。カラ オケで、好きな曲を歌いこむのと同じこと。何度も歌えば、体が勝手に動き、次の歌詞 が自然に口から出てくるだろう。理屈をこねなくても、決まり文句が、ふさわしい場面 と流れで、口から勝手に出るだろう。それが理想状態。ここまでできたら、大学入試の 問題が一気に簡単に見える ...... であろう。語学において、本物の実力とは無意識レベルまで 達した感覚のことであり、ネイティブが書いた、良質かつ自然な表現に満ちた本書は、 英語を一生使い続ける上で、真似るべき表現の宝庫。スラスラ音読できるよう練習して いけば、「正しい条件反射 ....... 」が形成され、英語の総合的センスが向上する。受験に勝て るだけでなく、英語じたいが加速度的に上達する。) なお、1 年生や 2 年生のうちに、「速読英単語」をかなり先の方まで進める、やる気満点 の生徒さんたちもいるであろう。そんな皆さんには、大きな副産物がある。それは、教科 書の予習をするときに、もう辞書がほとんど要らない、ということである。また、将来英 会話の練習をするときも、辞書はほとんど要らないであろう。どちらも2000 語で間に合う からである。英語が、おそらく得意科目になるであろう。 (作文の問題集) 3. Z 会編集部「英作文のトレーニング (実戦編)」Z 会出版 英作文に関しては、この1 冊で国立大レベルまでを充分カバーできる。(姉妹品の「はじ める編」等は、「実戦編」を難しすぎると感じる人のためにあるが、必須ではない。) 作文については、模範解答以外にも、もちろん正解はある。が、自分が書いた文で、「ど うしてこの書き方ではダメなんですか?」と疑問がある場合は、必ず教師に見てもらうこ と。作文というのは、主観(自分で書いた思い込み)で自己採点することはできない。第 三者に客観的に見てもらう必要がある。入試の採点基準は、①その書き方で正しく相手に メッセージが伝わるかどうか、②不自然すぎる表現になっていないか、という2 点である。 つまり模範解答以外の文章が何点もらえるのかを、自己判断することはできない。教師は そのためにいると思おう。 また、模範解答をただ暗記しようとしても、記憶には残らない。なぜ筆者はその表現を 選んだのか、理由も本書にはしっかり説明が添えてある。よく読んで理解することが大切。 なお、この参考書を使って学習を始める時期であるが、今日からすぐ始める、などとあ
せる必要はない。なぜなら、ここでもやはり、単語を知らなければ英文は書けない、とい う当然の事実を見据えなくてはならないからだ。つまり、「速読英単語」をある程度、習得 してからでなくては、作文の練習自体ができないのである。 たとえば、まず「速読英単語」の入門編をしっかりマスターする、あるいは、必修編の 半分以上をマスターする、などして、英作文の学習に入る気力と基礎力を養ってから、本 書の学習に入るほうがスムーズに教材を使えるだろう。 また、本書も、サーキット・トレーニングをして、スラスラできるまで繰り返さなけれ ば、大学合格レベルにならないことも、もうお分かりだと思う。入試の制限時間は限られ ている。試験中に考え込んでいる余裕はない。要求された英文を、すぐに書けなくては間 に合わないからである。 (文法の問題集) 4. 瓜生豊・篠田重晃「Nextネ ク ス Stageテ ー ジ 英文法・語法問題」桐原書店 文法についても、この1 冊で受験対策が可能。 ただし、すでに述べたことだが、入試における文法の配点は15%程度であることが多い。 よって、本書を英語学習のメイン教材にできないことは、もう一度ここで確認しておく。 とはいえ、本書は入試の「小問集合」、特に文法問題については、非常によくカバーされ ている。本書の問題がそのまま入試に出ることも多いと、各大学の過去問を見れば大いに 納得できるだろう。よって、サーキット・トレーニングする価値は大きい。 本書は「小問集合への対策」を掲げているので、文法と同じく小問で頻出する「イディ オム」「会話表現」なども含まれているが、本書の最大の強みはそこではない。じつは本書 の最も優れているところは前半にあるのだ。「文法」「語法」という章が前半(part2 まで) に配置されているが、そこに掲載された問題群が秀逸である。サーキット・トレーニング はそこを何度も行うべきだろう。 時間がないなら、「イディオム」「会話表現」の章は開かずに終わることもできる。なぜ なら、これらは「速読英単語」でも多くをカバーできるからだ。(※ イディオムとは「連 語・慣用句」のことであり、語彙の一種であるから。) なお、最後に本書のサーキット・トレーニングについて述べる。 本書は左ページに問題が、右ページに「解説」がそれぞれ記載されるという形式をとる。
解説を読んでも分からない問題は、教師に質問しよう。理解できない問題が、入試本番で 出たら答えられないし、少しでもひねられたら終わりになる。面倒がらずに確認する習慣 は大切。 また、難問については、(*)などのマークが付されている。これは早稲田・慶応など、主 に私立の難関大学にしか出ない問題であることを示す。よって、志望校がそうでない受験 生は、この問題を飛ばすか、最後に回してよいということになろう。 そして、本書を使い始める時期であるが、これも今日から、などとあせる必要はない。 なぜなら、単語を知らなければ、問題の英文自体の意味が分からないから、穴埋めどころ ではないことにすぐ気づくからである。 たとえば、中学校で「enjoy の後ろには ing が来る」というルールを習っているから、 こういう問題を見たことがあるだろう。 (問)適切なほうを選択せよ。
Yesterday, I enjoyed ( to walk / walking ).
高校生の皆さんは、余裕で walking が正解ということを選択できると思うが、もしここ で、enjoy(楽しむ)という単語、walk(散歩する)という単語を知らなかったらどうだろ うか? そうなると、おそらく文法以前の問題ではないだろうか。つまり、単語が分から なければ、結局問題は解けないし、解説を読んでも分からないのだ。 このように、英語学習の事情が分かれば、ここでもやはり、「速読英単語」の入門編をマ スター、あるいは必修編の半分以上をマスターしてから、文法の学習に入っても遅くない ことが見えてくる。そもそも、入試における文法配点は15%程度なのだから。 ここまで読んでくださった皆さんには、ぜひ適切なバランスで高校の英語学習を組み立 て、志望校合格への一本道を歩んでほしい。将来英会話を練習するときにも、この方法は 必ず役立つので、未来まで見据えながら、日々の学習方法を考えていこう。 (※ なお、受験学年になったら、センター試験と志望校の過去問をしっかり演習すること も大切なので、間に合うように計画を立てていこう。)