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生育および発芽における大豆炭水化物の変化 II 大豆の発芽による糖類の変化-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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第17巻第2号(19占占)

生育および発芽における大豆炭水化物の変化

Ⅱ 大豆 の 発芽に よ る 糖類の変化

川 村 信−・郎*,古 市 明 紀**

99 ま え が き 大豆の糖類として−ほいわゆるラフィノース族少糖類すなわちオリゴガラクトレドサッカロ−スがおもで,尊磨類は 敬意である.川村ら(Ⅰ)の分析によると9品種の平均(無水物に対して:)は次のようである.アラビノ−ス(遊離糖か どうかわからない),こん跡;フルクトース,こん跡;グルコ−・ス,0…05%;サッカロ−ス,4..る%;ラフィノ、−ス, 1・0%;スタキれ−・ス,5.5%;ベルパスコース,こん臥 前報(2)によると発芽により還元糖ほわずかであるが増加 し,非還元糖は減少する傾向を認めた. VoN OHLEN(3)ほ大豆が発芽したときの各部分につき,炭水化物,脂肪,タンパク贋,ミネラルの藍的変化の大略 を報告した.還元糖ははじめ検出されず,発芽のあと胚軸と根に検出されるようになり,非還元糖はどの部分でも減 少して行く(ただし根にほ非還元糖は検出されなかった) BouRDONら(4)によると発芽によってラフィノ−スとスタキオ−スはすみやかに消失するが,発芽から49時間あと に微鼠のマルトースが出現するという. ソウル大学の挙ら(5)ほやは.り大豆の発芽により,タフィノ−.スやスタキオ・−・スが消失するこ.と,サッカロ−スも減 少すること,単糖類としてグルコースとフルクトースは発芽により検出されるようになるが,ガテクトースほ瞼出さ れないことを報告した.なお糖からのビタミンCの生成についてはD−グルコース→D−グルクロン酸→D−グルクロノー γ−ラクトン→L−グロソ酸→レグロノ1トラクトン・→2−ケトグロソ酸−→レアスコルビン酸,およびD−ガヲクーース→ D−・ガラクツロン酸→L−ガラクトノーγ−ヲクトン→レアスコルビソ酸の2個の経路の可能性を示し,粗酵素製品で予 備実験を行なっている..(著者は大豆もやしならびに.緑豆もやし(7)におけるビタミンCの生成について.も研究してい る) 挙ら(6)ほさらにイオン交換クロマトグラフ法により糖を分別定鼠した.発芽させる前の大豆では含有率はラフィノ ースを1.0としてサッカロース11.1に.対し,スタキオ−ス11u9となった..ラフィノースとスタキオースは発芽により すぐ消失し,グルコースとフルクトースがあらわれるが,ガヲクトースほ検出されない.発芽から2日あとの子葉で はグルコ−ス1い0に対し,フルクトース2、9,サッカロ−ス17..4であるが,胚軸と板ではこの5種の糖がはば同じくら いとなり,4日あとにはサッカロ−スもさらに減少した.この報告では李らほガラクトースがデンプンに変る経路も あろうと考えた. 最近ネブラスカ大学のPAZURら(8)も大豆の発芽における少糖類の減少を認め,グルコースとフルクトースは検出さ れるが,ガラクトースは検出されないと報告した..なおガラクトースの代謝に関連した酵素につき研究している 著者らほ発芽により大豆の糖類がどのように変化するかを走崖的ぺ−パークロマトグラフ法により調べたので,こ こに報告する. 実 験 1..試料の調製 1”1.原料大豆 香川大学農学部の農場で19る2年7月5日に種子をまき,10月51日に収穫した“中性九州12号”を 用いた.この大豆は普通の晩性大豆に比べでそ・の大きさは%くらいである.これを天日で2時間乾燥した付 そのとき の水分含有畠は11..亜%であった. 1.2,大豆の発芽 粒のそろった,つやのある大豆だけを100gずつ9絶とり,粒を数えた(平均1粒あたりの糖鼠 *香川大学農学部農芸化科学生物化学研究窒 **現在:大阪国税局鑑定官室

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香川大学農学部学術報告 を引算するため)..この大豆を それぞれ水に10分間浸し,水を 切ってから0.1%昇コク液で10 分間常温で消毒した..これを塩 素イオンの反応がなくなるまで 殺蘭水で洗ったぃ 発芽床として 川砂を10%塩酸および10%水酸 化ナトリウム汲でおのおの1時 間ずつ加熱してから,水でよく 洗い,さらに殺菌水を加えて加 熱したのち,ホウロク引きバッ トにおよそ2cmの厚さにひろ げたものな用いた… この発芽床 に消毒した稜子をまき,種子が かくれる程度に(1cmくらい) 土をかけた.250の定温器で暗 幕をかぶせて発芽させたい 表発 による発芽床の乾燥を防ぐため と,発芽に必要な水分を補給す るためとに必要な鼻の殺菌水を 毎日与えた… 発芽のあとTable lに示す日数がたった大豆もや しを水洗して川砂を除き,るDO の熱風乾燥器で1夜乾燥してか ら目方をはかり,ミキサーで粉 末にした”発芽のあとそれぞれ の日数がたった試料の乾燥した あとの重義.,水分含有毘などを Tablelに示した付 それぞれの 日数がたった大豆もやしの仲島 状態ほTable2のとおりであ る. 100

Tablel。Dry weightand moistuIe COntent Of germinated SOybeans.  ̄

y−−∵一こ

q▲▲uリ川モ Moistu‡e・まIee Weigbt, g Moisture COIltent, % Days afteI geI皿ination 1〔きOg$Oybeans! ー 占00,g 88巾55 87 25 87小79 8占29 84 52 95−00 91りる5 94占5 92..20 89.00 92い口0 4ハ45 4 80 7…49 占り41 505 nU 1 2 ZJ 4 ′0 8 ∩︶ 5 ′0 8 nU 5 ′b 4 2 7〇 2 55弘55訂弘髭5る55弘 9、88 82.91 91‖る0 】 10‖る4 L 81い85 85い50 81。.90

5・45 】 7878

る172 長 7る40

Table2り Elongation ofIOOtS and stems of soybeans∂fteI germination.

PaIt Of roots Stems, With hairs,Cm Cm Roots, Cm Days afteI germination 0 1 2 3* 4* d 8 4 nU 2 4 ′0 0J 8 2 5 1− 2 7つ 7へ︶ 一 4 8 nO nU ︻ .4 2 nU 5 − − −

* The soybean sprouts5−4days after germination had the best appearance co皿Pa工able to commeICialproducts.

2..糖類の抽出と精製 2い1抽出 上の1..2小により発芽させた大豆もやしの乾燥試料をそれぞれの日数につき20000gずつ500ml三 角フラスコにとり,80%.エチルアルコール100mlを加え,逆流冷却器をつけて1時間那とう湯浴につけて抽出する小抽 出液をこし別けた残留物をふたたび同様の操作で処理する… このろ液および洗液の合計ほおよそ一500皿1となった.・ 2日2精製 こうして得た抽出液に飽和酢酸鉛溶液をすこし過剰に加えて,鉛と結合したタンパク質の沈でんを遠 心分離し,Ⅳ炭酸ナトリウムを加えて弱酸性にして,鉛イオンを沈でんさせて遠心分離したL.これを55−570で減圧濃 縮しておよそ25mlとした√.これをイオン交換樹脂アンバ−ライトIRA−120とIRA叫45のカラムにより精製した‖ 5“ぺ・−・パ−クロマトグラフィーによる糖類の定性と定量 5..1定性 糖液を多量展開(5回)上昇法で,ブタノールー酢吸岬水(4:1:2)により展開し,♪−アンレ汐 ソ塩酸塩(水飽和ブタノ−ルに2%とかした)溶液を噴務し,1050の定温器の中で反応させ,発色したスポットの移 動距離により糖類の定性を行なったい 結果はTable5に示す… この結果から移動距離が標準とほぼ一・致しているの で,つぎのように推定した”発芽させる前の大豆には5種の少糖類(サッカロース,ラフィノ−・ス,スタキオ−ス) が検出され,発芽から5日あとまでほこの5種であるが,そのあと二糖類のラフィノ−スと四糖類のスタキオ−スが

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101 第17巻第2号(19占占) 見られなくなり,4日たつと単 糖類のグルコー・スとフルクトー スが検出されるようになった 発芽から15日あとではサッカロ −スだけが検出された.全体に わたってガラグトースはやはり 検出されなかった 5.2.定量 ぺ−パ一−クロマ トグラフィ一による定鼠にほい ろいろな方法があるが,ここで ほ.発色させたスポットを溶かし 出さないで直接分光光電比色計 を用いてMcFARRENら(9)の方 法にもとずいて一定量した まずろ紙片(東洋No小51)に 一定還(10−75γ)のサッカロ− スを添加し,同一・条件で展開 し,発色し,そのスポットの呈 色度を410mJ上で比色計(島津 QB−5D型)で求めた”サッカロ −ス,ラフィノ−ス,スタキカ −スに対する吸光の最大はそれ ぞれ410,417.5,590m/ムにあっ たので,中間値にあたる410m〟 によることにした‥比色計にか けた場合のスポッ十の移動距離 (mm)を横軸にとり,1mmこ との吸光度を縦軸にとってグラ フをえがき,その面積せブラニ メータ−ではかるい10,25,50, 75γの場合,それぞれ1.40, 5.55,る.50,10150cm2となり, はぼ比例することを確かめた. 濃度のわかっている糖液と試 料の糖液をろ糸氏片に定量的につ けて,同山条件で5回上昇さ せ,同様に発色させてから・5ロ分 の間に上のようにして比色し, 方眼腰湛より面積を求め,濃度 のわかっているものとの比例か ら試料の糖星を計算する.供試 料20gの中の各種糖類の鼻を求 め,これを無水物に対する%と

Table5.Distances(czn)travelled by various sugarsin triple

development with butanol−aCeticacid−Water(4:1:2)u

The distance between 十he orlglnalspot and the

soIvent frontis25cm.ChromatogIaphy was made at

room temperature(7±3O)

Table4Sugarsof germinated soybeans(%on moistuIe−freebasis)

Sugars of germinated soybeans(mg per soybean

Orits spro11t)い

Table5

して計算し(Table4),また

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香川大学農学部学術報告 1〔)2 考 察 Tablelからわかるように発芽によって−全固形物は明らかに減少する.減少する貯蔵物質としてほまず脂肪が考え られる.(2)糖類の合計も大体減少している(Table5)り これらの貯蔵物質ほ発芽のエネルギ−を供給し,一部は他 の物質に変化したと考えられる この報告の糖類含有愚の数値(Table4)は別報(1)などに、比べてもわかるように,・やや小さ過ぎるかも知れない. その理由の一部ほ糖の抽出(2い1.)を2回しか行なっていないため,抽出が完全でないことにあろう. Table4,Table5により明らかなようにガラクトースを含む少糖類であるラフィノースとスタキオースは発芽か ら4日あとにほ消失した.そ・してフルクトー工スとグルコースほ遊離状態で検出されたが,ガラクトースは検出されな かった.これは従来の報告(5・88)を追認するものである.これはガラクーー・スがすみやかに他のものに変化すること を示す..この点について−PAZURら(8)は酵素化学的に研究した,それによるとガラクトー・スはガラクトキナーゼによ りガラクトー・ス叫1一リン酸となり,これは(a)UDP(クリジン汐リン酸)−ガラクトース→UDP−グルコー・スになる か,または(b)UDP−グルコースと反応してグルコースー1−リン酸とUDP一ガラクトースになるという. 大豆の発芽による糖類の変化ほ生物化学的にほなほだ興味があるが,緑豆の発芽においてもラフィノ−スとスタキ オー・スとベルパスコ−スはすみやかに減少し消失するのに,乳糖類としてはグルコーヌとフルクトースだけが生じ, ガラクトースは検出されない(7)ことは全く同様である. つぎに食品化学的に見ると発芽から5−4日のときほサッカロ−スが最も多く,消化しにくいラフィノース,スタ キオースがなくなっているので,栄養価値が高い.ビタミンCの測定ほしなかったが,緑豆もやしの場合にほ糖類給 含有品の最高のときに還元性ビタミンCが最高であった(7)から,この点からも発芽から.5−4日のころ紅ビタミンCも 多くなっている可能性がある、外観からもこのころのもやしが一㌧番市販品に近い(Table2参照) 要 1′′ 大豆■を発芽させた場合の糖類を分別定量して,発芽からの日数による各種糖類の増減を数値的に表わした 2.走塁ほぺ−パ− クロマトグラフィー・により分別呈色させて得たスポットを適接比色する方法紅よった. 5..大豆そのものでは単糖類ほ検出できず,サッカロース(ショ糖,二糖類)15.7%,ラフィノ−ス(ガラクトレ ドサッカロ−ス,三糖類)0.る%,スタキオ−ス(汐ガラクーンドナッカロース,四糖類)1…5%であった、(これは 別報(りよりかなり低い値である.) 4.発芽によりサッカロ−スは5日までやや増加し,あと順次に減少したが,15日まで残っていた..ラフィノ−∴ス とスタキオ−スほ発芽により減少し,4日あとには検出されなかった…単糖類のうちフルクトー・スとグルコースが発 芽のあと4日であらわれたが,これは増加しなかった.ラフィノー・スとスタキオースの構成糖のガラクトースは検出 されなかった.このガラクトースは生してもすみやかに代謝されるようである 5‖ 食品としての大豆もやしはこの実験の条件でほ発芽から5−4日のころに外観もよく,食品価値も高いと思わ れる この報告は古確明紀の卒業論文(19占5年5月)を主体とする.多田稔助手の協力に感謝する..なおこの研究の大要 ほ19占5年5月18日鳥取大学学芸学部で行なわれた日本化学会中国四国支部第58回常会で講演した 引 用 文 献 (1)川村信一郎,多田 稔,楢崎丁市:栄養と金粉, 18,15(19る5)(講演要旨) (2)多田 稔,川村信州郎:香川大農学報,14,148−55 (19占5) (3)VoN OHユEN,F、.W‖:A桝../、.β仇相聞.γ,18,52−50 (1950). は)BoIJRDON,D.,QuIILEI,M,:Co∽♪≠.γβ〝d, 249,504一る(1958) 15)LEE,K.Y・(李基寧),LEE,C.Y(李春寧), LEE,T..Y(李泰寧),KwoN,TいW.(権泰完): 5g∂〟Jぴ〝よ−ぴ/.,βわJ.Ag′∴5β7\,8,55一朝(1959)け (6)一−−−−,仙−【,〔−,【一:J∂壷♂ ,9,12− 17(1959). 171外聞ゆき,尚 弘子,川村信一郎,翁長君代,新患 博子,友利和子:琉球大農家政工学報,10,184−90 (19占5).

(5)

第17巻第2号(19るる) 105

(8)PAZUR,J.Hい,SHADAKSHARASWAMY,M小,MEト (9)McFARREN,E…F.,BRAND,K.,RuTKOWSKI,

DELL,G.E.:A′’Cカ.β如加椚、.β∫♂♪妙s.り 甲, H.R.:加αJけCカβ椚.,25,11舶−9(1951) 78−85(19る2)

Changes of soybean carbohydrates d11ring growth and ge工mination. ⅠⅠ.Changes o董sugars on ge工mination.

Sin’itir6KAWAMURA and AkinoriHuRUITr

Summary Sugars were determined by quantitative paper chIOmatOgIaPhy according to the method of

McFARREN et al.(9)Ungerminted soybeans contained5小7%sucrose,06%Iaf董inose,andl.5%stachyose (These values arelower than thosein another report小(,))After germination sucrose somewhatincreased up to5days,then decIeaSed gradually,and persisted11p tO15days‖ Raffinose and stachyose decIeaSed

On geImination and disappeared4days thereafter,Fructoseand glucose appeared4days after germination

and then decreased.Galactose,a COnStituent of raffinose and stachyost5,COuld not be detected after germinationThisisin accoId with former findings by BouRDON and QuILLEI,(4)LEE etal.,(56〉and

PAZUR et al.,(8〉 Thisisalso truein case o董 germinated mung beans(7)Galactose might be rapidly Znetabolizedh(8)The soybean sprouts may have the highest nutritive value 5−4 days after germination

under our conditions,Since they have the maximum amounts of sucrose and other available sugars and

POSSibly alarge amountof asco工bic acid(as revealedin caseof mung bean sproutsく7))

(ThisIePOrtis based on the dissertation of A.Hon his graduation from Facl11ty ot Agricult11re,

Ⅹagawa University,in March,1965”)

(Received October50,19d5)

追 加

Mary ABRAHAMSENの学位論文(Universityof Minnesota,1964;UnivMicroj壱lms,Order No165q995

(19る5))に・よれは大豆の発芽により全糖は減少し,還元糖はやや増加する.なお発芽の最初の5日間紅おける各糖類

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