禾穀類の鞘根に関する研究 III 穇の鞘根に就て-香川大学学術情報リポジトリ

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第7啓 第3号(1956) 231

禾穀類め鞘根に関する研究

Ⅱ 不参の鞘根に就 て

甚太郎

Studies on the$頑e6rhiza of cereals.

Ⅱ Onthecoleorhiza6盲\Japanesebar画ard millet.

Aizo NoDA andJintaro HAYA鱒Ⅰ・

禾穀類種子の発芽時に.おける鞘根(coleoI■hiza)の研究は1922年西村氏 (10) 学的研究を行われ七以来業続少く,1951年PASⅨ0V民 が禾本科の1 過ぎないようである (5) が粟及2種の牧草に就てそれらの形態 襲が行われて−いる (の 筆者の1入野田(未発表) ほ192フ∼1928年両年に佐々木喬博士の指導め下拉∴重責¢供給を制限せる場合禾穀 類の種子発芽の研究を行い,禾穀類の発芽歩合に依って作物を分類し,幼癒物ゐ形態頑 旨行った 聯菜(CQleoptile), しかして幼植物の生育に種々なる程度の差のあるのほ空気供給制限下に衷心虎.,主 ㊨本葉(Foliageleaf),程 中茎(Mesocotyl)及び鞘根(Cql畠0坤ka)の発達の差に.依るもので政 子根(Seminalroot)は殆んど伸長が行われなしそことを明らかにした (11) 我国におしこ (1) (5) 闇菓の英紙が環 き,中茎に就てほ瀕田秀 夫氏■ の菜紡に次いで,水島宇三郎,山田卓両漁 の研究を始め,異常環境における中茎の重要性が明らかにさ れつつある 1952年本学において,鞘根の研究に裁て実験を始め1953∼1954年度において穆に就ての若干の成績な得たので Ⅱ報として報壊する 尚本報成繚のr一部ほ.昭和30年4月日本作物学会春季大会で発表した Ⅱト実験材料及方法 実験材料:本学附属農場採種のもの・元取客年ほ岩手県及び徳島県 実 験 方 法 標準区:内径10cmシーレー漏紙発芽床. 浅水区:り容凱20cmエレンマイヤ−フラスコ,水深1cm 深水区:同上水深10cm 使用寧る水は簡易水道水(PH6・8)各区共紅硝子儲り定温器(300C±1・50C)に削、たぃ・1区置床粒激20粒宛, 各区とも4区制とした (2〉 溶存酸素崖測定:WinkleI・民法 による く4〉 平均吸水力測定、−:れ、中野治房氏 の示された方法に依る 初め間取を縦断し組触の小片せとり,液体パラフィンに浸しその長さを測定,次いでパラフィンを拭い去り,次 第に濃度の高い庶糖液匿入れ,30分毎に.測定してパラフィン中の長さに比較して伸長若しくは収縮の中間濃度を以 て組織の平均吸水力とした吸水力は1日中において変イヒがあるので実験は就れも正午を中心として行った

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香Jl一県立農科大学学術報告 232 Ⅱ 美 し験 結 果 (×10) (1)空気中及水 中における発芽の 比較 空気中では 置 床後1日後頃よ り聯根毛が発達 し,種子根が2日 目には鞘限を破っ て出現するが,深 水区では鞘根毛ほ 見られず種子根は 殆ど伸長しない 標準区(空気中)1.置床後24時間後 2.同上 48時間後 水 中(深水区) 3り 置床後24時間後 4.置床後48時間後 界1図 r4)水中溶存酸素置の比較と鞘根伸長の関係を第4図 に示す. (2)囁板の 組織 空気中にお いで吸水進 み,鞘根甲伸 長が開始し, 未だ種子根が 鞘根を破らざ る場合の縦切 片のスケ:リチ は第2図のよ うである。 (3)鞘根毛 の発生状況 置床後48時 間後の鞘根毛 発生状況を第 3図に示す・ ×150 軍2図 鞘根の縦断面 中心部は種子根 第∂周 鞘根毛の発生状況

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第7轟 解3号(1956) (5)鞘根毛と根毛との比較(ユ.0個体40平均) 生育を完了したと思われる鞘根毛と種子板の根毛を比較すれば次表の如ぐである 欝一1表 鞘根毛と.根毛の比較 233 区 別 ‡ 長 さ (6ト鞘根粗放の平均吸収盈 第2表 鞘根組織の平均数水力 (1)空 気 中(切片10個体3回合計) 備考 +・は伸長,−ほ収縮を示す、○転パラフィンに比し差異なきもの (2)水 中(水深10cm区)(切片数同) 薦 糖 濃 度 パラフィン 中の長さと の 比 較 パラフィン 中の長さ 水中の長さ 0.1m】0い2miOり3m10小4m10..5m 0・6m!0いフm 0.95(+う 0.88(0) (7)実験終了時における水中溶存酸素露の品種間変異 徳島Al・B,Cとせるは山間部に栽培され比較栽培の結果異品種と見倣したもので,田穆をLと.し,畑穆をUと し各区とも4回反覆したl水中溶存酸素露は置床後4時間経過して所定の温度に達した4時間後の調査で6.09mg/1, 煮沸水の場合は急速に冷却して測定の結果1・20mg/1でこれを以て実験を開始した 得られた結果を次表に示す 第3表 実験終了時における水中溶存酸素鼠の品種間変異 名】栽培撃l水中10cm区4日後溶存酸素鼠叩/11姦悪歪 煮沸水 中10cm区.4日後溶存 手

朝岩岩徳徳徳

L L L U U U 0 ∩︶ 0 0 ⊥ ュ 4 4 4 5 5 ︻h︶ フ 8 只︶ 9 4 7 0 ∩ひ 0 0 0 0 66 93 駅 n00 78 (8)鞘其の伸長皮の品種間変異 これが品種間変異に就いて4区制を以て4回反覆したのでユ.品種に就き延00個体の平均を求め,標準区との比率を 求め,異常伸長度を現わすものとした.結果を第4表に示す

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香川県立磯科大学学術研究報告 234 第4表 鞘根の伸長度の品種間変異(置床4日後) (9)水 中(無処理)中における異状伸長度の品種序列(筐床4日後) 第4表の数字を統計置理を行った1%水準7.72となり桐を付し5%水準5i5∈壮なったL・(数字は優イ立標準) 欝5表∴∵水中醸処押区における鞘板の異状伸長度の品種序列 岩手晩生 在 来 岩 手

512号

種 名

釆号A 鮮C

26 36 52 53 53 5∈∋ ヰ 婦 埠 始 終 埠ヰ≠ヰ埠 l 10 26㌘訂32 揚 場 揚 場 滑 埠 鴻 ヰ 7‘ ︵b 8 2 l ⊥ ュ つん (川 煮沸水中における鞘根の異状伸長度の品種序列 同様の処理を煮沸水の場合に行った結果,1%優位標準14・2,5%水準で11・6を示したので結果は次表の如くであ 罪6表 煮沸水中に.おける鞘根の異状伸長度の品種序列 種 名 ︵∠ 3 5 1 ︵0 6 1 1 3 3 4 埠 沖 相 場卑称やヰ 一1113293644 や並帝 ・∴∵い∴ll 尊 尊 粋 埠鴇埠 一軍2331 Ⅲ 考 鞘限は種子が吸水して種子外に最初に.出現する幼植物の一・部である 前報において水中で,幼根部に・おいては嘩根が異常仲鱒をするのみで笹子根ほ殆んど仲良を停止することを示 した 水中溶存酸素放と鞘根の伸長との関係を追跡したが,第一・衣に見る如く浅水区でほフ・・59∼4・プ7mg/1,深水区にお いてほ6い0フ∼0.21mg/1を・示したけ 鞘根は就れも空気の供給を制限した場合,空気中の発芽に比して鞘根の伸長が大 なることを示したが深水区の場合,斯る異状伸長が深水区に比し大であった

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第7巻 第3号(1956) 235 この鞘根の異状伸長は主として鞘板個々の細胞の膨大に依る処である事ほ前報で報告した 鞘根の異状伸長を起す外因の1として空気の供給を制限したことにあることほ明らかであるが水中の発芽に依る 外的,内的変化即ち幼植物の体内生理,異状伸長の機巧も今後の研究課題である 種子根は前述した如き溶存酸素鼠の変化を見た浅水区では僅かに伸長したが,深水区では殆んど仲島を停止し た 空気の供給を充分にした場合鹿根の表皮細胞の一部は根間毛として発達する.鞘根毛の伸長を完了したと思われ るものと同様な状態と思われる種子板の根毛に就で比較を行ったが第1表に示すように長さ及び恐径共に差異が見 られなかったけ 生理的機能の比較も行われなぐてこはならない 次に鞘根の生理作用の第1ほ種子根が発達して発分,水分の呼収作用を始める前,種子根の働きを代行して,種 (5〉 子根が発達した後も若干期間補足的作用をなすであろうことが前述西村氏 に依って推定されて↓、る 発芽後未だ種子板が鞘根を破らない場合これを縦断して,この部分の組織の平均呼水力を検した (4) 中野治房氏 に依れば,平均吸水力測定法として組織の伸縮を利用して,液体パラフィンとして各種濃度の庶 糖溶液が用いられている ヒナギクの花弁の平均吸水力を求めるに.ほ泳に沿って長く切片を作るよりも,これを横切って作った方が伸縮が 容易だとされているが,鞘根の場合は縦の伸縮が大と認めたので,縦艦長い小片に依った 根の吸水作用は複雑であり蒸散の盛な場合,少ない場合に依って機朽が異なることほよく知られていて鞘根の場 合も検討を要し,空気中のものと,水中のものとを単に得られた数億に依り比較することほ適当でないとも考えら れるが只なる見拭けの数個に就いては比較を試みた これに.依れば空気中の場合,昭板紙繊の伸縮のない即ち庶糖液濃度と組織細胞の内訂からの細胞膜に及ぼす膨庄 が平均した状態に眉かれた場合を見るに.,個体による変異は大で適当なる平均吸水力を決定するに至らなかったが 庶糖液0い4モルの溶透圧を以て吸収力と認められたものが比較的多数であった・即ら凡そ.11気圧漉相当する 水中のものでほ同様に.,鞘根組織の吸水力ほ比較的低く0.2−0.3モル即ち5・2∼8い1気圧に.当ると.認められた 供試したのは井戸水を水源とする簡易水道水で,増発液濃度の差,土壌溶液に.おける鞘根組織の平均吸水力も更 に検討を要する 以上供用した品種ほ品種名不詳のものであるので,田穆及び畑穆と.認められる?品種宛(品種名のないものでも 形質の均・山で品種と認められる異型のものほ品種として取扱った)水中における溶存酸素慮の消長と聯根の異状伸 長との品種間変異を調査した 節3衷に月る如く水深10cmの無処理の水中では田穆型品種ほ溶存酸素の残存が4日後において畑棒型品種よりも 小であることを示した 然し水深10cm煮沸水で溶存酸素眉1・2mg/1で出発し水面はパラフィンで遮断せる場合は就れの品種も残存酸素置 小く生態両型の間には差異が認められなかった 鞘根の異状伸長の程変は弊4表に示したように可成りの変化を示し,無処理水の場合が煮沸水の場合よりも異常 仲島の程膀が大であった.しかしながら品種間の変異は徳島B.C両種の艦序が変ったのみで他は平行的であった. 4区制で4回の反覆で得られた数値を統計処理した結果,品種に依って明らかな有意の差のあることを示した しかし田穆の異状伸長程度の小なるものに2品種,明らかに.異状伸長度の大なるもの陀:ニ品種に.類別したが田松, 畑穆の各1品種宛はこの傾向が反するかに見られた これら品種の生態的相性は栽培比較に依って検討を必要とする しかしながら品種の憮般の輿状仲良の程度(空知中の場合に比較したもの)ほ異状環境下の1特性と考えられ る Ⅴ 摘 要 茶研究ほ1953年より1954年に進めて次の結果を得た」 註 釈:種子に酸素の供給を制限するためにエルレンマイヤ−フラスコを用い無処理の水及#沸を使用した」 1発芽の最初の徴候ほ鞘根の膨大で有り種子を破って最初に外部に出る幼板物の部分であるい 2・・鞘根は数層からなって毛は鞘根の表皮屑から発達する鞘根毛と根毛との塑態的差異は藩径及び長さ共に差

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236 香川県立農科大学学術報告 が無い 3.水中の発芽でほW根ほ異削中島を行ない,水中溶存酸素が7.59∼4巾フフmg/1の場合の異′計伸展程度は6.09∼ 0・2ユmg/ユの場合よりも低きを示した 4.正常発芽の場合,畔根の吸水力ほ,凡そ庶糖澱0リ4モルに相当した“しかし水中の場合で披吸水力は同様に 0“2∼0..3モルを示した 故に鞘根の主要な生野敵能の1ほ水の吸収に.よると思われる程根が現われない内ほ,鞘根はこの代理とし て働き後には根の働きの補助をする 5‖ 水中発芽の場合実験した6品種の限りにおいて発芽による酸草津肖費ほ水田型品種が畑型品種より多かった しかし煮沸水の場合でほ差異が見られなかった 6け 鞘根の異常伸長の程度ほ品種に依って\異なヶた.この異常伸長ほ品種の異常環境下の1つの形贋と考えられ る R 畠 s u m e

The present study was made from the year 1953 to 1954 and the following results were obtained. Annotation:Eorlimiting oxygen supply to seeds untreated or boiled underwaterin Erlenmyer鎖ask

WaS.uSed

l.,The germinationisiniicated at鮎st by the swelling ofcoleo工hizawhichisthe鮎stpaItOf seedling that appears fIOm the seed

2.The coまeoIhizais composed of several1ayers and the hairs are developed from the epidermal layer of coleoIhiza.The diametre andlength of coleorhiza hair are not di∬erentmorphologically fIOm those

Of the root hair.

3.The coleorhiza shows an abno工malelongation whenit was germinatedin the underwater and such an abnormalelongationin soluble oxygen contents 7.59∼4.フフ mg/1isinferior to that of6.09∼0・2lmg/1 in degree.

4.In the case of normalgermination the water suction force of coleorhiza was rough1y corresponded to o4moIsucrose solution,butin the undeIWateIgerminationit was to O2∼C)3mol.Thereforeit seems that one o董the main function of coleoIhizais the suction of wateI.Withits suction force the coleoIhiz SerVeS aS a Substitute for the seminalIOOt before that root appears,andlater makes a supplement role to

the function of the rooe

5。In the case of underwateL・germinationlarger consumption of oxygenis seenin the Lowland (paddy負eld)type thanin the Upland type so far as the present examination with six vaIieties of the prユnCIPalmillet are concerned・{ Butin the examination with boiled water there was no clear・di#erence among the varieties of themillet

6.The degree of abnormalelongation of coleorhiza geIminatedin the undervvater was difEerent ac・ COrding to tIle Varieties of themi1let.This abnormalelongationis consideredas㌧aCharacterofthevarieties Of the millet under abnormalenvironment

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第フ巻 第3号(1956) 237

主 用 引 用 文 献 (1)HAMADA,H∴Physiologisch−SyStematische Unt・

ersuchungen11berdasWachstumderKeimorgane

VOn O′:γgα.5d翫川㌧L.几匁用ぃ Co払 5cg.考γクれ

頻.Uね物Se工Bい12(3);259′・・J310(1937) (2)北海道大学理学部 植物生理学教室編:植物生理 学実習155∼159 東京養望普く1954) (3)水島宇三郎,山田卓:日本稲及外国稲のMesocotyl に裁て 遺伝学雑誌15,ユ.4∼18(ユ939) (4)中野治房:植物生理生態学実験法 260∼2甲,東 京,裳華房(ユ948) (5)NISHIMURA,M。:Comparative morphology and development of Poa 少raien.ses,mleum

♪γαねガSβand5gg〃J∠α査ねゐcα・.わ凪ル沼㌦1,55・85 (1922) (6)野田愛三:空気の供給を制限せる場合に.おける種 子の発芽に.ついて(未発表) (7)野田愛三・松藤陽一・:禾穀類の発芽時における鞘 根の研究 日・作…紀四国地域談話会記事5,6∼8 (1953) (8)野田愛三,松藤陽一・:禾穀類の鞘根に関する研究 Ⅰ 麦類の発芽時における鞘根の伸長に.関する研 究 日い作・紀(ユ.953) t9)野田愛三・松藤陽一:禾穀類の鞘触に関する研究 Ⅱ 穆,唐人稗,黍,及び玉筍黍の発芽時におけ る鞘根の仲島に裁て香川虚刹大学々術報告5(1), 46∼52(1953)

(10)PASKOV,G.D.(1951):Concerning the mor−

phologicalcharactor of the coleo工hiza of Gra・

mlneae. (点止Z36(6J:5フ9・606)都β揖C7■噌A誠.5 帽),23フ(1952) (11)佐々木喬:空気の供給を制限せる場合における 水稲種子の異状塾発芽について 農学会報288, 46ユ、∼489(1926)

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