• 検索結果がありません。

第 3 話 市の責任 市民の責任 ~ 行政改革と住民自治の可能性 ~ 郡上市市民協働センター

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "第 3 話 市の責任 市民の責任 ~ 行政改革と住民自治の可能性 ~ 郡上市市民協働センター"

Copied!
45
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

市の責任、市 民の責任

~行 政 改 革 と住 民 自 治 の可 能 性 ~

(2)

| 82

1 講 座 の 概 要

□ 日 時

平成

24 年7月7日(土)午後7時 30 分から

□ 会 場

郡上市総合文化センター 多目的ホール

□ 内 容

テーマ「市の責任、市民の責任~行政改革と住民自治の可能性~」

第1部 報告「郡上市の行政改革の取り組みと課題」

報告者

丸 山 功 (市長公室企画課行政改革担当課長)

第2部 意見交換「市民協働、住民自治の可能性」

パネリスト

福 手 保 成

(郡上市自治会連合会長)

上 村 英 二

(郡上市市民協働センター長)

西 村 妙 子

(NPO 法人コミシス郡上)

コーディネーター

三 島 哲 也(市長公室企画課長)

※なお、本章のうち、西村妙子氏の発言は主催者責任で編集した。

(3)

2 第1部 報告「郡上市の行政改革の取り組みと課題」

※ 講演はスライドを用いて行われた。これらのスライドは、巻末に所収してある。

はじめに

皆さん、こんばんは。ただいまご紹介をい ただきました、市役所の市長公室企画課行政 改革担当課長の丸山です。よろしくお願いし ます。 今日は郡上市の行政改革の取り組みと課 題をテーマに第1部を務めまして、第2部へ つなげたいと思います。持ち時間が30 分と 限られていますので、急ぎ足でご説明をする ことになると思いますが、基本的にはお手元 の資料に基づく話ですので、後程ご確認いた だければありがたいと思います。

郡 上 市 の現 状 と行 政 改 革 の必 要 性

行政改革とは 最初のページをご覧ください。 行政改革とは、あまり耳慣れない言葉では ありますが、地方自治法の中で、「地方公共 団体は住民の福祉の増進に努めるともに、最 小の経費で最大の効果をあげるようにしな ければならない」ということが規定されてお り、これが行政運営の原点です。 私達は、皆様方から納められた税金と補助 金や交付税などの財源、あるいは職員や施設、 情報や技術というような限られた資源を有 1958 年生まれ。八幡町 在住。1980 年に八幡町役 場入庁。福祉課、農林課、 住民課、社会教育課、企 画課を経て、2004 年に合 併により郡上市となって 以降は、八幡地域振興事 務所総務管理課(当時)、 スポーツ振興課兼ワール ドカップ・国体推進室、 企画課に勤務。2011 年からは、市長公室企画課行政 改革担当課長として現在に至る。 丸 山 功 報 告 者

(4)

| 84 効に活用して行政の目標を達成するという ことです。常にそのようなことができる行政 の体制づくりを行っていく必要があります。 そのために、行政機関の組織や機能を、不 断に改革する取り組みが必要であり、これが 行政改革であると思います。 行政改革といえば、普通は削減をするイメ ージがあると思いますが、削減や廃止ばかり ではなく、時代の変化の中でいろいろな制度 を改善する、あるいは新しい仕組みを創り出 すことも含まれます。私は常に改廃と創出の 繰り返しということが原点だと考えており ます。 郡上市の行政改革の方向を指し示すもの が「行政改革大綱」であり、行政改革の計画 とご理解いただければ結構ですが、ここでは 3点の基本方針を掲げています。1点目に質 の高い行政サービスの提供、2点目に市民協 働による連携、3点目に身の丈に合った行政 運営です。 郡上市の位置づけ 最初に、岐阜県には42 の市町村がござい ますが、その中で郡上市がどのような位置に あるかを見ていきたいと思います。 まず人口については、統計上では 46,200 人となっておりますが、正確に申しあげます と、平成23 年4月1日の住民基本台帳の人 口で46,156 人です。これは県内で多い方か ら14 番目です。ちなみに平成 24 年 4 月 1 日では45,537 人で、昨年度より 619 人減少 しております。 岐阜県ではご承知の通り1番人口が多い のは岐阜市、1番少ないのは白川村です。全 国的に見ますと、横浜市は約 368 万人の人 口があります。1番小さいところはどこかと 調べましたら、東京都の伊豆諸島に青ヶ島村 というところがあるのですが、203 人という データがあります。青ヶ島村には番地がない そうで、所在地は「無番地」と書いてありま した。 続きまして、面積は1030.8 ㎢で県内で第 2位です。1番大きいところはご承知の通り 高山市ですが、2,177 ㎢あります。郡上市の 倍以上で、全国でも1番の面積です。昨年 10 月の時点では郡上市は 1,742 の市町村中 27 番目の大きさで、かなり広い面積を有し ています。ちなみに日本一面積が小さい自治 体は、富山県舟橋村で3.47 ㎢だそうです。 続きまして決算ですが、平成22 年度の普 通会計決算の歳出総額は約 302 億円、県内 の42 市町村の中で上から8番目、住民1人 当たりに換算しても第6番目となり、かなり 歳出の規模が大きいことが分かります。 前回の考現学で郡上市の財政と市税を取 り上げましたが、郡上市は公債費と投資的経 費の比率が高いという話がありました。 公債費とは毎年の借金の返済に必要なお 金のことですが、郡上市は平成22 年度の普 通会計決算では、約62 億円の返済をしてお り、県内では多い方から3番目です。住民1 人当たりで換算しますと2番目です。地方債 の残高はかなり減らしてきましたけど4番 目、その残高を住民1人当たりで割りますと 102 万円、これも2番目ということで、かな り公債費の割合が高いことがお分かりにな るかと思います。 ただ、借金が全て悪いということではなく て、病院や上下水道など必要な整備をしてき た結果でありますし、そのような資産に要し た経費を、世代間にわたって負担をしていく

(5)

ということでありますから、必要な事業をし てきた結果としてご理解をいただきたいと 思います。 それから道路や学校などを造る普通建設 事業費ですが、22 年度決算で約 55 億円で8 番目、これを住民1人当たりで割ると12 万 円で5番目、歳出の中で普通建設事業費の割 合は約18%で9番目となります。 やはり、このように見てみますと、公債費 と建設関係の投資的経費の割合が高いこと がお分かりになるかと思います。 次は、身の丈に合った行政運営とは何かを 考えていきます。先程は決算の話をしました が、今度は23 年度の普通会計の当初予算規 模が郡上市はどのくらいであるかを見ます と、約 288 億円で上から8番目となり、可 児市よりも上になります。歳出規模としては かなり高い位置にあります。 それから、財政力を表す財政力指数ですが、 1.0 以上あれば交付税を貰わなくてもよいの ですが、郡上市の位置は 42 市町村中 39 番 目ということで下から4番目です。3ヵ年平 均ですが、0.332 です。郡上市の下には、加 茂郡の七宗町や白川町や東白川村がありま す。郡上市の上を見ますと、飛騨市や白川村、 下呂市や揖斐川町などが並んでいます。 このような位置に郡上市があるというこ とです。これだけで全てのことが言い切れる 訳ではありませんが、一つの指標として身の 丈に合ったということを考えていただきた く、データとして提示をいたしました。 行政改革の背景と必要性 行政改革の必要性は全国的に叫ばれるよ うになってきましたが、その背景について考 えていきたいと思います。 全国的な話ですが、1点目は、バブル経済 の崩壊やリーマン・ショック1などの影響に よって低成長となり、全国の自治体の税収不 足が大変顕著になってきたということです。 また、経済対策として、地方自治体が借金を して、償還の時に国が交付税で補てんをする という方法が、1990 年代くらいから盛んに なりまして、地方自治体の地方債の残高は急 に増加をしてきたということがいえます。 2点目は、国における行政改革の推進とし て、特に平成 16 年から平成 18 年にかけて は、小泉内閣で「三位一体改革」2が行われ、 行政改革の推進の法律などが次々とできま して、国も地方も改革の推進が求められるよ うになったということです。 さらに、地方分権や地域主権改革といわれ ておりますが、国の権限を地方に移す取り組 みが進められております。これは地方自治体 の裁量や権限が増加することでメリットが ありますが、同時に地方自治体の業務量も増 えてくる面があります。 3点目は、行政の需要が変化してきている ということです。1つは、人口の減少という ことで特に生産年齢人口である働き盛りの 人口が減少しますと、やはり税収などに影響 しますし、産業関係の担い手も確保しなけれ 1 平成20 年 9 月に発生したアメリカの投資銀行の経 営破綻を発端とする世界同時不況。 2「三位一体の改革」のことで、「地方にできることは 地方に」という理念の下、国の関与を縮小し、地方の 権限・責任を拡大して、地方分権を一層推進すること を目指し、国庫補助負担金改革、税源移譲、地方交付 税の見直しの3つを一体として行う改革。

(6)

| 86 ばいけない、育成しなければいけないという 対応が求められるようになります。それから、 高齢化も進行しており、医療や介護などの社 会保障関係の支出が増加をしますし、安心・ 安全対策として防災関係や交通手段の確保 に対する支出も必要になってきます。それか ら市民ニーズの多様化と書いていますが、特 に最近は環境問題に対する皆さんの意識の 高まりが見られます。あるいはインターネッ トが急速に普及して情報通信関係の時代に 対応した課題への対応が行政に求められて います。 4点目は市民協働、住民自治ということで、 本日の講座の2部の方でもお話があります が、近年特にNPO 法人などの公益的な団体 が多くつくられてきました。行政側も市民の 皆様に多く参画していただくように求めて きています。このようなことが進むことで行 政の守備範囲も変わってきます。また、より 細かいニーズに適したサービスが実現され る可能性があります。

郡 上 市 の行 政 改 革 の現 状

これまでの行政改革の取り組みと課題に ついて簡単に説明をします。 平成 17 年度から 21 年度までは「集中改革 プラン」に基づいて取り組みを行ってきまし た。 その後、現在は「行政改革大綱」という計 画がありますが、これは 21 年度から 25 年度 までの計画です。取り組みに着手したものと 目標を達成したものを合わせますと、8割弱 となっておりますが、この取り組みの中味を 見ていきたいと思います。 定員管理の適正化(市職員数の削減) 1つは、「定員管理の適正化」ということ で、市の職員数のことです。平成 16 年に 1,099 人の職員数がありましたが、平成 24 年4月1日現在では 936 人となり、8年間 で 163 人の減員をしました。削減率では 14.8%、だいたい7人に1人くらいを削減し たことになります。また、病院などの職員を 除く普通会計の職員を見ますと、741 人を 567 人に削減し、174 人の減員となります。 削減率は 23.5%となり、ほぼ4人に1人を 削減してきたことになります。 郡上市より面積が多い高山市や全国の類 似団体の規模と比べても、職員数は多い状態 ですので、現在ある「定員適正化計画」を改 訂して、さらに削減を進めなければいけない という状態になっております。 これは職員数の推移を経年的に表にした ものです〔次頁所収〕。この計画の人数に対 して全職員も普通会計職員も計画以上の削 減数で推移をしてきています。

(7)

次は、全職員の年齢構成をグラフにしまし た。すぐ目に入るのは50 歳代ですが、非常 に多くて全体の約 38%を占めております。 役所の需要が高まって採用が多かった時代 かと思うのですが、その後、40 代は約 24%、 30 代は約 29%、20 代は約8%の構成比とな り、非常にアンバランスな状態になっている と思います。これは採用抑制などの影響によ るもので、今後の組織のあり方という点で考 えていかなければならない課題です。 組織機構の見直し それから、組織機構の見直しということで、 合併以降8年目を経過して9年目に入って おりますが、いろいろと市役所の組織も変え てきました。 特に平成21 年度には、総合支所方式から 本庁支所方式への移行に伴い、地域振興事務 所にあった4課を2課にし、さらに平成 23 年度からは振興課の1課体制にしました。 その時々の政策上の課題や社会情勢に応 じて、簡素で機動的な組織体制を作っていか なければならないということです。 公の施設の見直し 次に、「公の施設の見直し」ということに ついて説明をします。 公の施設というのは、地方自治法に定義を されております。公共の財産の中には、行政 目的を持って設置された「行政財産」とそれ 以外の「普通財産」がありますし、この行政 財産の中にはさらに市庁舎等の「公用財産」 と、公園や道路など住民の皆さんが利用され る「公共用財産」とに分かれます。公の施設 は、公共用財産に入るものがほとんどです。 市内には700 ほどの公の施設がありますし、 さらにほとんどは合併前の旧町村において 整備されたものです。

(8)

| 88 いろいろな施設をざっとスクリーンに映 しておりますが、1つ1つ見ていくと、とて も時間が足りませんので、たくさんの施設が あるということを感じ取っていただければ と思います。 施設の種類としては、公用財産である市の 庁舎とか消防署、それから保育園、デイサー ビスセンター、郡上偕楽園、保健センター、 みずほ園などの障がい福祉サービス事業所、 ことばの教室などの福祉関係、保健関係の施 設がいくつかあります。それから埋め立て場 やクリーンセンター、清掃センター、環境衛 生センター、エコプラザなどの環境衛生施設、 斎場などの施設がございます。 さらには、道の駅、観光施設、農林水産物 の処理加工施設、それから特産品の販売施設、 ふれあい農園など産業関連の施設。また、キ ャンプ場、コテージなどの宿泊休養施設や市 内には温泉施設もございます。 それから市営住宅とか市有住宅の公営住 宅もございます。 幼稚園や小中学校、学校給食センター、教 職員住宅などの学校教育施設。博物館や歴史 民俗資料館、図書館、文化センターなどのホ ールや文化的な施設。さらには生涯学習セン ターや町民センター、公民館などの社会教育 施設もあります。それから体育館やグラウン ド、スポーツセンター、合併記念公園、テニ スコートなどのスポーツ施設。 それから公園、ポケットパーク、山村広場、 公衆便所、コミュニティセンター。そして病 院や診療所、医師住宅、医療施設など非常に たくさんの種類がありますし、数もたくさん あります。 これまでに平成19 年度に「公の施設等の 見直し方針」の策定をいたしまして、種類別 に見直しの方針を提示しました。早期に見直 しを進める施設は短期実施予定施設として 4割ほどは見直しをしてきましたが、これか らは中長期の施設の見直しを進めていかな ければいけないという状態にあります。 それでは、皆様方とともにほんの一部です が写真を見ていきたいと思います。 少し見にくいかと思いますが、これらはス ポーツ施設です。和良やぎふ大和インターチ ェンジの近くにあるグラウンドです。それか ら郡上市総合スポーツセンターや郡上市合 併記念公園の横の相撲場です。今年は9月 30 日から 10 月2日まで合併記念公園のグラ ウンドに特設会場を作って、ぎふ清流国体の 相撲競技会が開かれます。その他、地区の体 育館やグラウンドなど38 ほどの施設がござ います。 次は、八幡城や郡上八幡博覧館、あるいは 白山文化博物館、古今伝授の里フィールドミ ュージアム。このような歴史文化施設は、こ れ以外にも白鳥の石徹白、美並の粥川、明宝、 和良などにも展示施設がございます。全体で 10 施設あります。 次に、保健センターや保育所、デイサービ スセンターなどの保健福祉関係施設ですが、 全部で41 施設あります。まん真ん中センタ ーのようなホールは、八幡、白鳥、高鷲、美 並に合計4 つあります。 これは高鷲の斎場ですが、このような斎場 は7地域にそれぞれあります。 次に、観光施設や特産品販売施設などです が、高鷲にある道の駅大日岳。美並の子宝温 泉のすぐ横に川の駅という施設があります が、食べたり休憩したりする施設です。これ はやまとの朝市です。これは明宝農産物加工 施設を株式会社明宝レディースに指定管理

(9)

してトマトケチャップなどを生産していま す。このような施設が全部で43 施設ありま す。 次は、宿泊施設です。石徹白にあるカルヴ ィラいとしろや明宝小川にあるコテージ、和 良のキャンプ場、このような宿泊関係施設も 9施設ありますし、他にも八幡のサイクリン グターミナルや美並のフォレストパーク 373、白鳥ではハートピア四季、あるいは油 坂さくらパークなどのコテージもあります。 それから明宝温泉のような温泉施設は5施 設あって、その内の4施設については指定管 理を行っております。 ただいまご覧いただいた公の施設などは、 常に見直しを行っております。 見直しの視点を書いておりますが、1つは 行政が関与をしていく必要性があるかない か、民間事業者で同種のサービスが提供され ていないか、行政が民間と競合していないか という点。 それから施設の設置目的からして達成状 況はどうか、初期の目的は達成しているか、 あるいは、その後社会情勢が変化して今のニ ーズに対応しているかどうかという視点。 市全体の視点から見て配置は適切かどう かということで、大半の施設は合併前に設置 されたものですから、もう少し集約して機能 を強化できないかなどの視点から見直しを していく必要があります。 その他に利用状況が著しく低いとか、利用 者が特定の住民や団体に集中していないか、 あるいは民間に譲渡した方が地域の振興に 有効ではないかなどの視点も含めて見直し を進めています。 見直しの方向性として書いてある通り、廃 止、統合、貸し出し、譲渡、業務効率化、あ るいは指定管理という方向で見直しを進め るということです。 指定管理者制度 指定管理者制度について簡単に説明させ ていただきます。 地方自治法に規定してありますが、「施設 の設置目的を効果的に達成するために必要 があると認めるときは、法人その他の団体に 当該施設の管理を行わせることができる」と いう制度がございます。 郡上市においては指定期間を原則5年と しています。市と指定管理者とが協定を結べ ば利用者が支払う使用料を指定管理者が受 け取ることができます。あるいは、使用許可 の権限も委任をすることができるというこ とになります。 指定管理者の選定は、公募を行う場合と非 公募で行う場合があります。 現在は62 の施設で指定管理者制度を導入 しております。例えば、デイサービスセンタ ーなどはかなりの部分を郡上市社会福祉協 議会が行っておりますし、郡上市総合スポー ツセンターはドルフィンという会社が行っ ています。八幡城や博覧館は財団法人郡上八 幡産業振興公社が指定管理を行っておりま す。 昨年度、指定管理者の運用に関して指針を 定めました。モニタリングと書いてあります が、これは監視やチェックのことです。安全 にしっかりと管理をされるように市の職員 が出向いてチェックを行います。

(10)

| 90 また一定以上の収益があった場合は、将来 その施設の修繕のために積み立てをしてい くという納入金制度の仕組みを入れました。 さらに、指定管理の施設の中でも宿泊施設、 農林産物の加工施設、観光施設の一部につき ましては民間事業者への譲渡を検討してい く方針を定めているところです。 事務事業の見直し 続いて、大綱の中の主な項目の1つとして、 事務事業の見直しを行っています。 500 ほどの事務事業があるのですが、長年 実施していてマンネリ化しているものはな いか、社会情勢が変化してこの手法ではどう かというものについて見直しをします。総合 計画には 147 の施策がありますし、先程の 500 の中からいくつか抽出して毎年内部点 検をしております。 計画、実行、点検、評価のことを PDCA と言いますが、このような仕組みの中で常に 事務事業については見直しをしております。 経費の節減 経費節減については皆さんも関心のある ところですが、当然経常的な経費については 毎年予算の中で削減をしており、その他にも 指定管理料や施設の維持管理費、諸手当など の削減は進めております。 補助金、交付金の適正化 補助金や交付金の適正化については、これ までも見直しを行ってきましたが、例えば各 種団体の補助金については、他の団体との公 平性や期限の設定、補助金が効果的に利用さ れているかという視点で見直しを行ってい く必要があります。 民間委託、民間化 民間委託、民営化については、どうしても 行政が行わなければいけないと法令上定め られているものは別ですが、民間に任せた方 がより効率的、効果的に業務を執行できるも のについては、民間委託や民営化を推進して いくということです。 第三セクター 市が出資している市内の第三セクターは 法人として14 社ありますが、これらについ ても市はスケールメリットを活かして第三 セクター相互の連携を強化するという取り 組みを進めております。 公債費負担の適正化 それから、公債費負担の適正化については、 前回の講座でもありましたが、計画に基づい て特に投資的経費に係る市債の借入額を抑 制して、計画的に借金残高を抑制していく取 り組みを進めていきます。 組織風土改革 組織風土改革については、民間の職場では 多く行われていることですが、各職場でサー ビスの向上や経費節減につながることを「職 場イチカイゼン運動」として取り組みを進め ております。年1回市役所の中では発表会を 行って全体での共有化を行っております。

(11)

歳入の確保 また、歳出を抑えるばかりではなく歳入を 確保するということでは、使用料や手数料の 見直しを平成18 年度に行いましたが、これ は市民生活に関係するものが多くあります ので、受益や負担の関係、費用対効果などの 観点から見直しを検討します。また、処分が 可能な未利用資産の売却や市税などの収納 率を上げていく取り組みを進めてまいりま す。 第二次行政改革大綱の策定に向けて これからの大きな課題として、郡上市は合 併以降10 年目まで普通交付税の算定におい て合併の特例措置があり、その後11 年目か ら5年間かけて段階的に交付税が減額をさ れていきます。 この特例措置がなくなる平成31 年度に向 けて急激な負担にならないように、今から計 画的な行政のスリム化や組織体制の見直し を進めていく必要があります。そのため平成 25 年度から平成 30 年度までの6年間を計画 期間とする、「第二次行政改革大綱」と数値 目標を示す「アクションプラン」の策定を予 定しています。今後、皆様方のご意見やご提 案をいただきながら進めていく予定です。 上の図は、今後交付税が減少するというイ メージ図です。最近の交付税の動向は若干増 加傾向にありますが、これが平成25 年度か らは0.9、0.7 というふうに段階的に減って、 平成31 年度には特例がなくなります。現在 の見込みでは、32 億円程度の金額が減少す るのではないかということです。さらに、国 勢調査の人口も交付税に影響しますので、人 口が下がっていくとなるとその影響も考え られ、かなり大きな減少額が見込まれます。 このことへの対応を考えていくのが最大 の課題です。先程申したように大綱の策定は これからですので、内容について具体的には 申し上げられませんが、考えていく基本的な 視点をいくつか掲げております。 1つは行政のスリム化ということで、職員 数の削減、施設の廃止見直し、公債費の抑制、 経費節減などですが、これは痛みの伴うもの ですが、これだけの財源減少の規模になると 避けては通れない課題です。 また、サービスの質の向上ということで、 職員数を削減していくため、サービスの量的 な拡大はなかなか困難ですが、質的な向上は 図っていきます。例えば窓口業務はできるだ け一本化して済ませるとか、あるいはパソコ ンなどを使って手続きが簡単にできるよう な仕組みを考えていきます。 また、「創る改革」として、施設の管理運 営を民営化するとか、あるいは施設そのもの を譲渡することで、行政のスリム化を民間事 業のビジネスチャンスとして活かしていく ような環境づくりを考えていくということ です。 それから市民参画の拡大ということで、行 政が担っていた公共の領域を市民の皆さん

(12)

| 92 で参画していただくことによって市民のニ ーズに合ったきめ細かいサービスを実現し ていくことが考えられます。

新 しい公 共 と公 共 サービス

新しい公共と公共サービス 「新しい公共」ということでご説明します。 新しい公共とは、「市民の参加と選択のも とでNPO 法人や企業などが公共サービスの 提供主体になって、まちづくりや福祉などの 身近な分野において共助の精神でともに行 う取り組み」です。つまり、公益的な活動は 行政だけが行うのではなくて、市民の皆さん とともに行っていくということです。 既に郡上市でも水路の清掃や草刈りは地 区でも行っていますし、消防団活動など公益 的な活動は行政ばかりが行っているわけで はありません。こうしたことを一定のルール の下で他の分野にも取り組みを広げて、協力 して取り組むことによって、より高い効果が 得られるようにしていきたいと思います。 市民協働 その1つの取り組みが行政パートナー制 度です。「郡上市提案型協働事業実施要綱」 というルールがあるのですが、その中で市民 の皆さんと行政の協働の取り組みの形が2 種類あります。 まず「団体提案型協働事業」は、団体が事 業を提案して、審査を経て、対象事業として 決定すれば、協働して実施をするものです。 石徹白の大師堂の防災避難路については、市 と地元が費用を負担し合って、地元の自治会 が主体となって整備をしたという例です。円 空のふるさと美並推進事業でも講演会やシ ンポジウム、看板の設置などの費用を負担し 合って推進委員会が主体となって取り組み を進められました。 「行政提案型協働事業」は、市が提示した 課題に対して団体から実施方法を提案して いただいて、採択になれば委託をするという ことです。大和振興事務所の窓口業務を、コ ミシス郡上というNPO 法人に委託しまして、 来庁者の案内や電話交換、住民票等各種証明 書の交付を行っています。他に市民サロンと して、お茶やコーヒーのサービスを自主事業 として行っています。満足度の高いサービス の実現に向けて効果を発揮しております。 先日、7月2日に大和振興事務所の1階に 市民協働センターを開設しました。これも行 政提案型協働事業として実施をしたもので す。

(13)

行政提案型協働事業は、年間を通して事業 を包括的に委託するというものですが、この ミニ版ということで、今年度、新たにミニ行 政パートナー事業を始めました。 これは、業務の一部を期間を限定して協働 で取り組む仕事で、今3つの提案をさせてい ただいております。1つは、広報の特別号の 編集業務です。決算や予算を広報紙に掲載す るのですが、なかなか分かりにくいというこ ともありますので、市民の皆さんと一緒に作 っていくということが1点。2つ目は高齢者 の生きがいと健康づくりということで、スポ ーツ活動や文化活動の企画運営を一緒に行 うもの。3点目は健康診査のサポートという ことで、受診率向上のためのPR や健診の業 務そのものを一緒に行うものです。 現在パートナーを募集しております。広報 の7月号にもありますし、本日の資料の中の チラシもありますのでご覧になってぜひ応 募していただきますようお願いしたいと思 います。 さいごに 最後に、こうした協働事業を進めるために は、行政は協働効果が高い事務事業を選定し て皆さんに提案をしていく、そして、市民の 皆さんは積極的に協働事業に参画をしてい ただく、それから需要と供給をマッチングす る役割として、先程紹介した市民協働センタ ーが機能を発揮するということが求められ てきます。 こうした取り組みを通じて行政改革が進 み、さらには市民力や自治力が向上していく ことを目指しております。 以上で、私の報告を終わります。ご清聴あ りがとうございました。

(14)

| 94

3 第2部 意見交換「住民自治、市民協働の可能性」

※ 講演はスライドを用いて行われた。これらのスライドは、巻末に所収してある。 1952 年生まれ。高鷲町 在住。高校進学により市 外へ転出するものの、東 京都内での勤務を経て、 1981 年にUターン。高鷲 村商工会(当時)や大和町 商工会(当時)で、事業所 の経営指導や、商工業振 興策を行う。その後、白鳥 町の設計会社に入社し、 高鷲村(当時)や美並村(当時)の活性化ビジョン策 定等に関わる。プライベートでは、青少年育成活動 や太鼓・祭礼・民謡等の伝統芸能の継承活動に携わる。 平成 24 年7月から郡上市市民協働センター長。 上 村 英 二 氏 パネリスト 1937 年生まれ。終戦の 前日に父の出身地の八幡 町西乙原地区へ。その後、 20 年間の教員生活を経て、 40 歳の時に東京の流通 システム設計・製作会社 へ就職。海外勤務を経て、 58 歳で帰郷。これまでの 経験を活かし RM 研究室を 立ち上げ、現在は小売業 の営業管理等の指導を行っている。 2006 年から西乙原自治会長。2012 年からは郡上市 自治会連合会長。住民自治推進懇話会委員、郡上市 市民協働センター運営委員等、公職多数。 福 手 保 成 氏 パネリスト 1949 年長野県出身、大 和町在住。生活改良普及 員として岐阜県から郡上 郡へ派遣される。その後、 大和村役場(当時)へ転 職、生活改善指導員とし て勤務。1995 年からは戸 籍事務を継続して担当、 2008 年3月に退職。同年 4月から NPO 法人コミシ ス大和(当時)による郡上市役所大和庁舎窓口業務補 完事業に、同法人の会員として参画。1 年間で後任を 育て、翌年4月からは同法人の事務局を務める。 西 村 妙 子 氏 パネリスト 1958 年生まれ。大和町 在住。大学進学のため、 いったん京都市へ転出す るも、卒業後Uターンし、 大 和 村 役 場 ( 当 時 ) へ 入 庁。大和町内の上下水道 整備に長く携わる。2004 年に合併して郡上市とな って以降は、2006 年に本 庁勤務となり、財務課長 を経て、2010 年からは企画課長。総合計画後期基本 計画の策定や市民協働・市民自治の推進に取り組み ながら現在に至る。 三 島 哲 也 コーディネーター

(15)

はじめに

三島: 皆さん、こんばんは。市長公室企画課の三 島です。第2部は「市民協働、住民自治の可 能性」ということで少し話をさせていただき ます。 今日は、パネリストの方が3名いらっしゃ います。 お1人目が、平成18 年から八幡町西乙原 地区の自治会長を務めておられ、現在は郡上 市自治会連合の会長をしています福手保成 さんです。 福手: 皆さん、こんばんは。今年4月から自治会 連合会長をさせていただくことになりまし た福手と申します。今晩は、大変大きな課題 ですが、一部分、取り組んでいることの発表 をさせていただきますので、どうぞよろしく お願いします。 三島: 続きまして、NPO 法人コミシス郡上の事 務局をやっておられます西村妙子さんです。 西村: 西村妙子です。よろしくお願いします。 三島: 続きまして、市民協働センターのセンター 長を務めております上村英二さんです。 上村: 今月の広報紙で、1ページめくると私の顔 が出ておりまして、美女2人に囲まれ、セン ター長ということで紹介をしていただいて おります。上村英二です。よろしくお願いし ます。 三島: 3名の方には、後程お話をお聞きしたいと 思いますけど、最初に「住民自治」と「市民 協働」について、少し説明をさせていただき ます。 郡上市市民協働センターの記事が掲載された広報「郡上」7月号

(16)

| 96

住 民 自 治 と市 民 協 働

住民自治とは 三島: 「住民自治」ですが、昨年、「住民自治推 進懇話会」を立ち上げました。上村英二さん が座長をしておられます。 その会では、住民自治について考えている のですが、市長が挨拶で申されましたのは 「市民の皆さんが市政や地域の主人公と言 えるような自治について話し合ってみてく ださい」ということでした。「地域の主人公 となる」ということはどういうことかと言い ますと、ふるさと郡上市のことや生活してい る地域について、市民が自ら決定し、市民自 ら進めていくことで、これが住民自治ではな いかと思います。 「住民自治推進懇話会」では、「市が必要 なこと、あるいは市民で必要なことをよく話 合ってください」と市長から言われて、話し 合いをしているところです。 今回のテーマが「新しい自治」ということ ですので、もう少し詳しく話しますと、郡上 市は地方自治体ですが、「住民自治」に対し てもう一つ地方自治があり、「団体自治」と 言います。行政がいろいろな計画を進め、条 例などを作って、まちづくりを積極的に進め ていくことを団体自治と言います。一方で、 住民自治という言葉があります。 「新しい自治」というのは、現在、団体自 治の部分である市政に住民が参画すること をよく考え、それについての仕組みを作りな さいということが、ポイントの1つではない かと思っております。 市民協働 三島: 次に、「市民協働」ですが、最近の新しい 考え方として、団体自治と住民自治の他に、 団体(地方自治体)ができることは団体(地 方自治体)でやって、住民ができることは住 民でやりましょう。できないところについて はお互いが協働して行う、共助してやりまし ょうという考え方があります。 このような新しい地方自治の考え方がで き、その中で大きな役割を果たすのが、市民 協働という考え方です。 続きまして、郡上市における市民協働につ いて説明します。市民協働は「郡上市市民協 働指針」3に詳しく書いてあります。その中 3 平成 17 年度に策定した「郡上市総合計画」では、 まちづくりの基本理念として「みんなでつくる郡上」 を、基本方針として「自立・自律」、「協働と補完」 を掲げた。これは、市民に身近な課題は市民自らが解 決への取り組みを行い(自立・自律)、その範囲を超 える課題については、行政が取り組む(補完)とする 考え方で、これを具体化するために、平成19 年 11 月 には、「郡上市まちづくり市民会議」を立ち上げ、市 民協働についての多くの議論を重ね、平成21 年 1 月 30 日に郡上市まちづくり市民会議から市長へ「郡上市 市民協働指針(案)」の提言を頂いた。この指針案を 成案化するため、パブリックコメント制度を活用しな がら、多くの市民の意見を取り入れ、策定したのが「郡 上市市民協働指針」である。 「郡上市市民協働指針」は、第1章から第9章で構 成され、市民協働のあり方、市民協働を進めるための 役割と責任、市民協働を進める環境づくりなど、市民

(17)

では、「市民が主役となるようなまちづくり を進めるためには、市民の参画が基本です。 そのためには、対市民、対行政という考え方 から抜け出し、『みんなで取り組めばできる こと』の可能性を探ることが大切です。」と いう前提を言っており、その後に「市民協働 とは『市民』と『行政』が対等なパートナー として、それぞれの得意分野を活かしながら、 協力、連携して社会的課題の解決にあたるこ と。」と言っております。 ここで重要なことは、「対等なパートナー」 ということで、対等なパートナーについて考 えてみます。 これまでは、市民の側から何かやりたいと 思った時には、陳情や要望をもらって行政の 方で対応する。行政からやりたいと思った時 には、市民の方に依頼や委託をするといった 形で自治を進めていった訳ですが、これから は対等なパートナーとして、市民と行政が同 じような立場でまちづくりや課題解決を進 めていき、連携、協力する。この関係が対等 なパートナーということではないかと思い ます。自分たちができることは自分たちでや るという市民協働も、新しい自治のポイント だと思います。 住民自治や市民協働を進める背景 三島: 続いて、なぜ住民自治や市民協働を進める のかということです。 1点目は、市民参加意識が高まってきてい るということです。2点目は、ニーズの多様 化ということで、生活の価値観やライフスタ 協働を推進するための進むべき方向が書かれている。 郡上市ホームページでも公開している。 イルが変わってきたという点があります。3 点目は、地方分権への対応。4点目は、行財 政改革です。本日の講座の第1部で説明があ りましたが、人口構成など社会構造が非常に 変わってきている中で、行政改革を進める必 要があることが大きな要因です。 これに対して、どういう取り組みが行われ ているかですが、国では、平成12 年に地方 分権一括法という法律が制定されました。自 民党の森内閣の時代ですが、「なるべく地方 の裁量を高めて、国の管理を少なくしよう」 ということでした。 この時に重要なポイントといわれていた のが機関委任事務4で、これは廃止になりま した。沖縄の嘉手納基地に係る問題で、沖縄 県知事さんが代理署名を拒否した問題があ りましたけど、その時にはまだ機関委任事務 が残っており、それが廃止されたということ です。 続きまして、平成17 年に、合併に関する 法律が施行されました。新合併法ができまし た。地方自治の推進に関しての1つの動きだ と考えています。 続きまして、三位一体の改革。講座の第1 部でも説明がありましたが、この時には「地 方にできることは地方に、民間にできること は民間に」ということで、三位一体の改革で は、民間にできることにまでも話が進み、そ の成果としまして、地方交付税が国全体で5 4 機関委任事務とは、法律や政令に基づき、国から、 地方自治体(県や市町村)の執行機関である首長(県 知事・市長村長)に委任された事務のこと。地方自治 体の事務ではなく、あくまで国の事務である。委任さ れた地方自治体では、国の機関として事務を執行する。 国は、地方自治体が、機関委任事務の執行や管理で違 法や怠慢があったときは、職務執行命令訴訟を経て、 主務大臣による代執行ができるとともに、内閣総理大 臣による知事の罷免も可能であった。

(18)

| 98 兆 1,000 億円削減ができたということにな っています。国庫負担金5の改革で 4.7 兆円 の削減、国から地方への税源移譲が3兆円あ ったということです。国庫負担金を廃止して、 税源移譲により地方自治体に入る税金を増 やすということなんですけど、結果的にみる と、地方交付税-これは地方の財源だと思っ ておりますが-が大きく削減されました。ま た、税源移譲と国庫負担の差額の1.7 兆円に ついても、国は「スリム化がされた」という 言い方をされますが、その分においても、地 方自治体への歳入が削減されたというのが 実情です。 次に、郡上市にどういう影響があったかと 申しますと、地方交付税の観点からみますと、 平成15 年の時の地方交付税-臨時財政対策 債6という地方交付税と同じようなものも含 めて-比較しますと、平成16 年で 5.2 億円、 平成17 年で 4.1 億円、平成 18 年で6億円が 削減されたということで、3年間で総額 15 億円あまりの削減になりました。 それから、平成19 年には、地方分権改革 の推進法が施行されました。これは小泉内閣 から第一次安倍内閣に代わる時で、この時に 地方分権改革推進がさらに進められ、国から 地方へ権限や財源を移譲するという基本理 論が言われました。 今まさに進んでいることですが、平成 23 年からは、民主党でも同じように-民主党で は「地方分権」から「地域主権」という言い 方に変わっていますが-引き続き進められ 5 国が、地方公共団体と共同責任をもつ事務に対して、 経費の負担区分を定めて、国が義務的に負担する経費 で、国から地方公共団体へ支払われる。 6 国の財源不足等の理由により、本来、国から地方公 共団体へ支払われるべき普通交付税の不足分を補なう ために、地方公共団体が一時的に負担する借金のこと。 この分は、後年、国から補てんされる。 ています。内容としては、県や国から市町村 へ権限移譲がされていますし、義務付けの廃 止7、条例制定権の拡大が行われています。 また、一括交付金8であるとか、国と地方の 協議の場の法制化ということで、国の政策に 地方が計画の段階から入っていけるといっ たことが法的に整備されたという、大きな流 れです。 郡上市における取り組みの背景 三島: 続きまして郡上市ですが、平成16 年に郡 上市が誕生し、平成18 年に総合計画が作ら れました。その基本方針は「地域の自立と自 律」と「市民と行政の協働」です。「地域の 自立と自律」とは、「地域課題に対して自ら 考え、自ら行動をする」という意味で、「市 民と行政の協働」とは、「市民と行政はお互 いに補完し合うもの」だということです。 平成21 年には「郡上市市民協働指針」が 策定されました。平成22 年には「総合計画 後期基本計画」が策定され、この時は、施策 として「郡上市市民協働センターの設置」が 明記されました。また、住民自治の確立に向 けて「住民自治基本条例9の制定に向けて準 7 これまで国が一律に決定して、自治体が義務付けら れてきた基準などを自治体が条例の制定などにより自 ら決定して、実施するように改めるものであり、この ことを通じて、地方の自主性の強化、自由度の拡大が 図られるなど、地域の実情に応じた行政運営ができる。 8 国から地方への「ひも付き補助金」を廃止し、基本 的に地方が自由に使える交付金にするという構想で、 民主党が2009 年の衆議院議員総選挙のマニフェスト に掲げた。 9 市民自治を推進するために、地方自治体の運営の基 本原則等を定める条例のこと。「自治体の憲法」とも 言われている。北海道の「ニセコ町まちづくり基本条 例」等、全国約200 の自治体で制定されている。一般 的に、市民の権利と責務、市の役割と責務、議会の役 割と責務、情報公開の推進、市民参加の推進、総合計

(19)

備を進めます」といったことも明記されまし た。 これら2つについて、平成23 年には、市 民協働センターの設置検討委員会と、住民自 治推進懇話会が設置されました。先程言いま した住民自治基本条例ですが、参考までに岐 阜県内では現在5市町で策定されています。 平成24 年には、市民協働センターが設立 されました。市民協働センターにつきまして は、後程、上村センター長から話をしていた だきたいと思います。 以上が住民自治と協働の概要です。 画、説明責任、行政改革、個人情報保護、市民投票等 が盛り込まれている。 この講座は、郡上市市民協働センターが設置された郡上市役所大和庁舎で開催された。

(20)

| 100

住 民 自 治 の事 例 -八 幡 町 西 乙 原 自 治 会 ・自 主 防 災 の取 り組 み

三島: それでは、パネラーの皆さんに早速お話を 伺いたいと思います。 まず、住民自治ということで、福手会長さ んは、西乙原の自治会長をやっておられる中 で、防災の関係の取り組みをされているので、 それについてお話をしていただきたいと思 います。 2つの大震災を目の当たりにして 福手: ただいまのお話ですが、まずプロセスを話 さないと理解できないかと思います。 私の兄が神戸の港区に住んでおります。阪 神・淡路大震災10に遭い、私も向かいました が、すぐには行けず5日くらい後に行きまし た。中まで入れないから自衛隊のボートに乗 せていただいて港区に行きました。そこから はズボンをまくし上げて中に入って行きま した。その地域で兄さんを通して話を聞いた りしました。 また、新潟県中越地震11の時は、山古志村 に知り合いがいたので行って、その時もいろ いろ話を聞いて、もし、我々のところで地震 が起きた場合どうなるんだろうと思いまし た。 10 平成 7 年 1 月 17 日 5 時 46 分に発生した、淡路島 北部の北緯34 度 36 分、東経 135 度 02 分、深さ 16km を震源とするマグニチュード7.3 の地震。 11 平成 16 年 10 月 23 日 17 時 56 分に発生した、新潟 県中越地方を震央とするマグニチュード6.8 の地震。 皆さんも記憶にあると思いますが、小さい 子ががれきの下から助け出されたところ12 その前でいろいろとミーティングをさせて いただきました。 お風呂に入っていたら地震があって、その まま飛び出して、最初に考えたことが何かと いうと、兄弟と従業員のことだったそうです。 最初はパニックになっていたけど、ふと気が 付いた時、5時間くらい経ったときに、「従 業員と兄弟は大丈夫か」と思ったそうです。 何も手につかなかった。そうしている間にお 腹が減ってくるし、「ご飯を食べるにはどう しようか」となった時に、近所の人も安全な ところに集まってきて、「私のところにはこ ういう物があるからこれを食べよう」という ことで皆が集まった。このままではだめだと いうことで、住民自身が互いに話し合いをし、 役割分担をして生活したそうです。その集落 まで入って行けないものだから、行政からの 助けが来るまでにだいたい1週間かかった そうです。 私はその後に山古志村に行ったんですが、 まさしくそこにあった小屋が 150m下の谷 に落ちているんですね。「これ、どうしたん だ!」と言ったら、「地割れがして崩れて落 12 地震発生から4日(92 時間)経った 10 月 27 日午 後、行方不明になっていた新潟県小出町の母子3人の うち、長男の2歳の男の子が、長岡市妙見町・旧 17 号線の土砂崩れ現場のワゴン車と岩の小さな隙間から、 東京消防庁のハイバーレスキュー隊や緊急消防援助隊 の長野隊、山梨隊、新潟隊、警察の広域緊急援助隊、 土木研究所員、自衛隊医官など多くの人たちの協力に よって救出された。「長岡の奇跡」として大きく報道 された。

(21)

ちたんだよ」と言われました。それから30cm くらいのブロック・コンクリートも割れて、 50mくらい活断層のところがはっきり見え ました。 自主防災安否確認台帳(安否確認カード) 福手: こんな状態になるのかというのを目の当 たりにして、私が自治会長をやっているとこ ろで、まず何が一番必要だろうかと考えたら 安否確認だったのです。それで始めたのが、 皆さんのお手元にある資料(自主防災安否確 認台帳/下写真)です。 これも皆さんにいろいろとお話をして、全 員に協力してもらっています。最初の頃は 「個人情報だから必要ない」とかいろいろあ りましたが、今はこの欄に、家族はもちろん、 市外に出ている方についても書いてもらえ ています。 資料の黄色いところは、要援護者という人 です。それから、水色は、今は名古屋で勤め ている、あるいは学校へ行っていて地元には いないけれど家族だというような人です。市 外在住の方の緊急連絡先には、携帯電話番号 が全部入っています。ピンク色は、高齢者や 避難所まで歩行が困難というような人を書 きます。万が一災害が起きた時に何をしなけ ればならないかという区分けをして書いて いただいています。 全員が年々詳しく書いてくださっていま す。最初は勤め先だけだったのが、勤め先の 電話番号まで書いていただいています。ほと んどの人に携帯電話番号も書いていただい ています。その個人情報の管理は私が責任を 持ってやっております。 今までに使ったのは1回だけです。それは 何かというと、交通事故でお子さんが軽トラ にぶつかってしまい、両親ともに救急車で行 かれて、残ったのは警察だけだったんですね。 事情聴取をしようにも、どこの人かもさっぱ り分からない。それで私が本人に連絡をして 「こういうことで教えてもいいか」と確認し、 了解を得て、電話番号を警察に教えました。 処理を終え、警察の方は「ありがとうござい ました」と帰られました。知っているから伝 えるではなくて、こういうふうな個人情報管 理をしているのが、この安否確認カードです。 自主防災安否確認組織図 福手: 次に、万が一災害が起きたときにどこへ避 難したらいいか、事前に避難するところを組 織表にしています。避難グループです。「向 こう3軒両隣」ということが最近非常に薄れ ていますが、皆で話し合いをして、どこへ避 難しようというところまで申告をしてもら って、その中に全部書き込んでいます。

(22)

| 102 最初に書いてあるのが、その中で誰が取り まとめをするのか、連絡する代表は誰なのか ということ。万が一安否が確認できない場合 は、このグループの中の人で安否確認をしま す。向こう3軒両隣だからすぐ分かるんです。 そして、自主防災本部や避難所にはたくさ んの人が来ていますから、そこから応援を出 して行くというような仕組みになっていま す。担架がいるのか、一輪車がいるのか、車 いすがあっても道路がぐちゃぐちゃになっ ているから別のもので運ばないといけない かもしれないなども確認しつつです。グルー プの中で安否確認をすることは、近くに住ん でいる同士だから、誰がいるかなどすぐ分か ります。 世帯安否確認表 福手: これが各家庭に配布してありまして、実物 では縦の部分は全部家族の名前が入ってい ます。次の欄には、○とか打ちます。○は「確 認ができた」、×は「未確認」、△は「その 他」ということで、友達や親戚など来ている 人がどういう人かということを下に書き込 んでもらって、先程のグループ長がまとめて 自主防災本部の福祉員に渡します。 ちょっと見にくいですが、1-1、1-2、 1-3…と書いてあるのが、班や組です。1 班の1組はという形です。これは緊急連絡網 とリンクしています。福祉員は自主防災本部 へ来た時に、福祉員の持っている表でチェッ クをしてカードを受け取り、集計は民生委員 がやって、自主防災本部へ現状を報告できる ようにします。 先程のグループのように、どこに避難した らいいか確認をして、それからグループの人 がまとまって避難所へ行く。西乙原の場合は、 西中学校というふうにしてあります。武道館 になるか格技場になるか体育館になるかは その時によって違います。そういうような形 でやらせていただいています。 これらは、基本は安否確認台帳を基にして 作り上げて、今は各家庭にお渡ししてありま す。なぜかというと、明宝の方では、それを 筒に入れて冷蔵庫に入れてあると聞いてお ります。それもよい方法だなと思います。た だし、山古志村で見てきたように、家がひっ くり返っていたり、冷蔵庫を開けてみること ができんような状態だといけないので、とに かく、忘れて来ても福祉員が確認をできるよ

(23)

うな体制をとってやらせていただいており ます。 このようなことを私達はだいぶ前からや っておりますが、今は市の補助を受けてでき ますので、ぜひ参考にしていただきたいと思 います。今日、お越しの皆さんは、住民自治 や市民協働に一番関心のある方だと思いま すので、お帰りになられたら、各自治会で「こ ういうふうにやろうよ」と、先頭に立ってい ただければ、もっと良いものができるのでは ないかと思います。 ボランティア受け入れに役立つ地図 福手: この西乙原の地図は、要援護者や高齢者が 分かる地図です。私がいろいろ視察して話を 聞いてきた時に、あまりに被害がひどいとボ ランティアが入ってくるんですが、ボランテ ィアが入ってきた時に、どこへ行けばいいか 分からないと聞きましたので、ボランティア の方の参考にしてもらうために地図を作り ました。 市からは、要援護者のマップは各自治会長 が貰っています。福祉員や民生委員も貰って います。 ボランティアの人は自主防災本部に来て いただければ、「こういうふうだよ」という 形で見せることができます。ボランティアに 来ていただいたらすぐに対応できるために、 地図ができ上がっているということです。 三島: ありがとうございました。福手さんは、住 民自治の基本である「地域でできることは地 域で考えよう」という観点を持って、一番重 要な有事の時に備えた、安全に暮らせるまち づくりを、6年くらい前から積極的に取り組 まれております。 これからの各自治会のまちづくりの参考 になるのではないかと思っております。 当時は市から補助金等は出ておらずに、全 部自分たちの地域の力でやられたというこ とですけども、現在は、自治会の組織の活性 化事業であるとか市民協働推進事業という 制度があり、こういった活動に対して補助で きる制度が市にもできましたので、どしどし ご利用いただきたいと思います。

(24)

| 104

市 民 協 働 による福 祉 サービス提 供 の事 例 -フレンドシップつくしの家 -

フレンドシップつくしの家の概要 三島: 続きまして、西村さんです。NPO 法人コ ミシス郡上では、福祉サービス事業「つくし の家」を運営していらっしゃいます。その立 ち上げについて説明していただきたいと思 います。 西村: 最初に、NPO 法人コミシス郡上を紹介し ます。大きくは4つの事業を行っております が、会員28 名。立場を越えてつながり合い、 暮らしやすい郡上市づくりを目指して活動 しています。「コミシスだより大和版」を資 料として配布しておりますので、持ち帰りい ただき、ご覧いただければ幸いです。 それでは、つくしの家についてお話させて いただきます。最初にお断りをさせていただ きますが、私は会員になって日が浅いもので すから、事業に関わられた方の代弁が出てき ますが、ご理解いただきたいと思います。 まず、去年の郡上ケーブルテレビの番組を ご覧いただいた皆さんは、つくしの家とはど んな施設かご承知かと思いますが、簡単にお 話しさせていただきます。 つくしの家は郡上市からの指定管理のも と、地域の皆さんの支援を受けてNPO 法人 コミシス郡上が運営しております。精神障が い者のためのサービス事業所です。精神の病 を持たれ、医療機関を退院されたり、通院を されている方、家庭に引きこもり状態の方が やや回復期に向かった時の受け皿的施設と して機能しております。 利用者の皆さんは、作業を通して工賃を得 ながら生活リズムを作り、悩み相談、仲間同 士のカウンセリング、就労体験など自立支援 への道をつなげています。施設では、利用者 自ら偏見差別をなくすことで、地域社会から も偏見差別がなくなることを期待し、運営し ています。当事者の癒しの場、そして家族の 負担軽減の場として利用できる、最も敷居の 低い施設として位置づけをしています。 家族会・地域・行政が一体となった設立 西村: 次に、精神障がい者を取り巻く背景と、つ くしの家ができるまでの経緯について、少し 触れさせていただきます。 「三障がい」といわれる知的・身体・精神 の中でも、精神障がい福祉は最も遅れを取っ ていて、偏見差別の強いものでした。現在、 統合失調症といわれる病は、当時、精神分裂 病といわれ、周囲からは危険人物として距離 フレンドシップつくしの家(外観)

(25)

を置かれていたのです。担当部署も保健所で した。退院しても世間からは偏見差別を受け、 毎日家に引きこもったり、注意すると荒れる という繰り返し。家族にとっては地獄の毎日 です。 平成11 年、家族会が「郡上にも精神障が いの拠り所となる場を立ち上げてほしい」と、 7ヵ町村を何度も懇願して回ったと聞いて います。郡上郡に1施設なら、大和地域が郡 上の真ん中でもあり、条件的にも望ましいと いうことで、当時の大和町役場へ「どこか空 きがないか」と再三足を運んだそうです。 当時、大和町の担当者も精神障がい者への 理解不足があったのでしょうか、少し拒否反 応があったようですが、家族の切なる思い、 引きこもる我が子を何とかしたい、地域社会 から偏見差別を受けない安心して通える施 設がほしいという願いに共感しまして、大和 町役場が空き家を探し、空き家の改築や住民 への説得、いわゆる自治会への協力体制をつ けた訳です。そして、地域の議会への説明。 立ち上げ後は、運営面での支援など、行政と しては資金こそ出資しなかったのですが、ゼ ロ予算で大きく貢献していただいたという ことです。 行政の動きが地域住民の協力体制をつく り上げ、家族の叫びにも似た要請に対応でき た事例であると思います。 利用者にとって偏見差別の感じない安心 できる居場所として、利用者が年々増加し、 剣地内にある、県の長良川上流ダム事務所の 跡地に施設を移転させていただきました。こ こでも郡上市の関係者の多大なお力添えが あったと聞いております。 平成20 年に障がい者自立支援法が施行さ れ、法人格を持つ団体でないと施設を運営で きないという状況が発生しました。家族会で は、障がい者と家族の思いを継承してくれる、 敷居の低い施設運営を切望しました。この思 いを、当時のNPO 法人コミシス大和(現・ NPO 法人コミシス郡上)に委ねたいと要請 があり、NPO はこれに応えようと決意をし た訳です。 受け手としてのNPO の整備体制ができる までの2年間、郡上市社会福祉協議会が施設 運営の基礎固めをされました。平成22 年に、 つくしの家の運営母体がNPO コミシス郡上 となり、現在に至っています。利用者は現在 48 名です。 いろいろ申し上げましたが、現在の安定し た福祉サービス事業所になったのも、家族会、 地域、行政が一体になれたということが大き な要因であり、これこそ市民協働の柱である と思われます。以上です。 三島: ありがとうございました。市民が安心して 暮らせるまちづくりは、健康な方やハンデの ある方も、それぞれが将来にわたって安心し て暮らせるということも、非常に重要だと思 います。そういうことについて、家族会、つ くしの家、行政が一体となって進めてこられ たというのは重要なことだと思います。 現在、市内には6ヵ所の指定サービス事業 所があり、それぞれ、障がいを持った方に対 する福祉政策にご尽力をいただいています。

(26)

| 106

市 民 や行 政 に求 められていること、なすべきこと

三島: 本日は自治の推進ということでお話をし ておりますけど、上村さんから、今までお聞 きになられて、これからの行政あるいは市民 に求められることについて、少し言葉をいた だければと思います。 上村: 先程の三島課長のお話にありましたよう に、私は、市民協働指針、総合計画、住民自 治推進懇話会に関わり、今は市民協働センタ ーに関わっていますが、私は、三島課長のお 話を非常にプレッシャーに感じて聞いてお りました。 市民協働、総合計画、住民自治、こんなこ とばかりやってと自分でも思っているんで すけど、これらはすごく関連している、大事 な部分だという認識を持っています。今の行 政に求められることやなすべきこと、市民が 何をするのか、市民の役割は、という三島課 長の質問の答えは、この部分に関わることだ と思うんです。 別の言い方をしますと、団体自治13が先に あって住民自治14が後からできた訳ではな 13 団体自治とは、国から独立した地方自治体を認め、 その自治体の自らの権限と責任において地域の行政を 処理するという原則のこと。 14 団体自治に対する住民自治とは、地方における行政 を行う場合に、その自治体の住民の意思と責任に基づ いて行政を行うという原則のこと。団体自治と住民自 治は、車の両輪に例えられ、一方の実現のためには、 他方の拡充が求められるという関係にあるとされます。 (『郡上市市民協働指針』より) い。住民自治がまずあって、団体で自治を行 う必要があるがゆえに団体自治が生まれた、 これが住民自治の一番の基本で、始まりでは ないかと思います。 つまり、10 人くらいの住民がいました。 代表者が必要です。その方がいわゆる首長 (市長など自治体の長)さんです。もっと人 数が大きくなれば首長さん1人では対応で きないから、職員がたくさんいりますよ。そ れをチェックする議会議員さんがいります よ、となったのです。 だから、最初は市民です。市民が主体とい うよりも、市民から始まったから住民自治が 先であり、市民がより集まって団結して、一 緒になって暮らしていこうとなった。私は、 これが団体自治だという見方をしています。 ですから、行政や市民に求められること、行 政や市民がなすべきことというのは、市民か ら求められているからとか行政から求めら れているからというのではなくて、お互いの 役割分担の1つでしかないというような思 いがあります。 福手さんのお話ですと、自助、共助の部分 で、安否確認カードを行政の支援なしに作ら れた。できることはまず市民でやります、住 民でやりましょう、これが福手さんのお話だ ったと思います。西村さんのお話は、自分た ちで一生懸命やっています、こういう思いが あります、でも全部自分たちではできない。 だから、行政の支援をいただいてやってきま したということだと思うんですね。

(27)

高鷲に「ぽぷらの家」という障がい福祉サ ービス事業所があるのですが、これも実は 「ぽぷらの会」が高鷲村から委託をされて運 営していたんです。今の西村さんのお話と同 じように、法人格を持たないところでは運営 はできないよとなりましたので、郡上市にな った時に郡上市社会福祉協議会に指定管理 され今に至ります。が、その時に作られたぽ ぷらの会が、今でもぽぷらの家の支援を行っ ています。 市民の「こういうことをやろう」「こうい うことが必要だ」「こういうことを自助や共 助だけではできないよ」という、それらを、 いかなる形かは問わず、どんな形であっても、 公助の形でどう支援していくかというのが、 今の行政や市民に求められること、行政や市 民がなすべきことだと思います。ただ単に、 行政に求める、市民に求められるという区分 の仕方ではないような気がします。 先程、(講座の第1部の)丸山課長の話に もありましたが、例えば、材料費をもらって 道路の修理を自治会でやる。それを大きな形 でやったのが石徹白で、大師堂への道を市か ら材料費を支援していただいて、住民の手で 行った。そういうのが行政に求められること で、市民に求められることは「自分たちでで きることはやりましょう」ということなのか なと思います。 三島: 「自助、共助、公助」という言葉と、さら に市民協働で役割をはっきりして進めてい くというようなことが、自治の根本にあるの ではないかということでした。

市 民 協 働 の取 り組 み-市 民 協 働 センターと行 政 パートナー事 業

市民協働とは 三島: それでは次に、市民協働というテーマに入 りたいと思います。 市民協働というのも自治を進める上で重 要な役割を果たすものですけれど、上村さん、 市民協働ということにつきまして、事例を少 しお話ししていただきたいと思います。 上村: 先程、(講座の第1部の)丸山課長さんの お話の中で、(団体提案型協働事業で行った) 石徹白や、美並の円空の紹介がありました。 これらは、市民協働という制度事業に乗って 行われた、市民協働という形の取り組みです。 ミニパートナー制度のお話もありました。こ れも行政で一生懸命やっておられる、市民協 働の取り組みなのかなと思います。

参照

関連したドキュメント

This paper aims to elucidate complex ways of inclusion/exclusion regarding the urban poor and citizenship by focusing on a social assistance program as an apparatus for governing the

碇石等の写真及び情報は 2011 年 7 月、萩市大井 1404、萩市大井公民館長の吉屋安隆さん、大井ふる

第1事件は,市民団体が,2014年,自衛隊の市内パレードに反対する集会の

第四。政治上の民本主義。自己が自己を統治することは、すべての人の権利である

が漢民族です。たぶん皆さんの周りにいる中国人は漢民族です。残りの6%の中には

2.件名

所 属 八王子市 都市計画部長 立川市 まちづくり部長 武蔵野市 都市整備部長 三鷹市 都市再生部長 青梅市 都市整備部長 府中市 都市整備部長 昭島市 都市計画部長

1.海女の町 ふげし