グリーン・グリッドの指標:DCiE
(データセンターインフラ効率)の
詳細解説
編集:
garY VerDUN、DeLL
共同寄稿:
DaN aZeVeDO、SYMaNteC
NiCK grUeNDLer、iBM
hUgh BarraSS、CiSCO
BOB MaCarthUr、eMC
StePheN BerarD
、MiCrOSOFt
PhiL MOrriS
、SUN
MarK BraMFitt、Pg&e
aNDY raWSON、aMD
tahir CaDer、SPraYCOOL
JiM SiMONeLLi、aPC
概要
グリーン・グリッドは、 ホワイトペーパー『the greeN griD MetriCS:DeSCriBiNg DataCeNter POWer eFFiCieNCY(グリーン・グリッドの指標:データセンターの電力効率の解説)』を発表しています。本稿は、DCie(デー タセンターインフラ効率)の指標への理解を深めていただくために、さらに詳細に解説しています。DCie が標 準的な指標となり、世界各国のデータセンター管理担当者に活用されることを目指しています。
目次
はじめに ...4 背景と前提条件 ...5 DCieの概要 ...5 DCieの構成要素 ...7 必要なデータの収集 ...9 消費電力の試算 ...9 消費電力の測定 ...9 電力測定の要件 ...10 DCieに影響する要素 ...11 ダイナミックに変わるデータセンター ...11 データセンターの種類 ...11 気候と場所 ...12 データセンターの設計と運用 ...12 測定期間 ...12 DCieの改善が見られない場合...12 DCie効率化の推進 ...13 DCieと今後の技術進歩 ...13 複合施設 ...13 まとめ ...15 最後に ...15はじめに
グリーン・グリッドは、 ホワイトペーパー『the greeN griD MetriCS:DeSCriBiNg DataCeNter POWer eFFiCieNCY(グリーン・グリッドの指標:データセンターの電力効率の解説)』を発表しています。同ホワイトペー パーでは、世界中のデータセンター効率を表す明確な指標の必要性について解説しています。また、「データセ ンターインフラ効率(Data Center infrastructure efficiency:DCie)」指標の概要を紹介しています。
グリーン・グリッドは、DCie の定量化に関する詳細な情報を、段階的に提供していきます。表 1 に段階的方法 が図示されています。本稿は DCie 指標を詳細に解説する一連のホワイトペーパーの最初の 1 本で、表 1 のレ ベル1「基礎」に相当します。 表 1 レベル 1 (基礎 ) レベル 2 (中級 ) レベル 3 (上級 ) it機器電力 総施設電力 UPS データセンター電源入力 PDU データセンター入力 ( 共 用 hVaC を除く) サーバ、その他 データセンター入力 (共用 hVaC を除く) およびビル照明、保安設備 測定頻度 月 / 週 1 回 毎日 連続的 (xx 分ごと ) レベル 1(基礎):少なくとも月 1 回、電力測定値を収集。データセンター内の UPS 設備(it 負荷)、ならびにデー タセンターの冷却、空調のための機械設備に電力を供給する主配電盤が対象。 レベル 2(中級):少なくとも 1 日に 1 度、測定値を収集。データセンター内の PDU から取得した測定値、および 「施設」の各設備機器への電力供給に使用されている配電システムが対象。 レベル 3(上級):データの連続的な収集。データセンター内の個々の it 設備機器および施設の設備機器が対象。 「基礎」および「中級」レベルの測定では、ほぼ同時刻で、かつデータセンター内の負荷が以前の測定とでき る限り同一のタイミングで測定してください。週単位で比較する際は、測定値を比較できるように曜日も一定に してください。 本稿では、まず DCie の概要を説明し、DCie を構成する要素を図解します。次に、必要なデータの収集方法と 複合施設でのDCieデータ収集に関して説明し、提案します。本稿および一連のホワイトペーパーの最大の目的は、 DCie(データセンター施設の効率)を高めるために、必要なデータ収集方法と、データを指標として解釈する方 法について、データセンターの運営担当者向けに解説することです。
背景と前提条件
下記の推奨事項は、データセンター専用施設を前提にしています。複合施設(例:オフィス用のデータセンター 用スペースと共用)については、本稿後半の「複合施設」の節で、追加の計算項目についての解説を参照して ください。データセンター内で起きるピークおよび名目上の負荷の変化を補うため、1 年間にわたって継続的に DCieを測定することをおすすめします。1 年を通して電力消費を監視することが不可能な場合、少なくとも 1 ヶ 月間の測定を行い、データセンター内の負荷が通常の環境において標準的であることを確認してください。 累積測定値と瞬間測定値との違い、また負荷や環境の変動がインフラ効率全体に及ぼす影響を理解することは 重要です。it 設備や総施設の消費電力を瞬間的に測定した値(たとえば kW 単位の値)によって、DCie の瞬間 的な値は導きだされます。しかし負荷や環境などの要因によって、この値は日、週、月、年単位で変化すると考 えるべきです。瞬間測定の回数を増やすと、変動を把握しやすくなり、施設の総合的な効率に特に影響する要 因を考察しやすくなります。DCie に関する有用な 1 つの指標を得るには、効率性の周期的な変動期間よりも長 い期間で累積的なエネルギー使用量を測定すべきであり(たとえばキロワット時)、多くの施設で、この期間は 1年となっています。DCIE
の概要
式 1 DCieは、上記の式 1 に見られるように総施設の消費電力に対する it 機器の消費電力の比率として定義されてい ます。総施設の消費電力は、電力需給計器で測定された電力で、データセンター専用の電力を意味します(デー タセンターが 1 つの用途である多目的ビルでは、この区別は重要です)。it 設備電力は、コンピュータスペース 内でデータの管理、処理、格納、転送に使用する設備が消費する電力です。 指標では、負荷を構成している要素を把握することが重要となります。次のように表わされます。 1. it機器の消費電力 it設備の全機器、すなわち、コンピュータ、ストレージ機器、ネットワーク機器や、補助機器(KVMスイッチ、モニター など)、データセンター監視またはその他の制御に使用されるワークステーション/ノート PC に関連した負荷な どがあります。 2. 総施設の消費電力 上記 1 に挙げた全 it 設備電力に加え、it 設備負荷を支えるあらゆる要素で構成されます。例えば a. 電源供給要素:UPS、開閉装置、発電機、PDU、バッテリ、it 設備外部の供給損失 b. 冷却システム要素:冷却装置、コンピュータ室の冷暖房装置(CraC)、温湿度調整 用(DX)装置、 ポンプ、冷却塔 c. その他、データセンターの照明など様々な負荷要素DCie =
X 100%
総施設の消費電力
it機器の消費電力
図 1
注 : it 設備の機器、インフラの機械設備に対し、名札通りの定格値を使っているなら、正確な DCie を算出でき ません。DCie と運用可能なデータセンターとの間に相関関係を持たせるには、実際に電力測定値を収集する必 要があります。 ATS 2500A 変電所 15 kV – 480 V / 277 V 補助発電機 2 MW 予備配電盤、2500 A、480 V 発電機開閉装置 UPS B 側 320 kW 400 kVA UPS A 側 400 kW 500 kVA 保守用バイパススイッチ、2500 A、480 V 配電盤、800A、480V 機械式 開閉装置 開閉装置機械式 AC 送電所 サーバ スイッチ ルータ プリンタ PC/ ワークステーション KVM/ コンソール セキュリティ 暗号化 ストレージ バック アップ機器 通信機器 IT 設備用冗長電力 自動 転換器 転換器自動 機械設備 機械設備 ビル管理 施設電力 CRAC 機器 グリコールポンプ UPS A 側 400 kW 500 kVA UPS A 側 400 kW 500 kVA ATS2500A 2500AATS
補助発電機 2 MW 補助発電機 2 MW ビル管理 施設電力 CRAC 機器 グリコールポンプ PDU 100 kVA PDU 100 kVA PDU 100 kVA PDU 100 kVA PDU 100 kVA PDU 100 kVA PDU 100 kVA PDU 100 kVA PDU 100 kVA PDU 100 kVA PDU 100 kVA PDU 100 kVA PDU 100 kVA PDU 100 kVA B A L 3 L 3 L 3 L 3 L 3 L 3 L 3 L 3 L 3 L 3 L 3 L 3 L 3 L 3 L 3 L 3 L 3 L 3 L 1 L 1 L 1 L 1 L 1 L 2 L 2 L 2 L 2 L 2 L 2 L 2 L 2 L 2 L 2 L 2 L 2 L 2 L 2 L 2 L 2 図 1 は標準的なデータセンターで、表 1 の提案レベルでの DCie の測定点を示しています。測定点には、表 1 のレベル 1 から 3 を示すマーク(L1 ∼ L3)を付けています。
DCIE
の構成要素
DCieを世界的な指標にするためには、2 つの重要な要件があります。 1) 指標の重要な要因となる 2 つの要素を正しく分類する。 2) DCie の主要な要因となる 2 つのデータを同じ方法で測定する。つまり、一貫したデータ収集方 法で実際の測定値を利用すること。DCie
の構成要素
データセンターの
生産性 DCeP
IT 設備
HVAC
施設電力
保安設備
ビル管理
コンピュータ
機器
ITサポート
システム
施設
DCI
ネットワーク
機器
データセンター
生産性指標は別の
グリーン・グリッドの
ホワイトペーパーで解説
通信機器
その他の
補助機器
ストレージ
図 2
表 2 を参考に、各要素を正しく分類します。 図 2 の「DCie の構成要素」に応じてあらゆる要素を整理する。 • 各要素を、DCie に対する影響度の大きさに応じて整理する。これにより、DCie を改善するために最も改良 • が必要な分野を特定しやすくなる。表 2
構成要素
主な要因
施設
電力
転換器 UPS DC バッテリ / 整流器 (UPS 以外 - 通信用接続ポイント ) 発電機 変圧器 ( 降圧 ) 配電装置 (PDU) ラック配電装置 (rDU) ブレーカー盤 電力供給線 照明冷暖房空調 (HVAC)
冷却塔 復水器ポンプ 冷却装置 冷水ポンプ コンピュータ室の空調装置 (CraC) コンピュータ室の温湿度調整用装置 (Crah) 乾式冷却装置 給気ファン 還気ファン エアーエコノマイザ 側水エコノマイザ 加湿器 冷却システム(列、ラック、シャーシ式)保安設備
火災鎮静 水検出センサ 保安用サーバ / 装置ビル管理システム
データセンター管理制御用サーバ / 装置 プローブ / センサーIT
設備
コンピュータ機器
サーバネットワーク機器
スイッチ ルータIT
サポートシステム
プリンタ PC/ワークステーション リモート管理 (KVM、コンソールなど )その他機器
セキュリティ暗号化、ストレージ暗号化、アプライアンスなどストレージ
ストレージ機器 - スイッチ、ストレージアレイ バックアップ機器 - メディアライブラリ、仮想メディアライブラリ通信
あらゆる通信機器必要なデータの収集
本稿の冒頭で定義したように、DCie は総施設の消費電力に対する it 消費電力の比率です。DCie を計算するた めに必要なデータを収集するには、基本的な 2 つの方法があります。適切な運用/環境特性を考慮した設備情 報を使用して電力を試算する方法と、必要な要素の実際の消費電力を測定する方法です。消費電力の試算
DCieを計算するために必要なさまざまな要素の消費電力は、効率曲線や負荷条件概算値などの概算値を使用 して取得できます。グリーン・グリッドは、この方法が将来のデータセンターの設計および計画段階で予想 DCie を試算し、代替案を評価するために有用であると考えています。しかし、運用中のデータセンターでは、この方 法ではなく、次の方法を強く推奨します。消費電力の測定
グリーン・グリッドが推奨する DCie の算出に必要なデータの収集方法は、データセンター全体および it 設備 の実際の消費電力を測定する方法です。実際の測定値を得ることは、簡単な仕事ではありません。特に、デー タを収集するための十分な計測器がない既存のデータセンターでは困難です。最低限必要な測定データは、総 施設の消費電力(図 1 のポイント a の部分)と it 設備の消費電力(図 1 のポイント B の部分)の 2 つです。 DCieの計算にはこれで十分ですが、データセンター内の DCie を改善するためには改良の余地がある領域や変 更箇所を評価するための領域を測定するにはさらにデータが必要になります。電力測定の要件
電力計の標準的な仕様には、精度(accuracy)、分解能(resolution)、波高因子(crest factor)、帯域幅(bandwidth) という用語があります。しかし、設備の使用電力の測定で重要なのは、入力電圧、入力電流、力率を同時に測 定し、「真の電力」を示す適切なワット計で測定することです(電圧と電流の積である kVa(キロボルトアンペア) は使用電力を正確に表しません)。また、多くのワット計には、電力の経時測定であるエネルギー使用(キロワッ ト時またはジュール)を表示する機能もあります。 精度は、測定の誤差率で表せます。誤差率は低いほうが望ましいですが、精度が有効とされているレンジと、 その精度がフルスケール精度であるかどうかに注目する必要があります。大切なのは、誤差率が動作レンジ全 体で一定であることです。レベル 1 測定で全体的な電力使用傾向を判定するには、最大誤差率が +/-5% の測定 値が実用的と考えられますが、最大 +/-2% の精度の計器の使用を推奨します。 分解能は、精度を表現する有効桁数を指し、しばしば測定レンジで変動します。it 機器の測定には 0.1 ワットの 分解能を推奨します。データセンターに供給される複数メガワットの電力計では、このレベルの分解能は得られ ません。レベル 1 測定値で受け入れられる計器分解能は、フルスケールの 0.05% です。 aC電流波形の波高因子は、rMS 電流に対するピーク電流の比率に等しくなります。使用する計器は、波形の 最上部が「クリップ」されることで測定値にひずみが出ることのないよう、設備の波高因子に対処できる必要が あります。設備の計器の負荷が軽いと、6 ∼ 8 の範囲の波高因子が必要になりますが、通常は、3 のフルレン ジ定格で十分です。 帯域幅は、データセンター設備(it とインフラ設備の両方)の電力変換装置によって生じる高周波数の高調波を 含む測定値を扱う計器の能力を示す尺度です。最低でも 3 khz の帯域幅を推奨します。 その他の電力測定の考慮事項としては、導入やデータ収集の容易さに影響する要素が挙げられます。一般に電 力測定システムは、分流器ではなく非接触型電流センサーを実装しています。これは分流器が電力損失を生む ばかりでなく、導入や安全上の問題があるためです。通常、電流変換器は、供給された電力が通過する変圧器 です。一般的にはソリッドコア型とスプリットコア型の 2 つの方式があります。ソリッドコアセンサーが比較的低 コストで精度が高く、新しく常設するデータセンターに最善の選択であるのに対し、スプリットコア型は既存のデー タセンターに一般的な選択です。スプリットコア型変圧器が、運用の妨げになることなく後から取り付けられる 設計になっているのに対し、ソリッドコア型は、取り付けのために電源ケーブルを取り外す必要があります。自 動計測(aMr)あるいは遠隔計測(rMr)機能を利用すると、自動的に測定値が送信され、物理的な表示の読 み取りや、データファイルのダウンロードの必要がなくなります。aMr あるいは rMr は、電力品質などの詳細 データや停電の報告機能、ネットワーク経由のデータ通信、警告機能を備えた「スマートな高性能計器」です。 DCieの測定や計算を自動化するには、こうした高性能計器が必要になります。 注:DCie、PUe は、電力(ワット計)またはエネルギー(キロワット時またはジュール)のどちらでも測定されます。 電力で計算した場合、瞬間的な DCie または PUe を表します。エネルギーで計算した場合、測定時間での平均 DCieまたは PUe を表します。DCIE
に影響する要素
DCieの目的は、データセンター効率の改善を図る中でデータセンターの運用、it または施設に関する意志決定 を支援することです。他のあらゆるデータポイント同様、DCie はデータセンターの全体像の一部にすぎません。 DCieは、総合的なレベルで 1 つのデータセンターの変化を観察するのに有益です。また、類似のデータセンター 間の効率面で大きな違いがある場合、その違いが存在する理由を理解するには、さらに調査が必要になります が、違いそのものを特定するのには役立ちます。DCie は、データセンター効率の理解を深めるための第一歩で す。データセンターの効率をさらに改善するための最適策を決めるには、さらに調査が必要になります。ダイナミックに変わるデータセンター
今日のデータセンターはたえず変化しています。アプリケーションだけではなく、it 設備やそれを支えるインフラ も企業の業務ニーズに応じて日々進化しています。このため、データセンターの初期設計では適切であったもの が、導入と試運転を終えた翌日には陳腐なものになりかねません。エネルギー効率の計算は、ダイナミックに変 わるデータセンターの構成ではなく、設計上の固定した構成に基づいていることがしばしばあります。データセ ンターの設計上の有り様(変化なし)と実際上(変化あり)の有り様を考慮しなければなりません。改善は、長期 にわたるインフラの漸進的な変更を通じて起きます。また、データセンターの負荷の変化につれて、効率曲線 上で機器の動作点も変わることを留意することも大切です。 データセンターの保守作業中は、測定を行うべきではありません。DCie の測定に悪影響が出て、非現実的な測 定値になることがあります。データセンターの種類
データセンターで行われる処理の種類が、DCie の指標に大きく影響することがあります。グリーン・グリッドは、 さまざまな種類のデータセンターと、類似のデータセンター間の DCie を比較できるようホワイトペーパー(『Data Center Segmentation』)を作成しています。データセンターの主要目的は何か(テスト、生産、内部処理、ネットワー ク接続)。どのような業務分野(金融、医療、通信など)をサポートするのか。その業務分野のサポートに必要 な階層レベルは何か。また、データセンター運用体制に災害復旧を含むべきかどうかという問題も検討すべき です。これは、間違いなく効率に影響する問題です。 同様に、データセンターの物理特性も DCie に影響します。データセンターで維持する標準的な温湿度はどの程 度か、また、どのような種類の冷却システムを使用し、それにはフリークーリングが含まれているのか、あるいは、 データセンターとその設備機器の使用年数はどれぐらいか、などの検討が必要です。ビルは当初からデータセン ターとしての使用が意図されたものか、あるいは改造したものか、データセンターから電源までの距離はどれく らいか、なども大切な問題です。 現在、多くのインフラ要素と it 機器は省エネルギー機能をサポートしています。データセンターで省エネ機器が 使われており、効果が上がっているかどうか、あるいは、代替エネルギー源が使われており、疑似負荷がかけら れているかどうか(その理由や時期)、などについて検討することも必要です。気候と場所
データセンターの所在場所が、エネルギー効率に大きな影響を持つことがあります。同じ機械システムでも、稼 働している場所の気候によって効率が大きく変わる場合があります。データセンターが位置する場所やその気候 は、使用可能なフリークーリング時間にも影響します。フリークーリングとは、エネルギー使用を減らすため、 現地の環境条件を利用して it 設備を冷却することを意味します。同様に、気候や場所によって一部の機械シス テムを十分に使用できないこともあります。場所は、エネルギー料金やエネルギーの可用性に大きく影響する要 素です。データセンターの設計と運用
データセンターのインフラがエネルギー効率に与える影響という点で、その設計を過小評価することはできませ ん。少し例を挙げるだけでも、it 設備の密度、電力供給アーキテクチャ、クーリングアーキテクチャ、冗長レベル、 設備配置などのすべてが効率に大きく影響します。これらのトピックの多くは、グリーン・グリッドの他のホワイ トペーパーで詳細に取り上げます。運用面の変更が発生すると、最良の設計であっても、効率の目標を達成で きない場合があります。たとえば設計仕様値以上にラックが高密度になると、空調による冷却で新たな問題が起 きることがあります。冷却システムのバランスがくずれ、効率が低下します。測定期間
DCieは、時間、日、週、月、季節変動の影響を受けます。データセンターの効率を本当に理解し、正しく管理 するには、過去の傾向分析、統計分析を行って、効率の向上改善が期待できる場所を特定できるよう、連続的 なリアルタイムの監視方法を利用すべきです。この実践は簡単ではなく、コストもかかる場合がありますが、繰 り返し可能なプロセスの規定や実施によって、できる限り頻繁に DCie を収集し、値を比較すべきです。 データセンターでの保守作業中は、測定を行うべきではありません。非現実的な測定値になることがあります。 グリーン・グリッドは、リアルタイム監視を自動化して、15 分おきにデータを収集することを推奨します。DCie 数値を引用するときは、1 年の平均値を使用します。リアルタイム監視が行えない場合は、表 1 に従い、実施 対象レベルごとに DCie を収集します。DCIE
の改善が見られない場合
最終的な目的は、指標の数値操作ではなく、エネルギー消費を減らすことです。状況によっては、データセンター に対する総供給電力を it 電力の低下に従って調整しなかった場合、DCie は低下することがあります。必ずイン フラ要素の消費電力を減らすことが大切です。 他の基準と異なり、エネルギー生成や廃熱利用などに授けられるクレジットポイントやパーセントポイントはあ りません。重要ではありますが、これらは DCie 基準の焦点ではありません。最大 DCie は 100% であり、最小 DCieは 0% です。 DCieは、データセンターの総エネルギー消費を念頭に考える必要があります。データセンターの総エネルギーDCIE
効率化の推進
データセンターで必要なデータを集めて DCie を計算する目的は、類似のデータセンター同士の値を比較ための 基準を提供し、重要なことはインフラの電力効率の観点からデータセンター内で実施した変更の有効性を判定す る手段を提供するです。
DCieの目的は、施設インフラの電力を it 設備に供給して、it 設備に必要な冷却を行い、it 設備への電力供給 における安定性と冗長性を実現するための施設インフラの電力消費量指標の提供にあります。 現状、標準的なデータセンターでは、DCie は it 負荷レベルによって変化する可能性が高いとされています。デー タセンターの DCie とエネルギー効率を改善するには、it 設備をサポートする非 it 設備が消費するエネルギー を変更する必要があります。 施設の DCie の測定には表 1 のレベル 1 の実施で十分であり、データセンターに対する変更の有効性の判定に 必要なデータが提供されます。どの変更が効率の改善に寄与した可能性が高いのかを特定するためには、レベ ル 2 とレベル 3 で提供される追加情報が一部にせよ必要になることがあります。 DCie改善のための変更は、次の順序で実施します。 1. グリーン・グリッドの他のホワイトペーパーで紹介しているベストプラクティスに従う。 2. 電力損失をサブシステムごとにランク分けできるよう電力測定をきめ細かくする。 3. 損失要因を大きさでランク分けし、it 設備の要件を維持したまま、それらサブシステムのエネルギー消費を 減らす変更の可能性を探る。
DCIE
と今後の技術進歩
グリーン・グリッドは、技術やデータセンター設計の進歩に並行して、たえず DCie の見直しと改訂を行っていま す。状況に応じて、指標も変化します。データセンターの効率を高めるために、他の指標を追加するかもしれま せん。例えば、データセンターのキャパシティの現在の使用量を知ることは有益でしょう。同様に、DCie と他の 指標のグラフや報告が提供されることにより、運営担当者による関連データの利用が容易になります。複合施設
本稿では、最初から独立した隔離しやすいデータセンターを前提としていました。しかし、現実的には、データ センターは複合的な大規模ビルや建造物の一部であったりします。そうした複合施設では、全電力に占めるデー タセンターの使用分を特定しなければなりません。データセンターとそれ以外の境界を設けることが必要となり ます。これは電気的な供給経路では簡単ですが、hVaC(heating Ventilation & air Conditioning)要素では難し くなるかもしれません。it 設備と施設が必要とする hVaC 電力は厳密に区別できれば理想的です。ただし、現実 的にはこれは必須ではありません。機械システムを共用している場合、データセンターや it 設備とビルの他の 部分との間で hVaC 電力を割り振る何らかの方法が必要となります。業界推定では、データセンターの hVaC 電力はデータセンターの総消費電力の 20% ∼ 45% です。i基本レベル
の DCie 分析には、試算が必要になってきます。試算の方法としては、総施設電力に対する it 設備電力の比率 に総 hVaC 電力を掛けて、it 設備の hVaC 電力要件を見積もる方法があります。
図 1 と同じデータセンター構成の場合の、データセンターに割り振られる hVaC 電力を試算する基本的な方法を 図 3 に示します。
図 3
DCieの中級レベルの分析では、hVaC 電力は、hVaC 設備から収集した情報に基づき計算できます。データセ ンター向け冷却部分は、熱伝導媒体の流速と冷却機器数、冷却機器の規模に基づく割合で求められます。これ により、データセンターの冷却専用電力をより正確に試算できます。 DCieの上級レベルの分析では、データセンターをサポートする個々の hVaC 要素を計測して、実際の消費電力 ATS 2500A ATS 2500 A ATS 2500 A 変電所 15 kV – 480 V / 277 V 補助発電機 2 MW 補助発電機 2 MW 補助発電機 2 MW 予備配電盤、2500 A、480 V 発電機開閉装置 UPS B 側 320 kW 400 kVA UPS A 側 400 kW 500 kVA UPS A 側 400 kW 500 kVA UPS A 側 400 kW 500 kVA 機械式開閉装置 機械式開閉装置 AC 送電所 電力計
複合施設の HVAC 電力の試算方法
自動転換器 自動転換器 機械設備 CRAC 機器 グリコール ポンプ 機械設備 CRAC 機器 グリコール ポンプ 電力計 電力計 電力計 電力計 総施設電力の測定位置 (M1) IT 設備 オフィススペース (UPS 電力の 供給の有無) M1 = 総施設電力測定 M2 = オフィススペース電力測定 M3 = IT 電力測定 M4 = IT 電力測定 M5 = IT 電力測定 M1 M2 M3 M4 M5IT
用 HVAC 電力 = ((M3 + M4 + M5)/総施設電力)*(総 HVAC 電力)
総 HVAC 電力が不明の場合は、以下で計算できる。
総 HVAC 電力 = M1 - (M2 + M3 + M4 + M5)
まとめ
本稿は、エンドユーザが各施設で DCie を適用するために必要な情報と指針を提供しました。取り上げた分 • 野は次の通りです。 複数レベルでの DCie 実施。DCie データ収集/計算のためのデータセンターの計測を段階的に実施できます。 • itシステム担当者は、データセンターに計器を装備するコストと時間をかけることなく、データを収集し DCie を実践できます。 電力の測定場所。標準的なデータセンターにおける実施レベルごとの測定場所について解説しました。計測 • およびデータ収集と DCie 計算に必要な作業は、段階に分けて実施できます。 データセンターで考えられる全設備の分類。it 設備または非 it 設備に分類することで、インフラと it 設備の • 要素を明確に分類できます。 DCieデータの収集方法。各方法の有用性と制限事項を解説しました。 • 電力測定要件。適切な電力測定機器を選択する際の手引きになります。 •DCie値に影響する要素。DCie に影響を与える要因について理解を深められます。この情報は、DCie におけ • る変更対象を特定するのに役立つとともに、改善の余地がある分野の手引きにもなります。 複合施設における DCie 測定への取り組み方法。DCie 測定で複合施設を計測する際の手引きとなることを目 • 的としています。
最後に
DCieは、データセンター内の it 設備を支えるインフラ設備のエネルギー使用効率の評価、測定のための非常 に有効な指標です。この指標を活用して、データセンターの運営担当者はデータセンター内のインフラ関係のエ ネルギー使用の改善に取り組めます。本稿の解説の大半は、基本レベルの DCie 測定を取り上げています。この レベルは、データセンターの既存設備の能力に応じて調整されます。既存のデータセンターに対する最低限の 変更で DCie を測定できるようになっています。今後のホワイトペーパーでは、中級および上級レベルでの DCie の要件および利用について詳しく説明します。参考資料
i 「LBNL energy efficient Data Centers Power Chain efficiency」2006 年 12 月 11 日、William tschudi、aPC