新千代田図書館調査研究報告書
受託研究「新千代田図書館のあり方に関する検討
」
国立情報学研究所
新千代田図書館検討委員会
は じ め に 本 報 告 書 は ,千 代 田 区 よ り の 受 託 研 究「 新 千 代 田 図 書 館 の あ り 方 に 関 す る 検 討 」に お け る 調 査 研 究 結 果 を と り ま と め た も の で あ る 。こ の 調 査 研 究 を 実 施 す る に 際 し て ,国 立 情 報 学 研 究 所 で は ,本 研 究 所 の 図 書 館 情 報 学 ,情 報 工 学 ,情 報 科 学 分 野 の 専 門 研 究 者・実 務 経 験 者 に 加 え て ,筑 波 大 学 図 書 館 情 報 学 系 薬 袋 秀 樹 教 授 ,日 本 大 学 理 工 学 部 建 築 学 科 宇 於 崎 勝 也 講 師 に 協 力 を お 願 い し て ,委 員 会 を 組 織 し た 。ま た ,最 近 に お け る 公 共 図 書 館 の 急 激 な 変 革 に 鑑 み て ,新 た な サ ー ビ ス 展 開 の 事 情 に 精 通 さ れ る ,常 世 田 良 ,菅 谷 明 子 の 両 氏 に も ご 助 力 を お 願 い し ,千 代 田 図 書 館 の 現 職 員 を 交 え た 勉 強 会 を 開 催 す る な ど ,こ の 分 野 の 動 向 全 般 を 的 確 に 把 握 ,分 析 で き る よ う 心 掛 け た 。さ ら に ,現 図 書 館 へ の 来 館 者 ,区 民 ,区 内 の 会 社 ・学 校 の 在 勤・在 学 者 ,近 隣 へ の 来 街 者 と い う 4 区 分 に 即 し て , 周 到 な ア ン ケ ー ト 調 査 も 実 施 し た 。 こ う し た 取 組 に よ り ,ま と め ら れ た の が 本 報 告 書 で あ り ,そ こ で は ,3 年 程 先 に 開 館 が 予 定 さ れ る 新 千 代 田 図 書 館 に 期 待 さ れ る 諸 機 能 ,サ ー ビ ス に つ い て , 現 状 の 分 析 と 将 来 動 向 の 見 通 し を 踏 ま え つ つ ,千 代 田 図 書 館 の 立 地 に 即 し た 各 種 の 提 案 を 行 っ て い る 。昨 今 ,利 用 者 要 求 の 多 様 化 と 情 報 通 信 技 術 の 進 展 に は 急 激 な も の が あ る 。同 時 に ,公 共 図 書 館 の 運 営 を 担 う 地 方 自 治 体 を 取 り 巻 く 環 境 の 変 化 も ま た 激 し い 。こ う し た 状 況 下 に お い て は ,3 年 先 と は い え ,新 千 代 田 図 書 館 の 将 来 像 を , 細 部 に 亘 っ て 確 定 的 に 策 定 す る に は 困 難 が 大 き い 。 本 報 告 は 現 時 点 に お け る 調 査 分 析 結 果 を と り ま と め て い る が ,今 後 に お け る 新 千 代 田 図 書 館 の 具 体 化 の 過 程 に お い て は ,こ の 地 域 に お け る 経 済 ,社 会 ,行 政 等 の 環 境 条 件 の 変 動 を 折 り 込 み つ つ ,機 動 的 に 対 処 し て ゆ く こ と が 何 よ り も 重 要 で あ る 。こ の 面 で 千 代 田 区 の 関 係 各 位 の 今 後 の 尽 力 に ま つ と こ ろ は 非 常 に 大 き い 。本 報 告 が ,い さ さ か な り と も そ う し た 努 力 の 支 え に な れ ば ,検 討 委 員 会 一 同 と し て , 大 い に 幸 い と す る と こ ろ で あ る 。 平 成 1 6 年 2 月 2 7 日 新 千 代 田 図 書 館 検 討 委 員 会 委 員 長 根 岸 正 光
目 次 要 旨 1 本 文 8 1. 公 共 図 書 館 の 動 向 と 今 後 の 課 題 9 1.1. 現代社会における図書館の役割 9 1.1.1. 図書館の役割 9 1.1.2. 図書館の発展段階 9 1.1.3. 最近の社会の動向 11 1.1.4. 学習・知識・情報と図書館 11 1.2. 図書館法と図書館政策 11 1.2.1. 図書館法の規定 11 1.2.2. 国の図書館政策 12 1.2.3. 図書館にも関わる国の政策 13 1.3. 図書館の3つのモデル 13 1.3.1. 3つのモデルの概要 14 1.3.2. レファレンス・サービスの意義 14 1.3.3. 組織・団体へのサービスの意義 15 1.3.4. 新しいモデルの実現に向けて 15 1.4. これからの図書館サービスのあり方 16 1.5. 新しい図書館像の意義 17 2. 新千代田図書館の基本機能 18 2.1. 現千代田図書館と区の概況 18 2.2. メディア・ミックスによる情報提供 21 2.3. 仕事や調べ物の支援 23 2.4. 多様な市民要求への対応 24 2.5. 書店・出版社との連携を通じた地域振興 26 2.6. ITの徹底活用 26 2.7. まとめ 29 3. 新千代田図書館の機能設計 31 3.1. メディア・センター/ポータル機能 31 3.1.1. 資料 31
3.1.2. サービス 33 3.1.3. 図書館ポータルの形成 36 3.1.4. 要員 38 3.2. 多様な市民要求への対応 39 3.2.1 住民サービス 39 3.2.2. ビジネス支援サービス 44 3.3. 地域振興への貢献と対外発信 47 3.3.1. 神田神保町図書データベースの構築と発信 47 3.3.2. 神田神保町古書店を専門レファレンスとして活用 48 3.3.3. 神田神保町インフォメーション・センター開設 48 3.3.4. 出版文化に関する企画展の開催 48 3.3.5. 貴重本のオンデマンド・デジタル・アーカイブ化 49 3.4. I T の 徹 底 活 用 50 3.4.1. ITの活用によるメディア・ミックス環境の実現 50 3.4.2. ITの活用による図書館業務の効率化・高機能化 51 3.4.3. そ の 他 の I T 活 用 52 3.4.4. 情報サービスのヒューマン・インターフェース 53 3.5. 図書館建築・フロア計画指針 57 3.5.1. はじめに 57 3.5.2. 図書館の機能 57 3.5.3. 新千代田図書館に対するアイディアや希望 59 3.5.4. 空間イメージ 61 3.5.5. フロア計画の考え方 64 3.6. サービスの自己評価 67 3.6.1. 評価・分析する対象と方法 67 3.6.2. 評価の規準・基準・指標 67 3.6.3. 図書館経営と評価 69 4. アンケート調査 77 4.1. 概要 77 4.2. 調査方法 79 4.3. 調査結果 81 4.3.1. 回答者のプロファイル 81 4.3.2. 千代田図書館の利用頻度 92 4.3.3. 千代田図書館を利用しない理由 94
4.3.4. 千代田図書館の利用曜日 97 4.3.5. 千代田図書館での 1 回あたりの滞在時間 98 4.3.6. 図書館資料の利用目的 99 4.3.7. 図書館で借りた本等の書店での購入経験 100 4.3.8. 千代田図書館のサービス認知 102 4.3.9. レファレンス・サービスの利用・評価状況 105 4.3.10. 千代田図書館の開館時間に対する評価 106 4.3.11. 千代田図書館蔵書で増やしてほしい資料 110 4.3.12. 周辺書店等の本検索システムのニーズ 115 4.3.13. 商用データベース検索システムのニーズ 117 4.3.14. インターネット端末のニーズ 119 4.3.15. ネット接続可能な区画のニーズ 121 4.3.16. 電子メールお知らせサービスのニーズ 123 4.3.17. カフェや自販機のニーズ 125 4.3.18. 予約本の宅配サービスのニーズ 127 4.3.19. 駅や町中への返却ポストのニーズ 129 4.3.20. 図書館にあった方がいいと思うサービス 131 4.3.21. 1 ヶ月あたりの本の購入冊数 132 4.3.22. 1 ヶ月あたりに図書館で借りる本の冊数 135 4.3.23. インターネット利用状況 138 主 要 参 考 文 献 140 付 録 148 A.1. 千代田図書館と区の現況に関する基本データ 148 A.2. アンケート調査票 150 A.2.1. 来館者調査 150 A.2.2. 郵送による区民調査 154 A.2.3. インターネットによる区民/在勤・在学者調査 160 A.2.4. 図書館周辺の通行者調査 165
千代田ブランドのライブラリー建設
日本国内
/海外
有用な
情報資源
新千代田図書館
新千代田図書館情報 (インターネット)ポータルシステム 先進の情報ポータルの構築により市民生活における千代田ブランドの実現神田神保町
古書店街・出版社等
千代田ブランドを国内外に発信するライブラリーの実現情報共有
携帯電話・パソコン等 での利用新庁舎
(9階・10階)
メディア・ミックスに よる千代田ブランド のライブラリー情報発信/市場活性化
閲覧・貸出 レファレンス 施設利用 情報発信 IT:Powered by NIIIT技術の活用
インターネット
※千代田ブランド:日本の中心,普遍・伝統,超先進,粋と美区民
…
レファレンス・サービス重視
千代田ブランド
の
市民支援
区民のニーズに役立つライブラリー 健康 ビジネス 子どもの成 長・子育て 学習 趣味・遊び 区政・行政・地域 課題解決 法令・地図・新聞など のデータベース提供 NII・コミュニティ支援 システムを導入 様々なメディアの 情報を総合的に利用 無線LANを導入 ICタグの導入によ 高度なサービス IT自動レファレンス サービス,自動貸出 など パソコン・携帯電 の持込可能 カフェ・レストラン などと複合施設化 有機EL・LED照明設備 など先進テクノロジー を導入し,省エネ, 環境に配慮 高齢者・障害者・ 外国人等が 使いやすいように配慮 区民の連帯の象徴となる情報ポータル 区民一人一人のための情報ポータル(My 市民生活を千代田ブランドにする様々な情 携帯電話で利用可能(いつでも,どこでも) 24時間アクセス可能 NIIの先進技術により実現 古書店街や出版社との連携 ライブラリーと神田神保町を一帯整備 千代田区の地域資料をデジタル化し発信 地域資料の収集に古書店と連携 地域館・分館との役割分担要 旨
公共図書館は,市民の教養・調査研究・レクリエーション等のために,
様 々 な 資 料 を 収 集 ・ 整 理 ・ 保 存 し , す べ て の 人 々 に 提 供 す る 社 会 教 育 施
設 で あ る 。 図 書 館 は , か つ て は 学 生 の 勉 強 部 屋 で あ り , ま た , 読 書 を 目
的 と し た 図 書 の 貸 出 が 中 心 的 な サ ー ビ ス で あ っ た 。 し か し , 急 激 な 技 術
発 達 の 一 方 で , 長 期 に わ た る 経 済 停 滞 の 中 で , い わ ゆ る リ ス ト ラ が 社 会
の 各 方 面 で 進 む と い う 状 況 か ら , 近 年 で は , 最 新 の 知 識 ・ 情 報 の 提 供 が
公 共 図 書 館 に 強 く 求 め ら れ る よ う に な っ て い る 。 即 ち , 調 査 研 究 や 情 報
提 供 機 能 の 重 視 で あ る 。 こ う し た 機 能 の 実 現 に は , レ フ ァ レ ン ス ・ サ ー
ビ ス ( 参 考 調 査 ) の 充 実 と I T ( 情 報 通 信 技 術 ) を 活 用 し た メ デ ィ ア ・
ミックスによる情報提供が不可欠である。
今後は
学生の勉強部屋時代 (1950∼70年) 長時間在館時代 (∼90年代前半) 貸出サービス中心時代 (∼80年代前半) (1990年代後半以後) 技術の進歩 → 学習・習得 経済の停滞 → 合理化 → 新ビジネス開発レファレンス・サービス
が重要
調査研究重視時代
新 し い 千 代 田 図 書 館 で は , 公 共 図 書 館 で こ れ ま で あ ま り 重 視 さ れ な か
っ た レ フ ァ レ ン ス ・ サ ー ビ ス の 充 実 と , 先 進 の I T を 駆 使 し た 情 報 提 供
に よ り , 市 民 サ ー ビ ス の 向 上 を 目 指 し , ま さ に 千 代 田 区 に 求 め ら れ て い
る図書館,
「千代田ブランドのライブラリー」として,その機能展開を図
る必要があろう。その為に重要な方針・サービスを以下に挙げる。
(1) メ デ ィ ア ・ ミ ッ ク ス に よ る 資 料 提 供
従 来 の 印 刷 メ デ ィ ア に よ る 図 書 ・ 雑 誌 に 加 え , デ ジ タ ル メ デ ィ ア に よ
る 資 料 を 大 幅 に 採 用 し 提 供 す る 。 例 え ば イ ン タ ー ネ ッ ト へ の ア ク セ ス を
基 本 と し た 各 種 デ ー タ ベ ー ス の 提 供 , 電 子 ジ ャ ー ナ ル , 電 子 書 籍 等 の 提
供 で あ る 。 こ れ ら に は , 最 新 情 報 の 即 時 ・ 大 量 頒 布 , 検 索 が 容 易 と い っ
た 利 点 が あ る 。 千 代 田 図 書 館 は 印 刷 メ デ ィ ア と デ ジ タ ル メ デ ィ ア を 効 果
的 に 統 合 し た 新 し い メ デ ィ ア ・ セ ン タ ー と し て の 今 後 の 公 共 図 書 館 の モ
デ ル を 示 す も の と な る 。 現 千 代 田 図 書 館 利 用 者 や 区 民 一 般 を 対 象 と し た
ア ン ケ ー ト 調 査 で は , 実 際 , 商 用 デ ー タ ベ ー ス の 導 入 や イ ン タ ー ネ ッ ト
へのアクセス強化を求める声が多かった。
(2) 調 べ 物 や ビ ジ ネ ス の 支 援
(a) レフ ァ レン ス( 参考調査)サービスの充実:レファレンス・サー
ビ ス の 充 実 ・ 高 度 化 は , 市 民 一 人 一 人 の 主 体 的 活 動 を 支 援 し , 豊
か な 地 域 社 会 の 実 現 に つ な が る 。 形 態 と し て は , 利 用 者 と の 対 面
に よ る サ ー ビ ス に 加 え , 電 子 メ ー ル に よ る サ ー ビ ス , ホ ー ム ペ ー
ジ 上 の レ フ ァ レ ン ス ・ デ ー タ ベ ー ス の 公 開 な ど が 考 え ら れ る 。 ま
た 国 立 国 会 図 書 館 に お け る 立 法 調 査 機 能 の イ メ ー ジ で , 区 議 会 議
員 や 区 職 員 , N P O に 対 す る 調 査 サ ー ビ ス を 提 供 す る こ と も 考 え
ら れ る 。 レ フ ァ レ ン ス ・ サ ー ビ ス は , 図 書 館 が 市 民 や 行 政 等 と 接
し , ニ ー ズ を 探 る こ と が で き る 絶 好 の チ ャ ン ス で あ る 。 ア ン ケ ー
ト 調 査 で は , 現 千 代 田 図 書 館 に お け る レ フ ァ レ ン ス ・ サ ー ビ ス の
認 知 度 は 低 か っ た も の の , サ ー ビ ス を 受 け た 人 の 満 足 度 自 体 は 非
常 に 高 か っ た 。 サ ー ビ ス の 拡 充 と 周 知 の 徹 底 に よ り , 新 千 代 田 図
書館におけるサービスの柱になることが期待できる。
(b) デー タ ベースの提供:統計・判例・医療健康情報・人物/企業情
報 ・ 新 聞 記 事 な ど の 各 種 デ ー タ ベ ー ス を 導 入 ・ 提 供 す る 。 無 料 の
デ ー タ ベ ー ス と 共 に , 有 料 の 商 用 デ ー タ ベ ー ス も 導 入 し , 利 用 者
に は 原 則 と し て 無 料 で ( 図 書 館 予 算 の 範 囲 で 対 応 不 可 能 な も の は
有 料 で ) 提 供 す る 。 デ ー タ ベ ー ス の 提 供 に よ り , 利 用 者 が 行 え る
調べ物の深さ・広がりは飛躍的に増大する。
(c) 仕事 や 調べ物に有用な印刷資料の充実:デ ジタルメディアのデー
タ ベー ス に 加 え ,調 査 に 有 用 な 印 刷 メ デ ィ ア の 図 書・雑 誌・白 書 ・
年 鑑 類 , 特 に 行 政 資 料 や 地 域 資 料 を 収 集 ・ 提 供 す る 。 ま た 千 代 田
区 内 の 大 学 図 書 館 な ど 他 の 情 報 関 連 機 関 と 連 携 し て , 幅 広 い 資 料
の提供を図る。
(3) 住 民 サ ー ビ ス
(a) 生 涯 学 習 ・ コ ミ ュ ニ テ ィ 形 成 の 支 援 : NII( 国 立 情 報 学 研 究 所 )
で は , イ ン タ ー ネ ッ ト 上 に 同 じ 関 心 を 持 つ コ ミ ュ ニ テ ィ ・ グ ル ー
プ を 形 成 し , 問 題 解 決 に 向 け た 自 発 的 な 学 習 や ポ ジ テ ィ ブ な 市 民
活 動 を 支 援 す る シ ス テ ム 「 NetCommons」 を 開 発 し て い る 。 こ の シ
ス テ ム は , 活 動 ・ 学 習 の 内 容 を ア ー カ イ ブ ( 電 子 的 な 形 態 で 蓄 積
し た も の ) と し て 残 し , 社 会 に 広 く 発 信 す る こ と も 支 援 出 来 る 。
千代田図書館のホームページにおいて,NetCommons を 公 開・ 運 用
す る こ と で , 図 書 館 を 中 心 と し た 生 涯 学 習 ・ コ ミ ュ ニ テ ィ 形 成 が
実現する。
(b) 子ど も の成 長・子育ての支援:読 書は子どもの心の発達に良い影
響 を 及 ぼ す 。 ま た 子 ど も の う ち に 読 書 を 通 じ て 図 書 館 に 親 し み を
持 っ て も ら う こ と で , 大 人 に な っ て か ら も 図 書 館 を 利 用 し , 必 要
な情報を主体的に入手し,判断できる人材を育てることができる。
図 書 館 が 子 ど も の 成 長 を 支 援 す る こ と は , 民 主 主 義 社 会 に と っ て
重 要 な 戦 略 と 考 え ら れ る 。 具 体 的 に は , 読 み 聞 か せ や ス ト ー リ ー
テ リ ン グ , ブ ッ ク ス タ ー ト な ど を 行 う 。 ま た 子 育 て に 関 わ る 両 親
へ の 支 援 と し て , 育 児 に 関 す る 推 薦 図 書 リ ス ト を 作 成 し , 資 料 の
収集・提供を行う。
(c) 高齢 者・障 害 者・外国人等への配慮:高齢者・障害者・外国人等
が 使 い や す い よ う に 配 慮 す る こ と は , 結 果 的 に は , 利 用 者 全 体 に
恩 恵 を も た ら す こ と に な る 。 具 体 的 に は 大 活 字 本 を 増 や し た り ,
図 書 館 へ の 送 迎 サ ー ビ ス を 行 う , ま た 外 国 語 資 料 を 増 や す な ど で
ある。
(d) 長時 間 滞在可能な環境の提供:リ ラックスして楽しく利用できる
環 境 を 整 え る た め , 図 書 館 と カ フ ェ ・ レ ス ト ラ ン と の 複 合 施 設 化
を 図 る 。 後 述 の I C タ グ を 導 入 し , 図 書 館 と カ フ ェ ・ レ ス ト ラ ン
の 間 に 読 み 取 り 装 置 を 設 置 す る こ と で , 資 料 の 自 動 貸 出 あ る い は
無断持ち出しの防止が実現できる。
(4) 地 域 振 興 へ の 貢 献
千 代 田 区 に は 多 く の 出 版 社 及 び 書 店 が あ る 。 後 者 に 関 し て は 特 に , 世
界 的 に も 例 が な い 大 規 模 な 古 書 店 街 が 存 在 し て い る 。 千 代 田 図 書 館 は ,
出 版 ・ 書 店 業 界 と 連 携 を 深 め , 図 書 館 と 神 田 神 保 町 一 帯 を , 本 を 媒 介 と
し つ つ 統 合 的 に 整 備 し , 地 域 産 業 振 興 の 一 翼 を 担 う 。 ま ず 例 え ば , 千 代
田 区 の 地 域 資 料 の 収 集 を 神 田 神 保 町 の 古 書 店 街 と 連 携 し て 行 う 。 ま た ,
千 代 田 図 書 館 の 蔵 書 目 録 シ ス テ ム と , NII の 全 国 ( 大 学 ) 図 書 館 所 蔵 資
料及び新刊書の検索システムである Webcat Plus と,さらに古書データ
ベ ー ス の 三 者 を 統 合 し , 神 田 神 保 町 を 中 核 と し た 一 大 図 書 デ ー タ ベ ー ス
を 実 現 す る 。 こ の デ ー タ ベ ー ス の 検 索 端 末 は , ま ず 千 代 田 図 書 館 に 設 置
さ れ , 利 用 者 に 近 辺 で 入 手 可 能 な 本 の 情 報 を 提 供 す る 。 ア ン ケ ー ト 調 査
で も , 周 辺 書 店 で 購 入 可 能 な 本 の 検 索 シ ス テ ム を , 図 書 館 に 設 置 し て ほ
し い と い う 声 が 強 か っ た 。 書 店 と の 連 携 は , 新 千 代 田 図 書 館 の 特 色 の 一
つとして非常に有望である。
実 際 , 神 保 町 古 書 店 街 と の 連 携 は 千 代 田 図 書 館 に し か で き な い こ と で
あ り , 千 代 田 図 書 館 な ら で は の 社 会 連 携 活 動 と し て 推 進 す る こ と が で き
る 。 ま た 上 記 の 統 合 デ ー タ ベ ー ス は , 千 代 田 図 書 館 ホ ー ム ペ ー ジ の 情 報
ポ ー タ ル や , NII ホ ー ム ペ ー ジ で も 公 開 し て , 世 界 中 か ら 検 索 で き る よ
う に な る 。 こ れ に は , 検 索 後 , 神 保 町 古 書 店 街 や 出 版 社 に 発 注 で き る 機
能 も 付 加 す る 。 こ れ は 世 界 に 向 け た 情 報 発 信 で あ り , グ ロ ー バ ル な 視 点
に 立 っ た 地 域 振 興 と 言 え る 。 神 保 町 の 古 書 店 街 は , 実 際 世 界 有 数 の も の
で あ り , こ う し た 一 種 の 広 報 活 動 を 通 じ て , 世 界 文 化 遺 産 へ の 登 録 も 非
現実的ではないと考える。
以 上 は 千 代 田 区 の 書 店 ・ 出 版 社 と の 連 携 だ が , 区 内 大 学 図 書 館 と の 連
携 も 深 め , 幅 広 い 資 料 ・ サ ー ビ ス を 利 用 者 に 提 供 す る と 同 時 に , 大 学 を
通じた地域振興も促進するべきである。
書の受取・返却 書返却 •自動入退館システム •ブックディテクション・システム •自動貸出返却 •レファレンス・データベース •コンピュータ・ファシリティー •アメニティ:快適な環境 •ユニバーサル・デザイン •利用者登録 •予約・貸出依頼 •レファレンス(検索・メール質問) •マイポータル •施設予約 新千代田図書館 携帯電話・インターネット 神保町・古本屋街 大学図書館など 他の情報関連施設 コンビニ:図 街角ブックポスト:図
(5) I T の 徹 底 活 用
(a) IC タ グ導入による高度なサービス・管理の実現:本にICタグ
を 添 付 す る こ と に つ い て は , 主 と し て 出 版 流 通 や 書 店 の 防 犯 の 観
点 か ら 検 討 さ れ て き た が , 最 近 は 図 書 館 に お け る 図 書 内 容 ベ ー ス
の 活 用 も 検 討 さ れ て い る 。 具 体 的 に は , 目 次 , キ ー ワ ー ド , 帯 情
報 等 , 本 の 内 容 に 関 す る 情 報 を I C タ グ に 埋 め 込 む 。 I C タ グ 読
み 取 り 装 置 を 携 行 し た 利 用 者 が そ の 傍 を 歩 く と , 利 用 者 の 関 心 に
あ っ た 本 が 自 動 的 に 名 乗 り 出 る サ ー ビ ス , 即 ち 「 本 の ソ ム リ エ 」
と も 言 う べ き 高 度 な カ ス タ マ イ ズ ・ サ ー ビ ス が 展 開 で き る 。 ま た
I C タ グ の 導 入 は , 従 来 か ら 言 わ れ て い る よ う に , 資 料 の 自 動 貸
出 ・ 返 却 に 役 立 て る こ と も 出 来 る 。 さ ら に 本 来 あ る べ き で な い 場
所 に 置 か れ た 資 料 が , 自 分 か ら 名 乗 り 出 る こ と が 出 来 る よ う に な
り , 書 架 整 理 の 効 率 化 が 実 現 し , 職 員 は よ り 高 度 な 仕 事 ・ サ ー ビ
スに専念出来るようになる。
(b) 無線 L ANの導入によるネットワーク環境を提供:現 在,IEEE 規
格 802.11a/b/g の 無 線LANが国際標準となっており,これは安
価 に 設 置 で き る 。 さ ら に 最 近 の ノ ー ト パ ソ コ ン は こ れ ら 規 格 の 無
線 L A N を 標 準 装 備 し て い る 。 利 用 者 に ノ ー ト パ ソ コ ン の 館 内 へ
の 持 ち 込 み を 認 め , イ ン タ ー ネ ッ ト へ の ア ク セ ス , 先 述 の デ ー タ
ベ ー ス や 情 報 ポ ー タ ル へ の ア ク セ ス を 提 供 す る こ と で , 仕 事 ・ 学
習・調べ物への対応能力が飛躍的に増大する。
(c) 情報 ポ ータルとしてのサーバの導入:インターネット上の有用情
報 へ の リ ン ク , デ ー タ ベ ー ス へ の ア ク セ ス , 図 書 館 情 報 ・ 行 政 資
料 ・ 地 域 資 料 , レ フ ァ レ ン ス 事 例 デ ー タ ベ ー ス 等 の 提 供 を 行 う 情
報 ポ ー タ ル を 実 現 す る 為 , 自 前 の サ ー バ を 用 意 し , 機 動 的 に 改 訂
で き る ホ ー ム ペ ー ジ を 公 開 す る 。 パ ソ コ ン と 携 帯 電 話 の 双 方 か ら
ア ク セ ス 可 能 と す る こ と に よ り , 千 代 田 区 の 市 民 は 「 い つ で も ,
ど こ で も 」 有 用 な 情 報 を 図 書 館 か ら 入 手 で き る よ う に な る 。 ま た
先 述の NetCommons の 提供 や ,神保町出版・書店業界と連携した一
大 デ ー タ ベ ー ス の 公 開 に よ り , 千 代 田 ブ ラ ン ド を 国 内 外 に 発 信 す
ることが可能になる。
(d) メー ル によるカスタマイズされた情報提供:これまで述べてきた
よ う な , 調 べ 物 や 生 涯 学 習 ・ 子 育 て な ど , 市 民 一 人 一 人 の 関 心 に
応 じ て , そ れ に 合 致 す る 新 刊 情 報 , 古 書 店 の 入 庫 情 報 な ど を メ ー
ル で 配 信 す る 。 こ こ で は 神 田 神 保 町 の 古 書 店 街 や 出 版 社 に 発 注 で
き る よ う ナ ビ ゲ ー ト す る こ と も 可 能 で あ る 。 さ ら に , 対 象 を 世 界
に 広 げ る こ と も 考 え ら れ る 。 ア ン ケ ー ト 調 査 に お い て も , こ う し
た メ ー ル に よ る 情 報 提 供 サ ー ビ ス は , 現 利 用 者 や 区 民 か ら 高 い 関
心を集めていた。
(e) 電 子 書 籍 ・ 読 書 端 末 の 提 供 : 印 刷 体 の 形 を 取 ら な い 書 籍 , 即 ち ,
電 子 書 籍 と し て の み 存 在 す る 資 料 や , 携 帯 電 話 を 通 じ て の み 配 信
さ れ る 小 説 な ど は 今 後 増 加 し て い く と 思 わ れ る 。 千 代 田 図 書 館 も
それらに対応できる環境を整備し提供する。
無線LAN&パソコン
携帯電話
読書端末
ICタグ・ICカード
→ 本のソムリエ機能
データベース
電子書籍
印刷体資料
インターネット
利用者
千
代
田
図
書
館
ポ
ー
タ
ル
以 上 , ま と め る と 新 千 代 田 図 書 館 は , メ デ ィ ア ・ ミ ッ ク ス に よ る 資 料
提 供 , 調 査 ・ ビ ジ ネ ス の 支 援 , 各 種 住 民 サ ー ビ ス の 充 実 , 地 域 振 興 へ の
貢 献 を , 最 新 I T の 徹 底 的 活 用 に よ っ て 統 合 的 に 実 現 す る と い う 構 造 に
よ り , 新 し い メ デ ィ ア ・ セ ン タ ー , 即 ち 「 千 代 田 ブ ラ ン ド の ラ イ ブ ラ リ
ー」として構想されるべきものと考えられる。
I T (情報技術)
住民
サービス
ビジネス・
調査支援
メディア・
ミックス
書店・出版
振興
新千代田図書館調査研究報告書
受託研究「新千代田図書館のあり方に関する検討」
1 . 公 共 図 書 館 の 動 向 と 今 後 の 課 題 1 . 1 現 代 社 会 に お け る 図 書 館 の 役 割 1 . 1 . 1 図 書 館 の 役 割 公共図書館(以下,図書館という)1は ,市 民 の 教 養・調 査 研 究・レ ク リ エ ー シ ョ ン の た め に ,様 々 な 資 料 を 収 集・整 理・保 存 し て 提 供 す る 社 会 教 育 施 設 で , 乳 幼 児 か ら 高 齢 者 ま で ,す べ て の 人 々 が 誰 で も 気 軽 に 利 用 で き る 。本 や 雑 誌 を 図 書 館 内 で 読 ん だ り , 借 り 出 し て 自 分 の 好 き な 時 に 読 む こ と が で き る と 共 に , 現 在 で は ,レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス や イ ン タ ー ネ ッ ト に よ る 情 報 発 信 な ど の 新 し い サ ー ビ ス に よ っ て ,生 活 や 仕 事 に 必 要 な 知 識 や 情 報 を 入 手 で き る 。こ の よ う な 意 味 で ,図 書 館 は 生 涯 学 習 の た め の 機 関 で あ り ,地 域 の 情 報 拠 点 ,調 査 研 究 の 拠 点 で あ る 。 そ の た め , 図 書 館 は , (1) 本・雑誌・新聞・ビデオ・CD-ROM などの多様な資料を収集して利用者に 提 供 し , 利 用 者 は 資 料 を 閲 覧 ・ 貸 出 ・ コ ピ ー な ど の 方 法 で 利 用 す る 。 ま た イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の 情 報 源 へ の ア ク セ ス 機 会 を 提 供 す る 。 (2) 図書館や資料の使い方がわからない利用者,特定の資料を探している利用 者 , 特 定 の 事 柄 に つ い て 調 べ て い る 利 用 者 の 相 談 や 質 問 に 答 え て , 図 書 館 や 資 料 の 使 い 方 を 案 内 し , 求 め る 情 報 ・ 資 料 を 提 供 す る ( レ フ ァ レ ン ス ・ サ ー ビ ス ),さ ら に ,資 料 や 情 報 を 編 集 し ,出 版 や イ ン タ ー ネ ッ ト で の 公 開 や メ ー ル マ ガ ジ ン 等 に よ っ て 利 用 者 に 届 け る ( 情 報 発 信 )。 (3) 個々の図書館にない資料も市町村・都道府県・全国の図書館協力網(図書 館 ネ ッ ト ワ ー ク )・ 区 内 大 学 図 書 館 を 通 じ て 提 供 す る 。 (4) 児童・青少年が読書の楽しみを知り,読書の習慣を身に付けることができ る よ う に , 図 書 館 資 料 に 触 れ , 読 書 を 楽 し む 多 様 な 機 会 を 提 供 す る 。 (5) 障害者,高齢者,在日外国人など,図書館や資料の利用が困難な人々が利 用 し や す い よ う に , そ れ ぞ れ に 適 し た 資 料 や サ ー ビ ス を 提 供 す る 。 1 . 1 . 2 図 書 館 の 発 展 段 階 戦 後 の 図 書 館 の 発 展 段 階 は 次 の 4 つ の 時 期 に 大 き く 分 類 で き る 。 (1) 1950 年代∼60 年代は「学生の勉強部屋時代」である。学生の自習のため の 利 用 が 中 心 で , 利 用 者 に は 座 席 や 場 所 を 提 供 し , 学 生 ・ 研 究 者 な ど 特 別 な 人 々 , 読 書 会 な ど 特 別 な 活 動 の た め の 施 設 で あ っ た 。 1 「公共図書館」は法律上の用語ではないが,一般的に用いられている表現である為, 本 報 告 書 で は 「 公 立 図 書 館 」 を 指 す も の と し て 一 貫 し て 用 い る 。
(2) 1970 年代∼80 年代前半は「貸出サービス中心時代」である。「借りて帰っ て 」 家 で 読 む 利 用 方 法 が 普 及 し , 貸 出 利 用 が 爆 発 的 に 増 大 し , 利 用 者 の 中 心 は 児 童 と 主 婦 で あ っ た 。 開 架 書 架 が 施 設 の ほ と ん ど を 占 め た 。 (3) 1980 年代後半∼1990 年代前半は「長時間在館時代」である。家族が週末 に 思 い 思 い に 長 い 時 間 を 過 ご す よ う に な り , 成 人 男 性 利 用 者 が 増 加 し た 。 大 規 模 開 架 図 書 館 に 利 用 者 が 集 中 し た 。( 以 上 の 時 代 区 分 は 植 松 貞 夫 筑 波 大 学 教 授 に よ る ) こ の 段 階 で , す べ て の 人 々 に 親 し ま れ る 「 市 民 の 図 書 館 」 が 定 着 し た と い え る 。
レファレンス・サービス
が重要
調査研究重視時代
(4) 1990 年代後半以後は「調査研究重視時代」と呼ぶことができる。これはそ の 成 果 を 踏 ま え て ,さ ら に 発 展 さ せ る こ と が 求 め ら れ て い る 。図 書 館 で も , 様 々 な 調 べ も の の 要 求 に 応 え て , レ フ ァ レ ン ス ・ サ ー ビ ス や 情 報 の 提 供 を 重 視 す る よ う に な っ て き た 。 そ の 背 景 と し て は , 社 会 の 変 化 , 技 術 革 新 , 地 方 分 権 等 に よ っ て 生 涯 学 習 ・ 調 査 研 究 の 必 要 性 が 高 ま っ た こ と , 情 報 の 電 子 化 の 普 及 に よ っ て 図 書 館 の サ ー ビ ス ・ 利 用 ・ 運 営 が 効 率 的 に な っ た こ と ,1970 年以後の貸出中心サービスと近年のレファレンス・サービス重視 に よ っ て , 施 設 と 資 料 の 規 模 が 増 大 し , 職 員 の 技 術 の 蓄 積 が 進 ん だ こ と を 挙 げ る こ と が で き る 。今後は
学生の勉強部屋時代 (1950∼70年) 長時間在館時代 (∼90年代前半) 貸出サービス中心時代 (∼80年代前半) (1990年代後半以後) 技術の進歩 → 学習・習得 経済の停滞 → 合理化 → 新ビジネス開発 図 1 . 公 共 図 書 館 の 変 遷 と 今 後1 . 1 . 3 最 近 の 社 会 の 動 向 最 近 の 社 会 で は ,社 会 制 度 が 急 激 に 変 化 し ,技 術 が 急 速 に 発 展 し て い る 。こ れ に 伴 い ,既 成 の 知 識・技 術 は 急 速 に 古 く な り ,経 済 停 滞 に よ っ て 社 会 全 体 の 合 理 化 が 求 め ら れ ,地 方 分 権・規 制 緩 和 に 対 応 す る た め の 政 策 開 発 や 経 済 停 滞 に 対 応 す る た め の 新 ビ ジ ネ ス の 開 発 が 求 め ら れ て い る 。こ の よ う な 社 会 状 況 の 中 で ,人 々 は 社 会 の 現 状 を 認 識 す る こ と が 難 し く な っ て き て い る 。中 高 年 の 勤 労 者 の 知 識・技 術 は 古 く な り ,求 人 市 場 と の ミ ス マ ッ チ が 起 き て い る 。青 少 年・ 若 年 層 の 学 習 時 間 が 減 少 し , 基 礎 学 力 ・ 教 養 が 低 下 し て い る 。 こ れ ら の 結 果 , 労 働 力 の 質 , 社 会 規 範 意 識 の 低 下 を 招 い て い る 。 1 . 1 . 4 学 習 ・ 知 識 ・ 情 報 と 図 書 館 こ の よ う な 社 会 の 動 き に 対 応 す る た め に ,す べ て の 人 々 に 新 た な 生 涯 学 習 と 調 査 研 究 が 必 要 に な っ て い る 。そ の た め ,知 識・情 報 の 重 要 性 が 高 ま り ,常 に 最 新 の 知 識・情 報 を 入 手 す る こ と が 求 め ら れ て い る 。そ の た め の 知 識 の 入 手 手 段 と し て ,こ れ ま で は 書 店 ,マ ス コ ミ ,最 近 は ,こ れ に 加 え て イ ン タ ー ネ ッ ト が 利 用 さ れ て い る 。し か し ,書 店 で は 過 去 に 蓄 積 さ れ た 知 識 の 入 手 が 困 難 で あ り ,マ ス コ ミ で は 専 門 的 な 知 識 が 得 ら れ に く く ,イ ン タ ー ネ ッ ト で は 信 頼 性 の 低 い 情 報 が 多 い 。ま た ,そ れ ぞ れ 利 用 す る 量 に 限 界 が あ る 。選 書 や 情 報 ポ ー タ ル 構 築 な ど を 通 じ て 正 確 で 体 系 的 に 蓄 積 さ れ た 知 識 や 情 報 を ,広 い 範 囲 に わ た っ て ,い つ で も 必 要 な だ け 入 手 で き る 機 関 と し て ,図 書 館 の 役 割 が 重 要 に な っ て き て い る 。 1 . 2 図 書 館 法 と 図 書 館 政 策 こ の よ う な 社 会 の 動 き に 対 応 し て , 図 書 館 の 目 的 を 再 検 討 す る 必 要 が あ る 。 1 . 2 . 1 図 書 館 法 の 規 定 図 書 館 の 目 的 に つ い て ,図 書 館 法 第 2 条 で は ,「 図 書 館 」は ,「 図 書 ,記 録 そ の 他 必 要 な 資 料 を 収 集 し ,整 理 し ,保 存 し て ,一 般 公 衆 の 利 用 に 供 し ,そ の 教 養 ,調 査 研 究 ,レ ク リ エ ー シ ョ ン 等 に 資 す る こ と を 目 的 と す る 施 設 」と 規 定 し , 図 書 館 の 規 模 や 種 類 に 関 係 な く ,す べ て の 市 民 の 調 査 研 究 に 役 立 つ よ う に 運 営 す る こ と を 定 め て い る 。ま た ,同 法 第 3 条 で は「 図 書 館 奉 仕 の た め ,土 地 の 事 情 及 び 一 般 公 衆 の 希 望 に そ い ,更 に 学 校 教 育 を 援 助 し 得 る よ う に 留 意 し お お む ね 左 の 各 号 に 掲 げ る 事 項 の 実 施 に 努 め な け れ ば な ら な い 。」 と 規 定 し , 同 条 第 3 号 に「 図 書 館 の 職 員 が 図 書 館 資 料 に つ い て 十 分 な 知 識 を 持 ち ,そ の 利 用 の た
め の 相 談 に 応 ず る よ う に す る こ と 」, 同 第 7 号 に 「 時 事 に 関 す る 情 報 及 び 参 考 資 料 を 紹 介 し , 及 び 提 供 す る こ と 」 と 規 定 し て い る 。 こ れ ら の 規 定 は ,図 書 館 の 目 的 に は 調 査 研 究 が 含 ま れ る こ と ,図 書 館 で は レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス を 行 う こ と ,そ の た め に 優 秀 な 司 書 を 配 置 し ,司 書 は 図 書 館 資 料 か ら 時 事 に 関 す る 情 報 を 抽 出・加 工 し ,参 考 資 料 を 編 集 し て 積 極 的 に 利 用 者 に 提 供 す る こ と を 定 め て い る 。こ れ ら の 規 定 は 先 見 性 に 富 ん で お り ,今 日 改 め て 注 目 さ れ て い る 。 1 . 2 . 2 国 の 図 書 館 政 策 1980 年 代末から, 文部科学省 (あるいは 文部省)は 図書館に関 する報告 や 基 準 を 相 次 い で 発 表 し て き た 。 主 な 報 告 ・ 基 準 と し て 次 の 3 点 が あ る 。 1988 年の「新 しい 時代(生 涯 学習・高 度 情報化の 時 代)に向 け ての公共図 書 館 の 在 り 方 に つ い て − 中 間 報 告 − 」( 社 会 教 育 審 議 会 社 会 教 育 施 設 分 科 会 ) は ,生 涯 学 習 社 会 に お け る 図 書 館 の 重 要 性 を 指 摘 し ,そ の あ り 方 を 包 括 的 に 示 し た も の で ,こ の 間 の 文 部 科 学 省 の 図 書 館 行 政 の 出 発 点 で あ る 。図 書 館 は「 生 涯 学 習 を 進 め る 上 で 最 も 基 本 的 , か つ 重 要 な 施 設 で あ る 」「 人 間 生 活 の あ ら ゆ る 面 に か か わ る 資 料 を 収 集・提 供 で き る 機 関 」で「 生 涯 学 習 を 援 助 す る 上 で 極 め て 大 き な 可 能 性 を 持 っ て い る 」と 述 べ て ,図 書 館 の 機 能 ,新 し い 図 書 館 づ く り の 方 法 , 今 後 の 課 題 を 示 し て い る 。 2000 年の「2005 年の図書館像∼地域電子図書館の実現に向けて∼(報告)」 ( 文 部 省 地 域 電 子 図 書 館 構 想 検 討 協 力 者 会 議 ) は , 西 暦 2005 年における市立 図 書 館 の 姿 を 具 体 的 に 想 定 し た も の で ,地 域 電 子 図 書 館 の 機 能 を 整 備 し た 平 均 的 な 市 立 図 書 館 と そ の 利 用 者 一 家 の 姿 を 通 じ て ,図 書 館 の 状 況 ,サ ー ビ ス 内 容 , 現 在 の 課 題 を 示 し て い る 。総 合 検 索 シ ス テ ム や リ ン ク 集 に よ る 情 報 提 供 ,オ ン ラ イ ン 出 版 の 利 用 ,E メ ー ル に よ る レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス ,ホ ー ム ペ ー ジ や メ ー ル マ ガ ジ ン に よ る 情 報 発 信 ,電 子 掲 示 板 や メ ー リ ン グ リ ス ト に よ る 利 用 者 間 の 交 流 ,衛 星 通 信 に よ る 大 学 公 開 講 座 ,通 信 制 大 学 院 ,職 員 研 修 な ど が 挙 げ ら れ て い る 。 2001 年の「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」( 文 部 科 学 省 告 示 ) は ,図 書 館 の サ ー ビ ス と 運 営 の あ る べ き 姿 を 示 し て い る 。利 用 者 サ ー ビ ス で は 次 の 2 点 で 新 し い 考 え 方 を 取 り 入 れ て い る 。(1)児童サービス,障害者サービス に 加 え て ,高 齢 者 ,在 日 外 国 人 に 対 す る サ ー ビ ス を 行 い ,地 域 の す べ て の 人 々 に そ れ ぞ れ の サ ー ビ ス を 提 供 す る 。(2)成人利用者のために,就職・職業能力開 発 , 地 方 公 共 団 体 の 政 策 決 定 や 行 政 事 務 の た め の 資 料 ・ 情 報 を 提 供 す る 。(2) に つ い て は「 成 人 に 対 す る サ ー ビ ス の 充 実 に 資 す る た め ,科 学 技 術 の 進 展 や 産
業 構 造・労 働 市 場 の 変 化 等 に 的 確 に 対 応 し ,就 職 ,転 職 ,職 業 能 力 開 発 ,日 常 の 仕 事 等 の た め の 資 料 及 び 情 報 の 収 集 ・ 提 供 に 努 め る も の と す る 」「 地 方 公 共 団 体 の 政 策 決 定 や 行 政 事 務 に 必 要 な 資 料 及 び 情 報 を 積 極 的 に 収 集 し ,的 確 に 提 供 す る よ う に 努 め る も の と す る 」こ と を 定 め て い る 。こ れ は ,図 書 館 法 第 3 条 第 7 号 の 時 事 に 関 す る 情 報 ,参 考 資 料 の 紹 介 に 関 す る 規 定 を 具 体 的 に 展 開 し た も の と 考 え ら れ る 。 文部科学省は,2004 年度に向けて「社会教育活性化 21 世紀プラン」を打ち 出 し ,「 少 子 高 齢 化 , 高 度 情 報 化 , 地 方 分 権 化 等 に 対 応 す る た め , 社 会 教 育 施 設 を 中 核 と し て ,他 部 局 ,他 機 関 等 と の 連 携 に よ り 様 々 な 支 援 機 能 を 持 つ 課 題 解 決 型 教 育 機 関 と し て ,そ の 活 性 化 を 図 る 」と し て ,教 育 支 援 ,地 域 支 援 ,民 間 支 援 を 提 案 し て い る 。 これらは現在の社会の動きに対応するものである。 1 . 2 . 3 図 書 館 に も 関 わ る 国 の 政 策 政 府 は ,1997 年に高 齢社 会 対 策基 本 法 を制定し,高齢者が社会的活動に 参 加 す る 機 会 を 得 て , 健 や か で 充 実 し た 生 活 を 営 め る よ う に 「 生 涯 学 習 の 機 会 」 「 ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 の 基 盤 」 を 整 備 す る こ と を 定 め て い る 。 2001 年には,国民の情報通信技術の積極的活用を進めるために「e-Japan 重 点 計 画 」を 発 表 し ,そ の 中 で「 図 書 館 に パ ソ コ ン を 整 備 し ,イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 機 器 を 整 備 す る 」 こ と を 挙 げ て い る 。 ま た ,2001 年に,子どもの健やかな成長に資するために「 子 ど もの 読 書 活 動 の 推 進 に 関 す る 法 律 」を 制 定 し ,国・地 方 公 共 団 体 に 子 ど も 読 書 活 動 推 進 計 画 の 策 定 を 義 務 付 け ,学 校・図 書 館 等 と の 連 携 の 強 化 な ど の 必 要 な 体 制 の 整 備 に 努 め る こ と を 定 め て い る 。 2003 年には「経済 財政運 営と 構造改 革に 関する 基本 方針」で「 ビジネ ス支 援 図 書 館 の 整 備 」 を 挙 げ て い る 。 こ の 結 果 ,社 会 の 図 書 館 に 関 す る 関 心 が 高 ま り ,ニ ュ ー ス や 出 版 物 で 取 り 上 げ ら れ る こ と が 増 え て い る 。取 り 上 げ ら れ る テ ー マ は レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス , イ ン タ ー ネ ッ ト の 利 用 へ の 期 待 ,子 ど も の 読 書 の 振 興 や 高 齢 者 の 生 き が い や 社 会 参 加 に 対 す る 期 待 が 多 い 。 そ の た め , 図 書 館 界 に 活 気 が 生 ま れ て い る 。 1 . 3 図 書 館 の 3 つ の モ デ ル こ う し た 要 求 に 応 え る た め に 図 書 館 は ど う あ る べ き だ ろ う か 。大 人 に 対 す る 図 書 館 サ ー ビ ス は 3 つ の モ デ ル に 分 け る こ と が で き る 。
1 . 3 . 1 3 つ の モ デ ル の 概 要 ① 貸 出 モ デ ル ( モ デ ル ① ) 貸 出 ,リ ク エ ス ト・サ ー ビ ス が 中 心 で ,レ フ ァ レ ン ス ・デ ス ク が な く ,レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス は 弱 体 で あ る 。こ の た め ,情 報 化 や 自 治 体 他 部 局 と の 協 力 , 新 し い 情 報 サ ー ビ ス へ の 取 り 組 み が 不 十 分 で あ る 。利 用 の 多 い 資 料 は ,貸 出 の 多 い 資 料 ( 小 説 ・ エ ッ セ イ ・ 実 用 書 ) が 中 心 で あ る 。 ② 貸 出 ・ レ フ ァ レ ン ス モ デ ル ( モ デ ル ② ) 貸 出 ,リ ク エ ス ト・サ ー ビ ス が 中 心 で ,レ フ ァ レ ン ス 資 料 室 に レ フ ァ レ ン ス・ デ ス ク が あ り ,レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス を 行 っ て い る が ,貸 出 部 門 で は レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス( 本 の 案 内 )を 行 っ て い な い 。情 報 化 や 自 治 体 の 他 部 局 と の 協 力 , 専 門 的 情 報 サ ー ビ ス へ の 取 り 組 み は 不 十 分 で あ る 。 利 用 の 多 い 資 料 は , 貸 出 の 多 い 資 料 ( 小 説 ・ エ ッ セ イ ・ 実 用 書 ) と レ フ ァ レ ン ス 資 料 で あ る 。 ③ 総 合 サ ー ビ ス モ デ ル ( モ デ ル ③ ) 貸 出 , リ ク エ ス ト ・ サ ー ビ ス を 行 い , レ フ ァ レ ン ス 資 料 室 に レ フ ァ レ ン ス ・ デ ス ク が あ り ,レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス を 行 う と 共 に ,貸 出 部 門 で も レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス( 本 の 案 内 )を 行 っ て い る 。レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス を 基 盤 に 情 報 化 と 自 治 体 他 部 局 と の 協 力 を 進 め ,自 治 体 行 政 ,学 校 教 育 ,ビ ジ ネ ス 等 に 関 す る 組 織・団 体 に 対 す る サ ー ビ ス を 行 っ て い る 。利 用 の 多 い 資 料 は ,貸 出 の 多 い 資 料( 小 説・エ ッ セ イ・実 用 書 )と レ フ ァ レ ン ス 資 料 の ほ か ,雑 誌 と そ の バ ッ ク ナ ン バ ー で , 専 門 的 資 料 ( 各 種 調 査 資 料 ) も 利 用 さ れ る 。 この3つのモデルは,それぞれ,本の貸出を利用して読書をしたい(モデル ① ),そ れ に 加 え ,参 考 図 書 を 利 用 し て 調 べ も の を し た い( モ デ ル ② ),図 書 館 資 料 す べ て を 利 用 し て 読 書・学 習 ・調 べ も の を し た い( モ デ ル ③ )と い う ,図 書 館 へ の 多 様 な ニ ー ズ に 対 応 し て い る 。ど の モ デ ル を 選 択 す る か は 自 治 体 の 評 価 と 判 断 に よ る が ,現 在 の 社 会 状 況 ,市 民 の 要 求 に 応 え る に は ,モ デ ル ③ が 必 要 で あ る 。 1 . 3 . 2 レ フ ァ レ ン ス ・ サ ー ビ ス の 意 義 モ デ ル ③ の 核 心 は 司 書 に よ る レ フ ァ レ ン ス ・ サ ー ビ ス で あ る 。 レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス と 貸 出 は ,二 者 択 一 の サ ー ビ ス で は な く ,連 続 す る サ ー ビ ス で あ る 。レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス は ,利 用 者 が 求 め る 資 料 を 探 索・発 見 す る こ と に よ っ て ,貸 出 サ ー ビ ス を 充 実・発 展 さ せ る 。ま た ,レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス は ,
図 書 館 施 設 ,資 料 ,職 員 ,ネ ッ ト ワ ー ク 等 を 全 面 的 に 活 用 す る た め の サ ー ビ ス で あ り ,こ れ ら 図 書 館 が 持 つ 資 源 の 利 用 効 率 を 高 め る こ と が で き る 。こ れ ま で の 図 書 館 で は レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス が 不 十 分 で あ っ た た め ,せ っ か く 収 集 し た 資 料 が 有 効 に 利 用 さ れ な い ケ ー ス が 多 か っ た の で あ る 。 レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス を す べ て の 利 用 者 に 提 供 す る に は ,レ フ ァ レ ン ス 資 料 室 ,貸 出 部 門 の 両 方 で 行 う 必 要 が あ る 。な ぜ な ら ,2 階 や 別 室 の レ フ ァ レ ン ス 資 料 室 で は ,す べ て の 利 用 者 に レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス を 行 う こ と が で き ず , 全 館 の 資 料 を 活 用 す る こ と が で き な い か ら で あ る 。レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス を レ フ ァ レ ン ス 資 料 室 と 貸 出 部 門 の 両 方 で 行 う こ と に よ っ て ,す べ て の 利 用 者 に 対 し て レ フ ァ レ ン ス ・ サ ー ビ ス を 行 う こ と が で き る 。 こ れ ま で の 図 書 館 で は , せ っ か く レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス を 行 っ て い て も ,2 階 や 別 室 で 行 っ て い た た め , 利 用 者 に 知 ら れ て い な か っ た 。 1 . 3 . 3 組 織 ・ 団 体 へ の サ ー ビ ス の 意 義 地 域 社 会 に は 公 共 的 な 仕 事 を 行 っ て い る 組 織 や 団 体 ( 例 え ば , 自 治 体 職 員 ・ 議 員 ,学 校 教 職 員 な ど )が あ る 。こ の よ う な 組 織・団 体 と そ れ に 所 属 す る 人 々 は そ れ ぞ れ 情 報 と 資 料 を 必 要 と し て い る 。し か し ,現 在 の 公 共 図 書 館 の P R 能 力 で は ,こ れ ら の 人 々 個 人 に 対 し て レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス や 資 料 提 供 を P R す る こ と は 難 し い 。ま た ,仕 事 が 忙 し い 人 々 は 個 人 向 け の サ ー ビ ス は 利 用 し に く い 。た と え 夜 間 開 館 を し て い て も ,図 書 館 ま で 行 く 余 裕 が な い 人 が 多 い 。土 日 の 利 用 で は 仕 事 上 の 急 ぎ の 用 に は 間 に 合 わ な い 。仕 事 の 上 で 特 定 の 資 料 や 情 報 を 必 要 と す る 利 用 者 に は ,来 館 し な く て も ,レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス や 資 料 の 配 送 に よ っ て 利 用 で き る こ と が 望 ま し い 。 従 っ て ,こ れ ら の 組 織 や 団 体 に 属 す る 人 々 に 対 す る P R と 働 き か け ,必 要 な 資 料 を 案 内 す る レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス と 資 料 を 配 送 す る サ ー ビ ス が 必 要 で あ る 。こ れ ま で は ,こ の よ う な 組 織・団 体 に 対 す る サ ー ビ ス は 行 わ れ て こ な か っ た 。こ の よ う な 仕 事 を し て い る 利 用 者 の 組 織 や 団 体 の 例 と し て ,自 治 体 行 政( 行 政 職 員 ・ 議 員 ), 学 校 ( 教 職 員 ・ 生 徒 ), 社 会 福 祉 施 設 ( 職 員 ), 市 民 団 体 ・ N P O ( 市 民 ), 商 工 会 議 所 ・ 青 年 会 議 所 ( 経 営 者 ・ 会 社 員 ) が 考 え ら れ る 。 1 . 3 . 4 新 し い モ デ ル の 実 現 に 向 け て そ れ で は ,図 書 館 の 現 状 は ど う だ ろ う か 。日 本 の 中 小 図 書 館 に は ,レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス を 行 っ て い な い 図 書 館( モ デ ル ① )が 多 い 。ベ テ ラ ン 司 書 が 配 置 さ れ て い て も ,他 の 職 員 と 同 じ く 貸 出 中 心 の 仕 事 を し て い る 。ま た ,レ フ ァ レ ン ス 資 料 室 で レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス が 行 わ れ て い て も ,貸 出 部 門 で は レ フ
ァ レ ン ス・サ ー ビ ス が 行 わ れ て い な い 図 書 館( モ デ ル ② )が 多 い 。資 料 は ,図 書 中 心 で ,雑 誌 が 少 な く ,バ ッ ク ナ ン バ ー が 保 存 さ れ ず ,記 事 索 引 が 不 足 し て い る た め ,雑 誌 記 事 が 検 索 で き な い 。こ の た め 調 査 研 究 の 要 求 に 十 分 応 え ら れ な い 。ま た ,組 織・団 体 に 対 す る サ ー ビ ス は ほ と ん ど 行 わ れ て こ な か っ た 。従 っ て ,レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス の 充 実 と 組 織・団 体 に 対 す る サ ー ビ ス が 必 要 で あ る 。日 本 の 図 書 館 利 用 者 は ,こ れ ま で モ デ ル ③ の よ う な サ ー ビ ス を 受 け た 経 験 が な い た め ,モ デ ル ③ を 実 現 す る に は ,図 書 館 側 か ら 積 極 的 に モ デ ル ③ の サ ー ビ ス を 提 供 し な け れ ば な ら な い 。 1 . 4 こ れ か ら の 図 書 館 サ ー ビ ス の あ り 方 モ デ ル ③ を め ざ す 図 書 館 サ ー ビ ス や 運 営 の あ り 方 は お お む ね 次 の よ う に ま と め る こ と が で き る 。 [ サ ー ビ ス の 目 的 と 利 用 者 ] ・こ れ ま で は ,図 書 館 サ ー ビ ス の 目 的 は 資 料 提 供 一 般 と さ れ て き た が ,現 代 的 課 題 を 含 む 地 域 社 会 の 課 題 解 決 を 重 視 す る 。利 用 者 と し て ,地 方 自 治 体 職 員 , 議 員 を は じ め と す る 仕 事 を 持 つ 人 々( 有 職 者 )を 重 視 し ,そ の 調 査 研 究 的 利 用 を 重 視 す る 。 ・乳 幼 児 を 含 む 児 童・青 少 年 の 読 書 活 動 ,総 合 学 習 ,生 徒 の 読 書 活 動 な ど の 学 校 教 育 を 支 援 す る 。 ・高 齢 者 ,障 害 者 ,在 日 外 国 人 等 の 図 書 館 や 資 料 の 利 用 が 困 難 な 人 々 へ の サ ー ビ ス を 重 視 す る 。 [ サ ー ビ ス の 方 法 ] ・こ れ ま で レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス が 不 十 分 で あ っ た た め ,レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス を 重 視 し ,利 用 者 の 近 く に レ フ ァ レ ン ス・デ ス ク を 設 け ,担 当 者 を 配 置 し て ,レファレンス・サービスと情報サービスを行う。 ・イ ン タ ー ネ ッ ト な ど の 電 子 化 情 報 と 本・雑 誌 な ど の 紙 の 情 報 を 組 み 合 せ て 提 供 す る 。 こ れ が ハ イ ブ リ ッ ド 図 書 館 で あ る 。 ・図 書 館 の ホ ー ム ペ ー ジ を 開 設 し ,収 集 資 料 に 関 す る 情 報 を 加 工( 付 加 価 値 の 付 与 )し ,ホ ー ム ペ ー ジ ,電 子 メ ー ル ,メ ー ル マ ガ ジ ン 等 に よ っ て 積 極 的 に 発 信 し , 来 館 し な く て も , 情 報 を 利 用 で き る よ う に す る 。 ・ レ フ ァ レ ン ス・ サ ー ビ ス ,情 報 発 信 ,資 料 選 択・ 収 集 ,蔵 書 構 築 ,企 画 立 案 等 の 専 門 的 知 識 を 必 要 と す る サ ー ビ ス に は 司 書 を 配 置 す る 。 ・資 料 収 集 で は ,地 域 課 題 に 関 す る 資 料 ,行 政 資 料 ,地 域 資 料 ,参 考 図 書 等 の 充 実 を 図 り ,イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の 情 報 も 提 供 す る 。地 域 課 題 に 関 す る 独 自 の コ レ ク シ ョ ン を 構 築 す る
[ サ ー ビ ス の た め の 資 料 の 収 集 ] ・ こ れ ま で は 図 書 中 心 で あ っ た が , 今 後 は 雑 誌 記 事 の 探 索 と 提 供 を 重 視 す る 。 ・ 児 童 , 青 少 年 , 高 齢 者 , 障 害 者 , 在 日 外 国 人 の た め の 資 料 を 充 実 さ せ る 。 [ サ ー ビ ス の た め の 協 力 ] ・ 自 治 体 内 の 各 部 局 , 地 域 の 関 係 機 関 と 連 携 協 力 し て サ ー ビ ス を 行 う 。 ・図 書 館 協 議 会 ,利 用 者 懇 談 会 ,ア ン ケ ー ト 調 査 等 の ほ か ,住 民 の ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 の 受 入 れ に よ っ て ,住 民 参 加 を す す め ,住 民 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 改 善 を 図 る 。 [ サ ー ビ ス の 評 価 ] ・図 書 館 の 評 価 は ,従 来 の よ う な 貸 出 冊 数 の み で は な く ,多 様 な サ ー ビ ス を 対 象 と す る 。「 公 立 図 書 館 の 設 置 及 び 運 営 上 の 望 ま し い 基 準 」 の 規 定 に も と づ き ,各 図 書 館 が 適 切 な 指 標 を 選 び ,数 値 目 標 を 設 定 し て ,計 画 的 に サ ー ビ ス を 実 施 し , 自 己 点 検 ・ 自 己 評 価 を 行 い , 結 果 を 住 民 に 公 表 す る 。 1 . 5 新 し い 図 書 館 像 の 意 義 こ れ ま で ,日 本 の 図 書 館 は 地 域 の す べ て の 人 々 に 親 し ま れ る「 市 民 の 図 書 館 」 を め ざ し て き た 。 新 し い 図 書 館 像 は 「 調 査 研 究 重 視 型 図 書 館 」「 課 題 解 決 型 図 書 館 」と 呼 ば れ て い る が ,あ く ま で ,地 域 の す べ て の 人 々 に 親 し ま れ る「 市 民 の 図 書 館 」を 基 盤 と す る も の で あ り ,そ の 発 展 形 態 で あ る 。な ぜ な ら ,図 書 館 法 第 2 条 で は ,図 書 館 と は 一 般 公 衆 の「 教 養 ,調 査 研 究 ,レ ク リ エ ー シ ョ ン 等 に 資 す る こ と を 目 的 と す る 」 と 規 定 し て ,「 調 査 研 究 」 を 重 視 し て お り , 第 3 条 第 3 号 で は「 図 書 館 の 職 員 が 図 書 館 資 料 に つ い て 十 分 な 知 識 を 持 ち ,そ の 利 用 の た め の 相 談 に 応 ず る 」, 第 7 号 で は 「 時 事 に 関 す る 情 報 及 び 参 考 資 料 を 紹 介 し , 及 び 提 供 す る 」 と 規 定 し て い る か ら で あ る 。 こ れ ま で レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス が 不 十 分 だ っ た た め ,図 書 館 が 地 域 の 課 題 解 決 や 調 査 研 究 に ど の よ う に 役 立 つ か が 十 分 認 識 さ れ て こ な か っ た 。図 書 館 法 や 望 ま し い 基 準 の 規 定 ,先 進 的 図 書 館 の 視 察 や 関 係 資 料 を 通 じ て こ の 点 の 理 解 を 深 め る こ と が 必 要 で あ る 。
2 . 新 千 代 田 図 書 館 の 基 本 機 能 「 日 本 の 中 心 ,普 遍・ 伝 統 ,超 先 進 ,粋 と 美 」を ,千 代 田 区 を 特 徴 付 け る キ ー ワ ー ド と し ,以 下 で は こ れ ら が 一 体 と な っ た も の を「 千 代 田 ブ ラ ン ド 」と 呼 ぶ 。千 代 田 区 に は 国 会 議 事 堂 ,最 高 裁 判 所 ,霞 ヶ 関 の 官 庁 街 や 首 相 官 邸 と い う よ う に ,三 権 の 中 心 的 機 関 が 存 在 す る 。ま た 憲 法 で 日 本 国 民 統 合 の 象 徴 に 位 置 付 け ら れ る 天 皇 の 皇 居 も あ る 。千 代 田 区 が ,い く つ か の 点 で 日 本 の 中 心 に な っ て い る と 主 張 す る こ と に ,そ れ ほ ど の 無 理 は な い で あ ろ う 。ま た 千 代 田 区 に は , 湯 島 聖 堂 や 神 田 明 神 と い っ た 名 所・旧 跡 に 代 表 さ れ る ,江 戸 時 代 以 来 の 伝 統 や 粋 の 文 化 が あ る 。一 方 ,日 本 有 数 の オ フ ィ ス 街 で も あ り ,先 進 的 な 企 業・研 究 所 が 数 多 く 存 在 す る 。こ れ ら が 渾 然 一 体 と な っ て 象 徴 す る の が 上 記 の「 千 代 田 ブ ラ ン ド 」で あ る 。新 千 代 田 図 書 館 は ,こ の ブ ラ ン ド を 公 共 図 書 館 と し て 体 現 し , 日 本 の リ ー デ ィ ン グ ・ ラ イ ブ ラ リ ー の 一 つ と な る こ と が 期 待 さ れ る 。 2 . 1 現 千 代 田 図 書 館 と 区 の 概 況 新 千 代 田 図 書 館 の 機 能 設 計 に 当 た っ て は ,現 在 の 千 代 田 図 書 館 や 千 代 田 区 の 状 況 を 把 握 し て ,注 目 す べ き 点 を 洗 い 出 し て お く 必 要 が あ る 。そ の よ う な 目 的 か ら 本 節 で は , 千 代 田 区 の 地 勢 ・ 人 口 ・ 産 業 や , 現 千 代 田 図 書 館 の 資 料 構 成 ・ 貸 出 状 況・登 録 / 利 用 者 数・建 築 上 の 構 造 な ど を ま と め ,新 千 代 田 図 書 館 に 対 し て 本 報 告 書 が 提 案 す る サ ー ビ ス ・ 機 能 の 根 拠 を い く つ か 挙 げ た い 。 千 代 田 区 は ,新 宿 区 ・中 央 区・ 港 区・文 京 区・台 東 区 と い っ た ,東 京 の 中 で も 商 業 地 区 の 多 い 区 に 囲 ま れ て い る 。 総 面 積 は 約 11.64k ㎡で,付録の表A− 1 に 記 し た よ う に ,自 身 も ま た そ の 8 割 近 く が 商 業 地 区 に 分 類 さ れ る 区 で あ る 。 産 業 別 事 業 所 数 は ,付 録 の 表 A − 2 に 記 し た 通 り ,「 卸 売 業・小 売 業 ,飲 食 店 」 が 最 も 多 く 39.8%を占め,次いで「サービス業」が 36.0%を占める。いわゆ る 第 一 次 産 業 は ほ と ん ど な い 。国 勢 調 査 に よ る と ,2000 年 10 月 1 日現在,千 代 田 区 は , 夜 間 人 口 が 36,035 人であるのに対し,昼間人口は 855,172 人にの ぼ る 。こ れ ほ ど 昼 夜 間 人 口 に 差 が あ る 自 治 体 は 珍 し く ,ま た 先 述 の 地 目・産 業 面 の デ ー タ か ら も ,千 代 田 区 は 日 本 有 数 の オ フ ィ ス 街 に な っ て い る と 言 え る だ ろ う 。従 っ て 昼 間 に は ,区 外 か ら 勤 め に 来 て い る 人 が ,新 千 代 田 図 書 館 を 多 く 訪 れ る と 思 わ れ る 。サ ー ビ ス の 策 定 に 当 た っ て は ,そ の よ う な 利 用 者 が 多 い こ と を 常 に 意 識 す る 必 要 が あ る 。 千 代 田 区 民 の 年 齢 別 人 口 は 表 1 の 通 り で あ る 。例 え ば1998 年,2002 年とも, 50 代の人口が 10 歳未満の人口の2倍を越えているように,高齢層の方が若年 層 よ り 多 く な っ て い る 。ま た ,1998 年から 2002 年にかけて総人口は減少する 中 で ,50 代以上の人口は増加しているように,高齢化の傾向にあると言える。
従 っ て 新 千 代 田 図 書 館 で も ,高 齢 者 を 対 象 と し た サ ー ビ ス を 欠 か す こ と は 出 来 な い 。 一 方 , 総 人 口 が 減 少 す る 中 で ,30∼39 歳の人口は,1998 年から 2002 年 に か け て 18.6%ほど増加し,0∼9 歳の人口も増加している。これは「子ど も と そ の 親 」と い う 関 係 の 人 々 が ,都 心 回 帰 な ど に よ っ て 千 代 田 区 に 住 む よ う に な っ た 為 と も 考 え ら れ る 。絶 対 数 は 少 な い も の の ,新 図 書 館 で は 区 民 に 対 す る サ ー ビ ス と し て , 子 育 て の 支 援 な ど も 考 え る べ き だ ろ う 。 1998 年 2002 年 総 数 39,910(100.0%) 39,684(100.0%) 男 女 18,854(47.2%) 21,056(52.8%) 18,796( 47.4%) 20,888( 52.6%) 0 ∼9 歳 10∼19 歳 20∼29 歳 30∼39 歳 40∼49 歳 50∼59 歳 60 歳以上 2,611( 6.5%) 4,517(11.3%) 6,594(16.5%) 4,657(11.7%) 5,634(14.1%) 5,666(14.2%) 10,231(25.6%) 2,740( 6.9%) 3,672( 9.3%) 6,286(15.8%) 5,521(13.9%) 4,901(12.4%) 6,029(15.2%) 10,535(26.5%) 表 1 . 千 代 田 区 の 人 口 *「 住 民 基 本 台 帳 統 計 資 料 」 に よ る 。 1998 年 1 月 1 日 と 2002 年 1 月 1 日 現 在 。 千 代 田 区 に 関 し て は 以 上 と し て ,次 に 現 千 代 田 図 書 館 の 状 況 を ま と め て お く 。 表 2 か ら , 現 千 代 田 図 書 館 の 利 用 登 録 者 16,295 人のうち,区外の利用登録者 は 12,482 人であり,全体の 76.6%を占めることが分かる。また一日およそ 900 人 が 訪 れ る ,利 用 の 多 い 図 書 館 と な っ て い る 。現 千 代 田 図 書 館 の 資 料 構 成 と 貸 出 状 況 は 表 3 の 通 り で あ る 。蔵 書 数 の 点 で も 貸 出 冊 数 の 点 で も ,文 学 が 最 も 高 く ,蔵 書 回 転 率( 貸 出 冊 数 を 蔵 書 冊 数 で 割 っ た も の で ,1 冊 当 り 何 回 借 り ら れ た か を 表 す )も 高 い 。蔵 書 回 転 率 が 次 に 高 い の は 芸 術 分 野 で ,次 は 工 学 分 野 で あ る 。 元 々 分 野 に よ っ て 蔵 書 回 転 率 の 傾 向 は 異 な る の で 一 概 に は 言 え な い が , こ れ ら の 傾 向 は 新 図 書 館 の 資 料 構 成 に お い て 考 慮 に 入 れ る 必 要 が あ る だ ろ う 。
区 内 区 外 3,813 12,482 利 用 登 録 者 数 合 計 16,295 入 館 者 数 246,920 開 館 日 数 274 年 間 利 用 人 数 一 日 平 均 901 表 2 . 利 用 登 録 者 数 と 年 間 利 用 人 数 (「 事 務 事 業 概 要 ( 平 成 15 年 度 )」 に よ る 。 利 用 登 録 者 数 は 2003 年 3 月 31 日 現 在 , 年 間 利 用 人 数 は 2002 年 度 実 績 ) 所 蔵 貸 出 0:総記 8,329( 5.95%) 2,015( 1.81%) 1:哲学 5,771( 4.12%) 2,944( 2.64%) 2:歴史 24,275(17.34%) 13,445(12.05%) 3:社会 26,867(19.19%) 9,495( 8.51%) 4:自然 6,677( 4.77%) 4,225( 3.79%) 5:工学 8,040( 5.74%) 7,790( 6.98%) 6:産業 6,245( 4.46%) 2,198( 1.97%) 7:芸術 9,048( 6.46%) 9,397( 8.42%) 8:言語 2,739( 1.96%) 1,496( 1.34%) 9:文学 35,017(25.01%) 50,623(45.37%) そ の 他* 7,018( 5.00%) 6,757( 6.05%) 他 館** − 1,200( 1.07%) 図 書(冊) 合 計 140,026(100.00%) 111,585(100.00%) 雑 誌(冊) 9,639 10,506 C D 8,176 41,227 カ セ ッ ト 841 1,383 レ コ ー ド 1,726 14 視 聴 覚 資 料(点) ビ デ オ 2,484 12,839 表 3 . 千 代 田 図 書 館 所 蔵 ・ 貸 出 状 況 (「 事 務 事 業 概 要 ( 平 成15 年 度 )」 に よ る 。 所 蔵 は 2003 年 3 月 31 日 現 在 。 貸 出 は 2002 年 度 実 績 ) *洋 書 , 文 庫 本 , 絵 本 , 紙 芝 居 等 。 **都 立 及 び 他 区 図 書 館 等 の 所 蔵 資 料 。
2002 年 度の購入資 料内訳は付 録の表A− 3の通りで ある。所蔵 数と購入 数 の 比 率 の 点 で は ,図 書 よ り 視 聴 覚 資 料 を 重 点 的 に 購 入 し て い る と 言 う こ と が 出 来 る 。制 限 冊 数 な ど の 利 用 規 程 ,開 館 時 間 は そ れ ぞ れ 付 録 の 表 A − 4 ,A − 5 に 挙 げ た 。 共 に 23 区の図書館としては一般的な内容と言えるだろう。 現 千 代 田 図 書 館 の 構 造 は 表 A − 6 に 挙 げ た 。庁 舎 内 に 設 置 さ れ て い る と い う 事 情 を 反 映 し て か ,4 つ の 階 に 渡 っ て い る の が 特 徴 的 で あ る 。ま た レ フ ァ レ ン ス 資 料 室 が 2 階 に あ り ,貸 出 部 門 が 1 階 に あ る 。こ う し た 構 造 は ,1 .3 .2 節 で 述 べ る よ う に ,レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス の 普 及 に と っ て 障 害 と な る 。新 図 書 館 で は 改 善 す る こ と が 望 ま し い 。 最 後 に ,千 代 田 区 に 設 置 さ れ て い る 他 の 区 立 図 書 館 が ,そ れ ぞ れ 果 た し て い る 役 割 と ,今 後 の 方 向 に つ い て 簡 単 に ま と め て お く 。千 代 田 区 に は ,千 代 田 図 書 館 と そ の 分 館 と し て の ま ち か ど 図 書 館 ,地 域 館 と し て の 四 番 町 図 書 館 が あ り , 区 内 に 分 散 配 置 さ れ て い る 。こ の う ち 四 番 町 図 書 館 は ,資 料 の 貸 出 や レ フ ァ レ ン ス ・ サ ー ビ ス を 提 供 し な が ら , 住 宅 地 に あ る 区 民 利 用 の 多 い 図 書 館 と し て , 区 民 が 求 め る 各 種 の サ ー ビ ス を 展 開 し て い る 。今 後 は 四 番 町 歴 史 民 俗 資 料 館 と 併 設 さ れ て い る 利 点 を さ ら に 活 か し ,歴 史 資 料 の 充 実 や 資 料 館 学 芸 員 を レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス 要 員 と し て 活 用 す る 等 ,歴 史 や 民 俗 資 料 に 関 す る 調 査 研 究 の 拠 点 と し て 整 備 す る 方 向 が 考 え ら れ る 。ま ち か ど 図 書 館 は ,千 代 田 図 書 館 の 分 館 と し て ,今 後 学 校 図 書 館 と の 連 携 を 強 化 し ,区 民 の 身 近 な 図 書 館 窓 口 と し て , 文 学 ,趣 味・娯 楽 等 の 図 書 を 中 心 に ,貸 出・予 約 等 の サ ー ビ ス を 引 き 続 き 提 供 し て い く こ と が 考 え ら れ る 。こ う し た 中 で 千 代 田 図 書 館 は ,千 代 田 区 立 図 書 館 の 中 央 館 と し て , 区 立 図 書 館 の 運 営 方 針 の 策 定 や 総 括 的 資 料 選 定 , 予 算 管 理 , イ ン タ ー ネ ッ ト か ら の 予 約 や レ フ ァ レ ン ス 等 の 利 用 者 サ ー ビ ス の 展 開 や 調 整・指 導 等 ,中 心 的 役 割 を 果 た し て い る 。今 後 も そ う し た 役 割 を 果 た す と 共 に , 法 律 ,白 書 等 の 行 政 資 料 や ビ ジ ネ ス 支 援 関 連 等 の 専 門 書 の 提 供 ,高 度 な レ フ ァ レ ン ス・サ ー ビ ス の 展 開 等 を 中 心 と し た 図 書 館 と し て ,そ の 機 能 を 充 実 さ せ る 必 要 が あ る 。 以 上 ,千 代 田 区 と 現 千 代 田 図 書 館 及 び 他 の 千 代 田 区 立 図 書 館 の 状 況 に つ い て 概 説 し た 。こ れ ら を 踏 ま え た 上 で ,以 下 で は 新 千 代 田 図 書 館 に 求 め ら れ る サ ー ビ ス ・ 機 能 に つ い て 述 べ る 。 2 . 2 メ デ ィ ア ・ ミ ッ ク ス に よ る 情 報 提 供 「 日 本 目 録 規 則 1987 年版改訂2版」は図書館が扱う資料として,図書,書 写 資 料 ,地 図 資 料 ,楽 譜 ,録 音 資 料 ,映 像 資 料 ,静 止 画 資 料 ,電 子 資 料 ,博 物 資 料 ,点 字 資 料 ,マ イ ク ロ 資 料 ,逐 次 刊 行 物 ,を 挙 げ て い る 。こ れ ら 資 料 の メ