「世界最先端IT国家創造宣言」の実現に
向けた農林水産省における施策について
平成25年10月29日
農林水産省
目 次
1.AIシステム実証事業
・・・・・・・・・・・・・・1
2.クラウド活用型食品トレーサビリティ・システ
ム確立委託事業
・・・・・・・・・・・・・・3
3.新品種・新技術活用型産地育成支援事業
のうちICTを活用したスマート農業導入実
証・高度化事業
・・・・・・・・・・・・・・6
(参考)
新品種・新技術の開発・保護・普及の方針
中間とりまとめ
・・・・・・・・・・・・・・8
緑と水の環境技術革命プロジェクト事業
【
325(361)百万円】
対策のポイント
農林水産業・農山漁村に関連する豊富な資源を活用する農林漁業者や異業 種・異業態の事業者間の連携により、農山漁村地域における新産業の創出に 貢献します。 <背景/課題> ・農林水産業・農山漁村は、人口の減少や高齢化の進行、兼業機会の減少等厳しい状況 にありますが、農林水産物をはじめ自然エネルギー等の資源が豊富に存在しています。 ・農林漁業者の所得を増大させ、地域に根ざした農林水産業の活性化を図るためには、 これらの資源を活用した農林漁業者や異業種・異業態の事業者間の新結合を推進する ことが必要です。政策目標
農林漁業の成長産業化に必要な政策シーズ構築による6次産業
化の市場規模拡大への貢献
(約1兆円(22年度)→3兆円(27年度)→10兆円(32年度))
<主な内容> 1.緑と水の環境技術革命総合戦略推進委託事業 食料産業分野におけるイノベーションの創出を促進するため、新たな総合戦略に 基づき、緑と水の環境技術革命プロジェクト事業実施者のフォローアップ等を実施 します。 2.緑と水の環境技術革命プロジェクト事業 (1)事業化可能性調査 農林漁業者や異業種・異業態の事業者間の連携により、市場ニーズに即した新 商品や新たなサービスを創出するための事業化可能性調査の実施を支援します。 (2)新技術等の事業化実証 農林漁業者や異業種・異業態の事業者間の連携により、市場ニーズに即し、事 業化が見込まれる新商品や新たなサービスについて、実用化に向けた新技術等の 実証を支援します。 3.新事業創出に必要な革新的技術の導入支援 (1)新需要創造支援事業 農産物等の機能性成分等を活用した新食品・新素材の商品化プランの策定や有 効性・安全性の情報発信を支援します。 (2)AIシステム実証事業 AI(アグリインフォマティクス)システムを構成する要素技術のうち、実用 化段階にある技術の実証を支援します。 <事業実施主体> 民間団体等 <補 助 率> 1の事業:定額(委託) 2(1)の事業:定額、(2)の事業:2/3、1/2 3(1)の事業:定額、1/2、(2)の事業:定額 <事業実施期間> 平成22年度~平成26年度 [お問い合わせ先:食料産業局新事業創出課 (03-6738-6317)] [平成26年度予算概算要求の概要]1
国
補助金(
定額)
民間団体
等
○ITを
活用し
た
日本の農
業・周
辺
産業の高
度
化・
知識
産業
化
や
国際
展開
を進
め
る
ため
には
、
熟練農家
の知恵
を
含む各種
データ
を
高度に利
用
するAI
(アグ
リ
インフォ
マティ
ク
ス)農業
を
実現し、
人材育
成
や新たな
ビジネ
ス
モデルの
構
築等に取
り組む
必
要がある
。
○A
Iシ
ステ
ム
の
農業
現場
への
普
及
を促
進し
て多
様なデー
タを蓄
積
し、ビッ
グデー
タ
解析がで
き
る状況に
するた
め
、AIシ
ステム
を
構成する
要
素技術の
うち、
実
用化段階
にある
技
術を生産
現
場に導入
して実
証
する。
AIシステム事業費
( 食 料 産業 局新 事業 創出 課) 26 年度概算 要求 額0
.2億円
( 25 年 度予算額 0 .2 億円)事業概要・目的・必要性
事業
イメージ
資金の流れ
○熟
練農
家の
生
産
管理
やノ
ウハ
ウ
(
暗黙
知)
を新
規
就
農
者等に継
承する
シ
ステムの
確立・
普
及が図ら
れる。
○熟練農
家の知
恵
を活用し
た新た
な
ビジネス
が創出
さ
れ
る。
期待される効果
大学等におい
て
開発さ
れた
、
AI
シス
テ
ムを構
成す
る要素技
術のう
ち、実用化段階にあ
ると
考え
ら
れる技術を実
証
・ 現場での実証試験の設計及び 指導 ・実証試験結果の評価 ・AI システ ム の高度化に向け た検討 ・報告書の作成 等 ○データ収集 ・複数の地域・作物を 対象に、 実証試験を 実施 ・気温 ・日照 等とあわ せて 農作 業デ ータを収集 ○データの活用 ・収集し たデー タ を 基に、 熟練農家の匠の技を 「見える 化」し 、 一般農家に 継承 検討会 現場 で の実証2
食品情報システムを活
用した食品の
高付加
価値化
及び食品購買
の変革
事業名:ク ラウド 活用型食品トレーサビ リ テ ィ・システム 確立委託事業(平成 26 年度概算要求額 51 百万円)○
クラウドに蓄積する
情報
の利活
用
によ
り
、消
費者の
食品購
買の変
革を
図るこ
とで
、生
産者・
食品
事業
者
の新
たな事業機
会を創出
し、
食品
産業
の
活性
化
を図
る
。
○
消費者の食品購買の変革と農林水産物・
食
品の高
付加価
値化
を実現す
るた
めの
クラ
ウ
ド
を活用
した
食品情報シ
ステムのグラ
ン
ドデザイ
ン
を策定す
るた
め
、検討
会を
平成
26
年度
に
立ち上
げ
る
。
クラウド
(情報を 蓄積) 冷蔵庫が賞味期限 情報 を 認識 、お知 らせ ・蓄積し た情報の 利活用 に よ る 農林 水産 物・食品の高付加価値化 農薬 、施肥 状況 生産 者の こだわ り 生産地・圃場情報 加工業者のこ だわり 加工技術 賞味期限 流通業者 小売業者 消費者 製造・加工業者 生産者 食品 の様 々な 情 報を 抽出・翻 訳 情報を各 過程で 付加 情報を利 活用 買い物履歴や他店の商 品情報 を 比 較 日付 場所 品名 数量 20130928 A ス ー パ ー 豆腐 1 20130928 A ス ー パ ー ネギ 1 20131001 B ス ー パ ー メ ロン 1 20131001 B ス ー パ ー 牛乳 1 20131003 C ス ー パ ー 卵 1 ・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・ ・消費者の利便性向上 ・消費者情報を 生産者 、食 品事業 者へ フィー ドバッ ク ・消費者に 有益な 情報 を 抽出・翻 訳・蓄 積 製 造 ・加工 業者情 報 生 産 者情報 ・生産者、加工業者等が 情報を 付 加 食品購買の変革 情報の 利活用 A ス ー パ ー B ス ー パ ー C ス ー パ ー 品名 ○○豆腐 □□豆腐 △△豆腐 量 目 ・ 大 き さ 100g 80g 90g 商品情報 (セ ー ル ス ポ イ ント ) ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ポ
イ
ント
4ク
ラ
ウ
ド
食品トレーサビ リ テ ィ情報 農産物の 食べ頃情報 【 イメージ 】 生産 製 造 ・加工 物流 小売 ・ 販売価格 ・店頭展示日 ・仕入記録 等 小売情報 ・旬情 報 ・お すすめ レシ ピ ・売れ 筋 等 ・ 出荷記録 ・入荷記録 等 流通情報 ・温度管理 ・物流 状況 等 製 造 ・ 加工情報 ・製造技術 ・加工技術 等 ・ 出荷記録 ・ 賞味期限 ・ 製造・ 加工記録 ・ 原料入荷記録 等 ・ 出荷 記録 ・ 生産 記録 等 ( 肥料 ・ 農薬 使用 等) 食べ方提案 生産者の こ だわり そ の他、十分に活用されず眠ってい る 情報 情報の付加によ る 食品価値の向上 A 社の システ ム B 社の システ ム C 社の システ ム 情報を フィードバッ ク生産者
トレ ーサビ リテ ィ情報消費者
ス マ ー ト 家 電 と の 連 携クラ
ウドを活用した食品の高
付加価
値化
に向
けて
活用 冷蔵庫 が食べ頃 情報 を 認識 、お 知らせ 生産 状況 事業名:ク ラウド 活用型食品トレーサビ リ テ ィ・システム 確立委託事業(平成 26 年度概算要求額 51 百万円) ○ 農林漁業の成長産業化を 図るた めには、 農林漁業によ っ て生み出された価値を 、 加工・流通の過程につ なぎ 、 高め ながら 消費者に 届 ける こ と が 必要。 現在、 農林水産物・食品に関する 様々な 情報 が、 流通 各社が整備し たトレーサビ リ テ ィ・ システ ム 等に 蓄積さ れてい る も のの 、 一般 に 消 費者のシステム へのアク セ スは 少なく、 付加価値を 高める も のと し ては利用されてい ない と こ ろ 。 ○ 有識者検討 会 を 開催し 、 既存のシステム を 改修する こ と なく、 消費者が求める情報 を ク ラウド 上に蓄積し 、 消費者にと っ て魅力ある 形で 利活用でき る 仕組を 構築。 情報の付加さ れた農林 水産物・ 食品が消費者に支持さ れること を 通じ て、 農林漁業・食品関連産業の付加価値が高まる と と も に、 生産 者等の食品トレーサビ リ テ ィへの取組の高度化が図ら れること を 目指す。 生産情報 糖度 食べ 頃 調理 方法デ
ー
タ
ア
ク
セ
ス
(各社 の既存システム から ク ラウド へ情報を 抽出・翻訳する 仕組)ポイン
ト
5ICTを活用したスマート農業導入実証・高度化事業
【新品種・新技術活用型産地育成支援事業 1,071(-)百万円の内数】対策のポイント
「強み」のある産地形成に向け、ICTを活用したスマート農業を実証 するとともに、既に農業生産工程管理(GAP)に取り組んでいる産地が 輸出を見据えて取組の高度化を図る上で必要となるICT導入を支援しま す。 <背景/課題> ・担い手の高齢化による高度な技術の喪失に対応するとともに、高品質なジャパン ブランドを安定的に生産・輸出までつなげていくためには、ICTを活用したデ ータの蓄積・分析を行うシステムを導入し、生産システムの高度化・効率化を図 ることが有効です。 ・既にGAPに取り組んでいる産地のGLOBALG.A.P.の認証取得といった輸出を見据 えて内容の高度化を図る取組を促進するためには、農業者にとって大きな負担と なっている各工程ごとの記録の蓄積等の作業をICTの導入により軽減すること が有効です。政策目標
平成32年までに我が国の農林水産物・食品の輸出額を1兆円まで伸長 <主な内容> 1.ICTを活用したスマート農業導入実証 ICTを活用したスマート農業の導入の取組を進めるため、地域協議会の開催、 精密農業実施に必要なフィールドサーバー等の導入、高度な農業生産工程管理に 必要なIT機器の導入、マーケティングに係る取組を一体的に支援します。 2. 既存GAPの高度化支援 既に各種GAPに取り組む産地について、輸出を見据え取組の高度化を進める ため、IT機器を導入したGLOBALG.A.P.等の高度なGAPの実施に向けた取組を 支援します。 補助率:定額、1/2以内 事業実施主体:地域協議会等 [お問い合わせ先:生産局農産部技術普及課(03-3593-6497)] [平成26年度予算概算要求の概要]6
【事業内容】 GAPの高度化に必要なシステム導入の取組 ・研修会の開催 ・IT機器(クラウドサービス)使用料 ・GLOBALG.A.P.の認証取得費 【事業実施主体】 既にGAPに取り組んでいる農業協同組合、 農業生産法人、複数の生産者又は生産者団体等 【事業実施期間】 平成26年度(1年間) 【補助率】 定額、1/2以内 環境情報を蓄積・分析するセンサや農作業・経営管理を支援するシステムを導入 し、地域の農産物の高品質化・高付加価値化を図る取組の実証や、既に農業生産工 程管理(GAP)に取り組んでいる産地のうち、将来的に輸出を見据えた産地の取 組の高度化に必要なシステムの導入等の取組を支援します。 ・クラウドを活用した農業生産工程管理(GAP)の高度化 ・輸出を見据えたGLOBALG.A.P.の認証取得 【事業内容】 ICTを活用したスマート農業の導入の取組 ・地域協議会、現地研修会の開催 ・精密農業の実践に必要なシステム導入 ・圃場・土壌情報管理システム、IT機器(ク ラウドサービス)利用料 ・システム開発・改良・管理に必要なコンサル タント費 ・マーケティング支援 等 【事業実施主体】 地域協議会(複数の生産者又は生産者団体、 研究機関、地方公共団体、流通業者、実需者 (加工業者、医療機関等)等) 【事業実施期間】 平成26年度~平成28年度 (3年間) 【補助率】 定額、1/2以内
ICTを活用したスマート農業導入実証
既存GAPの高度化支援
IT機器の導入によるデー タ蓄積 (クラウド環境) 既にGAPに取り組んでいる産地新品種・新技術活用型産地育成支援事業のうち
ICTを活用したスマート農業導入実証・高度化事業
7
平 成 2 5 年 9 月
新
品
種
・
新
技
術
の
開
発
・
保
護
・
普
及
の
方
針
中
間
と
り
ま
と
め
8
6次産業化の推進
「強み」
のある農
畜産物
づく
り
の
必要
性
加工 ・業務 用需 要に 対す る 国産シェ アの奪還輸出の拡大
低迷する消費の拡大
生産コスト
の低減と
生産
の
安定
化
「
強み」のあ
る農畜産物づくり
が鍵
●
品質・
ブ
ランドな
ど
価値を
生
み出せ
る農畜
産物
●
加工・
業務用ニー
ズにあっ
た
規格
・
品
質の低コスト農
畜産物
●
輸出先で選ばれ
るオンリーワ
ンの強みを
持
った
農畜
産物
●
消費を
喚起する新たな
農畜産
物
●
所得
確保
に直
結す
る
多収
や安
定生
産
が可
能な農畜
産
物
地物 の食 文化 ・ 食品 産業向け 独自品種 機能性など、 独自の価 値を持った 農畜産物 加工特性に優れ 歩留まりの高い 品 種開発 海外で好まれる 独自の色・ 形質を 持つ品種の開発 イ ネの多収品種 の開発 カ ット フルー ツ にし ても 変色し な い 品種など新た な消費の喚起に つながる 品種の開発 大豆の収量安定 品種への切替①
②
③
④
⑤
1○
6次産業化の推進、
輸出の拡大
、消費
拡大
、生産コ
ス
トの低
減等の
課題の
解決
には
、新た
な品
種や
技術による「
強み」
のある農畜
産物
づ
く
りが
必要不
可欠
。
直面する課題
機械化によ る 低コスト化 他の品種に比べ 肉質 に 優れ た 黒毛和種の効率的生産 卵かけ ご 飯向きの 卵黄含量の多い 品種を 用い た 卵の生産9
4
「
強み」を
支
える
〈
S
u
p
p
ort
〉
〈 強みが発揮で きるよう に す る た め の 環境 作り 〉「
強み」
のあ
る農畜産物
を
日本各地
に次々と生
み出す
「
強み」
を
活
か
す
〈
U
ti
lize
〉
新たな品種・生産技
術を活用し
た
「強み
」のある農
畜産物
の
創出の
加速
化
2
○
我が国の「
強み」
で
あ
る「
優れた
品種
」
、
「高度
な
生
産技術
」
を用
い
て
、
消費
者や実
需者の
ニ
ー
ズに的確
に対
応す
ると
と
もに、戦略的に
「知的財産
権」
も活用
し
、
品質
やブランド
力な
ど「強
み」
のあ
る農畜産
物を日本
各地に
続々
と
生み
出す
。
○
品目別に推進の基本
方向等
を方針と
し
て
定め
、各
産地の
取組を加
速化
(
B
-Up
sプロジェ
クト)
。
1 2「
強み」
を
生
み出す
〈
B
re
ed
〉
3「
強み」
を
守
る
〈 品種開発の 加速化 〉 〈産地化支援 〉 〈知的 財産 の保護・活 用 〉 オ ラン ダの 取組を モ デルと した 種苗会社を 支援する 体制の 整備 海外遺伝資源の 戦略的収集 によ る 育種素材の確保 埋もれ ている 品種や 技術の 発掘 品種供給の鍵と なる 種苗の 機動的な供給体制の 整備「
強み」
を
守
る
〈
P
ro
tec
t〉
実需者・産地と 連携し た マーケットイ ン 型育種への 転換、 D N A マーカ ーによ る 育 種の スピ ード アッ プ によ り 、 ニーズ に応え た優れた 品種等を 次々と 生み出す 埋も れた品 種の 発掘 や新品種の導 入 、 IT等 の 新技 術の 活用 による 栽 培・品 質管 理の 高度 化 などにより、 「強み 」を 活か し た産地 を 全国 に形 成 育成者権、 商標権等の 知財を 組み 合わせる など知財の戦略的な保護 によ り 産地の「強み」を 保護 暖 地向け パン用 小麦 等 の実需 の求め る品種 を 次々と 開発 製 粉・パ ン業者 等の 実 需と連 携して 安定 供 給する 産地を 形成 知 財を活 用して ブ ランド を戦略 的 に 保護品種開発か
ら産地化まで
一連
の取組を
戦
略的に
推進
するた
め
のコンソ
ーシア
ムを
各地
に形
成
実需者 研究機関 種苗・IT等の民間企業 生産者・産地 行政・普及品目別の新品種・新技術の開発
・
保
護・
普及の方針
10
国民の 健康志向や 輸出先の ニーズ などに 応じ た茶生産に よ る 需要回復 ○ 生産性向上のため、「やぶきた」 以外の 品種の 開発・導入で作期を分散 ○ 需要拡大のため、低カフェイン技 術の導 入や機 能性成分を多く含む新品種の開発・ 導入