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「節足動物の多様性と系統」, 石川良輔編集, バイオディバシティー・シリーズ6裳華房, 2008年4月刊, 495pp., ISBN978-4-7853-5829-7C3045, 6300円(税抜き)

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「節足動物の多様性と系統」

石川良輔編集

生物多様性の重要性が強く叫ばれるようになり, 生物群の分類学的な構成を著す教科書として,バイ オデイパーシティ ・シリーズが,裳華房 より刊行さ れてきた。本書は ,2006年に刊行済みの「無脊椎動 物の多様性と系統」の中で取り 上 げられなかった節 足動物 をまとめた待望の書である 。節足動物は,そ の現生種数が,全動物種の85 % 以上も占める動物界 最大の門であるため,他の無脊椎動物とは別個の書 としてまとめら れる意義は十分にある 。 構成は3部より成り ,1部では,節足動物全体の 分類的系統的位置付けを概観し, 2部では,節足動 物の中でも最大の種数をも っ昆虫類について, そ の巨大な多様性をっくり出してきた進化的要因とし て,生殖隔離,送粉共生,擬態,社会性を取り上げ, トピック 的に解説を 与え ,最後の

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部で,各分類群 の生物的特徴を詳述 して いる。当然、の ことながら, 最後に分類表が与えられ,節足動物の構成群がわか りやすく示されている 。各章は,それぞれの 内容に 相応の研究実績をもっ執筆陣が担当しており,近年 の生物的情報が十分に組み込まれた内容となってい る。 とりわけ,最近めまぐるしい分子系統学的研究 成果の情報をできるだけ取り入れようとした姿勢が 随所に表れているのが, この本の! 持徴でもある 。 甲殻類の担当は, 本文大半が大塚攻 ・駒井 智幸 の両氏 により書かれており,コラムの トピッ ク的な 内容の記述に,諸喜田茂充 ・山口寿之 ・布村昇 ・小 西光一 ・長津和也の5 氏が参画している 。 甲殻類 の各分類群を,大塚,駒井の両氏だけで,よくこれ だけまとめ上げたものと,その努力と力量に敬服す る。特に日本からは記録のない分類群, ムカデエピ 綱R em ipedia, ミクトカリス目M ictaceaや,最近ひ とつの亜綱として まとめられたヒメヤド リエピ亜綱 Tantulocaridaなどが解説されている点は, これ まで 日本の教科書や図鑑では全く扱われてこなかったと ころだけに,貴重 と言 えよう 。 節足動物の概説の第1部については,分類の歴史, 分類体系 ・系統の現状,分子系統学の

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つに分けて 解説されており ,宮崎勝巳 - 上島励両氏な らで はの 力作である 。ただ, 宮崎氏の 章に も,分子系統学的 バイオディパシティ ・シリーズ 6 (裳華房) 2008年 4 月刊,495pp. ISBN978-4-7853-5829-7C3045, 6300円 (税抜き) 情報が組み込まれた説明が入 っており ,上 島氏によ る章の 内容と合作した書き方にできなかったものか と思われる 。 第

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部の,それぞれのトピックについては,十分 興味深い内容が提示されている 。 しかし,昆虫類の 多様性を生み 出す要因になりうる生態的諮側面とい うのは,それぞれをテーマとした専門書の中で,こ れまでも十分展開され,解説されてきた実績をもつ ものであり ,分類群の構成を解説する本書の主題か らはやや逸脱する感が否めない。それぞれのトピ ッ クでは,いずれも 高い研究業績をも っ執筆者 をそろ えているだけに,その点がよけいに残念に思える 。 最後に本書の中で,記述の不一致がある点を指摘 しておく 。 ひとつは,分類群の名称で,第1部の総 論で挙げられている名称と 第

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部の各論で挙げられ ている名称が一致してい ない例が散見される 。例え ば,第1部で使われる妹形類(A rachnida) が,第3 部でクモ類,第1部 で 剣 尾 類 (Xiphosura) が,第3 部でカブトガニ類に , さらに多足類の唇脚類,結合 類,少脚類,倍脚類が,それぞれムカデ類,コムカ デ類,エダヒゲムシ類,ヤスデ類に,そして甲殻類 では,第 1 部で僕脚類( 第 3 章図 3 ) が,第 3 部で カイアシ類と 表記されている 。 さらに第2部で使わ れる昆虫類の自の名称も,第3章ではカタカナ表記 の言葉を主体に記述されている 。分類群の名称は, 最近漢字表記からカタカナ表記に変わるようになっ てきたが,私自身は古い表記法を好むひとりである 。 いずれにしても,分類学的な整理を示す専門書であ ればこそ,分類群の名称は統ー してもらいたか った。 もっと仔細ではあるが,甲殻類の十脚類の科数が, 本文の方で,約 150科となっているのに ,分類表で は約 160科とな っているという不一致もみ られる 。 以上のような 体裁上の 問題点はあるとしても,本 書の もつ内容は,節足動物の分類と系統に関する最 新情報をまとめ上げた比類なきものであり , 甲殻類 を扱う研究者はすべからく座右の書とすべき専門書 と言える 。 和田恵次 ( 奈良女子大学)

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