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第16回日本助産学会学術集会集録 一般演題 (口演)(その6)

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Academic year: 2021

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一般 演題 〈研 究 〉 一般 演 題 〈研 究 〉 助 産 の理 論 と研 究

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熟 練 助 産 婦 の

気 づ き 」 と

揺 ら ぎ 」

一看護のアー トにおける 「

表現」 に着 目して 一

日本赤+字看護大学 ○谷 津 裕 子 I緒 言 近 年 の医療 技術 の進歩 は 目覚 し く、疾病 の診 断、治療、予防 に大 きな役割 を果 たす 一方 で、 医療 の場 にお け る人間性 の軽視 が問題視 され てい る。Nightingale1)がNursingisascience andanart∴ と述 べ てか ら100年 余 が過 ぎる現在 、人間性 を癒す視 点に立 った知 と技 、す な わち看護 の アー トの概 念が含 み もつ 豊か な内実 を問い 直すた めの様 々な試 み が求 め られ る。 「看 護の アー ト」とい う言葉 は一般 に、「科 学的 接近法 だけ では捉 え きれ ない対象者 の示 す 個 別、 固有 な現象 を理 解 し援 助す るため に必要 とされ る看 護者 の認識 能 力、実践 能 力」 ない し 「そ の ような能 力 が発揮 され る ことによ り対象者 に望 ま しい変化 が もた らされ る状 況 」を 指 して用い られ る2)。看護 に内在 す るこの能 力や状況 につ いて研究 的 に 明 らかにす る視 点 と して、本研 究 では、看 護者 と対 象者 が互 いの感情 や考 えを把握 しあ い、 豊か な関係性 を形 成 す る場 と しての 「表現 」 に着 目 した。 本研究 の 目的 は、 言葉、動作 、表 情、 口調 な どの表現 を介 して、看 護者 と対象 者 が何 を感 じ、体験 してい るか 、双方 の間 に何 が起 きて いるか を明 るみ に し、看 護 の アー トに潜む表 現 の本質 的特 徴 を探究 す る ことで あ る。 また本研究 で は、看護者 と対 象者 が どの ような関係 の 中 で存在 し、看 護 の アー トの現象 を成 り立た せて い くのか を問い 直す視 座 を与 える もの と し て、 西 田幾 多郎 と木村 素衛 の哲学 的表 現論 を手 がか りと した。 II 方法 表 現の もつ、客観 的即 主観的 な性質 をい きい き と捉 えるため、 本研 究 では、 参加観 察法 と 面接 法 を併 用 した。調 査期間 は平成11年8月 ∼平成12年5月 、研究 参加 者 は、都 内の総 合 病 院産科部 門 に勤 め る5名 の熟練 助産婦 と、44名の妊産婦 であ った。デー タの解 釈 と記 述 は、 本 研究 の 目的や デー タの質 に合 わせ 、研 究者 が開 発 した手続 きに基 づ いて行 った。 ※ 本研 究 は、 日本赤 十 字 看 護 大 学 大 学 院2000年 度 博士論 文 と して 提 出 した 内容 の 一 部 で あ る。 148 日本 助産 学 会 誌 第15巻 第3号(2002.3)

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熟 練 助 産婦 の 「気 づ き」 と 「揺 ら ぎ」 III 結果 お よび考察 10の 事例(表1)が 記 述 され、 これ らの事例 に繰 り 返 し出現 す る現象 のパ ター ンが検 討 され た結 果、看 護 の アー トにおけ る表現 を特 徴づ け るテー マ,「看護 者の 表現 は、対 象者 の存在 への 気 づき を発 展 させ、心動 か す ものの本 質 を確 か め る再 表現 であ る」 が導 き出 され た。 看 護者 は、看 護者 または 対 象者 が発 した何 らか の表 現を介 して看 護者 自らの心 を惹 きつけ動 かす対象者 の存在 に気 づ き、新 た な表現 を生み 出 し て看護者 の心 を動 かす ものの本質 を確 かめ、対象者 の存在 を支 えてい た。 看護 者 と対象 者 と の間 に心 の交 流 がみ られ るとき、対象 者 の表 現 の意味 を豊か に くみ取 る看 護者 の気づ き、心 の揺 らぎが存在 して いた。 そ の感 情 と共 に身体 が動 き、 自らの気づ き、 心 の揺 らぎをかた ち に して把 握 しつ つ、対象 者 の全体 的状態 に働 きかけ る ことが、看 護の アー トの本質的 内容で ある と考 え られ た。 本研究 は、 眼前の対 象者 の示 す言葉 や動作 、表情、 口調 などの表現 には、 その時 まで に看 護者 の表 現 と影 響 を及 ぼ し合 い、変化 しっづ けて きた総 ての プロセ スが刻 まれ てい る ことを 明 らかに した。 対象者 の個別性 や主体性 を重 視 した21世 紀 の医療 に向け て、本研究 で 明 ら かに した看護者 と対象 者 の表現 の不 可分な関係 性 について医療者 の認識 を新 た にす る必要 が ある もの と考 え る。 I V 今後 の課題 今 回、熟練 助産婦 の ケア実践 を通 して看 護の アー トの現象 に接近 す る ことを試 みたが 、手 がか りとな る事例 を蓄積 し考察 を深 め る と共 に、 その対象 を助産領 域以外 に も拡大 す る こと に よって本研究 の結 果 を洗練 す る必要 があ る。 V 文献 1) Nightingale F,(1893)/薄井坦子 ・田村真 ・小玉香津子訳(1974)病 人の看護 と健康を守る看護 ナイチ ンゲール著作集 第二巻,現 代社 2) 谷津裕子く2001).看護のアー トの概念の文献的考察.看 護展望26(4).103-108. 表1 事 例 の概要 日本 助 産 学 会誌 第15巻 第3号(2002.3) 149

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一 般演 題 〈研究 〉 一 般 演 題 〈研 究 〉 助 産 の理 論 と研 究

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プ ラ ス テ ロ ン 硫 酸 ナ ト リ ウ ム(マ

イ リ ス)

―そ の有効性 と安全性(危 険性)に 関す る文献的考察 ―

薬害オ ンブズパ ースン 〇八 重 ゆ か り EBMビ ジランス研究所 浜 六 郎 I 緒 言 欧 米 で は 軟 産 道 の 異 常 に よ る難 産 は,特 別 多 い も の と は 考 え られ て い な い 。 しか しな が ら,日 本 で は 子 宮 頚 管 熟 化 不 全 の 診 断 の も と,頚 管 熟 化促 進 剤 と して プ ラ ス テ ロ ン硫 酸 ナ ト リ ウム(化 学 名:デ ヒ ドロエ ピア ン ドロ ス テ ロ ン硫 酸 塩,DHA・S)製 剤(商 品 名 マ イ リス 他)が 広 く使 用 さ れ て お り,年 間 約20万 人 以 上(初 産 婦 の 約3分 の1に 相 当)に 投 与 され て い る と推 定 され て い る。 このDHA-Sは 胎 盤 で エ ス トロ ゲ ン(主 に17β エ ス トラ ジ オ ー ル)に 代 謝 され 胎 児 に移 行 す る女 性 ホル モ ン の 一 種 で あ る。 こ の エ ス トロ ゲ ン が 胎 児 に 及 ぼ す 危 険 性 と,DHA・Sの 子 宮 頚 管 熟 化 促 進 剤 と して の 臨 床 的 有 効 性 へ の 疑 問 か ら,マ イ リス の 必 要 性,有 効 性,及 び 安 全 性 に つ い て 再 検 討 を行 っ た 。 II 方 法 Medlime及 び 医 学 中央 雑 誌 オ ン ライ ン検 索 に よ る マ イ リス 等 に 関 す る 臨 床 試 験 論 文,及 び 日本 オ ル ガ ノ ン 社 に 請 求 して 提 供 さ れ た マ イ リス 承 認 根 拠 論 文 と社 内 資 料,更 に 周 産 期 医 療 技 術 を

Systematic reviewし たChahnersら に よ る"Effective care in pregnanqy and childbirth"か 等 か ら の 情 報 を も と に,マ イ リス の 必 要 性,有 効 性,安 全 性 に つ い て 文 献 的 再 検 討 を 行 な っ た。 III 結 果 マ イ リス の 臨 床 試 験 等 の 分 析 か ら,主 に 以 下 の3つ の 問 題 点 が 明 らか に な っ た 。 ① 投 与 対 象:日 本 の 教 科 書 で は 「Friedmanに よれ ば,全 分 娩 数 の3%に 頚 管 開 大 異 常 が あ る と言 わ れ る 」 と述 べ られ て い る。 海 外の 教 科 書 で は 「軟 産 道 が 障 害 と な っ て,分 娩 進 行 停 止 が起 き る こ とは まれ で あ る 」 と され て い る。 ま た 一 般 に は,妊 娠37週0・2日 目で ビ シ ョ ッ プ ・ス コア (以 下BS)2点 以 下 に 相 当す る妊 婦 は 全 初 産 婦 の 約45%,38週 で3点 以 下 は約58%,38週4点 以 下 で は 約74%に もの ぼ り2),初 産 婦 の38週 に お け る 平 均BSは32点 で あ る。 ま た,妊 娠 38週 時 のBS値 別 過 期 産 の 頻 度 は,3∼4点 と5点 以 上 との 間 に 差 は 認 め られ ず2),遷 延 分 娩 の 頻 度 も同 様 で あ る。 さ て,第3相 試 験 を 含 め マ イ リス 臨 床 試 験 で 投 与 対 象 と な っ た 妊 婦 のBS は,38週0.4日 で4点 以 下(注 射 剤)3),37週0-2日 で2点 以 下(膣 坐剤),37週 で3点 以 下 (膣 坐剤),し か も妊 娠 の 経 過 が 順 調 な も の で あ っ た 。 ま た,第3相 試 験3)で の 分 娩 経 過 に 対す る評 価 の 結 果 か ら,プ ラ セ ボ 群 で の 分 娩1期 所 要 時 間 は13.67±1.05時 間 で あ り,こ れ は 150 日本 助 産 学 会誌 第15巻 第3号(2002.3)

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プ ラ ス テ ロ ン硫酸 ナ トリウム(マ イ リス) Friedmanら が報告 した平均 的時 間13。5時 間 と差 はな い、 分 娩II期 の時間 は論 文 中に はな く, I期 及 びI期+II期 の時間 か ら計 算す る と,プ ラセ ボ群で0.72時 間で あ り,こ れ は正 常平均 時 間 よ り短 い傾 向がみ られ て い る。 ②エ ン ドポイ ン ト:第3相 試験3)で有効 性評 価 のた め に採 用 され たエ ン ドポイ ン トは,1.頚 管熟 化 効果,2.分 娩開 始促進 効果,3.分 娩経 過 に対す る評価(I期 及 びI期+II期 の時 間),4.有 効性 総 合評価 で あっ た。 しか し,臨 床試 験 の統 計原 則(1998年)で は,臨 床 的 に意 味の あ るエ ン ド ポイ ン トを用い るこ と,及 び ただ一 つ の主要 エ ン ドポイ ン トで評価 す る こ とが 臨床 試験 の質 と して重 要 と され てい る。 ③ 安全性:第3相 試 験3)で,胎 児 切迫 仮 死が プ ラセ ボ群 でa7%,マ イ リス群 で12.9%と 有 意 の差 では ない がマ イ リス群 で多 い傾 向 を認 めてい る。 また,DHA-Sを100㎎ 注射後,母 体血 中 の 硫酸抱合 型DHA濃 度 は投与 前値 の約50倍,遊 離 型 も約35倍 とな る とされ て い る。 IV 考察 ①投与 対象 の問題 点:第3相 試験3)を 含 め マイ リス 臨床 試験 で の投与 対象者 はすべ て正 常妊婦 で あ り,頚 管 熟化 目的 で薬 物投 与対象 とな る妊 婦 では なか った。即 ち,マ イ リス を頚 管熟 化促 進 剤 として 開発す る必 要性 が あった のか,疑 問 を呈 さざるを得 ない。 ② エ ン ドポイ ン トの 問題 点:難 産 予防 介入 で の主要 エ ン ドポイ ン トの一つ は,周 産期 異常 の合併 であ る。 また,分 娩II期 の延 長 は周 産 期異 常 と関連 があ る とされ てお り,代 理 エ ン ドポイ ン ト とな り うる。 しか し第3相 試 験3)での前記1∼3の エ ン ドポイ ン トは臨床 的に は意味 が な く,そ れ らを総合 し医師 の 主観 で判 定 した 「4.有効 性総 合評価 」 は さ らに意味 の ない もの とい え る。 ③ 安全性 の 問題点:か つ て流産 防 止 目的 で使 用 され た合成 女性 ホル モ ン剤,ジ エ チル スチル ベ ス トロール に よ り胎 内暴露 した女児 で思春 期 に膣癌 が多発 す る等 の薬 害 があ った。 この よ うな経 験か らも,マ イ リス投与 に よ る胎児 の エス トロゲ ンへ の暴露 は長期 的 にみ て,児 へ の発癌 や 生 殖臓 器異 常,免 疫 異 常等 を起 こす可能 性 が憂慮 され る。2000年3月 に は医薬 品 ・医療 用 具等安 全性情 報4)で,マ イ リスに よるアナ フ イラキ シー様症 状,過 強 陣痛,胎 児徐 脈 等の症 例 が報告 され てい る。 V 結 論 妊娠37-38週 にお い て頚管熟 化程 度 が低 いだ けの正 常妊婦 に対 して マイ リス を投与 す る医学 的 に合理 的な根 拠 は な く,む しろ周 産期 障害 を増加 させ る危険 性や 児へ の長 期的 悪影響 が憂慮 され る。一 方,欧 米にお い て頚 管 熟化 方法 と して科 学的根 拠 に基づ いて有 効性 が認 め られ てい る もの はプ ロス タグ ラン ジン製剤 のみ で あ る1).DHA・S製 剤マ イ リスは その使用 を一旦 中止 し,必要 性, 有効性,安 全 性 を再検 討 すべ き医薬 品で あ る。 VI 文献

1) Chalmers,Let aLEffective care in pregnancy and childbirth.Oxford:OUP;1989.

2)小 林 隆,中 山 徹 也,東 條 伸 平,荒 木 日出 之 助,望 月 真 人.産 婦 人 科 の 世 界1982;34:1345-5a

3)小 林 隆,中 山 徹 也,東 條 伸 平,荒 木 日出 之 助,望 月 真 人,橘 直 矢.産 婦 人 科 の 世 界1979;31:779-94. 4) 厚 生 労 働 省,医薬 品 ・医 療 用 具 等 安 全 性 情 報2000;No.159:7-9.

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一 般演 題 〈研 究〉 一 般 演 題 〈研 究 〉 助 産 の理 論 と研 究

20

看 護診 断 とク リテ ィカル シ ンキ ング(1)

―2事 例 か らの考 察 ―

慶慮義塾大学看護医療学部 ○竹 ノ上 ケ イ子 広 島国際大学保健医療学部看護学科

I 緒言 看 護 診 断の 活用 が教 育 や 臨床 で 活 発 に な る と とも に,十 分 な 思考 が な され な い ま ま診 断 ラ ベル を安 易 に貼 り付 け る傾 向 が現 れ つ つ あ る。看 護 過 程 の プ ロセ ス 全体 を熟 考 して看 護 診 断 す べ きで あ る とい う主 張1)や,ク リテ ィカル シ ンキ ング を看 護 教 育 の 中核 にす べ き で あ る と い う主張 あ るい は看 護 実践 の 中で ク リテ ィカル シ ンキ ン グが な さ れ な けれ ば 専 門職 と して の看 護 は発 展 しな い とい う主張2)は そ れ へ の警 鐘 で あ ろ う と考 え る。 本報 で は,「 看 護 に お け るク リテ ィカル シ ンキ ン グ はよ りよ い看 護 を思 考 す る こと で あ る」 とい う前提 の も と, ル ー ベ ンフ ェル ドらの5つ の思 考 様 式(*下紀)を用 いて思 考 した結 果 を示 し,ク リテ ィ カル シ ンキ ング の必 要性 を述 べ る。 *ル ーベンフェルドの5つの思考スタイル:①全面的な想起:記憶術を使う,事実と経験を関連付けること ②習慣:繰り返し繰 り返し用いられる思考のアプローチ ③吟味:一見明らかであるように見えることに疑問を抱く ④新しいアイデアと創造性:標 準を超えて,規範のかたちを変えるもの.教科書的なアイデアを超えることを許すもの ⑤自分がどのようにして考えているかを 知ること:思考について.自分の患考プロセスについて思考すること(文 献2)ppふ22より) II 方 法:帰 納 法 によ る検 証 的研 究 。2事 例 を用 い て看 護 過 程,特 に看 護 診 断 とそ の表 記 まで の プ ロセ ス を上 記 の5つ の 思考 様 式 を用 いて 思考 す る。 そ の過 程 で これ ら5つ の思 考 様 式 が実 際 に どの よ うに 用 い られ,何 を どの よ うに思考 す る ことが よ りよ い看 護 を思 考 す る こ となの か,つ ま り看 護過 程 にお け る ク リテ ィカ ル シ ンキ ン グな の か を考察 す る。 倫 理 的配 慮 と して,個 人が 特 定 さ れな いよ うに記 述 面 で配 慮 した。2事 例 は表1に 示 した 。 III 結 果 お よび 考 察:5つ の 思考 様 式 を用 いて2事 例 に つ いて 思 考 した結 果 ク ロー ズ ア ップ され た"各 々の 事 例 に と って よ りよ い看 護 とは 何 か"を 問 うテ ー マ を表1,下 段 に 示 し た(表1参 照)。5つ の思 考 様 式 を用 い る こと は,対 象 の状 況 把 握 や 整 理,対 象 の個 別性 が ど こ にあ るか の判 断,看 護 す る 上 で難 しい判 断 を迫 られ る部 分 の 抽 出,援 助 の方 向 や 評価 基 準 設 定 につ いて の 思 考 を深 め る の に有 効 で あ った 。 ま た,5つ の思 考 様 式す べて が 有 用 で あ った が,「 吟 味 」,「 新 し いア イデ ア と創造 性 」,「 自分 が ど の よ う に して考 えて い る か を 知 る こ と」 の3つ は,2事 例 に と って の よ りよ い看 護 を思 考 す る際 の 中心 的 な思 考 様 式 で あ った 。 しか し,こ の こと は看 護者 個 人 の 臨床 経 験 や 思考 傾 向 に も よ る と考 え られ た 。 IV 文献1)松 木光子,看 護診断の現在,p.228.医 学書院,1997.

2) M.Gaie Rubenfeld,Barbara K.Scheffer:中 木 高夫 他 監訳, クリテ ィカル シンキング,南 江堂,東 京,1997.(他 は省略)

(6)

看 護診 断 と ク リテ ィカル シンキ ング(1)

(7)

一 般 演題 〈研 究 〉

一般演題 〈

研究〉助産の理論と研究

21

看 護 診 断 と ク リテ ィ カ ル シ ン キ ン グ(2)

―問題解決思考型 とウェルネス志向型の比較検討―

慶感義塾大学看護医療学部 ○由井 濱 克 江 〃 竹 ノ上 ケ イ子 1緒 言 第1報 で看護 にお けるクリテ ィカルシ ンキ ングは、よ りよい看護実践 を思考す るものである と定義 し、 2事 例 をク リティカル に考 える とは どうい うことかを示 した。本報で は問題解決思考型 とウェルネス思 考型 の看護診断 を比較 した。そ の結果 、双方 の思考 を活用す る ことによ って、よ りよい看護 が提供でき るのではないか と考 え、 この点 についてク リティカルシ ンキ ングを試みた。 II 研究 方法 事例 を用 いた比較研究 。事 例を用いてカルペニー ト1)を参考 にした問題解決思考 型看 護診断 とス ト ル テ2)を参考 に したウェルネス志向型看護診断 を行 い比較検 討 した。得 られた結果 をルーベ ンフェル ドら3)の5つ の思考 様式 に照 らして考察 した。倫理 的配慮 として、本人 に研究趣 旨 ・目的 を説 明 し合 意 を得た。 III 事例 28歳 、初妊初産、 自然妊娠 、臨床検査技師。妊娠22週 、Hb9.9g/dl貧 血 を指摘 され 、鉄 剤を 分娩直前 まで内服。妊娠33週 切迫早産 の徴候 あるが 、収縮 抑制剤の 内服 と日常生活 に対す る指導で改 善す る。夫 と二 人暮 しで夫婦関係良好。産後 の帰宅場所 は実家で実 母 も協 力的である。妊娠40週2日 、 前期破 水にて入院。オキシ トシ ン5単 位使用 し3時 間7分 で、男児2830g,ア プガー9点 で健常児 出産。 分娩後順調 に経過 し、貧血 もHb12.4g/dlと 改善 した。育児技術 に関 しては授乳 ・沐浴等 の指 導を行 い,ぎ こちな さはあるもののひ とつひ とつ確実 に習得 し自信 を深 めて いった。児 との接触 の際の 表情は穏 やかで、言葉 かけ等の愛着行動 も自然 に行 えてお り母親役割形成が順調 に進んで いることが う かがえた。産 褥5日 目、母児 ともに退院 した(表1参 照)。 IV 結 果 問題解 決思考型 とウェル ネス志向型 の看護診断 の比較 を表1に 示 した。 問題解決思考型看護診断で は、現時点で生 じて いる看護上の問題 を表現 しやす いが、対象 の成長 ・発 達 のプ ロセスや高 い健康 レベルで あることの表現が しに くか った。一方 、ウェルネ ス志向型看護診 断で は、褥婦が母親 としての役割や育児技術 を獲 得して い くプロセ スの表現 は しやす かったが、表現方 式が 一定 しな いため、表記の仕方に迷うことが多かった。問題解決思考型の看護診断で表現 しにくかった部 分 は、ウェル ネス志向型の看護診断で表現 しやすか った。 154 日本 助産 学 会 誌 第15巻 第3号(2002.3)

(8)

看 護 診 断 と ク リテ ィカル シ ンキ ング(2) ルーベ ンフェル ドの5つ の思考様式 を活用す ることは、適切 な看護診断 をす るプロセス、よ りよい看 護を考 えるのに有効 であった。また、このように日常行 っている看護診断 を振 り返 り熟考する際は、5 っの思考様式すべてが有用 であるが、中で も"吟 味""新 しいアイデア と創造性""自 分が どのよ うに し て考 えているか知 る こと"に 相 当す る思考様式が核 になる と思われ た。 VI 考察 2つ の思考 型による看護診断へ のプロセス を検討 しク リティカル シンキ ングした結果、双方 の看護診 断の特徴 を活か し相補 う形 で活用 して いくこと、意識的に5つ の思考様式 を活用する ことによって 、よ りよい看護が提供できると考 え られた。 表1 問題解決思考型看護診断、 ウェルネス志 向型看護診断 VI 文献

1) MGaieRubenfeld Babara K.Scheffer:中 木 高夫 他 監訳,ク リテ ィカ ル シ ンキ ング,南 江 堂,東 京,1997.8. 2) Karen M.Stohe:健 康増 進 のた め の ウ ェル ネ ス 看 護 診 断,小 西 恵 美 子 ・ 太 田勝 正共 訳,南 江 堂,東 京,1997.7. 3) リンダJ.カ ルペニート編:カ ルペニート看 護 診 断 マ ニ ュ アル,新 道 幸 恵監 訳,第2版,医 学 書 院,東 京,2000.6.他 は 省 略

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