Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation理学
療法
学第
39
巻第
8
号
491
〜
493
頁 (2012
年 )総 括 シ
ンポ
ジ
ウ
ム
公益 社
団法
人
と
し
て
の
プ
ロ
フ
ェ ッシ
ョン
*半
田
一
登
* *日本理学 療 法士協 会は昭 和
41
(1966
) 年,
第1
回 国家試 験 合 格 者の 100余 名に よっ て設立 さ れ た。
特筆すべきこ と は,
こ の年に第1
回の全 国 学 会と全 国 研 修 会 を 開催してい る こ と であ る。
当 時,
無冠で少 数の職 能 団 体であ りながら,
公 益 性を しっ か り と認 識 してい たこ とが う か が え る。
こ の 方 向 性 が,
45
年 以 上経過 し た 中 に あっ ても,
本 会の入会 率が高い 遠 因になっ て いる と私は考え てい る。
その後,
昭 和47
(1972
) 年に は当 時 の厚生省か ら,
社団 法人の認 可 を得た。
当 時 の こ と を 思い起こ すと,
リハ ビ リテー
ションや 理学 療 法とい う用 語 は まっ た く社 会 的 認 知 を 受 けてお らず,
病 院で はマ ッサー
ジ師と同義
的に 思 わ れていた。
その意 味 か らする と,
当 時の理 学 療 法士 はマ ッ サー
ジとの決 別 が 主 要 な活 動のひ とつであっ た と思わ れ,
こ の こと も専門性 とい う観 点からする と重 大 な 公益のた めの戦い で あっ た とい え る。
こ の時 くらい か ら,
本 会の研 修 体 制 は飛 躍 的 に 強化さ れ て お り,
こ の年に は臨床理学 療 法 士の知 識 と技 術の 研 鑽の場と し て第1
回 現 職者 講習会が は じま り,
今日の理 学 療 法士 講 習 会 に 発展 継 続 さ れてい る。 そし て,
平 成2
(
1990
)年
に は日本 学 術 会 議か ら.
学 術 研 究 団体と し ての認可 を得
る に 至 り,一
層 学 術 研 究の推進 が謳わ れ た。
こ の学 術団体の認 定は,
後に横 浜で開催
し たWCPT
学 会の開会 式に 天皇 陛 下 と皇 后 陛 下が御臨
席さ れ ること につ な がっ た。
この ように,
本 会の歴 史 を振 り返る と職 能 団 体の単 体の 時期,
職 能団 体と 社 団 法 人の2
枚看 板の時 期,
職 能 団 体と社 団法人 そ し て学術 研 究 団 体の3
枚 看板の時 期と3
段 階の stage を経て き た が,
いず れのstage に おい ても,
学 術 研 究お よ び研 修の推進 は 生真面 目 に取り組 ん で き た とい え る。
そ して,
厳 しい経 過の 中で平 成24
(2012
)年
4
月には 公 益 社 団 法 人の認 可 に 伴 う登 記 を 済 ませ,
本会
は第
4
stage を迎 え た。
今回,
私が与 えられた テー
マ 「公 益 社 団 法人 と して のプロ フ ェ ッシ ョ ン」 を考 えると,
今 年3月 まで の第3stage
の社 団 法 人 時 代 とは異 なっ た,
第4stage と して のプロ フェ ッ ション を述べる必 要 が ある。
今 回の公益 化にあたっ て,
学 術 研 究や研修事業
を公 益 事 業と見 な されるか否か が最 大のポ イント と なっ た。
ある時 期には これらの事 業は公益 事 業と は見な さ ないとの 見解
が広まっ た こと もあっ て,
公 益 化 断 念 を 覚 悟 し た時 期 も *Profession as a publicinterest incorporated assu〕ciation
* *
公 益 社団法 人日本 理 学 療 法 士 協 会
(〒 151
−
0051 東京 都 渋 谷 区千 駄ヶ谷3−
8−
5)Kazuto Handa
,
PT;Japanese
Physical Therapy Associationキ
ー
ワー
ド;プロ フ」・
ッショ ン,
公 益 理 学 療 法 あっ た が,
その後の経 過の中で学 術 研 究と研 修 事 業は公 益 事 業 と見な さ れ ることになっ た。
こ の決 定に よっ て,
本 会の公益 化 は加
速度
的 に進んだ。
私は学 術 研 究 および研 修は間接 的 な 公 益事業
という位 置
づ けをし て お り,
これ らにつ い て公 益社 団 法 人 という視 点で事業体系
や考
え方
を大 き く変 える予 定は今のとこ ろない。 唯一
変わ るのは,
これ ま で よりも
オー
プンな 運営
であ り,
公 開 講 座 あた りが そ れに該 当 する。
た だ し,
第
50回全 国 学術 大 会 と全 国 学 術 研 修 大 会の改 変は公 益 化に伴 う もの ではな く,
従 来か らの既定 方 針の ひとつ である。
こ のように考 えて く ると,
学
術研 究や研 修 という 間接 的 な公 益 事業は本 会創 設 時か ら綿
々と継
続し て お り,
今回の シ ンポ ジウ ム で の中 心 的 課 題で は なく,
公 益 杜 団 法 人 と して の直 接 的 な事 業につ いて述べ るこ と が このシンポ ジ ウ ム での私の役 割 と考 え た。
奈 良
は,
今
回のシンポ ジ ウ ム で「
プロ フェ ッ ショ ンとは,
中 世ヨー
ロッ パ で医 師・
弁 護士・
聖職 者に与え ら れ た 権 限 を 民 衆 の利 益 を 最 優 先に行 使 するこ と を誓 う (profess)こ と に由 来 する。
」と述べ て い る。
今 回の私の テー
マ である 「公 益社 団 法 人とし てのプロ フェ ッ シ ョ ン」というテー
マ を,
奈 良の考え方 にあては め る と,
「権 限 」と は理 学 療 法士 と し ての職 能の組 織 的 活 用,
「民 衆の利 益 」と は最 大多
数の最 大幸
福へ の組織
的活
動,
「誓 う」とは 組 織 的 事 業 を 具 現 化 する こ と と捉え ら れ る。
本 会が 目指 す 方 向は,
新 し く作 成 した 公 益 社 団 法 人として の定
款 第3
条 (目的 )に,
「こ の法 人は,
理 学 療 法士の人格,
倫
理 及 び 学術 技 能 を研 鑽し.
わが国の理 学 療 法の普 及 向上 を図 り,
以っ て 国 民の医療・
保 健・
福 祉の増 進に寄 与 する こと を目的と する。
」
と記
し てい る。
さらに定 款 第4条 (表1)では事 業に つ い て 記 し て おり,
その中で直接 的 公 益 性に合 致 する事 項は,
「
国民の健康
と福 祉の増 進 並 びに障 害 と疾 病の予 防に資 す る事業
」があ り,
特に障 害 と疾 病の予 防 は 重 点 的 課 題でも あ る。
ま た,
本 会の倫 理 規 定 (表2
)には,
「理 学 療 法 士 は,
国民の保 健・
医 療・
福 祉 の た め に,
自己の知 識 技 術 経 験 を社 会のた め に 可能な 限 り提 供し な け れ ば な らない。
」と して い る。
専 門 性 と は,
科学 と倫理とい わ れ てい ることを考 えると,
こ の倫 理 規 定 は 重い。
この定 款と倫理規 定はい わ ば 社 会に対 して宣 言 (Profess
)し た も の で あり
,
まさ に公 益 社 団 法 人 と しての プロ フェ ッショ ン の根 幹である。 そ し て さ ら に,
これ らの事業
が社 会 に貢 献 する た め に は時 代を反映
し た課題 である必 要 も ある。
そ う考 える と,
現 状における 公 益 社団法
人 と し てのプロ フェ ッ シ ョ ン には,
継 続 的 課題の障害者 (
団体)
支 援,
今日的課 題の 東日本 大 震 災被 災 者 支 援,
近 未 来 的課題 で あ る 地 域 包 括 ケ ア シ N工 工一
Eleotronio LibraryJapanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation492
理学 療 法 学 第39
巻 第8
号表
1
公益
社
団
法
人 日本
理学 療
法
士協
会 定 款
第
4条
(事 業
)この 法 人 は、
前 条 の 目 的 を 達 成 す るた め、
次の事 業を
行 う
。
(1
} 国 民の健康
と福 祉の増
進 並 びに障 害
と疾病
の予防
に資 す
る事 業
理
学 療
法にお け る 学 術 及び
科 学 技 術 の 振 興 に 資 す る 事 業 (3
)国 際協
力及
び貢献
に資す る事 業
〔
4) 教 育機
関 に協
力 し、
健 康並 び
に 教育
の 向 上 に 資 す る事 業 (5)理学療 法
に関す
る刊行物
の発 行 及び
調査
研究 事
業 {6) 理 学 療 法 士の社 会 的 地 位の向 上 と相
互 理解
に関す る事 業
(
7)
その他
、
この法
人 の 目的を達 成す
る た め に 必 要 な事
業表
2
公益
社
団
法
人 日本
理
学療
法
士協
会
倫
理
規
定
基 本 精 神
1 .
理
学 療
法
士は
、
国
籍
、
人 種
、
民
族
、
宗 教
、
文 化
、
思 想
、
信
条
、
門 地
、
社 会
的地 位
、
年
齢
、
性 別 な
ど のいか ん に か かわ
らず
、
平等
に接
しな
けれ ば
な
らな
い。
2
.
理 学 療 法 士 は
、
国 民
の保
健
・
医
療
・
福祉
のた
め に、
自
己 の知 識
、
技 術
、
経 験 を社 会
の た め に 可能
な限
り提
供
し
な け れ ば な らな
い。
3
,
理 学
療
法 士 は
、専
門
職
と
して常
に研
鑽 を積
み、
理 学
療
法
の
発
展
に努 め な け れ ば な らな
い。4
.
理 学 療 法 士 は
、業務
に当た り
、誠 意
と責 任 をも
って接
し、
自 己
の最 善 を尽 くさな け れ ば な らな
い。5
.
理学 療 法
士は
、
後 進
の育 成
に努 力
しな けれ ば な らな
い。
表
3
公益 社 団 法 人
とし
て のプ
ロ フェ ッシ
ョン1
,
理学 療 法士 と して の専門性を発揮
する こ と 2.
理 学 療 法を 通 じて、
国 民の健 康 と福 祉の増 進に 係 る こ と 3.
非 営 利 な 組 織 活 動であ ること 4.
組織
として社 会のために 可能な 限 り提 供 す ること十
社 会 貢献継 続した 社 会 的 課
M
時代 に 即 したもの課 題
号
・
障害
者 (団 体 )の 支 援・
東
日本 大震災被 災者
へ の支援
・
地 域 包 括ケ ア シ ス テ ム に お け る自助・
互 助 の確立 ス テムの3
点 (
表
3
)
があ り,
これ らに対 応 する ことが 協 会 執 行 部の命題 ともいえ る。
ま ず,
障害 者 (団 体 )の支 援である。
多 くの障害 者団体が構 成 員の急 激 な減少 に その活 動 力を失いかけて い る とこ ろが あ り,
その運営 費にすら困 難性をきた して いる。
こ の点につ いて は,
平 成23
年 度 か ら障 害 者 団体の運 営 費の補 助 という形で支 援 をはじ めてい る。
しか し,
障害や障害 者に対する医
療 制 度や福 祉 政 策に つ い て の専 門的 な論 議が 本 会 は不 十 分である。
こ の傾 向は本 会の 体 質めい たもの で あ り,
今後の大 き な検 討課 題 で あ る。
本 会で は
,
平 成23
(2011
) 年3
月11
口の東 日本大 震災の被 災 者 支 援 活 動を 同年4
月 か ら展 開 し,
会員か らの義援金約3
,
000
万 円 と協 会本 予算か ら約3
,
万 円 を投入 し た。
岩 手 県と宮 城県
の支 援 活動
に は,
有志の会 員100
名 余が参 加し,
地域 住 民・
地方
公共
団体
・
NPO
等
か ら高
い 評 価をい た だいた。 支 援 活 動 の終
了 にあたっ て,
挨拶
ま わ りを し た時の 「理学 療 法士の支 援 活 動は素晴
ら し かっ た。
専
門 性を保ち な が ら,
被 災 者の心 理 状 況等
を勘案
し た素晴
ら しい専
門職であっ た。
」という忘れ ら れ ない一
言をいた だいた。
これ らの経 験と経 過か ら,
本 会は新た N工 工一
Eleotronio LibraryJapanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation公 益社 団 法 人 と してのプロ フ ェ ッ ション