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国内企業22万社の融資等の保全状況実態調査

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Academic year: 2021

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©TEIKOKU DATABANK, LTD.

特別企画: 国内企業 22 万社の融資等の保全状況実態調査

信用 9.8% 保証協会 25.0% 有担保 65.3%

はじめに

10 月 21 日、金融庁は「平成 28 事務年度 金融行政方針」を発表した。この中で、金融機関に よる企業への融資姿勢について、担保余力を有する顧客への取り組みが優先されてきたなかで、 そうした余力が少ないながらも事業性や将来性を評価され資金を注入すべき先に対してのフォロ ーができていないという、「日本型金融排除」の問題が取り上げられている。 9 月に発表された「金融仲介機能のベンチマーク」にも、担保・保証依存の融資姿勢からの転換 として、事業性評価に基づく融資金利や無担保与信先数・融資額の割合などが選択ベンチマーク に設定されているなど、担保余力を有し“いくらでも借りられる先”と、日本型金融排除により “借りられなかった先”との二極化の解消が、これまで以上に金融機関に求められている。 帝国データバンクは、信用調査報告書ファイル(170 万社収録)から、現状の金融借入における 担保設定状況について分析可能な 22 万 2977 社(全国・全業種)を対象に、その実態や調達余力、 資金需要について調査した。なお、担保設定状況に関する調査は、今回が初めてとなる。 ※ 対象は、2014 年 10 月以降の担保設定状況(過去の借入分も含む)が判明している企業で、無借金および役員 借入のみの企業は除く ※ 分類は、全借入が担保提供なしの「信用」、借入に保証協会付きのものが含まれるが有担保保証がない「保証 協会」、借入に不動産・預金・有価証券などの担保提供が 1 つ以上含まれる「有担保」に分類している

調査結果要旨

1.調査対象企業 22 万 2977 社のうち、3 分の 2(65.3%) にあたる 14 万 5499 社が「有担保」での借入を行っている 2.「製造業」「不動産業」では有担保での調達が多く、 保証協会付き融資は「建設業」「サービス業」に多い 3.調査対象企業 22 万 2977 社のうち 32.9%が、資金調達 余力に乏しいと見られる追加借入困難先となっている 4.追加借入困難先のうち 16.4%に前向きな資金需要あり

国内企業の 3 分の 2 が有担保での借入

~ 無担保・無保証(信用)融資は約 1 割 ~

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1.企業の担保設定状況

調査対象企業 22 万 2977 社の担保設定状況について分析する と、借入に不動産・預金・有価証券などの担保提供が 1 つ以上含 まれる「有担保」による借入を行っている企業が最も多く、全体 の 65.3%にあたる 14 万 5499 社となっている。企業の約 3 分の 2 が担保差し入れによる資金調達を行っていることが分かる。 また、全借入が担保提供・保証なしの「信用」が 2 万 1845 社 (構成比 9.8%)で全体の約 1 割。有担保での借入は無く、保証協会の保証の付いた借入をしてい る「保証協会」が 5 万 5633 社(同 25.0%)となっている。 業種別 業種別の担保設定状況を見ると、設備や不動産を多く有する「製造業」(有担保構成比:79.2%) と「不動産業」(同 83.3%)では、企業の約 8 割が有担保借入を行っており、全業種平均 65.3% を大きく上回っている。一方で、担保物件を持ちづらい「サービス業」(同 53.9%)やつなぎ融資 での保証協会利用が多い「建設業」(同 61.3%)では、有担保借入が少ないことが分かる。 構成比 9.8% 25.0% 65.3% 100.0% 55,633 145,499 保証協会 有担保 合計 222,977 社数 信用 21,845 構成比 構成比 構成比 構成比 7.0% 31.7% 61.3% 100.0% 7.7% 13.0% 79.2% 100.0% 11.3% 26.4% 62.2% 100.0% 9.4% 27.8% 62.8% 100.0% 7.8% 27.1% 65.2% 100.0% 14.1% 31.9% 53.9% 100.0% 6.7% 10.0% 83.3% 100.0% 20.6% 10.7% 68.7% 100.0% 9.8% 25.0% 65.3% 100.0% ※網掛は、全国平均を5ポイント以上上回ったものに赤、5ポイント以上下回ったものに青 有担保 合計 5,587 15,364 7,962 19,641 6,414 3,761 7,702 36,409 12,218 24,477 49,285 45,954 43,171 26,450 36,412 30,674 2,582 卸売業 製造業 建設業 13,024 5,995 13,701 3,020 3,547 信用 保証協会 222,977 145,499 55,633 21,845 合計 2,306 950 5,143 517 775 その他 不動産業 サービス業 運輸・通信業 小売業 404 771 11,625 3,306 6,807

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©TEIKOKU DATABANK, LTD. 年商規模別 年商規模別の担保設定状況を見ると、年商規模が 50 億円以上の企業では「信用」の比率が高ま る一方で、「保証協会」の利用は大きく減っている。また、有担保借入を最も利用しているのは年 商 10 億円から 500 億円未満の中堅企業であり、「10 億円~50 億円未満」(「有担保」構成比 77.9%) と「50 億円~100 億円未満」(同 78.8%)では企業の約 8 割、「100 億円~500 億円未満」(同 75.1%) では 4 社中 3 社が「有担保」となっている。500 億円を超える大企業になると、「有担保」が減少 し「信用」が大きく増加する傾向にある。 業歴別 業歴別の担保設定状況を見ると、業歴が長ければ長いほど有担保での借入を行う先が多く、「100 年以上」では約 9 割(86.5%)の企業が「有担保」となっている。一方で、業歴が浅く担保物件の 少ない企業では、「保証協会」や「信用」の比率が高く、「10 年未満」では 7 割超(信用:18.7%、 保証協会:53.9%)の企業が、無担保での借入となっていることが分かる。 構成比 構成比 構成比 構成比 18.7% 53.9% 27.4% 100.0% 11.0% 42.4% 46.6% 100.0% 8.5% 18.5% 73.0% 100.0% 7.6% 9.2% 83.1% 100.0% 7.6% 5.9% 86.5% 100.0% 12.5% 0.0% 87.5% 100.0% 9.8% 25.0% 65.3% 100.0% ※網掛は、全国平均を5ポイント以上上回ったものに赤、5ポイント以上下回ったものに青 信用 保証協会 有担保 合計 10年未満 3,627 10,432 5,305 19,364 10~30年未満 6,903 26,536 29,214 62,653 30~50年未満 5,416 11,794 46,454 63,664 50~100年未満 5,286 6,398 57,562 69,246 100年以上 612 473 6,957 8,042 合計 21,845 55,633 145,499 222,977 未詳 1 0 7 8 構成比 構成比 構成比 構成比 12.4% 42.1% 45.5% 100.0% 7.5% 28.9% 63.6% 100.0% 10.5% 11.6% 77.9% 100.0% 16.8% 4.5% 78.8% 100.0% 23.4% 1.6% 75.1% 100.0% 30.1% 0.7% 69.2% 100.0% 31.7% 0.2% 68.2% 100.0% 9.8% 25.0% 65.3% 100.0% ※網掛は、全国平均を5ポイント以上上回ったものに赤、5ポイント以上下回ったものに青 合計 21,845 55,633 145,499 222,977 500億~1000億円未満 259 6 596 861 1000億円以上 355 2 764 1,121 50億~100億円未満 1,334 355 6,260 7,949 100億~500億円未満 1,527 102 4,906 6,535 1億~10億円未満 9,552 37,029 81,429 128,010 10億~50億円未満 5,146 5,645 38,061 48,852 信用 保証協会 有担保 合計 1億円未満 3,672 12,494 13,483 29,649

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©TEIKOKU DATABANK, LTD. 地域別 地域別の担保設定状況を見ると、産業構造などを背景に大きく地域差が出ている。建設業者の 多い「北海道」や卸・小売・サービス業者の多い「関東」では「保証協会」の割合が大きく(北海 道:25.1%、関東:33.2%)、とくに「関東」では「有担保」の割合が小さい(55.6%)。 一方で、「四国」「北陸」では「保証協会」の割合が小さく(四国:10.5%、北陸:15.7%)、「有 担保」の割合が大きい(四国:82.3%、北陸:75.2%)。

2.企業の資金調達余力分析

調査対象企業の信用調査報告書を分析すると、3 分の 1 にあたる 32.9%の企業で、財務や担保設定状況、業績見通 しなどを総合的に見て資金調達余力が乏しい状態(以下、 追加借入困難先という)にある、と見られることが分かっ た。担保設定の状況から追加借入困難先の比率をみると、 最も高かったのは「保証協会」の 42.0%。担保提供による 借入がなく保証協会付き融資のみを受けている企業の約 4 割が、調達余力に乏しいと見られ、「有 担保」とは 10 ポイント、「信用」とは 26.2 ポイントの乖離がある。 こうした追加借入困難先の資金需要について、資金調達余力は限界ながらも、設備投資や業容 拡大に伴う運転資金など「前向き資金需要」のある企業の比率を分析すると、追加借入困難先の うち 16.4%で前向きな資金需要があると見られる。これについては、担保設定状況による差はほ とんどないが、こうした企業の中には、積極的な借入ニーズがありながらも、いわゆる「日本型金 融排除」の対象となっていた先が含まれている可能性が高い。 うち前向き 資金需要有 16.4% 16.5% 16.3% 16.4% 追加借入 困難先比率 信用 15.8% 保証協会 42.0% 有担保 32.0% 全体 32.9% 構成比 構成比 構成比 構成比 8.0% 25.1% 66.9% 100.0% 7.3% 19.9% 72.9% 100.0% 11.2% 33.2% 55.6% 100.0% 9.1% 15.7% 75.2% 100.0% 8.3% 21.0% 70.7% 100.0% 11.2% 21.9% 66.9% 100.0% 8.4% 19.8% 71.9% 100.0% 7.3% 10.5% 82.3% 100.0% 8.9% 20.7% 70.4% 100.0% 9.8% 25.0% 65.3% 100.0% ※網掛は、全国平均を5ポイント以上上回ったものに赤、5ポイント以上下回ったものに青 9,635 東北 1,045 2,861 10,505 14,411 信用 保証協会 有担保 合計 北海道 774 2,417 6,444 関東 8,807 26,193 43,859 78,859 北陸 912 1,578 7,535 10,025 中部 2,611 6,605 22,219 31,435 近畿 4,262 8,336 25,483 38,081 中国 1,075 2,538 9,226 12,839 四国 452 652 5,121 6,225 21,467 15,107 4,453 1,907 九州 合計 21,845 55,633 145,499 222,977

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©TEIKOKU DATABANK, LTD. 業種別 業種別に追加借入困難先比率をみると、最も比率が高いのは「建設業」の 36.2%。次いで「小 売業」の 35.4%、「運輸・通信業」の 34.3%となった。 追加借入困難先のうち前向き資金需要のある割合をみると、「不動産業」の 25.0%が最も高く、 「運輸・通信業」の 20.3%が続く。また、「信用」での借入を行う不動産業者は、一定の前向き資 金需要が発生している可能性があるものの、調達環境が苦しくなっている(追加借入困難先比率 22.4%)という実態も見られた。 年商規模別 年商規模別にみると、「1 億円未満」の企業の 56.9%が資金調達余力に乏しいことが分かった。 同レンジでは、全体の平均は下回っているものの、13.7%の企業で前向きな資金需要があると見 られる。 業種別 追加借入困難先比率 うち前向き 資金需要有 14.2% 17.9% 14.4% 16.9% 20.3% 16.4% 25.0% 16.3% 16.4% ※網掛は、全国平均を5ポイント以上上回ったものに赤、5ポイント以上下回ったものに青 全体 15.8% 42.0% 32.0% 32.9% 23.3% サービス業 20.3% 44.6% 30.0% 33.3% 不動産業 22.4% 39.3% 28.4% 29.1% 運輸・通信業 14.5% 42.1% 33.4% 34.3% 小売業 21.3% 42.6% 34.3% 35.4% 卸売業 13.1% 40.3% 29.0% 30.2% 製造業 9.4% 39.4% 33.5% 32.4% 建設業 16.9% 42.8% 34.9% 36.2% その他 11.4% 35.1% 25.1% 信用 保証協会 有担保 合計 年商規模別 追加借入困難先比率 うち前向き 資金需要有 13.7% 16.5% 20.5% 20.2% 22.9% 15.8% 37.5% 16.4% ※網掛は、全国平均を5ポイント以上上回ったものに赤、5ポイント以上下回ったものに青 2.7% 2.2% 合計 15.8% 42.0% 32.0% 32.9% 500億~1000億円未満 1000億円以上 0.6% 0.0% 1.2% 0.0% 3.6% 100億~500億円未満 1.2% 6.9% 1.3% 7.9% 50億~100億円未満 8.4% 7.2% 10億~50億円未満 4.3% 16.6% 18.1% 16.5% 38.5% 37.3% 1億~10億円未満 15.7% 40.0% 0.8% 0.7% 4.3% 信用 保証協会 46.1% 60.9% 56.2% 56.9% 1億円未満 有担保 合計

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©TEIKOKU DATABANK, LTD. 業歴別 業歴別にみると、年商規模と同様に業歴が長いほど資金調達余力も増していくという傾向が見 られた。一方で、前向き資金需要の動向をみると業歴に反比例しており、「10 年未満」のレンジで は 44.5%の企業が追加借入困難となっているが、その中でも 22.3%の企業では前向きな資金需要 が発生している。 地域別 地域別にみると、追 加借入困難先比率が最 も高いのは「関東」の 35.6 % と な っ た 一 方 で、「東北」と「北陸」 ではそれぞれ 23.5%、 21.2%と全体平均を 10 ポイント以上下回って いる。これは、不動産な ど有担保への依存度の 高さに関連していると 見られ、前段の分析で 「保証協会」の利用率 が高い地域は総じて追 加借入困難先比率も高く、「有担保」の利用率が高い地域では追加借入困難先比率が低くなってい る。 追加借入困難先のなかでも前向き資金需要のある企業で見ると、「中部」が 27.3%と最多。一方 で、「北海道」(同 4.4%)や「東北」(同 10.6%)、「中国」(同 7.0%)が全体平均を大きく下回っ ており、企業の資金需要が停滞している可能性がある。 業歴別 追加借入困難先比率 うち前向き 資金需要有 22.3% 17.1% 15.0% 14.5% 13.7% 0.0% 16.4% ※網掛は、全国平均を5ポイント以上上回ったものに赤、5ポイント以上下回ったものに青 32.9% 100年以上 6.0% 未詳 0.0% 27.6% 30.2% 29.4% 50~100年未満 5.3% 36.5% 32.7% 31.4% 30~50年未満 9.5% 10~30年未満 17.5% 10年未満 39.2% 48.4% 40.4% 44.5% 37.8% 合計 15.8% 25.0% - 28.6% 42.0% 32.0% 25.6% 27.3% 25.6% 45.1% 35.9% 信用 保証協会 有担保 合計 地域別 追加借入困難先比率 うち前向き 資金需要有 4.4% 10.6% 14.6% 18.4% 27.3% 19.4% 7.0% 11.1% 15.8% 16.4% ※網掛は、全国平均を5ポイント以上上回ったものに赤、5ポイント以上下回ったものに青 33.9% 33.3% 34.9% 35.2% 39.1% 26.6% 28.4% 合計 15.8% 42.0% 32.0% 32.9% 44.8% 33.3% 33.0% 九州 17.4% 44.6% 中国 10.8% 40.4% 8.9% 41.1% 35.2% 34.2% 45.1% 33.4% 35.6% 北陸 5.8% 22.6% 22.8% 21.2% 24.3% 23.5% 関東 24.6% 18.4% 32.8% 33.9% 北海道 東北 12.5% 四国 13.1% 近畿 18.2% 中部 17.3% 42.0% 信用 保証協会 有担保 合計

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©TEIKOKU DATABANK, LTD. 【 内容に関する問い合わせ先 】 (株)帝国データバンク 東京支社 情報部 箕輪 陽介 TEL 03-5919-9341 FAX 03-5919-9348 e-mail yousuke.minowa@mail.tdb.co.jp

3.まとめ

今回の金融行政方針により、担保・保証に過度に依存せず、顧客の事業性を評価し顧客ととも に地域経済の成長に寄与していくという働きかけが、各金融機関に対しこれまで以上に求められ ることとなった。十分な調達余力を残す企業に集中していた貸出を、フィデューシャリー・デュ ーティー(顧客本位の業務運営)に則って、いわゆる日本型金融排除の対象となっていた企業へ 分散させていくことが狙いとなっている。 今回の調査では、企業の担保設定状況を統計的に分析するなかで、業績や業歴の面だけでなく、 業種や地域でも格差が出ている実態が見えてきた。加えて、資金調達余力に乏しく追加調達が困 難である先について分析するなかで、そうした企業群の中にも、前向きな資金需要があり金融機 関からの積極的融資が必要な企業も、少なからずある可能性が見えてきた。当然のことながら、 金融機関側も過去の不良債権問題などから、保全によるリスク排除を進めてきた歴史もあるが、 こうした先へのアプローチによって、従来とは異なった目線に立ちながら国内の中小企業の事業 価値を高めていくことが、今後期待されるところだろう。 当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。 当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。報道目的以外の利用につきましては、著作権法の範囲内で ご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。

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