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使用した装置と試料 装置 : 位相差測定装置 KOBA-W 使用ソフト : 位相差測定 Eソフト 専用治具 : 試料引張治具 試料 : 表 1の各フィルムを測定 ( 測定は室温 3 ) 表 1 実験に用いた試料 記号 材質 厚さ (μm) 光軸角 Ω( ) 備考 pc4 ポリカーボネート 6 87.

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Academic year: 2021

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(1)

光弾性係数に関する実験結果 ● はじめに 高分子材料において観測される複屈折を分類すると、配向複屈折、応力複屈折および形態複屈折 があります。その中で形態複屈折は、樹脂中に微細な繊維状物質が配列した場合などに見られるも ので、通常の高分子材料では無視できます。一方向に引張荷重を負荷する一軸伸長変形の場合に観 測される複屈折は、図1のように配向複屈折と応力複屈折の合計になります。 光弾性係数は、図1における直線の傾きに相当し、一定幅の試験片を一軸伸長したときの位相差 を測定することにより比較的容易に測定できます。その値は、光学用途の材料にとっては重要な物 性値の1つで、例えば液晶表示装置で異なる材料に貼合された位相差フィルムが温度変化を受ける と、各材料の寸法変化率の違いから位相差フィルムに応力が発生し、位相差が変化して表示に影響 が出ます。この点においては、応力の影響が少ないすなわち光弾性係数の小さい材料が適している ことになります。 様々な物性値が異方性を示すように「光弾性係数にも異方性がある」のか、それとも「光弾性係 数は材料によって定まる一定値である」のかを調べる実験を行いましたので、以下にその結果を報 告します。 図1 配向複屈折と応力複屈折 ● 結論 光弾性係数を測定する際に、延伸フィルムなどで分子鎖が配向しており初期的に位相差がある試 料の場合は、平均的分子鎖方向と伸長方向のなす角θave によって観測される光弾性係数は異なり、 異方性があるように見えます。その光弾性係数の値はθave=45°を中心にして、対称性がある 場合と非対称となる場合があります。対称性がある場合には、θave=0°の条件で伸長した時に 観測される値がその材料の光弾性係数になります。一方非対称になるのは、試料が二軸延伸フィル ムでかつ側鎖が大きい場合、あるいはガラス転移領域に近い温度で測定した場合と考えられます。 2012.04 王子計測機器株式会社

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● 使用した装置と試料 ・ 装置 :位相差測定装置 KOBRA-WR 使用ソフト:位相差測定REソフト ・ 専用治具 :試料引張治具 ・ 試料 :表1の各フィルムを測定 (※測定は室温23℃) 表1 実験に用いた試料 記 号 材 質 厚さ (μm) 光軸角 Ω(°) 備 考 pc400 ポリカーボネート 62 87.9 一軸延伸 pva400 ポリビニルアルコール 60 63.1 一軸延伸 pet390 ポリエチレンテレフタレート 26 16.3 二軸延伸 pa170 ナイロン6 15 23.8 二軸延伸 ps285 ポリスチレン 50 28.6 熱収縮フィルム ※ 記号欄の材料記号のあとの数値は面内位相差の値 ※ pc400は図2のように方位を変えて15×60mmに切り出し ※ その他の試料は0、45、90degの3方位を15×60mmに切り出し 図2 試料pc400の切り出し ● 測定結果 1)試料pc400の測定結果 試料pc400を用いて、引張荷重を200gから1200gまで100gずつ変えたと きの位相差変化を測定すると図3のようになり、いずれの試料でも高い相関係数が得られま した。各近似直線の傾きから、次式によって光弾性係数を計算すると図4のようになり、ほ ぼコサインカーブで近似できることが分かります。 980 10 ) ( -8 試料幅 図3の直線の傾き 光弾性係数  mm  (×10-13㎠/dyn) ①

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y = 0.0533x - 0.1969 R2 = 0.9999 y = 0.0511x - 0.4445 R2 = 0.9999 y = 0.0324x - 1.0791 R2 = 0.9992 y = 0.004x - 2.0955 R2 = 0.9149 y = -0.0231x - 1.7055 R2 = 0.9981 y = -0.053x - 0.9273 R2 = 0.9998 y = -0.0599x + 1.1891 R2 = 0.9992 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 荷重 (g/幅15mm) Re 変化量 (n m ) 0deg 15deg 30deg 45deg 60deg 75deg 90deg 図3 試料pc400の荷重に対する位相差変化 -100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 伸長方向と平均的分子鎖方向とのなす角 (°) 光弾性係数    ×1 0 -1 3  (cm 2/d yn ) コサインカーブ 図4 試料pc400の光弾性係数 2)試料pva400の測定結果 試料pva400についても同様に、引張荷重を200gから1500gまで100gず つ変えたときの位相差変化を測定すると図5のようになり、近似直線の傾きはpc400に 比べると小さいですが、いずれの試料でも高い相関係数が得られました。式①から光弾性係 数を計算すると図6のようになり、pc400の1/10以下の値になります。

(4)

y = 0.0022x - 0.0793 R2 = 0.9983 y = 0.0003x + 0.0081 R2 = 0.9077 y = -0.0019x - 0.1409 R2 = 0.9984 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 荷重 (g/幅15mm) Re 変化量 (n m ) 0deg 45deg 90deg 図5 試料pva400の荷重に対する位相差変化 y = -0.0715x + 3.4814 R2 = 0.9999 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 伸長方向と平均的分子鎖方向とのなす角  (°) 光弾性係数    ×1 0 -1 3   (cm 2 /d yn ) 図6 試料pva400の光弾性係数 3)その他の試料の測定結果 他の材料についても同様に測定し、試料0degと90degの光弾性係数の測定値およ び文献値をまとめると表2のようになります。光学用途の材料ではカタログに値が記載され ていますが、汎用的な材料では値は出ていません。表2の測定結果をグラフにすると図7の ようになり、表2で記号が赤文字の試料については、図7(a)のように伸長方向と平均的 分子鎖方向のなす角が45°を中心にほぼ対称的であることが分かります。しかし、図7(b) のpa170、ps285は非対称であり、それらの荷重に対する位相差変化は図8のよう になり、図3や図5とは明らかに異なることが分かります。

(5)

表2 光弾性係数の測定値および文献値 (×10-13㎠/dyn) 記号 本実験の測定値 文献値 ガラス転移点 Tg(℃) 0deg 90deg pc400 81.5 -85.7 72 150~155 pva400 3.4 -2.9 ― 85 pet390 34.3 -35.5 ― 70~81 pa170 23.9 -10.7 ― 47~50 ps285 8.2 -4.2 10.1 90~100 -100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 伸長方向と平均的分子鎖方向とのなす角 (°) 光弾性係数  ×1 0 -13   ( c m 2/d yn ) pc400 pva400 pet390 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 伸長方向と平均的分子鎖方向とのなす角 (°) 光弾性係数  ×10 -13   (c m 2/d yn ) pa170 ps285 (a)ほぼ対称 (b)非対称 図7 光弾性係数の測定結果 (a)pa170 (b)ps285 図8 試料pa170とps285の荷重に対する位相差変化

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● 考察 一般的にPCの光弾性係数は72×10-13cm/dynとありますが、文献によってはその 前後で値に幅があります。PVAについては具体的な数値は文献にも記載されていません。 図7の測定結果をみると、光弾性係数に異方性があるとも解釈できます。しかし暗黙のうちに、 光弾性係数は平均的分子鎖方向(試料0deg)に一軸伸長したときに測定される値と定義されて いれば、異方性は考えずに1つの値ということになります。そのいずれであるのかを以下に考察し ます。 1)対称性がある試料の場合 先ず、図7(a)のように測定値に対称性がある試料について、平均的分子鎖方向と伸長 方向とが平行・直交以外のときに観測される荷重に対する位相差変化を計算で出すことを試 みました。ただし、図7(a)の試料はすべて平均的分子鎖方向が遅相軸になります。 荷重に対する位相差変化の特徴は次のようになります。 ・ 伸長方向と遅相軸が平行⇒位相差が増加 ・ 伸長方向と遅相軸が直交⇒位相差が減少 ・ 伸長方向と遅相軸が45°⇒位相差は変化せず ・ 光弾性係数の値は伸長方向と遅相軸のなす角に対してコサインカーブ的に変化 する 以上の特徴は、2枚の位相差板を積層したときに観測される位相差の相加・相減現象によ く似ています。そこで、一軸伸長時に観測される現象を図9のように位相差板2枚の積層に 置き換えるとして、1枚目を配向分の位相差Ror、2枚目を応力分の位相差Rst とみなして、 Ror は荷重ゼロのときの値、Rst は試料0degの荷重に対する位相差変化量の近似直線の 傾きと荷重との積で表します。2枚の位相差板を積層したときに観測される位相差と遅相軸 方位はシミュレーションによって求めることができます。pc400の荷重に対する位相差 と遅相軸方位の計算結果と実測値とを比較すると図10のようになり、両者はよく一致して います。また、光弾性係数を比較すると図11のようになり、これもよい一致と言えます。 対称性があるpet390についても同程度の一致が確認できました。 したがって、ψ=0°すなわち伸長方向と遅相軸が平行なときの光弾性係数が既知であれ ば、ψ=0°以外のときに観測される光弾性係数は計算で求めることができます。すなわち、 ψ=0°のときの値がその材料の光弾性係数であって異方性はないと考えてよく、ψ=0° 以外の条件で測定した光弾性係数は見掛け上の値ということになります。 図9 2枚の位相差板の積層

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図10 試料pc400の実測値と計算結果との比較 -100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100

0deg 15deg 30deg 45deg 60deg 75deg 90deg 試料名 光弾性係数  ×1 0 -1 3  (cm 2/d yn ) 実測 計算 図11 試料pc400の見掛け上の光弾性係数の実測値と計算値との比較 2)非対称性の試料の場合 当然のことですが無配向の試料の場合はRor=0であり、元々対称性・非対称性の議論は 必要ありませんが、初期的に分子鎖が配向しておりかつ図7(b)のように光弾性係数に対 称性がない試料については、位相差板2枚の積層の考え方は利用できません。したがって、 この場合は光弾性係数そのものに異方性があると解釈せざるを得ません。 応力と複屈折に関して書かれた文献を調べると、複屈折を分子論的に解釈するとき分子鎖 を構成単位(セグメント)が連結したモデルで考え、一般的には図12(a)のようにその 構成単位の主分極率(α1,α2,α3)と配向関数PR、PGとが式②、③ように関係付けら れています。ここで、PRは-0.5から1.0の値をとり、配向状態と次のように対応しま す。 [参考文献:「無定形高分子のガラス転移領域における粘弾性と複屈折」井上、尾崎,

(8)

PR=-0.5 直交一軸配向 PR=0 ランダム PR=1.0 平行一軸配向 G R

P

P

n

4

)

2

(

1

2

3

2

3

2

cos

sin

3

2

1

cos

3

2 2 G R

P

P

③ 図12 複屈折の分子論的解釈 文献に記載されている内容を拾い出すと次のようになります。 (ⅰ)式②の第1項のゴム成分は伸長方向への分子鎖の配向に対応する (ⅱ)式②の第2項のガラス成分は構成単位が分子鎖の軸を中心にして回転するこ とによる伸長方向への配向に対応する (ⅲ)Tg以下のガラス状領域ではゴム成分とガラス成分の両方が存在する (ⅳ)Tg以上のゴム状平坦領域では応力と複屈折は比例関係にある (ⅴ)ガラス転移領域では応力と複屈折の関係は複雑になる (ⅵ)ガラス状態での複屈折と応力の比が光弾性係数である (ⅶ)側鎖が大きい場合は伸長により側鎖がより配向しやすくなる 今回の測定は、室温で行いましたのですべてガラス状態と考えてよく、また試料の切り出 し方向を変えましたので、図12のθave を変えたことになり、分極率および配向関数に着目 すると大まかには次のようなことが考えられます。

(9)

・屈折率楕円体が一軸性の場合、分極率α2-α3≒0とみなすと、複屈折はゴム成 分のみになる。 ・屈折率楕円体が二軸性の場合でかつ側鎖が大きい試料ps285はガラス成分の 影響が大きく、θave によるΔnへの影響が表れやすい。 ・pa170のTgは47~50℃であるので室温でもガラス転移領域に近く、応 力緩和の量がθave によって異なる可能性がある。 3)波長分散特性 次に、他の特徴を調べるために試料pc400の荷重0gと1200gのときの波長分散 特性を測定すると、図14(a)のようになり荷重0gのときは試料0degと90deg で殆ど差がなく、よく見るPCの分散曲線になっています。しかし、荷重1200gのとき は、荷重0gのときの曲線から少しずれ、かつ試料0degと90degで違いがあります。 このことは、応力分の位相差Rst の波長分散特性がPCの特性とは異なることを示唆してい ると考えられます。ちなみに、試料0degと90degで荷重を0gから1200gにし たときの位相差変化量を、波長分散比率のグラフにすると図14(b)のようになり、伸長 方向によって違いがあることが分かります。 図14 pc400の波長分散特性 4)試料45degの遅相軸方位の変化 試料pc400とpva400について試料45degの、荷重に対する遅相軸方位の実 測値をグラフにすると図15のようになり、pva400は殆ど変化しないのに比べてpc 400は荷重に対して比例的に変化し、荷重1200gでは約5.6°伸長方向へ動いてい るのが分かります。これはpva400の場合、2層の積層として扱っても光弾性係数が小 さいのでRst は数nm程度になりその影響が殆どなく、Ror の 1 つの層と同じと考えればこ の現象も理解できます。表2の各試料の0degの光弾性係数と、試料45degの荷重9 00gのときの遅相軸変化量との相関を調べると図16のようになり、強い相関があること

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38 39 40 41 42 43 44 45 46 0 200 400 600 800 1000 1200 荷重 (g/幅15mm) 遅相軸方位  (°) pc400 pva400 図15 試料45degの荷重に対する遅相軸変化 y = -0.0525x + 0.0751 R2 = 0.9994 -4.5 -4.0 -3.5 -3.0 -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0 20 40 60 80 100 試料0degの光弾性係数 (×10-13 cm/dyn) 荷重9 0 0 g のと き の遅相軸方位変化量  (°) 図16 試料0degの光弾性係数と試料45degの遅相軸方位の変化量 ● おわりに 上述のように、光弾性係数の値が非対称になる場合には2層の積層現象に置き換えはできません。 そこで、一般的に応力と複屈折の関係を表すのに利用される、応力光学則(Stress-Optical Rule、 SOR)あるいは修正応力光学則(Modified Stress-Optical Rule、MSOR)に基づいた解釈 を試みると、次のようになります。 ・ゴム状領域(Tg以上)・・・応力光学則

(t)

C

n(t)

R

CR:応力光学係数 ④ ・ガラス状領域(Tg以下)、ガラス転移領域・・・修正応力光学則

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

t

C

t

C

t

n

t

t

t

G G R R G R

(11)

式④は応力と複屈折の比例関係を表す式で、今まで議論してきた光弾性係数と同じように見えま すが、式④では時間tがパラメータになっており、一軸伸長の静的測定であっても応力緩和過程や クリープ過程のように、観測される量が時間的に変化をする場合の表現式になります。一方、今回 の測定を図1のように解釈し、これを複屈折で表すと次式のようになります。 st st or

C

P

n

n

n

n

0 ⑥ ここで、Δn0は固有複屈折、Pは配向関数、Cは光弾性係数 今回の測定は室温で静的に行ったものであり、応力緩和もないものとして時間tの要素を無視す ると、式②⑤⑥から式⑦のように表現式による解釈の仕方の違いが出てきます。式⑦の中でΔn0 α1、α2、α3以外の値はすべてθave によって変わることを考えれば、光弾性係数Cがθave に よって複雑に影響を受けることも理解できます。 G R G G R R st

P

P

C

C

C

P

n

n

4

)

2

(

1 2 3 2 3 0

⑦ 以上

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