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(1)

2018年相続法改正

参照文献

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html

山川一陽

=松嶋隆弘『相続法改正のポイント

と実務への影響』日本加除出版(

2018/5/24)

名古屋大学・明治学院大学名誉教授

加賀山 茂

(2)

目次

 平成30年相続法改正の概要(法務省民事 局)  立法の経緯と的外れの改正  諸悪の根源としての民法762条(法定婦夫財産 制)  最初に改正すべきは民法762条  平成30年相続法改正の構造  相続法改正の6項目(法務省民事局)  1.妻の居住権の保護  配偶者短期居住権  配偶者居住権  配偶者居住権の価値評価  2.遺産分割に関する見直し  妻の相続分の持戻し免除の推定  預貯金の仮払い制度の創設  遺産分割前の処分の持戻し  3.遺言制度に関する見直し  自筆証書遺言の方式緩和  自筆証書遺言の保管制度の創設  遺言執行者の権限の強化  4.遺留分制度に関する見直し  完全債権化(遺留分侵害額請求権)  5.相続の効力に関する見直し  登記の対抗要件の必要性  6.相続人以外の者の貢献-特別の寄与  まとめ

(3)

2018年

相続法

改正の

概要

(4)

立法の経緯と的外れの改正

平成

25年の最高裁大法廷決定(最大決平25・9・4民集67巻6号1320頁)

 嫡出でない子の相続分が嫡出子の2分の1であるのは違憲であると判断した。  民法900条4号ただし書き前段が削除され,嫡出子と嫡出でない子の相続分が同じとなった。

妻たちの怒り

 夫とともに妻が築き上げてきた婦夫財産から,夫の死後,妻とは無縁の子(夫の浮気相手の 子)へ,わが子と同じ相続分が流出ることに対して,妻たちが怒りの声を上げた。

夫たちの勘違いの対応(

前提の誤り

 婦夫の一体性を強調し,夫婦同氏,日常家事の連帯債務を推進しつつ,夫婦財産の別産性を 前提として,妻の居住権,持戻し免除等を行うのはお門違い。  婦夫財産の共有性(組合的共有)を推進すれば,相続法の改正は不要。

(5)

諸悪の根源としての民法

762条

民法旧規定(明治民法)

妻の保護のための規定

807条〔夫婦間における財

産の帰属〕

①妻又は入夫が婚姻前より有

せる財産及び婚姻中自己の名

に於て得たる財産は,其特有財

産とす。

②夫婦の孰れに属するか分明

ならざる財産は,夫又は女戸主

の財産と推定す。

現行民法

夫の保護に変質

762条(夫婦間における財産

の帰属)

①夫婦の一方が婚姻前から有す

る財産及び婚姻中自己の名で得

た財産は,その特有財産(夫婦の

一方が単独で有する財産をい

う。)とする。

②夫婦のいずれに属するか明ら

かでない財産は,その共有に属す

るものと推定する。

(6)

最初に改正すべきは,民法762条

第762条(婦夫間における財産の帰属)の改正案(

加賀山私案)

 ①婦夫財産とは,婦夫が婚姻生活を維持するために明示又は黙示に出資して形成する 組合的共有財産をいう。  ②婦夫の持分はそれぞれの出資の多寡にかかわらず,常に平等とする。共用に供した婦 夫財産は,たとえ配偶者の一方を登記名義とした場合であっても,その登記は,他方の 配偶者との共有名義とみなされる。  ③婦夫の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産であっても,そ の財産を婦夫の共用に供した場合には,初めに遡って婦夫財産となる。  ④婦夫の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産であって,かつ, 婦夫の共用に供しない場合には,婦夫の一方の特有財産(婦夫の一方が単独で有する 財産をいう。)とし,婦夫財産から除外される。  ⑤婦夫のいずれに属するか明かでない財産は,婦夫財産(組合的共有財産)と推定する。

(7)

2018年相続法改正の構造

妻の相続分の保護

(ほとんど的外れ)

1 妻の居住権の保護

2 妻への贈与・遺贈の持戻し免除

預貯金の分割前の払戻し

共同相続人の処分の持戻し

遺言の過剰な保護

(どさくさ紛れ)

3 自筆証書遺言の要件の緩和

自筆証書遺言の保管制度

遺言執行者の権限の強化

4 遺留分の完全債権化

第三者の保護

(唯一意味あり)

5 登記の対抗要件

6 相続人以外の者の特別の寄与

(8)

第1 配偶者の居住権を

保護するための方策

(1)

1 配偶者短期居住権の

新設(新民法

1037条-1041

条関係)

配偶者が相続開始の時に遺

産に属する建物に居住して

いた場合には,遺産分割が

終了するまでの間,無償で

その居住建物を使用できる

ようにする。

(9)

第1 配偶者の居住権を

保護するための方策

(2)

2 配偶者居住権の新設

(新民法

1028条-1036条関

係)

配偶者の居住建物を対象と

して,終身又は一定期間,配

偶者にその使用を認める法

定の権利を創設し,遺産分

割等における選択肢の一つ

として,配偶者 に配偶者居

住権を取得させることができ

るようにする。

(10)

第1 配偶者の居住権を

保護するための方策

(3)

3 配偶者居住権の価値

評価(新民法

1028条-1036

条関係)

配偶者居住権の価値=

建物敷地の現在価値-

負担付所有権の価値

(11)

第2 遺産分割等に

関する見直し

(1)

1 配偶者保護のための方策

(持戻し免除の意思表示推定

規定)(新民法

903条④関係)

婚姻期間が

20年以上の夫婦間

で,居住用不動産の遺贈又は

贈与がされたときは,持戻しの

免除の意思表示があったものと

推定し,被相続人の意思を尊重

した遺産分割ができるようにす

る。

(12)

第2 遺産分割等に

関する見直し

(2)

仮払い制度等の創設・要

件明確化(新民法

909条の

2関係)

相続された預貯金債権につ

いて,生活費や葬儀費用の

支払,相続債務の弁済など

の資金需要に対応できるよう,

遺産分割前にも払戻しが受

けられる制度を創設する。

(13)

第2 遺産分割等に

関する見直し

(3)

遺産の分割前に遺産に属

する財産を処分した場合

の遺産の範囲

相続開始後に共同相続人の

一人が遺産に属する財産を

処分した場合に,計算上生

ずる不公平を是正する方策

を設ける。(新民法

906条の2

関係)

(14)

第3 遺言制度に関

する見直し(

1)

1 自筆証書遺言の方式緩

和(新民法

968条関係)

自筆でない財産目録を添

付して自筆証書遺言を作成

できるようにする。

2 遺言執行者の権限の明

確化(新民法

1007条,1012

-1016条関係)

(15)

第3 遺言制度に関

する見直し(

2)

3 公的機関(法務局)にお

ける自筆証書遺言の保管

制度の創設

(遺言書保管法)

自筆証書遺言は,有効・無効をめ

ぐって争いが生じることが多い。

無効な自筆証書遺言を保管して

も意味がない。公正証書遺言の

普及を推進すべきではないのか。

(16)

第4 遺留分制度に

関する見直し

遺留分減殺請求権の行使に

よって当然に物権的効果が生

ずるとされている現行の規律を

見直す(新民法

1042条-1049条

関係) 。

遺留分権の行使によって遺留分侵

害額に相当する金銭債権が生ずる

ものとする。

受遺者等の請求により,金銭債務

の全部又は一部の支払につき裁判

所が期限を許与することができるよ

うにする。

(17)

第5 相続の効力等

に関する見直し

相続させる旨の遺言等により

承継された財産については,

登記等の対抗要件なくして第

三者に対抗することができる

とされていた現行法の規律を

見直す(新民法

899条の2関

係) 。

法定相続分を超える権利の承継

については,対抗要件を備えな

ければ第三者に対抗することが

できないようにする。

(18)

第6 相続人以外の者の貢

献を考慮するための方策

相続人以外の被相続人の親族

が,被相続人の療養看護等を

行った場合には,一定の要件の

もとで,相続人に対して金銭請

求をすることができる制度(特別

の寄与)を創設する。(新民法

1050条関係)

特別の寄与の制度創設に伴い,

家庭裁判所における手続規定

(管轄等)を設ける。(新家事事

件手続法

216条の2-216条の5関

係)

(19)

2018年相続法改正のまとめ

 妻たちの怒りに恐れをなした男たちによる,勘違いも甚だしい茶番の相続法改正  婦夫財産は,名義の如何をかかわらず,婦夫の組合的共有と解釈すべき。  組合財産とすれば,相続は生じない。共有の弾力性によって,夫の持分は,妻と子の共有財産となる。  以下のような民法(夫婦財産関係)改正を前提とすべきである。  第762条(婦夫間における財産の帰属)の改正案(加賀山私案)  ①婦夫財産とは,婦夫が婚姻生活を維持するために明示又は黙示に出資して形成する組合的共有財産をいう。  ②婦夫の持分はそれぞれの出資の多寡にかかわらず,常に平等とする。共用に供された婦夫財産は,たとえ配偶者の一方を 登記名義とした場合であっても,その登記は,他方の配偶者との共有名義とみなされる。  ③婦夫の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産であっても,その財産を婦夫の共用に供した場合には, 初めに遡って婦夫財産となる。  ④婦夫の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産であって,かつ,婦夫の共用に供しない場合には,婦 夫の一方の特有財産(婦夫の一方が単独で有する財産をいう。)とし,婦夫財産から除外される。  ⑤婦夫のいずれに属するか明かでない財産は,婦夫財産(組合的共有財産)と推定する。

(20)

2018年相続法改正の構造

妻の相続分の保護

(ほとんど的外れ)

1 妻の居住権の保護

2 妻への贈与・遺贈の持戻し免除

預貯金の分割前の払戻し

共同相続人の処分の持戻し

遺言の過剰な保護

(どさくさ紛れ)

3 自筆証書遺言の要件の緩和

自筆証書遺言の保管制度

遺言執行者の権限の強化

4 遺留分の完全債権化

第三者の保護

(唯一意味あり)

5 登記の対抗要件

6 相続人以外の者の特別の寄与

参照

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