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養子縁組制度の利用 1. 制度の概要養子には 民法上 普通養子と特別養子の 2 種類があります 養子の相続税法上の取り扱いは 以下の通りです 1 累進課税される相続税率の緩和 (3 億円超は 50%) 2 相続人の数が増えるため基礎控除枠が増加 (1,000 万円 法定相続人 ) 3 死亡保険金 死

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 養子縁組制度の利用  広大地

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養子縁組制度の利用

1.制度の概要 養子には、民法上、普通養子と特別養子の 2 種類があります。養子の相続税法上の取り扱いは、以下の通りです。 ①累進課税される相続税率の緩和(3 億円超は 50%) ②相続人の数が増えるため基礎控除枠が増加(1,000 万円×法定相続人) ③死亡保険金・死亡退職金の非課税枠が増加(500 万円×法定相続人) 従来は資産家が何人もの親族を形式的な養子、いわゆる「税金養子」にして相続対策を行いました。このため昭和 63 年税制改正により、相続税の計算上は、実子がいる場合は 1 人まで、いない場合は 2 人までしか認められなくなり ました。民法上では、養子の数は 20 人でも 30 人でも制限はありません。 2.普通養子で制限される相続税の取り扱い 相続税法上は、以下の 3 点が制限されています。 ①相続税総額の計算(累進税率の緩和、相法 16) ②基礎控除枠の拡大(相法 15②) ③生命保険金と死亡退職金の非課税枠の計算(相法 12①五、六) 特別養子縁組で養子となった者は、実子とみなされます(民法 817 条の 2)。なお、平成 15 年度税制改正では、世 代飛ばしを目的とする孫養子についても 2 割加算の対象とされるようになりました(相法 18②)。相続税の2割加算制 度とは、孫や義理の息子・娘のような「配偶者と一親等の血族」以外の人が相続した場合、相続税額を2割増しする制 度です。養子は法律上、実子と同様に「一親等の血族」です。このため、孫養子以外の嫁養子や婿養子は2割加算 制度の対象外なので相続対策に有効です。また、事例によっては 2 割加算覚悟で孫へ遺贈した方が有利なケースも ありますので個別の試算と検討が必要です。具体的には、2世代相続の場合でいずれの相続も 50%の相続税率が 適用される資産家の場合、孫へ承継される財産は 50%×50%=25%となります。これに対して、遺言書による遺贈で 2割加算の場合は 50%×1.2=60%の相続税額を支払い、孫へ承継される財産は 40%となります。単純計算ですが、 上記のように適用される税率によっては、2割多く相続税を負担しても有利となるケースがあります。 3.養子縁組規制が適用されない取扱い 上記2.の税法上の養子縁組規制が適用されないものは、以下のようなものがあります。 ①未成年者控除(相法 19 条の 3) ②障害者控除(相法 19 条の 4) ③相続税額の 2 割加算(相法 18②、孫養子は 2 割加算されるが嫁養子や婿養子は対象外) ④登録免許税・不動産取得税(遺贈や贈与でなく相続を原因とする場合、税率が軽減されたり非課税となります)

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4.普通養子(一般養子)と特別養子の比較 比較項目 特別養子 普通養子 関連法令 民法 817 条の 2~ 民法 792~ 養親の年齢制限 満 25 歳以上の夫婦で共に養親 成人であるもの 養子の年齢制限 原則 6 歳未満(民法 817 条の 5) 養親より年少者 縁組の手続 家庭裁判所の審判が必要 養子が未成年者でなければ当事者の届出のみ 市町村役場へ養親と養子の戸籍謄本と印鑑、届出書 実親の同意 実父母の同意が必要 養子が満 15 歳未満のときは法定代理人が承諾をする 実親への相続権 実方との親子関係は終了→なし 実方との親子関係は継続→あり 氏名 名字が変わる(養親の氏を称する、民法 810) 戸籍・住民票の記載(続柄欄) 養子との文言の記載は無い 養子と明記される 離縁 家庭裁判所の審判が必要 養親からの請求は不可 当事者の協議で可能 養子養親のいずれからでも訴え提起可 ※普通養子は、税法上は認める数に限ります(実子がいる場合は 1 人、いない場合は 2 人、相法 15②)。 普通養子は養親の相続権だけでなく、実親の相続権もあります。 配偶者の連れ子養子は、相続税の計算上は実子扱いになります(相法 15③一)。 普通養子は、養子が養親より年上でなければ可能です。成人が成人を養子にする場合、家庭裁判所に行く必要 はありません。市区町村役場に「養子縁組届」を提出するだけで済みます。孫に財産を残したい場合、養子にしない と法定相続人ではないので遺言書により遺贈する必要があります。 5.孫と養親縁組して相続時精算課税制度を利用 相続時精算課税制度の条件には、65 歳以上の親から 20 歳以上の子供である推定相続人に対する贈与というもの があります。孫は、特例の対象となる受贈者に該当しません。そこで、孫と普通養子縁組をすれば親子関係が成立し、 養子となった孫に相続時精算課税制度で 2,500 万円まで贈与することが出来ます。 養子縁組は、感情的なトラブルのリスクが多大にあります。税金対策のために、周囲が不愉快になっては本末転倒 です。息子の嫁に介護の面倒を見てもらっていても法定相続人ではない、あるいは娘婿に自分のビジネスを承継さ せる場合が、養子縁組しやすいケースです。一般的には、孫や息子の嫁、娘の婿殿を養子にするケースが無難です。 孫養子や婿養子・嫁養子に相続時精算課税制度を利用して生前贈与した場合は、相続時点で贈与財産の価額が 相続税の計算に取り込まれます。孫養子の場合は、直系卑属のため2割加算制度が適用されます。しかし、婿養子 や嫁養子は傍系卑属のため、相続税の2割加算制度は適用されません。 なお、養子は一親等の血族となります。このため、非上場株式の評価で「同族関係者」や「中心的な同族株主」の 範囲が拡大するケースが多くなるので注意が必要です。

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6.養子縁組制度の利用例 登録免許税や不動産取得税は、養子縁組制度を上手に利用すれば有利に負担を軽減することが出来る場合があ ります。所有権移転登記の原因が「相続」の場合と「遺贈」の場合では、登録免許税や不動産取得税の取扱いが大き く相違するからです(上記3.④参照)。相続財産の中に土地建物等の不動産があれば、所有者の名義変更の不動 産登記手続きが必要となります。平成 18 年 4 月1日以降は取得原因が「相続」の場合、登録免許税は 0.4%です。ま た、不動産取得税は非課税とされます(地法 73 条の 7①一)。一方、取得原因が「遺贈」(遺言書を残して指示する) の場合で、その「遺贈」が法定相続人以外に対するものは、登録免許税の税率は「贈与」と同じ 2.0%となります。また、 不動産取得税も課税されます。 設例 1.被相続人:母(配偶者の父や尊属はすでに死亡) 2.財産の取得者:長男、その配偶者、孫A(長男以外は相続人でないため遺贈する場合) 3.取得財産の内容: ①自宅土地(固定資産税評価額 300 百万円)→長男が相続 ②賃貸マンション土地(同上 200 百万円) →長男の配偶者へ遺贈または相続 ③モータープール土地(同上 100 百万円)→孫Aへ遺贈または相続 (金額単位:千円) プランA(対策なし) プランB(孫養子、嫁養子を利用) 登録免許税 不動産取得税 登録免許税 不動産取得税 長男 ※1 1,200 ※3 - ※1 1,200 ※3 - 義理の娘 ※2 4,000 ※4 3,000 ※1 800 ※3 - 孫A ※2 2,000 ※4 1,500 ※1 400 ※3 - 流通税・合計 7,200 4,500 2,400 - ※1 長男、養子等の法定相続人の登録免許税 300,000 千円×0.4%=1,200 千円 ※2 義理の娘、孫等の法定相続人以外の登録免許税 200,000 千円×2.0%=4,000 千円、100,000 千円×2.0%=2,000 千円 ※3 相続を原因とする不動産取得税 非課税 ※4 不動産取得税=200,000 千円×50%×3.0%=3,000 千円、100,000 千円×50%×3.0%=1,500 千円、 上記の事例では、11,700 千円-2,400 千円=9,300 千円の流通税が軽減されることになります。

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広大地

1.概要 広大地の相続・贈与の税務上の評価は、原則として以下の算式で評価されます(財基通 24-4)。 広大地の評価額=正面路線価による自用地評価額×広大地補正率 広大地補正率=0.6-0.05×広大地面積/1,000 ㎡ ※面積が 5,000 ㎡超の場合は、広大地補正率=35%が下限 例えば、3,000 ㎡の広大地を所有している場合は、広大地補正率=45%となり 55%の評価減が認められることにな ります。補正率は面積が 5,000 ㎡の 35%が最低限となり、1,000 ㎡ならば 45%の評価減がされることになります。つま り路線価で 1 億円と評価される土地でも、広大地に該当すれば 5,000 ㎡超の場合は、3,500 万円と評価されます。相 続税の財産評価で、広大地適用の有無は大きな影響があります。 広大地の面積 広大地補正率 評価減率 1,000 ㎡ 0.55 45% 2,000 ㎡ 0.50 50% 3,000 ㎡ 0.45 55% 4,000 ㎡ 0.40 60% 5,000 ㎡以上 0.35 65% 2.定義 広大地の定義とは、その地域における標準的な宅地に比して著しく地積が広大で、都市計画法に定める開発行 為を行なう場合に道路や公園などの公共公益的施設用地(=潰れ地)の提供が必要と認められるものです。つまり、 潰れ地が生じるために宅地として有効利用できる面積が減ってしまうので、その分土地の評価減を認めるというもの です。平成 16 年税制改正で、通達に明示されました。しかし上記だけでは抽象的・一般的で、実務では紛争が多発 しています。そこで平成 16 年 6 月 29 日付「資産評価企画官情報第 2 号」や平成 17 年 6 月 17 日情報第 7 号という 通達で、以下のように具体化を図っています。 広大地に該当する具体例 ・市街化区域 3 大都市圏:500 ㎡以上(関西圏では 500 ㎡以上の土地は開発許可が必要となるケースが多い) それ以外の地域:1,000 ㎡以上 開発許可が必要な面積は、各自治体の裁量で決定されています。 ・地方自治体が用途地域を決めていない地域:3,000 ㎡以上

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広大地に該当しない具体例 ・既に開発完了のマンションやビルの敷地 - ・現に宅地として有効利用されている敷地 大規模店舗・ファミレス等 ・大規模工場用地 通達 22-2 で定義付けされています (50,0000 ㎡以上の土地です) ・原則として、容積率 300%以上の土地 (いわゆるマンション適地) 潰れ地が生じないから 著しく広大であるかどうかの判定は、土地上の建物の有無にかかわらず、当該土地の規模で判定します。広大地に 該当すれば、大幅に評価減することが出来ます。地積の広い土地は、遺産分割や分筆せずにまとめて相続した方が 有利です。 3.参考 1 坪とは 1 坪とは 3.3 ㎡です。正確には、3.30578 ㎡です。100 坪超を扱う実務での広大地は、実績による測量が必要です (財基通8)。 容積率とは 容積率とは、地積に対する建物の延べ床面積の割合を容積率といいます。通常%で表現されます。例えば、容積 率 300%と定められた地域であれば、100 ㎡の土地に延べ床面積 300 ㎡までの建物しか建てられません。 建ぺい率とは 建ぺい率とは、地積に対する建物の建っている部分の面積の割合をいいます。具体的には、建ぺい率 70%と定め られた地域では 100 ㎡の土地のうち 7 割部分の面積 70 ㎡までしか建物を建てられません。

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本レターに掲載している情報は、一般的なガイダンスに限定されています。この文書は、個別具体的ケースに対する会計・税務のア ドバイスをするものではありません。会計上の判断や税法の適用結果は、事実認定や個別事情によって大幅に異なることがありえます。 また、解説の前提となる会計規則や税制が変更されている可能性もあります。実際に企画・実行される場合は、当事務所の担当者にご 確認ください。

参照

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