2年 美術科学習指導案 指導者 細坂よしき 場 所 美 術 室 1 題材名 「 ボックス・アート 」-箱の中に心の世界を作ろう- 2 題材について (1) 題材観 学習指導要領では「生きる力」という理念が継承され、美術科の大きな目標では「表現及 び鑑賞の幅広い活動を通して、美術の創造活動の喜びを味わい美術を愛好する心情を育てる とともに、感性を豊かにし、美術の基礎的な能力を伸ばし…」と記載されている。本校の美 術科研究主題の方向性はそれを踏まえ、生徒の実態をもとに設定した。また、この題材の指 導において、第2学年及び第3学年の[A表現]の⑵(デザイン)のア、イの指導目標を具現 化するためのものである。 本題材のボックス・アートの起源は意外と古い。「レディメイド(既製品)」のオブジェ は、1915年のマルセル・デュシャンが思いついたものだが、西洋文化の中で、アッサン ブラージュ(組み合わせ・寄せ集め)という手段は古い歴史を持っている。といってもそれ は美術ではなく宗教的な習慣という領域においてで、キリスト教の聖人がこの世に残したも の-骨とか布の切れ端、頭髪などをガラスを組み立てた容器に納め、信者の瞑想に供じら れた。1800年代にミニチュア版の劇場が芝居の土産品として大量に作られたり、190 0年前後にコインを入れると作動する機械が様々に発展し、「ボックス・アート」(ボック ス・コンストラクション)につながっていったものと思われる。 レディメイド中心の作品制作を考えた時に、表現のまとまりを出すためには「ボックス・ アート」という箱の中に表現した方が良いのではと考え、この授業に取り組み始めた。指導 者自身でも、次々とアイデアが沸き、カバーガラス付きの箱を12個を買い、12点の作品 を完成させた。教師自身が「やってみたい」とか「面白い」と感じるエッセンスを生徒達に 伝えながら意欲を強く引き出しながら制作させられるのではないかと考え、題材を設定した。 (2) 生徒の実態 ※記載省略 <アンケ-ト結果から> 10月20日実施 34人 ① あなたは、美術の教科をどう思いますか。 ア、好き 16人(47%) イ、きらい 1人( 3%) ウ、どちらとも言えない 17人(50%) ② ポスタ-の制作はどうでしたか。 ア、よくできた 4人(12%) イ、普通 21人(62%) ウ、あまり意欲的にできなかった 8人(23%) その他 1人( 3%) (提出期限を守れなかった) ③ ボックス・ア-トの制作に対してはどう思いますか。 ア、がんばれそう 21人(62%) イ、普通 13人(38%) ウ、あまりやる気がしない。 0人( 0%)
年間指導計画では、「ポスター」を14時間程度で完成させ、本題材の「ボックス・アー ト」で10時間。次の「構想画」の描画作品を制作する予定である。本題材は立体表現が主 であるが、絵画表現にもつながる構成力を一層伸ばす題材として有効であると考えた。 (3) 指導観 生徒達の生活環境において、現代美術の立体作品の数がかなり増えてきている。しかし、 これらの作品は一般的に「分かりにくい」「何が良いのか分からない」という声をよく耳に する。その理由の一つとして、実際にそのような作品を制作した経験が無いためではないか と考えた。実際に制作することにより、まずどういう作品が良いのかを考える機会となる。 また、自分が計画した作品を制作することにより、その難しさや苦労などを体験することに なる。ただ「現代美術を制作しよう」と投げ掛けたとしても、おそらく、大部分の生徒は「 何をどうやって良いのか分からない」と戸惑うだけとなるであろう。このようなことから中 学校の美術で、どこまで求めるかと考えた場合、今回の「ボックス・アート」という題材が 適切ではないかと考えた。その理由としては「箱の中に物をつめて表現するんだよ」と言え ば、大部分の人はイメージが湧くし、自分でも出来そうだと感じると思う。そして、何をど う箱の中につめる(表現する)という発想は、現代美術へのステップとして分かりやすいも のになるのではないか。また、実際に作品が出来上がった後のことを考えると、作品として のまとまりが出やすく誰でもその良さが伝わりやすい作品に仕上がると考えて、題材を設定 した。作品を家に持ち帰った時に、保護者からも理解される作品となるであろう。そして制 作者なりの世界がしっかりと表現された作品は飾って鑑賞することもできる。 実際の制作に当たり注意するべきポイントをさぐると、①集める材料が良くないと、作品 も希薄なものになってしまう。②背景・主役・脇役の計画を箱の中で色々練らせる必要があ る。③集めた材料をそのまま使うのではなく、着色したり加工したりする必要がある。これ らの作業を通して完成に向っていく中で、「物にはそれぞれのイメージを持っている」こと や、箱の中にただ物をつめれば良いのではなく「十分に計画して制作することの大切さ」や、 「集めた物を加工したり、接着したりする労力」が体得できる。制作する前は、絵を描いた りしないで簡単そうだ、という考え方から、「よほど絵を描いていた方が簡単だ」と感じる 生徒が多くなると予想される。そして、将来現代美術の作品を見た時の見方も変わっていく であろう。自分で体得した経験は大きい。そこにねらいを持って授業を進めていきたい。 箱の中という区切られた空間ではあるが、その表現の可能性は広い。大きささえ合えば、 様々な表現が可能になる。教師は、生徒の表現したいイメージを可能にするために、できる だけ援助していくことが大切であろう。また、枠があるということは、その「中」と「外」 を考える機会を与える。今回初めての題材で予想されない事態も生じてくると思われるが、 生徒の個性豊かな作品を生き生きと表現できるよう支援していきたい。 3 教科研究主題と本時の関連 2学年・年間指導計画案 ・ オリエンテーション…1時間 ・「ポスター」…14時間 ・「ボックス・アート」…10時間 ※本題材 ・「模写」…1時間 ・「構想画(水彩)」…9時間程度→3年次へ
(1) 教科研究主題 本校研究主題 『確かな学力の育成』 ― 基礎・基本を身につけ、共に伝え合い聞き合う生徒の育成を目指して ― 美術科研究主題 「基礎・基本を身につけ、表現の喜びを味わい、意欲的に取り組める学習指導」 (2) 本時との関連 本題材の授業では、ボックス・アートの制作のために生徒が集めた材料から、感性豊かに 感じ取ったことを個性を生かして自由に表現しながら構成力を養うことができ、そこから表 現の喜びと生徒の意欲的な姿勢をつくる指導もできると考えた。また、友達の作品の中で基 礎・基本が出来ている制作の良さや表現の工夫などを実際に見合うことにより、次への制作 への意欲を引き出しながら美術科の研究主題にせまりたい。 4 題材の目標 (1) 立体表現に関心を持ち、授業に集中し、材料集めを意欲的に行うことができる。 【美術への関心・意欲・態度】 (2) 集めた材料からアイデアを練り、個性的な表現で、計画的に制作することができる。 【発想の能力】 (3) ポスターカラーの着色など、表現にこだわりを持って丁寧に表現することができる。 【創造的な技能】 (4) 参考作品などの作品からその良さを感じ取り、制作に生かしたり、発表することができる。 【鑑賞の能力】 5 題材の観点別評価規準 美術への関心・意欲・態度 発想や構想の能力 創造的な技能 鑑賞の能力 ①立体表現に関心を持 ち、進んで制作に取り 組む姿勢がある。 ②制作の準備などをし っかりと行い集中した 授業態度である。 ③作品に使用する材料 集めを意欲的に行うこ とができる。 ①集めた材料から発想 力を豊かにアイデアを 練り、構成を考えるこ とができる。 ②より個性的な自分な りの表現を工夫して制 作することができる。 ③箱の組み立てから部 品加工・接着まで計画 的に完成させる。 ①ポスターカラーを使 って丁寧に着色するこ とができる。 ②自分の表現にこだわ りを持って表現するこ とができる。 ③一つひとつ丁寧に時 間をかけて表現するこ とができる。 ①参考作品や他の生 徒作品についての良 さや美しさを味わう ことができる。 ②立体の様々な表現 の良さを感じ取り、 自分の作品制作に生 かすことができる。 ③作品について文章 にまとめたり、発表 することができる。 6 題材の指導計画と評価活動(10時間) 過程 時間 学習内容と活動 評価規準・観点【 】・評価方法( ) 導入 0.5 ○材料集めの課題を確認する ・夏休み等で材料を集める。 ○参考作品を鑑賞する。 ・立体作品に関心を持ち、進んで制作に取り組む 姿勢がある。【美術への関心・意欲・態度】 (授業態度の観察)
展開 本時 7/9 ○箱の組み立て・全体説明 ・外枠の組み立て。 ○箱の着色① ・自分のイメージで着色する。 ○箱の着色② ・箱のまわりを更に着色。 ○箱の着色③ ・箱の中なども着色。 ○背景のコラージュ ・表現素材を箱の周りなどに貼 っていく。 ○部品加工①(主役) ・主役を中心に作業を行う。 ○部品加工②(脇役) ・脇役を中心に作業を行う。 ○部品加工③(その他) ・組み立て前の確認 ○組み立て・接着 ・接着し作品の完成を目指す。 ・制作の準備などをしっかり行い集中した授業態度で ある。【関心・意欲・態度】(持ち物チェック・観察) ・参考作品や他の生徒作品についての良さや美しさを 味わうことができる。【鑑賞の能力】 (発表) ・ポスタ-カラ-を使って丁寧に着色することができ る。【創造的な技能】 (箱の着色から) ・ 作品 に使 用す る材 料集 めを 意欲 的に 行う ことが できる。【関心・意欲・態度】 (材料チェック) ・集めた材料から発想力を豊かにアイデアを練り、 構成を考えることができる。【発想の能力】 (作品の構図から) ・より個性的な自分なりの表現を工夫して制作する ことができる。【発想の能力】(部品加工の観察) ・ 自分 の表 現に こだ わり を持 って 表現 する ことが できる。【創造的な技能】 (作品) ・立体の様々な表現の良さを感じ取り、自分の作品制 作に生かすことができる。【鑑賞の能力】(作品) ・ 一つ ひと つ丁 寧に 時間 をか けて 表現 する ことが できる【創造的な技能】 (作品) ・箱の組み立てから部品加工・接着まで計画的に完成 させる。【発想や構想の能力】 (作品提出) 終末 0.5 ○制作カ-ド完成 ・作品の裏に制作カードを貼っ て、提出する。 ○作品の鑑賞とまとめ ・作品について文章にまとめたり、発表することが できる。【鑑賞の能力】 (制作カード) 7 本時の指導 (1) 本時の主題 「部品加工から接着へ『部品加工②(脇役)』」(展開7/9時間)※全10時間 (2) 本時の目標 ・制作の準備などをしっかり行い集中した授業態度である。 ・より個性的な自分なりの表現を工夫して制作することができる。 (3) 本時の観点別評価項目 ・制作の準備などをしっかり行い集中した授業態度であるか。(美術への関心・意欲・態度) ・より個性的な自分なりの表現を工夫して制作することができたか。(発想の能力) (4) 本時の準備 ・教師 ボックス・アート作品(棚)、(生徒の材料…預かった分)、参考作品、プリント ・生徒 木工用ボンド、ポスターカラーセット、筆記用具、材料・その他(各自必要な物)
(5) 本時の展開 (50分) 過程 時配 学習活動と内容 学習 形態 教師の指導・支援と評価項目・評価方法 ・指導 ○支援 ◆評価【観点】(評価方法) 導入 10分 授業の準備 ・出席確認、道具の確認。 ・教材(ボック・アート)の確認。 ・10月に書いたアンケートの④「 どんな作品にしたか」の所に書い たことの確認。 ⇒カラフルで明るい作品。 ⇒自分のテーマにそった作品 ⇒個性を出した作品。 ・前回までの確認。 一斉 ・ボックスアートの箱の教材を各自で棚 から取る。 ◆持ち物チェック 制作の準備などをしっかり行う。 【美術への関心・意欲・態度】(持ち物チェック) ※発表<伝え合い聞き合う活動①> ・アンケートの④に記載した「どんな作 品にしたいか」の部分を確認させる。 ・前時までの制作の評価を行う。 ・本時の作業について ★ 部品加工から接着へ。「部品加工②(脇役)」 ① 部品加工②(脇役)について ② 接着の方法について(特にグルーガンの注意) ③ 参考作品の良い点の紹介(丁寧で美しい作業・しっかりと構成された作品) ※<伝え合い聞き合う活動②> 「参考作品や友達の作品から学んで、自分の作品に生かそう」 展開 33分 作業 ・各自作業に入る。 ① 箱のまわりの着色などが終わっ ていない生徒は、その作業を優 先して行う。 ② 部品加工(分解・接着・着色な ど)を積極的に行いながら、箱 の中の構成を考えていく。 ・場合によっては、途中で作業を中 断し、全体におさえておきたい注 意点などを確認する。 ・基本的な技法など、間違って使っ ている生徒がいないか確認してい く。 個人 一斉 ・作業の取りかからせる。 ○なかなか作業に取りかかれない生徒へ の声かけを行う。 ◆制作の準備などをしっかり行い集中し た授業態度であるか。【美術への関心・意欲・態度 】(表現材料の確認・観察) ○作業で困っている生徒などへのアドバ イスを行う。 ○多くの生徒ができていないこと、ある いは頑張っている生徒の作業を紹介し たい場合など、全体で確認を行う。 ◆より個性的な自分なりの表現を工夫し て制作することができたか。【発想の能力】 (部品加工の観察)
まとめ 片付け 4分 3分 ・本時のまとめ。 ※他の生徒への参考になる作業を行 っている作品などを紹介する。 ⇒作業を丁寧に行っている。 ⇒個性的な表現をしている。 ⇒集めている材料が良い。 ・本時の授業の評価 ・次回の予告。 (次回はボックスアート8時間目 今日の作業の続き・残り2時間) ・後片付けについて。 (作品等の回収など。) 一斉 一斉 ※<伝え合い聞き合う活動③> ・他の生徒の作業から良い点など学ぶ。 ・次回の授業のイメージを持たせる。 ・後片付けの方法の確認を行う。 (6) 板書計画 ボックスアート7 箱の周りの作業 ・部品加工②について ・接着について (グルーガンの注意) ・参考作品の良い点 (丁寧で美しい作業、しっかりした構成) 本時の学習 部品加工から接着へ「部品加工②(脇役)」 ボックスア-ト 箱の中に、心の世界を作ろう 参考作品 参考作品 参考作品