国内外におけるスマートメータの導入状況
国内外におけるスマートメータの導入状況
2011年2月17日
環境・エネルギー研究本部 中村 優文
もくじ
1.スマートメーター導入の背景
6
2.スマートメーターの導入状況
7
3.スマートメーターに関する規格
12
4.通信ネットワークの事例
13
5.スマートメーターに関する通信インターフェース
20
はじめに. スマートグリッドの背景
エネルギー調達環境 自給率 資源確保 再生可能エネルギー開発 電力供給形態の変更に際し て、各地域のエネルギー調達環境 、 設備形成、 需要家サービスに対する 状況や考え方の 差異が、 スマートグリッド 実現コンセプトの 差異要因となる 電力供給形態 大規模集中電源 流通設備 需要家 再生可能エネルギー 大規模集中電源 流通設備 需要家 化石燃料制約 枯渇化/高騰化への対応 温室効果ガス対策 低炭素電源/省エネルギー への対応 エネルギー規制緩和 競争原理導入による設備 更新遅滞への対応 系統運用 需給制御 計測・監視 省エネルギー 付加価値サービス 変更機能 期待効果 スマートグリッド実現コンセプトの差異要因 設備形成 電源選択 高経年化設備対策 需要家サービス 料金メニュー エネルギーサービス (非エネルギーサービス) 老朽化した送配電網の更新 電源開発遅滞への対応 再生可能エネルギー大量導入 (域内自給率向上) 社会インフラ整備の一貫 再生可能エネルギー大量導入 (温室効果ガス対策) 情報通信技術を高度 活用したエネルギー利 用効率の向上 各地域で異なるコンセプトのスマートグリッド + + +再生可能エネルギー導入量 電 力 品 質
日本
欧州
米国
新興国
高品質な電力系統に再生可能エネ大量導入の影響 ⇒再生可能エネ導入時にも現状水準の品質を維持 ⇒低炭素電源の優先運用を踏まえた設備形成 域内自給率向上のために積極的に再生可能エネ導入 ⇒再生可能エネ電源の偏在性問題を国際間連系による回避に限界 ⇒電力系統システムの安定強化と欧州統一市場を踏まえた設備形成 送配電設備の老朽化 ⇒設備更新による品質向上必須 ⇒需給逼迫化回避のための設備形成 経済成長に見合うエネルギー供給設備形成 ⇒当面は従来電源を中心とした設備形成による供給安定性確保優先 ⇒自国産エネルギー利用優先 ※各国・地域のポジションは定性的・相対的な位置関係による 再生可能エネルギーと電力品質 という切り口でもスマートグリッド に求められる機能は異なるはじめに. スマートグリッドの背景
連系線を含む送電網の運用性向上により 機能実現 センサ、開閉器等を活用したいわゆる配 電自動化の高度化による機能実現 地域もしくは複数需要家を協調制御する ことにより機能実現 メータの高機能化、ゲートウェイ化により 機能実現 住戸内に設置される発電・需要機器の強 調制御により機能実現 スマートグリッドに期待される機能 ⑤スマートハウス ④スマートメータ ③マイクログリッド ②配電自動化 ①広域融通 機能 概要 再生可能 エネルギー導入 再生可能エネルギー導入拡大に関わる課題(電 力品質低下)を解決するために機器・制御 省エネルギー エネルギー消費量や料金の見える化による省エ ネルギー行動を促す機器・制御 需要制御 省エネルギーやピークシフトなどを行うために直 接需要機器(EVを含む)を機器・制御 電力品質 高経年化した流通設備更新に伴い電力品質向 上を図る機器・制御 設備投資抑制 流通設備の運用効率化により追加的設備投資 抑制するための機器・制御 新しいサービス 情報化された機器・設備を活用して、従来と異な るサービス提供 発電 送電 変電 配電 需要家 ⑤ ③ ④ ② ① スマートグリッドへの期待の差異要因 スマートグリッド機能実現アプローチ 電力供給体制 アンバンドリングなどの電気事業体制 電力品質 現状の電力品質(停電率等)の水準 電力需給 現状及び将来見通しにおける需給バランス 再生可能エネルギー導入目標と種類 どのような種類、どのような形態、どの程度の量の再 生可能エネルギーの導入を図るか スマートグリッドに期待される機能とその期 待される機能へのニーズ、シーズ、事業環 境により実現アプローチが異なる
はじめに. スマートグリッドの背景
1.スマートメーター導入の背景
・供給信頼度の低迷や需給の逼迫、再生可能エネルギーの大量導入、低炭素社会実現等の背景の下、ス マートグリッドへの関心が高まり、スマートメーター(主に電気)の導入促進のための法整備が進められている。 日本 アメリカ ヨーロッパ スマート メーターの 位置づけ ◆省エネ・低炭素社会 実現のためのツール ◆PVやEVの導入に対 する系統信頼度向上 のためのツール ◆需給逼迫懸念に対する系統信頼度 向上のためのツール ◆不正防止、消費者サービスの向上の ためのツール ◆再生可能エネルギー導入に対する系 統信頼度向上のためのツール ◆CO2削減実現のためのツール 関連する 政策 ◆エネルギー基本計 画 2020 年代のできる限り早 い時期に、原則全ての電 源や需要家と双方向通信 が可能な世界最先端の次 世代型送配電ネットワーク の構築を目指すことが規 定されている。◆「Energy Independence and Security Act of 2007 (2007年エネルギー自立・. 安全保障法(EISA2007))」:
スマートグリッドに関するタスクフォースの立 ち上げ、相互接続フレームワーク・システム報 告書の作成、技術開発・実証を規定
◆ 「American Recovery and
Reinvestment Act of 2009(2009 年ア メリカ再生・再投資法(ARRA2009))」: 実証実験・開発等に45億ドルの支援 ◆EU指令(第三次EU電力自由化指令) 2020年までに需要家の少なくとも80%に対し てスマートメーターの導入することを求めてい る。(経済的に成立する場合) ◆EU指令(ガス事業に係る欧州指令 (2009/73/EC)) ガススマートメーターの導入可能性について、 加盟各国に2012年9月までに検討するように 求めている。 CA:2006~2009年にかけて州内3電力会社 のスマートメーター導入計画を承認 PA:2008年にスマートメーターの導入計画の 提出を義務化 TX:2007年に制定された州法は、できるだけ 早くスマートメーターを導入することを求める 伊:2011年までに導入(95%)義務化(電気)、 2016年までに導入(80%)義務化(ガス) スウェ:2009年までに月1検針義務化(電気) 英:2020年までに導入義務化(電気・ガス) スペ:2018年までに導入義務化(電気) 各種資料よりMRII作成
2.スマートメーターの導入状況(日本)
・エネルギー基本計画等を背景に、スマートメーター制度検討会では、さまざまなステークホルダーによって、 スマートメーターの導入のためのポイント・論点が議論されている。 開催日 内容 第1回 平成22年5月26日 ・スマートメーターをめぐる現状と課題や、スマートメーターとエネルギーマネジメントシステ ムとの連携による効果や課題等について(資源エネルギー庁) 第2回 平成22年7月1日 ・需要家情報の活用について(グーグル、日本IBM、パナソニック、NTT) ・アメリカにおけるスマートメーターとHANの動向について(MRI) 第3回 平成22年7月22日 ・国内外のスマートメーターの導入・開発動向(東京電力・関西電力・中部電力、東光東芝 メーターシステムズ、GEエナジー) ・欧州におけるスマートメーターの導入状況について(MRI) 第4回 平成22年8月31日 ・国内のガス・水道事業における(スマート)メーターの導入動向(東京ガス、日本エルピー ガス、東京都水道局) ・アジア・オセアニアのスマートメーターの導入状況について(MRI) ・今後の論点について(資源エネルギー庁) 第5回 平成22年10月4日 ・スマートメーターの情報の取り扱い(やり取りする情報・やり取りするルート)について(資 源エネルギー庁) 第6回 (共同開催) 平成22年10月15日 ・スマートメーターをつなぐ情報ネットワークについて(NTT) ・スマートメーターの機能と標準化について(資源エネルギー庁) 第7回 平成22年11月19日 ・スマートメーターの導入に向けた論点(求められる機能、コスト低減、制度上の課題、費 用負担(HAN通信)、導入効果)について(資源エネルギー庁) 第8回 平成22年12月26日 ・スマートメーターからの情報の提供(方法、メリット、個人情報)とスマートメーターに求め られる要件について(資源エネルギー庁) スマートメーター制度検討会における検討内容第9回スマートメーター制度検討会資料より
2.スマートメーターの導入状況(日本)
・電力会社各社が個別に実証実験に取り組む中で、日本全体としていかに効率的なスマートメーターの導入 を進めていくかが課題。 ・メーターおよび通信の標準化などの議論を進め、技術革新やコスト低減を阻害しない状況を整備しつつ、ス マートメーターの導入に係る電力会社・ガス会社の業務・運用をスムーズに実施していくことが重要。 ◆導入目的 「省エネ・低炭素社会の実現」 ◆機能要件 ・遠隔検針(インターバル検針)、遠隔開閉 ・提供情報:電力使用量(粒度は30分値)、逆潮流値、時刻情報 ・提供先:需要家および電力会社等双方への電力等使用情報の提供 ・タイミング:現時点においては原則翌日まで ◆課題 ・ラストワンマイルの通信方式 ・情報通信ネットワークの構築 ・遠隔検針システムの構築等の投資に対する評価 ・インターフェースの標準化 ・メーター設置に伴う技術的課題の解決 ・共通化、標準化等によるメーターのコストダウンに向けた取組の継続 ・業務システム全体の観点からのコスト低減や効率性の追求 など2.スマートメーターの導入状況(海外)
検討段階 (一部導入) 本格導入に向けた実証段階 ~一部導入 導入完了 本格導入決定 ~導入段階 ガ ス 電 気 フランス ドイツ オランダ イギリス イタリア スウェーデン スペイン カリフォルニア ペンシルバニア テキサス フランス オランダ イギリス イタリア スペイン カリフォルニア 各種資料よりMRI作成 ※主要国について概念的に整理したものであり、横軸については定量データに基づいた相対比較とは限らないことに注意。2.スマートメーターの導入状況(海外・ヨーロッパ)
各種資料よりMRI作成 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 EU指令 第二次EU電力自由化指令 ・全需要家に対する電力自 由化の義務化(2007年7月 ~) ・価格、料金に対する透明 性のある情報の提供 各国の動き 電力供給の保障とインフラスト ラクチャー投資の予防手段に 関する指令 ・電力の需給バランスを確保 するような方策としてのデマン ド管理や先進メーターの活用 (スマートメーター(先進メー ターが初めて明記)) EUエネルギー効率化指令 省エネルギーを目的とした、 エネルギー消費量や使用 時間の実績値を正確に反 映・提供できるメーターの 設置の保証(技術的、金銭 的に可能な場合) 第三次EU電力自由化指令 ・電力利用を最適化(エネルギー管理 サービスの提供、革新的な料金制度 の構築、インテリジェント・メーターシス テム(以下スマートメーター※)または スマートグリッドの導入)の推奨 ・スマートメーターの長期的な費用便 益評価の実施(18ヶ月以内) ・スマートメーターの導入スケジュール (最大10年)を策定 ・2020年までに需要家の少なくとも 80%に対してスマートメーターの導入 (経済的に成立する場合) ドイツ 新築建物にス マートメーターの 導入を義務化 (技術的・経済的 に可能な場合) イタリア 電力スマート メーターの導入 義務化(2011年 末までに95%) イギリス、イタリア、 デンマーク、 スウェーデン 大規模停電の発生 スウェーデン ・月1回検針の義務化 を決定(2009年7月~) ・Vattenfallでスマート メーターの導入開始 2002 イタリア ENELでスマート メーターの導入 開始 スペイン 2018年までに 全需要家への スマートメー ター導入を義 務化 イギリス 2020年までに全需要家への スマートメーター導入を発表 オランダ スマートメー ターの導入義 務化を否決 2011 フランス 実証実験の結 果を受けて大 規模導入の実 施の判断 フランス 電力スマートメーター の導入義務化(2020年 末までに95%)(
2.スマートメーターの導入状況(海外)
・アメリカ、ヨーロッパでは大規模な導入が進められているが、投資費用の増大や標準化などの課題は、政府 の支援を受けながら取り組んでいく必要がある。 <アメリカ> ◆目的 需給逼迫に対するデマンドレスポンスの実施 など ◆主な機能(電気メーター) ・15分値インターバル計量(※) ・遠隔検針 ・HANゲートウェイ など ◆課題 ・料金の上昇 など ※計量間隔については、州・国・電力会社によりバラつきあり <ヨーロッパ> ◆目的 不正防止、消費者サービス向上(正確な検針、自由化対 策) など ◆主な機能(電気メーター) ・1時間インターバル計量(※) ・遠隔検針 など ◆課題 ・ヨーロッパ大での標準化の遅れ など 写真はMRI撮影3.スマートメーターに関する規格
・”Interoprability(相互運用性)”を確保するために標準化の議論が非常に活発に行われている。海外では、 相互運用性の他に標準化することによって、マルチベンダー化、技術の開発・更新の低コスト化などさまざま なメリットが得られるとして多くのステークホルダーが積極的に参画して、標準化を進めている。 ・標準化の項目や範囲(国内・国際)を適切に設定するための検討(標準化の意義を明確にすること)が重要 である。 日本 アメリカ ヨーロッパ計器 電気 JIS C1211 など ANSI C12 IEC62052、IEC62053 など
ガス 特定計量器検定検査規則 ANSI B109 EN 1359、EN 14236 など データ
(電子式)
電気 各社仕様 ANSI C12.19 DLSM/COSEM (IEC62056)
ガス 標準仕様 ANSI C12.19 DLSM/COSEM (IEC62056)
通 信 PAN (WAN) 電気 各種無線 など RFメッシュ PLC など GPRS PLC など ガス IEEE802.15.4g など RF など M-bus など HAN 電気 ガス 検討中 SEP2.0を前提とした各種PHY・ MAC層(zigbee、home-plug、 wifiなど) Zigbee、Z-wave 、PLC など 各種資料よりMRI作成
4-1.通信ネットワークの事例(イギリス)
・宅内では、HANに接続された電気メーター、ガスメーターが通信ハブを通じて、DCC(Data Communications Company)が提供するWANに接続し、DCCの運営するデータシステムに検針データが送信される。
・世界の中でも、データ収集・通信事業を独立させた非常にユニークなスキームを採用している。 ・先行的に導入を進めているBritish GasはHANにzigbee、WANに携帯通信を採用している。
4-2.通信ネットワークの事例(オランダ)
・電気メーターが通信のハブとなり、エネルギーネットワーク事業者の中央システムに電気、ガス両方の検針 データを送信する。
・ほとんどの需要家が電気・ガスの併給を受けているため、インフラを共有する方が経済的であると試算され ている。
4-3.通信ネットワークの事例(フランス)
・ERDFでは、PLCを活用した通信方式を実験しており、G3(PLC方式の一種)は欧州のOPEN METER(EUに おける標準を策定するためのコンソーシアム)にAMI用通信の規格として提案されている。
・GrDFはERDFと通信インフラの共有は行わず、独自で無線方式でのスマートメーターの実証実験を実施中で ある。
ERDF “Status of the ERDF Linky Project” (Metering Europe 2010)
GrDF “France – GrDF Remote gas meter-reading projects” (Metering Europe 2010)
4-4.通信ネットワークの事例(カリフォルニア・PG&E)
・電気、ガスでそれぞれ異なった無線方式を採用している。・電気のスマートメーターの導入は、当初、業務効率向上の達成がメインであったが、加州内でデマンドレス ポンスや省エネ等の重要性が増すにつれて、通信インフラのアップグレードを実施した。
4-5.通信ネットワークの事例(カリフォルニア・南カリフォルニア)
・電力、ガスの供給事業者が異なる南カリフォルニアでは、通信インフラの共有が検討されたが、結果として、 独立した通信インフラで導入を進めることを決定した。
・PG&Eと同様、それぞれ異なった無線方式を採用している。
SCE “Edison SmartConnect-Program Overview”(2008)
SoCalGas “SoCalGas Advanced Metering Initiative (AMI) Technical Advisory Panel (TAP) Kick-off Meeting”(2010)
4-6.通信ネットワークの事例(カリフォルニア・SDG&E)
・オランダのスキームと同様、電気メーターがガスメーターの通信のハブとなり、セルリレーに接続、セルリ レーがWAN(携帯通信)を通して、中央センターにデータを送信する。