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連続企画「共生の哲学に向けて─イラン・イスラームとの対話─」 利用統計を見る

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連続企画「共生の哲学に向けて─イラン・イスラー

ムとの対話─」

著者

永井 晋

雑誌名

国際哲学研究

3

ページ

65

発行年

2014-03-31

URL

http://doi.org/10.34428/00006686

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

国際哲学研究 3 号 2014  65  イランの哲学・宗教界と対話することによって共生哲学の新たな可能性を探ることを主旨とする第 3 ユニットの 企画は、2012年11月 6 日の東洋大学における第 1 回目シンポジウム、2013年11月 4 日のイラン科学アカデミー(テ ヘラン)における第 2 回目研究集会を行い、大きな成果を上げることができた。  第 1 回シンポジウムは、イランを代表する 5 人の哲学者・宗教家を東洋大学に招いて 「共生の哲学」 のテーマを 巡って日本の研究者との間で討論を行うことを目的とするものであった。日本ではこれまでほとんど知られてこな かったイランの宗教・哲学は、一方で歴史的に、ゾロアスター教、イスラーム、ギリシャ哲学、さらには中世から 現代にわたるヨーロッパの哲学など多様な宗教・哲学伝統の共生において成立してきたものであり、他方では現在 において、イスラーム・シーア派とスンニ派のイスラーム内部での共生のみならず、イスラーム以外のいわゆる欧 米先進諸国との共生が、政治的にも宗教的にも世界的な広がりを持つ大きな課題となっている。そもそも、イラン は地理的にも西洋と東洋の中間として、歴史を通じて諸文化を媒介する役割を演じてきた点にまず注目すべきであ る。世界規模の文化的・宗教的共生が焦眉の課題となっている現在、もっぱら欧米に目を向けてきた日本に欠けて いる「イラン」という視座は、多くの示唆を与える極めて重要なものであることは間違いないであろう。  昨年度のシンポジウムでは、このようなイラン・イスラームとの対話の第一歩として、イスラームと神道の比較 宗教学、イスラーム法学・神学、諸伝統の共生から生まれたイスラーム神秘主義、イランで絶大な影響力を持つア ンリ・コルバンと井筒俊彦の思想、ヨーロッパの現代哲学などのテーマに即して共生の問題を巡って日本・イラン 双方からの発表とそれを巡る議論が行われたが、これは、今後第 3 ユニットを通して両国の間で継続的に展開すべ き様々な共同作業の端緒を開くという点でも意義深いものであった。その成果は『国際哲学研究別冊 3  共生の哲 学に向けて─イスラームとの対話─』として、2013年 6 月に刊行された。  しかし2012年のシンポジウムでは、第 1 回目として、日本・イラン双方の最初の出会いと共同研究の試みという 性格が強く、一定の成果を上げつつも、テーマの詳細なすりあわせや言語の相違による深い相互理解などの点での 不十分さが露呈し、課題として残ったと言える。また、前回は日本のイニシアティヴで行われたために、一定の方 向性が予め設定されていたことも事実であった。これに対して、前回の問題点への反省を踏まえた上で、2013年の 研究集会は主にイラン側の主導の下に密度の濃い議論を行って、前回よりもさらに大きな成果を上げることを目指 して行われた。  第 2 回研究集会の大きなテーマは、「東洋/哲学」の問題、すなわち「東洋」とは何か、それとの関係において「西洋」 (哲学)とは何かを議論し、その一定の理解を踏まえた上で双方の創造的「共生」の新たな可能性を探るものであった。 この「東洋と西洋」という、日本ではすでに素朴な単なるモットーと化し、哲学的有効性を失ったかに見える問い を、イランに固有の「東洋/哲学」という問題を通して、再び緊張感をもった問いとして立て直すことが試みられた。 イラン側では、アカデミー所長のDavari博士のイランにおける哲学研究の近況についての簡単な説明のあと、イ ラン伝統哲学の歴史を辿って「東洋哲学」の新たな可能性を開くAvani教授の発表、イランと日本の関係をモデル とした文化間の相互理解を論じたGavahi博士の発表、日本側では西田哲学を新たに経験の深層の論理としての「東 洋哲学」として捉え直す永井研究員の発表、初期仏教経典の中に固有の共生思想を探る堀内研究助手の発表がそれ ぞれ行われ、活発な討論が行われた。前回よりも少人数で掘り下げた議論ができた点、またイラン側で前回参加で きなかったシーア派アーヤトッラーDamad師の参加など、特筆すべき成果が多かった。

連続企画「共生の哲学に向けて─イラン・イスラームとの対話─」

永井 晋

共生の哲学に向けて─イランにおける多文化共生研究集会・現地調査─

参照

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