• 検索結果がありません。

電力・エネルギー分野への取組み

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "電力・エネルギー分野への取組み"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

電力・エネルギー

電力・エネルギー分野への取組み

日立製作所常務取締役 電力事業本部長

Jll村

7滋々αSゐ才Åβ甜α椚〟γα 1.はじめに 1997年12月に京都で開催された「気候変動枠組み条約 第3回締約国会議(COP3)+では,西暦2000年以降の温室 効果ガスの排出目標が国際的な枠組みの中で設定され た。今後のエネルギー需給では,この地球環境保護(Envi-ronment Protection)の目標達成に向けて,エネルギー の安全保障(Energy Security)を確保しつつ,経済成長 (Economic Growth)を促進するエネルギー需給を実現 していくことが重要となる。このような状況下で特に重 要な役割を果たす電力分野では,従来にも増して電源の ベストミックスの実現が必要になると考える。すなわち, 供給の安定性,環境へ与える影響性,経済性を総合的に 勘案して,原子力,石油,LNG(液化天然ガス),石炭, 水力,新エネルギーなどの電源をバランスよく活用する 方策が求められる。 一方,電気事業法の改正によって発電事業に市場競争 が導入され,従来以上に経済性,信頼性に優れた製品の 開発が要請されている。 以上のような電力・エネルギー分野の事業を取り巻く 環境を踏まえ,日立製作所は,関係各位からの指導をい ただきながらニーズに合致した製品の開発を進めている。 2.主要分野への取組み 2.1原子 力 世界的に政治,経済,社会,およびそれを取り巻く環 境が大きく変化している中で,原子力発電の位置づけも 大きく変わろうとしている。世界的な電力市場の規制緩 和の影響から,わが国の原子力発電も,安全規制に対す る要求を満たしつつ,大幅なコスト低減のための技術開 発が必要になっている。 わが国の原子力発電所は,1996年と1997年の東京電力 株式会社柏崎刈羽原子力発電所6,7号機の完成で, ABWR(改良型沸騰水型原子炉)初号機の建設という大 きなステップを達成した。ABWRは単機容量1,350MW の世界最新の沸騰水型原子力発電設備であり,これまで

J

に世界各国の沸騰水型原子炉で実証された技術を基に, 経済性,運転性,および安全性をさらに高めたプラント である。主な特徴は,鉄筋コンクリート製格納容器,配 管を介さずに冷却水を原子炉内で直接循環させるインタ ーナルポンプ,電動式制御棒駆動装置や,総合ディジタ ル化を図ったヒューマンフレンドリーな計測制御装置な どで,従来のプラントに比べて単位出力当たりの建設物 量を大幅に低減している。 また,2020年以降を目標とした次世代ABWRの開発も 進められており,運転管理のしやすさと大容量化による いっそうの経済性の追求を目指した新しいプラント設計 が検討されている。 運車云中の原子力発電所においても,発電コスト削減の 見地から,定期検査期間の短縮や修繕費の低減のための 諸施策がとられる一方,予防保全として炉内構造物の取 り替えなど,プラントの信頼性向上策の実施なども計画 されている。日立製作所は,総合プラントメーカーとし ての技術力を集結し,信頼性および経済性の高い原子力 プラントを実現するため,合理的な予防保全サービスを 提供すべく今後とも努力を継続していく。 中国や東南アジアでの経済発展に対応し,地球環境保 全の見地から原子力発電が注目されているが,1997年の 米中原子力協定の発効で,中国の原子力発電プラントの 実用化にいっそうの拍車がかかることが予想される。一海 外では特に既存発電プラントとの発電コスト競合が強く 求められており,これに対応した仕様の検討と,国情に 合わせた実用化計画を提案しつつ,これらの国での原子 力発電プラントの具体化を目指す。 燃料サイクル分野では,ウラン濃縮から使用済燃料の 再処理,廃棄物処理までの技術の高度化を強力に推進す る。また,FBR(高速増殖炉)の技術開発では,国の長期 計画に沿って研究開発に注力している。

日立製作所は,わが国の代表的核融合装置のほとんど

すべてを製作,納入した実績がある。今後は国際熱核融 合実験炉"ITER''の開発や,文部省核融合科学研究所向 けの大型ヘリカル装置の建設が中心となる。また,最近

(2)

電力・エネルギー分野への取組み151 ーお 、=-てここ く-hヽ▲l の粒子加速器技術の利用拡大に応じて,科学技術応用か ら医療用まで幅広い範囲に対応するシステム技術を開発 中である。 2.2 火力,水力 2.2,1火 力 原子力発電と並んで,LNG,石炭を主体とする火力発 電の担う役割は大きなものになっており,環境問題への 対応機運が国際的に高まる中で,高効率化,省エネルギ ー化も含めて,省資源,排出物の削減など,火力発電設 備に求められる課題も高度化している。 LNGを利用したコンバインドサイクルは,高い熱効率 が得られるとともに,中間負荷・ピーク負荷を支える運 用性にも優れている。最近営業運転を開始したプラント の効率は約50%を達成している。これを支える技術の一 つはガスタービン冷却技術であり,1,1000c扱から1,300 0c級に燃焼温度が上昇することに伴い,軍内部の空気冷 却通路形状を改良し,効率よい冷却を実現している。 一方,ポトミングサイクルには再熱多重庄を採用し, 優れた運用性を保ちながら熱効率向上を実現している。 最近運転に入りつつある1,3000c扱高温ガスタービンを 用いたコンバインドサイクルの実績は,これらの技術の 正当性を裏付けるものになっている。さらに,高燃焼温 度,高効率のガスタービン技術の研究を推進している。 石炭利用については,蒸気条件の高度化への取組みが 進んでおり,その要素技術は,扱いやすいフェライト系 超耐熱材の開発である。ボイラでは,電源開発株式会社 東京電力株式会社 柏崎Xu羽原子力 発電所サイト全景 (写真提供:東京 電力株式会社) 松浦火力発電所2号ポイラ(1,000MW)で24.1MPa (246atg)-5930c/593℃が採用された。最新の1,000MW 級タービンの蒸気条件は,25MPa-6000c/6000cまで向 上しているが,さらに蒸気条件650℃まで対応できるよ うに材料の開発を進めている。 脱硝技術については,低NOxバーナなどの燃焼技術の 開発と合わせ,排煙脱硝についても高活性で高効率の脱 硝触媒の開発を進めている。また,排出ばいじん量の低 減を図るために,排煙脱硫装置と電気集じん機のシステ ム構成を最適化して低低温EP(Electrostatic Precipita-tion)システムを開発し,排出ばいじんを極低濃度とする ことができた。 石炭のいっそうの有効利用を目指して,石炭ガス化複 合発電,PFBC(加圧流動床ボイラ複合)発電,および MCFC(溶融炭酸塩型燃料電池)発電の開発も推進して いる。 石炭ガス化複合発電では,HYCOL(石炭利用水素製 造)ガス化炉と勿来パイロット プラント ガスタービン の実績を踏まえ,次ステップとして,電源開発株式会社 の指導の下にEAGLE(燃料電池用石炭ガス製造)プラン トを設計中である。 PFBCでは,中国電力株式会社との共同研究による熱 入力4MWt/h試験装置の長期連続運転試験を進めると ともに,各機器の実寸大モデルを製作し,商用機の信頼 性の検証を推進して,大崎火力発電所1号系列に250 MWeのプラントを納入する計画である。

(3)

152 日立評論 VoI.80No.2(1998-2) MCFCでは,国家プロジェクトとして,1999年に1,000 kW級パイロットプラントの開発を目指して研究開発を 推進中である。将来は,石炭ガスを燃料とする方式を大 容量発電用として考えている。 2.2.2 水力発電は,動力源の再生が可能な,CO2を発生しない クリーンなエネルギー源であり,環境保全に寄与するも のとして積極的な開発が望まれている。一般水力の開発 では,建設コストの低減が求められており,材料や構造 の技術開発によって補機の合理化や機器のコンパクト化 を図っている。また揚水発電では,ピーク電力需要への 即応性に優れた機能を発揮させるための大容量化 コス ト低減を目指した高落差化,高速化も推進している。東 京電力株式会社葛野川発電所1号機(400MW,728m,500 r/min)は出力,落差ともに世界最高レベルを凌駕(りょ うが)するものであり,その性能,構造開発はもとより, 実落差模型試験装置を用いた実機運転に相当する状況下 での機器の挙軌,応力レベルの検証を推進している。 2.3 送変電 電力需要の堅調な伸び,発電・変電所の立地難などに 伴い,系統面では基幹送電網の長距離・大容量化,系統 間の広域連系,大都市部へのUHV(1,000kV)系の導入 などが引き続き大きな潮流となっている。一方,環境調 和,コスト低減,スペース低減などの要求がますます強 くなってきている。送変電分野では,これらの要求に対 応するため,変電機器・制御・保護装置面での新技術・ 新製品の開発を進めている。 広域連系では,西暦2000年代に運転開始予定の直流送 電システム(HVDC),系統問非同期遭系システム (BTB),次世代周波数変換システム用の新しい大容量パ ワーエレクトロニクス素子,変換バルブ,制御装置など を開発している。特に,1,400MWの紀伊水道HVDCシス テムでは,装置の低損失化,系統の供給信頼度向上,小 型化を目指した世界最大容量の8kV・3.5kA光サイリ スタ素子,交直変換バルブ,変換用変圧器,直流GIS(ガ ス絶縁開閉装置),新制御装置などを開発し,実証・シミ ュレータ試験などを経て,現在,鋭意製作中である。 変電機器では,将来のUHV(1,000kV)送電に対応す るため,変圧器,GIS,保護リレーを開発し,現在,東京 電力株式会社新榛名変電所で実証試験を行っている。 UHVで開発した技術は,今後の500kV変電機器の改良 に生かしていく考えである。 変電機器に対しては,スペース縮小,軽量化,高信頼 化,環境調和性などが要求されている。GISでは,絶縁技 術を含めた設計・製造の合理化によって寸法の縮小化を 図り,据付け面積で従来比50%の新機種を開発した。ま た,変圧器では,低騒音,500kV分解輸送,地下変電所 用不燃変圧器などの新製品を開発している。 電力情報制御システム分野では,従来の監視・制御・ 操作・記録などの機能に加え,需要予測・運用計画・設 備管理・情報受配信,さらには現場情報,顧客情報サー ビスの充実への要求も高まっている。ハードウェア・ソ フトウェア共に汎用の最先端技術を低価格で享受しつ つ,システムのコスト低減を図る必要がある。この傾向 に対応するため,自律分散アーキテクチャを基盤として, 高速化,高信頼度化,汎用化,高付加価値化を図ったオ ープン分散システムを開発してきた。今後は,情報技術 分野への取組みを強化していく。 保護リレー分野では,系統構成の多様化,複雑化に対 応するためのディジタル技術,伝送技術を最大限に活用 した第2世代ディジタル保護リレー,および光LAN応用 の変電所総合ディジタル制御装置を完成し,いっそうの 高性能化,小型化,保守の簡素化を図った。 現在,わが国の電力分野では,負荷率の向上が大きな 課題となっている。この課題解決に寄与するため,1997 年8月に「負荷平準化センター+を発足させた。電力貯 蔵用のNAS(ナトリウム・サルフア)電池をはじめ,クリ ーンで動力源の再生が可能な風力発電や太陽光発電シス テムの開発・製品化を進めていく考えである。 3.おわりに この特集号では,原子力発電分野での最新のプラント や燃料,予防保全技術とともに,FBR実証炉や原子燃料 サイクル全般の技術開発などについて紹介する。さらに, 火力や送変電分野についても,特に最近の開発技術を中 心に紹介する。 電力・エネルギー分野の新たな動向を踏まえ,製品の 信頼性確保と経済性の向上を基本理念として,今後とも 技術開発に積極的に挑戦していく考えである。

参照

関連したドキュメント

 当図書室は、専門図書館として数学、応用数学、計算機科学、理論物理学の分野の文

発電量調整受電計画差対応補給電力量は,30(電力および電力量の算

発電量調整受電計画差対応補給電力量は,30(電力および電力量の算

再エネ電力100%の普及・活用 に率先的に取り組むRE100宣言

■エネルギーの供給能力 電力 およそ 1,100kW 熱 およそ

RE100とは、The Climate Groupと CDPが主催する、企業が事業で使用する 電力の再生可能エネルギー100%化にコ

出典:総合エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会

人間は科学技術を発達させ、より大きな力を獲得してきました。しかし、現代の科学技術によっても、自然の世界は人間にとって未知なことが