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鉄筋コンクリート造超高層建物の耐震解析

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Academic year: 2021

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特集

創造の領域を拡大するスーパーコンピュータシステム

鉄筋コンクリート造超高層建物の耐震解析

EarthquakeResponseAnalysisotReinforcedConcreteFrame

宮下

丘*

高橋元美**

7七々∬ゐオ〟か`ぴゐZJα ノlす0わ〃せオ7盲点〟カαS如 大地震を受けたときの建物の解析結果の一例 建物の変形状況および柱・はり部材の塑性状況を示す。

わが国の超高層ビルの第1号である霞ヶ問ビルが

完成してから約25年が経過した。その間,徐々に変

化が起こっている一つには,最近の超高層ビルを見

ればわかることであるが,建物の形が非常に佃1性に

富んできたことがあげられる。一方,骨組の材料は

最初のころはすべて鉄骨造であったが,最近はRC造

(鉄筋コンクリート造)の超高層集合住宅が出現して

きた。

このような変化に伴い,解析法もレベルアップが

図られてきた。特に,RC造の場合,大地震時にコン

クリートのひび割れや鉄筋の降伏という現象が起こ

る。このため,鉄骨造よりもRC造の建物のほうが解

析的には難しい問題を抱えている。また,形状の複

雑さにより,各部材に発生する応力を正確に求める

ことが必要となってきた。

このため,鹿島建設株式ノ会社では超高層鉄筋コン

クリート建物の耐震解析プログラムを開発し,実建

物の設計時に活用している。特に,スーパーコンピ

ュータの導入により,45階建物でも,一つの大地震

波に対して10時間以内で解析可能となり,設計時の

強力なツールとなっている。

*鹿島建設株式会社情報システム部二1二学博十 **鹿島建設株式会社情報システム部

(2)

n

はじめに わが凶のような地震柾=こ,旨盲ヶ関ビルをはじめとする 超高層ビルの建設を ̄可能にした一つの大きな安岡として  ̄考えられるのが,人型コンピュータの出現であった。す なわち,人地震を受けたとき,建物がどのように変形し, どの和也のノJを′受けるかということは,コンピュータに よる解析を過して初めて具体的数字としてわかってきた。 鹿払建設株式会社がコンピュータを導人したのは昭和 38イHこさかのぼり,以来,橋梁(りょう),超高層ビル,

J上;そ十ノJ発電所建屋などの大型構造物の耐寅解析や応力解

析に杭糊してきた。解析糀度の向上とともに使用される

コンピュータも,より高度なものへとリプレースされ,

・ド成2咋にスーパーコンピュータを導人した。

ここでは,鹿島建設株式会社での超高僧ビルを中心と したコンピュータ利朋の概要と,その具体例としてRC造 (鉄筋コンクリート造)超高層ビルの耐寅解析の現状につ いて述べる。

大型構造物へのコンピュータの利用

人当り構造物でのコンピュータの利用は今から30年前に さかのぼり,特に高い安乍性が要)托される悦子力発電所

姓桜や超 ̄高屑ビルの耐寅解析とともに急速に発展した。

、Il初の超高層ビルは,ノJの流れが明快であるべきだと する煉別に従い,建物の形も単純で`左左感のある長方形 であったが,指ヶ関ビルの建設から25年を経過した現れ 超iナf掘ビルは非常に変化に富んだ梅雉な形へと変わって きた。これらの変造を吋能にしたのは,設計弟や研究 ̄昂 の技術開発に対するイ欄干の努ノJによるものであるが,コ ンピュータの果たした役割も忘れてはならない。つまi), コンピュータによる解析結果と実建物の振如実験や地震

時の観測結果とを比較検討することによって,解析さよや

解析モデルの妥、l川三を検証してきた肺尖のたまものと∴ える。 解析法は二次止--ド巾i解析から二次元__、1二体解析へ,紡と形 解析から+ト裸形解析へと進腿し,二呪在は褐雑なヤ何形を 持つ建物の柱・はり,接介部パネルなどの部材のまま解

析に,取り人れ,各部材が人他宗時にどのようなノJを′受け

るかまで追跡 ̄吋能となっている。当然,杵やはりにある 伴I空以_1二の力が加われば,鉄骨造であれば塑件化という りユ象が起こるし,RC追であればコンクリートのひび割れ

や鉄筋の塑性化という現象が起こるわけであるが,こオ ̄L

らのJト線形の現象も解析では考慮されている。 今までのコンピュータでは,構造物をそのまま解析す ることには人きな制約があったが,スーパーコンピュー タの出現によって,三次元(立体)の非線形解析がようや く災現可能となってきた感が強い。

RC造超高層ビルの耐震解析

超高層ビルは骨組を構成する材料により,S造(鉄付 造),RC追および両者を併用したSRC造(鉄骨・鉄箱石コ ンクリート造)の3樺がある。 S造は ̄-iiに事務所ビルに多く用いられ,鹿出建設株式 会社でも200階の超々高層ビル(DIB-200)のフィジビリ ティスタディが終了し,いつでも建設が可能である。一

九RC造は居住性が優れているため,主に集合住宅に川

いられ,従来のコンクリートよりも高強度のコンクリート をJ ̄lトーることにより,現在は50階ぐらいまでが建設叶能 はり はり

柱 接合部パネル 柱 図l 立体骨組の構成部材要素への置換 立体骨組の構成 部材要素を示す。

(3)

鉄筋コンクリート造超高層建物の耐震解析 347 である。鹿島建設株式会社はわが凶第1うJ・の18階建の

RC造集合住宅を昭和48年に完成させた後も,多くのRC

造超高層集介住宅を建設してきた。特にコンクリートは

L蛸旨強度に比べ引張強度が去であり,解析的にはS造よ

りもRC造の建物のほうが難しい問題を抱えている。

耐震解析でj三なものは地震応答解析であi),建物の基

礎に地震波を入力し,建物に起こる力と変形を求めるも

のである。地震波としては,建設される地盤の性状に近

い過去の人地震の披や,建設場所に起こると想定される 波を人為的に作成する人+二波が用いられる。

当然,大地震,例えば関東大地震程度の地岩が建物を

襲えば,一部の部材は李劉生化が起こり,地震のエネルギ ーを暇収し,建物の変形が大きくなるのを抑制する。し たがって,解析ではこの現象をiE確に耽り人れることが 必須(す)である。 解析を行ううえでいちばん重安なのは柱であり,特に 低層部の柱は高帥ノJと2方向の曲げモーメントを受ける ため、複雑な単軌を示す。柱は建物を支えている主要の 部材のため,特に正確に解析を行う必要がある。鹿島建 設株式会社でも数多くの柱やはり部材の実験を行うとと

もに,シミュレーション解析を通して精度の高い解析法

を開ヲ邑してきた。 3.1解析方法 3.1.1基本仮定 (1)解析の対象とする立体骨組は,前ページの図1にホ

すように柱,はりおよび柱-はり接fキ溜レヾネルで構成する

ものとする。柱は2ソ/向の曲げおよび軸方向変形を,は

りは抑ヂ変形に弾塑性特性を考慮する。なお,柱-はり接

触亨lレヾネルのせん断変形については弾件とする。 (2)はりは,両端の肘=ヂ変形に関して,鉛直面内回転白 山度だけを考慮した分割はリモデルを川い,図2にホす 武勝 浦_卜学博士の剛性劣化三拝縦型撼雁杵性を持つも のとする。 (3)杵は,塑性論に基づき,その材端応力に関して,図3

に示すように〟ズー唯1Ⅳ(Ⅹ,Y ̄方向の曲げモーメントと

軸方Irり力)の三次元応力空間で∴存し、に相似なひび割れと 降伏の二つの曲面を設定する。 (4)桔の弾劉生杵性は,はりと同様に武藤 清博士の剛 性劣化三折線型履歴特性を仮定する。 (5)各階床根は,剛床を仮左する。この場合,床板符部 の向山加古Jの動きは,その垂心位置でのⅩ,Y方向の水平 交付と,ねじれ山転の3自由度で表現できる。 ル7 〟忘 〃忘 ーβ忘0 α〃p〟  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄「 ̄ /71-/ll /l /ll

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書:/∠/-- /′ l ′ ■ -′/ l l′ 注:記号説明 β£(降伏時の材靖国転角),JtJ(曲げモーメント) 凡才£(降伏曲げモーメント),鵬(ひび割れ曲げモーメント) α〟〔剛性(コンクリートのひび割れ発生後)〕,pÅ〔剛性(降伏後)〕 〃〔剛性(弾性時)〕,β(材端回転角) 図2 木オ端曲げモーメントと材端回転角の関係 ‡里想化さ れたはりの力と変形関係を示す亡) 降伏曲面 ノーグ,. 、

/にl\

′ / / / / 八丁

//\

、や\\

、--_一一′ ヽヽ

i

/ / ⊥lJy ひび割れ曲面 i\\ 注:記号説明 八丁(軸方向力),吼(J方向の曲けモーメント) 〟少(〟方向の曲げモーメント) 図3 柱のひび割れ曲面と降伏曲面 柱のひび割れと降伏が 起こる曲面を示す。

(4)

3.l.2 地震応答解析

(1)立体骨組の釣合い方程式の誘導にあたっては,まず

柱,はりおよび桂一はり接合部パネルの局所座標系での剛 性行列を求め,それらを全体座標系での剛性行列に変換 する。

(2)垂心位置での骨組全体剛性行列は,前記(1)の全体剛

性行列から,重心に作用する外力と垂心の変位に関する 釣合い方程式に縮約して求める。 (3)振動方程式は,床の垂心位置での慣件ノJを考慮した

形でたてて,Newmark-β法(β=‡)で解く。

(4)減衰は,瞬間剛性比例型の内部粘性減衰とする。 3.2 解析例

解析対象建物の基準階平面および軸組岡を図4に,骨

組の鳥観図を図5にホす。この建物は,Ⅹ,Y両方向とも 6スパンで辺長が29.8mの正方形の辺中央部にへこみ

を持つRC造30階建集合住宅である。 ̄F層階に設計基準強

度420kg/cm2の高強度コンクリートと下層階外柱の断

面中心に鉄筋を配置した心筋柱を用いているのが特徴で ある。 骨組の設計にあたっては,外力に対しては-)曲げ降伏 先行を想定しており,柱の曲げおよびせん断終局耐力が はりの曲げ降伏時の終局耐力の1.25倍以.卜あるように断 ⊂0 寸 00 の N (X) 寸 M の -トー 「 m の l L ∞ 一寸 ̄ 〔に〉 寸 5.3 4.8 4.8 5.3 4.8 4.8 29.8 (a)基準階平面図 図5 骨組の鳥観図 解析対象建物の骨組の鳥観図を示す。 面を設定している。

解析に用いた地震波は3波(エルセントロ波,,タフト

波,八戸波)であー),最大地震を想定して各地震波の速度

が50cm/sとなるよう規準化した波を用いる。解析は建

物に地震波が1方向から人力する場合と,2方向同時に

人力する場合の2ケースを行う。 RF 26F 21F F。=270kg/cm2 F。=300kg/cm2 Fr=330kg/cm2 Fr=360kg/cm2 ∈の「ト∞ の甲N㊥ 柱 筋 、トレ 2F Ln 寸 1F 17F 6F 3F F。=390kg/cm2 F√=420kg/cm2 4.8 4.8 5.3 5.3 4.8 (b)代表軸組図 注:記号説明 F。(コンクリートの圧縮強度) 図4 解析対象建物 解析対象建物の基準階平面および軸組図を示す。 4.8

(5)

鉄筋コンクリート造超高層建物の耐震解析 349 図6 地震時の建物の変形状況 工ルセント口演を2方向か ら入力したときの,地震発生後約6秒後の建物の変形を20倍に拡大 した状況を示す。 30 25 -・Rx max.一× --・--Rx max.-×Y 階 30 25 0 5 0 2 1 1 低能樹匝嘩櫛比 階 エルセントロi皮を,2方向から入ノJしたときの地震発 生後約6秒後の建物の変形を,20倍に拡大した状況を 図6に示す。同図は時々刻々の建物の変形状態の動画の

一部であるが,動向を作成することによって地震時の建

物の各部の動きがよく理解できる。地震時の層間変形角

の最大値と部材の許容層間変形角(0.01rad)を図7に示 す。同図で実線は1方向入力,点線は2方向人力のケー スを示すものであるが,いずれの場合も許容屑間変位よ

りも小さい値となっている。地震の応答最大層せん断力

と琴物の保有耐力とを合わせて図8にホす。いずれのケ

ースも,地寅時に発生する層せん断力は保有耐力までに

は達していないので,建物が地震を受けても安全である

ことがわかる。 次に,特に高い力を受ける柱の解析結果について述べる。

∨ん 川XY一.囁蔽樹匝固体洗 Yハ 0.0020.0040.0060,008 0.010.0120 層間変形角(rad) (a)エルセントロ波 比白 - Rx max.一× ---一一 Rx max.-XY ′′ 耽蔽糾臣陛櫛比 0.002 0.0040.0060.008 0.010.012 0 層間変形角(rad) (b)タフト波 0.002 0.004 0.006 0.008 0.010.012 層間変形角(rad) (c)八戸波 注:略語説明 Rx max.一X(地震波の一方向成分入力時の応答最大層間変形角) Rx max.-XY(地震波の二方向成分入力時の応答最大層間変形角) 図7 応答最大層間変形角 地震時の層間変形角の最大値と部材の許容層間変形角を示す。 30 25 20 15 10 階 ーQu -Qx max.-× ……-0× maX.-×Y 30 保有耐力 25 20 15 10 ー・・・・・・-・0] -Ox max.-X -・一--Ox max.-XY 階 30 保有耐力 25 20 15 10 ・--Oリ ーQx max.-X --…一0× maX.-×Y 保有耐力 階 1,000 2,0003,0004,0005,000 層せん断力(t) (a)ェルセントロ浪 注:記号説明 0∪(保有耐力) 6,0000 1,000 2,0003,0004,0005,0006,0000 層せん断力(t) (b)タフト波 図8 応答最大層せん断力 地震時の応答最大層せん断力と建物の保有耐力を示す。 1,000 2,000 3,000 4,0005,0006,000 層せん断力(t) (c)八戸濾

(6)

3-000 0×(t) /■∴ / 000-ト000 ノ㌢√ ′′′ ′′′匂ノ/ノ

/滋孝′′′

1_0002.口 -3、0〔)0 -6,000 イメ(川1 0口 図9 層せん断カー変形の関係(l階) 特に高い力を受ける柱の解析結果の中 で,l階の層せん断力と層間変形の関係を 示す。 ご㌔ こきモ、

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図10 柱が受ける力の軌跡 l階柱の工ルセントロ波2方向入力の場合の,地震時に発生する力(帆,叫,,〃)の軌跡を示す。 1階の屑せん断力と層閑変形の関係を図9に示す。これ によると,層全体の変形は許容層間変位(4.5cm)の半分 以卜であり,ほとんど残留変形もないことがわかる。1 階柱のエルセントロ波2方向入力の場合の地震時にヲ邑生

する力(ル九,蝿.,Ⅳ)の軌跡を図川に示す。同開から柱が

受ける力の詳細が確認できる。

8

おわりに

超高層建q勿の耐震解析はスーパーコンピュータの山二睨 によって建物をそのままモデル化し,各部材の応力状態 を考慮した精算解析が吋能となった。最近ますます咽え つつある複雑な平面や立体形状を持つ高層建q勿の設計に あたっては,この種の解析法が非常に有効なツールとな るものと思われる。 参考文献 1)武藤:耐宗設計シリーズ/応用編 構造物の垂加勺設計,丸 善株式会社(昭和52年) 2)高橋,外:柱の変垂榊由力と2軸曲げモーメントを考慮した RC道立体骨組の弾_柳生地震応答解析,口本建築二、声会, 節14剛背報システム利用技術シンポジウム,61∼66(199ト 12)

参照

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