高等学校商業科におけるプログラミング教育指導法の研究 人間教育専攻 現代教育課題総合コース 田村 武志 1 .問題の所在 商業科プログラミング教育は,従前より基本 的なアルゴリズム・プログラミングの学習から 整列,探索などの応用的な内容が施されている。 以前はコーディング方法やアルゴリズムにつ いて学ぶことがプログラミングとして商業科の 中で取り組まれてきたが,そのものを学ぶだけ でなく,それを活用する観点が考えられてきた。 また平成30年告示高等学校学習指導要領からは すべての高校生がプログラミングを学習するこ ととなることから,商業科におけるプログラミ ング共学校教育全体におけるプログラミング教 育の在り方が変化している。 継続して商業科「プログラミング」が設定さ れる中,今後, これまでと同じような指導方法 や内容でよいのかを検討する必要がある。 2 .研究の目的と方法 (1)研究の目的 従前よりプログラミング教育が行われている 高等学校商業科に焦点をあて,その現状を批判 的に考察し,その在り方と指導方法を論じるこ ととする。 (2)研究の方法 文献研究調査と実践研究授業を行った。 ・高等学校商業科・高等学校専門教科プログラ ミング教育の調査 ・実践研究授業 指導教員 藤村 裕一 ・商業科ならではのプログラミング教育の考察 3 .高等学校商業科におけるプログラミング教 育の変遷 プログラミングに関する科目はn群ロ45年告示 高等学校学習指導要領で示された。これ以前よ り電子計算機を利用し,一部の高等学校で先進 的に取り組みも進められていた。 商業科においては,学習指導要領の改定ごと にプログラミングの位置づけが考えられ,現在 まで科目が設置されている。またプログラミン グそのものを学ぶ科目だけではなく,プログラ ミングの知識を活用した科目も設置されている。 長年にわたる商業科における指導実績は,他 教科の科目への学びにつながるものも多く,参 考になる。 4 .専門教科におけるプログラミング教育の現 状 平成21年告示高等学校学習指導要領と平成30 年告示高等学校学習指導要領において共通教科 情報の代替科目の位置づけと内容を考察した。 また専門教科におけるプログラミング関係科目 と共通教科情報の「情報I 」の学習内容を比較 しその差異について考察した。 プログラミングに関する教科書の構成が当初 より論理的思考に基づいた構成には不十分であ ることを明らかにした。
5. A市立B高等学牧におけるプログラミング 教育の現状と考察 A 市立B 高等学校のプログラミング教育のこ れまでの取り組みを考察し,その課題や問題点 から改善のための仮説をたてた。 商業科としてどのような生徒を育てていきた いか,他教科と比較した際の優位性を考え,単 に知識の蓄積を目指すのではなく,ビジネスの 基本知識に立脚した問題発見と解決ができる人 材を育成することにあると考えた。 目指すべき方向性,学習過程の充実に向けて 「プログラミン力の指導過程を仮説設定した。 ①社会やビジネスの過程て滴我央すべき問題点の 把握 ②問題を解決するにはどうすべきか ③解決方法を具体化し,解決,確認する ④結果の分析と改善 6 . A 市立B 高等学校におけるプログラミング 教育の実践研究 仮説に基づいて授業実践を行った。本研究に おいては, 3 年次で履修する「プログラミング ~」を文」象とした。 アルゴリズムを考える授業の展開として「ビ ジネスの事例や既習のアルゴリズム等の問題を 発見しプログラミングで解決しようとする」, 「言葉や図で多様な解決方法を考える」,「考え た羽順に問題点や課題がないカ言舌し合い,考え る」,コンピュータで処理するためには「引順を どのようにコーディングしたらよいか考え,確 かめる」,「よりよい処理方法はないか比較・検 討する」というI)fiれとした。具体的には, 2 次 元酉西リ・順位付け・二分探索・内部分類アルゴ、 リズムの内容を実践した。 7 一商業科プログラミング指導方法の提案 商業科のプログラミング教育は長きに渡り実 践されてきたが,その時代や社会,生徒のニー ズをとらえて,より充実した教育内容や指導方 法を目指すべきである。 (1)商業科プログラミング教育の「不易」 ①基礎的能力としてのプログラミング ②ビジネスの現場における問題発見・解決から の業務効率化・業務の質的改善 ③基本アルゴリズムの重視 (2 )商業科プログラミング教育の「流行」 本研究におけるプログラミング教育の「i,li行」 とは,単に新しいものや考え方に流れるのでは なく,これまでの「不易」の部分を補い,新た な「不易」としていくものであると考える。 ①より 「考える」授業への転換 ②その時代ごとに定説なプログラミングツール の選択 ③ドキュメンテーションによる継承可能なプロ グラミング 8 .問題発見と解決を意識した商業科プログラ ミング教育の有効性 仮説設定に基づき実践授業を実施し, この研 究内容が再現可能か考察した。 ・問題解決学習によるプログラミングからの学 習意識と理解度の向上 ・思考の可視化と練り合い ・作成したプログラムの評価 本研究の実践を再現可能性のあるものとする ためには,物事や手続きに対する思考を促し, 指導できる人材の育成が必要である。また生徒 が主体的に考え,その考えを対話で深めていく 学びの環境づくりが大切である。