− 271 − 学校教育における吹奏楽に関する研究 ー音楽の喜びをもたらす指導の在り方一 教科・領域教育専攻 芸術系コース(音楽) 後 藤 正 志 学校教育における吹奏楽は、指導者に吹奏楽 の経験がないために、指導法が分からず精神論 に走ったりすることや、吹奏楽コンクーノレで、良 い賞を得ることが目的となることが問題視され、 教育現場での指導の在り方が問われている。そ こで本研究では、学校吹奏楽において子どもた ちに音楽の本来の喜びをもたらす指導の在り方 についての検討を行った。 第一章では、日本の朝交教育における吹奏楽 が、現在のような活動にいたった五封章を論じ7。こ 日本の吹奏楽(スクーノレバンド)は、吹奏楽コ ンクールと共に発展してきたために、現在のよ うに音色やサウンドが充実しており、世界から 注目されるほどの高い技術を持ち合わせている。 また、スクーノレバンドの発展に大きく貢献した のは、軍楽隊の楽団員や現場の熱心な指導者や 耕市で、あった。特に、軍楽隊がスクーノレバンド に与えた影響が大きい。 第二章では、現在の朝交教育における吹奏楽 の現伏を概観した。日本の学校現場における吹 奏楽は、活動すべてにおいて吹奏楽コンクーノレ の影響を受けている。その影響が具体的に表れ ているのが、規律と演奏射望曲である。吹奏楽 において規律が求められることによって、子ど もたちは望ましい人間関係や責任感について学 ぶことができる。しかし、吹奏楽コンクールで、 勝つための演奏や勝つための選曲は、吹奏楽コ 指 導 教 員 山 田 啓 明 ンクールで、子どもたちを燃え尽きさせてしまう 原因であると考えられる。 第三章では、昭和22年から平成20年までの 学習指導要領におし、て、朝交における音陥動の 教育的位置づけを明らかにし、学習指導要領や 先行研究から学校教育における部活動である吹 奏長の教育的意義を論じた。学習指導要領から みた吹奏楽の教育的意義は、徳育を育むことで ある。それは、吹奏楽部における規律で望まし い人間関系が生まれることや責任感が育成され ることを意味しており、音楽自体による教育的 意義ではない。 第四章では、アメリカのスクー/レバンド及び、 アメリカのバンドコンテストについて概観した。 また、アメリカの
2
人の指導者の意見からアメ リカの指導者はどのような想いで指導をしてい るのかを論じた。竿校教育におけるアメリカの 吹奏楽での指導は、人間の内面に関わる音楽表 現の指導を大切にしている。それは、子どもた ちが吹奏長で演奏を通じて自身の内面と関わら せながら音楽表現を豊かにすることである。そ のような考えは、現場の指導者の指導観にもな っている。このような、吹奏楽教育のしくみと 現場の指導との5
齢、結びつきは、日本の学校教 育における吹奏楽の現状ヰコ学習指導要領からみ る学校吹奏楽の教育的意義には見られなかった 内容である。日本における吹奏楽のための演奏− 272 − 指導は吹奏楽コンクールで勝つことが目的とさ れており、アメリカのように子どもたちの内面 と関わらせて音楽表現を豊かにする指導が行わ れていなし L 第五章では、小林恵子氏へのインタビューを 行い、学校現場における吹奏楽の指導の在り方 について論じた。インタビューは、現在の学校 現場における吹奏楽の現状について、また、教 師や指導者はどうし、う指導を実践する必要があ るのかについての質問内容で、あった。 インタビューの分析結果から、学校吹奏楽に おける指導の在り方として、教師や指導者は子 どもたちに向かって音楽の良さや楽しさを味わ わせることを忘れずに、生涯学習の教育的な観 点、演奏明窒曲の音楽的な観点をもって指導を 行う必要があること、そして、何よりも教師や 指導者は、音楽である吹奏楽を通じて子どもた ちの心を成長させることを念君買に考えて指導し なければならないことが示唆された。 第六章では、インタビューで、回答を得た小林 氏の学校現場における吹奏楽に対する考えが、 実際の指導場面にどのように表れているのかに ついて論じた。小林氏の考えおよひ守旨導から① 学校現場における吹奏楽の問題点をどのように 改善するのか、②「音楽の味わしリ「さじ加減J に関する味わう力をどのように育成するのか、 ③音楽表現をもたらす専門的な指導はどのよう に行われるのか、という 3つの分析視角を設定 し、小林氏の中判交巡回指導の指導場面につい て考察した。その結果、すべての指導場面を通 じて、小林氏は、子どもたちが音楽を味わうこ とを通じて、音楽を楽しみ、面白さを感じるよ うに指導していることが明らかlこなった。 日本の学校教育における吹奏楽は、吹奏長コ ンクールとの関係、が