モ
ーツア
/
レト作曲「ピアノソナタ
イ
短調
K
.
3
1
0
J
に関する演奏上の一考察
教科・領域教育専攻
芸術系(音楽)コース
金 嬉 浮
i
修了演奏曲目 :ピアノ独奏}
指導教員 森 正
ごれらのことを踏まえて、本研究では、モー
ツアノレトのピアノソナタK.
3
1Oの楽曲の構成と
モ ー ツ ア ル ト 作 曲 ピ ア ノ ソ ナ タ イ 短 調 分析を通して演奏上の留意点を明らかにするこ
K.
3
1O
(Mozart Klaviersonaten
K.
3
1
0
)
第
1
楽 章 ア レ グ ロ マエス トーソ
第
2
楽章 アンダ ン テ カンターピレ コン
エスプレッシオーネ
第 3楽 章 プ レ ス ト
はじめに
演奏者は、作曲家の指示どおり厳密に演奏す
るなかでも、解釈によって個性を生み出すこと
が、楽譜に忠実な演奏やテクニックを優先する
演奏より必要であると言えるだろう。とりわけ、
調和や均整がとれた完壁な形式が理想であった
古典派作品においても演奏者の個性及び解釈に
よって様々なモーツアルトの音楽がイメージさ
れる。
例えば、同じ楽曲であっても、ピアニストた
ちの解釈によって、我々は、時には悲しいほど
に澄みわたったモーツアルトが、時には芳醇か
っ老熟した年輪の重みが感じさせる演奏が聴け
る。
とをその目的とする。その手掛かりとしては、
作品の成立背景となった、モーツアルトの手紙
とマンハイムとノ〈リでの音楽経験と人生経験を
探ることが彼の作品世界を理解するにあたって
貴重な材料になるのではないだろうと考える。
研究の概要
第
1
章では、ピアノソナタ K.
3
1Oがモーツア
ルトの生涯の中で、どこに位置づけられるかを
知るために、時代を中心に、3つの時期に分け
ることができた。すなわち、第
I
期は、ザルツ
ブノレク時代の
1
7
7
4
"
"
'
1
7
7
5
年で、K.
2
7
9
'
"
'
"
'
K.
284
の 6曲のピアノソナタがここに属する。第 E期
は、
1
7
7
7
'
"
'
"
'1778
年のマンハイムとパリ旅行の
とき書かれた
7
曲のピアノソナタである。そし
て第
E
期は、ヴィーン時代の作品で
K.
4
57
、
K.
5
33
I
49
4
、K.
545
、K.
547a
、K.
570
、K.
576
が当てはまる。
第
2
章では、モーツアルトのマンハイム・パ
リ旅行の
1
年半の人生経験をモーツアルトの手
紙 を 手 掛 か り に 辿 り な が ら 、 ピ ア ノ ソ ナ タ
← 279
-K
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3
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3
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ニ ス ト の
の 母 親 を 失 う た 悲しみ や ア ロ イ ー ジ ア ど の
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第
3
楽 章 の
は、モ ー ア ァil〆ト;目、どのようにし
の 統 を 保 っ て い る の か に つ い
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。
い る 問 題 で た る ご 実 際、
も 様 々 な 奏 法 が 見 ら れ、 も
人 そ れ ぞ れ で あ るc な の で 、 間 違dったトリルに
よって、旋 俸 の 流 れ さfよいことが重要きでは
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拾の構造主.,>分析し、演
3
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3
楽 章
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とC
には、モーツァノレトがパ~)で作曲 したイ短調の の ロ ン ドの 構 造
i
士、
A
楽 節 の 主 題 が
B
り上リ の 留 意 楽 節 の 主 題 の 基 に な っ て い る 単 必
る じ 比 較 的 穏 や った第
2
楽 章 の 雰 囲 気
ピアノソナタ
1
0
し 百
点を ることにし
第
3
章 の 第
1
節においては、ディナ」、ミクの
指 景 に 焦 点 を 置 い て し た 。 そ ち そ も 、 モ ー
ツ ア ル ト の 作 品 に お 付 る デ ィ ナ … ミ ク は 大 ま か ルな旋律で、はじまり、この
1
4
4
、
つ
ぱ
J
d 貢 じ て 続 く 特 徴 が あ るO
な 強 調 を 示 す に と ど め て い るO そ れ は 、 当 時 の
美 学 や 作 品 風 潮 に よ る も の で あ り 、 モ ー ツ ア ノ1/'
ト の 作 品 に お い て も 、 デ ィ ナ ー ミ ク 段 階 (pp、
の 構 成 で
とは移り変わって、:第3楽 章 で は 再 び 緊 張 感 を
高 め て11'¥るむさらに、ロンドの主題はり 「
、
なりズ、ムは最後
料 わ り に
p、mp、m:f、f,ff)を 詳 細 に 示 し て お ら ず 、 大 古典派を代表するそーツアノ1/トのピアノソナ
抵 p とfで 対 照 的 な 効 果 を 求 め て い る こ と が わ タ 作 品 成 立 の 背 景 と 楽 曲 の 構 成 と 分 析 を 中 心 に
った。 試 み た 本 研 究 は 、 調 和 と 均 整 を 重 視 す る 古 典 派
第
2
節 に お い て は 、 テ ン ポ 及 び 装 飾 記 号 の 解 時 代 の 音 楽 の 中 で も 、 型 に は ま ら な い 独 自 性 を
釈 に つγ=て 論 じ た 。 ま ず ア ン ダ ン デ は 、 モ ー ツ 持 っ て お り 、 流 麗 な 旋 律 、 展 開 の 技 法 な ど そ ー
ア ル ト 時 代 に お い て は 、 け っ し て 緩 徐 な テ ン ポ ツ ア ル ト の 人 生 経 験 と 共 に 作 品 に 反 映 さ れ て い
ではえとし、ことがわかる。そのため、
K.3
1Oの第 る こ と が 明 ら か と な っ た 。 こ れ ら の こ と を 活 か
2
楽 章 の ア ン ダ ン テ 刃 ン ターピレ コン エ ス し て 、 モ ー ツ ア ル ト の 音 楽 を 自 分 な り の 解 釈 に
プ レ ッ シ オーネ の 指 示
l
土、あ ま り 遅 す ぎ な い テ 基 づ い て 色 鮮 や か に 演 奏 表 現 に 反 映 さ せ て い き
ン ポ で 、 深 さ と 表 現 力 を 失 わ な い よ う に す る こ たい。
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